JPS6327082Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関のシリンダブロツクに関す
る。

従来の内燃機関のシリンダブロツクとしては、
例えば第１図および第２図に示すようなものがあ
る。第１図において、１はシリンダブロツクの本
体であり、この本体１には図示しないピストンが
上下方向に摺動するシリンダ室２が設けられてい
る。本体１のロワーデツキ３には弧状のスカート
部４が設けられ、スカート部４の弧の中央には厚
肉半円弧状のクランクシヤフト軸受部５が配設さ
れている。クランクシヤフト軸受部５は薄肉板状
のバルクヘツド６によつてロワーデツキ３および
スカート部４にそれぞれ連結されている。また、
クランクシヤフト軸受部５は厚肉のリブ７，８に
よつてロワーデツキ３に連結され、リブ７には油
孔９が設けられている。この油孔９はロワーデツ
キ３に設けられたオイルギヤラリ１０とクランク
シヤフト軸受部５とを連通している。クランクシ
ヤフト軸受部５下面にはベアリングキヤツプ１１
がボルト１２で締付固定され、クランクシヤフト
軸受部５とベアリングキヤツプ１１とによつて形
成される円筒部１３には図示しないメインベアリ
ングを介してクランクシヤフトのクランクジヤー
ナル１４が回転自在に支持される。クランクシヤ
フトのクランクピンにはコンロツド（共に図示せ
ず）を介して前記ピストンが連結される。

しかしながら、このような従来のシリンダブロ
ツクにあつては、リブ７，８によつてバルクヘツ
ド６の曲げ剛性の向上が図られているとは言え、
バルクヘツド６が薄い板状であるため、バルクヘ
ツド６の曲げ剛性およびバルクヘツド６面内の引
張剛性は十分ではない。そのため、シリンダ室２
内で生じた燃焼衝撃力がピストン、コンロツド
（共に図示せず）を介してクランクピンに伝達さ
れると、クランクシヤフトは弓状にたわむ。この
結果、クランクジヤーナル１４を支持するベアリ
ングキヤツプ１１が曲げ変形を受け、バルクヘツ
ド６がベアリングキヤツプ１１とともに大きな曲
げ変形を起こすと同時に、バルクヘツド６は下方
に伸張される。第２図の仮想線はこの状態を示し
ている。内燃機関の運転中にこの現象が繰り返さ
れる結果、シリンダブロツク本体１が振動させら
れ、これがエンジンの放射騒音を大きくしている
という問題点があつた。

この考案はこのような従来の問題点に着目して
なされたもので、バルクヘツドは肉厚がベアリン
グキヤツプの幅と略同一であり、かつ、バルクヘ
ツドの内部には少なくともクランクジヤーナルの
上方に空間を形成させることにより前記問題点を
解決することを目的としている。

以下この考案を図面に基づいて説明する。

第３図乃至第６図はこの考案の一実施例を示す
図である。まず、構成を説明する。２１はシリン
ダブロツクの本体であり、この本体２１には図示
しないピストンが上下方向に摺動するシリンダ室
２２が設けられている。本体２１のロワーデツキ
２３には弧状のスカート部２４が設けられ、これ
らロワーデツキ２３とスカート部２４にはバルク
ヘツド２５の一端が連結されている。バルクヘツ
ド２５の他端にはベアリングキヤツプ２６がボル
ト２７で締付固定され、バルクヘツド２５の他端
とベアリングキヤツプ２６とによつて形成される
円筒部２８には図示しないメインベアリングを介
してクランクジヤーナル２９が回転自在に支持さ
れる。クランクシヤフトのクランクピンには前記
ピストンがコンロツド（共に図示せず）を介して
連結される。バルクヘツド２５は肉厚がベアリン
グキヤツプ２６の幅と略同一になるように形成さ
れており、バルクヘツド２５の内部にはバルクヘ
ツド２５の他端に開口する空間３０，３１，３２
が形成されている。空間３０はボルト取付部３
３，３４の間に設けられ、空間３１，３２はボル
ト取付部３３，３４とスカート部２４との間にそ
れぞれ設けられている。この結果、空間３０はク
ランクジヤーナル２９の上方に設けられている。
また、空間３０の断面は矩形状になつている。そ
して、ボルト取付部３３，３４の一端はベアリン
グキヤツプ２６にボルト２７で連結され、他端は
ロワーデツキ２３に直接連結されている。この結
果、バルクヘツド２５は重量を増加させることな
く、断面二次モーメントが向上するので、バルク
ヘツド２５の曲げ剛性が向上する。また、ボルト
取付部３３，３４がロワーデツキ２３に直接連結
されているので、バルクヘツド２５面内の引張剛
性が著しく向上する。さらに、バルクヘツド２５
の一端がスカート部２４全体にわたつて連結され
ているので、バルクヘツド２５とスカート部２４
との結合剛性が向上する。なお、ボルト取付部３
４には油孔３５が設けられ、この油孔３５はオイ
ルギヤラリ３７と空間３０とを連通している。

次に作用を説明する。

第２図で示したように、シリンダ内で生ずる燃
焼衝撃力によつて、バルクヘツド２５は曲げ変形
を受ける。しかし、バルクヘツド２５は断面二次
モーメントが改善されたので、この曲げ変形は低
減される。また、バルクヘツド２５面内の引張剛
性はボルト取付部３３，３４によつて著しく向上
したので、バルクヘツド２５の下方への伸張は抑
制される。この結果、バルクヘツド２５は全体と
して曲げ剛性、引張剛性は著しく向上し、シリン
ダブロツク各部の振動は抑制され、エンジンの放
射騒音は著しく低減する。

さらに、第７図乃至第９図はこの考案の他の実
施例を示す図である。この実施例はボルト取付部
４１，４２とスカート部４３との間に空間４４，
４５および空間４６，４７を形成させたものであ
る。空間４５，４７はバルクヘツド２５の他端に
開口し、空間４４，４６はスカート部４３側に開
口している。この実施例によれば、バルクヘツド
２５の軽量化に加え、スカート部４３の曲率を大
きくすることができ、バルクヘツド２５の曲げ剛
性を向上させることができる。バルクヘツド２５
の引張剛性については第１実施例と同様である。

以上説明してきたように、この考案によれば、
その構成を、バルクヘツドは肉厚がベアリングキ
ヤツプの幅と略同一であり、かつ、バルクヘツド
の内部には少なくともクランクジヤーナルの上方
に空間を形成させたので、バルクヘツドの断面二
次モーメントおよび引張剛性を向上させることが
できる。この結果、シリンダブロツク各部の振動
は抑制され、エンジンの放射騒音を著しく低減さ
せることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のシリンダブロツク
を示すその断面図および一部断面側面図、第３図
はこの考案の一実施例を示すその一部断面側面
図、第４図は第３図のＡ−Ａ矢視断面図、第５図
は第３図のＢ−Ｂ矢視断面図、第６図は第３図に
示すシリンダブロツクの底面図、第７図はこの考
案の他の実施例を示すその一部断面側面図、第８
図は第７図のＣ−Ｃ矢視断面図、第９図は第７図
のＤ−Ｄ矢視断面図である。 ２１……シリンダブロツク本体、２５……バル
クヘツド、２６……ベアリングキヤツプ、２９…
…クランクジヤーナル、３０……空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツク本体に設けられたバルクヘツ
   ドと、該バルクヘツドに締付固定されるベアリン
   グキヤツプと、によつてクランクジヤーナルを回
   転自在に支持する内燃機関のシリンダブロツクに
   おいて、バルクヘツドは肉厚がベアリングキヤツ
   プの幅と略同一であり、かつ、バルクヘツドの内
   部には少なくともクランクジヤーナルの上方に空
   間を形成させたことを特徴とする内燃機関のシリ
   ンダブロツク。