JPWO2017130492A1 - ポリカーボネート樹脂組成物、熱線遮蔽成形体および熱線遮蔽積層体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物、熱線遮蔽成形体および熱線遮蔽積層体 Download PDF

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Abstract

太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子の耐候性劣化が抑制されたポリカーボネート樹脂組成物を提供する。複合タングステン酸化物微粒子(A)と、耐候性改良剤(B)と、ポリカーボネート樹脂(C)とを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)が、一般式MxWOyで表される複合タングステン酸化物微粒子であり、前記耐候性改良剤(B)が、亜リン酸エステル化合物を含むもの(B1)、または、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B2)、または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B3)、のいずれかであり、前記耐候性改良剤(B)の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であるポリカーボネート樹脂組成物を提供する。当該ポリカーボネート樹脂組成物を用いて製造された、熱線遮蔽成形体や熱線遮蔽積層体を提供する。

Description

本発明は、複合タングステン酸化物微粒子分散ポリカーボネート樹脂組成物、熱線遮蔽成形体および熱線遮蔽積層体に関する。
各種建築物の屋根材、壁材、さらに、自動車、電車、航空機などの輸送機器には、窓、ドア等のいわゆる開口部分が設けられている。そして、当該開口部分から入射する太陽光線には、可視光線の他に紫外線や赤外線が含まれている。当該赤外線のうち、波長800〜2500nmの近赤外線は熱線とも呼ばれ、前記開口部分から室内、車内および機内に進入することにより、当該室内等の温度を上昇させる原因になる。
当該温度上昇を解消するために、近年、各種建築物や輸送機器の窓材、アーケード、天井ドーム、カーポート等の製造、建設分野では、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽することにより、明るさを維持しながら室内等の温度上昇を抑制する機能を有する、熱線遮蔽機能を有する成形体への需要が急増している。
上述した当該熱線遮蔽機能を有する成形体の需要に呼応して、熱線遮蔽機能を有する成形体に関する提案が多数なされている。例えば、透明樹脂フィルムに金属、金属酸化物を蒸着してなる熱線反射フィルムを、ガラス、アクリル板、ポリカーボネート板等の透明成形体に接着した熱線遮蔽板が提案されている。
しかしながら、熱線反射フィルムは、その製造工程において、高真空や精度の高い雰囲気制御が必要な蒸着装置を使用する必要があり、それ自体のコストが非常に高価である。さらに、当該熱線反射フィルムを透明成形体に接着した熱線遮蔽板の製造には、接着工程等の煩雑な工程を要する。この為、熱線遮蔽板は、熱線反射フィルムよりもさらに高コストとなってしまう。
その上、当該熱線遮蔽板においては、透明成形体と熱線反射フィルムとの接着性が良くないので、経時変化により透明成形体と熱線反射フィルムとの剥離が生じる、といった欠点も有している。
一方、透明成形体表面に金属または金属酸化物を直接蒸着してなる熱線遮蔽板も数多く提案されている。しかし、当該熱線遮蔽板の製造に際しては、上述した熱線遮蔽機能を有する成形体と同様に、高真空で精度の高い雰囲気制御を要する装置が必要となる。この為、上述した直接蒸着法も量産性に劣り汎用性に乏しいうえ、当該熱線遮蔽板が非常に高価になるという問題があった。
この他、熱線遮蔽の手段として、上述の透明基材上に熱線反射フィルムや熱線遮蔽膜を配置する方法以外にも、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性透明樹脂に、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物に代表される有機近赤外線吸収剤を練り込んだ熱線遮蔽板やフィルムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、当該熱線遮蔽板やフィルムに十分な熱線遮蔽能力を付与するためには、多量の近赤外線吸収剤を配合しなければならない。しかし、当該熱線遮蔽板やフィルムに多量の近赤外線吸収剤を配合すると、可視光線透過機能が低下してしまうという課題を有していた。さらに、近赤外線吸収剤として有機化合物を使用しているため、直射日光に常時曝される建築物や車両の窓材等への適用においては耐侯性に難があり、必ずしも好適であるとはいえなかった。
さらに、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂に、熱線反射機能を有する酸化チタン、または、酸化チタンで被覆されたマイカ等の、無機粒子を練り込んだ熱線遮蔽板も提案されている(例えば、特許文献3、4参照)。
しかし、当該熱線遮蔽板においても、熱線遮蔽機能を確保するためには、熱線反射機能を有する粒子を多量に添加する必要がある。この結果、熱線反射機能を有する粒子の添加量の増大に伴って、可視光線透過機能が低下してしまうという課題を有している。逆に、熱線反射機能を有する粒子の添加量を少なくすると、可視光線透過機能は高まるものの、今度は熱線遮蔽機能が低下してしまうため、熱線遮蔽機能と可視光線透過機能とを同時に満足させることは困難であった。さらに、熱線反射機能を有する粒子を多量に添加すると、成形体を構成する透明樹脂の物性、特に耐衝撃強度や靭性が低下するという強度面の欠点も有していた。
このような技術的背景の下、本出願人らは、熱線遮蔽効果を有する成分として自由電子を多量に保有する六ホウ化物微粒子に着目した。そして、六ホウ化物微粒子がポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂中に分散されている、または、六ホウ化物微粒子とITO微粒子および/またはATO微粒子とが分散されている熱線遮蔽樹脂シート材(特許文献5参照)、および、熱可塑性樹脂中に六ホウ化物微粒子を溶融混錬し分散することで得られるマスターバッチを提案している(特許文献6参照)。
さらに、本出願人らは、熱線遮蔽成分として一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を各種バインダーに含有させた熱線遮蔽用塗布液、この塗布液を各種成形体に塗布後、硬化して得られる熱線遮蔽膜、および、熱可塑性樹脂中に複合タングステン酸化物微粒子を溶融混錬し分散することで得られるマスターバッチを提案している(例えば、特許文献7、8参照)。
上述した熱線遮蔽効果を有する六ホウ化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子を溶融混錬し分散させて得られた熱可塑性樹脂シート材や成形体は、その用途から基本的には屋外で使用され、高い耐候性が要求される場合が多い。ところが、本発明者らの検討によると、前記複合タングステン酸化物微粒子を含む一部の熱線遮蔽部材(フィルム、樹脂シート等)において、屋外で長期間使用すると、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響で、経時的な可視光透過率の低下、熱線遮蔽機能の低下、色調の変化、ヘイズ値の増加等、光学特性が低下するという課題が見出された。
本発明者らは、上述した複合タングステン酸化物微粒子を媒体に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体が、長期間にわたり紫外線を受けることによる、色調の変化、透過率の低下が起きるという課題への対策を検討した。
そして、複合タングステン酸化物微粒子を、樹脂等の高分子媒体に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体の紫外線による色調変化の現象は、高分子媒体に紫外線が照射された際、当該紫外線のエネルギーによって高分子鎖が切断されて活性な有害ラジカルが次々に発生し、高分子の劣化が連鎖的に進み、これらの有害ラジカルが複合タングステン酸化物微粒子に還元的に作用し、新たに5価のタングステンが増加するに伴って着色濃度が高くなることを知見した。
上述した知見を基に、本発明者らは、高分子媒体の紫外線劣化を防止することで、新たな5価のタングステンの生成を防止し、色調の変化を抑制することが可能となることに想到した。そして、複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子分散体中に、ヒンダードアミン系光安定剤(本発明において「HALS」と記載する場合がある。)を存在させることで、紫外線により発生した有害ラジカルを捕捉して複合タングステン酸化物微粒子の還元を防止し、当該赤外線遮蔽材料微粒子分散体や赤外線遮蔽体の紫外線による色調変化を抑制することを開示した(特許文献9参照)。
さらに、本発明者らは、上述した紫外線により発生する有害ラジカルを捕捉して、タングステン酸化物微粒子や複合タングステン酸化物微粒子中にあるタングステン原子の還元を防止し、当該赤外線遮蔽材料の紫外線による色調変化を抑制することを検討した。そして、複合タングステン酸化物微粒子を含有する赤外線遮蔽材料微粒子分散体中に、(a)リン系着色防止剤、(b)アミド系着色防止剤、(c)アミン系着色防止剤、(d)ヒンダードアミン系着色防止剤、(e)ヒンダードフェノール系着色防止剤、(f)硫黄系着色防止剤から選ばれる着色防止剤を存在させることで、当該赤外線遮蔽材料の紫外線による色調変化を抑制できることを開示した(特許文献10参照)。
ここで、上記着色防止剤のうち、リン系着色防止剤はリンを含有する着色防止剤であり、リンを含むリン系官能基を備えた化合物が好ましいとされ、リン系官能基には、3価と5価のリンを含むものがあり、下記の式(1)で3価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤、式(2)で5価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤の一般式が例示されている。


[尚、式(1)および式(2)において、x、y、zは、0または1の値をとる。また、R、RおよびRは、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基、または、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、または、水素原子である。さらに、yまたはzが1の場合には、RまたはRは、金属原子でもよい。]
上述した式(1)および式(2)において、Rを除いた部分(すなわち、一般式:−Ox−P(OyR)(OzR)、または、一般式:−Ox−P(O)(OyR)(OzR)で表されるもの)はリン系官能基とされており、当該リン系官能基の具体例として、ホスホン酸基(−P(O)(OH))、リン酸基(−O−P(O)(OH))、ホスホン酸エステル基(−P(O)(OR)(OR))、リン酸エステル基(−O−P(O)(OR)(OR))、ホスフィン基(−P(R)(R))等が挙げられている。これらのリン系官能基の中でも、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系着色防止剤は、金属イオンを効率よく捕捉でき、耐加水分解性などの安定性に優れるので、着色防止剤として特に好適であると考えられる。
一方、上述したリン系官能基の内、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基およびリン酸エステル基等の5価のリンを含有する官能基は、主として連鎖開始阻害機能、すなわち、有害な過酸化物ラジカルを発生させる触媒となる金属イオンを、隣接するリン系官能基によってキレート的に捕捉して不活性化し、当該過酸化物ラジカルによる連鎖反応の開始を阻害する機能を有していると考えられる。
また、ホスフィン基等の3価のリンを含有するリン系官能基は、主として過酸化物分解機能、すなわち、P原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解し、過酸化物が分解してラジカル化する反応を阻害する機能を有していると考えられる。
また、ポリカーボネート樹脂の特性改善を目的として亜リン酸エステル化合物を添加することが、特許文献11、12に提案されている。そして、当該リン系安定剤をポリカーボネート樹脂に含有させると、時間の経過と伴にポリカーボネート組成物が白濁するという問題が存在していたが、さらに亜リン酸エステル化合物を配合することで、耐白濁性が得られるのみならず、優れた耐熱分解性、長期安定性を示すことが特許文献13に提案されている。
また、特許文献14には、ポリカーボネート樹脂の重合反応終了後、樹脂の溶融安定性を良好なものとするため、ヒンダードフェノール系化合物が酸化防止剤として提案されており、特許文献15には、ポリカーボネート樹脂製造に際し、着色防止を目的としてヒンダードフェノール系酸化防止剤を加えることが提案されている。
特開平6−256541号公報 特開平6−264050号公報 特開平2−173060号公報 特開平5−78544号公報 特開2003−327717号公報 特開2004−59875号公報 国際公開第WO2005/87680A1パンプレット 特開2008−24902号公報 特開2006−282736号公報 特開2008−208274号公報 特開平1−245049号公報、 特開平5−9370号公報 特開2001−181495号公報 特開平10−219090号公報 特許4933704号公報
以上、説明したように、複合タングステン酸化物微粒子を樹脂などの高分子媒体に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体において、長期間にわたり紫外線を受けることによる、色調の変化、透過率の低下が起きるメカニズムが、本発明者らにより調査検討された。その結果、当該赤外線遮蔽材料微粒子分散体に用いられている高分子媒体に紫外線が照射されると、紫外線エネルギーによって高分子鎖が切断されて活性な有害ラジカルが次々に発生し、これらの有害ラジカルが、複合タングステン酸化物微粒子に還元的に作用し、新たに5価のタングステンが増加することに伴い着色濃度が高くなるものと、知見された。
当該知見に基づき、本発明者らは、赤外線遮蔽材料微粒子分散体の色調変化、透過率の低下を、紫外線エネルギーによる高分子材料の劣化による有害ラジカル発生に起因するものとして捉え、上述した有害ラジカルの活性を抑制するために、ヒンダードアミン系光安定剤や、リン系着色防止剤等の着色防止剤を添加することが有効である等、の対策を開示してきた。
ここで本発明者らは、熱可塑性樹脂シート材や成形体における、さらなる耐候性の向上を目指して研究を行った。
当該研究の結果、検討対象を、赤外線遮蔽機能を有する赤外線遮蔽材料微粒子へ広げ、上述した紫外線エネルギーだけでなく、熱可塑性樹脂シート材や成形体が太陽光を受けた際に、当該赤外線遮蔽材料微粒子が発生する熱や、空気中の水分、酸素が当該赤外線遮蔽材料微粒子へ与える影響までも考慮した上での、経時的な可視光透過率の低下、熱線遮蔽機能の低下について検討することに想到した。
即ち、本発明は、赤外線遮蔽材料微粒子を含む熱可塑性樹脂シート材や成形体が、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響で、経時的に可視光透過率の低下、熱線遮蔽機能の低下、色調の変化、ヘイズ値の増加等の機能低下してしまうという課題に着目して、為されたものである。そして、その解決しようとする課題は、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる赤外線遮蔽材料微粒子の耐候性劣化が抑制された、赤外線遮蔽材料微粒子を含む熱可塑性樹脂組成物や、それを用いて製造された熱線遮蔽成形体や熱線遮蔽積層体を提供することである。
上述したように、本発明者らは、赤外線遮蔽材料微粒子として複合タングステン酸化物微粒子を媒体に分散させた赤外線遮蔽材料微粒子分散体において、長期間にわたり紫外線を受けることによる、色調の変化、透過率の低下が起きるメカニズムを研究した。そして、赤外線遮蔽材料微粒子分散体に用いられている樹脂などの高分子媒体に紫外線が照射された際、紫外線エネルギーによって高分子鎖が切断されて活性な有害ラジカルが次々に発生し、これらの有害ラジカルが、複合タングステン酸化物微粒子に還元的に作用し、新たに5価のタングステンが増加することに伴い着色濃度が高くなると知見した。そして、有害ラジカルの活性を抑制するために、ヒンダードアミン系光安定剤や着色防止剤を添加することが有効であるとの知見を得た。
上述した知見を基礎として、本発明者等は、上述の課題解決を目的とし鋭意研究を行った結果、赤外線遮蔽材料微粒子分散体において、長期間にわたり紫外線を受けることによる、色調の変化、透過率の低下を抑制する為には、紫外線エネルギーへの対策だけではなく、太陽光を受けた際に赤外線遮蔽材料微粒子が発生する熱や、空気中の水分、酸素が当該赤外線遮蔽材料微粒子に与える影響までも考慮した上での、経時的な可視光透過率の低下、日射透過率の上昇など赤外線遮蔽材料自体の機能の低下を抑制する構成に想到した。
そして、赤外線遮蔽材料微粒子として複合タングステン酸化物微粒子(本発明において便宜の為、「(A)」という符号を付記する場合がある。)を含有し、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂(本明細書において便宜の為、「(C)」という符号を付記する場合がある。)を用いた樹脂組成物や、当該樹脂組成物を用いた熱線遮蔽成形体に、耐候性改良剤(本明細書において便宜の為、「(B)」という符号を付記する場合がある。)を所定量添加することにより、上記課題を解決できることを知見し、本発明に至った。
ここで、耐候性改良剤(B)の形態として、亜リン酸エステル化合物を含むもの(本明細書において便宜の為、「(B1)」という符号を付記する場合がある。)、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(本明細書において便宜の為、「(B2)」という符号を付記する場合がある。)、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(本明細書において便宜の為、「(B3)」という符号を付記する場合がある。)、のいずれかが好ましいことも知見した。
即ち、上述の課題を解決する為の、第1の発明は、
複合タングステン酸化物微粒子(A)と、耐候性改良剤(B)と、ポリカーボネート樹脂(C)とを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
前記複合タングステン酸化物微粒子(A)が、一般式MxWOy(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cu、Naから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子であり、
前記耐候性改良剤(B)が、亜リン酸エステル化合物を含むもの(B1)、
または、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B2)、
または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B3)、のいずれかであり、
前記耐候性改良剤(B)の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
第2の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子(A)の分散粒子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
第3の発明は、
前記亜リン酸エステル化合物の構造が、一般式(3)で示されることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。

[但し、一般式(3)中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示す。
は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、
Xは、単なる結合、硫黄原子または式(3−1)で示される2価の残基を示し、

(但し、式(3−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基を示す。)
Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(3−2)で示される2価の残基を示し、

(但し、式(3−2)中、Rは、単なる結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素原子側に結合していることを示す。)
Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子(A)を示す一般式MxWOyのM元素が、Cs、Rbから選ばれる1種以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
第5の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子(A)が、六方晶であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
第6の発明は、
第1〜第5の発明のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物と、ポリカーボネート樹脂(C)、または、ポリカーボネート樹脂(C)と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂との、溶融混練物の成形体であることを特徴とする熱線遮蔽成形体である。
第7の発明は、
第6の発明に記載の熱線遮蔽成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴とする熱線遮蔽積層体である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物においては、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子の耐候性劣化が抑制されており、当該ポリカーボネート樹脂組成物や、それを用いて製造された熱線遮蔽成形体や熱線遮蔽積層体は、優れた耐候性を発揮する。
本発明に係る六方晶を有する複合タングステン酸化物の結晶構造の模式図である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、複合タングステン酸化物微粒子(A)、ポリカーボネート樹脂(C)および耐候性改良剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物である。
さらに詳しくは、複合タングステン酸化物微粒子が、一般式MxWOy(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cu、Naから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子である。そして、耐候性改良剤が、亜リン酸エステル化合物を含むもの(B1)、または、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B2)、または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B3)、のいずれかであり、当該耐候性改良剤(B)の添加量が、上記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して、0.1〜20重量部であることを特徴としている。
以下、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物、それを用いた熱線遮蔽成形体および熱線遮蔽積層体について、(1)複合タングステン酸化物微粒子(A)、(2)耐候性改良剤(B)、(3)ポリカーボネート樹脂(C)、(4)熱線遮蔽成形体、(5)熱線遮蔽積層体、の順で詳細に説明する。
(1)複合タングステン酸化物微粒子(A)
(a)本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の組成、結晶構造
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子(A)は、熱線遮蔽効果を発現する成分であり、一般式MxWOy(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cu、Naから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子である。
なお、複合タングステン酸化物を示す一般式MxWOy中、Wはタングステン、Oは酸素を示している。また、上記式中のM元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cu、Naから選択される1種類以上の元素であることが好ましい。
複合タングステン酸化物は上述のように一般式MxWOyで示され、タングステン酸化物(WOy)に、M元素を添加した組成を有している。
複合タングステン酸化物の基となる材料であるタングステン酸化物(WOy)も赤外線吸収特性を有していることが知られている。そして、タングステン酸化物の場合、三酸化タングステン(WO)中には有効な自由電子が存在しないため近赤外領域の吸収反射特性が少ない。しかし、タングステン酸化物(WOy)のタングステンに対する酸素の比率であるyの値を3未満とすることによって、当該タングステン酸化物中に自由電子を生成し、効率の良い赤外線吸収性粒子とすることができる。ただし、WOの結晶相は可視領域の光について吸収や散乱を生じさせ、近赤外領域の光の吸収を低下させる場合がある。
このため、タングステン酸化物の粒子の場合、WOyで示される化学式中のyの値が、2.2≦y<3.0を満たすことにより、WOの結晶相が生じることを抑制し、効率のよい赤外線吸収性粒子とすることができる。
また、タングステン酸化物の粒子において、2.45≦y<3.0で表される組成比を有する、所謂「マグネリ相」は化学的に安定であり、近赤外領域の光の吸収特性も良いので、赤外線吸収性粒子としてより好ましく用いることができる。
そして、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物およびそれを用いた熱線遮蔽成形体並びに熱線遮蔽積層体で使用する複合タングステン酸化物微粒子の場合、上記タングステン酸化物にM元素を添加することにより、当該複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、近赤外領域に自由電子由来のより強い吸収特性が発現する。このため、近赤外線を吸収する赤外線吸収性材料として特に高い特性を示す。
本発明に用いる複合タングステン酸化物については、上記タングステン酸化物の特性で説明した酸素量の制御と、自由電子を生成するM元素の添加とを併用することで、より効率の良い赤外線吸収性材料とすることができる。酸素量の制御と、自由電子を生成するM元素の添加とを併用した場合、複合タングステン酸化物を示す一般式MxWOyにおいて、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0の関係を満たすことが好ましい。
ここで、上記複合タングステン酸化物の化学式中のM元素の添加量を示すxの値について説明する。xの値が0.1以上の場合、十分な量の自由電子が生成され、目的とする赤外線吸収効果を得ることができるため好ましい。そして、M元素の添加量が多いほど自由電子の供給量が増加し、赤外線吸収効率も上昇するが、xの値が0.5程度で当該効果は飽和する。また、xの値が0.5以下であれば、当該赤外線吸収性材料中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
次に、酸素量の制御を示すyの値について説明する。yの値については、一般式MxWOyで表記される赤外線吸収性材料においても、上記タングステン酸化物(WO)と同様の機構が働くことに加え、y=3.0においても上述したM元素の添加量による自由電子の供給があるため、2.2≦y≦3.0が好ましい。特にタングステン酸化物について説明上記したように、より化学的に安定となることから2.45≦y≦3.0がより好ましい。
複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物の結晶構造は、特に限定されるものではなく、任意の結晶構造の複合タングステン酸化物を含有することができる。ただし、複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物が六方晶の結晶構造を有する場合、当該粒子の可視領域の光の透過率、および近赤外領域の光の吸収が特に向上するため好ましい。
前記六方晶複合タングステン酸化物の結晶構造の模式的な平面図を、図1に示す。図1において、符号11で示されるWO単位により形成される8面体が、6個集合して六角形の空隙(トンネル)が構成されている。そして、当該空隙中に、符号12で示されるM元素が配置されて1個の単位を構成し、この1個の単位が多数集合して六方晶の結晶構造を構成する。
上記のように六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子を含有する場合、可視領域の光の透過率および近赤外領域の光の吸収を特に向上できる。なお、複合タングステン酸化物微粒子全体が図1に示した構造を有する結晶質の複合タングステン酸化物粒子により構成されている必要はなく、例えば局所的に上記構造を有する場合でも可視領域の光の透過率および近赤外領域の光の吸収を向上する効果を得ることができる。
そして、複合タングステン酸化物のM元素として、イオン半径の大きなM元素を添加したときに上述した六方晶が形成され易い。具体的にはM元素として、例えばCs、Rb、K、Tlのうちの1種類以上を添加したとき六方晶が形成され易い。このため、M元素はCs、Rb、K、Tlのうちの1種類以上を含むことが好ましく、M元素はCs、Rb、Kのうちの1種類以上であることがより好ましい。なお、六方晶が形成されるためには、これら以外の元素でもWO単位で形成される六角形の空隙にM元素が存在すれば良く、M元素として上記元素を添加した場合に限定される訳ではない。
複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物の結晶構造を、均一な六方晶とする場合、M元素の添加量を示すxの値が0.20≦x≦0.50を満たすことがより好ましく、0.25≦x≦0.40を満たすことがさらに好ましい。yについては既述のように、2.2≦y≦3.0とすることが好ましい。なお、y=3.0の時、xの値が0.33となることで、M元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。典型的な例としてはCs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Tl0.33WOなどを挙げることができるが、x、yが上記の範囲に収まるものであれば、有用な近赤外線吸収特性を得ることができる。
また、複合タングステン酸化物微粒子に含まれる複合タングステン酸化物は、上記六方晶以外に、正方晶、立方晶のタングステンブロンズの構造をとることもでき、上記結晶構造の複合タングステン酸化物も赤外線吸収性材料として有効である。すなわち、熱線遮蔽膜に添加する複合タングステン酸化物粒子に含まれる材料として好適に用いることができる。複合タングステン酸化物はその結晶構造によって、近赤外領域の吸収位置が変化する傾向がある。例えば、近赤外領域の吸収位置は、立方晶よりも正方晶のときの方が長波長側に移動し、さらに六方晶のときは正方晶のときよりも長波長側に移動する傾向がある。また、当該吸収位置の変動に付随して、可視領域の光の吸収は六方晶が最も少なく、次に正方晶であり、立方晶はこれらの中では可視領域の光の吸収が最も大きい。よって、可視領域の光の透過率が高く、近赤外領域の光の吸収率が高いことが特に求められる場合には、六方晶のタングステンブロンズを用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加したM元素の種類や、添加量、酸素量によっても変化する。このため、本発明に係る熱線遮蔽膜に用いる赤外線吸収性粒子の材料が六方晶の材料に限定されるわけではない。したがって、上記した他の結晶構造の複合タングステン酸化物を同時に含んでいてもよい。また、可視光領域における光の透過特性を向上させ、近赤外線領域における光の吸収特性を向上させる効果を得るためには、複合タングステン酸化物微粒子中に、図1で説明した単位構造(WO単位で形成される8面体が6個集合して六角形の空隙が構成され、当該空隙中にM元素が配置された構造)が含まれていれば良く、当該複合タングステン酸化物微粒子が、結晶質であっても非晶質であっても構わない。
ただし、上述のように六方晶の複合タングステン酸化物の粒子は可視光の透過率と、近赤外の光の吸収を高めることができる。このため、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物およびそれを用いた熱線遮蔽成形体並びに熱線遮蔽積層体に含まれる複合タングステン酸化物微粒子の複合タングステン酸化物は、結晶系が六方晶であることが好ましい。
また、M元素として例えばCsおよび/またはRbを用いた場合、上述のように複合タングステン酸化物の結晶構造が六方晶となり易い。さらに、可視領域の光の透過率が高く、赤外領域、特に近赤外領域の光の透過率が低くなるため、可視領域の光の透過率と、赤外領域の光の透過率とのコントラストが大きくなる。このため、複合タングステン酸化物を示す一般式MxWOyのM元素がCsおよび/またはRbであることがさらに好ましい。特にM元素がCsを含む場合、当該複合タングステン酸化物の耐候性がより高くなることから、M元素はCsを含むことが特に好ましい。
(b)本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径
粒子による光の散乱を低減することを重視するのであれば、本発明に用いる複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下がよい。その理由は、分散粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長400nm〜780nmの可視光線領域における光の散乱が低減されるからである。当該光の散乱が低減される結果、熱線遮蔽膜が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できる。即ち、分散粒子の分散粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になるからである。当該レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し、透明性が向上するからである。さらに、分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましく、分散粒子径が1nm以上であれば工業的な製造は容易である。なお、本発明において、微粒子の分散粒子径とは、媒体中に分散している微粒子が凝集して生成した凝集粒子の径を意味するものであり、市販されている種々の粒度分布計で測定することができる。例えば、微粒子分散液から微粒子の単体や凝集体が存在する状態のサンプルを採取し、当該サンプルを、動的光散乱法を原理とした粒度分布計を用いて測定し求めることができる。
(c)本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の効果
本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子は、赤外線吸収特性を有している。この結果、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物、それを用いた熱線遮蔽成形体および熱線遮蔽積層体は、当該複合タングステン酸化物微粒子を含有することにより、赤外領域、特に近赤外領域の光の透過を抑制することができ、熱線遮蔽能を発揮することができる。
また、本発明に係る複合タングステン酸化物微粒子の可視領域における光の吸光係数が、近赤外領域の吸光係数と比較して非常に小さいため、近赤外領域の光の透過を十分に抑制したときでも、可視領域の光に対して高い透過性を保つことができる。
(2)耐候性改良剤(B)
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物に用いる耐候性改良剤(B)は、
亜リン酸エステル化合物を含むもの(B1)、
亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B2)、
ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B3)、という3つの構成(添加形態と記す場合がある)のいずれかであることが好ましい。
前記耐候性改良剤(B)の添加量は、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることが好ましい。
前記耐候性改良剤(B)の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して0.1重量部以上であれば、所望の耐候性改良効果を得ることができ好ましい。一方、当該添加量が20重量部以下であれば、成形体の機械的強度の低下が懸念されず好ましい。
即ち、前記所定量の耐候性改良剤(B)を、上述したポリカーボネート樹脂組成物の構成とすることにより、紫外線エネルギーだけでなく、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化が抑制される。この結果、耐候性に優れたポリカーボネート樹脂組成物や、当該ポリカーボネート樹脂組成物を用いて製造された耐候性に優れた熱線遮蔽成形体、および、熱線遮蔽積層体を得ることができるのである。
以上の構成を採ることで、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、従来から検討されていた紫外線エネルギーによる影響を抑制できるだけでなく、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化を抑制する効果を増強でき、それを用いて製造された、耐候性に優れた熱線遮蔽成形体、および、熱線遮蔽積層体を得ることができたものである。
尤も、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物は、ポリカーボネート樹脂の特性改善を目的として用いることが提案されている。
具体的には、ポリカーボネート樹脂の加工時や重合時における熱分解による色相や物性の低下を抑制する為に、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト等のリン系安定剤を、ポリカーボネートに含有させる方法が、特許文献11,12に提案されている。
ところが、当該リン系安定剤をポリカーボネート樹脂に含有させると、時間の経過と伴にポリカーボネート組成物が白濁するという問題があった。
この問題に関して、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物を配合することで、著しく優れた耐白濁性が得られるのみならず、優れた耐熱分解性、長期安定性を示すことが特許文献13に提案されている。
しかしながら、前記特許文献13に記載されているのは、芳香族ポリカーボネート樹脂に、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物や、従来用いられてきたリン系安定剤を加え、二軸押出機を用い300℃で溶融混練してペレット化したポリカーボネート組成物が示した、加工安定性の結果、色相変化評価よる長期安定性の結果、白濁の経時変化評価による耐白濁性評価の結果である。
つまり、特許文献11〜13に記載されている亜リン酸エステル化合物やリン系安定剤の使用目的は、ポリカーボネート樹脂の重合時、混練時および成形時といった、比較的短時間、且つ、大量の熱や力学的な力が加わる工程における、当該ポリカーボネート樹脂の安定性、特に光学的安定性の担保である。
一方、本発明は、複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物が、長い時間をかけて太陽光線や空気中の湿度等の影響を受け、含まれている複合タングステン酸化物微粒子の光学的特性が劣化していくことを抑制して、耐候性を向上させるものである。ところが、本発明と目的が異なる特許文献11〜13においては、当該複合タングステン酸化物微粒子の耐候性を向上させることに係る亜リン酸エステル化合物やリン系安定剤の使用と、その効果とについては、記載も示唆もないものであった。
即ち、本発明者らは独自の研究により、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物が、複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性を向上させるという効果を、初めて知見したものである。
以下に、耐候性改良剤(B)において用いられる、a)亜リン酸エステル化合物、b)ヒンダードフェノール系安定剤、c)リン酸系安定剤、d)硫黄系安定剤、の各々について、具体例を挙げて説明する。
a)亜リン酸エステル化合物
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物に用いる亜リン酸エステル化合物(添加形態B1、または、B2)は、一般式(3)で示される化合物である。

一般式(3)中において、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示す。
は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。
Xは、単なる結合、硫黄原子または式(3−1)で示される2価の残基を示す。

(式(3−1)中において、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基を示す。)
Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(3−2)で示される2価の残基を示す。

(式(3−2)中において、Rは単なる結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は酸素原子側に結合していることを示す。)
Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。
ここで、(i)R、R、R及びR、(ii)R、(iii)X、(iv)A、(v)Y、Z、(vi)まとめ、について、以下さらに詳細に説明する。
(i)R、R、R及びR
上記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物において、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示す。
前記炭素数1〜8のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
前記炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基などが挙げられる。 前記炭素数5〜12のアルキルシクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロペンチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘキシル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、メチルエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)、ジエチルシクロヘプチル基(全ての構造異性体を含む。)等が挙げられる。
前記炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基などが挙げられる。
前記炭素数7〜12のフェニル基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基などが挙げられる。
ここで、R、R、Rは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基などであることが好ましい。そして、R、Rはt−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などのt−アルキル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基などであることがさらに好ましい。
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などであることがさらに好ましい。
は、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
(ii)R
は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示すが、炭素数1〜8のアルキル基としては、R、R、R、Rにおいて上述したのと同様の炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。Rは、水素原子または、Rにおいて上記したと同様の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基などであることがさらに好ましい。
(iii)X
Xは、単なる結合、硫黄原子または式(3−1)で示される2価の残基を示す。


(式中、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基を示す。)
式(3−1)で示される2価の残基において、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基を示すが、ここで炭素数1〜8のアルキル基および炭素数5〜12のシクロアルキル基としては、(i)R、R、RおよびRにおいて上述したものと同様のアルキル基およびシクロアルキル基がそれぞれ例示される。
その中でも、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
Xは、単なる結合、メチレン基またはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル等が置換したメチレン基であることが好ましく、単なる結合であることがさらに好ましい。
(iv)A
Aは、炭素数2〜8のアルキレン基、または、式(3−2)で示される2価の残基を示す。
炭素数2〜8のアルキレン基の具体例としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられ、プロピレン基であることがさらに好ましい。
式(3−2)で示される2価の残基は、酸素原子とベンゼン核とに結合しているが、*は酸素原子と結合していることを示している。

(式中、Rは、単なる結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素原子側に結合していることを示す。)
は、単なる結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示すが、ここで炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。特に、Rとしては、単なる結合、エチレン基などであることが好ましい。
(v)Y、Z
Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、(i)R、R、RおよびRにおいて説明したものと同様のアルキル基が、好ましく挙げられる。
炭素数1〜8のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、t−ペントキシ基、i−オクトキシ基、t−オクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基などが、好ましく挙げられる。
炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えばベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α、α−ジメチルベンジルオキシ基などが、好ましく挙げられる。
Y、Zは、例えば、Yがヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基であり、Zが水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であってもよいし、Zがヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基であり、Yが水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であってもよい。
(vi)まとめ
前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物の中でも、RおよびRがt−アルキル基、シクロヘキシルまたは1−メチルシクロヘキシル基であり、Rが炭素数1〜5のアルキル基であり、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rが水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Xが単なる結合であり、Aが炭素数2〜8のアルキレン基であることが、特に好ましい。
前記亜リン酸エステル化合物として、より具体的には、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン〔「スミライザー(登録商標)GP」(住友化学株式会社製)として市販されている。〕、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ペンチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾイルオキシ]−12−メチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジメチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,10−ジエチル−4,8−ジ−t−ブチル−6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[2,2−ジメチル−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなどが、好ましく挙げられる。
前記亜リン酸エステル化合物(添加形態B1、または、B2)としては、市販品を使用することもできる。例えば、上述した、商品名スミライザー(登録商標)GP(住友化学株式会社製)等が、好ましく挙げられる。
b)ヒンダードフェノール系安定剤
本発明に係る、複合タングステン酸化物微粒子、ポリカーボネート樹脂、および、耐候性改良剤を含むポリカーボネート樹脂組成物においては、当該耐候性改良剤として、上述した亜リン酸エステル化合物とヒンダードフェノール系安定剤とを含むもの(添加形態B2)、または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(添加形態B3)、を用いる構成も好ましい。
当該構成を採ることにより、上述した太陽光線を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化が抑制される効果に加えて、太陽光線中の紫外線エネルギーによるポリカーボネート樹脂の劣化も抑制された、ポリカーボネート樹脂組成物やそれを用いた熱線遮蔽成形体を得ることができるからである。
ヒンダードフェノール系安定剤は、従来、ポリカーボネート樹脂の重合反応終了後、樹脂の溶融安定性を良好なものとするため酸化防止剤として提案され(特許文献14参照)、ポリカーボネート樹脂製造に際し、着色防止を目的としてヒンダードフェノール系酸化防止剤として加えることが、特許文献15に提案されている。
しかしながら、前記ヒンダードフェノール系安定剤が、複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化を抑制する効果を増強させる目的と、その効果については、特許文献15には記載も示唆もないものであった。
本発明で用いる上記耐候性改良剤(B)として、上記亜リン酸エステル化合物とヒンダードフェノール系安定剤とを含むもの(添加形態B2)、または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(添加形態B3)、を用いる場合、ヒンダードフェノール系安定剤の例としては、フェノール性OH基のo−位に、tert−ブチル基等の嵩高い基が導入された化合物であることが好ましい。
そして、低分子型のヒンダードフェノール系安定剤の好適な例としては、2,6−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−フェノール、2,4−ジ−メチル−6−第3ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等が挙げられる。
また、高分子型のヒンダードフェノール系安定剤の好適な例としては、上記ヒンダードフェノール系着色防止剤を側鎖に持つビニル、アクリル、メタクリル、スチリル等のモノマーの重合体や、上記ヒンダードフェノール系着色防止剤の構造が主鎖に組み込まれた重合体等が挙げられる。
尚、前記低分子型のヒンダードフェノール系安定剤よりも、前記高分子型のヒンダードフェノール系安定剤の方が好ましい場合がある。また、前記高分子型の化合物を用いる場合には、当該化合物にさらに架橋構造を導入しても良い。
ヒンダードフェノール系安定剤は、主として連鎖禁止機能(すなわち、当該安定剤中のフェノール性OH基がラジカルを捕捉して、ラジカルによる連鎖反応を抑制する機能)を有していると考えられる。
これに対して、本発明においては、耐候性改良剤(B)として、前記亜リン酸エステル化合物とヒンダードフェノール系安定剤とを含むもの(添加形態B2)、または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(添加形態B3)、とすることにより、従来検討されていた紫外線エネルギーに対してだけでなく、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化を抑制する効果を増強することができる。尤も、前記耐候性改良剤による作用効果や過程には未解明な点も多く、いまだ詳細を説明できていない。
c)リン酸系安定剤
本発明に係る、複合タングステン酸化物微粒子(A)、ポリカーボネート樹脂(C)、および、耐候性改良剤を含むポリカーボネート樹脂組成物においては、当該耐候性改良剤(B)として、上述した亜リン酸エステル化合物とリン酸系安定剤とを含むもの(添加形態B2)、または、上述したヒンダードフェノール系安定剤とリン酸系安定剤とを含むもの(添加形態B3)も好ましい。
当該構成を採ることによっても、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物や、上述したヒンダードフェノール系安定剤が、複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物において達成したのと同様に、耐候性劣化を抑制する効果を増強させるという効果を得ることが出来るからである。
当該リン酸系安定剤の例としては、リン系着色防止剤が挙げられる。さらには、リン系官能基を備えた化合物が挙げられる。ここで、リン系官能基には、3価のリンを含む官能基と、5価のリンを含む官能基とがあるが、本実施の形態における「リン系官能基」はいずれであっても良い。次式(1)で3価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤、式(2)で5価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系着色防止剤の一般式を示す。
ここで、式(1)および式(2)において、x、y、zは、0または1の値をとる。また、R、RおよびRは、一般式CmHnで表される直鎖、環状、もしくは分岐構造のある炭化水素基、または、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、または、水素原子である。さらに、yまたはzの値が1の場合には、RまたはRは金属原子でもよい。
また、「リン系官能基」とは、式(1)および式(2)において、Rを除いた部分(即ち、一般式−Ox−P(OyR)(OzR)、または、一般式−Ox−P(O)(OyR)(OzR)で標記されるもの。)をいう。当該リン系官能基の具体例としては、ホスホン酸基(−P(O)(OH))、リン酸基(−O−P(O)(OH))、ホスホン酸エステル基(−P(O)(OR)(OR))、リン酸エステル基(−O−P(O)(OR)(OR))、ホスフィン基(−P(R)(R))等が挙げられる。
上述したリン系官能基のうち、ホスホン酸基、リン酸基、ホスホン酸エステル基およびリン酸エステル基等の5価のリンを含有する官能基は、主として連鎖開始阻害機能(即ち、隣接するリン系官能基によって金属イオンをキレート的に捕捉する機能)を有していると考えられる。一方、ホスフィン基等の3価のリンを含有するリン系官能基は、主として過酸化物分解機能(即ち、P原子が自ら酸化することによって、過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられる。
そして、これらのリン系官能基の中でも、ホスホン酸基を備えたホスホン酸系着色防止剤は、金属イオンを効率よく捕捉でき、耐加水分解性などの安定性にも優れるので、着色防止剤として、特に好適であると考えられる。
本発明に係る耐候性改良剤(B)として、上述した亜リン酸エステル化合物に加えて併用するリン酸系安定剤、上述したヒンダードフェノール系安定剤に加えて併用するリン酸系安定剤として、低分子型のリン系着色防止剤が挙げられる。そして当該低分子型のリン系着色防止剤の好適な具体例として、リン酸(HPO)、トリフェニルフォスファイト((CO)P)、トリオクタデシルフォスファイト((C1827O)P)、トリデシルフォスファイト((C1021O)P)、トリラウリルトリチオフォスファイト([CH(CH11S]P)等が挙げられる。
また、上述した亜リン酸エステル化合物に加えて併用するリン酸系安定剤、上述したヒンダードフェノール系安定剤に加えて併用するリン酸系安定剤として、高分子型のリン系着色防止剤が挙げられる。そして当該高分子型のリン系着色防止剤の好適な具体例として、ポリビニルホスホン酸、ポリスチレンホスホン酸、ビニル系リン酸(例えば、アクリルリン酸エステル(CH=CHCOOPO(OH))、ビニルアルキルリン酸エステル(CH=CHR−O−PO(OH)、Rは、−(CH)n−)などの重合体)、ホスホン酸基を導入したポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルエーテルケトン樹脂、直鎖型フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、直鎖型ポリスチレン樹脂、架橋型ポリスチレン樹脂、直鎖型ポリ(トリフルオロスチレン)樹脂、架橋型(トリフルオロスチレン)樹脂、ポリ(2,3−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリレンエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン−グラフト−ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリスチレン−グラフト−テトラフルオロエチレン樹脂等が挙げられる。
本発明においては、耐候性改良剤として、前記亜リン酸エステル化合物にリン酸系安定剤を加えて併用すること(添加形態B2)によっても、前記ヒンダードフェノール系安定剤にリン酸系安定剤を加えて併用すること(添加形態B3)によっても、従来検討されていた紫外線エネルギーに対してだけでなく、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化を抑制する効果を増強することができる。尤も、前記耐候性改良剤による作用効果や過程は、未解明な点も多く、いまだ詳細を説明できていない。
d)硫黄系安定剤
本発明に係る、複合タングステン酸化物微粒子(A)、ポリカーボネート樹脂(C)、および、耐候性改良剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物においては、当該耐候性改良剤(B)として、上述した亜リン酸エステル化合物と硫黄系安定剤とを含むもの(添加形態B2)、あるいは、上述したヒンダードフェノール系安定剤と硫黄系安定剤とを含むもの(添加形態B3)も好ましい。
当該構成を採ることによっても、前記一般式(3)で示される亜リン酸エステル化合物が、または、上述したヒンダードフェノール系安定剤が、複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物において達成したのと同様に、耐候性劣化を抑制する効果を増強させるという効果を得ることが出来るからである。
硫黄系安定剤の例としては、分子内に2価の硫黄を有する化合物がある。当該硫黄系安定剤は、主として過酸化物分解機能(すなわち、S原子が自ら酸化することによって過酸化物を安定な化合物に分解する機能)を有していると考えられる。
低分子型の硫黄系安定剤の好適な例としては、ジラウリルチオジプロピオネート(S(CHCHCOOC1225)、ジステアリルチオジプロピオネート(S(CHCHCOOC1837)、ラウリルステアリルチオジプロピオネート(S(CHCHCOOC1837)(CHCHCOOC1225))、ジミリスチルチオジプロピオネート(S(CHCHCOOC1429)、ジステアリルβ、β’−チオジブチレート(S(CH(CH)CHCOOC1839)、2−メルカプトベンゾイミダゾール(CNHNCSH)、ジラウリルサルファイド(S(C1225)等が挙げられる。
これらの硫黄系安定剤は、主として過酸化物分解機能を有していると考えられ、着色防止剤として特に好適であると考えられる。
本発明においては、耐候性改良剤(B)として、前記亜リン酸エステル化合物と硫黄系安定剤とを含むもの(添加形態B2)によっても、前記ヒンダードフェノール系安定剤と硫黄系安定剤とを含むもの(添加形態B3)によっても、従来検討されていた紫外線エネルギーに対してだけでなく、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けて起こる複合タングステン酸化物微粒子を含むポリカーボネート樹脂組成物の耐候性劣化を抑制する効果を増強することができる。尤も、前記耐候性改良剤による作用効果や過程は、未解明な点も多く、いまだ詳細を説明できていない。
(3)ポリカーボネート樹脂(C)
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(C)は、この分野で使用されているポリカーボネート樹脂であれば特に制限されないが、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて製造されるものである。
当該製造反応の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
前記ポリカーボネート樹脂(C)の製造で使用される二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンなどが挙げられる。好ましい二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、等があり、なかでも耐衝撃性の観点から、ビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用される。具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
ここで、ポリカーボネート樹脂(C)の製造方法について、(a)界面重合法、(b)溶融エステル交換法を例として簡単に説明し、得られる(c)ポリカーボネート樹脂の性状について説明する。
(a)界面重合法
前記二価フェノールとカーボネート前駆体とを、界面重合法によって重合してポリカーボネート樹脂(C)を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤などを使用してもよい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物に用いるポリカーボネート樹脂(C)には、三官能基以上を有する多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂、芳香族または脂肪族(脂環族を含む)の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂、二官能性アルコール(シクロアルキルを含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂、並びに当該二官能性カルボン酸および二官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネート樹脂を含む。また、製造された2種以上のポリカーボネート樹脂を混合した混合物であってもよい。
三官能基以上を有する多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキジフェニル)ヘプテン−2、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が、好ましく使用できる。
分岐ポリカーボネートを生ずる多官能性化合物を含む場合、その量は、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、当該分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。尚、当該割合については、プロトンNMRによる測定により算出することが可能である。
脂肪族の二官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の二官能性のカルボン酸としては例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸などの直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。二官能性アルコールとしては脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、およびトリシクロデカンジメタノールなどが例示される。
さらにポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
界面重合法による反応は、通常二価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、ピリジン等を、用いることが出来る。
有機溶媒としては例えば、塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素等を、用いることが出来る。
また、反応促進のために例えば、第三級アミンや第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることができ、分子量調節剤として、例えば、フェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールなどの単官能性フェノール類を用いるのが好ましい。
さらに単官能性フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。これらの比較的長鎖のアルキル基を有する単官能性フェノール類は、流動性や耐加水分解性の向上が求められる場合に有効である。
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ましい。
(b)溶融エステル交換法
溶融エステル交換法による反応は、通常二価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応後期には系を10〜0.1Torr程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
カーボネートエステルとしては、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜4のアルキル基などのエステルが挙げられる。具体的にはジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m―クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができ、かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、二価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、アルミニウム化合物類、珪素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、オスミウム化合物類、アンチモン化合物類マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類などの通常エステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の二価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10−8〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−7〜5×10−4当量の範囲で選ばれる。
また、かかる重合反応において、フェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えばビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ブロモフェニル)カーボネート、ビス(ニトロフェニル)カーボネート、ビス(フェニルフェニル)カーボネート、クロロフェニルフェニルカーボネート、ブロモフェニルフェニルカーボネート、ニトロフェニルフェニルカーボネート、フェニルフェニルカーボネート、メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよびエトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることが好ましい。中でも、2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートおよび、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく、特に、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネートが好ましく使用される。
(c)ポリカーボネート樹脂の性状
ポリカーボネート樹脂(C)の粘度平均分子量は、14,000〜100,000であり、20,000〜30,000が好ましく、22,000〜28,000がより好ましく、23,000〜26,000がさらに好ましい。
上記の好適な範囲においてはハードコート剤に対する耐性が十分な分子量において、本発明に係る樹脂組成物は樹脂流動の乱れにより生じる成形品の不均一な陰影が低減可能であり、ハードコート層を有する良好なポリカーボネート樹脂成形体の形成を可能とする。さらにより好ましい範囲においては、耐衝撃性と成形加工性との両立に優れる。尚、上記ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が上記範囲外のものを混合して得られたものであってもよい。
ポリカーボネート樹脂(C)の粘度平均分子量(M)の求め方について説明する。
まず、数式(4)にて算出される比粘度(ηsp)の値を、20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求める。
ηsp=(t−t)/t 数式(4)
(tは塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数)

求められた比粘度(ηsp)の値を数式(5)に挿入して求めたものである。

ηsp/c=[η]+0.45×[η]c 数式(5)
(但し、[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−40.83
c=0.7g/dl
(4)ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、複合タングステン酸化物微粒子(A)、ポリカーボネート樹脂(C)および耐候性改良剤(B)を含んでおり、上記ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法には、特に制限はなく、例えば、
a)ポリカーボネート樹脂(C)の重合反応の途中または重合反応終了時に、複合タングステン酸化物微粒子(A)と耐候性改良剤(B)を混合する方法、
b)ポリカーボネート樹脂(C)混練途中等、ポリカーボネート樹脂(C)が溶融した状態で、複合タングステン酸化物微粒子(A)と耐候性改良剤(B)を混合する方法、
c)ポリカーボネート樹脂(C)がペレット等固体状態となっているものに、複合タングステン酸化物微粒子(A)と耐候性改良剤(B)を混合後、押出機等で溶融・混練する方法等が挙げられる。
本発明に係る上記複合タングステン酸化物微粒子(A)成分は、それ自体単独でポリカーボネート樹脂(C)中に配合することもできるが、樹脂中の分散性を良好にするため、各種表面処理剤や界面活性剤で表面処理され、当該剤との混合物の状態でポリカーボネート樹脂(C)中に配合されてもよい。
また、複合タングステン酸化物微粒子(A)成分は、ポリカーボネート樹脂(C)100重量部当たり0.0001〜0.1重量部のSi、Zr、TiおよびAlの群から選択される少なくとも1種または2種以上の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物(以下A’成分と記す場合がある)を含有することが好ましい。複合タングステン酸化物微粒子(A)成分は、上記A’成分との混合物の状態でポリカーボネート樹脂(C)中に配合される。当該混合は、水または有機溶媒中で行われること、特にアルコール中で行われることが好ましい。当該混合液中にpH調整のための酸またはアルカリ、界面活性剤、およびカップリング剤などが添加されてもよい。当該混合においては、ビーズミル、ボールミル、およびサンドミルなどの各種ミルや、超音波混合機などが利用できる。上記混合に用いる樹脂バインダーには熱硬化性樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂はポリカーボネート樹脂との相容性に優れ、透明性に対する悪影響が少なく、ポリカーボネート樹脂に対する攻撃性も少ないためである。
(5)熱線遮蔽成形体
本発明に係る熱線遮蔽成形体は、上記複合タングステン酸化物微粒子(A)、上記ポリカーボネート樹脂(C)および上記耐候性改良剤(B)を含むポリカーボネート樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂(C)、または、ポリカーボネート樹脂(C)と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂により希釈・溶融混練され、その後、所定の形状に成形されてなる成形体である。
上記熱線遮蔽成形体の成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、または、回転成形等の方法を用いることができる。特に、射出成形、押出成形によれば効率的に所望の形状に成形できるので好ましい。
以下、(a)押出成形、(b)射出成形について簡単に説明する。
(a)押出成形
押出成形法により板状(シート状)、フィルム状の成形体を得る方法としては、Tダイなどの押出機を用いて押し出した溶融アクリル樹脂を冷却ロールで冷却しながら引き取る方法が採用される。成形温度は、使用するポリカーボネート樹脂成形材料の組成等によって異なるが、十分な流動性が得られるように樹脂の融点或いはガラス転移温度より50〜150℃高い温度に加温する。例えば、200℃以上、好ましくは240℃〜330℃とする。200℃以上であれば、高分子特有の粘度を低下させることができ、複合タングステン酸化物微粒子(A)をポリカーボネート樹脂(C)中に均一に分散させることができ好ましい。350℃よりも低ければ、ポリカーボネート樹脂(C)が分解し劣化することがなく、好ましい。
(b)射出成形
射出成形法により本発明に係る成形体を得る方法としては、通常の射出成形法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、および超高速射出成形なども利用することができる。中でも射出プレス成形は下記の理由などから好適である。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
本発明において射出プレス成形とは、少なくともその供給完了時において目的とする成形品容量よりも大なる容量の金型キャビティ内に、溶融した熱可塑性樹脂を供給し、その供給完了後に金型キャビティ容量を目的とする成形品容量まで減少し、金型キャビティ内の成形品をその取り出しが可能な温度以下まで冷却後、成形品を取り出す成形方法である。尚、金型キャビティ容量の減少開始は、樹脂の供給完了前後のいずれであってもよいが、当該供給完了前の開始が好ましい。すなわちキャビティ容量を減少する工程と樹脂の充填工程がオーバーラップする態様が好ましい。
射出プレス成形においては、高圧で樹脂の充填を行う必要が低減されるため、成形品中の歪みが低減する。歪みの低減はハードコート剤に対する成形品の耐性を向上させる。耐性が向上することにより密着性の高いハードコート剤の適用が可能となる。さらに低圧下での樹脂流入は、不規則な樹脂流動の生ずる確率を低減させ、不規則な樹脂流動に伴う成形品の不均一な陰影も低減されやすくなる。
成形品表面の歪みの低減の観点からは、断熱金型成形および急速加熱冷却金型成形(ハロゲンランプ照射、誘導加熱、熱媒体の高速切り替え、および超音波金型、等)も組み合わせることが好適である。
また射出プレス成形は通常知られているように、極めて低い圧力での成形が可能であるため、射出成形機の型締め圧力のレベルを大幅に低減することが可能である。これは殊に大型の成形品であって、その流動長の長い成形品において製品の品質の向上と共に、設備コストを低減することができる。
別の視点から見ると、射出プレス成形は成形温度の低減が可能な成形法である。したがって当該成形法は大型の成形品においてもその熱負荷を低くし、結果として良好な成形体の提供を可能にする。
上記の射出プレス成形、殊に大型成形品の射出プレス成形においては、その中間型締め状態および中間型締め状態から最終型締め状態までの間の金型間の平行度の維持が重要である。金型間の平行度の維持は、金型内の樹脂に対するより均一な圧力の負荷を達成する。これにより樹脂に負荷する圧力は全体として低い圧力を達成し、より歪みの少ない成形品の提供を可能とする。
上記の金型間の平行度の維持方法としては、(i)金型取り付け板を複数箇所、好ましくは角部4箇所の型締め機構で金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法、並びに(ii)金型取り付け板(金型取り付け面)に対し複数箇所、好ましくは角部4箇所に対して矯正力を付与することにより金型間の平行度を調整しながら金型間の平行度を維持する方法が好適に例示される。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂組成物は、大型の射出成形品においても成形品の歪みが低減され、大型の射出成形品に好適である。
(6)熱線遮蔽積層体
本発明に係る熱線遮蔽積層体は、上記熱線遮蔽成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴としている。上記熱線遮蔽積層体は、それ自体で建築物の屋根材、壁材、自動車、電車、航空機などの開口部に使用される窓材、アーケード、天井ドーム、カーポート等に使用することができる。
また、他の透明成形体として、無機ガラス、樹脂ガラス、樹脂フィルムなどを用いて、当該透明成形体に任意の方法で本発明に係る熱線遮蔽成形体を積層し、一体化した透明な熱線遮蔽積層体として、構造材に使用することもできる。例えば、予めフィルム状に成形したポリカーボネート樹脂熱線遮蔽成形体を無機ガラスに熱ラミネート法により積層一体化することで、熱線遮蔽機能、飛散防止機能を有する熱線遮蔽積層体を得ることができる。
また、熱ラミネート法、共押出法、プレス成形法、射出成形法等により、熱線遮蔽成形体の成形と同時に他の透明成形体に積層一体化することで、熱線遮蔽積層体を得ることも可能である。上記熱線遮蔽積層体は、相互の成形体の持つ利点を有効に発揮させつつ、相互の欠点を補完することで、より有用な構造材として使用することができる。
以下、本発明について実施例を参照しながらさらに詳細に説明する。尚、本発明は以下の実施例により何ら制限されることはない。
[原料]
本実施例において使用する原料について、(1)複合タングステン酸化物微粒子(A)、(2)耐候性改良剤(B)、(3)ポリカーボネート樹脂(C)の順に説明する。
(1)複合タングステン酸化物微粒子(A)
複合タングステン酸化物微粒子として、Cs0.33WO微粒子分散物(Cs0.33WO微粒子含量20質量%)(住友金属鉱山(株)製)を用いた。
(2)耐候性改良剤(B)
亜リン酸エステル化合物として、6−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−tert―ブチルジベンジル[d,f][1,3,2]ジオキシホスフェピン (住友化学株式会社製:スミライザー(登録商標)GP(本実施例において、耐候性改良剤「Ba」と記載する。))を用いた。
ヒンダードフェノール系安定剤として、ペンタエリスリト−ルテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート (BASF社製、商品名イルガノックス(登録商標)1010(本実施例において、耐候性改良剤「Bb」と記載する。))を用いた。
リン酸系安定剤として、トリス(2,4−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(株式会社ADEKA製、商品名アデカスタブ(登録商標)AS2112(本実施例において、耐候性改良剤「Bc」と記載する。))を用いた。
硫黄系安定剤として、ジミリスチル(3,3’−チオジプロピオネート)、(住友化学株式会社製、商品名スミライザー(登録商標)TPM(本実施例において、耐候性改良剤「Bd」と記載する。))を用いた。
(3)ポリカーボネート樹脂(C)
ポリカーボネート樹脂として、ポリカーボネート樹脂ペレット、(Bayer社製、商品名マクロロン(登録商標)AL2647)を用いた。
[評価方法]
本実施例において得られた熱線遮蔽成形体の光学特性評価において、ヘイズH(%)は、ヘイズメーター(村上色彩研究所製)を使用し、JIS K 7136に準拠して測定した。また、可視光透過率T(%)、日射透過率ST(%)は、分光光度計U−4000(日立製作所製)を使用し、JIS R 3106に準拠して測定した。
(実施例1)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB1の場合>
ポリカーボネート樹脂ペレット100重量部、複合タングステン酸化物微粒子0.15重量部、および、耐候性改良剤(Ba)0.75重量部を均一に混合した後、二軸押出機(東洋精機製作所製)を用いて290℃で溶融混練し、押し出された直径3mmのストランドをカットし、ペレットを得た。
得られたペレットと、ポリカーボネート樹脂ペレットとを秤量し、複合タングステン酸化物微粒子の含有量が0.05質量%となるように調整した後、均一に混合して混合物を得た。当該混合物を射出成形機(東洋精機製作所製)に装填して射出成形し、実施例1に係る10cm×5cm、厚さ2.0mmのシート状成形体を得た。
実施例1に係るシート状成形体の光学的特性として、ヘイズH(%)、可視光透過率T(%)、日射透過率ST(%)を評価した。評価結果を表1に示す。
さらに、実施例1に係るシート状成形体を120℃空気浴中に30日間保持した後、光学特性としてヘイズH(%)、可視光透過率(%)、日射透過率ST(%)を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB1の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を0.015重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例2に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例3)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB1の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を3.0重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例3に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例4)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB2の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を0.75重量部、(Bb)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例4に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例5)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB2の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を0.75重量部、(Bc)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例5に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例6)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB2の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を0.75重量部、(Bd)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例6に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例6に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例7)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB2の場合>
耐候性改良剤(Ba)の添加量を1.5重量部、(Bc)の添加量を0.25重量部、(Bd)の添加量を0.25重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例7に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例7に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例8)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB3の場合>
耐候性改良剤(Bb)の添加量を0.75重量部、(Bc)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例8に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例8に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例9)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB3の場合>
耐候性改良剤(Bb)の添加量を0.01重量部、(Bc)の添加量を0.005重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例9に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例9に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例10)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB3の場合>
耐候性改良剤(Bb)の添加量を2.25重量部、(Bc)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例10に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例10に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例11)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB3の場合>
耐候性改良剤(Bb)の添加量を0.75重量部、(Bd)の添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例11に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例11に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例12)<耐候性改良剤(B)の添加形態がB3の場合>
耐候性改良剤(Bb)の添加量を1.5重量部、(Bc)の添加量を0.25重量部、(Bd)の添加量を0.25重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例12に係るシート状成形体を得た。
そして、実施例12に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
耐候性改良剤(B)を添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係るシート状成形体を得た。
そして、比較例1に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
耐候性改良剤(B)として(Bb)のみを用い、その添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例2に係るシート状成形体を得た。
そして、比較例2に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
耐候性改良剤(B)として(Bc)のみを用い、その添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例3に係るシート状成形体を得た。
そして、比較例3に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
耐候性改良剤(B)として(Bd)のみを用い、その添加量を0.75重量部とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例4に係るシート状成形体を得た。
そして、比較例4に係るシート状成形体の光学的特性を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
(評価結果のまとめ)
表1に示す結果より、複合タングステン酸化物微粒子1重量部に対して、本発明に係る耐候性改良剤である亜リン酸エステル化合物(添加形態B1)を、0.1〜20重量部の範囲で添加して得られた実施例1〜3に係る成形体は、成形時において優れた可視光透過率、日射透過率、ヘイズを示していた。そして、120℃空気浴中に30日間保持した後の光学特性も、可視光透過率、日射透過率、ヘイズとも変化がないことが判明した。
従って、耐候性改良剤としての亜リン酸エステル化合物(添加形態B1)は、複合タングステン酸化物微粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物が、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けた際の複合タングステン酸化物微粒子の耐候性劣化による経時的な赤外線遮蔽機能の低下を抑制していることが判明した。
また、耐候性改良剤として、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含んだもの(添加形態B2)の実施形態である、亜リン酸エステル化合物とヒンダードフェノール系安定剤とを添加した実施例4、亜リン酸エステル化合物とリン酸系安定剤とを添加した実施例5、亜リン酸エステル化合物と硫黄系安定剤とを添加した実施例6、亜リン酸エステル化合物とリン酸系安定剤と硫黄系安定剤とを添加した実施例7においても、上述した実施例1〜3と同様に、120℃空気浴中に30日間保持した後の光学特性において、可視光透過率、日射透過率、ヘイズとも変化がないことが判明した。
この結果、耐候性改良剤として、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤やリン酸系安定剤や硫黄系安定剤とを併用することが出来ることも判明した。
また、耐候性改良剤として、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(添加形態B3)の実施形態である、ヒンダードフェノール系安定剤とリン酸系安定剤とを添加した実施例8〜10、ヒンダードフェノール系安定剤にと硫黄系安定剤とを添加した実施例11、ヒンダードフェノール系安定剤とリン酸系安定剤と硫黄系安定剤とを添加した実施例12においても、上述した実施例1〜3と同様に、120℃空気浴中に30日間保持した後の光学特性において、可視光透過率、日射透過率、ヘイズとも変化がないことが判明した。
この結果、耐候性改良剤として、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤や硫黄系安定剤とを併用することが出来ることも判明した。
これに対し、比較例1は、耐候性改良剤が添加されずに、ポリカーボネート樹脂中に複合タングステン酸化物微粒子が均一に分散された従来の成形体である。
比較例1に係る成形体の初期光学特性は、優れた可視光透過率、日射透過率、ヘイズを示している。しかし、120℃空気浴中に30日間保持した後の光学特性は、日射透過率が大きく上昇し、可視光透過率も上昇しており、赤外線遮蔽性能が大きく劣化していることが判明した。
また、耐候性改良剤として、ヒンダードフェノール系安定剤のみを添加した比較例2、リン酸系安定剤のみを添加した比較例3、硫黄系安定剤のみを添加した比較例4では、成形体の初期光学特性は、優れた可視光透過率、日射透過率、ヘイズを示している。しかし、120℃空気浴中に30日間保持した後の光学特性は、比較例1と同様に、日射透過率が大きく上昇し、可視光透過率も上昇し、さらに比較例4においてはヘイズもわずかに上昇していた。
この結果より、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤を単独で添加した場合は、複合タングステン酸化物微粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物が、太陽光を受けた際に発生する熱や空気中の水分、酸素の影響を受けた際の複合タングステン酸化物微粒子の耐候性劣化による経時的な赤外線遮蔽機能の低下を抑制することは、困難であると考えられる。
11:WOを単位として形成される8面体。
12:WOを単位として形成される8面体が6個集合して形成される六角形の空隙(トンネル)中に配置されるM元素。

Claims (7)

  1. 複合タングステン酸化物微粒子(A)と、耐候性改良剤(B)と、ポリカーボネート樹脂(C)とを含むポリカーボネート樹脂組成物であって、
    前記複合タングステン酸化物微粒子(A)が、一般式MxWOy(但し、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Sn、Al、Cu、Naから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子であり、
    前記耐候性改良剤(B)が、亜リン酸エステル化合物を含むもの(B1)、
    または、亜リン酸エステル化合物と、ヒンダードフェノール系安定剤、リン酸系安定剤および硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B2)、
    または、ヒンダードフェノール系安定剤と、リン酸系安定剤、硫黄系安定剤から選ばれる1種類以上とを含むもの(B3)、のいずれかであり、
    前記耐候性改良剤(B)の添加量が、前記複合タングステン酸化物微粒子(A)1重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 前記複合タングステン酸化物微粒子(A)の分散粒子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記亜リン酸エステル化合物の構造が、一般式(3)で示されることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。

    [但し、一般式(3)中、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示す。
    は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、
    Xは、単なる結合、硫黄原子または式(3−1)で示される2価の残基を示し、

    (但し、式(3−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜12のシクロアルキル基を示す。)
    Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(3−2)で示される2価の残基を示し、

    (但し、式(3−2)中、Rは、単なる結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素原子側に結合していることを示す。)
    Y、Zは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシル基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。]
  4. 前記複合タングステン酸化物微粒子(A)を示す一般式MxWOyのM元素が、Cs、Rbから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 前記複合タングステン酸化物微粒子(A)が、六方晶であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物と、ポリカーボネート樹脂(C)、または、ポリカーボネート樹脂(C)と相溶性を有する異種の熱可塑性樹脂との、溶融混練物の成形体であることを特徴とする熱線遮蔽成形体。
  7. 請求項6に記載の熱線遮蔽成形体が、他の透明成形体上に積層されていることを特徴とする熱線遮蔽積層体。
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