JPH07246815A - 車両用サスペンション - Google Patents

車両用サスペンション

Info

Publication number
JPH07246815A
JPH07246815A JP3880394A JP3880394A JPH07246815A JP H07246815 A JPH07246815 A JP H07246815A JP 3880394 A JP3880394 A JP 3880394A JP 3880394 A JP3880394 A JP 3880394A JP H07246815 A JPH07246815 A JP H07246815A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
connecting member
vehicle
vehicle body
rigidity
wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3880394A
Other languages
English (en)
Inventor
Takuya Murakami
拓也 村上
Tamiyoshi Kasahara
民良 笠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP3880394A priority Critical patent/JPH07246815A/ja
Publication of JPH07246815A publication Critical patent/JPH07246815A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Vehicle Body Suspensions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】ハーシュネスを抑えると共にキャスタ剛性を高
く設定可能な車両用サスペンションを提供することを目
的としている。 【構成】ナックル1の上部に連結されているアッパアー
ム3が車幅方向に延び、その車体前後方向に互いに離れ
て配設された2つの車体側取付け部3bが、それぞれブ
ッシュ4を介して車体側に取り付けられる。ナックル1
の下部に連結されているロアアーム9の車輪側端部が車
幅方向に延び、その車体前後方向に互いに離れて配設さ
れた2つの取付け部9bが、それぞれブッシュを介して
車体側に取り付けられる。上記アッパアーム3の2つの
車体側取付け部3bとロアアーム9の2つの車体側取付
け部9bとが一つの連結部材11によって一体的に連結
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両用サスペンショ
ンに係り、特に、下部領域と上部領域とを各々構成する
連結部材を備えたダブルウィッシュボーン式の車両用サ
スペンションに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダブルウィッシュボーン式の車両用サス
ペンションは、車輪が車輪支持部材を構成するナックル
等によって回転自在に支持され、そのナックルの上部及
び下部と車体側部材とが、それぞれ車幅方向に延在する
アッパアーム及びロアアームによって揺動可能に連結さ
れている。
【0003】上記アッパアーム及びロアアームは共に、
一般に、A字形状をしていて、A字形状の先端部を車輪
側取付け部とし、かつ、A字形状の下部の2点をそれぞ
れ車体側取付け部としている。その車体側取付け部は、
それぞれ相互に車体前後方向に所定間隔をあけて配置さ
れていて、軸を車体前後方向に向けた円筒状のブッシュ
を介して車体側に揺動可能に取り付けられている。
【0004】さらに、従来の車両用サスペンションで
は、例えば、特開昭63−265709号公報や特開平
1−190508号公報に記載されているように、両ア
ームにおける車体前後方向に対向する各車体側取付け部
の前側及び後側を、それぞれ上下に延びる連結部材によ
って個別に連結することが実施されている。上記特開昭
63−265709号公報に記載されている車両用サス
ペンションでは、ロアアームにおける前側の車体取付け
部近傍に枢軸された第1ロッドが上方に延び、その上端
部を、アッパアームにおける車体側取付け軸の前端部に
連結させ、また、アッパアームにおける後側の車体取付
け部近傍に枢軸された第2ロッドが下方に延び、その下
端部を、ロアアームにおける車体側取付け軸の後端部に
連結されて、両アームの車体側部分を連結している。
【0005】これによって、制動の際に、両アームの車
体側取付け部に設けられた各ブッシュを上下方向におけ
る所望方向に撓ませることで、両アームの車体上下方向
の傾きをそれぞれ変化させる。これにより、サスペンシ
ョンの瞬間回転中心と車輪接地点とを結ぶ直線の傾きを
上方に変位させて、アンチダイブ効果を生じさせてい
る。
【0006】また、特開平1−190508号公報に記
載されている車両用サスペンションでは、A字形のアッ
パアーム及びロアアームをそれぞれ弾性部材から構成す
ると共に、その両アームの車体側取付け部における車体
前後方向前側部分と後側部分同士を、それぞれ上下方向
に延びる一対の連結部材によって一体的に連結されて構
成されている。
【0007】このようにして、ロアアームとアッパアー
ムとを一体化して、その一体化したアームに入力される
車幅方向または車体前後方向の力を、引張力及び圧縮力
として車体に伝達可能としている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ダブルウィッシュボー
ン式の車両用サスペンションにおいては、サスペンショ
ンアームの車体側取付け部に設けられるブッシュの設定
のみによって、サスペンションの前後剛性とキャスタ剛
性(車輪接地点入力に対するキャスタ角の変位量)を両
立させることは難しい。
【0009】なぜなら、上記前後剛性を考慮するとブッ
シュの前後剛性を低く設定する必要があり、キャスタ剛
性を考慮するとブッシュの前後剛性を高く設定する必要
があるからである。即ち、車輪が路面の突起等を乗り越
えた時にホィールセンタに入力される後向きの入力、い
わゆるハーシュネスを抑えるためには、サスペンション
の前後剛性を低く設定した方が良く、このために、ロア
アーム及びアッパアームともに、その各車体取付け部に
設けられるブッシュの前後剛性を低く設定した方がよ
い。
【0010】一方、操縦安定性の観点からは、車輪に制
動力が入力したときに車輪の路面接地点に入力される後
向きの入力に抗するように、キャスタ剛性を高く設定し
たいが、このためには、ロアアーム及びアッパアームの
各車体取付け部に設けられるブッシュの前後剛性を高く
設定したい。このように、背反する要求を同時に満たす
必要があるが、上記のような従来の車両用サスペンショ
ン構造では、ロアアームとアッパアームの両車体側取付
け部における、車体前後方向の前側取付け部同士及び後
側取付け部同士だけを単に連結しただけであるため、両
アームが上下方向に向けて互いに反対方向へ移動するこ
とに対しては該連結部材によって両アームが相互に拘束
しあうが、両アームが車体前後方向に向けて互いに反対
方向へ移動したり、上下軸周りに反対方向へ捻じれるこ
とに対しては上記連結部材は余り抵抗せず、もって、該
連結部材によって両アームが相互に拘束しあうことがな
い。
【0011】このため、上記のような構造の従来の車両
用サスペンションでは、例えば、ハーシュネスを抑える
ために両アームの車体側取付け部に設けたブッシュの前
後剛性を低く設定すると、略ホィールセンタを通って車
幅方向に延びる軸線周りの捩じりモーメント、即ち、い
わゆるワインドアップモーメントが入力され、例えば、
アッパアームの車輪側取付け部が略車体前方側に、ロア
アームの車輪側取付け部が略車体後方側に上記各ブッシ
ュの剛性に応じた分だけ相対変位してキャスタ角変化を
起こす。このため、上記ブッシュの剛性を低くすると、
該キャスタ剛性が低くなり、操縦安定性を低下するとい
う問題がある。
【0012】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、ハーシュネスを抑えると共にキャスタ
剛性を高く設定可能な車両用サスペンションを提供する
ことを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の車両用サスペンションは、車輪を支持する
車輪支持部材と車体側部材とが、上下に対置してそれぞ
れ車幅方向に延在し、下部領域を構成する第1の連結部
材と上部領域を構成する第2の連結部材とで連結され、
その各連結部材はそれぞれ車体前後方向に所定間隔だけ
あけて対置する二つの取付け部をもって車体側部材に連
結されている車両用サスペンションにおいて、第1の連
結部材と第2の連結部材の全車体側取付け部若しくはそ
の近傍を、上下に延在する第3の連結部材で連結してな
り、その第3の連結部材は、第1の連結部材及び第2の
連結部材との連結点を入力点とした場合の上下方向に延
びる軸線周りの剛性が高く設定されていることを特徴と
している。
【0014】このとき、上記第3の連結部材は、繊維強
化樹脂によって作製されていて、その強化繊維の配向方
向が、第2の連結部材の前側の車体取付け部との連結位
置から第1の連結部材の後側の車体取付け部との連結位
置に向けて延びると同時に、第2の連結部材の後側の車
体取付け部との連結位置から第1の連結部材の前側の車
体取付け部との連結位置に向けて延びてなることを特徴
とするとよい。
【0015】
【作用】本願発明は、第1の連結部材と第2の連結部材
とを上下に延びる連結部材で連結しているが、両アーム
がともに同一方向へ変位する際には、該第3の連結部材
はなんら抵抗することなく両アームは従来と同様に同じ
量だけ変位可能となっている。
【0016】このため、エンジンブレーキ等によって、
ホィールセンタに車体前後方向の荷重が入力されて、第
1の連結部材及び第2の連結部材の車輪側取付け部に車
体前後方向における同一方向の荷重がともに入力される
と、両アームの車体側取付け軸は相互に捩じれることな
く略平行のまま変位する。このとき、第3の連結部材は
捩じれモーメント等の外力が付加されないので上記変位
になんら抵抗することなく、上記両アームの車体側取付
け軸の変位は該車体側部分に設けられたブッシュの剛性
によって決まるため、ホィールセンタ位置での前後剛性
は、上記ブッシュの剛性によって決定される。
【0017】また、フットブレーキ等によって、ホィー
ルセンタを中心とした車幅方向に向かう軸周りの捻じり
モーメントが入力されると、例えば、第1の連結部材の
車輪側取付け部は略車両前方側に向かう荷重が入力さ
れ、第2の連結部材の車輪側取付け部は略車両後方側に
向かう荷重が入力される。これによって、略車体前後方
向に幅方向に延びている第1の連結部材の車体側取付け
軸と第2の連結部材の取付け軸とが相対的に上下軸周り
に捩じれる方向へ移動しようとするが、両取付け部は、
上下軸方向の捻じり剛性が高い第3の連結部材で連結さ
れているため、上記相対的な捻じり方向の移動が該第3
の連結部材によって拘束される。
【0018】これによって第1の連結部材と第2の連結
部材の両車輪側連結部における相対的な車体前後方向に
変位が拘束される。即ち、両アームの車体側取付け部に
設けられるブッシュの剛性を変更することなく、キャス
タ剛性(接地点入力に対するキャスタ角変位量)が向上
する。上記第3の連結部材は、例えば、請求項2に記載
したように構成すればよい。
【0019】これは、繊維強化樹脂によって作製すると
共に、その構成部材である繊維強化部材を第2の連結部
材及び第1の連結部材における車体側取付け部側を上下
に対角線状に配向させることで、第3の連結部材に所定
の弾性を持たせると共に、上下軸周りの捻じりモーメン
トに対して強化繊維が引張して抵抗するので捻じり剛性
が特に高く設定可能となる。
【0020】なお、繊維強化樹脂で第3の連結部材を構
成する場合には、該繊維強化樹脂は所定の弾性力を備え
ているので、第2の連結部材と第1の連結部材とを一体
的に連結して、該第3の連結部材に緩衝用のバネ部材と
しても働きを持たせてもよい。
【0021】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
まず構成を説明すると、図1に示すように、図示しない
車輪が車輪支持部材であるナックル1に回転自在に支持
されている。そのナックル1の上部には、ボールジョイ
ント2を介してアッパアーム3(第2の連結部材)の車
輪側端部が連結されている。
【0022】そのアッパアーム3は、V字形状に成形さ
れて、そのV字の先端部側(車輪側取付け部3a)を車
輪側に向けた状態で車幅方向に延び、車体前後方向に互
いに離れて配設された2つの車体側取付け部3bが、そ
れぞれブッシュ4を介して車体側に取り付けられてい
る。そのブッシュ4は、図2に示すように、略同軸に配
設された外筒4c及び内筒4aと、その両筒4a,4c
間に介装されたゴム弾性体からなるブッシュ本体4bと
から構成されている。そのブッシュ4は、軸を車体前後
方向に向けて配設されて、外筒4cがアッパアーム3と
一体的になって該アッパアーム3の車体側取付け部3b
を構成している。
【0023】なお、上記ブッシュ本体4bの車体前後方
向の剛性は、ハーシュネス低減のために低く設定する。
また、上記ブッシュ4の内筒4aにボルト5が挿通され
て、そのボルト5を介して内筒4a側が車体に固定され
た車体側ブラケット6に取り付けられている。同様にし
て、ナックル1の下部には、ボールジョイント8を介し
てロアアーム9(第1の連結部材)の車輪側端部が連結
されている。
【0024】そのロアアーム9も、V字形状に成形され
て、そのV字の先端部側(車輪側取付け部)を車輪側に
向けた状態で車幅方向に延び、車体前後方向に互いに離
れて配設された2つの取付け部9bが、それぞれブッシ
ュを介して車体側に取り付けられている。そのブッシュ
は、略同軸に配設された外筒及び内筒と、その両筒間に
介装されたゴム弾性体からなるブッシュ本体とから構成
されている。そのブッシュは、軸を車体前後方向に向け
て配設されて、外筒がロアアーム9に一体的となって該
ロアアーム9の車体側取付け部3bを構成している。
【0025】なお、上記ブッシュ本体4bの車体前後方
向の剛性は、ハーシュネス低減のために低く設定する。
また、上記ブッシュの内筒にボルトが挿通されて、その
ボルトを介して内筒側が車体に固定された車体側ブラケ
ット10に取り付けられている。また、上記アッパアー
ム3における上記外筒4cを含む2つの車体側取付け部
3bと、ロアアーム9における上記外筒を含む2つの車
体側取付け部9bとが、それぞれ上下方向に延びる一つ
の連結部材11(第3の連結部材)によって一体的に連
結されている。
【0026】その連結部材11は、図3に示すように、
繊維強化樹脂によって側面視(車幅方向から見て)略H
形状の板厚の部材に成形されていて、その強化繊維11
aの配向方向が、対角線状に中央で交差するようにして
上下方向に延びている。即ち、強化繊維11aが、アッ
パアーム3の前側の車体取付け部との連結位置Bからロ
アアーム9の後側の車体取付け部との連結位置Eに向け
て延びると同時に、アッパアーム3の後側の車体取付け
部との連結位置Cからロアアーム9の前側の車体取付け
部との連結位置Dに向けて延びている。
【0027】なお、図3の配向方向は、当然に配向方向
だけを示すものであって強化繊維11aの数を示すもの
ではない。その連結部材における、その強化繊維11a
の配向方向における上下端部位置B,C,D,Eがそれ
ぞれアーム3,9の車体側取付け部3b,9bとの連結
部となっている。
【0028】このように対角線状に配向された強化繊維
11aによって、連結部材11は上下両端部に位置する
アーム3,9との連結部B,C,D,Eを入力点とした
上下に延びる軸線周りの捻じりモーメントを上記強化繊
維11aの引張によって受けることで、該連結部材11
の上下に延びる軸線周りの捻じり剛性が特に高くなるよ
うに設定されることとなる。
【0029】但し、上下方向や車体前後方向に比べて車
幅方向(厚さ方向)が相対的に薄いために、相対的に車
体前後方向に比べて車幅方向の剛性が低くなる。また、
上記ナックル1から車体前後方向後側部分には、車幅方
向に延びるステアリング機構12のタイロッド12aの
先端が連結していて、図示しないステアリングホィール
の操舵によって、該ステアリング機構12を介してナッ
クルや図示しない車輪が転舵するようになっている。
【0030】上記構成の車両用サスペンションでは、連
結部材11がロアアーム9とアッパアーム3の車体取付
け部3b,9bを一体的に連結した構造となっていると
共に該強化繊維からなる連結部材11がバネ作用を有す
るので、別途、緩衝用のスプリングを設ける必要がな
い。そして、エンジンブレーキ等によって、図4に示す
ようにホィールセンタWに車体前後方向後方に向かう荷
重F1 が入力されると、両アーム3,9の車輪側取付け
部3a,9aに共に、車体前後方向後方に向かう力F1,
2 が作用して、両アーム3,9における各前側の車体
側取付け部3b,9bに設けられたブッシュに対して、
車体前後方向後方に向かう荷重が入力すると共に車幅方
向外方に向かう荷重が入力して、該前側の車体側取付け
部3b,9bは車体前後方向後方且つ車幅方向外方に変
位する。
【0031】他方、両アーム3,9における各後側の車
体側取付け部3b,9bに設けられたブッシュに対し
て、車体前後方向後方に向かう荷重が入力すると共に車
幅方向内方に向かう荷重が入力して、該後側の車体側取
付け部3b,9bは車体前後方向後方且つ車幅方向内方
に変位する。これによって、各アーム3,9の車輪側取
付け部3a,9aはともに車体前後方向に変位する。
【0032】このとき、両アーム3,9における2つの
車体側取付け部3b,9bをそれぞれ結んだ各取付け軸
は、ともに同一方向へ略平行状態を維持したまま移動す
るために、連結部材11に捻じれモーメント等の外力が
入力されないため、上記取付け軸の移動を拘束すること
がない。よって、ホィールセンタW位置におけるサスペ
ンションの車体前後方向の剛性は、従来通り、車輪側取
付け部3aに設けたブッシュの剛性によって決定され
る。
【0033】本願実施例では、このブッシュの剛性を低
く設定したので、該サスペンションの前後剛性が低く設
定されて、ハーシュネスを低く抑えることが可能とな
る。一方、フットブレーキ等によって、図5に示すよう
に、車輪13の接地点Sに車体前後方向後方に向かうブ
レーキ力F4 が入力されて、ホィールセンタW周りにワ
インドアップモーメントMが入力されると、アッパアー
ム3の車輪側取付け部3aには車体前後方向前方に向か
う荷重F5 が入力され、ロアアーム9の車輪側取付け部
3aには車体前後方向後方に向かう荷重F6 が入力され
る。
【0034】このため、両アーム3,9の車体側取付け
軸3b,9bは、相対的に略上下軸P周りに捻じれた方
向に移動しようとするが、連結部材11がその捻じれに
抵抗して、上記相対的な捻じれ量を低減して、両アーム
3,9の車輪側取付け部3a9bにおける相対的な車体
前後方向への変位を抑える。即ち、キャスタ角の変化を
小さく抑えて、キャスタ剛性が向上する。このように、
本実施例の車両用サスペンションでは、サスペンション
の車体前後方向の剛性を低く設定すると同時に、キャス
タ剛性を高く設定することが可能となる。
【0035】次に、この作用を具体的に説明する。ここ
で、説明を簡単にするために、ホィールセンタWからの
ロアアーム9及びアッパアーム3の各車輪側取付け部3
aまでの距離を等しいとし、ロアアーム9及びアッパア
ーム3の各アーム長Hが同じ長さとし、両アーム3,9
における車体側取付け部3bの前後方向のスパンをそれ
ぞれ上記アーム長と同じと仮定する。
【0036】さらに、各上記車体側取付け部3bに設け
られたブッシュは同じ特性を有して、軸方向(車体前後
方向)の剛性をK、軸直角方向(車幅方向)の剛性を1
0Kと仮定する。なお、上記ブッシュの剛性は、通常、
車体前後方向に比べて車幅方向の剛性を高く設定される
ので、上記剛性の仮定は妥当性がある。
【0037】すると、ホィールセンタWに荷重F1 が入
力されると、各ブッシュには、軸方向に対して(F1
4)、軸直角方向に対して(F1 /2)の力がそれぞれ
働く。このように、各ブッシュに荷重が作用すると、ホ
ィールセンタW上での前後方向の変位は、次のように求
められる。
【0038】ブッシュの軸方向の剛性はKと仮定したの
で、上記入力された軸方向の荷重によって、ホィールセ
ンタW位置では次の量だけ車体前後方向に変位する。 また、ブッシュの軸直角方向の剛性は10Kと仮定した
ので、各ブッシュは軸直角方向に次の量だけ変位する。
【0039】 この軸直角方向の変位は、車体前後方向に対置する車体
側取付け部3bを結ぶ中点を回転中心として、各アーム
3,9を回転変位させることとなるので、上記軸直角方
向の変位によって、ホィールセンタW上での略前後方向
の回動変位は、次のような値に近似して表される。
【0040】 但し、Hは各アームのアーム長を示す。よって、全体と
して、ホィールセンタWに車体前後方向にF1 の荷重が
入力されると、ホイールセンタ上での車体前後方向への
変位量は、次のようになる。
【0041】 従って、ホィールセンタW位置での前後剛性は、次のよ
うに表される。 この前後剛性の値は、ロアアーム9とアッパアーム3と
を連結したことと無関係に決定されるので、上記のよう
にロアアーム9とアッパアーム3とを連結部材11で連
結しても各アーム3,9に設定されたブッシュの前後剛
性によってのみから決定される。
【0042】次に、キャスタ剛性(接地点S入力に対す
るキャスタ角変位量の比)について考える。ここで、ホ
ィールセンタWと各アーム3,9の車輪側取付け部3
a,9aまでの距離をそれぞれ2Rとし、ホィールセン
タWと接地点Sとの上下方向の距離を3Rと仮定する。
【0043】そして、車輪の接地点Sにブレーキ力F4
が車体前後方向に入力されると、アッパアーム3の車輪
側取付け部3aにF5 =F4 の力が入力され、ロアアー
ム9の車輪側取付け部9aにF6 =2F4 の力が入力さ
れて、いわゆるワインドアップモーメントMが発生す
る。これによって、各アーム3,9の車体側取付け部3
b,9bに設けられたブッシュに作用する力は、次に示
すような値となる。
【0044】アッパアーム3側 軸方向 : F4 /2 軸直角方向: F4 ロアアーム9側 軸方向力 : F4 軸直角方向: 2F4 このように、各アーム3,9に力が作用すると、両アー
ム3,9の車体側取付け軸L1,2 は上下方向の軸線P
周りに相対的に捻じれようとするが、本願実施例におい
ては、この捻じれに連結部材11が抵抗するために、各
アーム3,9における車体側取付け部分の剛性が、該連
結部材11の抵抗分だけ高く設定される。
【0045】ここで、上記連結部材11は、従来のよう
に上下両アーム3,9における車体側取付け部3b,9
bの前側取付け部同士及び拘束取付け部同士を別個の連
結部材11で結ばないで、一つの連結部材11で全部を
一体的に連結しているので、従来よりも車体前後方向の
拘束力が大きく、また、車体前後方向や上下方向に比べ
て車幅方向即ち厚さ方向は部材が薄いので、通常、車幅
方向に拘束力は上記車体前後方向の拘束力に比べて低
い。
【0046】このため、連結部材11の上下軸線P周り
の捻じり剛性が高く設定されているといっても、車幅方
向の剛性が特に高く設定される。従って、本願実施例の
車両用サスペンションにあっては、上記軸方向(車体前
後方向)の剛性が無限大と仮定可能となる。また、軸直
角方向の剛性は上記のように10Rと仮定する。(但
し、実際には軸直角方向の剛性も高くなる。) 従って、車体側取付け部3b,9bにおける車体前後方
向の変位が抑えられて、アッパアーム3の車輪側取付け
部3aには、下記に示す値の車体前方に向かう変位が発
生する。
【0047】 一方、 ロアアーム9の車輪側取付け部9aには、下記
に示す値の車体後方に向かう変位が発生する。
【0048】 このことから、接地点Sにブレーキ力F4 が入力された
際におけるキャスタ角の変化量は、次のような値とな
る。
【0049】 従って、キャスタ剛性は、次に示すような値となる。
【0050】 一方、比較のために、従来の車両用サスペンションのよ
うに、ワインドアップモーメントMに対して両アーム
3,9が相互に拘束しあうことがない場合には、上記の
ように、各ブッシュの軸方向剛性はR、軸直角方向の剛
性は10Rで表される。
【0051】従って、アッパアーム3の車輪側取付け部
3aには、次に示す変位が車体前後方向前方に向けて発
生する。 また、ロアアーム9の車輪側取付け部9aには、次に示
す変位が車体前後方向後方に向けて発生する。
【0052】 これから、従来における接地点Sにブレーキ力F4 が入
力された際におけるキャスタ角の変化量は、次のような
値となる。
【0053】 従って、従来の車両用サスペンションにおけるキャスタ
剛性は、次のようになる。
【0054】 以上のことから、上記のような仮定のもとでは、上記
(1)式及び(2)式から本願実施例の方が約3・5倍
もキャスタ角が高く設定されていることが分かる。
【0055】このように、ブッシュにおける前後方向の
剛性に関係なく、本願実施例のようにロアアーム9とア
ッパアーム3とを連結することで、キャスタ剛性が高く
設定可能となる。なお、上記実施例では、連結部材11
を弾性部材によって構成すると共に両アーム3,9を一
体的に連結しているので、両アーム3,9も弾性部材か
ら構成して、よりバネ作用を備えるようにしてもよい。
【0056】また、上記実施例では、連結部材11とし
て弾性部材を採用しているが、両アーム3,9も弾性部
材を使用すると共に連結部材11に鋼部材等の硬質の部
材を使用してもよい。さらに、上記実施例では連結部材
11と両アーム3,9を一体的に連結しているが、両ア
ーム3,9が上下に旋回可能で且つ車体前後方向に揺動
がないように連結してもよい。
【0057】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の車両
用サスペンションでは、サスペンションの車体前後方向
の剛性を低く設定すると同時に、キャスタ剛性を高く設
定することが可能となる。第3の連結部材としては、例
えば、請求項2に記載のように構成すればよい。
【0058】この場合には、第3の連結部材に所定の弾
性力を持たせながら上下軸周りの捻じり剛性を高く設定
可能となる。そして、例えば、第1の連結部材と第2の
連結部材と一体的に連結することで、上記効果以外に緩
衝用のバネ作用を持たせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例の車両用サスペンションの
基本構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1におけるA−A断面図である。
【図3】本発明に係る実施例の車両用サスペンションに
おける連結部材の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る実施例の車両用サスペンションに
おけるホィールセンタへの荷重入力状態を示す図であ
る。
【図5】本発明に係る実施例の車両用サスペンションに
おける車両接地点点への荷重入力状態を示す図である。
【図6】本発明に係る実施例の車両用サスペンションに
おけるワインドアープモーメント入力の際を示す概念図
である。
【符号の説明】
1 ナックル(車輪支持部材) 3 アッパアーム(第2の連結部材) 4 ブッシュ 9 ロアアーム(第1の連結部材) 11 連結部材(第3の連結部材) 11a 繊維の配向方向 13 車輪 S 接地点 F1 ホィールセンタへの荷重 F4 接地点へのブレーキ力 M ワインドアップモーメント W ホィールセンタ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪を支持する車輪支持部材と車体側部
    材とが、上下に対置してそれぞれ車幅方向に延在し、下
    部領域を構成する第1の連結部材と上部領域を構成する
    第2の連結部材とで連結され、その各連結部材はそれぞ
    れ車体前後方向に所定間隔だけあけて対置する二つの取
    付け部をもって車体側部材に連結されている車両用サス
    ペンションにおいて、第1の連結部材と第2の連結部材
    の全車体側取付け部若しくはその近傍を、上下に延在す
    る第3の連結部材で連結してなり、その第3の連結部材
    は、第1の連結部材及び第2の連結部材との連結点を入
    力点とした場合の上下方向に延びる軸線周りの剛性が高
    く設定されていることを特徴とする車両用サスペンショ
    ン。
  2. 【請求項2】 上記第3の連結部材は、繊維強化樹脂に
    よって作製されていて、その強化繊維の配向方向が、第
    2の連結部材の前側の車体取付け部との連結位置から第
    1の連結部材の後側の車体取付け部との連結位置に向け
    て延びると同時に、第2の連結部材の後側の車体取付け
    部との連結位置から第1の連結部材の前側の車体取付け
    部との連結位置に向けて延びてなることを特徴とする請
    求項1記載の車両用サスペンション。
JP3880394A 1994-03-09 1994-03-09 車両用サスペンション Pending JPH07246815A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3880394A JPH07246815A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 車両用サスペンション

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3880394A JPH07246815A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 車両用サスペンション

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07246815A true JPH07246815A (ja) 1995-09-26

Family

ID=12535461

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3880394A Pending JPH07246815A (ja) 1994-03-09 1994-03-09 車両用サスペンション

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07246815A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003500272A (ja) * 1999-05-20 2003-01-07 ランドル・エンジニアリング・ソリューションズ・リミテッド 車の懸架装置
KR20030034376A (ko) * 2001-10-23 2003-05-09 현대자동차주식회사 현가장치의 콘트롤 아암 취부구조
WO2011065376A1 (ja) * 2009-11-26 2011-06-03 有限会社スガイ総業 車両のサスペンション装置
JP2014524867A (ja) * 2011-07-22 2014-09-25 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト 4点式コントロールアーム
DE102018006651A1 (de) 2017-09-04 2019-03-07 Mazda Motor Corporation Aufhängungsvorrichtung für ein Fahrzeug und Verfahren zum Stützen bzw. Tragen eines Rades
GB2553640B (en) * 2016-06-30 2021-12-29 Arrival Ltd Vehicle suspension system
US11633996B2 (en) 2020-03-27 2023-04-25 Mazda Motor Corporation Suspension device for vehicle

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003500272A (ja) * 1999-05-20 2003-01-07 ランドル・エンジニアリング・ソリューションズ・リミテッド 車の懸架装置
KR20030034376A (ko) * 2001-10-23 2003-05-09 현대자동차주식회사 현가장치의 콘트롤 아암 취부구조
WO2011065376A1 (ja) * 2009-11-26 2011-06-03 有限会社スガイ総業 車両のサスペンション装置
JP2011111017A (ja) * 2009-11-26 2011-06-09 Sugai Sogyo:Kk 車両のサスペンション装置
JP2014524867A (ja) * 2011-07-22 2014-09-25 ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト 4点式コントロールアーム
US9555683B2 (en) 2011-07-22 2017-01-31 Zf Friedrichshafen Ag Four-point link
GB2553640B (en) * 2016-06-30 2021-12-29 Arrival Ltd Vehicle suspension system
DE102018006651A1 (de) 2017-09-04 2019-03-07 Mazda Motor Corporation Aufhängungsvorrichtung für ein Fahrzeug und Verfahren zum Stützen bzw. Tragen eines Rades
US10661624B2 (en) 2017-09-04 2020-05-26 Mazda Motor Corporation Suspension device for vehicle
US11633996B2 (en) 2020-03-27 2023-04-25 Mazda Motor Corporation Suspension device for vehicle

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6179328B1 (en) Vehicle rear suspension apparatus
KR100319580B1 (ko) 전방서스펜션
US7798507B2 (en) Vehicle suspension apparatus
JP2924306B2 (ja) 車輪独立懸架装置
JP3488989B2 (ja) フロントサスペンション装置
JPH1058932A (ja) 操舵輪用独立懸架式サスペンション
JPH11129717A (ja) フロントサスペンション装置
JPH08192611A (ja) 車両用懸架装置
JP2518349B2 (ja) 車輌用リヤサスペンション
JP3944907B2 (ja) 自動車のフロントサスペンション装置
US5102164A (en) Vehicle suspension mounting structure
JPH07246815A (ja) 車両用サスペンション
JP3122728B2 (ja) 自動車の車輪懸架装置
JP4366822B2 (ja) トレーリングアーム式リアサスペンション
JPH09263116A (ja) スタビライザ取付け構造
JP2002347648A (ja) 自動車のサスペンションクロスメンバ構造
JP4893428B2 (ja) 後輪用サスペンション装置
JP3138999B2 (ja) 自動車のサスペンション構造
JP3963069B2 (ja) 車両用リアサスペンション構造
JP3105073B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JPH11208233A (ja) 車両のサスペンション装置
JP2761044B2 (ja) 車両のサスペンション装置
JPH055682B2 (ja)
JP2627435B2 (ja) 自動車の懸架装置
JPH0525283Y2 (ja)