JPH10282643A - ポジ型感光性平版印刷版 - Google Patents

ポジ型感光性平版印刷版

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JPH10282643A
JPH10282643A JP8666097A JP8666097A JPH10282643A JP H10282643 A JPH10282643 A JP H10282643A JP 8666097 A JP8666097 A JP 8666097A JP 8666097 A JP8666097 A JP 8666097A JP H10282643 A JPH10282643 A JP H10282643A
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JP
Japan
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acid
positive photosensitive
printing plate
lithographic printing
group
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JP8666097A
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English (en)
Inventor
Hideki Nagasaka
秀樹 長坂
Masahisa Murata
昌久 村田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コントラストに優れ、かつ画線部の残膜率が
充分である新規なポジ型感光性平版印刷版を提供する。 【解決手段】 露光部と非露光部において、主として化
学変化以外の変化によってアルカリ現像液に対する溶解
性に差異を生ずるポジ型感光性組成物の成分として、 (a)光熱変換物質 (b)アルカリ可溶性樹脂 を含有するポジ型感光性組成物を支持体上に設けてなる
ポジ型感光性平版であって、該ポジ型感光性組成物が更
に有機酸または有機酸塩を含有するものであるか、かつ
/または、該支持体表面が該有機酸または有機酸塩によ
り予め処理を施こされたものであることを特徴とするポ
ジ型感光性平版印刷版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、650〜1300
nmの波長域の光線に対する新規なポジ型感光性平版印
刷版に関する。更に詳しくは、半導体レーザーやYAG
レーザー等を用いた直接製版に好適なポジ型感光性平版
印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ画像処理技術の進歩に伴
い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルムへの出
力を行わずに、レーザー光あるいはサーマルヘッド等に
より、直接レジスト画像を形成する感光または感熱ダイ
レクト製版システムが注目されている。特に、高出力の
半導体レーザーやYAGレーザーを用いる、高解像度の
レーザー感光ダイレクト製版システムは、小型化、製版
作業時の環境光や版材コストの面から、その実現が強く
望まれていた。
【0003】一方、従来より、レーザー感光または感熱
を利用した画像形成方法としては、昇華転写色素を利用
し色材画像を形成する方法ならびに平版を作成する方法
などが知られている。後者においては、例えば、ジアゾ
化合物の架橋反応を利用し、平版印刷版を作成する方法
(例えば、特開昭52−151024号、特公平2−5
1732号、特開昭50−15603号、特公平3−3
4051号、特公昭61−21831号、特公昭60−
12939号、米国特許第3664737号の公報また
は明細書等参照)、ニトロセルロースの分解反応を利用
し、平版印刷版を作製する方法(例えば、特開昭50−
102403号、特開昭50−102401号等の公報
参照)等が知られている。
【0004】近年、化学増幅型のフォトレジストに長波
長光線吸収色素を組み合せた技術が散見される様になっ
た。例えば特開平6−43633号明細書には特定なス
クアリリウム色素に光酸発生剤およびバインダー等を組
合せた感光材料が開示されている。また、更にこれに類
する技法として赤外線吸収色素、潜伏性ブレンステッド
酸、レゾール樹脂およびノボラック樹脂を含む感光層を
半導体レーザー等により像状に露光し平版印刷版を作製
する技術が提案されており(特開平7−20629号明
細書)、更に、前記潜伏性ブレンステッド酸に代えs−
トリアジン化合物を用いる技術も開示されている(特開
平7−271029号明細書)。
【0005】また、特開平9−43847号明細書にお
いては赤外線の照射により加熱して感光材の結晶性を変
化させるレジスト材およびそれを利用したパターン形成
方法が開示されている。しかしながら我々の検討によれ
ば、これら従来の技術は実用上、その特性が必ずしも充
分ではなかった。例えば、露光後、加熱処理を要する感
光材の場合はその処理条件の振れに起因して得られる画
像の品質安定性は必ずしも満足されなかった。一方、そ
の様な露光後の加熱処理を要しないタイプの感光材の場
合は露光部、未露光部におけるコントラストが不充分で
あり、その結果、非画線部が充分に除去されなかった
り、画線部の残膜率が充分保持されなかった。更に平版
印刷版として必ずしも充分な耐刷力を有していなかっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸問
題に鑑みなされたものであり、即ち、本発明の目的は、
コントラストに優れかつ画線部の残膜率が充分な新規な
ポジ型感光性平版印刷版を供することにある。更に、別
の目的は充分な耐刷力を有する新規なポジ型感光性平版
印刷版を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は下
記の本発明の構成、即ち露光部と非露光部において、主
として化学変化以外の変化によってアルカリ現像液に対
する溶解性に差異を生ずるポジ型感光性組成物の成分と
して、 (a)光熱変換物質 (b)アルカリ可溶性樹脂 を含有するポジ型感光性組成物を支持体上に設けてなる
ポジ型感光性平版であって、該ポジ型感光性組成物が更
に有機酸または有機酸塩を含有するものであるか、かつ
/または、該支持体表面が該有機酸または有機酸塩によ
り予め処理を施こされたものであることを特徴とするポ
ジ型感光性平版印刷版により達成した得る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。従来より、ポジ型感光性組成物としては、アルカ
リ可溶性樹脂及び感光性付与成分としてo−キノンジア
ジド基含有化合物を含んだ系が知られている。この系で
は、o−キノンジアジド基含有化合物が吸収可能な紫外
光を照射することにより、ジアゾ部分が分解し最終的に
カルボン酸が生成することによって、感光性組成物のア
ルカリ可溶性が増加し、即ち露光部分のみがアルカリ現
像液に溶解することによって画像が形成するものと考え
られている。従って、この系は感光性組成物中の成分が
化学変化を伴うものである。
【0009】これに対し本発明は、光熱変換物質とアル
カリ可溶性樹脂という化学変化を期待し得ない極めて単
純な系で、ポジ画像を形成することができる感光性平版
印刷版を提供するものである。
【0010】このような効果が主として化学変化以外の
変化によっておこることは、例えば一旦光照射を行った
本発明の感光性平版印刷版を50℃付近で24時間加温
した場合、露光直後には増加した露光部のアルカリ可溶
性が、しばしば露光前に近い状態へ戻るという可逆現象
がみられることからも推察できる。更に、用いている感
光性組成物自体のガラス転移温度(又は軟化点)と該可
逆現象の難易度との関係を調べた結果、前記転移温度が
低い程、同可逆現象が起こり易い傾向が認められたこと
も前述の機構を裏付けるものである。
【0011】本発明の感光性平版印刷版がこのようなポ
ジ画像を形成する理由は必ずしも明らかではないが、光
熱変換物質によって吸収された光エネルギーが、熱に変
換され、その熱を受けた部分のアルカリ可溶性樹脂がコ
ンフォメーション変化等の何らかの化学変化以外の変化
を起こし、その部分のアルカリ可溶性が高まることによ
って、アルカリ現像液により画像が形成されるものと考
えられる。我々は、かかる化学変化以外の変化によって
ポジ画像を形成する感光性組成物及び感光性平版印刷版
を先に提案した(例えば、特願平8−207013、同
8−302722、同9−9264)。
【0012】更に、今般我々はこの種のポジ型感光性平
版印刷版の製版時における露光部(非画像部)の抜け性
や画像部の膜減り現象が本発明の技術により改善される
ことを見い出したものであるが、その理由としては、例
えば、次の様な機構に依るのではないかと推定してい
る。即ち、この様な熱的な物性変化を利用して現像液に
対して可溶化する感光材の場合、その支持体表面近傍に
おいては熱拡散によりその変化が不充分であり感光層の
溶解除去が充分になされない。この点に関しては、従来
のフォトンモードのキノンジアジドを用いたポジ型感光
材料と基本的に異なる点と思われる。従って本発明の様
に有機酸または有機酸塩(以下、これらを有機酸化合物
と略記)を支持体表面に付着させた場合は無論、それを
感光層中に配合した場合においても極性の高い有機酸化
合物が同じく極性の大きな支持体表面近傍に集まりポジ
画像の抜け性を改善し、その結果、過剰な現像処理が不
要となり画線部の残膜率を向上させたのではないかと考
えられる。
【0013】即ち、本発明のポジ型感光性平版印刷版に
用いられる感光層は必須成分として前記した如く(a)
成分の光熱変換物質および(b)成分のアルカリ可溶性
樹脂を含むものであるが、更に、有機酸化合物が感光層
成分かつ/または支持体表面の処理剤として使用され
る。本発明において用いられる感光層中には、更に成分
を配合する事も可能である。例えば、感光層のアルカリ
溶解性を低下させる作用を有する溶解抑止剤を含んでい
てもよく、また、これら溶解抑止剤とは別に、露光部分
の感光性層のアルカリ溶解性を、化学変化を伴うことに
よって高める作用を有する化合物等の含有が許容される
ことも理解されるべきである。
【0014】先ず、本発明のポジ型感光性組成物に用い
られる第1成分である光熱変換物質は、光照射により熱
を発生する物質であれば特に限定されないが、より具体
的には、波長域650〜1300nmの一部又は全部に
吸収帯を有する光吸収色素(a)(以下、光吸収色素と
称す)であり、これを中心に以下に説明する。本発明に
用いられる光吸収色素は、650〜1300nmの波長
域の光を効率よく吸収する一方、紫外領域の光は、ほと
んど吸収しないか、吸収しても実質的に感応せず、白色
灯に含まれるような弱い紫外線によっては、感光性組成
物を変成させる作用のない化合物である。これらの光吸
収色素の具体例を第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
【表6】
【0021】
【表7】
【0022】
【表8】
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】
【表11】
【0026】
【表12】
【0027】
【表13】
【0028】
【表14】
【0029】
【表15】
【0030】
【表16】
【0031】これらの内、シアニン色素、ポリメチン色
素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、ピリリウ
ム色素、チオピリリウム色素が好ましい。更に、シアニ
ン色素、ポリメチン色素、ピリリウム色素、チオピリリ
ウム色素がより好ましい。これらの内、特に好ましい色
素は、波長域650〜900nmにおいては下記一般式
〔I〕で表されるシアニン色素または一般式〔II〕で表
されるポリメチン色素であり、波長域800〜1300
nmにおいては下記一般式〔III 〕で表わされるピリリ
ウム色素またはチオピリリウム色素である。
【0032】
【化1】
【0033】〔式中、R1 ,R2 は置換基を有していて
も良いC8 以下のアルキル基であり、該置換基は、フェ
ニル基、フェノキシ基、アルコキシ基、スルホン酸基、
カルボキシル基であり;Q1 は置換基を有していても良
いヘプタメチン基であり、該置換基は、C8 以下のアル
キル基、ハロゲン原子、アミノ基であるか、該ヘプタメ
チン基がその2つのメチン炭素上の置換基が相互に結合
して形成された置換基を有していても良いシクロヘキセ
ン環またはシクロペンテン環を含むものであっても良
く、該置換基はC6 以下のアルキル基またはハロゲン原
子であり;m1 ,m 2 は各々が0または1であり;
1 ,Z2 は含窒素複素環を形成するに必要な原子群で
あり;X- は対アニオンを示す。〕
【0034】
【化2】
【0035】〔式中、R3 〜R6 はC8 以下のアルキル
基であり;Z4 ,Z5 は置換基を有していても良いアリ
ール基であり、該アリール基は、フェニル基、ナフチル
基、フリル基またはチエニル基であり、該置換基はC4
以下のアルキル基、C8 以下のアルキル基を有するジア
ルキルアミノ基、C8 以下のアルコキシ基およびハロゲ
ン原子である。Q2 はトリメチン基またはペンタメチン
基を示し;X- は対アニオンを示す。〕
【0036】
【化3】
【0037】〔式中、Y1 ,Y2 は酸素原子または硫黄
原子であり;R7 ,R8 ,R15およびR16は置換基を有
していても良いフェニル基またはナフチル基であり、該
置換基はC8 以下のアルキル基もしくはC8 以下のアル
コキシ基であり;l1 とl2 は各々独立に0または1を
示し;R9 〜R14は水素原子またはC8 以下のアルキル
基を示すかあるいは各々独立にR9 とR10,R11とR12
またはR13とR14とが相互に結合して
【0038】
【化4】
【0039】(但しR17〜R19は水素原子またはC6
下のアルキル基であり、nは0または1を示す。)の連
結基を形成しても良く;Z3 はハロゲン原子または水素
原子X - は対アニオンを示す。〕 以上の〔I〕,〔II〕および〔III 〕式における対アニ
オンX- を具体的に示すに、例えば、Cl- ,Br-
- ,ClO4 - ,BF4 - ,PF6 - 等の無機酸アニ
オン、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、
ナフタリン−1−スルホン酸、酢酸の様な有機酸アニオ
ンを挙げることができる。これらの光吸収色素の本発明
のポジ型感光性組成物中における使用割合は、重量比で
好ましくは0.1〜30%、より好ましくは1〜20
%,更に好ましくは2〜10%である。
【0040】次に、本発明のポジ型感光性組成物に用い
られる第2成分であるアルカリ可溶性樹脂(以下、高分
子または樹脂と称す)(b)について説明する。該アル
カリ可溶性樹脂は、基本的には、上記(a)成分の光熱
変換物質との組み合せに於て、露光物と未露光部が主と
して化学変化以外の変化によって、アルカリ現像液に対
する溶解性に差を生じうる高分子であり、当然該高分子
自体が、主として化学変化以外の変化によって、アルカ
リ現像液に対する溶解性が変化する高分子化合物である
場合を含む。このような高分子としては、ノボラック樹
脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アクリ
ル酸誘導体の共重合体等のアルカリ可溶性樹脂等が挙げ
られるが、これらのうちノボラック樹脂またはポリビニ
ルフェノール樹脂が好ましい。
【0041】ノボラック樹脂としては、フェノール、m
−クレゾール、o−クレゾール、p−クレゾール、2,
5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシ
ン、ピロガロール、ビスフェノール、ビスフェノール−
A、トリスフェノール、o−エチルフェノール、m−エ
チルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェ
ノール、n−ブチルフェノール、t−ブチルフェノー
ル、1−ナフトール、2−ナフトール等の芳香族炭化水
素類の少なくとも1種を酸性触媒下、ホルムアルデヒ
ド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズ
アルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類及び、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン類から選ばれた少なくとも1種のアルデヒド
類又はケトン類と重縮合させたものが挙げられる。
【0042】ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドの
代わりに、それぞれパラホルムアルデヒド及びパラアル
デヒドを使用してもよい。ノボラック樹脂のゲルパーミ
ュエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略
す)測定によるポリスチレン検算重量平均分子量(以
下、GPC測定による重量平均分子量をMwと略す)が
好ましくは1,000〜15,000、特に好ましくは
1,500〜10,000のものが用いられる。
【0043】ノボラック樹脂の芳香族炭化水素類として
は、より好ましくは、フェノール、o−クレゾール、m
−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノー
ル、及び3,5−キシレノール、レゾルシンから選ばれ
る少なくとも1種のフェノール類をホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのアルデ
ヒド類の中から選ばれる少なくとも1種と重縮合したノ
ボラック樹脂が挙げられる。
【0044】中でも、m−クレゾール:p−クレゾー
ル:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レ
ゾルシンの混合割合がモル比で40〜100:0〜5
0:0〜20:0〜20:0〜20のフェノール類また
は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混
合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60のフ
ェノール類とアルデヒド類との重縮合物であるノボラッ
ク樹脂が好ましい。アルデヒド類の中でも、特にホルム
アルデヒドが好ましい。尚、後述する如く、本発明の感
光性組成物は、更に溶解抑止剤を含んでいても良く、そ
の場合、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キ
シレノール:3,5−キシレノール:レゾルシンの混合
割合がモル比で70〜100:0〜30:0〜20:0
〜20のフェノール類または、フェノール:m−クレゾ
ール:p−クレゾールの混合割合がモル比で10〜10
0:0〜60:0〜40のフェノール類とアルデヒド類
との重縮合物であるノボラック樹脂が好ましい。
【0045】ポリビニルフェノール樹脂としては、o−
ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒ
ドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プ
ロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレ
ン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレンなどの
ヒドロキシスチレン類の単独または2種以上の重合体が
挙げられる。ヒドロキシスチレン類は芳香環に塩素、臭
素、ヨウ素、フッ素等のハロゲンあるいはC1 〜C4
アルキル置換基等の置換基を有していてもよく、従って
ポリビニルフェノール類としては、芳香環にハロゲン又
はC1 〜C4 のアルキル置換基を有していても良いポリ
ビニルフェノールが挙げられる。
【0046】ポリビニルフェノール樹脂は、通常、置換
基を有していてもよいヒドロキシスチレン類を単独で又
は2種以上をラジカル重合開始剤またはカチオン重合開
始剤の存在下で重合することにより得られる。かかるポ
リビニルフェノール樹脂は、一部水素添加を行なったも
のでもよい。又、t−ブトキシカルボニル基、ピラニル
基、フラニル基などでポリビニルフェノール類の一部の
OH基を保護した樹脂でもよい。ポリビニルフェノール
樹脂のMwは、好ましくは1,000〜100,00
0、特に好ましくは1,500〜50,000のものが
用いられる。
【0047】ポリビニルフェノール樹脂としては、より
好ましくは、芳香環に炭素数C1 〜C4 のアルキル置換
基を有していてもよいポリビニルフェノールが挙げら
れ、未置換のポリビニルフェノールが特に好ましい。以
上のノボラック樹脂またはポリビニルフェノール樹脂の
Mwが、上記範囲よりも小さいと十分な塗膜が得られ
ず、この範囲よりも大きいと未露光部分のアルカリ現像
液に対する溶解性が小さくなり、パターンが得られない
傾向にある。
【0048】上述の樹脂のうち、特に、ノボラック樹脂
が好ましい。本発明で用いられる前記の成分(a)及び
成分(b)から成るポジ型感光性組成物中におけるこれ
ら樹脂の使用割合は重量比で好ましくは70%〜99.
9%であり、より好ましくは80%〜99%、特に好ま
しくは90〜98%である。本発明のポジ型感光性平版
には、更に、有機酸化合物が用いられる。これはその感
光層中の成分として配合するか、かつ/または、その感
光層を担持する支持体表面の処理剤もしくは下引き剤の
成分として使用される。有機酸化合物としては、例え
ば、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、
ホスホン酸基、ホスフィン酸基から選ばれる基を有する
化合物およびリン酸モノまたはジエステル化合物等の有
機酸およびこれらの塩が挙げられる。
【0049】具体的には、例えば、蓚酸、マレイン酸、
コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、安息香酸、フタ
ル酸、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸/
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのコポリマー、マ
レイン酸/スチレンのコポリマーおよびカルボキシメチ
ルセルロース等カルボキシル基を有する化合物;ベンゼ
ンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、1−ナフタレ
ンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、スチレンス
ルホン酸/マレイン酸のコポリマー等のスルホン酸基を
有する化合物;ポリビニルホスホン酸、ビニルホスホン
酸/ビニルホスホン酸モノメチルのコポリマー、メチル
ホスホン酸等のホスホン酸基を有する化合物;リン酸モ
ノ(メタクリルオキシエチル)エステル、リン酸ビス
(メタクリルオキシエチル)エステル等リン酸エステル
類等の有機酸類および各々に対応した塩類が挙げられ
る。
【0050】塩構造をとる場合の対カチオンとしては、
例えば、ナトリウム、カリウムの様なアルカリ金属イオ
ンやNH4 +、四級アンモニウム等アミン系塩基が挙げら
れる。これら有機酸化合物にカルボキシル基を有する化
合物を使用する場合には、(メタ)アクリル酸のポリマ
ーまたは(メタ)アクリル酸を含むコポリマーがより好
ましい。これら有機酸化合物を感光層中に配合して用い
る場合、その添加量は前記(a)光熱変換物質および
(b)アルカリ可溶性樹脂の合計量に対し重量比で、好
ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.2〜5%
用いるのがよい。
【0051】これらは有機酸化合物を支持体の処理剤も
しくは下引き剤の成分として用いる場合は、通常、水ま
たはアルコール等に溶解して用いるが、必要に応じて他
の成分、例えば結合剤等と共に溶解しその溶液に支持体
を浸漬もしくはそれを塗布した後乾燥させて支持体を作
製する。支持体表面に付着する有機酸化合物の量は特に
限定されず、あくまで好適な諸特性をもたらす範囲を求
め用いればよいが、通常、0.5g/m2 以下である。
本発明に用いる感光性組成物は、その成分として、光熱
変換物質(a)と、前記アルカリ可溶性樹脂(b)から
成る配合物のアルカリ性現像液に対する溶解速度を低減
し得る溶解抑止剤(c)(以下、単に溶解抑止剤と称
す)を更に含んでいてもよい。
【0052】本発明の感光性組成物において、溶解抑止
剤を含有させた場合、感光性組成物がしばしば良好なポ
ジ型感光特性を示すことがある。本組成物において、該
溶解抑止剤の作用については必ずしも明らかでないが、
少なくとも、本組成物による感光材料は非露光部におい
て該溶解抑止剤の添加による現像液に対する溶解抑止特
性を示す一方、露光部においてはその効果が解消するば
かりではなく、しばしば溶解促進効果を示し、即ち、露
光部と未露光部とのコントラストを増大させる効果を示
し、その結果、良好なポジ画像をもたらすものと考えら
れる。
【0053】また、本願発明の感光性組成物には、アル
カリ可溶性樹脂(b)と光熱変換物質(a)が必須成分
として含まれているので、溶解抑止剤(c)は上述の通
り、成分(a)及び(b)の配合物の溶解を抑止する作
用を示すものであるが、実質的には、アルカリ可溶性樹
脂(b)の溶解を抑止しているものと考えられる。該溶
解抑止剤は、少なくとも、それの添加により前記成分
(a)及び(b)からなる配合物のアルカリ現像液に対
する溶解速度を80%以下に抑制する化合物でなければ
ならないが、好ましくは、該溶解速度が50%以下に、
更に好ましくは30%以下に抑制する化合物である。
【0054】簡便な溶解抑止効果の測定方法としては、
例えば、先ず、支持体上に前記成分(a)及び成分
(b)の所定量の配合物を塗布し、それを当該アルカリ
性現像液に浸漬し、その浸漬時間と膜厚減少量との相関
性を求める。次に溶解抑止剤、試料の所定量を前記の配
合物に添加した後、前と同一膜厚にて塗布し、同様にし
て浸漬時間と膜厚減少量との関係を求める。これらの測
定値から両者の溶解速度比を求めることができるから、
用いた溶解抑止剤の試料の溶解速度低減効果をその相対
速度として測定し得る。
【0055】本発明に用いられる有効な溶解抑止剤とし
ては広範な化合物が適用し得ることが分った。しかし該
溶解抑止剤は感光層中に安定して残留しなければならな
いから、常温、常圧で固体、もしくは常圧で沸点180
℃以上の液体であることが好ましい。有効なこれらの化
合物を例示するに、スルホン酸エステル、リン酸エステ
ル、芳香族カルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カ
ルボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アルデヒド、芳
香族アミン及び芳香族エーテル化合物を挙げることがで
き、これらは単独で又は2種以上混合して使用できる。
【0056】更に、それらを具体的に例示するに、例え
ば、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸−
n−ヘキシル、ベンゼンスルホン酸フェニル、ベンゼン
スルホン酸ベンジル、ベンゼンスルホン酸フェニルエチ
ル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスル
ホン酸−t−ブチル、p−トルエンスルホン酸−n−オ
クチル、p−トルエンスルホン酸−2−エチルヘキシ
ル、p−トルエンスルホン酸フェニル、p−トルエンス
ルホン酸フェニルエチル、1−ナフタレンスルホン酸エ
チル、2−ナフタレンスルホン酸フェニル、1−ナフタ
レンスルホン酸ベンジル、1−ナフタレンスルホン酸フ
ェニルエチル、ビスフェノールAジメチルスルホネート
等のスルホン酸エステル類;リン酸トリメチル、リン酸
トリエチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン
酸トリフェニル、リン酸トリトリル、リン酸トリクレジ
ル、リン酸トリ−(1−ナフチル)等のリン酸エステル
類;安息香酸メチル、安息香酸n−ヘプチル、安息香酸
フェニル、安息香酸1−ナフチル、1−ピリジンカルボ
ン酸n−オクチル、トリス(n−ブトキシカルボニル)
−s−トリアジン等の芳香族カルボン酸エステル類;モ
ノ、ジまたはトリクロル酢酸無水物、フェニルコハク酸
無水物、マレイン酸無水物、無水フタル酸、無水安息香
酸等のカルボン酸無水物;ベンゾフェノン、アセトフェ
ノン、ベンジル、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェ
ノン等の芳香族ケトン類;p−ジメチルアミノベンズア
ルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、p−クロロ
ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド等の芳香族ア
ルデヒド類;トリフェニルアミン、ジフェニルアミン、
トリトリルアミン、ジフェニルナフチルアミン等の芳香
族アミン類;エチレングリコールジフェニルエーテル、
2−メトキシナフタレン、ジフェニルエーテル、4,
4′−ジエトキシビスフェノールA等の芳香族エーテル
類を挙げることができる。これらの化合物には本発明の
効果を損なわない種類の置換基、例えばアルキル基、ア
ルコキシ基、ハロゲン原子、フェニル基等で置換されて
いても良い。更に、また、ポリマーや樹脂等に組み込ま
れた構造を有していても良く、例えば、ノボラック樹脂
やポリビニルフェノールの水酸基へエステル結合により
担持させたスルホン酸エステル等が挙げられ、これらは
しばしば良好な抑止効果を与える。
【0057】これらの溶解抑止剤としては、その構造中
に紫外光に対し感光性を有する種類のもの、例えば、o
−キノンジアジドスルホン酸エステル等のo−キノンジ
アジド基含有化合物やジフェニルジスルホン等の芳香族
ジスルホン類等を含んでいても良好な画像を得ることが
できる。但し、この場合は、通常、黄色灯下で作業を行
う必要がある。従って、より好ましい本発明の具体的態
様は紫外光に対し実質的な感光性を有しない溶解抑止剤
を用いた技術である。それらは白色灯の環境下での長時
間作業に耐えられる感光材料であって、実技上、更に、
大きな利点をもたらす。所望により用いられるこれら溶
解抑止剤(c)は前述の成分(a)、成分(b)の合計
重量に対し、好ましくは50重量%以下、より好ましく
は40重量%以下の量、付加的に添加しても良い。
【0058】なお、溶解抑止剤としてo−キノンジアジ
ド基含有化合物を用いた場合、感光性組成物を紫外線照
射すれば従来と同様の作用でポジ型画像が得られること
となるが、本発明の感光性組成物は、有利には波長域6
50〜1300nmの光によって画像を形成することが
特徴であり、この波長域では、o−キノンジアジド基含
有化合物の光分解反応は実質的に起こり得ないと考えら
れる。しかし、o−キノンジアジド基含有化合物のよう
な1,2−ジアゾケトン類は熱によっても分解反応を起
こすことが知られているので、波長域650〜1300
nmの光を照射した場合には、光吸収色素によって変換
された熱によって分解し、その結果として露光部分のア
ルカリ可溶性の増大作用を併発していることも考えられ
る。
【0059】また、溶解抑止剤としては、o−キノンジ
アジド基含有化合物以外にも、成分(a)の光吸収色素
の存在下、波長域650〜1300nmの光照射によ
り、熱的に化学変化を起こす化合物、例えばジフェニル
ジスルホンのような芳香族ジスルホン類等を用いること
もできる。このような、熱的に化学変化を伴う溶解抑止
剤を用いた場合には、露光部と非露光部とのアルカリ現
像液に対する溶解性の差異が大きくなる場合があり、本
発明はこの様な補助成分の添加は、場合に応じて採用す
ることが当然に有り得る。しかしながら、本発明の有利
な態様においては、露光部分と非露光部分との現像液に
対する現像性の差異は本質的にはあく迄650〜130
0nmの波長域の光を吸収する色素とアルカリ可溶性樹
脂の組合が光吸収による化学変化以外の変化によってア
ルカリ現像液による溶解性に差異を生じることによって
達成されることを理解されるべきである。
【0060】本発明に使用する感光性組成物は、通常、
上記各成分を適当な溶媒に溶解して用いられる。溶媒と
しては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な
塗膜性を与える溶媒であれば特に制限はないが、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセ
テート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ
系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレング
リコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモ
ノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコール
ジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、
酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジ
エチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−
ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸
メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル
などのエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、
ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなどのア
ルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケト
ンなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの高極性溶
媒、あるいはこれらの混合溶媒、さらにはこれらに芳香
族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。溶媒の使
用割合は、感光性組成物の総量に対して通常重量比とし
て1〜20倍程度の範囲である。
【0061】なお、本発明の感光性組成物は、その性能
を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば染料、顔料、
塗布性改良剤、現像改良剤、密着性改良剤、感度改良
剤、感脂化剤等を含有することも可能である。本発明に
使用する感光性組成物を支持体表面に設ける際に用いる
塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗
布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗
布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等を用
いることが可能である。その乾燥温度または加熱温度と
しては、例えば20〜170℃、好ましくは30〜15
0℃が採用される。
【0062】本発明に使用する感光性組成物を用いた感
光層を設ける支持体としては、アルミニウム、亜鉛、
鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケ
ル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属
板、紙、プラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗
布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親
水化処理したプラスチックフィルム等のシート等が挙げ
られる。このうち好ましいのはアルミニウム板である。
本発明の感光性平版印刷版の支持体としては、塩酸また
は硝酸溶液中での電解エッチングまたはブラシ研磨によ
る砂目立て処理、硫酸溶媒中での陽極酸化処理および必
要に応じて封孔処理等の表面処理が施されているアルミ
ニウム板を用いることがより好ましい。
【0063】支持体表面の粗面度に関しては、一般的
に、表面粗さRaの値で示される。これは表面粗度計を
用いて測定することができる。本発明において用いられ
る支持体としてはその平均粗さRaとして0.3〜1.
0μmのアルミニウム板が好ましく、更に、0.4〜
0.8μmのものがより好ましい。本支持体は前述の如
く、必要に応じ、更に有機酸化合物による表面処理を施
して用いることができる。
【0064】本発明の感光性平版印刷版を画像露光する
光源としては光熱変換物質が所期の目的を達成しうるも
のであれば良いが650〜1300nmの近赤外レーザ
ー等の光線を発生する光源が好ましく、例えばルビーレ
ーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、LED、そ
の他の固体レーザー等を挙げることが出来、特に小型で
長寿命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。
これらのレーザー光源により、通常、走査露光後、現像
液にて現像し画像を有する平版印刷版を得ることができ
る。
【0065】また、レーザー光源は、通常、レンズによ
り集光された高強度の光線(ビーム)として感光材表面
を走査するが、それに感応する本発明のポジ型平版印刷
版の感度特性(mJ/cm2 )は感光材表面で受光する
レーザービームの光強度(mJ/s・cm2 )に依存す
ることがある。ここで、レーザービームの光強度(mJ
/s・cm2 )は、版面上でのレーザービームの単位時
間当たりのエネルギー量(mJ/s)を光パワーメータ
ーにより測定し、また感光材表面におけるビーム径(照
射面積;cm2 )を測定し、単位時間当たりのエネルギ
ー量を照射面積で除することにより求めることができ
る。レーザービームの照射面積は、通常、レーザーピー
ク強度の1/e2 強度を超える部分の面積で定義される
が、簡易的には相反則を示す感光材を感光させて測定す
ることもできる。
【0066】本発明に用いられる光源の光強度として
は、2.0×106 mJ/s・cm2以上であることが
好ましく、1.0×107 mJ/s・cm2 以上である
ことが更に好ましい。光強度が上記の範囲であれば、本
発明のポジ型平版印刷版の感度特性が向上し、走査露光
時間が短くすることができ実用的に大きな利点が得られ
る。
【0067】本発明の感光性平版印刷版の現像に用いる
現像液としては特にアルカリ水溶液を主体とするアルカ
リ現像液が好ましい。上記アルカリ現像液としては、例
えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ
酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリ
ウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。アルカ
リ金属塩の濃度は0.1〜20重量%が好ましい。又、
該現像液中に必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界
面活性剤等やアルコール等の有機溶媒を加えることがで
きる。
【0068】
〔平版印刷版の作製〕
〔アルミニウム板の作製〕厚さ0.24mmのアルミニ
ウム板(材質1050、調質H16)を、5重量%の水
酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行
なった後、0.5モル/リットルの濃度の塩酸水溶液中
において、温度28℃、電流密度60A/dm2 、処理
時間40秒の条件で電解エッチング処理を行なった。次
いで4重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃、12
秒間のデスマット処理を施した後、20重量%硫酸溶液
中で、温度20℃、電流密度3.5A/dm2 、処理時
間1分の条件で陽極酸化処理を行なった。更に、80℃
の熱水で20秒間熱水封孔処理を行ない、平版印刷版用
支持体のアルミニウム板を作製した。この板の平均粗さ
Raの値は0.60μmであった。このRa値は表面粗
度計SE−3DH(小坂研究所社製)を用い、スキャン
長さ4mm、高域カットオフ無し、低域カットオフ0.
8mmの条件下で測定した
【0069】〔感光層の塗膜量の測定法〕支持体上に以
下の実施例にて示した条件下で感光液を塗布、乾燥、加
熱処理して得られた感光性平版印刷版試料について10
cm角の大きさに切り取り、その試料片の重量を測定
後、アセトンにより感光層を溶解除去し、再度、重量を
測定してその減量分を求め、その値から1m2 当りの重
量として塗膜量を求めた。また、残膜率は現像後の残存
塗膜量を同様な方法で求め、初期塗膜量との比から求め
た。
【0070】実施例1 下記成分よりなる感光液を前述の方法で作製したアルミ
ニウム板上にワイヤーバーで塗布し、85℃にて2分間
乾燥させた後130℃で4分間加熱処理した。塗膜量は
2.8g/m2 であった。
【0071】
【表17】 (感光液) 高分子化合物:ノボラック樹脂PR−4(住友デュレズ社製) 3.2g 光吸収色素:S−54 0.096g 色材:ビクトリアピュアーブル−BOH 0.032g 有機酸化合物:ポリアクリル酸ジュリマーAC−10P (日本純薬社製) 0.032g 溶媒:シクロヘキサノン/N−メチルピロリドン(混合) 16g/1.7g
【0072】次に、上記感光性平版印刷版を回転ドラム
上に取り付け、YAGレーザー(アプライドテクノ社
製、1064nm)をレンズで35μmのビーム径に絞
ったレーザー光(120mW)により走査露光を行っ
た。次いでアルカリ性現像液SDR−1(コニカ社製、
ポジ型平版用)を8倍希釈し25℃で現像を行った。現
像時間は50cm/secの走査ポジ画線が形成される
時点迄適宜変更した。得られた画像試料の未露光部の残
膜率を測定した。結果を第2表に示した。
【0073】実施例2 実施例1において、有機酸化合物としてp−トルエンス
ルホン酸0.032gに変更した以外は同様にして評価
した。結果を表−2に示した。
【0074】実施例3 実施例1で使用したものと同一のアルミニウム板を次の
手順により予め処理を行なった。先ず、ジュリマーAC
−10L(日本純薬社製)を0.3wt%含有する水溶
液中に浸漬した後立て掛けて自然風乾する。次いで実施
例1で用いた感光液の成分の内有機酸化合物:AC−1
0Pのみを除いた感光液を同例と同一条件で塗布しそれ
以後の調製条件、評価条件は同例と同様に行なった。結
果を第2表に示した。
【0075】実施例4 実施例3において、アルミニウム板の処理液中のジュリ
マーAC−10Lに代えて、p−トルエンスルホン酸の
等量にした他、更に同液中にポバールGL−03(日本
合金化学社製)を同重量溶解した。他は実施例3と同様
に評価した。結果を第2表に示した。
【0076】実施例5 実施例3においてアルミニウム板の処理液中のジュリマ
ーAC−10Lに代えて、ポリビニルホスホン酸の等量
にした他は実施例3と同様に評価した。結果を第2表に
示した。
【0077】比較例1 実施例1において、有機酸化合物AC−10Pを除いた
感光液を用いた以外は同例と同様にして評価した。結果
を第2表に示した。
【0078】
【表18】
【0079】
【発明の効果】本発明により、コントラストに優れ、か
つ画線部の残膜率が充分である新規なポジ型感光性平版
印刷版を提供することができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 露光部と非露光部において、主として化
    学変化以外の変化によってアルカリ現像液に対する溶解
    性に差異を生ずるポジ型感光性組成物の成分として、 (a)光熱変換物質 (b)アルカリ可溶性樹脂 を含有するポジ型感光性組成物を支持体上に設けてなる
    ポジ型感光性平版であって、該ポジ型感光性組成物が更
    に有機酸または有機酸塩を含有するものであるか、かつ
    /または、該支持体表面が該有機酸または有機酸塩によ
    り予め処理を施こされたものであることを特徴とするポ
    ジ型感光性平版印刷版。
  2. 【請求項2】 光熱変換物質が波長域650〜1300
    nmの一部又は全部に吸収帯を有する光吸収色素である
    請求項1に記載のポジ型感光性平版印刷版。
  3. 【請求項3】 アルカリ可溶性樹脂が主として化学変化
    以外の変化によってアルカリ現像液に対する溶解性が変
    化し得るものである請求項1又は2に記載のポジ型感光
    性平版印刷版。
  4. 【請求項4】 該有機酸または有機酸塩がカルボキシル
    基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、ホ
    スフィン酸基から選ばれる基を有する化合物、リン酸モ
    ノまたはジエステル類、またはこれらの塩である請求項
    1ないし3に記載のポジ型感光性平版印刷版。
  5. 【請求項5】 該支持体が粗面化処理されたアルミニウ
    ムまたはアルミニウム合金から成る板であり、該ポジ型
    感光性組成物が乾燥塗膜量2.0〜12.0g/m2
    範囲で塗設されたものである請求項1ないし4記載のポ
    ジ型感光性平版印刷版。
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