JPH079096A - レードル注入末期の注湯方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 極力タンディッシュ内へのレードルスラグ混
入量を少なくしかつ溶鋼残湯量も少なくする。 【構成】 レードル残湯量と渦発生限界注入量の関係を
求めておき、レードルのロードセルから残湯量を把握す
るとともに、単位時間当りのロードセル値変化からその
時点の注入量を把握し渦発生しない領域の注入流量にて
タンディッシュに注湯することを特徴とするレードル末
期の注湯方法。また複数のレードルから同時受湯可能な
タンディッシュを用いる事により鋳造速度を落とさずに
上記操業が可能となる。 【効果】 タンディッシュ内への流出スラグをほぼ０と
出来るため鋳片の品位は格段に向上しかつ最終の溶鋼残
湯量もほぼ０に出来るため溶鋼歩留りも格段に向上し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はレードル注入末期の注湯
方法に関し、詳しくはレードルからタンディッシュに流
出するスラグを低減し、かつ残湯量も最少にすることが
できる注湯方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように例えばスラグを連続鋳造す
る場合、溶鋼をレードルから一旦タンディッシュに注入
し、次いでタンディッシュからモールドに供給している
が、レードル内のスラグがタンディッシュ内に流れ込む
と、これをそのまま鋳造した場合、得られた鋳片内にス
ラグが介在物として混入し、鋳片の品質が著しく害され
る恐れがある。しかしてスラグの混入を防ぐ技術として
特開昭６１−１１９３５８号公報、特開平２−４１７４
４号公報が提案されている。

【０００３】前者はタンディッシュを巾方向に２分割し
て受湯室と出湯室に機能区分した構造のタンディッシュ
を用い、受湯室側には常に湯面レベルが一定になるよう
に２つのレードルを受湯室両端に配置し、交互に溶鋼を
注湯する鋳造方法であるが、前レードルの注入末期のス
ラグ流出対策としてはスラグストッパーを挿入する方法
であるため、コストアップにつながり、かつ、スラグス
トッパーを確実にレードル上ノズルに噛み合せることが
困難でスラグの流出を完全に停止することができない。

【０００４】後者はタンディッシュ内にスラグを混入さ
せないために、溶鋼渦が発生する前にレードル内に溶鋼
を残した状態で注湯を打ち切り、レードル内の残鋼およ
びスラグを熱間のまま精練炉（転炉）へ再装入する方法
であるが、通常既設の製鉄所では残鋼を熱間のまま精練
炉へ再装入できる様な物流構造にはなっておらず、これ
を可能とするには多額の設備改造費用を必要とする。ま
た、１チャージ当りの溶鋼歩留りも低い。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明はレードルから
タンディッシュに注湯するとき、スラブの混入を確実に
防止し、溶鋼歩留りを飛躍的に向上できる安価な注湯方
法を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を有
利に解決するためになしたものであり、その要旨とする
ところは、 （１） レードル残湯量と渦発生限界注入量の関係を求
めておき、レードルのロードセルから残湯量を把握する
とともに単位時間当りのロードセル値変化からその時点
の注入量を把握し、渦発生しない領域の注入流量にてタ
ンディッシュに注湯することを特徴とするレードル注入
末期の注湯方法。 （２） 複数のレードルから同時受湯可能なタンディッ
シュを用いることを特徴とする上記（１）記載の方法で
ある。

【０００７】

【実施例】次に、本発明を図２に示す実施例装置に基づ
いて説明する。１ａは前レードルでロングノズル３およ
びロングノズル３に設けたＳＮプレート４を介して、タ
ンディッシュ５に溶鋼２ａを供給する。６はタンディッ
シュ５に設けたイマージョンノズルで溶鋼２ａをモール
ド７に注入する。８は鋳片を示す。

【０００８】９はロードセルでレードル１ａの残湯量を
検出する。１０はロードセル９の信号から単位時間にお
ける溶鋼減少量算出器でロングノズル３からの溶鋼注入
量を把握する。１１はコンピューターであり、該コンピ
ューターには予め、図１に示すレードル残湯量と渦発生
限界注入量の関係を記憶させてある。

【０００９】しかしてコンピューター１１にはロードセ
ル９からの現在の残湯量と、溶鋼減少量算出器１０から
の溶鋼注入量データが逐一入力されており、コンピュー
ター１１は溶鋼残湯量から渦発生限界注入量を算出し
（図１）、現状の注入量と比較し、操業領域内で高注入
量となる様に、ＳＮプレート開閉信号を出力する。該開
閉信号は信号変換器１２を通して変換され、１３のＳＮ
油圧ユニットにインプットされてＳＮプレート４の開度
を変更するようになされている。この制御を繰り返し実
行して溶鋼残湯量に応じた注入量制御を行うものであ
る。

【００１０】ここに、図２においては、タンディッシュ
５にレードルが２個配置された態様の図となっている
が、レードル１ａのみの配置の場合、レードル１ａ注入
末期の溶鋼注入量を図１の操業領域で設定する。この時
タンディッシュ５内の溶鋼重量が減少し湯面の低下が起
こるが、湯面低下量を少なくしたい時は鋳片８の引抜速
度を低く設定すれば湯面変化を小さくできる。

【００１１】一方、図２の態様であるレードル１ａ，１
ｂの２つのレードルを配置して操業する場合、前レード
ル１ａの注入末期の溶鋼注入量を図１の操業領域で行い
残湯量に応じて注入量を減少させる。この時、タンディ
ッシュ５内の溶鋼重量が減少するが、この分を後レード
ル１ｂより供給する事により、タンディッシュ５内の溶
鋼湯面レベル低下なく、従って、鋳片引抜速度を低下さ
せないで連続操業が可能となる。

【００１２】尚、図２において前レードル１ａ側のみに
ロードセル９〜ＳＮ油圧ユニット１３を配置した図とな
っているが、後レードル１ｂ側にも同様のものを配置し
操業するものである（図示省略）。

【００１３】次に具体的操業例を挙げる。 （本発明）図２において、レードル１ａに低炭アルミキ
ルド鋼２５０ｔを装入し（レードル１ｂ不使用）容量６
０ｔのタンディッシュ５を用い２４５mm×１４００mmの
鋳片８を鋳造した。ロードセル９で溶鋼残湯量を溶鋼減
少量算出器１０で単位時間当りの注入量を把握しつつコ
ンピューター１１にて図１の関係から残湯量が１４ton
になるまで注入量１０t/min で注入し、以降残湯量が７
ton になるまで注入量５ton/min で注入し、次いで注入
量２ton/min に設定して注入した。この時の操業状況を
図３（ａ）に示す。

【００１４】（比較例）図２においてレードル１ａに低
炭アルミキルド鋼２５０ｔを装入し（レードル１ｂ不使
用）容量６０ｔのタンディッシュ５を用い２４５mm×１
４００mmの鋳片８を鋳造した。ロードセル９で溶鋼残湯
量を計測しつつ注入量１０t/min で最後まで注入した。
この時の操業状況を図３（ｂ）に示す。

【００１５】しかして上記の如く操業した結果、それぞ
れの残湯量と品質成績を図４（ａ）、（ｂ）に示す。本
発明によりレードル注入末期のスラグ２ｂのタンディッ
シュ内への流出量がほぼ０にでき、鋳片品位は大巾に向
上する。また残湯量もほぼ０に近くまで低減できるので
溶鋼歩留りも大巾に向上できた。

【００１６】

【発明の効果】以上のように、レードル注入末期の注湯
量を渦発生限界注入量以下とする本発明法によれば、流
出スラグをほぼ０としかつ最終の溶鋼残湯量もほぼ０に
できるため溶鋼歩留りが向上できる。またスラグストッ
パーを使用する必要がなく、工場内の物流構造も改善不
要なため経済的に有利なものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】レードル残湯量と渦発生限界注入量の関係を示
す説明図である。

【図２】本発明実施のための装置例を示す機器配置図で
ある。

【図３】本発明による操業例と比較操業例を示す説明図
である。

【図４】本発明操業例と比較例における操業成果を示す
説明図である。

【符号の説明】

１ レードル ２ａ 溶鋼 ２ｂ スラグ ３ ロング
ノズル ４ スライディングノズルプレート ５ タンディッシュ ６ イマージ
ョンノズル ７ モールド ８ 鋳片 ９ ロードセル １０ 溶鋼減少
量算出器 １１ コンピューター １２信号変換器 １３ ＳＮ油圧ユニット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 秀美 愛知県東海市東海町５−３ 新日本製鐵株 式会社名古屋製鐵所内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レードル残湯量と渦発生限界注入量の関
   係を求めておき、レードルのロードセルから残湯量を把
   握するとともに単位時間当りのロードセル値変化からそ
   の時点の注入量を把握し、渦発生しない領域の注入流量
   にてタンディッシュに注湯することを特徴とするレード
   ル注入末期の注湯方法。
2. 【請求項２】 複数のレードルから同時受湯可能なタン
   ディッシュを用いることを特徴とする請求項１記載の方
   法。