JPH07278207A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH07278207A
JPH07278207A JP6724494A JP6724494A JPH07278207A JP H07278207 A JPH07278207 A JP H07278207A JP 6724494 A JP6724494 A JP 6724494A JP 6724494 A JP6724494 A JP 6724494A JP H07278207 A JPH07278207 A JP H07278207A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲル化溶融速度及び嵩比重が大きく、成形加
工性の優れた塩化ビニル系樹脂の製造方法の提供。 【構成】 塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合反応
させて塩化ビニル系重合体を製造する方法において、重
合反応が進行する期間全体の50%以上の期間において
重合温度を時間とともに上昇させつつ重合反応を行なわ
せること、その上昇変化幅が10〜35℃の範囲にある
こと、かつ、重合反応を特定の条件を満たす、2種類の
重合開始剤の特定量の存在下で行なわせる塩化ビニル系
重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は塩化ビニル系重合体の製
造方法に関する。詳しくは本発明は成形加工性の改良さ
れた、特に嵩比重が大きく、加工時のゲル化溶融速度が
大きい塩化ビニル系重合体を安定に製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニル系重合体は、通常、塩化ビニ
ル単量体または塩化ビニル単量体を主体とする共重合可
能な単量体の混合物(以下、これらを総称して、「塩化
ビニル系単量体」といい、これらを重合して得られる重
合体を「塩化ビニル系重合体」という。)を重合開始剤
の存在下に、乳化剤または分散剤を含む水性媒体中で乳
化重合または懸濁重合させることにより製造される。
【0003】一般に、塩化ビニル系重合体よりなる塩化
ビニル系樹脂の成形加工性は、粒子形態に強く依存し、
塩化ビニル系樹脂の嵩比重、内部空孔容積及びゲル化溶
融速度を増加させることは、成形加工性の向上にとって
重要な因子である。本発明者らは、以前、塩化ビニル系
樹脂の嵩比重及びゲル化溶融速度を増加させる方法とし
て、塩化ビニル系単量体を水性媒体中で重合反応させて
塩化ビニル系重合体を製造する際、重合反応が進行する
期間全体のうちの50%以上の期間において重合温度を
上昇させつつ重合を行なう方法(特開昭61−1261
12号)を提案した。
【0004】しかし、上記の方法においては重合反応に
おける重合温度の上昇変化幅(以下、「昇温幅」とい
う)を大きくする程、嵩比重、ゲル化溶融速度は大きく
なるが、昇温幅をあまり大きくすると、重合反応末期に
発熱が急激に大きくなりすぎ冷却が困難になったり、重
合開始剤の不足により反応末期に十分な重合反応が行な
われず、所期の時間内に重合反応が完結しないといった
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】重合反応末期において
も重合が十分に行なわれ、かつ、得られた塩化ビニル系
重合体よりなる樹脂の嵩比重及びゲル化溶融速度が大き
い塩化ビニル系重合体の製造方法を提供することが本発
明の課題である。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
塩化ビニル単量体または塩化ビニル単量体を主体とする
共重合可能な単量体の混合物を水性媒体中で重合反応さ
せて塩化ビニル系重合体を製造する方法において、重合
反応が進行する期間全体の50%以上の期間において重
合温度を時間とともに上昇させつつ重合反応を行なわせ
ること、その上昇変化幅が10〜35℃の範囲にあるこ
と、重合反応を下式(1)〜(5)を満たす2種類の重
合開始剤の存在下で行なわせること、かつ、該2種類の
重合開始剤の重量比が、20/80〜80/20である
ことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法、に存
する。
【0007】
【数2】 20℃≦T1 <T2 ≦80℃ (1) 30℃≦t1 ≦50℃ (2) 45℃≦t2 ≦60℃ (3) t1 <t2 (4) ただし、 t1 ,t2 :使用する重量開始剤の10時間半減期温度
(℃) T1 :重合開始温度(℃) T2 :重合終了温度(℃) 以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0008】本発明方法において使用される塩化ビニル
系単量体には、塩化ビニル単量体それ自体のほか、塩化
ビニル単量体を主体とする共重合可能な単量体の混合物
が含まれる。塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体と
しては、例えばエチレン、プロピレンなどのオレフィン
類、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどのビニルエス
テル類、エチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル
などのビニルエーテル類、アクリル酸エステル、マレイ
ン酸またはフマル酸のエステル類及び無水物などの不飽
和カルボン酸誘導体類、アクリロニトリルなどの不飽和
ニトリル類等が挙げられる。該共重合可能な単量体は塩
化ビニル単量体に対し、通常、20重量%以下の割合で
使用される。
【0009】本発明方法における塩化ビニル系単量体の
重合には、通常知られている塩化ビニル系単量体の水性
媒体中での重合処方が広く採用される。使用される分散
剤、乳化剤などは特殊なものである必要はなく、汎用さ
れている分散剤、乳化剤を用いることができる。例え
ば、分散剤、乳化剤としては、ポリ酢酸ビニルの部分ケ
ン化物、アクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合
体、セルロース誘導体、ゼラチン、デンプンなどのよう
な保護コロイド性の薬剤または天然高分子化合物、高級
脂肪酸と多価アルコールとのエステル類、ポリオキシエ
チレン誘導体などのノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸
の金属塩、高級アルコール硫酸エステルのアルカリ塩な
どのアニオン系界面活性剤などが用いられる。これらの
分散剤、乳化剤の使用量には特に制限はなく、その種
類、攪拌効率、重合温度、塩化ビニル単量体と共重合さ
せられる他の単量体の種類と組成、塩化ビニル系重合体
の粒径等によって多少異なるが、一般には塩化ビニル系
単量体の総量に対して0.01〜2.0重量%、好まし
くは0.03〜1重量%の範囲内で用いられる。
【0010】また、本発明において使用される重合開始
剤としては、t−ブチルペルオキシピバレート(10時
間半減期温度(以下同じ):55℃)、t−ヘキシルペ
ルオキシピバレート(53.2℃)、t−ブチルペルオ
キシネオデカノエート(46.5℃)、クミルペルオキ
シネオデカノエート(36.6℃)、ビス(2−エチル
ヘキシル)ペルオキシジカーボネート(43.5℃)、
ジイソプロピルペルオキシジカーボネート(40.5
℃、但し初期濃度0.05mol/l)などの有機過酸
化物、アゾビス(ジメチルバレロニトリル)(51℃、
但しトルエン溶媒中)などのアゾ化合物等が挙げられ、
このような重合開始剤から重合開始温度及び重合終了温
度に応じ、前記した(2)〜(5)式を満たすような2
種類の重合開始剤を選択して使用する。
【0011】上記重合開始剤の10間半減期温度は、ベ
ンゼン溶媒中において、初期濃度0.1mol/lの重
合開始剤が10時間でその濃度が1/2となる分解温度
として定義される。本発明方法において用いるT1 及び
2 は、目的とする塩化ビニル系重合体の平均重合度に
よって選択され、その際に使用する重合開始剤は、10
時間半減期温度として、前述のように(2)〜(5)式
を満たすものの中から選択するが、特に下式(6)及び
(7)
【0012】
【数3】 T1 −15≦t1 ≦T1 −5 (6) T2 −20≦t2 ≦T2 −10 (7) を満たすものの中から選ぶことが好ましく、このとき、
反応活性と反応制御性とを、共に良好に保つ操作が容易
となる。
【0013】本発明方法において使用する重合開始剤の
組み合せとしては、10時間半減期温度の差を15℃以
上とることができ、また塩化ビニル系樹脂で多く用いら
れる平均重合度範囲(例えば800〜1300など)を
カバーする重合温度域に適合しているものが好ましい。
このような重合開始剤の組み合せとしては、例えばt−
ヘキシルペルオキシピバレート(以下、「HPV」と記
す)とクミルペルオキシネオデカノエート(以下、「C
ND」と記す)との組み合せが挙げられる。
【0014】前記(1),(4)式の条件の下で、(2),
(3)及び(5)式を満たさない重合開始剤を使用した
場合、例えば、t1 <30℃となる重合開始剤を使用し
た場合には、重合開始剤の重合反応初期の分解速度が速
く、反応制御性が悪化する。また、60℃<t2 となる
場合には、重合開始剤の分解速度が遅く、反応末期の急
激な反応や、あるいは得られた塩化ビニル系重合体中へ
の重合開始剤の残留による熱安定性低下の原因となりや
すい。
【0015】
【数4】 となる場合は重合反応末期に反応速度が著しく低下した
り、または反応が初期には起きにくく、末期に急激な発
熱を伴う暴走反応となる恐れがある。
【0016】
【数5】 となる場合は、重合温度と重合開始剤の分解とにずれが
あり、反応速度が不十分となったり、反応制御性が悪化
したりする傾向となる。
【0017】これらの重合開始剤の合計使用量は、一般
に使用される量、すなわち塩化ビニル系単量体の総量に
対して0.01〜1.0重量%の範囲であり、2種類の
重合開始剤の重量比は、[t1 ]/[t2 ]=20/8
0〜80/20とする(ただし、[t1 ],[t2 ]は
それぞれ10時間半減期温度がt1 ,t2 である重合開
始剤の配合量を意味するものとする。)。
【0018】[t1 ]/[t2 ]が20/80より小さ
い場合には、反応初期に発熱が小さく、末期に発熱が大
きくなり、重合缶内温を制御できなくなる恐れがあり、
また80/20より大きい場合には、反応初期から発熱
するが、反応末期で発熱が微弱となり、反応が緩慢とな
ったり停止したりする恐れがある。また、本発明の重合
反応に際し、一般に知られている重合助剤、例えばトリ
クロルエチレン、ドデシルメルカプタン、2−メルカプ
トエタノール、プロピオンアルデヒド等の連鎖移動剤、
酸化防止剤等を任意に使用することができる。
【0019】本発明方法を実施するにあたり、塩化ビニ
ル系単量体は重合開始前に一括して仕込んでもよいし、
あるいは塩化ビニル系単量体の一部を重合開始前に仕込
み、残部を重合開始後に連続して、または分割して仕込
むこともできる。さて、本発明方法においては、重合反
応が進行する期間全体のうち50%以上の期間において
重合温度を時間と共に上昇させつつ塩化ビニル系単量体
の重合反応を行なわせる。
【0020】上記「重合反応が進行する期間全体」と
は、通常の塩化ビニル系単量体の重合処方に従い、重合
開始剤、その他の添加物の存在下に塩化ビニル系単量体
を重合するに当り、重合反応系の昇温により重合開始剤
が分解を開始して塩化ビニル系単量体の重合が開始する
時点から、目的とする重合率に達して重合反応を終了さ
せる時点までの期間全体を意味する。
【0021】従って、従来、重合反応器内に原料の仕込
みを行なった後、重合反応が開始するまで、即ち、重合
開始剤が分解を開始して発熱反応が始まるまでは、例え
ば、重合反応器に取り付けたジャケットに温水を循環さ
せる等の通常の加熱方法で加熱して、急速に昇温させ、
次いで重合反応が開始した時点から重合反応を終了させ
る時点までの期間、即ち、重合反応が進行する期間内
は、発熱による温度の大幅な上昇をジャケットに冷却水
を循環させる等の方法によりおさえて一定温度に保持し
て所定の重合度の重合体を得ていたのに対して、本発明
方法では、特にこの重合反応が進行する期間全体のうち
50%以上の期間について、重合温度を時間と共に適当
な速度で上昇させるように冷却の程度を調節しながら重
合反応を行なわせるのである。
【0022】「重合反応が進行する期間全体の50%未
満」での急速な昇温は、残存する、10時間半減期温度
がt1 である重合開始剤(以下、「低温活性の重合開始
剤」という)の急速な分解により、反応温度が制御不能
となるか、または低温活性の重合開始剤の殆どが分解し
た後に昇温しなければならないために反応発熱の不均一
が生じるので反応制御が難しく、また重合反応器の除熱
能力も大きなものが必要となり、生産性が低くなる。
【0023】次に、従来の、重合反応系を一定温度に保
持して重合反応を行なわせる方法(以下、「定温反応
法」という)と本発明方法とを対比すると、重合温度に
ついて、前者がその「高さ」のみによって律せられてい
たのに対し、後者はその「高さ」及び「昇温幅」の両者
によって律せられているという相違がある。しかして本
発明方法における重合温度の「高さ」及び「昇温幅」の
設定は、本質的には目的とする塩化ビニル系重合体が得
られるように実験的に定められるものであるが、具体的
には一定の指針に従って決めて行くことができる。
【0024】即ち、先ず、定温反応法において生成する
塩化ビニル系重合体の重合度が重合温度の「高さ」によ
って支配されることが知られているが、これは本発明方
法においても本質的に同様である。従って例えば、本発
明方法において重合温度の変化域に基づいて重合温度の
「平均的高さ」を考えれば、該「平均的高さ」を、定温
反応法において目的とする重合度の生成物を得るための
重合温度の「高さ」の近傍に設定すれば、ほぼ目的とす
る重合度の生成物を得ることができる。無論、「定温反
応法」と本発明のいわば「昇温反応法」とは同一ではな
く、後者はその昇温パターンによっても影響を受ける。
即ち、得られる全重合体の平均重合度は、その昇温過程
の各時点で生成する重合体の重合度の、その際の重合体
の生成量による加重平均となるのであり、その生成量は
昇温パターンの選択によっても影響を受けるのである。
従って、正確な「平均的高さ」の設定は、昇温パターン
を決定した上で実験的に行なうのが望ましい。
【0025】次に重合温度の「昇温幅」は主として本発
明方法における連続昇温の効果を支配するものである。
本発明においては、該「昇温幅」は、10〜35℃、好
ましくは15〜30℃の範囲である。「変化幅」が10
℃より小さいと、本発明の製造方法による改良効果が十
分ではなく、従来の方法により得られた塩化ビニル系重
合体に比べ嵩比重及びゲル化溶融速度が大きい塩化ビニ
ル系重合体を得ることは困難となる。また、35℃より
大きいと、重合反応末期に発熱が急激に大きくなりすぎ
冷却が困難になる恐れがある。
【0026】重合温度の「平均的高さ」及び「昇温幅」
の好適値は具体的な反応系、主として単量体組成及び重
合開始剤の性能によっても影響を受けるので、これらを
も含めた具体的は反応系について経験的に選択されるの
が望ましい。具体的な重合温度の変化域、即ち重合温度
域での昇温開始温度及び昇温終了温度の決定は、例えば
次のように行なうことができる。
【0027】即ち、モデル的に、全昇温範囲にわたり、
重合反応速度を一定とし、かつ、重合反応の全期間を昇
温期間とする場合を考えると、定温反応法において所望
の重合度の塩化ビニル系重合体を得るのに必要な重合温
度をt0 (℃)、昇温反応法における温度上昇幅を2Δ
t(℃)としたとき、昇温開始温度を(t0 −Δt)、
昇温終了温度を(t0 +Δt)、従って重合温度範囲を
【0028】
【数6】(t0 −Δt)〜(t0 +Δt) とするのである。
【0029】なお上記の説明は最も一般的な直線的昇温
パターンを前提としたものであり、この場合にはほぼ予
想通りの結果を得ることができるが、前述の通り、本発
明の「昇温反応法」の反応結果はその昇温パターンによ
っても影響を受けるので、特に非直線的な昇温パターン
を採用する場合には、目的とする生成物に応じて実験的
に多少の修正をするのが望ましい。
【0030】本発明方法における重合温度の昇温速度は
重合温度の上昇温度幅と昇温期間とから一義的に求めら
れる昇温速度とすること(即ち、直線的昇温パターンと
すること)が最も簡便であり、良い結果を与える。例え
ば、重合温度範囲を50〜60℃とし、全重合反応時間
を8時間とし、そのうち5時間を昇温期間とした場合に
は、2℃/hrの昇温速度とすればよい。また、昇温速
度を昇温の途中で変えること、即ち、昇温パターンに屈
曲点を設けることは、その点での過大な加熱または冷却
能力を必要とされることとなり一般的には好ましいこと
ではないが、温度制御上許容される程度の変動はその結
果に大きな影響を与えないので、本発明の実施態様の一
つとして許容し得るものである。例えば、反応中に昇温
速度を1.5℃/hrから0.5℃/hrに変更した
り、或いはその前後に一定温度に維持する期間を設けた
りする等の方法も、昇温期間の合計が全重合反応期間の
50%以上であるようにしておけば、本発明の一実施態
様として許容され得るものである。本発明方法における
重合温度の昇温速度は通常10℃/hr以下であるのが
反応制御性の点から望ましい。
【0031】本発明方法における重合反応の制御は、滑
らかな昇温を可能とするような制御方法であれば特に制
限されるものではないが、例えばコンピュータを採り入
れたフィードバック制御、フィードフォワード制御等が
生産性、制御性、安定性の面で好適である。本発明方法
は、水性媒体中での塩化ビニル系単量体の重合であれば
どのような方法についても採用可能であるが、特に油溶
性重合開始剤を用いる懸濁重合法に適用するのが、工業
的に最も有用であり、価値が高い。
【0032】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実
施例によって限定されるものではない。なお、得られる
塩化ビニル系重合体の物性評価は下記の物性測定方法に
より行なった。
【0033】物性測定方法 平均重合度及び嵩比重 JIS K−6721に示される方法に準じて求めた。 ゲル化時間 PVC100重量部、鉛系粉末安定剤3重量部及びバリ
ウム系粉末安定剤0.5重量部をブレンドした試料60
gを、ブラベンダー・プラスチコーダー(187℃、4
5rpm)で混練し、最大トルクを示すまでの時間を測
定した。
【0034】実施例1〜2 内容積400リットルの攪拌機及びジャケット付のステ
ンレス製重合容器に塩化ビニル単量体100kg、脱イ
オン水150kg、ポリ酢酸ビニル部分ケン化物(日本
合成化学工業(株)製、ゴーセノールKH−17、平均
重合度2300、ケン化度88.5%)60gおよび表
−1に示す重合開始剤を仕込んだ。仕込みが終了した
後、ジャケットに温水を循環させ、表−1に示す昇温開
始温度まで急速に加熱して重合反応を開始させた。その
後、連続的に昇温を行ない、表−1に示した温度で昇温
を終了し、以後目的とする反応転化率(80%)に達す
るまで、この温度を保持した。このようにして得られた
塩化ビニル系重合体(以下「PVC」と記す)の物性評
価を行なった結果を表−2に示した。
【0035】比較例1〜10 重合開始剤及びその使用量をそれぞれ表−1に示すよう
に変化させたこと以外は実施例1と同様にして仕込みを
行なった。次いで表−1に示す反応条件で重合反応を行
なったこと以外は実施例1と同様にして目的とする反応
転化率(80%)に達するまで、昇温終了温度を保持し
た。このようにして得られたPVCの物性評価を行なっ
た結果をそれぞれ表−2に示した。
【0036】比較例1〜3では、昇温幅が小さいため実
施例と比較し、ゲル化溶融速度及び嵩比重が小さいPV
Cが得られた。比較例4では、反応末期に反応速度が著
しく低下し、所期の反応率を達成できず、反応を途中で
取り止めた。比較例5〜7では、反応初期にはほとんど
発熱がなかったにもかかわらず、反応末期に急激な発熱
が生じ、反応制御が著しく困難となった。また比較例8
〜10の場合、反応初期〜中期にかけて、限界冷却能力
に近いかなりの発熱があったにもかかわらず、反応末期
には発熱がとまり、目的とする反応転化率(80%)に
至らなかった。
【0037】比較例11 重合開始剤及びその使用量を表−1に示すように変化さ
せたこと以外は実施例1と同様にして仕込みを行なっ
た。次いで表−1に示す反応条件で重合反応を行ない、
反応転化率60%にて反応温度を48℃から68℃に3
0分間で昇温したが、残存するクミルペルオキシネオデ
カノエート(CND)が急激に分解し、発熱が大きくな
り、反応制御が著しく困難となった。
【0038】比較例12 重合開始剤の使用量を表−1に示すように変化させたこ
と以外は比較例11と同様にして仕込み及び重合反応を
行なった。反応転化率が60%に至る前にCND量が不
足したためか反応速度が低下したので、30分間かけて
48℃から68℃に昇温した。その結果、反応速度が著
しく増大して、冷却負荷が極めて大きくなり反応制御が
著しく困難であった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、従来の方法によって得
られたPVCと比較して、ゲル化溶融速度が著しく大き
く、かつ、嵩比重も大きく、成形加工性の優れたPVC
を安定に製造することができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル単量体または塩化ビニル単量
    体を主体とする共重合可能な単量体の混合物(以下、こ
    れらを総称して「塩化ビニル系単量体」という)を水性
    媒体中で重合反応させて塩化ビニル系重合体を製造する
    方法において、重合反応が進行する期間全体の50%以
    上の期間において重合温度を時間とともに上昇させつつ
    重合反応を行なわせること、その上昇変化幅が10〜3
    5℃の範囲にあること、重合反応を下式(1)〜(5)
    を満たす2種類の重合開始剤の存在下で行なわせるこ
    と、かつ、該2種類の重合開始剤の重量比が、20/8
    0〜80/20であることを特徴とする塩化ビニル系重
    合体の製造方法。 【数1】 20℃≦T1 <T2 ≦80℃ (1) 30℃≦t1 ≦50℃ (2) 45℃≦t2 ≦60℃ (3) t1 <t2 (4) ただし、 t1 ,t2 :使用する重量開始剤の10時間半減期温度
    (℃) T1 :重合開始温度(℃) T2 :重合終了温度(℃)
  2. 【請求項2】 2種類の重合開始剤が、t−ヘキシルペ
    ルオキシピバレート及びクミルペルオキシネオデカノエ
    ートである請求項1に記載の塩化ビニル系重合体の製造
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006525389A (ja) * 2003-05-01 2006-11-09 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ 特定の開始剤系を使用することによって増加された重合反応器生産量
JP2014080469A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Taiyo Vinyl Corp 成形加工性に優れる塩化ビニル系重合体の製造方法

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