JPS6215493B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、特に薄肉または厚膜抵抗素子、高精
密膜回路を利用する集積回路、あるいは感熱記録
装置のサーマルヘツド等電子部品として使用され
るアルミナあるいはベリリア磁器を基盤とするグ
レーズドセラミツクスのグレーズ組成物に関する
ものである。 これら電子部品のグレーズドセラミツクス、特
にサーマルヘツドに使用されるグレーズにはPbO
およびアルカリ成分を含まず、表面の平滑性、耐
熱性と共に蓄熱層として機能する低い熱伝導率が
要望される。 本出願人は、これらの要望を満たしたグレーズ
の開発に成功し、先にグレーズドセラミツクス基
板として提案（特願昭56−166780号（特開昭58−
67091号））したが、配線の実装時においてグレー
ズ表面が曝されるHF＋HNO₃に対する耐食性に
不満があることを見出した。 本発明は、上記のPbO、アルカリ成分を含ま
ず、平滑性、耐熱性および低熱伝導率を保ち、し
かもHF＋HNO₃に対する耐食性を顕著に改善し
たグレーズ組成物を提供するもので、SiO₂56〜
71％、BaO15.5〜28％、Al₂O₃6〜16％からなり主
成分と、10％以下のSrO、８％以下のB₂O₃、10％
以下のCaO、３％以下のMgOから撰ばれた１種
以上からなりその副成分とからなる上記特願昭56
−166780号のグレーズドセラミツク基板のグレー
ズ組成に対し、上記SiO₂、BaO、Al₂O₃からなる
主成分を合量83〜99.8％、SrO、B₂O₃、CaO、
MgOから撰ばれた副成分を第１の副成分として
その合量を0.1〜10％に設定すると共に、第２の
幅成分として４％以下のY₂O₃、同じく４％以下
のLa₂O₃、６％以下のZnO、同じく６％以下の
TiO₂、３％以下のZrO₂から撰ばれた１種以上を
撰び、全組成物として100％になるように0.1〜７
％の範囲内で配合したことを特徴とするものであ
る。 本発明のグレーズ組成物において、主成分とし
てSiO₂、BaOおよびAl₂O₃の３者を撰んだ理由
は、主として低熱伝導性および高耐熱性および表
面の平滑性を得るためであるが、SiO₂は56％に
満たないときは熱膨張係数が高くなつてアルミナ
磁器等からなる基盤との密着性が不充分となり、
71％を超えると溶融し難くなり、BaOは15.5％以
下では低い熱伝導率および表面の平滑性が得られ
ず、28％以上では熱膨張係数が大きくなつて基盤
との密着性が悪くなり、またAl₂O₃は６％未満で
は安定したガラスが得られず、16％以上では融点
が上昇して溶融し難いため、上記のモル比による
配合割合が設定され、該主成分は低い熱伝導率お
よび平滑性を得るためBaOを、結晶化の防止と耐
熱性を向上するためAl₂O₃と共に多量含有させた
ものであるが、合量として83〜99.9％に設定す
る。 次に第１の副成分として撰んだB₂O₃はガラス
化を助長し溶融を促進させグレーズの平滑性もよ
くなるが８％を超えると耐熱性を著しく低下さ
せ、SrO、CaOも同様ガラス化を助長するが共に
10％を超えると失透し易くなり、またMgOは泡
を抜け易く微量の配合によつて効果を奏するが、
多量に加えると失透傾向が増すため３％が限度
で、これら第１の副成分はいずれか１種の配合に
よつて効果を奏し、２種以上を併用する場合も10
％が上限で２種以上併用した方が失透抵抗が強く
なる。 また、第２の副成分として配合するY₂O₃、
La₂O₃、ZnO、TiO₂およびZrO₂は、いずれも微量
の配合によつてHF＋HNO₃に対する耐食性を高
め、同時に耐熱性を更に改善し、かつ硬度を上昇
させる均等的効果を奏するものであるから第１の
副成分と同様にいずれか１種でもよいがY₂O₃お
よびLa₂O₃は４％を超えると失透の傾向があり、
ZnOは６％を超えると却つてHF−HNO₃に対する
耐食性を低下させ、TiO₂は同じく６％を超える
と失透傾向を生ずると共に耐熱性をも低下させ、
ZrO₂は３％を超えると気泡が残り易く平坦な表
面が難しくなるから、これら第２の副成分はそれ
ぞれ上記の範囲内に限定せられ、２種以上を併用
する場合も７％が上限である。 実施例 第１表のモル％組成のガラスが得られるよう
に、SiO₂、Al（OH）₃、BaCO₃、H₃BO₃、
CaCO₃、SrCO₃、MgCO₃、Y₂O₃、La₂O₃、
ZnO、TiO₂およびZrO₂を秤量し、常法に従つて
ライカイ機にて混合、アルミナルツボによつて最
適温度にて溶融し、これを水中に流し込んで急冷
した後アルミナのボールミルによつて微粉砕して
フリツトとし、有機質粘結剤を加えて混練してペ
ースト状フリツトを得た。 このペースト状フリツトをアルミナ基板上に塗
布、焼成したグレーズ基板その他について諸特性
を測定した結果を同表に示す。但し、 (1) 耐HF＋HNO₃性 アルミナ含有率97％で50mm×50mm×１mmｔの
アルミナ磁器を基板として上記ペースト状フリ
ツトをスクリーン印刷によつて塗布、乾燥後表
中のグレージングにて焼成してグレーズの厚さ
50±10μｍのグレーズ基板とし、HF：HNO₃
＝１：１の溶液中に15秒間浸漬してグレーズ面
の浸食された厚さを表面粗さ計によつて測定。 (2) 屈伏点 ５mmφ×20ｍmlの円柱状クレーズを(1)と同様
グレージング温度によつて製作し、熱膨張を測
定して膨張曲線の頂点を計測。 (3) ビツカース硬さ (1)のグレーズ基板を用い、荷重200ｇによつ
て測定。 (4) 熱伝導率 ９mmφ×１mmｔの円板状グレーズを(2)と同様
に製作し、レーザーパルス法によつて測定。

【表】

【表】 第１表によつて明らかにされる通り、モル比で
SiO₂56〜71％、BaO15.5〜28％、Al₂O₃6〜16％か
らなる主成分83〜99.8％と、８％以下のB₂O₃、10
％以下のCaO、同じく10％以下のSrO、３％以下
のMgOの１種以上からなる第１の副成分0.1〜10
％と、４％以下のY₂O₃、同じく４％以下の
La₂O₃、６％以下のZnO、同じく６％以下の
TiO₂、３％以下のZrO₂の１種以上からなる第２
の副成分0.1〜７％とからなり、それらの合量が
100％とした本発明のグレーズ組成物、すなわち (1) 主成分の小計および構成成分をいずれも略々
中間値に固定し、第１および第２の副成分の小
計および構成成分をも略々中間値に設定した試
料No.１〜６。 (2) 主成分の小計を略々中間値とし、構成成分の
それぞれを上限および下限に設定すると共に第
１および第２の副成分を試料No.１に準じて増減
した試料No.７〜９。 (3) 主成分の構成成分を下限付近、それらの小計
を下限、第１および第２の副成分の小計を共に
上限とし、第１の副成分を試料No.１に対応、増
大して固定すると共に第２の副成分を２種以上
併用した試料No.10〜15。 (4) 主成分の構成成分を中間値付近、それらの小
計を上限に固定し、残部を第１および第２の副
成分に等分した試料No.16〜20。 は、いずれも () 第１および第２の副成分を含まず主成分
のみとし、構成成分をそれぞれ略々中間の
SiO₂66％、BaO23％、Al₂O₃11％とした試験
No.21。 () 第２の副成分を含まず、主成分および第
１の副成分のみを共にそれらの小計並びに構
成成分を中間値付近とした試料No.23。 に比し、他の諸特性に悪影響を与えることなく格
段と対HF＋HNO₃性を改善することに成功し
た。 以上の通り、本発明は主成分に対して第１およ
び第２の副成分の配合によつて著効を奏するもの
であるが、第１および第２の副成分が過多の試料
No.22、上記試料No.23と逆に第１の副成分を含まず
主成分および第２の副成分のみとした試料No.24、
第１の副成分を略々中間値としても第２の副成分
が過多の試料No.26はいずれも失透をもたらし、ま
た該試料No.26と逆に第２の副成分が中間値にあつ
ても第１の副成分が過多の試料No.25は失透を起さ
ず、耐HF＋HNO₃を改善するが他の諸特性にお
いて不満がある。 なお、参考として挙げた従来のアルカリを含む
硼珪酸鉛系ガラスは耐HF＋HNO₃性に高い値を
示すが基盤となる屈伏点、熱伝導率を初め表面抵
抗等他の諸特性において大きな不満がある。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ モル比でSiO₂56〜71％、BaO15.5〜28％、
   Al₂O₃6〜16％からなり合量83〜99.8％の主成分
   と、10％以下のSrO、８％以下のB₂O₃、10％以下
   のCaO、３％以下のMgOから撰ばれた１種以上
   からなりその合量が0.1〜10％の第１の副成分
   と、４％以下のY₂O₃、同じく４％以下La₂O₃、６
   ％以下のZrO₂、同じく６％以下のTiO₂、３％以
   下のZnOから撰ばれた１種以上からなりその合量
   が0.1〜７％の第２の副成分とからなり、全量が
   100％であることを特徴とするセラミツクス表面
   のグレーズ組成物。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のセラミツクス
   が、アルミナまたはベリリア磁器であることを特
   徴とするグレーズ組成物。