JPH07300506A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

Info

Publication number
JPH07300506A
JPH07300506A JP6115996A JP11599694A JPH07300506A JP H07300506 A JPH07300506 A JP H07300506A JP 6115996 A JP6115996 A JP 6115996A JP 11599694 A JP11599694 A JP 11599694A JP H07300506 A JPH07300506 A JP H07300506A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymerization
vinyl chloride
polymer
temperature
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6115996A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihiko Nakano
紀彦 中野
Tadashi Amano
正 天野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP6115996A priority Critical patent/JPH07300506A/ja
Priority to US08/432,811 priority patent/US5612426A/en
Publication of JPH07300506A publication Critical patent/JPH07300506A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 塩化ビニル又はこれを主体とするビニル系単
量体の混合物を水性媒体中で油溶性重合開始剤を用いて
懸濁重合する塩化ビニル系重合体の製造方法において、
前記油溶性重合開始剤として(A) 0.1モル/Lベンゼン
溶液の10時間半減期温度が30〜50℃で、その構造中にベ
ンゼン環又はアルコキシ基を有しない有機過酸化物と、
(B) 3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキ
シネオデカノエートとを組み合わせて使用することを特
徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。 【効果】 本発明の方法によれば、塩化ビニル又はこれ
を主体とするビニル系単量体の混合物の重合において既
存の重合装置を使用しつつ重合開始剤の使用量を増加し
た場合に、重合器内の重合体スケールの付着を抑制し、
既存の重合装置の冷却能力不足を補い重合時間を短縮す
ることができ、生産性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化ビニル系重合体の
製造方法、特には高品質の塩化ビニル系重合体を高い生
産性で得ることができる塩化ビニル系重合体の懸濁重合
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、一般に、塩化ビ
ニル又はこれを主体とするビニル系単量体の混合物を水
性媒体中で油溶性重合開始剤を用いて懸濁重合すること
により製造される。この懸濁重合は、通常、平均重合度
1700以上の重合体を製造するときは、重合温度30〜45
℃、重合時間8時間程度の重合条件で行われ、平均重合
度700〜1000程度の重合体を製造するときは、重合温度5
5〜63℃、重合時間4時間程度の重合条件で行われる。
この際に、使用される油溶性重合開始剤にもよるが、油
溶性重合開始剤は単量体に対して、およそ0.04〜0.20重
量%程度用いられるのが通常である。
【0003】近年、塩化ビニル系重合体の生産性向上を
目的として重合時間の短縮が図られてきている。重合時
間短縮のための一方法として、重合開始剤の使用量を増
加することが考えられる。しかし、重合開始剤の使用量
を増加すると、以下のような問題があった。 (イ)重合器内にスケールが付着する。 (ロ)重合中の単位時間当たりの反応発熱量がピークに
達する時点における単位時間当たりの反応発熱量が大幅
に増大するので、既存の重合装置ではこのピークに達す
る時点で冷却能力が不足する。従って、重合開始剤の使
用量の増加には限界があり、重合時間の短縮も制約され
る。 (ハ)得られる塩化ビニル重合体の、成形品のフィッシ
ュアイの増加、初期着色性の低下等の品質の低下を生じ
させたり、さらには重合器内のスケール付着量が増加す
る。
【0004】これらの問題に対する対策として2種類の
油溶性重合開始剤を組み合わせて使用する方法が提案さ
れている。その方法としては、具体的には、BPD(t
−ブチルパーオキシネオデカノエート)とCPD(α−
クミルパーオキシネオデカノエート)とを組み合わせて
使用することが提案されている。この方法によれば、冷
却能力不足を補って重合時間を短縮することは可能であ
るが、重合終了時に重合器内にスケール付着が生じた
り、得られる塩化ビニル系重合体のフィッシュアイが増
加したり、重合開始剤の残渣又は分解生成物の増大によ
る異臭の発生、抽出成分の増加があり、重合体品質の低
下が生じる欠点があった。上記方法の欠点を改善する方
法として、BPD(t−ブチルパーオキシネオデカノエ
ート)とHDPH(3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル
ブチルパーオキシネオヘプタノエート)とを組み合わせ
て使用することが提案されている(特開平5−1559
10号公報)が、この方法では得られる塩化ビニル系重
合体のフィッシュアイの点及び重合器内の重合体スケー
ル付着の抑制の点で満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、塩化
ビニル又はこれを主体とするビニル系単量体の混合物を
水性媒体中で重合開始剤を用いて懸濁重合する塩化ビニ
ル系重合体の製造方法であって、既存の重合装置を使用
しつつ重合開始剤の使用量を増加した場合、重合器内の
重合体スケールの付着を抑制し、既存の重合装置の冷却
能力不足を補い、重合時間を短縮化可能ならしめ、さら
にはフィッシュアイが少なく、初期着色性が良好であ
り、抽出成分が少ない高品質の塩化ビニル重合体の製造
方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題を解決するものとして、塩化ビニル又はこれを主体と
するビニル系単量体の混合物を水性媒体中で油溶性重合
開始剤を用いて懸濁重合する塩化ビニル系重合体の製造
方法において、前記油溶性重合開始剤として(A) 0.1モ
ル/Lベンゼン溶液の10時間半減期温度が30〜50℃で、
その構造中にベンゼン環又はアルコキシ基を有しない有
機過酸化物と、(B) 3−ヒドロキシ−1,1−ジメチル
ブチルパーオキシネオデカノエートとを組み合わせて使
用することを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法
を提供する。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。重合開始剤 本発明の方法は使用される重合開始剤の構成に主たる特
徴があり、それにより重合の立ち上がり及び進行に伴う
発熱が適度に制御される。本発明の方法に使用される
(A) 成分としての油溶性重合開始剤は、 0.1モル/Lベ
ンゼン溶液の10時間半減期温度が30〜50℃で、その構造
中にベンゼン環又はアルコキシ基を有しない有機過酸化
物である。(A) 成分が上記10時間半減期温度が30℃未満
の有機過酸化物であると、重合開始剤の活性が持続しに
くくなる。また、50℃を超えるものを使用すると、過度
に多量の重合開始剤を必要とするため、得られる重合体
の初期着色性、耐抽出性等の品質が低下する。また、分
子内にベンゼン環を有すると、得られる重合体の抽出テ
ストの際にUV吸収ピークが検出されるため重合体の医
療、食品等の分野への用途が制限される恐れがある。ま
た、分子内にアルコキシ基を有すると、重合器内で重合
体スケールの付着が起こり易くなる。
【0008】0.1モル/Lベンゼン溶液の10時間半減期
温度が30〜50℃でその構造中にベンゼン環又はアルコキ
シ基を有しない有機過酸化物としては、好ましくは下記
のジアシルパーオキシド化合物、パーエステル化合物等
が使用される。
【0009】ジアシルパーオキシド化合物としては、例
えば、下記一般式(1) :
【化1】 (式中、 R1 は、同一でも異なってもよく、炭素原子数
1〜6の置換又は非置換のアルキル基である)で表され
るジアシルパーオキサイドが挙げられる。一般式(1) に
おいて、炭素原子数1〜6の置換又は非置換のアルキル
基 R1 としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシ
ル基等のn−アルキル基;sec −アルキル基;tert−ブ
チル基、tert−ペンチル基等のtert−アルキル基;イソ
プロピル基、イソブチル基、イソペンチル基等のイソア
ルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基基等
が挙げられる。一般式(1) で表されるジアシルパーオキ
サイドとしては、例えば、イソブチリルパーオキサイド
(33℃)〔ここで、重合開始剤名の後の括弧書きの温度
は、当該重合開始剤の 0.1モル/Lベンゼン溶液の10時
間半減期温度である、以下同じ〕等が挙げられる。
【0010】パーエステル化合物としては、例えば、下
記一般式(2) :
【化2】 (式中、 R2 は、同一でも異なってもよく、炭素原子数
1〜10の置換又は非置換のアルキル基である)で表され
るパーエステル等が挙げられる。一般式(2) において、
炭素原子数1〜10の置換又は非置換のアルキル基 R2
しては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、
n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−
デシル基等のn−アルキル基;sec−アルキル基;tert
−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基、te
rt−ノニル基、tert−デシル基等のtert−アルキル基;
イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、イソ
ヘプチル基、イソオクチル基等のイソアルキル基;1−
シクロヘキシル−1−メチルエチル基等の環状アルキル
基;2,4,4−トリメチルペンチル基等が挙げられ
る。一般式(2) で表されるパーエステルとしては、例え
ば、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(45
℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46
℃)、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート(49
℃)、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2
−ネオデカノエート(36℃)、1−シクロヘキシル−1
−メチルエチルパーオキシネオデカノエート(41℃)等
が挙げられる。
【0011】上述した有機過酸化物(A) の内でも、特
に、イソブチリルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオ
キシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカ
ノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエー
ト、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2−
ネオデカノエート及び1−シクロヘキシル−1−メチル
エチルパーオキシネオデカノエートが好ましく使用され
る。上述した有機過酸化物(A) は、1種単独で又は2種
以上の組み合わせで使用してもよい。
【0012】なお、有機過酸化物(A) の10時間半減期温
度は、以下のようにして求められる。有機過酸化物濃度
が 0.1モル/Lのベンゼン溶液を調製する。この溶液を
窒素置換を行ったガラス管中に密封して所定温度に調節
した恒温槽に浸し、有機過酸化物を熱分解させる。時間
に対する有機過酸化物の濃度変化を測定する。上記の反
応条件では、有機過酸化物の分解反応は近似的に一次反
応として取り扱うことができるので、以下の式が成り立
つ。 dx/dt=k(a−x) (3) ln〔a/(a−x)〕=kt (4) (上記2つの式中、xは分解した有機過酸化物の濃度、
aは有機過酸化物の初期濃度、kは分解速度定数、tは
時間を示す) 半減期は分解により有機過酸化物濃度が初期濃度の半分
に減ずるまでに要する時間であるから、これをt1/2
示し、(4) 式のxにa/2を代入して、以下の関係式を
得る。 kt1/2 =ln2 (5) 上記で測定した有機過酸化物の濃度変化から時間tとl
n〔a/(a−x)〕との関係をプロットする。得られ
た直線の傾きをkとして、(5) 式からその温度における
半減期t1/2 が求められる。従って、10時間半減期温度
とは、ある有機過酸化物のt1/2 が10時間となる温度と
して求められる。
【0013】一方、(B) 成分としての油溶性重合開始剤
として3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート〔CH3 -CH(OH)-CH2 -C(CH 3 ) 2
-O-O-CO-t-C 9 H 19〕が使用される。
【0014】これら(A) 成分と(B) 成分との配合比は、
(A) 成分/(B) 成分の重量比で1/9〜9/1であるこ
とが好ましく、より好ましくは1/6〜5/1である。
この配合比が小さ過ぎると重合器内での重合体スケール
の付着を抑制することが困難となり、大き過ぎると得ら
れる重合体の初期着色性や熱安定性が低下する恐れがあ
る。
【0015】これら(A) 成分と(B) 成分との合計使用量
は、重合時間を短縮する目的を達成するために十分な量
であればよい。この量は、単量体に対して通常 0.05 〜
0.4重量%であり、好ましくは0.08〜0.3 重量%であ
る。
【0016】例えば、塩化ビニルを重合温度35〜45℃で
重合して平均重合度 1,700以上の塩化ビニル重合体を製
造する場合には、上記重合開始剤を単量体に対して0.1
〜0.4 重量%使用することが好ましく、重合温度55〜63
℃で重合して平均重合度 700〜1,000 程度の塩化ビニル
重合体を製造する場合には、上記重合開始剤を単量体に
対して0.05〜0.35重量%使用することが好ましい。
【0017】重合開始剤の重合器内への仕込み方法は特
に制限されず、従来公知の方法のいずれも利用すること
ができ、例えば、溶剤で希釈して溶液として仕込んでも
よいし、水に分散させてエマルジョン又はサスペンジョ
ンとして仕込んでもよい。さらに、重合開始剤を、水及
び/又は懸濁剤と共にあるいは水及び/又は懸濁剤を仕
込み終った後に仕込んでもよく、単量体の仕込み後に重
合器中にポンプで圧入してもよい。重合開始剤は、2種
以上を混合物として仕込んでもよいし、1種単独又は2
種以上の混合物を別々に仕込んでもよい。
【0018】本発明の方法で用いられるその他の重合条
件は、通常、塩化ビニル又は塩化ビニルを主体とするビ
ニル系単量体混合物の水性媒体中における懸濁重合に通
常用いられる条件と同様でよい。以下、具体的に説明す
る。
【0019】単量体 単量体は、塩化ビニル単独のほか、塩化ビニル及びこれ
と共重合可能なビニル系単量体の混合物(通常塩化ビニ
ルが50重量%以上)が使用される。このビニル系単量体
は、塩化ビニルと共重合可能なものであれば特に限定さ
れない。このビニル系単量体としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−
デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセ
ン、1−テトラデセン等のα−オレフィン;アクリル
酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル
酸又はそのエステル;メタクリル酸、メタクリル酸メチ
ル等のメタクリル酸又はそのエステル;マレイン酸又は
そのエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビ
ニルエステル;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビ
ニルエーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;ア
クリロニトリル;スチレン;塩化ビニリデン等が挙げら
れる。これらは単独又は2種以上の組合せで使用され
る。
【0020】分散剤 分散剤も、塩化ビニル又それを主体とする単量体混合物
の水性媒体中における懸濁重合に通常使用されているも
のであればよい。この分散剤としては、例えば、メチル
セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシ
プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース等の水溶性セルロースエーテル;水溶性あるいは油
溶性の部分けん化ポリビニルアルコール;アクリル酸重
合体;ゼラチン等の水溶性高分子等が挙げられる。これ
らは1種単独で又は2種以上の組み合わせで使用しても
よい。分散剤の量は、単量体 100重量部当り通常0.02〜
5.0 重量部であり、好ましくは0.04〜1.5 重量部であ
る。
【0021】水性媒体 水性媒体は、通常、脱イオン水が使用される。水性媒体
の量は、単量体 100重量部当り通常90〜250 重量部であ
り、好ましくは100 〜200 重量部である。
【0022】その他の添加剤 水性懸濁液には、必要に応じて、塩化ビニル等の懸濁重
合に適宜使用される各種添加剤を加えてもよい。この添
加剤としては、例えば、重合調整剤、連鎖移動剤、pH調
整剤、ゲル化改良剤、帯電防止剤、架橋剤、安定剤、充
てん剤、酸化防止剤、緩衝剤、スケール防止剤等が挙げ
られる。
【0023】重合 重合器への水性媒体,単量体,分散助剤等の仕込み方
法、使用量等は従来と同様に行えばよい。
【0024】本発明の方法で行われる代表的な懸濁重合
を例示する。分散剤、水性媒体及びその他の添加剤を重
合器内に仕込み均一に混合する。次に、重合器内を脱気
して気相部の真空度を10〜200mmHg(絶対圧)の範囲に調
整し単量体を重合器内に仕込む。ここで、重合開始剤の
仕込みは単量体の仕込前でも後でもよい。このようにし
て、水性懸濁液を調製した後、重合器内を昇温し、重合
を開始する。
【0025】重合開始剤に応じた重合温度に保ちながら
重合を行う。重合中には、必要に応じて、水、分散剤及
び重合開始剤の一種又は二種以上を添加してもよい。重
合器の内圧が0〜7kgf/cm2 ・G に低下した時に、或い
はジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温度と
出口温度との差がほぼ等しくなった時(即ち、重合反応
による発熱がなくなった時)に、重合反応が終了したと
判断し、排ガスを行い、重合体スラリー中に残存する未
反応単量体の回収を行う。この排ガス時には、ジャケッ
トに熱水を供給することにより重合器内の温度を上昇さ
せ、未反応単量体の回収率を向上させてもよい。
【0026】得られた重合体スラリーを重合器外に取り
出し、脱水乾燥を行い、目的とする塩化ビニル系重合体
を得ることができる。通常、重合は35〜65℃で行われ、
重合時間は、重合温度、重合開始剤の種類、重合開始剤
の添加量等によるが1.5 〜6時間程度で終了する。具体
的には、例えば、平均重合度1700以上の重合体を得る場
合には、重合温度35〜45℃において3〜6時間で重合は
終了する。平均重合度 700〜1000程度の重合体を得る場
合、重合温度55〜63℃において 1.5〜4時間程度で重合
が終了する。
【0027】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。本発明は、これら実施例により何ら限定されるもの
ではない。なお、以下の各例において、ジャケット温度
とは、重合器のジャケットに通水する冷却水のジャケッ
ト入口での温度を意味し、重合器内の水性懸濁液の温度
を所定の重合温度に保つために適宜調整される。
【0028】実施例1、比較例1〜3 内容積が2.1m3 のジャケット付ステンレススチール製の
重合器に、ケン化度80モル%、平均重合度2000の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール350gを脱イオン水890kg に溶
解した水溶液を投入した。重合器内を50mmHgになるまで
排気した後、塩化ビニル700kg を仕込み、次いで、撹拌
しながら表1に示した重合開始剤をポンプで圧入し、同
時にジャケットに熱水を通して重合器内の昇温を始めて
重合を開始した。
【0029】重合器内の温度が55℃に達した時点でジャ
ケットに冷却水を通水して、重合器内の温度(重合温
度)を55℃に保ちながら重合反応を行い、重合器の内圧
が6.0kg/cm2 G に低下した時点で重合を終了し、未反応
単量体を回収し、得られた重合体スラリーを重合器外に
取り出し脱水し乾燥して重合体を得た。なお、比較例2
では、重合を開始してから2時間後にジャケット温度が
25℃に達した。重合温度を55℃に維持するには、ジャケ
ット温度を25℃よりも低くする必要が生じたが、使用し
た重合装置の冷却能力ではジャケット温度をそれ以上下
げることができなかった。このために、水性懸濁液の温
度が3℃上昇して58℃になった。
【0030】各例で得られた重合体の品質は、下記の方
法で評価した。その結果を表1に示す。 ・重合器内スケールの付着状況:重合体スラリーを重合
器外に取り出した後、重合器内の重合体スケールの付着
状況を観察し、下記の判断基準で評価した。 A・・・スケールの付着がなく金属鏡面の光沢がある。 B・・・金属鏡面にやや曇りがある。 ・嵩比重の測定:JIS K-6721に従って測定した。 ・粒度分布の測定:JIS Z-8801に準じた#60 、#100及び
#200の各篩を用いて篩分けし、通過量を計量して重量%
で表した(篩下分布)。
【0031】・フィッシュアイ量の測定:得られた重合
体 100重量部、DOP 50重量部、ステアリン酸バリウム
0.1重量部、ステアリン酸カドミウム 0.1重量部、セタ
ノール 0.8重量部、すず系安定剤 2.0重量部、二酸化チ
タン 0.5重量部及びカーボンブラック 0.1重量部を、 1
40℃の6インチロールミルで5分間混練し、厚さ 0.3mm
のシートとして分取し、このシート100cm 2 中の白色透
明粒子の数を計数した。
【0032】・抽出テスト:得られた重合体15g 及び蒸
留水300mL を抽出ビンに入れ、混合する。この抽出ビン
を滅菌器内に入れ、 125℃で60分間放置する。冷却後、
抽出ビンを取り出し、上澄み液について、下記の要領で
UV吸収及び過マンガン酸カリウム消費量をそれぞれ評価
する。上記蒸留水のみからなるサンプルを標準サンプル
として、同様に測定した。 (UV吸収)波長 220nm及び241nm の各々について、上記
で得られた上澄み液の吸光度を測定する。この測定で得
られた吸光度と、上記標準サンプルについて同様に測定
して得られた吸光度との差を求め、この差を下記の基準
で評価した。 A・・・220nm で0.08未満かつ241nm で0.05未満 B・・・220nm で0.08以上及び/又は241nm で0.05以上 (過マンガン酸カリウム消費量)上記で得られた上澄み
液に過マンガン酸カリウムを添加した後、チオ硫酸ソー
ダ水溶液で滴定し、使用したチオ硫酸ソーダ水溶液の量
を求める。上記標準サンプルについて同様に測定して得
られたチオ硫酸ソーダ水溶液の量との差を求め、この差
を下記の基準で評価した。 A・・・1.00cc未満 B・・・1.00cc以上
【0033】・初期着色性:得られた重合体 100重量部
に、ラウリル酸すず1重量部、カドミウム系安定剤0.5
重量部及びジオクチルフタレート50重量部を配合し、2
本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した後、厚さ
0.8mmのシートに成形した。つぎに、このシートを裁断
して重ね、内容積が4cm×4cm×1.5cm の型枠に入れ、
160℃、65〜70kgf/cm2 で10分間加熱加圧プレスして試
料片を作製した。この試料片のb値をカラーメーター
(日本電色工業 (株) 製)を用いて測定し、このb値が
小さいもの程初期着色性が良好である(初期着色が少な
い)と評価した。
【0034】なお、表1中の重合開始剤における略号は
それぞれ下記のものを意味する。 BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) CPD :α−クミルパーオキシネオデカノエート(36℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃) HDPH:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオヘプタノエート(41℃)
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 乾燥して重合体を得るまでの重合操作を実施例1と同様
の重合操作で5回繰り返し、重合操作5回目の重合体ス
ラリーを重合器外へ取り出した後の重合器内の重合体ス
ケールの付着状況を観察した。その結果、重合器内壁に
重合体スケールの付着がなく、重合器内壁の金属鏡面は
光沢があった。
【0037】比較例4 乾燥して重合体を得るまでの重合操作を比較例3と同様
の重合操作で5回繰り返し、重合操作5回目の重合体ス
ラリーを重合器外へ取り出した後の重合器内の重合体ス
ケールの付着状況を観察した。その結果、重合器内壁に
重合体スケールの付着があり、重合器内壁の金属鏡面は
やや曇っていた。
【0038】実施例3〜5及び比較例5〜8 内容積が2.1m3 のジャケット付ステンレススチール製の
重合器に、ケン化度80モル%、平均重合度2000の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール760gを脱イオン水930kg に溶
かした水溶液を仕込んだ。重合器内を50mmHgになるまで
排気した後、塩化ビニル630kg を仕込み、次いで、撹拌
しながら表2及び表3に示す重合開始剤をポンプで圧入
し、同時にジャケットに熱水を通して重合器内の昇温を
始めて重合を開始した。重合器内の温度が51℃に達した
時点でジャケットに冷却水を通水して重合器内の温度
(重合温度)を51℃に保ちながら重合反応を行い、重合
器内圧が6.0kg/cm2 G に達した時点で重合を停止し、未
反応単量体を回収し、得られた重合体スラリーを重合器
外に抜き出し脱水乾燥して重合体を得た。得られた重合
体の品質は、実施例1と同様にして評価した。その結果
を表2に示す。
【0039】なお、比較例5では、重合を開始してから
3時間30分後にジャケット温度が26℃に達した。重合温
度を51℃に保つためには、ジャケット温度を26℃よりも
下げる必要が生じたが、使用した重合装置の冷却能力で
はジャケット温度をそれ以上下げることができなかっ
た。このために、水性懸濁液の温度が 1.5℃上昇して5
2.5℃になった。
【0040】また、表2及び表3中の重合開始剤の略号
はそれぞれ下記のものを意味する。 BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) TPPD:2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシ−2
−ネオデカノエート(36℃) CPD :α−クミルパーオキシネオデカノエート(36℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】実施例6〜7及び比較例8 内容積が2.1m3 のジャケット付ステンレススチール製の
重合器に、ケン化度80モル%、平均重合度2000の部分ケ
ン化ポリビニルアルコール700gを脱イオン水1030kgに溶
かした水溶液を仕込んだ。重合器内を50mmHgになるまで
排気した後、塩化ビニル単量体570kg を仕込み、次い
で、撹拌しながら表4に示す重合開始剤をポンプで圧入
し、同時にジャケットに熱水を通じて重合器内の昇温を
始めて重合を開始した。重合器内の温度が39℃に達した
時点でジャケットに冷却水を通水して重合器内の温度
(重合温度)を39℃に保ちながら重合反応を行い、内圧
が4.5kg/cm2 G に達した時点で重合を停止し、未反応単
量体を回収し、得られた重合体スラリーを器外に抜き出
し、脱水乾燥して重合体を得た。得られた重合体の品質
は、実施例1と同様の方法で評価した。その結果を表4
に示す。
【0044】なお、表4中の重合開始剤の略号はそれぞ
れ下記のものを意味する。 IBP :イソブチリルパーオキサイド(33℃) BPD :t−ブチルパーオキシネオデカノエート(46℃) HDPD:3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオ
キシネオデカノエート(36℃)
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明の方法によれば、塩化ビニル又は
これを主体とするビニル系単量体の混合物の重合におい
て、既存の重合装置を使用しつつ重合開始剤の使用量を
増加した場合、重合器内の重合体スケールの付着を抑制
し、既存の重合装置の冷却能力不足を補い重合時間を短
縮することができ、生産性が向上する。さらには、この
製造方法により得られる重合体の品質は良好であり、フ
ィッシュアイが少ない成形品を与え、初期着色性が良好
であり、抽出成分が少ない。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル又はこれを主体とするビニル
    系単量体の混合物を水性媒体中で油溶性重合開始剤を用
    いて懸濁重合する塩化ビニル系重合体の製造方法におい
    て、 前記油溶性重合開始剤として (A) 0.1モル/Lベンゼン溶液の10時間半減期温度が30
    〜50℃で、その構造中にベンゼン環又はアルコキシ基を
    有しない有機過酸化物と、 (B) 3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキ
    シネオデカノエートとを組み合わせて使用することを特
    徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
JP6115996A 1994-05-02 1994-05-02 塩化ビニル系重合体の製造方法 Pending JPH07300506A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6115996A JPH07300506A (ja) 1994-05-02 1994-05-02 塩化ビニル系重合体の製造方法
US08/432,811 US5612426A (en) 1994-05-02 1995-05-02 Process of producing vinyl chloride polymer using an organic peroxide in combination with 3-hydroxy-1,1-dimethylbutyl peroxyneodecanoate

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6115996A JPH07300506A (ja) 1994-05-02 1994-05-02 塩化ビニル系重合体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07300506A true JPH07300506A (ja) 1995-11-14

Family

ID=14676277

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6115996A Pending JPH07300506A (ja) 1994-05-02 1994-05-02 塩化ビニル系重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07300506A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI270553B (en) Addition of organic initiators during the pressure drop in vinyl chloride monomer polymerization reactions
RU2295540C2 (ru) Совместное введение органических инициаторов и защитных коллоидов в ходе проведения реакций полимеризации
JPH07300506A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3317830B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH0782304A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3230369B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH06166704A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH10338701A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH05155910A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3188520B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3231948B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
US5362828A (en) Process for the production of vinyl chloride polymers using a combination of monomer-soluble polymerization initiators
JP3317798B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH04323208A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3328449B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH04323202A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH11279143A (ja) 2−メルカプトエタノールの保存方法及び塩化ビニル系重合体の製造方法
JP2003137909A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JP3437018B2 (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH11209409A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH0578406A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH0718005A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH10306105A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH08176209A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法
JPH0543607A (ja) 塩化ビニル系重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050823

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060228

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060313

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090331

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100331

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100331

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110331

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120331

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130331

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130331

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140331

Year of fee payment: 8

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees