JPH11320554A - 織物プリプレグ - Google Patents

織物プリプレグ

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JPH11320554A
JPH11320554A JP10138943A JP13894398A JPH11320554A JP H11320554 A JPH11320554 A JP H11320554A JP 10138943 A JP10138943 A JP 10138943A JP 13894398 A JP13894398 A JP 13894398A JP H11320554 A JPH11320554 A JP H11320554A
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JP
Japan
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prepreg
resin
woven
carbon fiber
kgf
Prior art date
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Application number
JP10138943A
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English (en)
Inventor
Hideo Nagata
秀夫 永田
Hiroaki Ninomiya
宏明 二宮
Nobuyuki Tomioka
伸之 富岡
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、フェノール系樹脂をマトリックス樹
脂とする繊維強化複合材料において、複雑形状および厚
物の成形体の賦型性に優れた織物プリプレグを提供せん
とするものである。 【解決手段】本発明の織物プレプレグは、炭素繊維とフ
ェノール系樹脂を必須構成要素とする織物プリプレグで
あって、該プリプレグのプリプレグ接着性(Fp)が
0.02N/mm2 ≦Fp≦0.5N/mm2 であり、か
つ、プリプレグ曲げ弾性率(Ep)が5kgf/mm2
Ep≦250kgf/mm2 であることを特徴とするもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール系樹脂
をマトリックス樹脂とする複雑形状および厚物成形体の
賦型性に優れた繊維強化複合材料用織物プリプレグに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化複合材料は強化繊維の高
い比強度、比剛性を利用して航空機材料に用いられてき
た。こうした背景を受け、近年では航空機用途のみなら
ずスポーツ・レジャー用途から車両・船舶さらに土木・
建築など一般産業用途へと拡がりを見せている。これら
一般産業用途への展開に伴い、耐着火性、低発煙性など
燃焼特性に関する要求が高まってきている。
【0003】繊維強化複合材料の形態として、従来多く
用いられているものに積層成形体がある。積層成形体と
は、所定枚数のプリプレグを積層した後、マトリックス
樹脂を硬化させることにより得られる成形体である。積
層成形体を用いた材料については、航空機用途を始め、
ゴルフシャフト、テニスラケットおよび釣り竿などのス
ポーツ・レジャー用途、砥石製造用保持体、車両内装
材、産業用ヘルメットおよび建材などの一般産業用途ま
で幅広く使用されている。
【0004】また、繊維強化複合材料の形態として、近
年多用されているもののひとつに、ハニカムサンドウィ
ッチパネルがある。ハニカムサンドウィッチパネルは軽
量でかつ剛性に優れているため、航空機用途を始め、ス
ポーツ用途、車両、船舶などの構造材料として使用され
ている。
【0005】ここで、ハニカムサンドウィッチパネルと
は、蜂の巣状の連続した空孔を有するハニカムコアの両
面に、スキンパネルと呼ばれる表面材を重ね合わせた後
加熱加圧して得られる成形体である。航空機の内装材料
としては、ノーメックスハニカムと呼ばれるアラミド製
ハニカムコアにガラス繊維、ケブラー繊維、炭素繊維な
どで強化された熱硬化性樹脂プリプレグを組み合わせた
ものが用いられている。
【0006】これら繊維強化複合材料のマトリックス樹
脂としては、エポキシ系樹脂やフェノール系樹脂などが
用いられており、このうちエポキシ樹脂はハニカムコア
との接着性などに優れていることから広く用いられてい
る。しかし、エポキシ系樹脂は燃えやすく、発熱量およ
び発煙量が多いなど耐燃焼特性が低いという問題を有し
ている。これに対し、フェノール系樹脂が熱硬化性樹脂
の中において優れた耐燃焼特性を有していることは広く
知られている。
【0007】プリプレグから繊維強化複合材料とする成
形方法としては、いくつかの方法があるが、一般にプレ
ス成形法がよく用いられている。この方法はプリプレグ
を、加熱した型枠の間に置き、加圧により成形するもの
である。また、オートクレーブ法では、プリプレグを型
枠の間に置き、これら全体をフィルムで密閉した後、圧
力容器内で加熱加圧して成形体を得るものである。
【0008】繊維強化複合材料の形状として平板のよう
な単純形状物の成形においては、型枠などの成形保持板
に合わせて、プリプレグの位置がずれないように注意し
て作業すれば、シワが入ることはまずあり得ない。ま
た、厚物成形体においても、積層作業の際、1枚毎にロ
ールなどで層間の空気を追い出しながら作業すればシ
ワ、ボイドのない成形体を得ることが可能である。
【0009】繊維強化複合材料の形状は、使用される目
的・用途により種々異なるが、平板あるいは角柱のよう
な同一断面を有する単純な形状に加えて、近年の多用途
化に伴い、積層成形体、ハニカムサンドウィッチパネル
を問わず、より複雑な形状の成形体が求められるように
なってきた。ここで言う複雑形状とは、例えば航空機内
部窓枠あるいはヘルメットのような曲面を有する形態で
ある。
【0010】ここで、未硬化状態のフェノール系樹脂は
一般に低粘度であり、接着力が強いため、複雑形状物の
成形においては、その接着力の強さゆえ、プリプレグ同
士が部分的に接着し、たるみ、しわを発生させやすい傾
向にあった。
【0011】これに対し、接着力を低下させるために、
各種添加剤で樹脂粘度を高くする手法がとられてきた
が、プリプレグを作製する際、強化繊維束にマトリック
ス樹脂が十分に含浸せず、溶存空気を多く含んだプリプ
レグとなるため、成形体とした際にボイドと呼ばれる空
孔を生じやすく、成形体の機械物性などへの影響がしば
しば問題となってきた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来技術
は複雑形状および厚物の成形体の賦型性に十分なプリプ
レグではなかった。
【0013】本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、フ
ェノール系樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化複合
材料において、複雑形状および厚物成形体の賦型性に優
れた織物プリプレグを提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の織物プレプレグは、炭素繊維と
フェノール系樹脂を必須構成要素とする織物プリプレグ
であって、該プリプレグのプリプレグ接着力(Fp)が
0.02N/mm2 ≦Fp≦0.5N/mm2 であり、か
つ、プリプレグ曲げ弾性率(Ep)が5kgf/mm2
Ep≦250kgf/mm2 であることを特徴とするもの
である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、炭素繊維とフェノール
系樹脂を必須構成要素となるプリプレグにおいて、前記
課題、複雑形状および厚物の成形性に優れた織物プリプ
レグを提供することについて鋭意検討した結果、該織物
プリプレグを、プリプレグ接着力(Fp)が0.02N
/mm2 ≦Fp≦0.5N/mm2 であり、かつプリプレグ
曲げ弾性率(Ep)が5kgf/mm2 ≦Ep≦250k
gf/mm2 という、特定な範囲の特性を有するものに制
御してみたところ、かかる課題を一挙に解決することを
見いだし、本発明を完成させるに至ったものである。
【0016】本発明による織物プリプレグのプリプレグ
接着力(Fp)は0.02N/mm2≦Fp≦0.5N/m
m2 であることが必須であり、好ましくは0.03N/m
m2≦Fp≦0.3N/mm2 である。プリプレグ接着力
(Fp)はプリプレグの接着、すなわちタック性の指標
でり、Fpが0.5N/mm2 を越えるとプリプレグを積
層する際、誤って積層した場合、そのプリプレグを剥が
すことが困難であり、作業性を著しく低下させてしま
う。
【0017】特に、複雑形状物の成形を行う場合、金型
などの成形用型枠にプリプレグに貼着すると、プリプレ
グが滑りにくいため、誤った位置にプリプレグを接着し
てしまった場合、そのプリプレグが剥がれにくくなり、
仮に剥がせたとしてもそのプリプレグは変形して、再使
用できない場合がある。
【0018】さらに、型枠に樹脂が付着した場合、改め
てプリプレグを貼り直そうとする前に付着した樹脂を除
去する必要があり、作業性を低下させてしまう。
【0019】また、ハニカムサンドウィッチパネルを作
製する場合、スキンパネル上に装飾フィルムを貼り、成
形と同時に接着することがある。この場合、プリプレグ
のタック性が強すぎると、フィルムを張り合わせる際に
空気を抱き込み、成形体表面におけるシワ、凹凸および
内部ボイドの原因となりやすい。
【0020】プリプレグ接着力(Fp)が0.02N/
mm2 未満である場合、成形用型枠上でプリプレグが滑る
ため、設定位置からずれやすくなり、シワ、凹凸および
内部ボイドを生じやすくなる。
【0021】本発明による織物プリプレグのプリプレグ
曲げ弾性率(Ep)は5kgf/mm2 ≦Ep≦250k
gf/mm2 であることが必須であり、好ましくは10k
gf/mm2 ≦Ep≦200kgf/mm2 である。
【0022】プリプレグ曲げ弾性率(Ep)はプリプレ
グのしなやかさ、あるいは柔軟性の指標であり、ドレー
プ性を示すものである。このプリプレグ曲げ弾性率Ep
もまたプリプレグ接着力(Fp)と同様に積層、成形作
業に影響を及ぼす。プリプレグ曲げ弾性率(Ep)が低
いと、プリプレグがしなやかで柔軟性があることを示し
ている。すなわち、そのプリプレグにはドレープ性があ
ると言うことができる。
【0023】曲げ弾性率(Ep)が250kgf/mm2
を越える場合、プリプレグが硬すぎて柔軟性に乏しく、
複雑形状の成形用型枠に追従しない上にプリプレグ同士
の接着力が低下してしまう。特に、厚物成形体ではプリ
プレグを重ね合わせることが困難であり、加圧した際に
プリプレグ同士がずれるため成形体表面にシワやボイド
が発生する。
【0024】逆に、プリプレグ曲げ弾性率(Ep)が5
kgf/mm2 未満である場合、プリプレグに腰がなく柔
らかすぎるため、プリプレグを重ね合わせた際にシワが
入りやすくなり、取り扱いに注意を必要となり作業性が
低下してしまう。
【0025】本発明において必須構成要素である炭素繊
維は、一般に高性能強化繊維として用いられる耐熱性及
び引張り強度の良好な炭素繊維であるが、用途に応じ
て、あらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であ
る。
【0026】また、他の強化繊維との併用も可能であ
り、それら強化繊維としては黒鉛繊維、アラミド繊維、
ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維などが挙げられ
る。
【0027】かかる炭素繊維としては、断面形状が実質
的に円形であるものが好ましい。断面形状が円形である
と、樹脂を含浸させる際、フィラメントの再配列が起こ
りやすくなり、炭素繊維間への樹脂の浸み込みが容易に
なるからである。さらに、炭素繊維束の厚みを薄くする
ことが可能となるため、複雑形状に追従するしなやか
さ、すなわち、曲げ弾性率の低い織物プリプレグを得や
すいという利点がある。なお、断面形状が実質的に円形
であるとは、その断面の外接円半径Rと内接円半径rと
の比(R/r)を変形度として定義した場合に、この変
形度が1.1以下であるものを意味する。かかる変形度
が1.1を越えると、織物組織を構成する炭素繊維束の
嵩は高くなり、その変形度ゆえに樹脂が浸透しにくく、
樹脂未含浸部を生ずる。さらに、織物として用いる場
合、炭素繊維束が充分に広がりにくくなるため、織物の
織り糸間に形成される空隙部または空隙部に樹脂のみが
充填された部分(以下、目開きと表記)の面積が大きい
プリプレグとなり、成型品の表面平滑性も悪くなりやす
い傾向がある。
【0028】本発明の織物を構成する織糸である炭素繊
維糸条1本中のフィラメント数は、好ましくは6000
〜30000本、さらに好ましくは6000〜1800
0本の範囲にあるものがよい。かかるフィラメント数が
6000本未満であると、単位面積当たりの重量を同一
にしようとした場合、炭素繊維束の本数が多くなるため
クリンプと呼ばれる炭素繊維束間における屈曲部の屈曲
度合いが大きくなり、織物の平滑性が低下する傾向がで
てくる。また、30000本を越えると、炭素繊維束の
本数が少なくなるため織物の目開きが大きくなる上に、
織物自身の拘束力が低くなるため目ずれが生じやすく、
織物の取扱い性も悪くなる傾向がある。さらに、炭素繊
維束の厚みが増すため、プリプレグ作製あるいは成形の
際に、樹脂が含浸しにくくなる。
【0029】また、本発明に用いる炭素繊維織物として
は、従来公知の二次元織物を用いることができる。織物
組織としては、平織り、綾織り、絡み織り、繻子織りな
どの組織の織物が好ましく使用されるが、これらの中で
も、特に平織りおよび繻子織り組織の織物が薄い成形体
を得やすいため好ましい。
【0030】本発明のもう一方の必須構成要素であるフ
ェノール系樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドの
縮合反応により得られる反応生成物であり、レゾール型
フェノール樹脂であってもノボラック型フェノール樹脂
であってもよい。このうち、液状でかつ加熱のみによっ
ても硬化可能なレゾール型フェノール樹脂がプリプレグ
作製時における取り扱い性の点から好ましい。レゾール
型フェノール樹脂としては、アルコールなどの有機溶剤
系のものおよび水を溶剤とするものいずれであっても使
用可能であるが、作業環境面から水を溶剤とするものが
好ましい。また、有機溶媒系レゾール樹脂は、室温環境
下にプリプレグを放置した際、溶剤の揮発に伴うタック
性などプリプレグ特性における経時変化が大きいことが
あり、これに対し水系レゾール樹脂では経時変化が小さ
いため、安定した成形が得られやすくなる。なお、用途
によりレゾール型フェノール樹脂にノボラック型フェノ
ール樹脂を適宜加えることも可能である。
【0031】かかるフェノール系樹脂においては、プリ
プレグのドレープ性を損うことなく、タック性を制御す
るため、またはハニカムコアとのタック性を向上させる
目的で、熱可塑性樹脂を添加することは好ましいことで
ある。かかる熱可塑性樹脂としては、ベースとなるフェ
ノール系樹脂と相溶性を有するものであればどのような
ものでもよいが、特にポリビニルフォルマール、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルア
クリルアミド、ポリビニルアセタール、共重合ナイロン
およびダイマー酸ポリアミドなどが好ましく使用され
る。
【0032】また、耐燃焼特性に影響しない範囲におい
て、他の熱硬化性樹脂、たとえばエポキシ系樹脂を添加
することも可能である。エポキシ系樹脂を添加すること
により、熱可塑性樹脂のフェノール系樹脂に対する相溶
性の向上、プリプレグの製造過程における作業性向上、
または成形体の機械的強度の向上が期待できる。
【0033】また、用途によりマトリックス樹脂の靭性
向上を目的として、フェノール系樹脂とイソシアネート
とを反応させて得られるウレタン変性フェノール樹脂を
適宜混合して用いることも可能である。
【0034】なお、本発明に用いるフェノール系樹脂
に、無機物、フィラー、難燃剤、着色剤、染料、硬化促
進剤、反応遅延剤など他の成分を適宜添加してもよい。
【0035】本発明により得られる織物プリプレグは、
そのカバーファクターが93%以上99.5%未満の範
囲であることが好ましく、さらに好ましくは95%以上
99.5%未満である。ここで、カバーファクターと
は、織物の織り糸間に形成される目開き部分を除いた織
り糸に占有される部分で定義する。まず、織物プリプレ
グ上に面積S1の領域を設定し、面積S1の内において
形成される目開き部分の面積をS2とし、次式から算出
する。
【0036】(カバーファクター)=[(S1−S2)
/S1]×100(%) なお、織物プリプレグの目開き部の面積を測定しにくい
場合は、織物プリプレグの下方から光を当てると、炭素
繊維の部分と炭素繊維が存在せず樹脂のみが充填された
部分を明確に区別することができる。
【0037】かかるカバーファクターが99.5%を越
えると、炭素繊維束の動きが規制されるため、織物プリ
プレグの柔軟性が乏しくなる傾向がある。
【0038】また、カバーファクターが93%未満であ
ると、炭素繊維束が動きやすくなり、いわゆる目ずれが
起こりやすくなる。また、成形品表面に炭素繊維の存在
しない部分が多くなるため、表面平滑性の低いプリプレ
グとなりやすい。このため、成型品とした際、目開き部
に存在する樹脂から脱離する揮発分により目開き部に凹
凸ができやすく、表面平滑性が低下するとともに、炭素
繊維束の配列も乱れやすくなるため、さらに成形体の表
面品位が低下してしまう。
【0039】該織物プリプレグは、その最低粘度が50
000ポイズ以下であることが好ましい。50000ポ
イズを越えると、例えば複雑形状のハニカムサンドウィ
ッチパネルを成形する際、ハニカムコアとスキンパネル
の間で剥離が発生したり、成形体表面にしわが発生する
などの問題が生じることがある。
【0040】本発明の織物プリプレグを作製する方法と
しては、低粘度のマトリックス樹脂溶液に炭素繊維を浸
漬するウェット法および高粘度のマトリックス樹脂溶液
を用いるホットメルト法のいずれも好適に採用すること
ができる。
【0041】ウェット法とは、例えば低粘度のマトリッ
クス樹脂溶液に炭素繊維織物を浸漬し含浸させた後、ロ
ールなどで樹脂付着量が一定になるように絞り、加熱処
理により溶剤の除去およびフェノール系樹脂の縮合反応
を部分的に進行させ、目的とする表面状態のプリプレグ
を得る方法である。
【0042】この手法では、熱処理工程において、加熱
温度および時間、加熱方式および織物プリプレグの形態
などにより表面状態が変化しやすく再現性のあるプリプ
レグ作製が困難であるものの、含浸性に優れたプリプレ
グが得られる上にマトリックス樹脂として使用できる樹
脂の範囲が広いため好ましい。
【0043】これに対し、ホットメルト法は、例えばウ
ェット法対比高粘度のマトリックス樹脂を離型紙などの
担体上に塗布し、該樹脂塗布面を強化繊維の上下に配置
した後、加熱加圧することにより樹脂を含浸させてシー
ト状にする方法であり、冷却後離型紙を剥離し、改めて
柔軟な離型フィルムなどをはさんでロール状に巻き取る
方法である。この手法では、用いるマトリックス樹脂に
制限はあるものの、均一な樹脂目付のフィルムを作製す
ることができ、安定なプリプレグ特性が得られるため好
ましい。
【0044】また、プリプレグ接着力を制御する方法と
しては、上記のような手法を用いて一旦炭素繊維織物に
フェノール樹脂を含浸させたプリプレグを作製した後、
特開平9−100360のように粒子をプリプレグ表面
に散布する方法あるいはプリプレグを熱処理する方法な
どを採用することができる。
【0045】このうち、プリプレグを熱処理する方法と
しては、60℃以下の温度雰囲気中にプリプレグをロー
ル状あるいは平板状などの形態で一定時間処理する手法
を用いることができる。この場合、処理日数は、1日か
ら30日の範囲が好ましく、フェノール系樹脂の縮合反
応が序々に進行するため再現性が良く、目的とする表面
状態のプリプレグが得られる。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。なお、本実施例において用いた種々の物性などに
ついては以下の手法を用いた。
【0047】(1)カバーファクター 作製した織物プリプレグから画像処理法によりカバーフ
ァクターを求めた。予め、織物部分と空隙部および樹脂
のみが充填された部分とを区別できるよう設定した装置
を用い、全織物プリプレグ面積S1および目開き部分の
面積S2から、次式により算出した。
【0048】(カバーファクター)=[(S1−S2)
/S1]×100(%) (2)プリプレグ最低粘度 プリプレグの総厚みが、1mm以上となるように所定枚数
のプリプレグを積層し、これをRheometrics
(株)社製粘弾性測定装置RDA−IIを用いて、昇温速
度10℃/分、振動周波数10ラジアン/秒で貯蔵弾性
率と損失弾性率の交差するゲル化温度まで測定し、その
間における粘度の最低値をプリプレグ最低粘度とした。
【0049】(3)ハニカムサンドウィッチパネルの成
形 所定枚数S構成のプリプレグを積層し、ノーメックスハ
ニカム(昭和飛行機(株)社製SAH1/8−3.0)
に重ね合せた。この上下にフッ化エチレンプロピレンフ
ィルム(FEPフィルム)を置き、ステンレス製板の間
に挟み、プレス成形により加熱加圧成形した。加熱条件
は、138℃/16分とし、圧力は17kg/cm2
した。ただし、138℃にて測定したプリプレグのゲル
タイムに対して10〜15秒前に1度プレスを解放し、
揮発ガスを除去した後、再度加熱加圧する手法を用い
た。
【0050】(4)プリプレグ接着力 プリプレグを50mm×50mmに切り出し、これについて
“インストロン”4201型万能材料試験機(インスト
ロンジャパン(株)社製)を用いてプリプレグ同士によ
る圧着後の引き剥がす力(以下、接着力と表記)を測定
した。負荷速度は1mm/分、接着負荷は300N(1.
2kgf/cm2 )、負荷時間は0秒、剥離速度は10
mm/分とした。測定環境は、25℃、50%RHとし
た。この測定法では、数値が高いほど、接着力が高いこ
とを意味する。
【0051】(5)プリプレグ曲げ弾性率 プリプレグを15mm×85mmに切り出し、これについて
JIS K−7074に規定される「繊維強化プラスチ
ックの曲げ試験法」に従い、インストロン”4201型
万能材料試験機(インストロンジャパン(株)社製)を
用いて曲げ弾性率測定を行った。
【0052】なお、圧子径は4mmφ、負荷速度は5mm/
分、スパン間距離は40mmとした。また、測定環境は、
25℃、50%RHとした。この測定法では、数値が高
いほど、プリプレグの曲げ弾性率が高いことを意味す
る。
【0053】(6)複雑形状賦型性評価(図1参照) 中央に210mmφの穴を開けた400mm×400mm、厚
み5mmのステンレス製平板を下板とする。中央に半径1
00mmの半球状膨らみを付けた400mm×400mm、厚
み5mmのステンレス製平板を上板とする。離型処理した
下板に400mm×400mmの大きさのプリプレグを2枚
90゜ずらして重ねた後、離型処理した上板を下向きに
下板の穴と上板の膨らみが合うように押しつける。これ
を熱風乾燥機に入れ、室温から5℃/分で昇温し、14
0℃で30分処理した後、徐冷する。取り出した後、成
形体の球状部のシワ、ボイドを判定する。
【0054】(7)厚物成形性評価(図2参照) タテ、ヨコ各100mmで長さ200mmの角材を下材とす
る。それを覆うことのできる厚さ15mm、幅150mm、
足の高さ100mmのコの字状で長さ200mmの木製体を
上材とする。離型処理した下材に幅300mm、長さ20
0mmの大きさにしたプリプレグを32枚乗せた後、離型
処理した上材を下材との凹みが合うように押しつける。
これを熱風乾燥機に入れ、室温から5℃/分で昇温し、
140℃で30分処理した後、徐冷する。取り出した
後、成形体の屈曲部のシワ、ボイドを判定する。
【0055】(8)シワ評価方法 成形体の表面および断面に存在するシワおよびうねりを
目視で判定した。
【0056】(9)ボイド評価方法 複雑形状成形体、厚物成形体とも屈曲部を切り取り、切
断面を研磨剤で研磨した後、光学顕微鏡を用いて倍率1
00倍で観察し、空孔の有無を判定した。
【0057】また、本実施例には、以下の炭素繊維織物
を用いた。
【0058】織物A.T700S−12K−50C(東
レ(株)社製) 炭素繊維束1本あたりのフィラメント数:12000本 引張強度 :4900MPa 引張弾性率:230GPa 引張伸度 :2.1% 変形度 :1.05 構成 :平織り 目付 :193g/m2 織物B.T300B−3K−50C(東レ(株)社製) 炭素繊維束1本あたりのフィラメント数:3000本 引張強度 :3530MPa 引張弾性率:230GPa 引張伸度 :1.5% 変形度 :1.15 構成 :平織り 目付 :193g/m2 実施例1〜3 ベースとなるフェノール系樹脂固形分100重量部に対
して所定重量部の熱可塑性樹脂を45℃以下の温度にて
分散させた後、加熱下混練した。これを45℃以下まで
降温した後、無機物を添加混練し、マトリックス樹脂と
した。これを離型紙上にコーティングし、樹脂フィルム
を得た。この樹脂フィルムを織物Aの両面から加熱加圧
して含浸し、中間体プリプレグを得た。
【0059】この中間体プリプレグを、40℃オーブン
中で所定の日数加熱処理し織物プリプレグを得た。これ
ら織物プリプレグはいずれもプリプレグ接着力が適度に
低く、かつ適度なプリプレグ曲げ弾性率を有しており、
複雑形状物、厚物成形体ともにボイド、シワのない成形
体が得られた。
【0060】比較例1〜2 中間体プリプレグを作製した後の加熱処理を施さない以
外は実施例1および2と同様にして織物プリプレグを得
た。これを実施例と同様に成形した。
【0061】比較例1はプリプレグ曲げ弾性率が低く柔
軟過ぎる上に、プリプレグ接着力が強すぎるため、複雑
形状物成形後にシワが発生した。厚物成形体ではシワ、
ボイドとも発生した。
【0062】比較例2はプリプレグ接着力は適度の範囲
内だが、曲げ弾性率が低すぎるため、複雑形状物成形後
にシワが発生した。厚物成形体ではシワ、ボイドとも発
生した。
【0063】比較例3 中間体プリプレグを作製した後の加熱処理を40℃で4
0日処理した以外は実施例3と同様にして織物プリプレ
グを得た。これを実施例3と同様に成形した。プリプレ
グ曲げ弾性率は良好な値であるものの、プリプレグ接着
力が低すぎるため、複雑形状物では成形が不可であっ
た。
【0064】また、厚物成形では、成形体表面にシワが
発生した。
【0065】
【表1】 表1から明らかなように、実施例1〜3のプリプレグは
複雑形状賦型性、厚物成形性いずれも良好であった。
【0066】
【表2】 表2の比較例2から明らかなように、比較例1〜3のプ
リプレグの成形性は不良であった。プリプレグ接着力F
pが良好な値であっても、プリプレグ曲げ弾性率Epが
低すぎれば、複雑形状物の成形体表面にシワがはいって
しまう。
【0067】実施例4〜6 ベースとなるフェノール系樹脂として、メタノールを溶
剤とするレゾール型フェノール樹脂を用いた。この樹脂
液漕に炭素繊維織物を通過させた後、ロールで樹脂付着
量を調整した。これをたて型乾燥炉を通過させることに
より乾燥し、目的のプリプレグ接着力を有する織物プリ
プレグとした。実施例4、5はA織物を、実施例6は織
物B用いた。これら織物プリプレグは適度なプリプレグ
接着力および曲げ弾性率を有しており、複雑形状物、厚
物成形体ともにボイド、シワのない成形体が得られた。
【0068】比較例4〜6 たて型乾燥炉の温度を変更した以外は実施例4〜6と同
様にして織物プリプレグを作製した。
【0069】比較例4は、プリプレグ曲げ弾性率が低く
柔軟過ぎる上に、プリプレグ接着力が強すぎるため、複
雑形状物、厚物成形体ともにシワ、ボイドが発生した。
【0070】比較例5は、マトリックス樹脂の硬化が進
行したため、プリプレグ曲げ弾性率が高くなり、複雑形
状物、厚物成形体ともにボイドが発生した。比較例6
も、マトリックス樹脂の硬化が進行したため、プリプレ
グ曲げ弾性率が高くなり、複雑複雑形状成形において
は、プリプレグが硬いため、球状の形状に追従せず、成
形不可であった。厚物成形ではシワ、ボイドともに発生
した。
【0071】実施例と比較例をまとめ、樹脂組成と結果
を表3,4に示した。
【0072】
【表3】 表3から明らかなように、実施例4〜6のプリプレグは
複雑形状賦型性および厚物成形性いずれも良好であっ
た。
【0073】
【表4】 表4の比較例5および6から明らかなように、比較例4
〜6のプリプレグの成形性は不良であった。プリプレグ
曲げ弾性率が高すぎると複雑形状物の賦型困難となり、
特に炭素繊維束のフィラメント数が少ないとさらに賦型
性が低下してしまう。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、フェノール系樹脂をマ
トリックス樹脂とする繊維強化複合材料用織物プリプレ
グにおいて、優れた複雑形状および厚物成形体の賦型性
を有する織物プリプレグが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この図は、本発明の織物プリプレグからなる
成形体の複雑形状賦型性評価を判定するための金型を示
す。
【図2】 この図は、本発明の織物プリプレグからなる
成形体の厚物成形性評価するための木製枠体を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 61:00

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維とフェノール系樹脂を必須構成
    要素とする織物プリプレグであって、該プリプレグのプ
    リプレグ接着力(Fp)が0.02N/mm2 ≦Fp≦
    0.5N/mm2 であり、かつ、プリプレグ曲げ弾性率
    (Ep)が5kgf/mm2 ≦Ep≦250kgf/m
    2 であることを特徴とする織物プリプレグ。
  2. 【請求項2】 該炭素繊維が、実質的に円形の断面形状
    を有するものである請求項1記載の織物プリプレグ。
  3. 【請求項3】 該プリプレグを構成する織物が、フィラ
    メント本数が6000〜30000本の範囲にある炭素
    繊維束糸条で構成されているものである請求項1または
    2記載の織物プリプレグ。
  4. 【請求項4】 該炭素繊維織物組織が、平織りまたは繻
    子織りである請求項1〜3のいずれかに記載の織物プリ
    プレグ。
  5. 【請求項5】 該フェノール系樹脂が、水系レゾール樹
    脂である請求項1〜4のいずれかに記載の織物プリプレ
    グ。
  6. 【請求項6】 該プリプレグのカバーファクターが、9
    3%〜99.5%の範囲にある請求項1〜5のいずれか
    に記載の織物プリプレグ。
  7. 【請求項7】 該プリプレグの最低粘度が、50000
    ポイズ以下である請求項1〜6のいずれかに記載の織物
    プリプレグ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114801251A (zh) * 2022-04-25 2022-07-29 沈阳航空航天大学 通用飞机碳纤维预浸料褶皱壁板的一体化成型方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114801251A (zh) * 2022-04-25 2022-07-29 沈阳航空航天大学 通用飞机碳纤维预浸料褶皱壁板的一体化成型方法
CN114801251B (zh) * 2022-04-25 2023-12-26 沈阳航空航天大学 通用飞机碳纤维预浸料褶皱壁板的一体化成型方法

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