JPS6026728Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、指先等による押圧操作でフックの係合を解く
コンパクト容器に関する。

一般に、化粧料やパフなどを入れるコンパクト容器は、
容器本体とこの容器本体の一縁に螺番を介してヒンジ結
合された蓋体とからなるが、蓋体を閉じたときにその蓋
体を容器本体に対し仮止めするいわゆる口金部の構造と
しては、従来より種々のものが提案されている。

その一つに、第１図および第２図に示す構造のものが知
られている。

これは、容器本体１の螺番２と反対側の縁部にスライド
孔３を穿設し、このスライド孔３に、テーパ面４ａおよ
び弾性片４ｂを有するスライド部材４を嵌め込みこのス
ライド部材４を指先等で螺番２側へ押す操作によって、
蓋体５の保合片６の先端をスライド部材４のテーパ面４
ａで上方へ押し上げ、これによって係合片６のフック６
ａと容器本体１側のフック１ａとの保合を解除させ、ま
たスライド部材４の押圧操作後には、スライド部材４は
その弾性片４ｂの反発力で元の位置に復帰する構造とな
ったものである。

ところで、このような押圧操作式の従来のコンパクト容
器にあっては、スライド部材４を単に押す操作だけで両
フックｌａ、６ａの係合を簡単に解除できる利点を有す
る反面、次のような欠点もあった。

まず第１に、スライド部材４の弾性片４ｂは、その反発
力でスライド部材４を次回の押圧操作に備えて元の位置
に復帰させておくようにする機能をもつものであるが、
この弾性片４ｂがスライド孔３との関係で必然的に小さ
くなっているため、その弾性片４ｂにわずかな塑性変形
が生じてもその機能が著しく低下する欠点があること。

第２に、両フックｌａ、６ａの係合を解除するのに、そ
の一方のフック６ａを有する係合片６をスライド部材４
のテーパ面４ａで直接押し上げる構造となっているため
、スライド部材４を押すと両フックｌａ、６ａの係合が
互いに深まる方向に作用し、この結果、両フックの摩耗
を早めてしまうという欠点があること。

本考案は、以上の点を考慮してなされたもので、弾性片
としての機能の低下がなく、しかもフックの摩耗も防止
できるコンパクト容器を提供することを目的とする。

以下、本考案を添付の第３図〜第６図に示す一実施例に
基づいて説明する。

図において、符号１０は容器本体、符号２０はこの容器
本体１０に螺番１１を介してヒンジ結合され、容器本体
１０を開閉する蓋体である。

前記容器本体１０は、平面的に見て全体がほぼ円形に形
成されているとともに、容器本体１０の周壁部１２であ
って前記螺番１１と反対側の壁部には開口部１３が形成
されている。

なお、容器本体１０の周壁部１２は、螺番１１と開口部
１３との間が第６図に示すように均一な肉厚に形成され
てその内壁面が左右対称な円弧面１２ａ、１２ａとされ
、また螺番１１が形成されている部分の周壁１２は厚肉
に形成されているとともに、その内壁面は後述するスラ
イド部材の一部と面接触する平坦な受圧面１２ｃとされ
ている。

符号３０は、容器本体１０内にセットされる前記スライ
ド部材であって、このスライド部材３０は、容器本体１
０の開口部１３に臨む押圧操作用の突出部３１と、この
突出部３１から容器本体１０の内壁面に沿って、すなわ
ち円弧面１２ａ、１２ａに沿すて延び、・全体が押圧操
作としての機能をもつ円弧板部３２．３２と、容器本体
１０の受圧面１２ｃにその外面が面接触する平面状の固
定板部３３とを有し、全体として容器本体１０の内壁面
形状にほぼ対応する如くリング状に形成されている。

そして、円弧板部３２．３２の外面と円弧面１２ａ、１
２ａとの間には、円弧板部３２゜３２が実質的に弾性変
形するのに必要な間隙Ａがそれぞれ形成されている。

（第５図参照）。また、容器本体１０の底板１４上であ
って前記受圧面１２ｃの近くには、その受圧面１２ｃと
の間にわずかな間隙を形成する突片１５が突設されてお
り、この突片１５と受圧面１２ｃとの間に前記スライド
部材３０の固定板部３３が挟持され、これによってスラ
イド部材３０は容器本体１０内に位置決め固定されてい
る。

また、スライド部材３０の突出部３１はその上面が開口
した中空状に形成され、その開口近くの内壁には、蓋体
２０が閉じられたときにその蓋体２０の自由端に突出形
成された係合片２１の内面側のフック２２に係合するフ
ック３４が形成されている。

符号４０は、前記スライド部材３０を上から覆う如く容
器本体１０に取り付けられる中枠であって、この中枠４
０には蓋体２０が閉じられる際にその蓋体２０の係合片
２１の干渉を除くためのコ字状の切欠４１が形成されて
いる。

図において、符号２３は蓋体２０の内面に設けられた鏡
である。

このように構成されたコンパクト容器において、第３図
に示すよ・うに蓋体２０が閉位置にある状態から蓋体２
０を開ける場合には、指先などでスライド部材３０の突
出部３１を押せば、そのスライド部材３０の円弧板部３
２．３２部分が円弧面１２ａ、１２ａ側へそれぞれ撓む
如く弾性変形し、これによって突出部３１が容器本体１
０内へ若干摺動するので両フック２２，３４同志の係合
が外れる。

したがって、蓋体２０はいつでも開けることのできる状
態になる。

本考案においては、スライド部材３０全体が容器本体１
０の内壁面形状に沿ういわゆるリング状とされ、これに
よって実質的に弾性変形する円弧板部３２．３２が図示
のように長い寸法をもつ形状となっているから、円弧板
部３２．３２がわずかに弾性変形するだけで、両フック
２２．３４同志の係合を解くのに必要な突出部３１の摺
動量が充分な程度に確保させることになる。

したがって、くり返し操作されてもその弾性変形する部
分に塑勢性変形あるいは弾性疲労などが生じることはほ
とんどなくその機能が長期間発揮される。

また、両フック２２．３４同志の係合が解かれるときの
状態について着目して見ると、突出部３１の容器本体１
０内への摺動に伴なってフック３４がフック２２からそ
のまま水平に離れてゆくことによって解かれるようにな
っているから、両フック２２．３４同志の係合は抵抗な
く簡単に外れ、したがって、相方のフックの摩耗もその
分、軽減される。

また、スライド部材３０の組付作業にあたっても、スラ
イド部材３０の固定板部３３を容器本体１０の受圧面１
２ｃと突片１５との間に嵌め込むだけで組付けることが
でき、また、スライド部材３０はこのように大きな外形
をもつ形状であっても、容器本体１０の内壁面形状に対
応させであるので、容器本体１０の化粧等を収容するた
めの空所も通常の大きさに形成することができる。

なお、蓋体２０を閉じる場合には、一般のコンパクト容
器と同様に蓋体２０を容器本体１０側へ単に押し付けれ
ば、保合片２１が突出部３１の上面開口からその内部へ
はいり込み、フック２２゜３４同志が係合し、蓋体２０
は閉状態になる。

以上詳述したように、本考案によるコンパクト容器では
スライド部材を容器本体の内壁面形状に対応するリング
状とするとともに、このスライド部材にいわゆる口金部
を構成する一対のフックのうちの一方を設けたから、弾
性片としての機能の低下がなく、くり返しの押圧操作に
充分に耐え、しかもフックの摩耗も防止できるなどの優
れた効果がある。

特に本考案においては、容器本体の内壁面形状に着目し
、スライド部材をこの内壁面に沿うようなリング状とし
ているので大きなリング径が得られており、したがって
、本考案によれば、スライド部材が、成形性は良好であ
るが金属製スプリングのような弾性を具備しないプラス
チック製であっても、重要な問題である弾性被労（塑性
変形）の点については確実に解決できることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来例を示す斜視図および断面図
、第３図ないし第６図は本考案の一実施例を示すもので
、第３図はコンパクト容器の外観図、第４図は分解斜視
図、第５図はスライド部材を容器本体に組付けた状態の
斜視図、第６図は容器本体の分解斜視図である。 １０・・・・・・容器本体、１１・・・・・・螺番、１
２・・・・・・周壁部、１３・・・・・・開口部、２０
・・・・・・蓋体、２１・・・・・・係合片、２２・・
・・・・フック、３０・・・・・・スライド部材、３１
・・・・・・突出部、３２・・・・・・円弧板部、３４
・・・・・・フック。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体と、この容器本体に蝶番を介してヒンジ結合さ
   れた容器本体を開閉する蓋体とからなるコンパクト容器
   において、前記容器本体の周壁部の前記螺番と反対側の
   壁部には開口部が形成され、さらにこの開口部と前記螺
   番間における容器本体の内壁面は円弧面状に形成され、
   一方、容器本体内には容器本体の内壁面形状に対応する
   リング状のスライド部材が容器本体内において自身の径
   方向に弾性変形可能に嵌め込まれ、かつ、該スライド部
   材の前記螺番付近に位置する部分のみが容器本体に対し
   て位置決めされ、このスライド部材にはこのスライド部
   材を弾圧変形させるための押圧操作用の突出部が前記開
   口部に臨むように突出形成され、その突出部には前記蓋
   体の自由端に突出形成された係合片の内面に設けられて
   いるフックと係合するフックが形成されていることを特
   徴とするコンパクト容器。