JPH11199688A - プリプレグの製法 - Google Patents

プリプレグの製法

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JPH11199688A
JPH11199688A JP136698A JP136698A JPH11199688A JP H11199688 A JPH11199688 A JP H11199688A JP 136698 A JP136698 A JP 136698A JP 136698 A JP136698 A JP 136698A JP H11199688 A JPH11199688 A JP H11199688A
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JP
Japan
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resin
prepreg
weight
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producing
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JP136698A
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Inventor
Hiroaki Ninomiya
宏明 二宮
Hideo Nagata
秀夫 永田
Hajime Kishi
肇 岸
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、プリプレグの柔軟性、強化材の配向
性および成型品の表面平滑性に優れ、さらに接着強度ム
ラのない優れたプリプレグの製法を提供せんとするもの
である。 【解決手段】本発明のプレプレグの製法は、長繊維から
なる強化材と水系レゾール樹脂を必須構成要素とするプ
リプレグの製法であって、該水系レゾール樹脂のコーテ
ィング温度における粘度が300〜3000ポイズであ
ることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリプレグの柔軟
性、強化材の配向性、成型品の表面平滑性が良好であ
り、かつ接着強度ムラの小さいプリプレグの製法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化複合材料は強化繊維の高
い比強度、比剛性を利用して航空機材料に用いられてき
た。こうした背景を受け、近年では航空機用途のみなら
ずスポーツ・レジャー用途から車両・船舶さらに土木・
建築など一般産業用途へと拡がりを見せている。また、
これら一般産業用途への展開に伴い、耐着火性、低煙性
など燃焼特性に関する要求も高まってきている。
【0003】繊維強化複合材料のマトリックス樹脂とし
ては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などが用いられて
いるが、これら熱硬化性樹脂の中においてフェノール樹
脂の燃焼性が特に優れていることは広く知られている。
フェノール樹脂を用いたプリプレグを作製する場合、溶
剤で希釈した低粘度溶液を含浸する、いわゆるウェット
法と呼ばれる手法が通常用いられる。この手法では、強
化繊維への含浸性に優れたプリプレグが作製できるとい
う利点を有する一方、溶剤を除去するために必要とされ
る後乾燥工程により、プリプレグおよび成型品の表面平
滑性が低下すると共に強化繊維の配向が乱れやすくなる
という問題を有している。また、樹脂の付着量を一定に
制御するためプリプレグ化速度を速めることができない
という欠点を有している。
【0004】これに対し、溶剤を用いることなく加熱溶
融により樹脂を含浸する手法、いわゆるホットメルト法
は後乾燥工程に伴う問題がないため有用である。しか
し、この手法では、樹脂を加熱溶融下で離型紙などの担
体上にコーティングし、一旦巻き取った後強化繊維に圧
着含浸させるために再度巻出す必要がある。しかし、レ
ゾール型フェノール樹脂は溶剤または水に溶解した状態
で市販されており、樹脂凝集力が乏しい。従って、その
ままホットメルト法を適用すると、樹脂フィルム巻出し
時に樹脂が離型紙の裏面に付着して表裏に分離するため
不適当である。そこで、樹脂凝集力アップのために予め
樹脂を加熱濃縮することが考えられるが、フェノール樹
脂の熱安定性を損なうという傾向がある。また、縮合反
応の進行した熱安定性の低いフェノール樹脂を用いる
と、プリプレグの柔軟性、いわゆるドレープ性が低下
し、取扱い性の低いものとなる問題があるし、さらに、
強化繊維への含浸性が低下することにより、プリプレグ
および成型品の表面平滑性が低下してしまうという問題
もある。また、通常使用されるフェノール樹脂は、溶剤
として有機溶媒を含有するタイプのものがよく使用され
ているが、かかるタイプのものを使用すると、強化材へ
の含浸時、乾燥工程時あるいは成型時における有機溶媒
の作業環境面への影響が問題である。
【0005】さらに、フェノール樹脂をマトリックス樹
脂として用いる場合、フェノール樹脂に、特有な揮発分
により成形過程において問題が生じることがある。フェ
ノール樹脂の硬化時に発生する縮合水、および希釈剤あ
るいは安定化剤として含有する溶剤が揮発成分として発
生するため、例えばハニカムサンドウィッチパネルなど
を成形する際にハニカムコアとプリプレグとの間で剥離
してしまうことがある。ここで、ハニカムサンドウィッ
チパネルとは、蜂の巣状の連続した空孔を有するハニカ
ムコアの両面に、スキンパネルと呼ばれる表面材を重ね
合わせた後、加熱加圧して得られる成形体である。
【0006】これら課題の解決を目的として、種々のプ
リプレグの製法が検討されてきた。例えば、特開平3−
81341号公報では、熱可塑性樹脂を溶解したレゾー
ル型フェノール樹脂を固形分濃度が80重量%以上にな
るまで減圧下揮発分を除去した後、離型紙上に塗布し、
この上に強化繊維を引き揃え、加熱ロールで加圧含浸す
るプリプレグの製法が提案されている。しかし、この製
法では、熱可塑性樹脂添加後の減圧下揮発分除去工程に
おけるフェノール樹脂の反応性制御が困難であるという
欠点を有している。このため、安定したマトリックス樹
脂粘度を得ることが困難となり、均一なプリプレグ特性
および成形体物性が得られにくくなる。
【0007】また、特開平4−100851号公報で
は、レゾール系フェノール樹脂にポリアクリルアマイ
ド、エポキシ樹脂および無機充填材を添加した樹脂溶液
をロールミルにて均一分散させた後、非反応性希釈剤で
希釈した樹脂溶液を強化繊維に含浸させた後、熱風乾燥
機にて乾燥するプリプレグの製法が提案されている。し
かし、この製法では、乾燥効率を向上させるため非反応
性希釈剤により希釈する工程が必要とされる上に、熱風
乾燥機を用いた乾燥工程により、強化繊維の繊維配列が
乱れるという欠点を有している。また、ハニカムコアと
の接着性向上のために添加しているエポキシ樹脂により
フェノール樹脂の有する燃焼特性を損なうという問題も
有している。
【0008】さらに、特開平8−151459号公報で
は、レゾール系フェノール樹脂を減圧下、残存溶媒量が
5重量%以下になるように脱溶媒した後、無溶媒状態で
フィルム化、強化繊維への含浸を行うプリプレグの製法
が提案されている。しかし、この製法では、無溶媒状態
の樹脂を強化繊維に含浸するため、充分な含浸性が得ら
れないばかりか、ドレープ性など取扱い性の低いプリプ
レグとなりやすい欠点を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来
技術はいずれもドレープ性、強化材の配向性、成型品の
表面平滑性および接着強度ムラのない優れたプリプレグ
を与えるには充分ではなかった。
【0010】本発明は、かかる従来技術の問題に鑑み、
プリプレグの柔軟性、強化材繊維の配向性および成型品
の表面平滑性に優れ、さらに接着強度ムラのない優れた
プリプレグの製法を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のプレプレグの製法は、長繊維か
らなる強化材と水系レゾール樹脂を必須構成要素とする
プリプレグの製法であって、該水系レゾール樹脂のコー
ティング温度における粘度が300〜3000ポイズで
あることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまりプリ
プレグの柔軟性、強化材繊維の配向性、成型品の表面平
滑性が良好であり、かつ接着強度ムラの小さいプリプレ
グの製法を提供することについて鋭意検討した結果、該
プリプレグの製法において、水系レゾール樹脂を採用
し、かつ、そのコーティング温度における粘度を特定の
範囲に制御したところ、かかる課題を一挙に解決するこ
とを究明し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0013】本発明において用いる長繊維からなる強化
材は、一般に高性能強化材として用いられる耐熱性及び
引張強度の良好な強化材を使用することができる。かか
る強化材としては、たとえば炭素繊維、黒鉛繊維、アラ
ミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維
などの長繊維を使用することができる。この内、比強
度、比弾性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められ
る炭素繊維(黒鉛繊維を含む;以下単に炭素繊維とい
う)長繊維が本発明には最も良好である。
【0014】かかる炭素繊維は用途に応じて、あらゆる
種類のものを用いることが可能であるが、引張強度4.
4GPa、引張伸度1.6%以上の高強度高伸度炭素繊
維が適している。さらに好ましくは、引張強度4.7G
Pa、引張伸度1.9%以上の高強度高伸度炭素繊維が
望ましい。
【0015】かかる長繊維からなる強化材は、その長さ
が5cm以上であることが好ましく、連続繊維が特に高強
度高剛性の複合材料を得るため望ましい。長さが5cm
より短い場合、強化材の強度を複合材料として十分に発
現させることが困難となる。本発明に用いる強化材は、
該炭素繊維と、他の強化繊維を混合して用いることも可
能である。さらに、該強化材の形状や配列も限定され
ず、例えば、単一方向、ランダム方向、シート状、マッ
ト状、織物状、組み紐状など各種のものを使用すること
ができる。これらの中でも、特に、取扱いの容易な織物
状の配列を有するものが好ましく使用され、たとえば、
従来公知の二次元織物が特に好ましく使用される。かか
る織物状の配列を有するものとしての織物組織は、平織
り、綾織り、絡み織り、繻子織りなどの組織の織物が好
ましく使用されるが、これらの中でも、特に平織り組織
の織物が薄い成形体を得やすいため好ましい。
【0016】また、本発明に用いる強化繊維は、複数の
フィラメントから構成される集合体(以下、強化繊維束
と表記)の形で好ましく使用される。この強化繊維束糸
条1本中におけるフィラメント数は、好ましくは600
0〜30000本、さらに好ましくは6000〜180
00本の範囲が望ましい。フィラメント数が6000本
未満であると、単位面積当たりの重量を同一にしようと
した場合、強化繊維束の本数が多くなるため、例えば織
物として使用する場合、クリンプと呼ばれる強化繊維束
間における屈曲部の屈曲度合いが大きくなり、織物の平
滑性が低下してしまう。また、30000本を越える
と、強化繊維束の本数が少なくなるため織物の目開きが
大きくなる上に、織物自身の拘束力が低くなるため取扱
い性も悪くなり、さらに、強化繊維束の厚みが増すた
め、プリプレグ作製あるいは成形の際に、樹脂が含浸し
にくくなる。
【0017】本発明に用いる強化繊維は、断面形状が実
質的に円形であることが好ましい。断面形状が円形であ
ると、樹脂を含浸させる際、フィラメントの再配列が起
こりやすくなり、強化繊維間への樹脂の浸み込みが容易
になるからである。なお、断面形状が実質的に円形であ
るとは、その断面の外接円半径Rと内接円半径rとの比
(R/r)を変形度として定義した場合に、この変形度
が1.1以下のものである。変形度が1.1を越える
と、例えば織物として使用する場合、織り組織を構成す
る強化繊維束の嵩が高くなり、プリプレグとする際に樹
脂を充分に含浸することができなくなる。また、強化材
の配列が単一方向である場合も、プリプレグ表面の凸凹
が大きくなり、表面平滑性の低下したものとなる。さら
に、織物として用いる場合、強化繊維束が充分に広がら
ないため、織物の織り糸間に形成される空隙部または空
隙部に樹脂のみが充填された部分の面積(以下、目開き
と表記)が大きいプリプレグとなり、成型品の表面平滑
性も悪くなりやすい傾向がある。
【0018】本発明の特徴は、もう一方の必須構成要素
として水系レゾール樹脂を採用してプリプレグを製造す
るところにある。かかる水系レゾール樹脂は、フェノー
ル類とホルムアルデヒドの縮合反応により得られる反応
生成物である。水を溶剤とするレゾール樹脂は有機溶媒
を溶剤とするものに対して作業環境面において好まし
い。また、有機溶媒系レゾール樹脂を用いた場合、樹脂
調製時あるいは成型時における溶剤の揮発を制御するこ
とが困難となる傾向があると共に、溶剤揮発速度が速い
場合、強化繊維束の収縮に伴い強化材の配向を乱すこと
がある。なお、本発明に用いる水系レゾール樹脂に、用
途により相溶性を有するノボラック型フェノール樹脂を
適宜加えることができ、固形分濃度を高めることがで
き、かつ、樹脂粘度を調節することもできるという利点
を有する。
【0019】本発明においては、かかる水系レゾール樹
脂からなる樹脂組成物を、前記した強化材に含浸するも
のであるが、該樹脂組成物を離型紙などの上にコーティ
ングする際、そのコーティング温度における該樹脂組成
物の粘度が、300〜3000ポイズ、好ましくは60
0〜1500ポイズの範囲にあるものを用いる点に特徴
を有するものである。すなわち、該粘度が300ポイズ
未満であると、プリプレグ作製時に樹脂が流れやすく均
一な樹脂含有量のプリプレグが得られない上に、成形中
の樹脂流れが多いため繊維配列が乱れやすくなる。特
に、強化材の配列が単一方向である場合、強化繊維の配
列が乱れることに加えて近接する強化繊維同士が交絡す
るため、複合材料とした際に繊維軸方向の強度が低下す
る傾向がある。さらに、樹脂目付のムラが大きくなり、
均一な接着強度の成形体を得られないことがある。ま
た、樹脂の粘着力、いわゆるタック性が強くなるため、
樹脂を離型紙上に塗布する場合、樹脂が離型紙の裏面に
取られやすくなる傾向がある。また、逆に該粘度が30
00ポイズを越えると、強化繊維への含浸性が低下する
と共に、樹脂流れが少ないため表面平滑性の低いプリプ
レグとなりやすい上、成型品の表面平滑性も低下しやす
くなる。さらに、塗布量の均一な樹脂フィルムが得られ
にくいため接着強度にムラのある成形体となりやすい。
【0020】なお、本発明におけるコーティング温度と
は、該樹脂組成物中の水系レゾール樹脂の縮合反応が進
みにくい温度であり、好ましくは120℃以下、さらに
好ましくは100℃以下がよい。
【0021】本発明は、このようなプリプレグの製法に
おいて、コーティング温度における粘度が300〜30
00ポイズという特定の範囲にある水系レゾール樹脂組
成物を用いることによって、プリプレグの柔軟性、強化
材繊維の配向性、成型品の表面平滑性および接着強度ム
ラの小さい優れたプリプレグの製法を提供することがで
きることを見出したものである。
【0022】本発明の該樹脂組成物中の揮発分量は、好
ましくは5〜25重量%、さらに好ましくは10〜20
重量%に制御したものがよい。すなわち、該揮発分量が
25重量%を越えると、成形中に発生する揮発分量が多
くなり、成型品表面に揮発分の脱離に伴う凹凸が生じる
ため、表面平滑性が低下してしまう。また、ハニカムサ
ンドウィッチパネルを成形する際、ハニカムコア内の圧
力が高くなり、ハニカムコアとスキンパネルとの接着強
度の低い成形体となる。さらに、揮発分量が多いと、プ
リプレグ表面の粘着力、いわゆるタック性が強くなり、
複雑形状の成形物を成形する際、表面にしわが発生しや
すくなる。また、該揮発分量が5重量%未満では、水系
レゾール樹脂の熱安定性が低下し、各プロセスにおける
温度制御が困難となるため、安定したプリプレグ特性お
よび成形体力学物性が得られにくく、樹脂粘度も高くな
り、プリプレグとした際の柔軟性が低下し、取扱い性の
低いものとなる傾向がある。
【0023】本発明に用いる該樹脂組成物では、樹脂粘
度を高くするため、熱可塑性樹脂を添加することが好ま
しい。熱可塑性樹脂としては、ベースとなる水系レゾー
ル樹脂に相溶性を有するものであればどのようなもので
もよいが、特にポリビニルフォルマール、ポリビニルブ
チラール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルアクリルアミド、ポリビニルアセター
ル、ポリエチレングリコール、ポリメチルメタクリレー
トが好ましく使用される。これら熱可塑性樹脂の添加量
は、水系レゾール樹脂の不揮発分100重量部に対して
0.5〜30重量部の範囲にあることが好ましい。すな
わち、0.5重量部未満であると、樹脂粘度が低いた
め、離型紙などの担体上に塗布することが困難となる傾
向がある。特に、強化材の配列が単一方向である場合、
強化材により樹脂を保持することができないため取扱い
性の低いプリプレグとなる。また、30重量部を越える
と、樹脂粘度が高くなるため、均一な樹脂フィルムを作
製することが困難となると共に、水系レゾール樹脂の燃
焼特性を損ないやすくなる。
【0024】また、これら熱可塑性樹脂のうち、特に重
量平均分子量が30万〜300万の範囲にある超高分子
量のものが好ましく、さらに好ましくは50万〜200
万のものがよい。すなわち、該重量平均分子量が30万
未満であると、樹脂粘度が高くなりにくい上、樹脂のタ
ック性が強くなるため、成型品の表面平滑性が低下しや
すい傾向がある。また、該重量平均分子量が300万を
越えると、樹脂粘度が高くなり、均一な樹脂フィルムを
作製することが困難となる。また、プリプレグとした
際、ドレープ性の低いものとなりやすい。
【0025】本発明に用いる樹脂組成物には、燃焼特性
に影響しない範囲において他の熱硬化性樹脂、たとえば
エポキシ樹脂を添加することも可能である。エポキシ樹
脂を添加することにより、熱可塑性樹脂の水系レゾール
樹脂に対する相溶性の向上、プリプレグの加工性向上、
または成形体の機械的強度の向上が期待できる。
【0026】なお、本発明に用いる水系レゾール樹脂
に、無機物、フィラー、難燃剤、着色剤、染料、硬化促
進剤、反応遅延剤など他の成分を適宜添加してもよい。
【0027】本発明のプリプレグを作製する方法として
は、所定の粘度に調製した樹脂組成物をリバースロール
コーターにて離型紙上に塗布した後、この樹脂フィルム
を強化繊維の両面から貼着し、加熱ロールにより加圧含
浸する方法が好ましく用いられるが、これに限定されな
い。例えば、所定量の樹脂を離型紙などの担体上に塗布
した後、この樹脂フィルムを片面からのみ供給し、加熱
加圧含浸する方法によっても作製可能である。あるい
は、樹脂を離型紙上に塗布すると同時に強化繊維に含浸
する方法、またダイコーターなどにより直接樹脂を強化
繊維に塗布含浸する方法などを用いることも可能であ
る。
【0028】また、プリプレグのタック性を制御する方
法として、上記のような手法を用いて一旦強化材に樹脂
組成物を含浸させたプリプレグを作製した後、一定温度
で加熱処理する方法を用いることも可能である。
【0029】なお、本発明に用いるハニカムコアとして
は、アルミニウム製、紙製、アラミド製、ガラス製、繊
維強化プラスチック製など公知のものが使用可能である
が、特にノーメックハニカムと呼ばれるアラミド製のも
のが好適に用いられる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。
【0031】なお、本実施例において用いた種々の物性
などについては以下の手法を用いた。
【0032】(1)マトリックス樹脂粘度 Rheometrics(株)社製ARES粘弾性測定
システム(拡張型)に おいて、パラレルプレート型
治具(40mmφ)を用いて測定した。測定条件 は、
昇温速度10℃/分、周波数3.14rad/s、ギャ
ップ0.78mm とした。
【0033】(2)揮発分量(Vc) 調製した水系レゾール樹脂を、150℃のオーブン中で
1時間加熱し、加熱前後の重量変化から算出した。
【0034】(3)樹脂含有量 プリプレグを4×4インチに切出し、この重量をW1と
する。これをN−メチル−2−ピロリドン、メチルエチ
ルケトンおよび塩化メチレン中でそれぞれ5分間ずつ超
音波洗浄し、樹脂を溶解した。この後、未溶解物を12
0℃/30分間加熱処理した後の重量をW2とし、次式
から算出した。
【0035】[W1(1−Vc)−W2/W1(1−V
c)]×100(%) (4)ハニカムサンドウィッチパネルの成形 所定枚数および構成のプリプレグを積層し、ノーメック
スハニカム(昭和飛行機(株)社製SAH1/8−3.
0)に重ね合せた。この上下にFEPフィ ルムを置
き、ステンレス製板の間に挟み、プレス成形により加熱
加圧成形し た。加熱条件は、138℃/16分と
し、圧力は17kg/cm2 とした。 但し、138
℃にて測定したプリプレグのゲルタイムに対して10〜
15秒 前に1度プレスを解放し、揮発ガスを除去し
た後、再度加熱する手法を用い た。
【0036】(5)ドレープ性 プリプレグを15×85mmに切り出し、これについてJ
IS規格「繊維強化プラスチックの曲げ試験法」に従
い、“インストロン”4201型万能材料試験機(イン
ストロン・ジャパン(株)社製)を用いて曲げ弾性率測
定を行っ た。圧子径は4mmφ、負荷速度は5mm/
分、スパン間距離は40mmとした。 測定環境は、2
5℃、50%RHとした。この測定法では、曲げ弾性率
が高 いほど、ドレープ性が低いことを意味する。
【0037】(6)目曲がり(強化材の配向性) 炭素繊維織物を基材とする織物プリプレグを作製し、以
下のようにして測定した。任意のよこ糸Aを選び、この
よこ糸の1点(以下、点aとする)に対し織物の端部に
垂直な21インチ長さの補助線1を引く(補助線の終点
を点bとする)。点bから補助線1に対して垂直に補助
線2を引き、よこ糸Aにおける点aに対応する箇所との
交点を点cとした時、点b−点c間の距離を測定する。
これを5回行い、この平均値を目曲がりとした。
【0038】(7)表面平滑性 (0°/90°)構成のプリプレグ1プライをノーメッ
クスハニカムコアの両面に、織物プリプレグの経糸方向
がハニカムコアのリボン方向と垂直になるよう配置して
貼り合わせる。これを、上記(4)の条件で成形した。
このパネルの上下両面についてミツトヨ(株)社製表面
粗さ計サーフテスト301 により定量した。触針に
より長さ8mmについて評価し、その間における最高
点5点の平均高さと最低点5点の平均高さとの差を求め
た。これを5回行い 、その平均値を表面粗さとし
た。この数値が小さいほど、表面平滑性が高い こと
を意味する。
【0039】(8)クライミング・ドラム・ピール強度
(以下、CDPと表記) (0°/90°)構成のプリプレグ1プライをノーメッ
クスハニカムコア(13インチ[リボン方向に垂直な方
向]×16インチ[リボン方向])の両面に、織物プリ
プレグの経糸方向がハニカムコアのリボン方向と垂直に
なるよう配置して貼り合わせる。
【0040】これを、上記(4)の条件で成形した後、
12インチ方向がハニカムコアのリボン方向と垂直にな
るよう3インチ×12インチに5試験片を切り出し、A
STM D1781に従い測定し、平均値(n=5)を
とった。
【0041】(9)接着強度ムラ 上記(8)の測定を成形板2枚について行い、n=10
とした場合のCDP標準偏差を接着強度ムラとした。
【0042】なお、本実施例には、以下の炭素繊維織物
を用いた。
【0043】 T700S−12K−50C(東レ(株)社製)織物 炭素繊維束糸条1本あたりのフィラメント数 12000本 引張強度 4.9GPa 引張伸度 2.1% 変形度 1.05 構成 平織り 目付 193g/m2 実施例1〜2 ベースとなる水系レゾール樹脂固形分100重量部に対
して所定重量部の熱可塑性樹脂を30℃以下の温度にて
分散させた後、加熱下混練した。これを45℃以下まで
降温した後、無機物を添加混練し、マトリックス樹脂と
した。これら樹脂をリバースロールコーターを用いて4
0℃で離型紙上にコーティングし、樹脂フィルムとし
た。この樹脂フィルムを炭素繊維織物の両面から貼着し
た後、加熱加圧含浸し中間体プリプレグを得た。樹脂含
有量は、ハニカムパネル成形後のスキンパネルにおいて
41%となるよう調整した。この中間体プリプレグを4
0℃オーブン中で14日加熱処理しプリプレグを得た。
これらプリプレグは適度なドレープ性を有する取扱い性
の良好なものであった。樹脂組成と合わせ結果を表1に
示した。
【0044】比較例1〜2 樹脂組成を表1のように変更した以外は実施例1および
2と同様にしてプリプレグを得た。
【0045】熱可塑性樹脂の添加量を変更した比較例1
では、40℃における樹脂粘度が120ポイズと低いた
め、プリプレグの曲げ弾性率が17kgf/mm2 と低い
値となり、変形しやすく取扱い性の低いプリプレグとな
った。また、樹脂粘度が低すぎるため、繊維の配向性も
乱れたものとなった。さらに、離型紙の裏面に樹脂が付
着して表裏に分離したため、均一な樹脂目付のプリプレ
グが得られなかった上、成型品の表面平滑性も低いもの
となった。また、無機物の添加量を変更した比較例2で
は、60℃においても樹脂粘度が7800ポイズと高
く、樹脂目付の均一なフィルムを作製することが困難で
あった。作製したプリプレグの曲げ弾性率は520kg
f/mm2 と大きく、剛直でドレープ性に劣るプリプレグ
となった。また、成型品の表面平滑性は低く、接着強度
ムラも大きいものとなった。樹脂組成と合わせ結果を表
1に示した。
【0046】
【表1】 表1から明らかなように、樹脂組成物のコーティング温
度における粘度が300ポイズ未満であると、成形中の
樹脂流れが多いため、表面平滑性の低い成形体となり、
また、粘度が3000ポイズを越えると、目曲がりの大
きいプリプレグとなる上、成形体の表面平滑性も低下し
てしまうことがわかる。
【0047】実施例3〜4 熱可塑性樹脂の重量平均分子量を表2のように変更した
以外は実施例1および2と同様にしてプリプレグを得
た。これらプリプレグは適度なドレープ性を有する取扱
い性の良好なものであった。樹脂組成と合わせ結果を表
2に示した。
【0048】比較例3 熱可塑性樹脂として重量平均分子量の異なるものを用い
た以外は実施例3および4と同様にしてプリプレグを得
た。40℃においても樹脂粘度が190ポイズと低いた
め、繊維配向性の乱れたプリプレグとなると共に、目曲
がりの大きいものとなった。また、ハニカムサンドウィ
ッチパネルを成形する際、樹脂粘度が低いため樹脂流れ
が大きくなり、接着強度ムラの大きいものとなった。樹
脂組成と合わせ結果を表2に示した。
【0049】比較例4 比較例3と同様の重量平均分子量の熱可塑性樹脂を用
い、その添加量を変更した以外は実施例3および4と同
様にしてプリプレグを得た。60℃における樹脂粘度が
6800ポイズと高く、樹脂目付の均一なフィルムを作
製することが困難であった。作製したプリプレグも曲げ
弾性率が460kgf/mm2 と大きく固いものとなっ
た。このため、成型品の表面平滑性は低下し、接着強度
ムラも大きいものとなった。樹脂組成と合わせ結果を表
2に示した。
【0050】
【表2】 表2から明らかなように、樹脂組成物のコーティング温
度における粘度が300ポイズ未満であると、強化繊維
の配列が乱れる上に、成形中の樹脂流れが多くなるた
め、得られた成形体は接着強度が低く、かつ、接着強度
ムラの大きいものとなり、また、粘度が3000ポイズ
を越えると、樹脂目付の均一なフィルムを得ることが困
難であるため、得られる成形体は、接着強度ムラの大き
いものとなってしまうことがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、繊維強化複合材料用プ
リプレグとして、優れたプリプレグ柔軟性、強化材の配
向性、成型品の表面平滑性および接着強度ムラを発現す
るプリプレグを安定して提供することができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長繊維からなる強化材と水系レゾール樹脂
    を必須構成要素とするプリプレグの製法であって、樹脂
    組成物のコーティング温度における粘度が300〜30
    00ポイズであることを特徴とするプリプレグの製法。
  2. 【請求項2】該樹脂組成物が、5〜25重量%の揮発分
    を含むものである請求項1記載のプリプレグの製法。
  3. 【請求項3】該樹脂組成物が、該水系レゾール樹脂の不
    揮発分100重量部に対して、0.5〜30重量部の熱
    可塑性樹脂を含有するものである請求項1または2記載
    のプリプレグの製法。
  4. 【請求項4】該熱可塑性樹脂が、30万〜300万の範
    囲の重量平均分子量を有するものである請求項3記載の
    プリプレグの製法。
  5. 【請求項5】該長繊維が、炭素繊維である請求項1記載
    のプリプレグの製法。
  6. 【請求項6】該炭素繊維が、6000〜30000本の
    範囲のフィラメント本数からなる炭素繊維束糸条である
    請求項5記載のプリプレグの製法。
  7. 【請求項7】該強化材が、織物状の配列を有するもので
    ある請求項1記載のプリプレグの製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014069391A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Mitsubishi Rayon Co Ltd プリプレグの製造方法

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