JPH037565Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、多気筒（２気筒以上）エンジン用
のオイルパンの改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来のオイルパンは、一般に第６図に示すよう
に上端開放の箱状本体５からなり、開放されたク
ランクケーススカート２ａ下端にボルト７により
取り付けられる構造からなつていた。このためエ
ンジン運転時に、ピストンの負荷力により前記ス
カート２ａの長手方向に変形が断続的に起こり、
この変形に伴いクランクケース２の表面振動が生
じ、延いてはオイルパンの振動をも引き起し、こ
れらの振動がエンジン騒音の一因になつていた。

従つて、従来のオイルパンにあつては上記振動
の防止対策として、クランクケースを補強するこ
とが行われているが、この場合、クランクケース
の重量が増加するという欠点がある。

また、オイルパン自体の振動及びそれに伴う騒
音を防止するため、オイルパンを強化プラスチツ
ク材により形成したり或いはオイルパンの取り付
け部にダンパーを装入することが行われている
が、これらの場合、生産コストがアツプするとい
う欠点がある。

更に、実開昭56−136150号公報記載の考案にお
いて、特に舶用の内燃機関の軸装置を対象とし
て、そのクランク軸の下部主軸受押えをオイルパ
ンと一体化し、この主軸受押えの剛性強化を図つ
たものが提案されている。この考案の本来的な目
的は、主軸受押えの剛性強化の他に、舶用内燃機
関におけるオイルパン内を小さな区画に仕切るこ
とによつて、船体のローリングやピツチング等の
揺動によつても潤滑油の液面が大きく変動しない
よう、また、オイルアツプ現象を防止することに
ある。この目的達成のため、本考案では、オイル
パンの底面は通常の平坦状に形成し、該オイルパ
ンの底面ないし側壁と下部軸受との間に補強用の
支え壁をほぼ全面に渡つて設けてオイルパン内を
仕切り、必要な箇所に油通路を開設したものであ
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記実開昭56−136150号公報記載の考案では、
なるほど軸受剛性強化という点は充分達成される
であろうが、その反面、この構成では結局、支え
壁全体も下部軸受押えの一部を形成することか
ら、下部軸受押え全体が非常に大きくなつてしま
い、重量が大幅に増大する。しかも、構造も複雑
化することは否めない。この従来考案では舶用の
内燃機関を対象にしていることからこのような重
量増大も許されるのであるが、そうでない内燃機
関の場合には一般にこのような構成は採りえな
い。

この考案の目的は上述の点に鑑みなされたもの
で、オイルパンの構造を、その重量を増大させる
ことなく改良することにより、オイルパンおよび
クランクケースの振動を低減しエンジン騒音を低
下さすことにある。

〔課題を解決するための手段〕

かかる目的達成のため、この考案のオイルパン
は、上下の軸受に支承されたクランクシヤフトの
中間軸受位置に対応して、オイルパンの一部を該
シヤフト側へ凹入させ、該凹入端を前記軸受位置
に固定するとともに、該凹入端にボルトを取着し
て該上下の軸受を接合固定するようにしたことを
要旨とし、また、この構成において、前記凹入端
部を軸受に形成したことを要旨とするものであ
る。

〔作用〕

上記構成においては、クランクケース又はオイ
ルパンの重量を増大させることなく、クランクシ
ヤフトの各軸受がオイルパンを介して長手方向に
一体的に連結されることになり強度が向上して特
にピストン負荷力に対する変形が阻止され、エン
ジン下部の振動の低減作用が得られる。

また、取付用ボルトを凹入端に取着したことか
らその長さを短くでき、締付時のボルトのたわみ
による締付トルクのばらつきを防止することがで
きる。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を第１図、第２図に基
づいて説明する。

第１図は第２図の−線断面図、第２図はオ
イルパンの底面図を示し、１は４気筒エンジンの
シリンダ、２はシリンダ１下のクランクケース、
２ａはケース２下部のスカート、３は吊下げ型の
クランクシヤフトで、このシヤフト３はケース２
内の軸受４に回動自在に支持されている。

５は上端開放のオイルパン本体で、この本体５
の上端周縁にフランジ５ａを設けると共に、フラ
ンジ５ａにボルト７取付孔５ｂを穿設し、また前
記中間の軸受４に対応して本体５の底面を断面逆
Ｕ字状に凹入させ、各凹入部６の端面にボルト８
挿通孔６ａを穿設する。そして、オイルパン本体
５をボルト７，８により前記スカート２ａ下端お
よび軸受４下面に取着して、上下の軸受４を接合
固定する。

このような構成にすることにより、下側の軸受
は従来のままで、各軸受４がオイルパン５を介し
てその長手方向に一体的に連結され、且つクラン
クケーススカート２ａ部がオイルパンフランジ５
ａに取着されるため、強度大幅に向上する。ま
た、クランクケース２が軸受４及びオイルパン本
体５を含んだモノブロツク構造になるため、防振
のために特にクランクケース２を補強する必要が
ない。なお、本実施例のオイルパンは通常、鋼板
からプレス成形される。

次にこの考案の第２実施例を第３〜５図に基づ
いて説明する。

第３図は第４図の−線断面図、第４図はシ
リンダおよびクランクケースにオイルパンを装着
した状態の正面図、第５図は第４図の−線矢
視図を示す。前記実施例と相違するところは、シ
リンダ１およびクランクケース２が３気筒エンジ
ン用であつて、クランクケース２はクランクシヤ
フト３を中心にして上下に２分割した構造にした
こと、およびオイルパン本体５の凹入部６端面に
クランクシヤフト３の下部軸受４ａを一体的に設
けると共に、オイルパン本体５上部を分割した下
部クランクケース２′に形成したことである。こ
の実施例でも、下部軸受４ａの部分は従来と変わ
りないものであるから、重量増大を招くことがな
い。

従つて、本実施例のオイルパンは、通常アルミ
ダイキヤスト成形される。

〔考案の効果〕 以上説明した本考案のオイルパンでは、オイル
パンの一部をクランクシヤフト側へ凹入させたの
で次のような効果が得られる。すなわち、 (a) 下部軸受を従来のように過度に大きくことな
く、従来の大きさのままで、つまり、重量の増
大を招くことなく、各軸受間を補強できる。そ
してエンジン運転時に、ピストン負荷力による
クランクシヤフト軸受部やクランクケーススカ
ート部の変形が起こりにくくなりエンジン下部
の振動が大幅に低減され、エンジン全体の騒音
低下が図れる。

(b) クランクケースを振動防止のために特に補強
する必要がないから、その小型軽量化も図れ
る。

(c) 取付用ボルトを凹入端に取着したことからそ
の長さを短くでき、締付時のボルトのたわみに
よる締付トルクのばらつきを防止することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の第１実施例のオイルパンを
示す第２図の−線断面図、第２図は同オイル
パンの底面図、第３図は第２実施例のオイルパン
を示す第４図の−線断面図、第４図はシリン
ダおよびクランクケースにオイルパンを装着した
状態の正面図、第５図は第４図の−線矢視
図、第６図は従来のオイルパンを示す第１図と同
一態様の断面図である。 １……シリンダ、２……クランクケース、２ａ
……スカート、２′……下部クランクケース、３
……クランクシヤフト、４……軸受、４ａ……下
部軸受、５……オイルパン本体、５ａ……フラン
ジ、５ｂ……ボルト取付孔、６……凹入部、６ａ
……ボルト挿通孔、７，８……ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 上下の軸受に支承されたクランクシヤフトの
   中間軸受位置に対応して、オイルパンの一部を
   該シヤフト側へ凹入させ、該凹入端を前記軸受
   位置に固定するとともに、該凹入端にボルトを
   取着して該上下の軸受を接合固定するようにし
   たことを特徴とする多気筒エンジン用オイルパ
   ン。 (2) 前記凹入端部を軸受に形成した実用新案登録
   請求の範囲第(1)項に記載の多気筒エンジン用オ
   イルパン。