JPH09157308A - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JPH09157308A
JPH09157308A JP15481496A JP15481496A JPH09157308A JP H09157308 A JPH09157308 A JP H09157308A JP 15481496 A JP15481496 A JP 15481496A JP 15481496 A JP15481496 A JP 15481496A JP H09157308 A JPH09157308 A JP H09157308A
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polymerization
vinyl chloride
charged
monomer
internal pressure
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Application number
JP15481496A
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English (en)
Inventor
Takashi Kobayashi
隆志 小林
Tadashi Amano
正 天野
Yoshitaka Okuno
義隆 奥野
Hideshi Kurihara
英志 栗原
Tadaaki Kurokawa
忠昭 黒川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 塩化ビニル系単量体を重合開始剤の存在
下に懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造するに際
し、全予定仕込み単量体のうち4/5以下を重合器に仕
込み、設定重合温度における一定の飽和蒸気圧P1kg
・f/cm2下で重合を進行させると共に、重合器内圧
がP2kg・f/cm2に降下した時点で重合器内圧をP
1−△P(但し、△P=P1−P2で、0.1kg・f/
cm2≦△P≦2.0kg・f/cm2である)の範囲を
維持するように全予定仕込み単量体の残部を連続的に重
合器内に供給して重合を行うことを特徴とする塩化ビニ
ル系重合体の製造方法。 【効果】 本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法によ
れば、生産性高く、除熱負荷を軽減して高重合度の塩化
ビニル系重合体を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は懸濁重合法による塩
化ビニル系重合体の製造方法に関し、特に塩化ビニル系
重合体を除熱負荷を軽減させ、生産性高く製造すること
ができる塩化ビニル系重合体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】塩化ビ
ニル系単量体の懸濁重合は、通常バッチ方式で行われて
おり、冷熱媒体を通すことのできるジャケットを付設し
た重合器に、仕込み水、懸濁剤、重合開始剤、塩化ビニ
ル系単量体及びその他の各種添加剤を仕込み、これらを
撹拌しながらジャケットに加熱水を通すことにより重合
器内の仕込み混合物を所定の設定温度まで昇温し、その
後は発熱反応である塩化ビニル系単量体の重合反応によ
り発生する重合反応熱を該ジャケットに冷却水を通して
除去することにより、重合器内の仕込み混合物を所定の
温度に維持させながら重合反応を進め、また、収率が上
昇すると共に仕込み混合物中のフリーの塩化ビニル系単
量体が消失しつつある時点で気相部の塩化ビニル系単量
体が減少し始め、重合器の内圧が降下し始めるので、所
定の内圧に到達した時点で重合反応を終了する方法が採
用されている。
【0003】また、一般的には、塩化ビニル系単量体の
重合においては、得られる重合体の重合度は予め設定さ
れた重合温度に支配されており、目標とする重合体の重
合度によって自動的に設定重合温度が決定されるといっ
てよい。この場合、設定重合温度を低くすると、得られ
る重合体の重合度は上がり、例えば設定重合温度63℃
では重合度800であるが、設定重合温度43℃では重
合度は2000程度となる。
【0004】従って、重合度の高い塩化ビニル系重合体
を得るためには、設定重合温度を低下させればよいが、
そうすると重合時間が長くなるので、重合時間を短縮す
るために重合開始剤量を増加する必要がある。しかし、
重合開始剤の投入量を増やすと、重合反応熱が多く発生
し、この反応熱を除去するために冷却水の温度を低く設
定しなければならず、このため冷却水を得るための冷凍
機能力の限界を超えてしまうので、重合時間を短縮する
ことが困難であるという問題を生じる。また、冷却能力
を大きくして除熱可能とした場合でも、開始剤の投与量
を更に極端に増やして重合時間を短縮しようとすると、
逆に得られる重合体の重合度が下がり、そのために設定
重合温度を下げなければならず、その結果として重合速
度が低下し冷却負荷も大きくなってしまうという悪循環
に陥る。更にこの場合、開始剤量を増大させると、得ら
れた重合体を成形した際、色相も悪化するという問題点
がある。
【0005】この問題点を解決する方法として、仕込み
混合物中に架橋剤を添加して重合する方法が知られてい
る。しかし、この方法は見掛けの重合度は高くなるが、
引張り伸度、引張り強度等の機械的物性においてこの重
合度を有する重合体の本来の物性値のレベルまで上がら
なくなるという問題点があった。
【0006】従って、このような解決方法と異なり、設
定重合温度をむやみに低下させることなく重合度の高い
重合体を得る方法が望まれる。即ち、目標とする重合度
の重合体を得るために、現状の設定重合温度を上げるこ
とが可能であれば、重合反応速度が高まるので重合時間
を短縮でき、必要とする重合開始剤量を減らすことも可
能となり、かつジャケットに通す冷却水温度を上げるこ
ともできるので、冷却水のための冷凍設備負荷も軽減さ
れ、そのためのコストも削除することができることにな
る。
【0007】また、通常、塩化ビニル系単量体の重合に
おいては、所定の設定重合温度で従来一般的に使用され
る開始剤のうち適切なものを選択するが、目標とする収
率・重合時間が定まった場合、必要とされる開始剤量は
自動的に決まってしまう。
【0008】近年、塩化ビニル系重合体を高い生産性の
もとで製造するために、重合プロセスにおいては短時間
の重合反応とする要求が高まっている。このような事情
から、より活性の高い重合開始剤を選択し、かつ使用量
を増やしてきた経緯がある。しかし、使用する開始剤量
を増やすことにより、得られた重合体に付着した未分解
の開始剤量も増えることにより、重合体成形品の色相を
損ねることになる。また、単位時間あたりの重合反応熱
も多くなり、これを除熱するために重合器に付設された
ジャケット通水温度を下げざるを得ず、冷凍機能力を越
えたり、この能力を上げるためにコストアップしてしま
う。しかも、開始剤量を増やすことにより得られる重合
体の重合度が低下するので、重合度を上げるためには設
定重合温度を下げなければならず、その結果として重合
速度が低下し、かつ冷却負荷も大きくなってしまうとい
う悪循環に陥る。
【0009】この問題を解決するために、重合除熱パタ
ーンを均一化させる、即ち重合速度を均一化させるのが
有効で、特開昭46−14670号、特開昭56−14
9407号及び特開平5−105709号公報などで活
性の異なる開始剤を2種以上組み合わせる方法が提案さ
れている。確かにこの方法により、右上りの三角形に近
い反応速度パターンが四角形に近づき、全体の平均速度
が高まるので同じ重合時間とするのに必要な開始剤量を
減らすことが可能であるが、格段に減らすレベルまでは
達しておらず、更なる技術のブレークスルーが望まれて
いた。
【0010】従って、本発明は、高重合度の塩化ビニル
系重合体を除熱負荷を軽減して生産性よく製造する方法
を提供することを第1の目的とする。
【0011】また、本発明は、特に必要とする開始剤量
を格段に減らし、成形時に着色性の優れた高重合度の塩
化ビニル系重合体を生産性高く、かつ除熱負荷を軽減し
て製造する方法を提供することを別の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記第1の目的を達成するために鋭意検討
を行った結果、塩化ビニル系単量体の一般的なバッチ式
重合法において、収率が上昇し、重合反応速度も徐々に
上がる一方、仕込み混合物中のフリーの塩化ビニル系単
量体が消失しつつある時点で、気相部の塩化ビニル系単
量体が減り始め、これにより重合器内圧が降下し始める
が、この時、もしくは降圧し始めてしばらくした時に、
重合反応速度が最高となり、それ以後急激に重合反応速
度が低下するという周知の現象に着目し、この重合器内
圧が降下し始めた時もしくは降圧し始めてからしばらく
した時の重合反応速度が最高もしくはその近辺である時
に、その重合反応速度の塩化ビニル系単量体の消費分に
見合う量で塩化ビニル系単量体を追加添加し、特に重合
器内圧を上記最高重合反応速度もしくはその近辺となる
内圧に実質的に保つようにしたところ、この最高重合反
応速度もしくはそれに近い速度を比較的長期間維持した
状態で重合反応が進行し、高生産性とするのに非常に有
効であることを見出した。また、更に驚くべきことに、
この状況で追加添加する塩化ビニル系単量体の量を増や
し、初期仕込み塩化ビニル系単量体に対する追加単量体
の比率を上げ、追加単量体量を全仕込み単量体の1/5
以上とすることにより、高重合度の塩化ビニル系重合体
を製造し得ることを知見したものである。
【0013】即ち、本発明にかかる重合方法の特徴は、
塩化ビニル系単量体の懸濁重合において、重合の後半の
重合反応速度が最高となる付近の重合器内圧が降下し始
めた瞬間から降下し始めてしばらくした時の間に、重合
器内圧がこの範囲となるように塩化ビニル系単量体を追
加添加することにより、この最高速度に近い重合反応速
度を比較的長時間維持し、かつ得られる重合体の重合度
が高重合度となることであり、本発明者らは、かかる効
果を十分にかつ確実に得るために、全予定仕込み単量体
の4/5以下を初期に仕込み、残りの1/5以上を上記
追加添加に用いることが有効であることを見出した。
【0014】またこの場合、本発明者らは、全予定仕込
み単量体のうち4/5以下を重合器に仕込み、設定重合
温度における一定の飽和蒸気圧P1kg・f/cm2下で
重合を進行させると共に、重合器内圧がP2kg・f/
cm2に降下した時点で重合器内圧をP1−△P(但し、
△P=P1−P2で、0.1kg・f/cm2≦△P≦
2.0kg・f/cm2である)の範囲を維持するよう
に全予定仕込み単量体の残部を連続的に重合器内に供給
することが、上記効果をより有効確実に発揮するために
有利であり、また重合開始剤として、0.1モル/Lベ
ンゼン溶液中における10時間半減期温度が30〜65
℃の範囲にある重合開始剤を、全予定仕込み単量体に対
し0.01〜0.3重量%の割合で使用することも、上
記効果を達成する上で好ましいことを知見したものであ
る。
【0015】更に、上記重合体のうち、特に下記一般式
(1)で示される1,1,2,2−テトラメチルプロピ
ルペルオキシエステル化合物を使用して、通常一般の塩
化ビニル系単量体の懸濁重合を行った場合、仕込み混合
物中のフリーの塩化ビニル系単量体が消失しつつある時
点で、気相部の塩化ビニル系単量体が減り始め、これに
より重合器内圧が降下し始めるが、この内圧が降下し始
める約10〜20分程度前から重合反応速度が急激に上
昇し、内圧が少し降下した時点(重合条件によって少し
異なるが、2kgf/cm2程度降下)で重合反応速度
のピークを迎え、その後急激に重合反応速度が遅くなる
という従来の開始剤には見られない顕著なゲル効果を見
出し、これに着目して塩化ビニル系重合体の製造を行っ
た。
【0016】
【化2】 (式中、R1,R2及びR3は互いに同一又は異種の炭素
数1〜9の直鎖状アルキル基を示す。)
【0017】即ち、この顕著なゲル効果により重合反応
速度が最高もしくはその近傍である時に、その重合反応
速度の塩化ビニル系単量体の消費分に見合う量で塩化ビ
ニル系単量体を追加添加し、特に重合器内圧を上記最高
重合反応速度もしくはその近傍となる内圧に実質的に保
つようにしたところ、この最高重合反応速度もしくはそ
れに近い速度を比較的長時間維持した状態で重合反応が
進行し、開始剤が非常に有効に使われ、かつ高生産性と
するのに極めて有効であること、また、この状況で追加
添加する塩化ビニル系単量体の量を増やし、初期仕込み
塩化ビニル系単量体に対する追加単量体の比率を上げ、
上述したように追加単量体を全予定仕込み単量体の1/
5以上とすることにより、高重合度の塩化ビニル系重合
体を製造し得ることを知見した。これらの事実により、
従来のものと同じ重合度の重合体を得ようとした場合、
重合設定温度を上げることができるので、重合反応熱の
除熱負荷も軽減され、かつ重合反応速度も上がり、前述
とは逆に好循環となる。必要とされる重合開始剤も格段
に少なくなるので、得られる重合体に付着する未分解の
開始剤量も減り、重合体成形品の色相も向上することを
知見したものである。
【0018】従って、本発明者らは、塩化ビニル系単量
体の懸濁重合において、上記一般式(1)で示される
1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシエス
テル化合物を重合開始剤として従来の開始剤量よりも格
段に少ない量で使用して、重合後半の重合反応速度が最
高となる付近の重合器内圧が降下し始めた瞬間から降下
し始めてしばらくした時の間に、重合器内圧がこの範囲
となるように塩化ビニル系単量体を追加添加することに
より、この最高速度に近い重合反応速度を比較的長時間
維持し、かつ得られる重合体の重合度が高重合度となる
こと、そしてかかる効果を十分にかつ確実に得るため
に、全予定仕込み単量体の4/5以下を初期に仕込み、
残りの1/5以上を上記追加添加に用いることが有効で
あることを見出したものである。
【0019】以下、本発明につき更に詳述すると、本発
明の塩化ビニル系重合体の製造方法は、塩化ビニル系単
量体を重合開始剤の存在下に懸濁重合して塩化ビニル系
重合体を製造するに際し、全予定仕込み単量体のうち4
/5以下を重合器に仕込んで重合を開始すると共に、重
合器内圧が降下し始めた時点以後に上記全予定仕込み単
量体の残部を供給して重合を行うことを特徴とする。
【0020】この場合、塩化ビニル系単量体の懸濁重合
は、通常の方法に従って行うことができ、加熱又は冷却
媒体を通すことにより重合器内を加熱又は冷却可能なジ
ャケットが付設された重合器内に、仕込み水、懸濁剤、
塩化ビニル系単量体を仕込み、更に重合開始剤を添加す
ることにより、重合を開始させる方法を採用し得る。
【0021】ここで、本発明において、塩化ビニル系単
量体としては、塩化ビニル単独でもよく、塩化ビニル及
びこれと共重合可能なビニル系単量体(コモノマー)と
の混合物(塩化ビニルが50重量%以上、好ましくは7
0重量%以上)であってもよい。塩化ビニルと共重合さ
れるコモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、
1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセ
ン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン
等のα−オレフィン;マレイン酸;酢酸ビニル等ビニル
エステル;ラウリルビニルエーテル、イソブチルビニル
エーテル等のビニルエーテル;無水マレイン酸;塩化ビ
ニリデン等が挙げられる。
【0022】この塩化ビニル系単量体の初期仕込み量
は、この初期仕込み量と後で追加添加される単量体との
合計量、即ち全予定仕込み単量体量の4/5以下であ
り、好ましくは2/3以下である。この初期単量体仕込
み量が、全予定仕込み単量体量の4/5を超えた場合、
後で追加添加する単量体量が1/5以下と少なくなり、
最大重合速度もしくはその近辺における高重合速度を維
持する期間が短くなる上、重合体の重合度も十分に上が
ることができず、本発明の目的が達成されない。なお初
期仕込み単量体量が少なすぎると、単量体を追加する時
点での重合反応の絶対量が小さくなり、生産性向上には
逆効果になる場合があるので、初期仕込み単量体量は全
予定仕込み単量体量の1/10以上、特に1/5以上で
あることが好ましい。
【0023】また、懸濁剤としては、従来一般に使用さ
れているものでよく、例えば、メチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルメチルセルロース等のセ
ルロース誘導体、水溶性又は油溶性の部分ケン化ポリビ
ニルアルコール、アクリル酸重合体、ゼラチン等の水溶
性ポリマーなどが挙げられる。これらは単独で又は2種
以上の組合わせとしても使用することができ、また上記
懸濁液と共にソルビタンモノラウレート、ソルビタント
リラウレート、グリセリントリステアレート、エチレン
オキシドプロピレンオキシドブロックコポリマー等のノ
ニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラ
ウレート、ポリオキシエチレングリセリンオレート、ラ
ウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤等を単独で
又は2種以上を組み合わせて使用することができる。懸
濁剤の使用量は、塩化ビニル系単量体の全予定仕込み量
100重量部に対して、0.02〜0.2重量部の範囲
で適宜添加される。
【0024】重合開始剤としては、塩化ビニル系単量体
の一般的な重合温度範囲である30〜70℃において有
効な0.1モル/Lベンゼン溶液中における10時間半
減期温度が30〜65℃の範囲のものが好適に用いられ
る。これらの重合開始剤はその1種を単独で用いてもよ
く、また重合器内圧が降下し始めるまでの重合反応速度
を均一化させる目的で上記10時間半減期温度の異なる
重合開始剤を2種以上併用してもよい。上記重合開始剤
として具体的には、イソブチリルペルオキサイド(10
時間半減期温度32.5℃、以下同様)、3,5,5−
トリメチルヘキサノイルペルオキサイド(59.5
℃)、ラウロイルペルオキサイド(62.0℃)等のジ
アシル系有機過酸化物、クミルペルオキシネオデカノエ
ート(36.6℃)、tert−ブチルペルオキシピバ
レート(55.0℃)、tert−ブチルペルオキシネ
オヘプタノエート(49.7℃)、tert−ブチルペ
ルオキシネオデカノエート(46.5℃)、tert−
ヘキシルペルオキシネオデカノエート(44.7℃)等
のペルオキシエステル系有機過酸化物、ジアリルペルオ
キシジカーボネート(38.8℃)、ジ−sec−ブチ
ルペルオキシジカーボネート(45.0℃)、ジ−2−
エチルヘキシルペルオキシジカーボネート(43.5
℃)等のペルオキシジカーボネート系の有機過酸化物、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(65.0
℃)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニ
トリル(51.0℃)等のアゾ系化合物が挙げられる。
【0025】この場合、重合開始剤としては、下記一般
式(1)で示される1,1,2,2−テトラメチルプロ
ピルペルオキシエステル化合物を使用することが好まし
い。
【0026】
【化3】 (式中、R1,R2及びR3は互いに同一又は異種の炭素
数1〜9の直鎖状アルキル基を示す。)
【0027】上記式(1)で示される1,1,2,2−
テトラメチルプロピルペルオキシエステル化合物として
は、1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシ
ネオデカノエート(0.1モル/Lベンゼン溶液中にお
ける10時間半減期温度が39.0℃、以下同様)、
1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシピバ
レート(45.7℃)、1,1,2,2−テトラメチル
プロピルペルオキシネオヘプタノエート(40.6℃)
を用いることが好ましい。
【0028】重合開始剤の使用量は、塩化ビニル系単量
体の全予定仕込み量に対し、0.01重量%以上0.3
重量%以下、より好ましくは0.03重量%以上0.2
重量%以下である。0.01重量%より少ないと、重合
反応において活性が持続せず、重合器内圧が降下する前
に重合反応のピークを迎え、以後重合反応のへたりが起
こり、本発明による重合反応の最高速度付近で塩化ビニ
ル系単量体の追加添加が行えない場合が生じ、重合時間
が長くなってしまうおそれがある。また、0.3重量%
より多いと、重合反応速度が速すぎて、最高重合速度に
達する前に重合熱を除去しきれずに暴走反応を引き起こ
すおそれがある。
【0029】なお、上述したように、重合開始剤として
は、式(1)の1,1,2,2−テトラメチルプロピル
ペルオキシエステル化合物を使用することが好ましく、
これは単独で、又は0.1モル/Lベンゼン溶液中にお
ける10時間半減期温度が30〜60℃の範囲にある他
の重合開始剤の1種又は2種以上と組み合わせて用いる
ことができるが、式(1)で示される1,1,2,2−
テトラメチルプロピルペルオキシエステル化合物を用い
る場合、重合開始剤の総使用量の1/3以上、好ましく
は1/2以上使用するのが望ましい。式(1)で示され
る1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシエ
ステル化合物の使用量が開始剤総使用量の1/3より少
ない場合、該化合物特有の重合器内圧が降下し始める前
後に急激に重合反応速度が上がるという顕著なゲル効果
現象を得ることができない場合が生じ、少ない開始剤量
で極めて高い重合反応速度で塩化ビニル系単量体を追加
添加しながら重合を進めるという特徴が最大限発揮され
なくなるおそれがある。
【0030】上記重合開始剤は、通常その全量を初期に
仕込み添加するが、必要によりその一部を重合中に連続
的又は間欠的に添加してもよい。しかし、本発明の重合
法においては、塩化ビニル系単量体を追加する期間が重
要であり、重合器の内圧が降下し始めるまでの時間を短
くすることが好ましいため、重合開始剤は、初期仕込み
単量体に対し好ましくは0.04重量%以上、より好ま
しくは0.06重量%以上を用いることが推奨される。
【0031】なお、重合開始剤の添加方法としては、ポ
ンプで圧入する方法などを採用することができる。
【0032】また、必要に応じて塩化ビニル系単量体の
重合において適宜選択される重合調整剤、連鎖移動剤、
pH調整剤、ゲル化調整剤、帯電防止剤、架橋剤、充填
剤、重合体スケール付着防止剤などを添加することも任
意である。
【0033】以上のように使用原料が準備されたら、ジ
ャケット内に加熱水等の加熱媒体を流すなどのことによ
り、仕込み混合物を昇温し、重合を開始し、仕込み混合
物が設定重合温度に到達したら、ジャケット内に冷却媒
体を通して重合熱を除去しながら該設定重合温度を保
つ。この場合、設定重合温度は適宜選定されるが、30
〜70℃、特に35〜65℃の範囲とすることが反応速
度及び重合体の高重合度の点から好適である。
【0034】そして、このように重合が進行しているう
ち、収率が上がると共に反応速度も徐々に上がり、仕込
み混合物中のフリーの塩化ビニル系単量体が消失しつつ
ある時点で気相部の塩化ビニル系単量体が減り始め、重
合器の内圧が急に下がり始めるが、この内圧が急激に降
下し始める約10〜20分前から重合反応速度が急激に
上昇し、内圧が少し降下した時点(重合条件によって少
し異なるが、2kgf/cm2程度降下)で重合反応速
度のピークを迎える。
【0035】この場合、式(1)で示される1,1,
2,2−テトラメチルプロピルペルオキシエステル化合
物を使用したときは、特有のゲル効果による急激な重合
反応速度の上昇により、ピーク時には上昇前時の1.5
倍、場合によっては2倍以上の重合反応速度となる。
【0036】次に、この重合反応速度ピーク時又は近傍
の重合器内圧が少し降下した時点で全予定仕込み単量体
のうち初期に仕込まれなかった残りの単量体、即ち全予
定仕込み単量体の1/5以上、特に1/3以上を連続的
に添加して重合を行うものである。
【0037】この場合、初期の設定重合温度における一
定の飽和蒸気圧、つまり上記内圧が下がり始める前の一
定の重合器内圧をP1kg・f/cm2とし、内圧が下が
り始めた以後の内圧をP2kg・f/cm2とし、△P=
1−P2とした場合、追加の単量体添加は、P1−△P
(但し、0.1kg・f/cm2≦△P≦2.0kg・
f/cm2、好ましくは0.1kg・f/cm2≦△P≦
1.0kg・f/cm2)の内圧範囲を維持するように
追加供給を開始し、かつ追加供給を継続することが好ま
しい。この△Pを上記範囲に保つことにより重合反応の
最高速度、または最高速度に近い速度をそれ以後維持す
ることができる。これに対し、△Pが上記範囲外である
と、塩化ビニル系単量体の供給中における重合反応速度
が低くなり、そのため重合時間が長くなり、高重合度の
重合体を得ることが困難となる場合がある。従って、△
Pを上記範囲内に保つことにより、高重合度の塩化ビニ
ル系重合体を高生産性でかつ反応系における除熱負荷を
軽減して製造することができるが、重合度、重合時間を
精度よく調整するためには、この△Pの範囲の中で△P
の値を一定に保つことが更に好ましく、△Pを一定に維
持することにより、単量体の供給速度=重合体の生成速
度の関係を維持することができる。
【0038】なお、塩化ビニル系単量体を供給する方法
としては、種々の方法を採用することができ、例えば、
ポンプによる方法、仕込み単量体の容器を加熱して圧力
差により供給する方法を挙げることができるが、精度よ
く安定的に供給し得る方法であればいずれの方法であっ
てもよい。
【0039】このようにして残りの全予定仕込み単量体
の供給が終了した後は、通常の重合方法に従って操作
し、重合を終了する。
【0040】
【発明の効果】本発明の塩化ビニル系重合体の製造方法
によれば、生産性高く、除熱負荷を軽減して高重合度の
塩化ビニル系重合体を得ることができる。また、重合開
始剤として式(1)の1,1,2,2−テトラメチルプ
ロピルペルオキシエステル化合物を用いた場合には、必
要とする重合開始剤量を格段に減らし、成形時に着色性
の優れた高重合度の塩化ビニル系重合体を生産性高く、
かつ除熱負荷を軽減して製造することができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0042】〔実施例1〕塩化ビニル単量体(VCM)
の懸濁重合を行う重合器として、ジャケット、バッフ
ル、撹拌機を付設した内容積100Lのステンレススチ
ール製重合器を用いた。
【0043】この重合器に室温(22℃)の脱イオン水
60kgを仕込み、次いで懸濁剤として水溶性部分ケン
化ポリビニルアルコール18g(全予定仕込み塩化ビニ
ル単量体に対し0.06重量%)、水溶性セルロースエ
ーテル12g(全予定仕込み塩化ビニル単量体に対し
0.04重量%)を溶解した水溶液2kgと油溶性部分
ケン化ポリビニルアルコール12g(全予定仕込み塩化
ビニル単量体に対し0.04重量%)を溶解した水とメ
タノールの混合液(水とメタノールの重量比1:1)1
00gを投入し、撹拌しながら、ジャケットの加熱水に
より、内容物を30℃に昇温した。次いで重合器内を1
20mmHgになるまで脱気した後、撹拌しながら室温
(19℃)の塩化ビニル単量体14.0kgを重合器内
に仕込み、ジャケットの加熱水により、これらの仕込み
混合物を30℃に昇温した後、重合開始剤としてジ−2
−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート27.0g
(全予定仕込み塩化ビニル単量体に対し0.09重量
%)を溶解したイソパラフィン溶液38.57gをポン
プで重合器内に圧入して重合を開始させると同時に、ジ
ャケットの加熱水により仕込み混合物を昇温し、30分
で設定重合温度54℃とした。次に、ジャケットの冷却
水により重合熱を除去して該設定温度を一定に保つよう
にした。重合器内圧は7.9kg・f/cm2の一定圧
を保ち続けたが、急激に内圧が降下し始め、内圧が7.
4kg・f/cm2となった時(重合開始時から146
分後)に塩化ビニル単量体をポンプで連続的に供給を開
始して内圧7.4kg・f/cm2を維持するようにし
た。塩化ビニル単量体の連続供給配管途中に設置した質
量流量計の積算流量が16.0kg(塩化ビニル単量体
を供給開始してから109分後)になった時に塩化ビニ
ル単量体の供給を停止し、重合器内圧が5.5kg・f
/cm2に降下した時点(供給を停止してから26分
後)でビスフェノールAを4.5g投入して重合を停止
した。
【0044】重合反応停止後、重合器より未反応単量体
を回収し、得られた重合体をスラリー状で器外に抜き出
し、脱水し更に乾燥して重量を測定し、全予定仕込み塩
化ビニル単量体に対する収率を得た。
【0045】〔実施例2〕実施例1において、初期仕込
み塩化ビニル単量体を10kg、重合開始剤としてジ−
2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートを全予定
仕込み単量体に対し0.095重量%、設定重合温度を
54.5℃、塩化ビニル単量体を連続供給した時に重合
器内圧7.5kg・f/cm2に維持するように塩化ビ
ニル単量体20kg供給し、内圧が5.6kg・f/c
2に降下した時点で重合を停止した以外は、実施例1
に準じた手順に従い塩化ビニル重合体を得た。
【0046】〔実施例3〕実施例1において、初期仕込
み塩化ビニル単量体を20kg、重合開始剤としてジ−
2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートを全予定
仕込み単量体に対し0.045重量%とtert−ブチ
ルペルオキシエステルを同単量体に対して0.05重量
%、設定重合温度を53℃、塩化ビニル単量体を連続供
給した時に重合器内圧7.2kg・f/cm2に維持す
るように塩化ビニル単量体10kgを供給し、内圧が
5.3kg・f/cm2に降下した時点で重合を停止し
た以外は、実施例1に準じた手順に従って塩化ビニル重
合体を得た。
【0047】〔比較例1〕実施例1において、初期仕込
み塩化ビニル単量体を30kg、重合開始剤としてジ−
2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートを全仕込
み単量体に対し0.12重量%添加し、設定重合温度を
50.5℃とし、重合器内圧が降下し始めた後に塩化ビ
ニル単量体の連続供給を行わずに内圧が4.9kg・f
/cm2に降下した時点で重合を停止した以外は、実施
例1に準じた手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0048】〔比較例2〕実施例1において、初期仕込
み塩化ビニル単量体を26kg、重合開始剤としてジ−
2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネートを全仕込
み単量体に対し0.122重量%添加し、設定重合温度
を51℃とし、塩化ビニル単量体を連続供給した時に重
合器内圧が7.0kg・f/cm2を維持するように塩
化ビニル単量体を4kg供給し、内圧が5.0kg・f
/cm2に降下した時点で重合を停止した以外は、実施
例1に準じた手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0049】〔比較例3〕比較例1において、重合開始
剤としてジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネ
ートを全仕込み単量体に対し0.092重量%、架橋剤
としてマレイン酸ジアリルを同じく全仕込み単量体に対
し0.037重量%を重合開始剤と同時に添加し、設定
重合温度を54℃とし、内圧が5.5kg・f/cm2
に降下した時点で重合を停止した以外は、比較例1に準
じた手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0050】実施例1〜3、比較例1〜3において得ら
れた各塩化ビニル重合体について重合度等の測定を行っ
た。この結果を表1に示した。 重合度の測定方法 JIS−K6721の方法に従って測定した。引張り試験 引張り試験における引張り強さと伸びの測定方法は、J
IS−C3005の方法に従って測定した。試験機はス
トログラフ(東洋精機製)を用い、試験片は2号ダンベ
ル状、標線25mm、幅6mmとし、引張り速さ200
mm/分で行い、試験回数5回の平均値を測定値とし
た。調整したコンパウンドは、塩化ビニル重合体100
重量部に対し、ジオクチルフタレート45重量部、三塩
基性硫酸鉛5重量部、二塩基性亜リン酸鉛2重量部、焼
成クレー10重量部、高融点パラフィン0.5重量部の
割合で配合した。
【0051】ロール条件は、6インチロールで混練温度
165℃、混練時間5分及び混練厚0.8mmとし、ま
たプレス条件は、50tプレスで温度170℃、圧力1
10kg・f/cm2及び時間は予熱5分、加圧3分で
行った。
【0052】また、実施例1〜3、比較例1〜3におい
て、重合時におけるジャケット通水の最低温度を記録し
除熱負荷の程度を測定した。
【0053】
【表1】
【0054】表1の結果から、本発明の製造方法によれ
ば、従来よりも少ない開始剤量において同じ重合時間で
得られる重合体の重合度が上がるので、生産性が上が
り、設定重合温度を上げることができること、その結
果、除熱負荷も容易に軽減でき、また、引張り試験結果
も、架橋剤を用いて重合度を上げた方法(比較例3)よ
りも優れた結果となることがわかった。
【0055】〔実施例4〕塩化ビニル単量体(VCM)
の懸濁重合を行う重合器として、ジャケット、バッフ
ル、撹拌機を付設した内容積100Lのステンレススチ
ール製重合器を用いた。この重合器に室温の脱イオン水
60kgを仕込み、次いで懸濁剤として水溶性部分ケン
化ポリビニルアルコール18g(全予定仕込みVCMに
対し0.06重量%)、水溶性セルロースエーテル12
g(全予定仕込みVCMに対し0.04重量%)を溶解
した水溶液2kgと油溶性部分ケン化ポリビニルアルコ
ール12g(全予定仕込みVCMに対し0.04重量
%)を溶解した水とメタノールの混合液(水とメタノー
ルの重量比1:1)100gを投入し、撹拌しながらジ
ャケット加熱水により内容物を40℃に昇温した。次い
で、重合器内を120mmHgになるまで脱気した後、
撹拌しながら室温のVCM13.0kgを重合器内に仕
込み、ジャケット加熱水によりこれらの仕込み混合物を
40℃に昇温した後、重合開始剤として1,1,2,2
−テトラメチルプロピルペルオキシネオデカノエート
9.6g(全予定仕込みVCMに対し0.032重量
%)を溶解したイソパラフィン溶液13.7gをポンプ
で重合器内に圧入して重合を開始させると同時に、ジャ
ケットの加熱水により仕込み混合物を昇温し、30分で
設定重合温度54℃とした。次に、ジャケットの冷却水
により重合熱を除去して該設定温度を一定に保つように
した。重合器内圧は7.9kgf/cm2の一定圧を保
ち続けたが、急激に内圧が降下し始め、内圧が7.4k
gf/cm2となった時(重合開始時から121分後)
にVCMをポンプで連続的に供給を開始して内圧7.4
kgf/cm2を維持するようにした。VCMの連続供
給配管途中に設置した質量流量計(千葉オーバル(株)
製、DOO6S−HY−200型)の積算流量が17.
0kg(VCMの供給を開始してから110分後)にな
った時にVCMの供給を停止し、重合器内圧が5.5k
gf/cm2に降下した時点(供給を停止してから36
分後)にビスフェノールAを4.5g投入して重合を停
止した。
【0056】重合反応停止後、重合器より未反応単量体
を回収し、得られた重合体をスラリー状で器外に抜き出
し、脱水し、更に乾燥して重量を測定し、全予定仕込み
VCMに対する収率を得た。
【0057】〔実施例5〕実施例4において、初期仕込
みVCMを10kg、重合開始剤として1,1,2,2
−テトラメチルプロピルペルオキシピバレートを全予定
仕込みVCMに対し0.037重量%、設定重合温度を
60℃、VCMを連続供給した時に重合器内圧を8.2
kgf/cm2に維持するようにVCM単量体20kg
を供給し、内圧が6.5kgf/cm2に降下した時点
で重合を停止した以外は実施例4に準じた手順に従い塩
化ビニル重合体を得た。
【0058】〔比較例4〕実施例4において、初期仕込
みVCMを30kg、重合開始剤としてtert−ブチ
ルペルオキシネオデカノエートを全予定仕込みVCMに
対し0.027重量%(実施例4における1,1,2,
2−テトラメチルプロピルペルオキシネオデカノエート
と同モル)添加し、重合器内圧が降下し始めた後にVC
Mの連続供給を行わずに、内圧が6.7kgf/cm2
に降下した時点で重合を停止した以外は実施例4に準じ
た手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0059】〔比較例5〕比較例4において、重合開始
剤としてジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボー
ネートを全予定仕込みVCMに対し0.039重量%
(実施例4における1,1,2,2−テトラメチルプロ
ピルペルオキシネオデカノエートと同モル)添加し、重
合器内圧が6.0kgf/cm2に降下した時点で重合
を停止した以外は比較例4に準じた手順に従って塩化ビ
ニル重合体を得た。
【0060】〔比較例6〕比較例4において、重合開始
剤として1,1,2,2−テトラメチルプロピルペルオ
キシネオデカノエートを全予定仕込みVCMに対し0.
032重量%添加し、重合器内圧が5.5kgf/cm
2に降下した時点で重合を停止した以外は比較例4に準
じた手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0061】〔比較例7〕比較例4において、重合開始
剤としてtert−ブチルペルオキシネオデカノエート
を全予定仕込みVCMに対し0.058重量%とクミル
ペルオキシネオデカノエートを全予定仕込みVCMに対
し0.03重量%添加し、重合器内圧が5.5kgf/
cm2に降下した時点で重合を停止した以外は比較例4
に準じた手順に従って塩化ビニル重合体を得た。
【0062】実施例4,5、比較例4〜7において、得
られた各塩化ビニル重合体について重合度の測定を行っ
た。この結果を表2に示す。重合度の測定方法 JIS−K6721の方法に従って測定した。初期着色性測定方法 塩化ビニル重合体100重量部にラウリル酸スズ1重量
部、カドミウム系安定剤0.5重量部及びジオクチルフ
タレート50重量部を配合し、2本ロールミルを用いて
160℃で5分間混練した後、厚さ0.8mmのシート
を成形した。次に、このシートを裁断して重ねて、4×
4×1.5cmの型枠に入れて160℃、65〜70k
gf/cm2で加熱、加圧成形して測定試料を作製し
た。この測定試料について、光電色彩計(日本電色工業
株式会社製)を用いて、JIS−Z8730(198
0)に記載のハンターの色差式における明度指数Lを求
め、a値及びb値を測定した。
【0063】
【表2】 TMND…1,1,2,2−テトラメチルプロピルペル
オキシネオデカノエート(0.1モル/Lベンゼン溶液
中における10時間半減期温度が39.0℃、以下同
様) TMPV…1,1,2,2−テトラメチルプロピルペル
オキシピバレート(45.7℃) BND…tert−ブチルペルオキシネオデカノエート
(46.5℃) EHP…ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボー
ネート(43.5℃) CND…クミルペルオキシネオデカノエート(36.6
℃)
【0064】表2の結果から、本発明の製造方法によれ
ば、従来よりも格段に少ない開始剤量で短時間の重合反
応が可能となり、成形時に着色性の優れた重合体を製造
することができ、かつ重合体の重合度も高くなるので重
合除熱負荷も軽減することができることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗原 英志 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 信越化学工業株式会社コーポレートリサ ーチセンター内 (72)発明者 黒川 忠昭 茨城県鹿島郡神栖町大字東和田1番地 信 越化学工業株式会社塩ビ技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化ビニル系単量体を重合開始剤の存在
    下に懸濁重合して塩化ビニル系重合体を製造するに際
    し、全予定仕込み単量体のうち4/5以下を重合器に仕
    込んで重合を開始すると共に、重合器内圧が降下し始め
    た時点以後に上記全予定仕込み単量体の残部を供給して
    重合を行うことを特徴とする塩化ビニル系重合体の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 全予定仕込み単量体のうち4/5以下を
    重合器に仕込み、設定重合温度における一定の飽和蒸気
    圧P1kg・f/cm2下で重合を進行させると共に、重
    合器内圧がP2kg・f/cm2に降下した時点で重合器
    内圧をP1−△P(但し、△P=P1−P2で、0.1k
    g・f/cm2≦△P≦2.0kg・f/cm2である)
    の範囲を維持するように全予定仕込み単量体の残部を連
    続的に重合器内に供給するようにした請求項1記載の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 重合開始剤として、0.1モル/Lベン
    ゼン溶液中における10時間半減期温度が30〜65℃
    の範囲にある重合開始剤を、全予定仕込み単量体に対し
    0.01〜0.3重量%の割合で使用した請求項1又は
    2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合開始剤として下記一般式(1) 【化1】 (式中、R1,R2及びR3は互いに同一又は異種の炭素
    数1〜9の直鎖状アルキル基を示す。)で示される1,
    1,2,2−テトラメチルプロピルペルオキシエステル
    化合物を使用した請求項3記載の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006525389A (ja) * 2003-05-01 2006-11-09 アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ 特定の開始剤系を使用することによって増加された重合反応器生産量
JP2014080469A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Taiyo Vinyl Corp 成形加工性に優れる塩化ビニル系重合体の製造方法

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