JPH0530646Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、容器本体と蓋体とを仮り止めするフ
ツクの係合を押釦によつて解くようにしたコンパ
クト容器における口金部の構造に関する。

「従来技術」 一般に、化粧料やパフなどを入れるコンパクト
容器は、容器本体とこの容器本体の後壁部に蝶番
を介してヒンジ結合された蓋体とからなるが、蓋
体を閉じたときにその蓋体を容器本体に対し仮止
めするいわゆる口金部の構造としては、従来より
種々のものが提案されている。

その一つに、操作部材（例えば押釦等）の押圧
操作によつてフツクの係合を解き蓋体を開ける構
造のものがあるが、この種の構造では、操作部材
の押圧操作の解除後、次の開口操作等に備えて、
操作部材が元の位置に復帰することが望まれる。

このような口金部の構造として、従来、実開昭
60−44708号公報、実開昭61−160812号公報など
が提案されている。

前者の技術は、第５図および第６図などに示す
ように、容器本体１の前壁部１ａに容器本体１の
前面および上面に開口する如くコ字状に切り欠い
てなる収納凹部２が形成され、この収納凹部２の
奥面に上面が傾斜面３ａとなつた突部３が突設さ
れるとともに、収納凹部２の両側下部に奥面４ａ
が後方に行くに従い内方に傾斜したスライド溝４
が形成されている。また、前記収納凹部２内には
蓋体５の内面に当接してこれを押しあげる押圧操
作用の押釦６が前後に摺動自在に装着されてい
る。

この押釦６は、押圧操作用の押圧板６ａと、こ
の押圧板６ａの内面下部に突設されかつ前記スラ
イド溝４に嵌合する弾性突片６ｂと、前記押圧板
６ａの内面に薄肉ヒンジ６ｃを介して突設されか
つその先端が蓋体５の係止片５ａおよび突部３の
傾斜面３ａにそれぞれ当接する変形板６ｄとから
構成されており、押釦６の押圧操作により、変形
板６ｄを突部３の傾斜面３ａ上に押し付けてこれ
を上方にスライドさせ、この変形板６ｄにより蓋
体５の係止片５ａを突き上げてフツク１ａ，５ｂ
の係合を解除し、また弾性突片６ｂの作用により
押釦６を初期の位置に復帰させるようになつてい
る。

一方、実開昭61−160812号公報に開示された技
術は、第７図および第８図に示すように、容器本
体７の前壁部に容器本体７の前面および上面に開
口する如くコ字状に切り欠いてなる収納凹部７ａ
が形成され、該収納凹部７ａの奥面に蓋体８のフ
ツク８ａに係合するフツク７ｂが突設されるとと
もに、表裏に連通するガイド孔７ｃが設けられ、
かつ収納凹部７ａの底面に前後方向に延びるガイ
ド溝７ｄが形成されている。また、前記収納凹部
７ａ内には蓋体８の内面に当接してこれを押しあ
げる押圧操作用の押釦９が前後に摺動自在に装着
されている。

この押釦９は、押圧操作用の操作板９ａと、前
記ガイド孔７ｃ内に挿入されかつ下面にガイド溝
７ｄに係合する係合凸部９ｂを備えた底板９ｃ
と、前記操作板９ａの内面に薄肉ヒンジ９ｄを介
して突設されかつ蓋体８の閉止位置においてその
上端が係止片８ｂの下面に近接する押圧片９ｅと
を主体として構成されており、第８図に示すよう
に、押釦９を後方へ押圧した時に押圧片９ｅが蓋
体８を突き上げて両フツク７ｂ，８ａの係合を解
除し、また押釦９の押圧解除後においては薄肉ヒ
ンジ９ｄの弾性作用によつて押圧片９ｅを元の位
置に復帰させることができるものである。

また、このような従来技術とは別に、蓋体開口
操作時の使い易さを向上させたものに実開昭62−
202205号「コンパクト容器」がある。

これは、蓋体開口操作用のプツシユピース（押
釦）に、蓋体の内面方向へ延長する断面「く」字
状あるいは断面逆「く」字状の作動片を一体に形
成し、この作動片の中間折曲部及び作動片とプツ
シユピースの底部との結合部を屈曲自在に形成
し、蓋体の閉止位置において作動片の自由端部を
該蓋体の下面に近接あるいは当接させてなるもの
である。

そして、このような断面「く」字状あるいは断
面逆「く」字状の作動片を一体に形成したプツシ
ユピースを備えたコンパクト容器では、プツシユ
ピースの押圧時に、作動片がプツシユピース収納
凹所の内面を垂直に移動しながら上昇するため、
蓋体を上昇させる力を極めて有効に作用させて、
蓋体の開放操作を容易なものとすることができ、
さらに作動片が略中間部位から二つ折に屈曲形成
されているために、プツシユピースを最大限に押
せば、作動片が180°開きうるために蓋体を押し上
げるための作動片のストロークを最大限に確保す
ることができるといつた効果を得ることができ
る。

「考案が解決しようとする問題点」 本考案は前述した従来技術における次のような
問題点を解決しようとするものである。

第１に、前者の構造のコンパクト容器（実開昭
60−44708号）では、押釦６の変形板６ｄを、容
器本体１の収納凹部２に突設した突部３上にスラ
イドさせて蓋体５を突き上げる構造であるため、
その構造が複雑であり、また、収納凹部２の奥面
に突部５を突設する分収納凹部２の大きさが大き
くなつて、この収納凹部２が形成される容器本体
１の前壁部１ａの肉厚が厚くなる傾向にあり、化
粧料収納部１ｂの空間が制限されてしまうといつ
た問題点があること。

第２に、このコンパクト容器では、スライド溝
４に嵌合した弾性突片６ｂが、押釦６の押圧によ
つて内方に弾性変形し、この弾性変形に起因した
弾性力によつて押釦６の復帰力を得ている反面、
前記弾性突片６ｂは押釦６の押圧方向に対して直
角な方向に弾性変形するので、十分な弾性作用を
発揮することができず、自動復帰力が弱いといつ
た欠点があること。

第３に、後者のような構造のコンパクト容器
（実開昭61−160812号）にあつては、薄肉ヒンジ
９ｃによつて押釦９の復帰力を得ているため、薄
肉ヒンジ９ｃの弾性力が小さく、押釦９の戻り方
向に対する十分な弾性作用を発揮させることがで
きず、押釦７が元の位置に戻りにくいといつた問
題点があること。しかも、このものでは、薄肉ヒ
ンジ９ｃにわずかに塑性変形が生じてもその機能
が著しく低下する欠点がある。

第４に、断面「く」字状あるいは断面逆「く」
字状の作動片を一体に形成したプツシユピースを
備えたコンパクト容器（実開昭62−202205号）で
は、プツシユピースをコンパクト容器のプツシユ
ピース収納部に収納すると、作動片の先端および
中間屈曲部がプツシユピースの押圧用前壁と収納
部奥面とに当接した状態となるために、プツシユ
ピースの若干の押圧操作によつても、プツシユピ
ースが作動して蓋体が開いてしまい、携帯時等に
コンパクト容器の蓋体が不用意に開いてしまうと
いつた問題点がある。

「問題点を解決するための手段」 本考案は前記した従来技術における問題点を有
効に解決することを目的とするもので、かかる目
的を達成するため、容器本体の後壁部に蓋体がヒ
ンジ結合されたコンパクト容器において、前記容
器本体の前壁部に前面および上面に開口する凹部
を形成するとともに、この凹部の奥面にフツクを
突設し、前記蓋体の自由端には、その下面から突
出し内面に前記フツクに係合するフツクが突設さ
れた係止片を設け、さらに前記凹部内には前記両
フツクの係合を解く押釦を前後方向に摺動自在に
設け、この押釦を前記凹部の前面に臨む押圧板
と、この押圧板の内面下端より押圧板の内側に向
けて突出するフランジ部と、このフランジ部の先
端に形成された薄肉ヒンジと、この薄肉ヒンジの
先端に一体に設けられかつ自身の中央部が押圧板
側に山形に屈曲した押上げ板とから構成し、かつ
この押上げ板を、押釦の凹部への組み込み前にお
いては、薄肉ヒンジがフランジ部先端より水平に
延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端より押上げ板
が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部分を上方に
突出させた状態で形成し、一方、押釦の凹部への
組込後においては、薄肉ヒンジの弾発力に抗して
押上げ板の先端が凹部の奥面に当接し、押上げ板
の山側の頂部が押圧板側に向かつて山形形状とな
るごとく配置し、しかもこの押上げ板の山形の頂
部と押圧板との間に間隙を形成してなり、かつ、
該押上げ板を、押釦の押圧操作時に押圧板と凹部
の奥面との間に挟まれて弾性変形し係止片の下面
を突き上げるように自身の長さ寸法を設定したも
のである。

「作用」 押釦の押圧板を指先などで押して押釦を摺動さ
せると、押上げ板が押圧板および凹部の奥面の間
で山形の頂部を支点に弾性変形されつつその先端
が凹部の奥面に沿つて上方に摺動し、蓋体の係止
片を突き上げるので、蓋体および容器本体の両フ
ツクの係合が解かれる。

また、押釦の押圧操作を解除すると、前記押上
げ板が元の状態に復元し、その付勢力によつて押
圧板が容器本体の前面側に押され、押釦が摺動し
て初期の位置に復帰する。

特に、本考案では、押上げ板の中央部が押圧板
側に山形に屈曲した状態で形成され、これを凹部
内に収納することによつて、山形の押上げ板の弾
発力（弾性反発力）を最大限に利用し、押上げ板
の塑性変形を防止しているために、長期に亘つて
押釦の押上げ板を作用させることができる。

さらに本考案では、押上げ板の頂部と押圧板と
の間に形成した間隙によつて、押釦の押圧後、押
上げ板が蓋体を突き上げるまでの間、時間的なず
れを与えることができるので、押上げ板の強すぎ
る弾性接触になる設計を避けるようにすることが
でき、また、携帯時に不用意に押釦に触れても、
蓋体が不用意に開口するおそれがなくなる。

「実施例」 以下、本考案の第１実施例を第１図ないし第３
図を参照して説明する。これらの図において、符
号１０は容器本体、符号１１はこの容器本体１０
の後壁部に開閉自在に取り付けられる蓋体、符号
１２は前記容器本体１０の前壁部１０ａに前後方
向に沿つて摺動自在に取り付けられて蓋体１１を
開ける押釦であり、これら符号１０ないし１２に
よつて、このコンパクト容器の主要部材を構成し
ている。

そして、前記容器本体１０の前壁部１０ａには
前面および上面に開口する凹部１３が形成されて
いる。この凹部１３は押釦１２を摺動自在に収納
するもので、その凹部１３の奥面１３ａにはフツ
ク１４が突設されるとともに、凹部１３の両側面
１３ｂ（一側面のみ図示）にはスライド溝１５が
形成されている。

この容器本体１０を開閉する蓋体１１は、その
自由端下面に前記フツク１４に係合するフツク１
６を有する係止片１７が突設され、内面に鏡１８
が貼付されている。

この蓋体１１を開口させる押釦１２は、前記凹
部１３の前面に臨む押圧板２０と、この押圧板２
０の両側に設けられた側板２１と、凹部１３の上
面に臨む天板２２と、前記押圧板２０の内面下端
より押圧板２０の内側に向けて突出するフランジ
部と、このフランジ部の先端に形成された薄肉ヒ
ンジ２３と、この薄肉ヒンジ２３の先端に一体に
設けられかつ自身の中央部が押圧板２０側に山形
に屈曲した押上げ板２４とを主体として構成さ
れ、全体が合成樹脂により一体に形成されてい
る。

前記押圧板２０は、押釦１２の押圧操作部を構
成するもので、凹部１３の奥面１３ａとの間に間
隔を存して配されるようになつており、また、こ
の押圧板２０の両側の側板２１には、前記スライ
ド溝１５に嵌合する突起２５が突設されるととも
にこの突起２５をスライド溝１５に嵌め易くする
ために切欠部２６が形成され、側板２１の内方へ
の弾性変形を許容するようになつている。一方、
前記天板２２はその中央部に蓋体１１の係止片１
７の干渉を除く切欠部２７が形成される。

一方、前記押上げ板２４は、凹部１３の奥行よ
りも長く形成され、かつ、その一部を長手方向に
沿つて上向きに山形形状に屈曲してなる構造とさ
れている。そして、押釦１２の取付状態におい
て、薄肉ヒンジ２３を弾性変形させて上方に屈曲
した形態で凹部１３内に収納され、かつその収納
状態にあつては、第２図などに示すように、押上
げ板２４の先端２４ａが収納部１３の奥面１３ａ
に、山形の頂部２４ｃが押圧板２０の内面にそれ
ぞれ弾性接触させられて、押圧板２０を初期の状
態（第２図に示す取付状態）に復帰させるように
なつている。

なお、この押上げ板２４の先端２４ａにはフツ
ク１４の干渉を除く切欠部２４ｂが形成されてい
る。この切欠部２４ｂの長さL₁は、第１図に示
すようにフツク１４の長さL₂よりも長く形成さ
れることは勿論である。

前記押上げ板２４についてより具体的に説明す
ると、この押上げ板２４は、第１図に明らかなよ
うに、押釦１２の凹部１３への組み込み前におい
ては、薄肉ヒンジ２３がフランジ部先端より水平
に延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端より押上げ板
２４が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部分を上
方に突出させた状態で形成され、一方、押釦１２
の凹部１３への組込後においては、第２図に明ら
かなように、薄肉ヒンジ２３の弾発力に抗して押
上げ板２４の先端２４ａが凹部１３の奥面に当接
し、押上げ板２４の山側の頂部が押圧板側に向か
つて山形形状となるごとく配置される。

そして、前記押釦１２が凹部１３へ組み込まれ
た状態においては、押上げ板２４の山形の頂部と
押圧板２０との間に間隙Ｇが形成される（第２図
参照）。

以下、このように構成された本実施例の作用を
説明する。

第２図に示すように蓋体１１で容器本体１０を
密閉しているときは、押釦１２の押圧板２０の上
端面が蓋体１１の下面に接し、かつ、押上げ板２
４の先端２４ａが係止片１７の下面に接して一定
の位置に固定された状態になつている。

また、第２図に示す蓋体の閉止状態では、押上
げ板２４の頂部２４ｃと、押圧板２０の内面との
間に間隙Ｇが形成されており、押釦１２の押圧操
作後、初めて押上げ板２４の頂部が押圧板２０の
内面に当接するようになつている。

次いで、第２図に示す位置から蓋体１１を開く
場合について説明すると、押釦１２の押圧板２０
を指先等で押して、この押圧板２０をスライド溝
１５に沿つて摺動させ、押上げ板２４を山形の頂
部２４ｃを支点として弾性変形させつつ先端２４
ａを上方に摺動させることにより、蓋体１１を容
器本体１０から離す方向に回動させるのである。

この際に、フツク１４，１６の係止作用に抗し
て強い力で押釦１２の押圧板２０を押してやれ
ば、第３図に示すように、押上げ板２４が係止片
１７を突き上げて、両フツク１４，１６の係合が
外れ、蓋体１１を開けることができるのである。

また、これらの押圧操作の際に、押上げ板２４
の先端２４ａの切欠部２４ｂがフツク１４の干渉
を除くので、押上げ板２４が容器本体１０の上端
位置まで突き上がり、蓋体１１が大きく開口し、
この開放操作が容易になる。しかも、これらの開
口操作の際に、押上げ板２４は、その先端２４ａ
が凹部１３の奥面１３ａに、山形の頂部２４ｃが
押圧板２０の内面にそれぞれ弾性接触状態に収納
されて押圧板２０を元の位置に復帰させる如く構
成されているので、押圧板２０の押圧解除後、押
釦１２は初期の位置に戻り、蓋体１１を開放する
状態に待機する。

また、この押釦１２の自動復帰作用は、組立時
に押上げ板２４の薄肉ヒンジ２３を弾性変形させ
ることにより得られる弾性力および山形の頂部２
４ｃが押圧板２０の内面に弾性接触することによ
つて生じる押上げ板２４自身の弾性力によつて、
行なわれるので、単純な構造で大きな弾性力が得
られ、したがつて、押釦１２の自動復帰が良好
で、また、そのスペースも取られることがないと
いつた利点がある。

しかも、前記押釦１２は、第１図に示すように
押上げ板２４の頂部と薄肉ヒンジとの間の部分が
薄肉ヒンジ２３に対して上方に立ち上がるごとく
形成したものを、薄肉ヒンジ２３の部分から弾性
変形させた状態で凹部１３内に収納しているた
め、薄肉ヒンジ２３と押上げ板２４による大きな
弾性力（弾発力）を得ることができ、押釦１２の
自動復帰力を大きくできるといつた利点がある。

さらに、実施例では、押上げ板２４の中央部が
押圧板側に山形に屈曲した状態で形成され、これ
を凹部内に収納することによつて、山形の押上げ
板の弾発力（弾性反発力）を最大限に利用し、押
上げ板の塑性変形を防止しているために、長期に
亘つて押釦の押上げ板を作用させることができ
る。

また実施例では、押上げ板２４の頂部と押圧板
２０との間に形成した間隙Ｇによつて、押釦１２
の押圧後、押上げ板２４が蓋体１１を突き上げる
までの間、時間的なずれを与えることができるの
で、押上げ板２４の強すぎる弾性接触になる設計
を避けるようにすることができ、また、携帯時に
不用意に押釦に触れても、蓋体が不用意に開口す
るおそれがなくなる。

また、実施例では、前記間隙Ｇの大きさを調整
することによつて、押釦１２の押圧後蓋体１１を
開けるまでの時間的なずれを調整できるので、ユ
ーザーの好みに応じた開け具合を達成することが
できる。

なお、実施例では、押釦が前記凹部の前面に臨
む押圧板と、この押圧板の内面下端より押圧板の
内側に向けて突出するフランジ部と、このフラン
ジ部の先端に形成された薄肉ヒンジと、この薄肉
ヒンジの先端に一体に設けられかつ自身の中央部
が押圧板側に山形に屈曲した押上げ板とから構成
され、かつこの押上げ板が、押釦の凹部への組み
込み前においては、薄肉ヒンジがフランジ部先端
より水平に延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端より
押上げ板が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部分
を上方に突出させた状態で形成されているので、
成形されたままの押釦を凹部に挿入するだけで、
押釦の押上げ板を山形に屈曲した状態でセツトす
ることができ、押釦の取付にあたり、押上げ板を
折曲操作させる必要がないといつた利点もある。

蓋体１１を閉じる場合は、蓋体１１を逆方向
（第３図反時計方向）に回動させて、蓋体１１の
フツク１６を容器本体１０のフツク１４に接触さ
せて押し込み、両フツク１４，１６を係合させ
る。

第４図は本考案の第２実施例を示すもので、容
器本体１０の凹部１３の奥面１３ａにフツク１４
を有する窪み３０を形成することによつて、フツ
ク１４の干渉をなくし、押釦１２の押上げ板２４
先端の切欠部２４ｂを省略したものである。

なお、このような構成としても、先の第１実施
例などと同様の作用効果を奏することができる。

「考案の効果」 以上説明したように本考案は、容器本体の後壁
部に蓋体がヒンジ結合されたコンパクト容器にお
いて、前記容器本体の前壁部に前面および上面に
開口する凹部を形成するとともに、この凹部の奥
面にフツクを突設し、前記蓋体の自由端には、そ
の下面から突出し内面に前記フツクに係合するフ
ツクが突設された係止片を設け、さらに前記凹部
内には前記両フツクの係合を解く押釦を前後方向
に摺動自在に設け、この押釦を前記凹部の前面に
臨む押圧板と、この押圧板の内面下端より押圧板
の内側に向けて突出するフランジ部と、このフラ
ンジ部の先端に形成された薄肉ヒンジと、この薄
肉ヒンジの先端に一体に設けられかつ自身の中央
部が押圧板側に山形に屈曲した押上げ板とから構
成し、かつこの押上げ板を、押釦の凹部への組み
込み前においては、薄肉ヒンジがフランジ部先端
より水平に延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端より
押上げ板が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部分
を上方に突出させた状態で形成し、一方、押釦の
凹部への組込後においては、薄肉ヒンジの弾発力
に抗して押上げ板の先端が凹部の奥面に当接し、
押上げ板の山側の頂部が押圧板側に向かつて山形
形状となるごとく配置し、しかもこの押上げ板の
山形の頂部と押圧板との間に間隙を形成してな
り、かつ、該押上げ板を、押釦の押圧操作時に押
圧板と凹部の奥面との間に挟まれて弾性変形し係
止片の下面を突き上げるように自身の長さ寸法を
設定したものであるから、次のような優れた効果
を奏する。

押釦の下端内面より薄肉ヒンジを介して突出
する山形形状の押上げ板の作用によつて、蓋体
の開口作用、押釦の自動復帰作用をそれぞれ確
実に達成することができ、また構造を単純化し
得て、コストの低下を図ることができる。

本考案では、押上げ板の中央部を折曲するこ
となく、予め押上げ板の中央部を押圧板側に山
形に屈曲した状態で形成し、この押上げ板を備
えた押釦を凹部内に収納することによつて、薄
肉ヒンジを曲げ、押上げ板の先端を凹部の奥面
に当接させ、押上げ板の中間部頂部を押圧板内
面に臨ませることにより、山形の押上げ板の弾
発力（弾性反発力）を最大限に利用でき、ま
た、薄肉ヒンジの弾発力をも利用するので、押
上げ板の塑性変形を防止し得て、長期に亘つて
押釦の押上げ板を作用させることができる。ま
た、押釦の押圧操作時に、押上げ板の山形の頂
部が押圧板の内面に、また先端が凹部の奥面に
それぞれ弾性接触することによつて、押釦の自
動復帰を図る付勢力を得ているので、その付勢
力が大きく、しかも、弾性変形部分が弾性疲労
するようなことがないので、長期に亘つて確実
に前記自動復帰作用を保持することができる。

押釦が前記凹部の前面に臨む押圧板と、この
押圧板の内面下端より押圧板の内側に向けて突
出するフランジ部と、このフランジ部の先端に
形成された薄肉ヒンジと、この薄肉ヒンジの先
端に一体に設けられかつ自身の中央部が押圧板
側に山形に屈曲した押上げ板とから構成され、
かつこの押上げ板が、押釦の凹部への組み込み
前においては、薄肉ヒンジがフランジ部先端よ
り水平に延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端より
押上げ板が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部
分を上方に突出させた状態で形成されているの
で、成形されたままの押釦を凹部に挿入するだ
けで、押釦の押上げ板を山型に屈曲した状態で
をセツトすることができ、押釦の取付にあた
り、押上げ板を折曲操作させる必要がないとい
つた利点もある。

さらに本考案では、押上げ板の頂部と押圧板
との間に形成した間隙によつて、押釦の押圧
後、押上げ板が蓋体を突き上げるまでの間、時
間的なずれを与えることができるので、押上げ
板の強すぎる弾性接触になる設計を避けるよう
にすることができ、また、携帯時に不用意に押
釦に触れても、蓋体が不用意に開口するおそれ
がなくなる。

特に、本考案では、蓋体を開口方向に押し上
げる押上げ板の頂部と押圧板との間に間隙を形
成したからこそ、前述したように、予め押上げ
板の中央部を押圧板側に山形に屈曲した状態で
形成し、この押上げ板を備えた押釦を凹部内に
収納することによつて、押上げ板の弾発力と薄
肉ヒンジの弾性復元力による大きな力を蓋体の
開口方向に加えるようにした構造の口金部の構
造にあつても、前記押上げ板の頂部と押圧板と
の間に形成した間隙が押上げ板の強すぎる弾性
接触になる設計を避けるようにすることがで
き、また、携帯時に不用意に押釦に触れても、
蓋体が不用意に開口するおそれがなくなるもの
である。

また、押釦を自動復帰させる押上げ板自身
が、蓋体を突き上げて開口させる構成であるか
ら、押釦の収納スペースをほとんど取ることが
なく、コンパクト容器の収納部の空間が規制さ
れることがない。

押圧板によつて凹部の前面側の開口部が通常
は閉じられているので、外観もきわめて良好で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の第１実施例を示
すもので、第１図は分解斜視図、第２図および第
３図は作用を説明するために示したもので、そぞ
れ断面図、第４図は本考案の第２実施例を示す分
解斜視図、第５図ないし第８図はそれぞれ従来の
口金部の構造を説明するために示したもので、第
５図は縦断面図、第６図はそれを上から見た断面
図、第７図および第８図はそれぞれ別の口金部の
例を説明するために示した断面図である。 １０……容器本体、１０ａ……前壁部、１１…
…蓋体、１２……押釦、１３……凹部、１３ａ…
…奥面、１５……スライド溝、１４，１６……フ
ツク、１７……係止片、２０……押圧板、２４ａ
……先端、２４ｂ……切欠部、２４ｃ……山形の
頂部、２１……側板、２２……天板、２３……薄
肉ヒンジ、２４……押上げ板、２５……嵌合孔、
２７……切欠部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 容器本体１０の後壁部に蓋体１１がヒンジ結合
   されたコンパクト容器において、前記容器本体１
   ０の前壁部１０ａには前面および上面に開口する
   凹部１３が形成されるとともに、この凹部１３の
   奥面１３ａにはフツク１４が突設され、前記蓋体
   １１の自由端には、その下面から突出し内面に前
   記フツク１４に係合するフツク１６が突設された
   係止片１７が設けられ、さらに前記凹部１３内に
   は前記両フツク１４，１６の係合を解く押釦１２
   が前後方向に摺動自在に設けられ、前記押釦１２
   は、前記凹部の前面に臨む押圧板２０と、この押
   圧板２０の内面下端より押圧板の内側に向けて突
   出するフランジ部と、このフランジ部の先端に形
   成された薄肉ヒンジ２３と、この薄肉ヒンジの先
   端に一体に設けられかつ自身の中央部が押圧板側
   に山形に屈曲した押上げ板２４とからなり、かつ
   この押上げ板２４は、押釦１２の凹部への組み込
   み前においては、薄肉ヒンジ２３がフランジ部先
   端より水平に延出し、かつ、薄肉ヒンジの先端よ
   り押上げ板が、その頂部と薄肉ヒンジとの間の部
   分を上方に突出させた状態で形成されてなり、一
   方、押釦の凹部への組込後においては、薄肉ヒン
   ジの弾発力に抗して押上げ板２４の先端が凹部の
   奥面に当接し、押上げ板２４の山側の頂部が押圧
   板２０側に向かつて山形形状となるごとく配置さ
   れ、しかもこの押上げ板２４の山形の頂部と押圧
   板２０との間には間隙Ｇが形成されてなり、か
   つ、前記押上げ板２４は、押釦１２の押圧操作時
   に押圧板２０と凹部の奥面１３ａとの間に挟まれ
   て弾性変形し係止片１７の下面を突き上げるよう
   に自身の長さ寸法が設定されていることを特徴と
   するコンパクト容器における口金部の構造。