JPH0979493A - 低温貨物用タンクのパネル式防熱材の施工方法及びこれに使用する取付具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パネルに孔を開ける作業を不要して、孔の位
置とスタッドボルト溶接位置とのズレによる取り付けト
ラブルをなくし、低温貨物用タンクの外表面へのパネル
の取り付けを容易する。 【解決手段】 低温貨物用タンクａの外表面に所定の間
隔でスタッドボルトｃを溶接して取り付け、パネルｂの
側端面ｂ₁ に当接する側面２ｂとパネルｂの端部上面を
押圧する鍔３とスタッドボルトｃ取り付け用のボルト取
付孔４とを備えた取付具１をスタッドボルトｃに取り付
け、スタッドボルトｃに取り付けられた取付具１を間に
挟んでその両側から方形状のパネルｂを取付具１の側面
２ｂに当接し、取付具１をスタッドボルトｃに螺着し、
スタッドボルトｃに螺着した取付具１によってパネルｂ
を低温貨物用タンクａの外表面の所定位置に止着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、例えば低温液化
ガスなどの低温貨物を収容するタンクの外表面を防熱材
で被覆して保冷する低温貨物用タンクのパネル式防熱材
の施工方法及びこれに使用する取付具に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば低温液化ガスなどの低温貨
物を収容するタンクにおいては、断熱のために、タンク
の外表面に例えばポリウレタンフォームを現場発泡させ
て断熱層を形成したり、ポリウレタンフォームなどから
なる断熱材のパネルを複数取り付けてその外面を被覆し
て、内部の保冷を図っている。

【０００３】また、従来の断熱材のパネルの取り付け
は、各パネルの中央部位に適宜間隔をあけて複数の孔を
形成し、各パネルが取り付けられるタンクの外表面のパ
ネルの各孔の位置に対応する箇所にスタッドボルトをそ
れぞれ溶接して取り付け、各パネルの孔内にタンクの外
表面に溶接されたスタッドボルトを挿通させて各パネル
をタンクの外表面に取り付け、スタッドボルトにナット
を螺合して各パネルをタンクの外表面に止着している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た従来のパネルの取り付け方法では、各パネル本体に取
り付け用の孔を開ける必要があり、その分手間がかかり
又孔開けによるコスト増になるという課題があった。

【０００５】また、パネルの孔開け作業はパネルメーカ
ーが行う一方で、タンク外表面へのスタッドボルトの溶
接は別メーカーが行うため、パネルの孔位置とタンク外
表面のスタッドボルトの溶接位置とがズレ易く、両者の
取り付け精度を高めるのは容易でないという課題もあっ
た。

【０００６】この発明は、上記のような課題に鑑み、そ
の課題を解決すべく創案されたものであって、その目的
とするところは、パネルに孔を開ける作業を不要して、
孔の位置とスタッドボルト溶接位置とのズレによる取り
付けトラブルをなくして、低温貨物用タンクへのパネル
の取り付けを容易にすることのできる低温貨物用タンク
のパネル式防熱材の施工方法及びこれに使用する取付具
を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、請求項１の発明は、低温貨物用タンクの外表面に
所定の間隔でスタッドボルトを溶接して取り付け、パネ
ルの側端面に当接する側面とパネルの端部上面を押圧す
る鍔とスタッドボルト取り付け用のボルト取付孔とを備
えた取付具をスタッドボルトに取り付け、スタッドボル
トに取り付けられた取付具を間に挟んでその両側から方
形状のパネルを取付具の側面に当接し、取付具をスタッ
ドボルトに螺着し、スタッドボルトに螺着した取付具に
よってパネルを低温貨物用タンクの外表面の所定位置に
止着する手段よりなる。

【０００８】また、請求項２の発明は、請求項１の施工
方法に使用される取付具は、隣合う各パネルの側端面に
当接する側面を備え上面が開放された中空体と、該中空
体の上端周縁に形成され隣合う各パネルの端部上面を押
圧する鍔と、中空体の底面に形成された長孔のボルト取
付孔とを有する手段よりなる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面に記載の発明の実施の
形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。こ
こで、図１はパネルの取り付け配置図、図２はパネルの
取り付け断面図、図３は取付具の全体斜視図、図４は取
付具の平面図、図５は取付具の側断面図、図６（Ａ）〜
（Ｇ）は他の実施の形態を示す取付具の平面図、図７
（Ａ）〜（Ｃ）は他の実施の形態を示す取付具の断面図
である。

【００１０】図において、取付具１は、例えば低温液化
ガスなどの低温貨物を収容するタンクａの外表面に、内
部の保冷のための断熱材として取り付けられる複数の方
形状のパネルｂを、該タンクａの外表面の所定位置に止
着するための器具として使用されるものである。

【００１１】取付具１は、タンクａの外表面の所定位置
に前後又は左右に一定の隙間を空けて取り付けられるパ
ネルｂ同士の隙間に取り付けられて、各パネルｂを所定
位置に止着して、各パネルｂが前後、左右に移動するの
を防ぎ、又各パネルｂがタンクａの外表面から浮き上が
って離れるのを防ぐ機能を果たすものである。

【００１２】取付具１は様々な形態があり、例えば図
３、図４、図５に示す取付具１の形態にあっては、平面
からみて横に長い長方形状の直方体型の箱型の形状を有
しその内部が中空になっている箱型形状の中空体２と、
中空体２の上面の開口部２ａの周縁に形成された鍔３と
から形成されている。

【００１３】平面からみて横に長いこの箱型の形状から
なる中空体２は、上面が開口されて開口部２ａが形成さ
れ、上面の開口部２ａ以外の前後の側面２ｂ，２ｂ、左
右の側面２ｃ，２ｃ及び底面２ｄは例えばプラスチック
材によって閉塞されている。この中空体２の四側面２
ｂ，２ｃの高さは、パネルｂの端部の側端面ｂ₁ の高
さ、つまりパネルｂの厚みより、やや小さめになってい
る。

【００１４】中空体２の四側面を構成する側面２ｂ，２
ｃのうち、長手方向に平行となる前後の側面２ｂ，２ｂ
は、タンクａの外表面に取り付けられる前後又は左右に
隣合う２つのパネルｂの端部の側端面ｂ₁ にそれぞれ当
接する部分であり、各パネルｂの側端面ｂ₁ に平行にな
るように形成されている。

【００１５】これに対して、長手方向に直交する左右の
側面２ｃ，２ｃは、隣合う２つのパネルｂの隙間に対し
て直角方向になるように形成されていて、隣合う各パネ
ルｂが接近するのを阻止してパネルｂ同士の隙間の間隔
を一定に維持する機能を果たすものである。

【００１６】中空体２の底面２ｄには、その底面中央部
位にスタッドボルトｃの取り付け用のボルト取付孔４が
形成されている。ボルト取付孔４はタンクａの外表面に
既に溶接して取り付けられたスタッドボルトｃのボルト
先端側を挿通させて、取付具１をスタッドボルトｃによ
って固定させる孔である。

【００１７】ボルト取付孔４は長孔に形成されていて、
タンクａの外表面に溶接して取り付けられたスタッドボ
ルトｃの溶接位置の誤差を吸収できるようになってい
る。ボルト取付孔４の長孔の長軸方向は底面２ｄの長手
方向に直角な幅方向になっている。つまり、ボルト取付
孔４の長孔の長軸方向は前後の側面２ｂ，２ｂの方向に
向いている。

【００１８】中空体２の上面の開口部２ａの周縁に形成
された鍔３は、平面からみて外形は長方形状の形状に形
成され、又側面からみて水平に形成されている。鍔３は
中空体２と同様に例えばプラスチック材により形成され
ている。鍔３は四側面２ｂ，２ｃの上端から直角に側方
に張り出すように形成されている。

【００１９】中空体２の上面の開口部２ａの周縁に形成
された鍔３は、前後の側面２ｂ，２ｂからそれぞれ張り
出し部分の下面が、隣合う各パネルｂの端部側上面に当
接してこれを押止して、パネルｂが浮き上がるのを防ぐ
機能を果たす。

【００２０】また、鍔３は上面が開口された中空体２の
剛性を高めて、パネルｂから受ける荷重に対して取付具
１が容易に変形しないようにして、その強度を高めてい
る。さらに、鍔３はパネルｂの端部側上面を押止してそ
の押圧力によって横移動するのを防ぐ機能も有する。

【００２１】次に、上記発明の実施の形態の構成に基づ
く取付具を使用してのパネル式防熱材の施工方法につい
て以下説明する。

【００２２】例えば低温液化ガスなどの低温貨物を収容
するタンクａの外表面に、防熱材としてのパネルｂを取
り付ける前に、予め、上記タンクａの外表面としての上
面、側面、下面の所定位置にスタッドボルトｃを溶接に
より取り付ける。スタッドボルトｃはタンクａの外表面
に取り付けられるパネルｂ同士の隙間の位置に取り付け
られる。

【００２３】スタッドボルトｃをタンクａの外表面の所
定位置に溶接で取り付けた後、第一列目のスタッドボル
トｃに取付具１を弛めに取り付ける。取付具１の底面２
ｄのボルト取付孔４からスタッドボルトｃの先端側を上
方挿通させて突出させ、ボルト取付孔４から上方に突出
したスタッドボルトｃの先端側にワッシャを装着し又ナ
ットｄを弛めに螺合して取り付ける。

【００２４】この場合、取付具１の底面２ｄのボルト取
付孔４の長孔の長軸方向が第一列目のスタッドボルトｃ
の並びに対して直交するように、取付具１を取り付け
る。また、取付具１の鍔３がパネルｂの側端面ｂ₁ に当
たらないように、取付具１全体が少し浮いた状態になる
ように弛めにスタッドボルトｃに取り付けておく。

【００２５】また、取付具１をスタッドボルトｃに取り
付ける場合、取付具１の底面２ｄとタンクａの外表面と
の間には例えばグラスウールや軟質ウレタンの断熱材ｅ
が取り付けられて、タンクａの外表面と取付具１の底面
２ｄとが直に接触するのが防がれている。断熱材ｅはタ
ンクａの保冷を図ると共に取付具１を取り付ける場合の
緩衝材としての機能も果たす。

【００２６】第一列目の各スタッドボルトｃに取付具１
を取り付けた後、第一列目のスタッドボルトｃに弛めに
取り付けられた各取付具１にパネルｂの側端面ｂ₁ を押
し当てて取り付ける。つまり、各取付具１の中空体２の
前後の側面２ｂの一方にパネルｂの側端面ｂ₁ を当接さ
せて密着する。

【００２７】各取付具１の中空体２の側面２ｂにパネル
ｂの側端面ｂ₁ を押し付けた後、取付具１の底面２ｄの
ボルト取付孔４から上方に突出しているスタッドボルト
ｃの先端側に螺合しているナットｄを十分に締め付け
る。

【００２８】ナットｄを締め付けることによって、各取
付具１はタンクａ側に押されて移動し、各取付具１の中
空体２の上端の周縁に形成された鍔３の一部の下面がパ
ネルｂの端部の上面に当接してこれを押圧して、各パネ
ルｂをタンクａの外表面に所定位置に止着する。

【００２９】各パネルｂをタンクａの外表面に所定位置
に止着した後、パネルｂ同士の隙間及び各取付具１の中
空体２の内部に、防熱材を充填し、その表面にテープｆ
を貼り付け、第一列目のパネルｂの取り付けが完了する
と、第二列目のパネルｂの取り付けを上記と同様な方法
で順次取り付けて行く。

【００３０】なお、この発明は上記発明の実施の形態に
限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない
範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。例え
ば、上記の発明の実施の形態においては、中空体２及び
鍔３はプラスチック材で形成されている場合で説明した
が、プラスチック材に代えて更に熱伝導率の低い材質の
ものを使用してもよい。

【００３１】また、中空体２は平面からみて長方形状の
直方体の形状で、又鍔３は平面からみて長方形状の場合
で説明したがこれに限定されるものではなく、図６
（Ａ）に示すように、中空体２及び鍔３は平面からみて
正方形の形状でもよい。また、図６（Ｂ）に示すよう
に、鍔３は中空体２の上端の全周縁に形成せずにパネル
ｂと当接する部分にのみ形成していてもよい。また、図
６（Ｃ）に示すように、中空体２は平面からみて台形の
形状でもよい。また、図６（Ｄ）に示すように、鍔３は
パネルｂと当接する部分にのみ形成され、又中空体２も
パネルｂの側端面ｂ₁と当接しない左右の側面２ｃ，２
ｃを省略したものでもよい。また、図６（Ｅ）に示すよ
うに、鍔３はパネルｂと当接する部分にのみ形成され、
又中空体２もパネルｂの側端面ｂ₁ と当接しない左右の
側面２ｃ，２ｃは内側に形成されていてもよい。また、
図６（Ｆ）に示すように、中空体２及び鍔３は平面から
みて円形の形状でもよい。また、図６（Ｇ）に示すよう
に、中空体２と鍔３が方形状のパネルｂの４箇所の各々
角部にそれぞれ当接するようにし、４枚のパネルｂが交
差する各々角部で使えるような、平面から見て２本の平
行な縦線と横線が直角に交差する所謂“井”形の形状で
もよい。

【００３２】更に、図７（Ａ）に示すように、中空体２
の底面２ｄを側面２ｂ，２ｃの下端より少し上方に形成
し、取り付け時に、中空体２の側面２ｂ，２ｃの下端が
タンクａの外表面に当接するようにしてもよく、そして
この場合には、中空体２の底面２ｄとタンクａの外表面
との間の断熱材を省略してもよい。また、図７（Ｂ）に
示すように、中空体２の底面２ｄを側面２ｂ，２ｃの下
端より少し上方に上下に二段形成し、取り付け時に、中
空体２の側面２ｂ，２ｃの下端がタンクａの外表面に当
接するようにしてもよく、そしてこの場合には、中空体
２の底面２ｄとタンクａの外表面との間の断熱材を省略
してもよい。また、図７（Ｃ）に示すように、中空体２
の底面２ｄの上方に別の底板を形成してもよい。

【００３３】

【発明の効果】以上の記載より明らかなように、請求項
１の発明に係る低温貨物用タンクのパネル式防熱材の施
工方法によれば、低温貨物用タンクの外表面に取り付け
られるパネル同士の隙間に溶接して取り付けられたスタ
ッドボルトに取付具を取り付け、この取付具によってパ
ネルを低温貨物用タンクの外表面に止着するので、従来
のようにパネルに孔を開ける作業を不要にでき、パネル
の孔の位置と低温貨物用タンクの外表面のスタッドボル
ト溶接位置とのズレによる取り付けトラブルをなくし、
低温貨物用タンクの外表面へのパネルの取り付け作業を
容易にすることができ、その作業能率の向上及び作業コ
ストの低減に寄与することができる。

【００３４】また、請求項２の発明に係る取付具によれ
ば、取付具の中空体の側面がパネルの側端面に当接し
て、この中空体によってパネル同士が接近するのを防
ぎ、パネルが横ずれするのを防ぐことができる。しか
も、中空体の上端周縁に形成した鍔によってパネルの端
部上面を押圧してパネルが低温貨物用タンクの外表面か
ら浮き上がるのを防ぐことができ、更に、中空体の底面
に形成した長孔のボルト取付孔によって、スタッドボル
トの溶接取り付け位置に誤差があってもその誤差を吸収
して取付具を精度良く取り付けることができる等、極め
て新規的有益なる効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示すパネルの取り付け
配置図である。

【図２】この発明の実施の形態を示すパネルの取り付け
断面図である。

【図３】この発明の実施の形態を示す取付具の全体斜視
図である。

【図４】この発明の実施の形態を示す取付具の平面図で
ある。

【図５】この発明の実施の形態を示す取付具の側断面図
である。

【図６】（Ａ）〜（Ｇ）はこの発明の他の実施の形態を
示す取付具の平面図である。

【図７】（Ａ）〜（Ｃ）はこの発明の他の実施の形態を
示す取付具の断面図である。

【符号の説明】

１ 取付具 ２ 中空体 ２ａ 開口部 ２ｂ 側面 ２ｃ 側面 ２ｄ 底面 ３ 鍔 ４ ボルト取付孔 ａ タンク ｂ パネル ｂ₁ 側端面 ｃ スタッドボルト ｄ ナット ｅ 断熱材 ｆ テープ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 低温貨物用タンクの外表面に所定の間隔
   でスタッドボルトを溶接して取り付け、パネルの側端面
   に当接する側面とパネルの端部上面を押圧する鍔とスタ
   ッドボルト取り付け用のボルト取付孔とを備えた取付具
   をスタッドボルトに取り付け、スタッドボルトに取り付
   けられた取付具を間に挟んでその両側から方形状のパネ
   ルを取付具の側面に当接し、取付具をスタッドボルトに
   螺着し、スタッドボルトに螺着した取付具によってパネ
   ルを低温貨物用タンクの外表面の所定位置に止着するこ
   とを特徴とする低温貨物用タンクのパネル式防熱材の施
   工方法。
2. 【請求項２】 請求項１の施工方法に使用される取付具
   は、隣合う各パネルの側端面に当接する側面を備え上面
   が開放された中空体と、該中空体の上端周縁に形成され
   隣合う各パネルの端部上面を押圧する鍔と、中空体の底
   面に形成された長孔のボルト取付孔とを有することを特
   徴とする取付具。