JPS6126104Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ドア越しの側方直接視界を拡大させ
た自動車用ドアの内張り構造に関するものであ
る。

運転席からの直接視界、殊に、助手席側に位置
するドア越しの側方視界を拡大して安全確認の信
頼性をより向上させるためには、ドア本体に透視
窓を設けることが有効であるとされている。

ところが、ドア本体に透視窓を形成するために
は、該ドア本体を構成するアウタパネルとインナ
パネルとに設けた開口部にそれぞれ窓ガラスを装
着して両パネルの開口縁間を他の部材で覆つた二
重窓構造とするか、又は、インナパネルの開口縁
部をアウタパネルの内面まで曲げ加工して両パネ
ルの開口縁に設けた接合フランジを接合固定して
この接合部に窓ガラスを装着する必要がある。

しかしながら、両パネルにそれぞれ窓ガラスを
装着する二重窓構造では、ドア本体の重量が重く
なり過ぎる欠点があるために、一般にはインナパ
ネルの開口縁部を曲げ加工してアウタパネルの開
口縁に接合固定し、この接合フランジに窓ガラス
を装着することが行われている。

ところで、インナパネルの開口縁部を深く曲げ
込む（絞り込む）とコーナー部に亀裂が入つてし
まう。従つて、従来ではコーナー部をあらかじめ
切欠いて曲げ加工したうえでこの切欠部に別部材
を溶接して仕上加工を施し、または、亀裂を避け
るために両パネルの開口縁間を別部材で結合して
両パネル間の空間を覆つていたが、いずれもイン
ナパネルと別部材との結合部が車室内に露出して
その外観性（車室の美感）を損なうと共に、部品
点数が増加して製造コストが上昇するという問題
点がある。

本考案は上記問題点を解消するためになされた
ものであり、透視窓を備えたドアでは不可能であ
るとされていたドア本体の内張りを可能としてド
アの外観（車室の美感）を向上させつつこの内張
りの剛性を高くし、しかも、その装着作業性及び
インナパネルとアウタパネルとの結合作業性をも
向上させることを目的としている。

上記目的を達成するために本考案では、インナ
パネル及びアウタパネルで構成されたドア本体に
開口を設け、該開口を形成すべく接合されたアウ
タパネル及びインナパネルの接合フランジにウエ
ザーストリツプを介して窓ガラスを装着して透視
窓を構成した自動車用ドアにおいて、前記透視窓
の室内側周壁を覆うべく枠状に成型された内張り
の室内側端部を前記インナパネルの表面に沿つて
折曲形成して該折曲部を前記インナパネルにリテ
ーナで止着している。又、前記内張りの室外側端
部を前記接合フランジと平行に折り曲げてフラン
ジを構成すると共に、該フランジの少なくとも内
周縁を前記ウエザーストリツプに設けた室内側の
リツプで被覆して前記接合フランジに押圧固定し
た構成としている。

斯る構成とすることにより、枠状に成型された
内張りの室内側端部と室外側端部とにそれぞれ折
曲部を設けて該内張りの剛性（強度）を高くしつ
つ、透視窓の室内側周壁及びインナパネルとアウ
タパネルとの接合部を内張りで被覆している。

以下に本考案の実施例を図面に基いて詳細に説
明する。

本考案の一実施例を示す第１図及び第２図にお
いて、ドアウインドウを形成するサツシユ１を上
部に装着したドア本体２は、アウタパネル３とイ
ンナパネル４とで構成されており、前記各パネル
３，４には透視窓５を形成するための開口を設け
ている。

又、前記アウタパネル３の開口縁には該パネル
３の外面より僅かに凹入して接合フランジ６が形
成され、前記インナパネル４の開口縁には上記接
合フランジ６に接合固定される接合フランジ７が
形成されている。

ここに、前記インナパネル４の接合フランジ７
は、次に述べるような方法によつて形成される。

まず、第５図に二点鎖線で示したように、イン
ナパネル４の所定位置を打ち抜く。この打ち抜き
に際しては、インナパネル４の曲げの深さ、つま
り、インナパネル４の一般表面から接合フランジ
７に至るまでの絞り込み深さ（一般にはドア本体
２の厚さ）に応じてコーナー部をあらかじめ透視
窓５より大きく切り欠いておく。

次に、前記打ち抜き部の周縁をアウタパネル側
に曲げ加工すると共に、接合フランジ７を折曲形
成するが、前記コーナー部にはあらかじめ切欠が
形成されているので接合フランジ７をインナパネ
ル４の一般表面から充分に室外側に変位させるこ
とができる。尚、このように接合フランジ７が形
成されたインナパネル４の開口の周縁、つまり、
透視窓５の室内側周壁は連続したものとはなら
ず、第４図及び第５図に示すように前記打ち抜き
時の切欠による切欠部８が残されるが、この切欠
部８は後述する内張り９で被覆される。

即ち、内張り９は第１図及び第２図に示すよう
にドア本体１に形成される透視窓５の室内側周壁
を被覆する枠状に成型されており、しかも、その
室内側端部を前記インナパネル４の一般表面に沿
つて折曲形成している。又、内張り９の室外側端
部には、前記アウタパネル３及びインナパネル４
に設けた接合フランジ６，７と平行なフランジを
設けてこれらを合成樹脂で一体成型している。

又、前記内張り９の外周部は樹脂材料等で構成
されてリテーナ１０でインナパネル４の一般表面
に止着されている。尚、インナパネル４における
内張り９との重合部を他の部分より浅く凹入させ
ることにより、内張り９の表面（内面）とインナ
パネル４の表面（内面）とが略同一平面となるよ
うに配慮されている。又、内張り９の室外側端部
（開口縁に設けたフランジ）を両面粘着テープ等
の粘着剤又は接着剤１３によつてインナパネル４
の接合フランジ７に仮止めされている。１１はリ
テーナ１０の取付穴、１２はリテーナ１０のシー
ル性を改善する軟質樹脂製の袋状シートである。

一方、接合された接合フランジ６，７（以下接
合フランジ部という）にはウエザーストリツプ１
５を介して窓ガラス１４を取り付けている。そし
て、この取り付けに際して、接合フランジ部とと
もに内張り９に設けたフランジをもウエザースト
リツプ１５のリツプ１６で被覆し、このリツプ１
６の挟み込み力を利用して内張り９のフランジを
接合フランジ部に押圧固定している。１７はイン
ナパネル４と内張り９との間をシールするブチル
テープ等のシール材、１８はドア本体２を補強す
べくインナパネル４に装着したステイフナ、１９
はドアの内側取手を兼ねるアームレスト、２０は
インサイドハンドルである。

即ち、ドア本体２に形成した透視窓５を覆う窓
ガラス１４をアウタパネル３と略同一平面上に取
り付けると共に、インナパネル４の開口縁（接合
フランジ７）をアウタパネル３の開口縁（接合フ
ランジ６）に直接結合して部品点数を削減するに
際して、本考案では透視窓５の室内側周壁を枠状
の内張り９で被覆している。このために、アウタ
パネル３とインナパネル４との接合部及びアウタ
パネル３に向つて深く絞り込まれたインナパネル
４の開口周縁を仕上加工する必要性がなく、ドア
の製造コストを低減できると同時に、ドアの外観
（車室の美観）を向上させることができる。

又、内張り９は枠状に形成され、この室内側端
部をインナパネル４の表面に沿つて折り曲げ形成
すると共に、室外側端部には接合フランジ７と平
行なフランジを設けているので、これらの折り曲
げによつて内張り９の剛性が高くなり、ドア本体
２への内張り９の組付け時の取扱性が向上する。

更に、内張り９の室内側端部をリテーナ１０で
インナパネル４に止着すると共に、その室内側端
部（フランジ）をウエザーストリツプ１５のリツ
プ１６で接合フランジ部に押圧固定しているため
に、前記した構造上の剛性の向上との相乗効果に
よつて外力又は熱変化等による変形及びインナパ
ネル４からの脱落等を防止することができ、しか
も、内張り９のフランジがリツプ１６で被覆され
ているのでその端末処理に別部品を使用する必要
性がない。

上記実施例では、内張り９のフランジを両面粘
着テープ等で接合フランジ部に仮止めしてリツプ
１６でこれらを挟み込み係止させるようにしてい
るが、両面粘着テープ等を省略し、あるいは、第
３図に示す実施例のように、接合フランジ部を挟
み込むリツプと内張り９のフランジを被覆係止す
るリツプ１６とを独立させてもよい。

以上説明したように本考案によれば、透視窓の
室内側周壁及びその近傍を含めて枠状に成型され
た内張りで被覆するようにしているために、イン
ナパネルとアウタパネルとの接合部及び、透視窓
の室内側周壁（インナパネルの絞り込み部）が室
内に露出することがない。従つて、インナパネル
とアウタパネルとの接合部及びその近傍を仕上加
工する必要性がなくなるのでドア本体の外観性を
損なうことなく製造コストを低減することができ
る。又、透視窓の室内側周壁及びその近傍を被覆
する内張りは枠状に形成され、しかも、その室内
側端部及び室外側端部にそれぞれ折り曲げ部が設
けられているので内張り単体の剛性が高くなる。
従つて、内張りをリテーナとウエザーストリツプ
とでインナパネルを止着したのみでも内張りの変
形および脱落等を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を備えたドアを室内
側から見た正面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面
図、第３図は本考案の他の実施例を示す要部の断
面図、第４図はインナパネルを室内側から見た正
面図、第５図は第４図のＢ部の拡大図である。 ２……ドア本体、３……アウタパネル、４……
インナパネル、５……透視窓、６，７……接合フ
ランジ、９……内張り、１０……リテーナ、１４
……窓ガラス、１５……ウエザーストリツプ、１
６……リツプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. インナパネル及びアウタパネルで構成されたド
   ア本体に開口を設け、該開口を形成すべく接合さ
   れたアウタパネル及びインナパネルの接合フラン
   ジにウエザーストリツプを介して窓ガラスを装着
   して透視窓を構成した自動車用ドアにおいて、前
   記透視窓の室内側周壁を覆うべく枠状に成型され
   た内張りの室内側端部を前記インナパネルの表面
   に沿つて折曲形成し、該折曲部を前記インナパネ
   ルにリテーナで止着すると共に、前記内張りの室
   外側端部を前記接合フランジと平行に折り曲げて
   フランジを構成し、該フランジを前記ウエザース
   トリツプに設けた室内側のリツプで被覆して前記
   接合フランジに押圧固定したことを特徴とする自
   動車用ドアの内張り構造。