JPH0752136Y2 - ボビン搬送路 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、異種の精紡ボビンを選別するボビン搬送路に
関する。

［従来の技術］ 本出願人は、近来における多品種・小ロッドの糸巻取工
程に対応すべく、先に、自動ワインダを複数の巻取セク
ションに分割してそれぞれに異種の精紡ボビンを供給す
るシステムを提案し、さらにこのシステムに適用される
ボビン選別機構を提案した（「ボビン搬送トレイ」，特
開昭60-67370号公報、他）。

このボビン選別機構は、ボビンを挿立させるトレイの周
側面に形成された識別溝と、この識別溝に係合する溝ゲ
ージとで構成されており、各巻取セクションへ通じる搬
送路の分岐部にこの溝ゲージを設けて、混合して搬送さ
れてくる異種ボビンの内から、該当するボビンのみをそ
の巻取セクションへ取り込むようになっている。

［考案が解決しようとする課題］ ところで各巻取セクションには、溝ゲージによって選別
されて取り込まれてきたボビン（トレイ）を、適宜ワイ
ンディングユニットへ分配するためのループ通路が備え
られている。

しかしながらこのループ通路は限られた容量しかないた
め、その巻取セクションが巻取効率をダウンさせたり作
動を停止した場合は、次々と取り込まれてくる新たなボ
ビンによって詰まってしまい、正常な巻取を再開するま
でに時間が掛かってしまうという問題じあった。

そこで本考案は、上記事情に鑑み、各巻取セクションに
おける詰まりを未然に防ぐことが出来るボビン搬送路を
提供すべく創案されたものである。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、精紡機等のボビン供給源に接続されその品種
の異なる複数のボビンを搬送する第一の搬送路と、第一
の搬送路に接続され、搬送されてきたボビンを自動ワイ
ンダに供給すべくその品種毎に配置された複数の巻取セ
クションに沿って延長された第二の搬送路と、第二の搬
送路から各巻取セクションに分岐する分岐部に設けら
れ、第二の搬送路によって搬送されてきたボビンのうち
当該品種のボビンのみをその巻取セクションに取り込む
選別部材と、第一の搬送路と第二の搬送路との接続部に
設けられ、第一の搬送路によって搬送されてきたボビン
のうち特定品種のボビンが第二の搬送路に導入されるの
を阻む導入制限機構及びその品種を切り換える切換機構
を有するボビン選別手段とを備えたものである。

［作用］ 上記構成によって、選別部材は、第一の搬送路から第二
の搬送路へと入ってきた品種の異なるボビンのうち、そ
の巻取セクションの品種に適合したボビンのみを取り込
んでワインディングに供する。そしてある巻取セクショ
ンにおいてボビンの取り込みを中止したいときは、ボビ
ン選別手段の切換機構の作動により、導入制限機構がそ
のボビンのみを第二の搬送路に導入させないことで、他
の巻取セクションへのボビン供給を中断させることな
く、特定の巻取セクションにおける取り込みだけを直ち
に停止させる。

［実施例］ 以下、本考案の一実施例を、添付図面に従って説明す
る。

第１図は、本考案にかかわるボビン搬送路を示したもの
である。このボビン搬送路は、自動ワインダと異種の精
紡ボビンを生産するボビン供給源たる精紡機とを連結す
るものであり、本実施例にあっては、二台の精紡機（Ａ
品種及びＢ品種）1,2と、これに対応すべく二つの巻取
セクション3,4を有した一台の自動ワインダ５とを連結
するようになっている。

これら自動ワインダ５と精紡機1,2とは互いに並行に設
けられ、そのボビン搬出入側同士を掛け渡すように第一
の搬送路たるループ搬送路６が形成されている。即ち、
ループ搬送路６のうち精紡機1,2から自動ワインダ５へ
と向かう往路側が実ボビン搬送路７、復路側が空ボビン
搬送路８となっている。

またループ搬送路６には、実ボビンを自動ワインダ５に
搬入すべく、自動ワインダ５の長手方向に沿って延長さ
れた第二の搬送路たる共通搬送路９が接続されている。
この共通搬送路９は、上流側の巻取セクション（Ａ品
種）３の位置において分岐され、その分岐部10に、混合
されて搬入されてきた異種ボビンを選別するための選別
部材たる溝ゲージ11が設けられている。即ち、この分岐
部10において異種ボビンのうちからＡ品種を取り込むと
共に、Ｂ品種をそのまま通過させて、下流側の巻取セク
ション４に送るようになっている。

そして、共通搬送路９の入口たるループ搬送路６との接
続部12に、本考案の特長となるボビン選別手段13が設け
られている。

第２図及び第３図に示すように、このボビン選別手段13
は、識別溝14に係合する選択板15を有したレバ16と、レ
バ16を適宜揺動させるためのエアシリンダ17及び引張ス
プリング18とにより主として構成されている。すなわち
レバ16が特定品種のボビンの導入を阻む導入制限機構で
あり、エアシリンダ17がその品種を切り換える切換機構
である。本実施例にあっては、トレイ19に形成される識
別溝14がＡ品種において二本（19A）、Ｂ品種において
溝なし（19B）として区別しており、これに対応すべく
レバ16が上下に二組設けられている。また接続部12に
は、トレイ19をループ搬送路６から共通搬送路９へ、或
いは空ボビン搬送路８に続くバイパス路20へと選択的に
搬送するためのガイド板21が区画形成されており、ボビ
ン選別手段13は、その分岐点の手前（搬送上流側）に位
置されている。そしてガイド板21は、通常時にあっては
トレイ19を共通搬送路９へと導くように形成されてい
る。

レバ16は、Ｌ字状を呈した板で成り、ガイド板21から所
定の間隔を隔てて設けられた垂直軸22廻りに回動自在に
支持されている。この垂直軸22は、ガイド板21の側面に
接合されたブラケット23に取り付けられ、レバ16の屈曲
部においてこれを支持するようになっている。またブラ
ケット23は、レバ16が識別溝14に対応する位置になるよ
うに、搬送路のベルトコンベア24の搬送面から所定の高
さに保持している。

選択板15は、識別溝14内に差し込み可能な薄板で成り、
共通搬送路９に面したレバ16の一端側25の側部に、ブロ
ック26とで挟まれるように取り付けられている。これら
一端側25側部及びブロック26は、選択板15が識別溝14内
に差し込まれたときに、そのトレイ19Aの周側面に当接
して、トレイ19Aを共通搬送路９側へ案内するようにな
っている。また選択板15は、第２図中一点鎖線にて示し
たように、識別溝14を有しないトレイ19Bに対しては、
その周側面に当接してバイパス路20へと方向転換させる
ようになっている。

エアシリンダ17は、ガイド板21と接続された基板27上に
設けられ、レバ16の他端側28の側部に対向して、その伸
縮ロッド29がレバ16側部に取り付けられた平板30に当接
するようになっている。そして伸縮ロッド29が平板30を
押動することで、レバ16を第２図中時計廻りに回転させ
て、一端側25を共通搬送路９から遠ざけるようになって
いる。

引張スプリング18は、レバ16の他端側27に取り付けられ
た軸体31と、基板27上に固定された軸体32との間に張架
され、エアシリンダ27と並列に延長されている。即ち、
レバ16が反時計廻りに回転して一端側25がトレイ19に係
合する方向に、常時付勢するようになっている。またエ
アシリンダ17が縮退したときは、その伸縮ロッド29が引
張スプリング18による付勢のストッパの機能を果たすよ
うになっており、選択板15及びレバ16の一端側25がトレ
イ19に係合するような位置（第２図中実線位置Ｑ）に停
止させるようになっている。

この他、レバ16の一端側25にはピン33が立設され、ブラ
ケット23に形成された円弧状の長穴34に遊嵌して、レバ
16の揺動を案内するようになっている。またエアシリン
ダ17には電磁弁35が備えられ、エア供給源（図示せず）
からの作動エアを供給或いは供給停止させるようになっ
ている。そしてエアシリンダ17及びレバ16は、共通搬送
路９側が開口されたカバ36によって囲まれている。

またガイド板21の上板37のレバ16と対向する位置には、
下方に折り曲げられた基準板38が取り付けられており、
ベルトコンベア24上のトレイ19を上から押さえて識別溝
14の高さ位置を安定させるようになっている。

さらに、ボビン選別手段13と反対側のガイド板21上に
は、ボビン糸層42に当接してトレイ19をボビン選別手段
13側へ導くための案内板43が共通搬送路９に沿って形成
されている。この案内板43の途中には縦ヒンジ44が設け
られ、搬送方向が変えられたトレイ19Bをバイパス路20
へと案内するように、下流側片45が展開できるようにな
っている。

なお第１図中、その詳細は省略したが、溝ゲージ11は、
従来と同様に固定された選択板を有しており、識別溝14
に係合するか或いはトレイ19周側面に当接するかでトレ
イ19の搬送方向を制御し、Ａ品種のボビンのみをその巻
取セクション３に取り込むようになっている。また各巻
取セクション3,4には、取り込んだ実ボビンを各ワイン
ディングユニット（図示せず）に適宜分配するためのル
ープ通路39,40が形成されている。

さらに自動ワインダ５には、共通搬送路９と反対側に延
長された空ボビン搬送路41が設けられ、ループ搬送路６
の空ボビン搬送路８と接続されている。

次に本実施例の作用を説明する。

通常時にあって、エアシリンダ17の伸縮ロッド29は伸長
されて、レバ16の一端側25が共通搬送路９から充分離間
された状態（第２図中二点鎖線位置Ｒ）にある。精紡機
1,2からループ搬送路６を通って送られてきた二品種の
実ボビンは、接続部12を経由して全て共通搬送路９に入
り、その分岐部10において溝ゲージ11により選別され
て、各々の該当する巻取セクション3,4に取り込まれ
る。

そしてＢ品種の巻取セクション４の巻取が停止されたと
きなど、Ｂ品種のボビンの取り込みを中止する必要が生
じたときは、エアシリンダ17の電磁弁25をエア供給停止
側に操作する。この操作によりエアシリンダ17の伸長作
動が停止され、レバ16は引張スプリング18によって第２
図中反時計廻りに回転移動し、選択板15が所定の位置
（Ｑ）に突出される。

これで接続部12に到達したトレイ19のうち、識別溝14を
有したトレイ19Aは選択板15が識別溝14に差し込まれる
形になるために、方向を変えられることなくそのまま共
通搬送路９に向かう。そして識別溝14を有していないト
レイ19Bは、その周側面に選択板15が当接することで、
バイパス路20側へ押し付けられる。従ってＡ品種のボビ
ンは、共通搬送路９を通って該当する巻取セクション３
に供給され、Ｂ品種のボビンは取り込みが阻止されて、
バイパス路20からループ搬送路６に戻される。

そして、Ｂ品種の巻取セクション４のループ通路40の流
れが回復して受入可能の状態になると、エアシリンダ17
を作動させて、ロッド29を伸長させ、レバ16を逆方向に
揺動させる。これで選択板15及びレバ16の一端側25は共
通搬送路９から離れ、接続部12が通常の状態に戻り、A,
B品種いずれのボビンも共通搬送路９に取り込まれるよ
うになる。

このように、識別溝14に係合する選択板15を有したレバ
16を、エアシリンダ17及び引張スプリング18によって共
通搬送路９に対して出没させるようにしたので、必要に
応じてＢ品種のボビンの取り込みを排除でき、その巻取
セクション４における詰りを防止できる。

なお、識別溝14とボビン選別手段13との組み合わせは、
前記実施例の他にも種々考えられる。例えば、二品種の
精紡ボビンを上溝一本と下溝一本とで区別しておき、二
本のレバを別個に揺動させることで、二種のいずれか一
方、或いは両方とも取り込みを中止できるようにしても
よい。

また、ループ通路39,40の適当な位置にボビンの有無
（詰り）を感知するセンサを設けて、このセンサからの
信号によってエアシリンダを作動するように構成し、自
動的に特定のトレイのみを取り込み、それ以外のトレイ
を排除するようにしてもよい。

［考案の効果］ 以上要するに本考案によれば、他の巻取セクションへの
ボビン供給を中断させることなく、特定の巻取セクショ
ンにおける取り込みだけを直ちに停止させることがで
き、ボビン搬送中に自動ワインダの各巻取セクションに
おける詰まりを未然に防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係わるボビン搬送路の一実施例を示し
た構成図、第２図はその要部平面図、第３図は第２図中
のIII-III線矢視断面図である。 図中、1,2は精紡機（ボビン供給源）、3,4は巻取セクシ
ョン、５は自動ワインダ、６はループ搬送路（第一の搬
送路）、９は共通搬送路（第二の搬送路）、10は分岐
部、11は溝ゲージ（選別部材）、12は接続部、13はボビ
ン選別手段、14は識別溝、16はレバ（導入制限機構）、
17はエアシリンダ（切換機構）、19はトレイである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】精紡機等のボビン供給源に接続されその品
   種の異なる複数のボビンを搬送する第一の搬送路と、該
   第一の搬送路に接続され、搬送されてきたボビンを自動
   ワインダに供給すべくその品種毎に配置された複数の巻
   取セクションに沿って延長された第二の搬送路と、該第
   二の搬送路から上記各巻取セクションに分岐する分岐部
   に設けられ、第二の搬送路によって搬送されてきたボビ
   ンのうち当該品種のボビンのみをその巻取セクションに
   取り込む選別部材と、上記第一の搬送路と第二の搬送路
   との接続部に設けられ、該第一の搬送路によって搬送さ
   れてきたボビンのうち特定品種のボビンが第二の搬送路
   に導入されるのを阻む導入制限機構及びその品種を切り
   換える切換機構を有するボビン選別手段とを備えたこと
   を特徴とするボビン搬送路。