JP2004149721A - 炭素繊維ストランド - Google Patents

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Hisao Saeki
尚郎 佐伯
Koichi Sakajiri
浩一 坂尻
Yuki Onishi
祐輝 大西
Isao Nishimura
功 西村
Toshitsugu Matsuki
寿嗣 松木
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Toho Tenax Co Ltd
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Abstract

【課題】繊維軸方向の引張強度に優れ、かつ繊維軸に対して垂直方向の応力に影響が大きい層間剪断強度に優れた炭素繊維強化樹脂複合材料が得られる炭素繊維ストランドを提供する。
【解決手段】ダイマー酸型エポキシ樹脂を必須成分とするサイズ剤が0.3〜5.0質量%付着されてなる炭素繊維ストランド。サイズ剤成分中ダイマー酸型エポキシ樹脂を10質量%以上、ダイマー酸型エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂を50質量%以上とすることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂の強化材等に好適な炭素繊維ストランドに関する。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維は他の繊維と比較して強度や弾性率が高く、軽いという特徴を有するため、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料の強化材として多用されている。この炭素繊維で強化した複合材料は、軽量で高強度であるので、航空宇宙産業を始めとし、各種の産業に広く利用されている。
【0003】
熱硬化性樹脂系の複合材料を製造する方法としては、中間基材であるプリプレグを用いて賦形成型する方法がある。更に、炭素繊維ストランドを用いて引抜成形、レジントランスファーモールディング(RTM)法、フィラメント・ワインディング(FW)法、シート・モールディング・コンパウンド(SMC)法、バルク・モールディング・コンパウンド(BMC)法、ハンドレイアップ法などによって熱硬化性樹脂系の複合材料を製造できる。
【0004】
熱硬化性樹脂系複合材料の製造に用いられる熱硬化性のマトリックス樹脂としては例えばエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるが、これらのうちでも特にエポキシ樹脂は耐熱性、物性等バランスの良い複合材料を与えるので好ましい。
【0005】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミン、トリグリシジルアミン等の多官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるが、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が接着性、物性等に優れ万能であるためマトリックス樹脂として広く使用されている。
【0006】
複合材料を製造する際には、上述のように炭素繊維ストランドを用いてこれを加工するものであるが、この加工工程において、炭素繊維ストランドはガイド等で擦れることにより毛羽が生じやすく、取扱い性が悪くなる。この問題を避けるため、通常、炭素繊維ストランドにサイズ剤を付与し、炭素繊維ストランドの表面をサイズ剤でコートすることにより、ストランドの収束性を高め、耐擦過性や取扱い性を向上させる処理がなされている。
【0007】
サイズ剤は一般的にマトリックス樹脂との接着性を考慮し、マトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合はエポキシ樹脂をサイズ剤に使用し(特許文献1、2)、マトリックス樹脂が不飽和マトリックス樹脂の場合はビニルエステル樹脂をサイズ剤に使用する提案がなされている。しかし、これらはサイズ剤と炭素繊維との接着性については考慮されていないため、その効果は不十分である。
【0008】
一方、サイズ剤と炭素繊維との接着性を改善させることを目的として、炭素繊維の表面官能基と反応する可能性がある極性基を有するサイズ剤が提案されている(特許文献3、4、5、6)。これらのサイズ剤を使用した複合材料は、炭素繊維―マトリックス樹脂間の接着性指標の一つである層間剪断強度(ILSS)の測定値において優れた値を示している。しかし、これらサイズ剤を用いて製造した複合材料は、繊維軸方向に張力がかかると、炭素繊維全体に張力が分散すること無く比較的少数の炭素繊維に応力が集中してその少数の炭素繊維が破断することを順次繰返し、結果的に複合材料の全部を破壊することになり、繊維軸方向の強度は期待するほど大きくならないのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
特公昭62−56266号公報(第1欄27行〜第2欄第2行))
【特許文献2】
特開平7−197381号公報(段落番号(0038)
【特許文献3】
特開昭56−167715号公報(第2頁右上欄第5〜12行)
【特許文献4】
特開昭63−50573号公報(第3頁第9〜19行)
【特許文献5】
特開平11−93078号公報(第3頁、段落番号(0020))
【特許文献6】
特開2001−20181号公報(請求項1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、繊維軸方向の引張強度に優れ、かつ繊維軸に対して垂直方向の層間剪断強度に優れた複合材料を製造することができる炭素繊維ストランドを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するものである。
【0012】
〔1〕 ダイマー酸型エポキシ樹脂を必須成分とするサイズ剤が0.3〜5.0質量%付着されてなる炭素繊維ストランド。
【0013】
〔2〕 サイズ剤成分中ダイマー酸型エポキシ樹脂が10質量%以上である〔1〕に記載の炭素繊維ストランド。
【0014】
〔3〕 サイズ剤成分中ダイマー酸型エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂が50質量%以上である〔1〕又は〔2〕に記載の炭素繊維ストランド。
【0015】
〔4〕 下記式(1)
【0016】
【化2】
Figure 2004149721
【0017】
で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いて測定したサイズ剤の接触角が10〜70°である〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
【0018】
〔5〕 ストランドを構成する単繊維数が1000〜50000本である〔1〕乃至〔4〕のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
【0019】
〔6〕 風合い度が0.3〜1.5MPaである〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
【0020】
〔7〕 ストランドを構成する炭素繊維のX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.3である〔1〕乃至〔6〕のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の炭素繊維ストランドは、ダイマー酸型エポキシ樹脂を必須成分とするサイズ剤が付着されてなる。
【0022】
ダイマー酸エポキシ樹脂は、不飽和脂肪酸を二量化して得られる二塩基酸にグリシジル基を導入したものである。ダイマー酸エポキシ樹脂の原料となる不飽和脂肪酸は、炭素数11〜22の高級不飽和脂肪酸が好ましい。高級不飽和脂肪酸としては、例えばオレイン酸、エライジン酸、オクタデセン酸、リノール酸、パルミトレイン酸、ミリストレイン酸、リノレン酸、イソオレイン酸、エイコセン酸、ドコセン酸、分岐オクタデセン酸、分岐ヘキサデセン酸、ウンデシレン酸等を挙げることができる。ダイマー酸エポキシ樹脂としては、例えばリノレン酸のダイマーにグリシジル基を導入したエピコート871(ジャパンエポキシレジン社製)、エピコート872(同社製)等を挙げることができる。
【0023】
ダイマー酸型エポキシ樹脂は、炭素繊維を強化材とする複合材料のマトリックス樹脂として汎用されるビスフェノールA型エポキシ樹脂との濡れ性が適当(良すぎない)である。このため、本発明の炭素繊維ストランドは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂をマトリックス樹脂とする複合材料とした場合に、得られる複合材料は高性能を示す。その理由は、サイズ剤成分であるダイマー酸型エポキシ樹脂がマトリックス樹脂と混ざり合うことなく炭素繊維の表面に留まって層を形成する。ダイマー酸型エポキシ樹脂は可撓性に優れるため、炭素繊維軸方向の張力に対して応力緩和を起こし、複合材料の引張強度を向上させる。またこの層はマトリックス樹脂との接着性も高く、炭素繊維軸に対して垂直方向の層間剪断強度が高い複合材料を得ることができるものと本発明者は考えている。
【0024】
サイズ剤成分中のダイマー酸型エポキシ樹脂の含有率は特に限定されるものではないが、その効果を十分に発揮するため、10質量%以上とすることが好ましく、20〜90質量%とすることがより好ましい。
【0025】
サイズ剤の他の成分は特に限定されるものではないが、エポキシ樹脂をダイマー酸型エポキシ樹脂と併せてサイズ剤成分中50質量%以上含有することが好ましく、60〜90質量%含有することがより好ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミン、トリグリシジルアミン等の多官能エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0026】
サイズ剤の他の成分としては、炭素繊維の集束性をより向上させるため、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド樹脂等のエポキシ樹脂以外の樹脂を加えても良い。さらに、炭素繊維の取扱い性や、耐擦過性、耐毛羽性を高め、マトリックス樹脂の含浸性を向上させるため、サイズ剤に分散剤、界面活性剤等の補助成分を添加しても良い。
【0027】
本発明の炭素繊維ストランドに使用するサイズ剤に対する上記式(1)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂の接触角は10〜70°であることが好ましく、30〜70°であることがより好ましい。接触角の測定は、25℃中、サイズ剤を塗布したスライドグラスに上記式(1)のビスフェノールA型エポキシ樹脂を滴下して行う。接触角が10°未満の場合は、複合材料とした場合にサイズ剤とマトリックス樹脂が混ざりやすく、可撓性を有するサイズ剤層が得にくい。このため、複合材料に与えた繊維軸方向の剪断応力が繊維―樹脂間に集中し、繊維軸方向の剪断強度が低下する傾向がある。一方、70°を超える場合はサイズ剤とマトリックス樹脂との濡れ性が悪くマトリックス樹脂が炭素繊維に含浸しにくい。
【0028】
なお、接触角の測定は、上記式(1)で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いて行うが、エピコート828(ジャパンエポキシレジン社製)を用いても同等の値が得られ代用できる。
【0029】
本発明の炭素繊維ストランドは、サイズ剤の付着量を炭素繊維ストランド全質量に対して0.3〜5.0質量%とする。サイズ剤の付着量が0.3質量%未満の場合は、本発明の効果が得られないほか、集束性も劣る。一方、サイズ剤の付着量が5.0質量%を超える場合は、炭素繊維ストランドの開繊性が劣り、炭素繊維ストランドに対するマトリックス樹脂の含浸性が低下し、マトリックス樹脂との接着性が得られない。
【0030】
本発明の炭素繊維ストランドは、かかるサイズ剤を付着させて炭素繊維フィラメントを束ねたものである。そのフィラメント数は1束当たり1000〜50000本が好ましい。
【0031】
本発明の炭素繊維ストランドは、風合い度が0.3〜1.5MPaであることが好ましい。風合い度が0.3MPa未満の場合、炭素繊維ストランド製造後の後事工程(プリプレグ作製、織物作製、FW成形、引抜成形等)において、炭素繊維束を支持する支点(ガイドローラ等)の支点間距離が大きいところで炭素繊維束の部分的なたるみが発生し、巻きつきや切断などトラブルを誘発しやすい。一方1.5MPaを超えると炭素繊維束の開繊性が低下してマトリックス樹脂の含浸性が低下する傾向があるうえ、工程中の屈曲部において、炭素繊維が折損しやすい。
【0032】
本発明の炭素繊維ストランドを構成する炭素繊維は、X線光電子分光法(XPS)により測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.3であることが好ましい。表面酸素濃度O/Cが0.05未満の場合はマトリックス樹脂との接着性が劣り、複合材料の物性が低下する原因となりやすい。一方、表面酸素濃度O/Cが0.3を超える場合は炭素繊維自体の強度が低下する傾向がある。
【0033】
炭素繊維ストランドを構成する炭素繊維の原料としては特に限定するものではなく、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維等が例示できる。これらの炭素繊維のうち、取り扱い性能、製造工程通過性能に適したPAN系炭素繊維が特に好ましい。ここで、PAN系炭素繊維は、アクリロニトリル構造単位を主成分とし、イタコン酸、アクリル酸、アクリルエステル等のビニル単量体単位を10モル%以内で含有する共重合体を炭素繊維化したものである。
【0034】
炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cを上記の好ましい範囲とするため、炭素繊維に表面処理を施すことが好ましい。
【0035】
表面処理としては、液相処理、気相処理等を挙げることができる。本発明においては、生産性、処理の均一性、安定性等の観点から、液相電解表面処理が好ましい。
【0036】
表面処理を経た炭素繊維は、充分に洗浄し電解質を除去した後、前述したサイズ剤を施す。サイズ剤の付与は、スプレー法、液浸法、転写法等、既知の方法を採択し得るが、汎用性、効率性、付与の均一性に優れるので、液浸法が好ましい。
【0037】
炭素繊維束をサイズ剤液に浸漬する際には、サイズ剤液中に設けられた液没ローラ又は液浸ローラを介して、開繊と絞りを繰り返し、ストランドの芯までサイズ剤を含浸させることが好ましい。
【0038】
サイズ剤付与処理は、アセトン等の溶剤にサイズ剤成分を溶解させた溶液中に炭素繊維を浸漬する溶剤法も可能であるが、乳化剤を用いサイズ剤成分を水系エマルジョンとし炭素繊維を浸漬するエマルジョン法が人体への安全性及び自然環境の汚染を防止する観点から好ましい。
【0039】
サイズ剤付与処理後、炭素繊維束は通常乾燥工程により、サイズ剤付与時の分散媒であった水の乾燥や脱溶剤を行う。乾燥工程は乾燥炉を通過させる方法、加熱したローラに接触させる方法等、既知の方法が採択し得る。汎用的な水系エマルジョンに浸漬した場合、いずれの方法を用いる場合も乾燥温度は通常80℃〜200℃に設定する。また、乾燥工程の後、200℃以上の熱処理を行ってもよい。
【0040】
本発明の炭素繊維ストランドは、樹脂の強化材として好適であり、複合材料の物性を高めるものである。複合材料に用いるマトリックス樹脂は特に制限されるものではないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラグリシジルアミン、トリグリシジルアミン等の多官能エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いた場合には本発明の効果がより発揮でき好ましい。
【0041】
複合材料における本発明の炭素繊維ストランドの含有量としては、複合材料全質量中40〜80質量%とすることが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0043】
各物性値は、以下の方法により測定した。
【0044】
<表面酸素濃度比O/C>
日本電子社製X線光電子分光器ESCA JPS−9000MXを用いて測定を行った。予めサイズ剤を除去した炭素繊維を10−6Paに減圧した測定室中に入れ、Mgを対極として電子線加速電圧10kV、10mAの条件で発生させたX線を照射した。炭素原子、酸素原子より発生する光電子のスペクトルからその面積比を算出した。
【0045】
<風合い度測定>
大栄科学精器製作所社製ハイドロメーター HOM−2を用いて以下の条件で測定した。
測定サンプル:20cm長の炭素繊維ストランド
スリット幅:10mm
測定方法:サンプルをサンプル中央部がスリット上になるように試料台に載せた。このとき、スリットの幅方向がサンプルの長さ方向になるようにした。次に厚さ2mm、長さ200mmの金属プレートでこのサンプルをスリット間に深さ10mmまで10mm/secの速さで垂直に押し込み、このときの金属プレートに負荷する最大荷重を測定した。測定は異なるサンプルについて5回行い、その平均値を測定値(F)とした。
【0046】
ここで風合い度は下記式(2)で定義される。
【0047】
【数1】
Figure 2004149721
F:ハイドロメーターの測定値[gf]
S:炭素繊維ストランド断面積[mm
*S:炭素繊維フィラメントの断面積(s)×フィラメント数
【0048】
<接触角>
松浪硝子工業株式会社製スライドグラスにサイズ剤(水)溶液を塗布し、24時間室温で放置後、60℃にて乾燥したものをサンプルとした。尚、塗布する(水)溶液の濃度及び塗布量は乾燥後の膜厚が0.5mmになるように調整した。室温(25℃)にて、上記サンプルにジャパンエポキシレジン社製エピコート828をピペットにて1滴滴下し、1分経過後の接触角を測定した。
【0049】
<0°引張試験>
チバガイギー社製EPN1138(商品名:フェノールノボラック型エポキシ樹脂)70質量部、ジャパンエポキシレジン社製エピコート834(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)12質量部、同社製エピコート1002(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)18質量部を混合した樹脂組成物に、更に硬化剤としてジャパンエポキシレジン社製DICY(ジシアンジアミド)5質量部、硬化促進剤として保土ヶ谷化学社製DCMU(3−〔3,4−ジクロロフェニル〕−1,1−ジメチルウレア)10質量部を加え、プリプレグ用樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をフィルムコーターを用いて離型紙上に塗布し、樹脂フィルムを得た。この樹脂フィルム上にサイズ処理した炭素繊維ストランドを等間隔に引き揃え並べた後、加熱して樹脂を該炭素繊維ストランドに含浸させ、炭素繊維目付150g/m、樹脂含浸率37質量%のUDプリプレグを作製した。
【0050】
作製したUDプリプレグを成形後の厚みが1mmとなるように積層し、金型に入れ、180℃で2時間、686kPaの圧力で成形し一方向の炭素繊維強化成形板(CFRP板)を作製した。このCFRP板の0°引張試験をASTM−D−3039に準拠し、室温で行った。
【0051】
<層間剪断強度(ILSS)>
チバガイギー社製EPN1138(商品名:フェノールノボラック型エポキシ樹脂)70質量部、ジャパンエポキシレジン社製エピコート834(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)12質量部、同社製エピコート1002(商品名:ビスフェノールA型エポキシ樹脂)18質量部を混合した樹脂組成物に、更に硬化剤として同社製DICY(ジシアンジアミド)5質量部、硬化促進剤として保土ヶ谷化学社製DCMU(3−〔3,4−ジクロロフェニル〕−1,1−ジメチルウレア)10質量部を加え、プリプレグ用樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物をフィルムコーターにより離型紙の上に塗布し、樹脂フィルムとした。この樹脂フィルム上にサイズ処理した炭素繊維ストランドを等間隔に引き揃え並べた後、加熱して樹脂を該炭素繊維ストランドに含浸させ、炭素繊維目付150g/m、樹脂含浸率37質量%のUDプリプレグを作製した。
【0052】
作製したUDプリプレグを成形後の厚みが3mmとなるように積層し、金型に入れ、180℃で2時間、686kPaの圧力で成形し一方向の炭素繊維強化成形板(CFRP板)を作製した。このCFRP板のILSSをASTM−D−2344に準拠して室温にて測定を行った。
【0053】
<ストランド開繊度>
図1に示す装置を用いストランド開繊度の測定を行った。まず炭素繊維ストランドを巻き付けたボビン1を所定の位置にセットした。ボビン1から引き出した炭素繊維ストランドをガイドローラ3、4、5、6に接触させた後、イメージセンサー7上を通過させ、ニップローラ8bにより5m/分の速度で引き取った。その際、炭素繊維ストランドに撚りがかからないように注意し、また、ガイドローラ6とニップローラ8a、8b間のストランドのテンションが2000gになるよう調整した。ストランドのテンションが安定した後イメージセンサーの読み取りを開始した。読み取りは2秒間隔で1分間行い、読み取り値の平均をストランド開繊度とした。
イメージセンサー:株式会社キーエンス社製(センサーヘッドVG―035、コントローラーVG―300)
【0054】
実施例1〜4、比較例1〜4
X線光電子分光法により測定した炭素繊維の表面酸素濃度比O/Cが0.2である未サイジングの炭素繊維束(東邦テナックス社製ベスファイト、24000フィラメント)をサイズ浴に連続的に浸漬させた。サイズ浴は表1に示す配合比のサイズ剤100質量部をPO/EOポリエーテル(レオコンED274R、ライオン社製)20質量部で乳化した水エマルジョンを用いて行った。サイズ剤の接触角を表1に示す。
【0055】
サイズ浴を行った炭素繊維束を150℃中で3分間熱処理し、水分を乾燥除去して炭素繊維ストランドを得た。これらの炭素繊維ストランドを用いて、各種評価試験を行った結果を表1に示す。尚、実施例1〜4、比較例1〜2で用いた炭素繊維ストランドを構成する炭素繊維フィラメントの平均半径は全て0.0035mmであった。
【0056】
なお、EP871(ジャパンエポキシレジン社製)、EP828(同社製)、EP1002(同社製)はそれぞれ下記に示すエポキシ樹脂を主成分とする。
【0057】
【化3】
Figure 2004149721
【0058】
【表1】
Figure 2004149721
【0059】
表1に示すように、実施例1〜4は何れもストランド強度、ILSS、ストランド開繊度が高いものであった。しかし、比較例1はILSSやストランド強度が低いものであった。比較例2は、ストランドの強度が高かったものの、ストランドの開繊性が劣り、ILSSについても満足な結果が得られなかった。
【0060】
【発明の効果】
本発明の炭素繊維ストランドは、サイズ剤の必須成分としてダイマー酸型エポキシ樹脂を含有し、炭素繊維表面にマトリックス樹脂と混ざり合わないサイズ剤の層を形成する。この層は可撓性を有し、マトリックス樹脂との接着性が高い。また、本発明のストランドは開繊性が優れるので、マトリックス樹脂の含浸性が高い。本発明の炭素繊維ストランドを用いれば、繊維軸方向の引張強度、繊維軸に対して垂直方向の層間剪断強度が高い複合材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における炭素繊維ストランド開繊度の測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ボビン
2 炭素繊維ストランド
3、4、5、6 ガイドローラ
7 イメージセンサ
8a、8b ニップローラ

Claims (7)

  1. ダイマー酸型エポキシ樹脂を必須成分とするサイズ剤が0.3〜5.0質量%付着されてなる炭素繊維ストランド。
  2. サイズ剤成分中ダイマー酸型エポキシ樹脂が10質量%以上である請求項1に記載の炭素繊維ストランド。
  3. サイズ剤成分中ダイマー酸型エポキシ樹脂を含めるエポキシ樹脂が50質量%以上である請求項1又は2に記載の炭素繊維ストランド。
  4. 下記式(1)
    Figure 2004149721
    で表されるビスフェノールA型エポキシ樹脂のサイズ剤に対する接触角が10〜70°である請求項1乃至3のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
  5. ストランドを構成する単繊維数が1000〜50000本である請求項1乃至4のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
  6. 風合い度が0.3〜1.5MPaである請求項1乃至5のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
  7. ストランドを構成する炭素繊維のX線光電子分光法により測定される表面酸素濃度比O/Cが0.05〜0.3である請求項1乃至6のいずれかに記載の炭素繊維ストランド。
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