JPH07126516A - 芳香族ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリアミド樹脂組成物

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JPH07126516A
JPH07126516A JP27469193A JP27469193A JPH07126516A JP H07126516 A JPH07126516 A JP H07126516A JP 27469193 A JP27469193 A JP 27469193A JP 27469193 A JP27469193 A JP 27469193A JP H07126516 A JPH07126516 A JP H07126516A
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aromatic polyamide
acid
resin composition
polyphenylene ether
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JP27469193A
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Inventor
Kazuto Sugiyama
山 和 人 杉
Takemi Yoshida
田 竹 巳 吉
Eizo Sueoka
岡 英 三 末
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物は、テ
レフタル酸成分単位50〜100モル%と、これ以外の
芳香族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%および/ま
たは炭素原子数4〜20の脂肪族ジカルボン酸成分単位
0〜50モル%とからなるジカルボン酸成分単位と、脂
肪族ジアミン成分単位および/または脂環族ジアミン成
分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返し単位
から構成され、末端アミノ基含量が0.1ミリモル/g以
上であり、かつ30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が
0.5〜0.9dl/gである芳香族ポリアミド(a)、およ
び、ポリフェニレンエーテル(b)からなる。 【効果】 本発明の組成物から得られた成形体は、高温
における剛性に優れると共にウェルド強度が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、特に高温における剛性に
優れると共にウェルド強度が改善された成形体を得るこ
とができる芳香族ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来から、エンジニアリングプラ
スチックとしてナイロン6、ナイロン66あるいはナイ
ロン610のような脂肪族ポリアミド(ナイロン)が使
用されている。
【0003】このような脂肪族ポリアミドは、良好な成
形性を有するものの、ガラス転移温度が低く(例えばナ
イロン66のガラス転移温度は通常は60℃前後であ
る)、脂肪族ポリアミドは高温で使用するエンジニアリ
ングプラスチックとしては、必ずしも適しているとは言
えない。
【0004】ポリアミドとしては、上記脂肪族ポリアミ
ドの他に、ジカルボン酸成分が主として芳香族ジカルボ
ン酸である芳香族ポリアミドが知られている。芳香族ポ
リアミドは、耐熱性、耐薬品性、耐水性の点でナイロン
6,ナイロン66等の脂肪族ポリアミドよりも優れてい
るが、成形温度が高いため、射出成形などによって成形
する際に、射出成形された溶融体の降温速度(冷却速
度)が通常のポリアミドと比較して著しく大きく、この
ため結晶成長速度が遅くなり得られる成形体の結晶化度
が低くなってしまうという問題点があった。このように
成形体の結晶化度が低くなると、この成形体の耐熱剛性
が不足するという問題点が生じてしまう。
【0005】このような問題点を解決するため、上記の
ような耐熱性ポリアミド中にポリフェニレンエーテルを
添加することが考えられている。しかし、上記のような
耐熱性ポリアミドとポリフェニレンエーテルとからなる
組成物は、ポリフェニレンエーテルの流動性が低いこ
と、および、ポリフェニレンエーテルが耐熱性ポリアミ
ド中に均一に分散しにくく、その分散状態が粗大になる
ために、複数のゲートを有する金型のゲートから同時に
樹脂を射出して射出成形品を製造した際に、それぞれの
ゲートから注入された組成物が接合する部分であるウェ
ルドの強度が低くなるという問題点を有する。
【0006】自動車の機構構造部品等、大型の成形品を
射出成形によって製造する場合、金型には複数のゲート
を設けるのが通常であり、この場合、成形品にウェルド
が形成されることは避けられない。したがって、耐熱性
ポリアミドとポリフェニレンエーテルとからなる組成物
を用いて自動車機構構造部品等、射出成形体を製造する
には、こうしたウェルド強度の改善が不可欠である。
【0007】本発明者は、耐熱性ポリアミドとポリフェ
ニレンエーテルからなる組成物のウェルド強度を改良す
るための手法を鋭意検討した結果、特定範囲の分子量と
特定量の末端アミノ基を有する芳香族ポリアミドを用い
ることがウェルド強度の改良に有効であることを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0008】
【発明の目的】本発明は、芳香族ポリアミドの高温剛
性、ウェルド強度を改善することを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、(a) テレフタル酸成分単位50〜100モル%
と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位0
〜50モル%および/または炭素原子数4〜20の脂肪
族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とからなるジカ
ルボン酸成分単位と、脂肪族ジアミン成分単位および/
または脂環族ジアミン成分単位からなるジアミン成分単
位とからなる繰返し単位から構成され、末端アミノ基含
量(芳香族ポリアミド1g中における末端アミノ基含
量、本発明において同様)が0.1ミリモル/g以上で
あり、かつ30℃濃硫酸中で測定した極限粘度が0.0
3〜0.9dl/gである芳香族ポリアミド、および
(b)ポリフェニレンエーテルからなることを特徴とす
る。
【0010】上記のように特定の芳香族ポリアミドとポ
リフェニレンエーテルを含有する本発明の芳香族ポリア
ミド樹脂組成物から得られる射出成形体は、高温剛性と
ウェルド強度に優れている。
【0011】さらに、この組成物に繊維状充填材を配合
することにより、成形体の耐熱特性および機械的特性が
向上する。
【0012】
【発明の具体的説明】次に、本発明の芳香族ポリアミド
樹脂組成物について具体的に説明する。本発明の芳香族
ポリアミド樹脂組成物は、以下に示すような特定の芳香
族ポリアミドとポリフェニレンエーテルとからなる。
【0013】本発明の組成物を構成する芳香族ポリアミ
ドは、特定のジカルボン酸成分単位[A]と、特定の脂
肪族ジアミン成分単位[B]とからなる繰り返し単位か
ら構成されている。
【0014】このポリアミドを構成する特定のジカルボ
ン酸成分単位[A]は、必須成分単位としてテレフタル
酸成分単位(イ) を有している。このようなテレフタル酸
成分単位(イ) を有する繰返し単位は、次式[I]で表わ
すことができる。
【0015】
【化1】
【0016】ただし、上記式[I]において、R1 は、
後述するジアミン成分に対応する二価の炭素水素基を表
わす。
【0017】芳香族ポリアミドを構成する繰返し単位
は、全部が上記式[I]で表される成分単位である必要
はなく、上記のようなテレフタル酸成分単位(イ) の代わ
りに他のジカルボン酸成分単位を有するものであっても
よい。
【0018】このようなテレフタル酸成分以外の他のカ
ルボン酸成分単位には、テレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(ロ) と脂肪族ジカルボン酸成分単位
(ハ) とがある。
【0019】テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
分単位(ロ) の例としては、イソフタル酸成分単位、2-メ
チルテレフタル酸成分単位、ナフタレンジカルボン酸成
分単位およびビフェニルジカルボン酸単位を挙げること
ができる。本発明で使用される芳香族ポリアミドがテレ
フタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成分単位を有する場
合、このような成分単位としては、特にイソフタル酸成
分単位が好ましい。
【0020】このようなテレフタル酸以外の芳香族ジカ
ルボン酸成分単位(ロ)のうち、本発明において特に好ま
しいイソフタル酸成分単位を有する繰返し単位は、次式
[II]で表わすことができる。
【0021】
【化2】
【0022】ただし、上記式[II]において、R1は上
記式[I]におけるR1と同じ意味である。
【0023】さらに、脂肪族ジカルボン酸成分単位は、
通常は炭素原子数4〜20、好ましくは6〜12のアル
キレン基を有する脂肪族ジカルボン酸から誘導される。
このような脂肪族ジカルボン酸成分単位(ハ) を誘導する
ために用いられる脂肪族ジカルボン酸の例としては、コ
ハク酸、アジピン酸、アゼライン酸およびセバシン酸を
挙げることができる。
【0024】このポリアミドが脂肪族ジカルボン酸成分
単位を有する場合、このような成分単位としては、特に
アジピン酸成分単位が好ましい。
【0025】ジカルボン酸成分単位[A]を構成する他
のジカルボン酸成分単位として、脂肪族ジカルボン酸成
分単位(ハ)を含む繰返し単位を有する繰り返し単位は、
次式[III]で表わすことができる。
【0026】
【化3】
【0027】ただし、上記式[III]において、R1
上記1におけるR1と同じ意味であり、nは4〜20、
好ましくは6〜12の整数を表わす。
【0028】本発明の組成物を構成する芳香族ポリアミ
ドは、ジカルボン酸成分単位[A]と、ジアミン成分単
位[B]とから形成されている。
【0029】このジアミン成分単位[B]には、脂肪族
ジアミン成分単位と脂環族ジアミン成分単位とがある。
【0030】脂肪族ジアミン成分単位は、通常は炭素原
子数4〜18、好ましくは6〜18の脂肪族アルキレン
ジアミンから誘導される成分単位である。
【0031】このような脂肪族アルキレンジアミンの具
体例としては、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキ
サン、トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミ
ノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナ
ン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカンお
よび1,12-ジアミノドデカンを挙げることができる。
【0032】特に本発明においてジアミン成分単位とし
ては、直鎖脂肪族アルキレンジアミンから誘導された成
分単位が好ましく、このような直鎖脂肪族アルキレンジ
アミンとしては、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノ
オクタン、1,10-ジアミノデカン、1,12-ジアミノドデカ
ン、および、これらの混合物が好ましい。さらに、これ
らの中でも、1,6-ジアミノヘキサンが特に好ましい。
【0033】また、脂環族ジアミン成分単位は、通常は
炭素原子数3〜18、好ましくは6〜18の脂環族ジア
ミンから誘導される成分単位である。
【0034】このような脂環族ジアミンの具体的な例と
しては、シクロヘキシレンジアミン、ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)
メタン、4,4'- ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシ
ルメタン、1,3-ビス(アミノシクロヘキシル)メタンお
よび1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを挙げる
ことができる。
【0035】このようなジアミン成分は単独で使用する
こともできるし、組み合わせて使用することもできる。
【0036】本発明で使用される芳香族ポリアミドの全
ジカルボン酸成分(100モル%)中におけるテレフタ
ル酸成分単位(イ)の含有率は50〜100モル%、好ま
しくは60〜100モル%であり、テレフタル酸以外の
芳香族ジカルボン酸成分単位(ロ)の含有率は0〜50モ
ル%、好ましくは0〜40モル%であり、そして、脂肪
族ジカルボン酸成分単位(ハ)の含有率は0〜50モル
%、好ましくは0〜40モル%である。
【0037】なお、上記芳香族ポリアミドには、上記の
主成分単位であるテレフタル酸成分単位、さらにイソフ
タル酸成分単位に代表されるテレフタル酸以外の二価の
芳香族カルボン酸から誘導される成分単位および上述の
脂肪族ジカルボン酸成分単位を有する繰り返し単位の外
に、少量のトリメリット酸あるいはピロメリット酸のよ
うな三塩基性以上の多価カルボン酸成分単位を有する繰
返し単位を含有していてもよい。本発明で使用される芳
香族ポリアミド中におけるこのような多価カルボン酸か
ら誘導される成分単位を含む繰返し単位の含有率は、通
常は0〜5モル%である。
【0038】本発明で使用される芳香族ポリアミド
(a)は、さらに、この芳香族ポリアミド1g中の末端
アミノ基含量が0.1ミリモル/g以上であり、かつ3
0℃濃硫酸中で測定した極限粘度[η]が0.03〜0.9
dl/gであることが必要である。
【0039】芳香族ポリアミド(a)の末端アミノ基含
量が0.1ミリモル/gポリマー未満では、この芳香族
ポリアミドとポリフェニレンエーテルとからなる本発明
の樹脂組成物におけるポリフェニレンエーテルの分散状
態が不良となる。したがって、この組成物から得られる
射出成形品は、ウェルド強度が必要とされる程度にまで
は向上しない。また、芳香族ポリアミド(a)の末端ア
ミノ基含量が0.1ミリモル/gポリマー以上であって
も、30℃濃硫酸中で測定した極限粘度[η]が0.9d
l/gを超える場合は、この芳香族ポリアミドとポリフ
ェニレンエーテルとからなる樹脂組成物の流動性が低下
する。したがって、この組成物から得られる射出成形品
は、ウェルド強度が必要とされる程度にまでは向上しな
い。
【0040】さらに、末端アミノ基含量が0.1〜0.2
ミリモル/gであり、かつ30℃濃硫酸中で測定した極
限粘度[η]が0.7〜0.9dl/gである芳香族ポリア
ミドを使用することにより、ウェルド強度がより高い射
出成形体を得ることができる。
【0041】上記のような芳香族ポリアミド(a)は、
ポリアミドを製造するための種々の方法に準じて製造す
ることができる。
【0042】例えば、芳香族ジカルボン酸およびアジピ
ン酸をハライドにし、脂肪族アルキレンジアミンと均一
溶液中で重縮合させる溶液法、極性溶媒中に溶解させた
芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸のハライドと非極
性溶媒中に溶解させた脂肪族アルキレンジアミンとを界
面で縮合させる界面法などによって芳香族ポリアミド
(a)を製造することができる。また、溶融重合法ある
いは固相重合法により上記のような芳香族ポリアミドを
製造することもできる。
【0043】そして、この芳香族ポリアミドの末端アミ
ノ基含量を上記のように調整するためには、例えば、重
縮合の際に、脂肪族アルキレンジアミンの配合モル数
が、芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸の合計の配合
モル数よりも多くなるようにそれぞれの仕込み量を調整
する。特に、本発明では[脂肪族アルキレンジアミン/
(芳香族ジカルボン酸およびアジピン酸の合計の配合モ
ル数)]の値が、1.08〜1.15、好ましくは1.0
9〜1.12になるように仕込み量を調整することによ
り、ウェルド強度の高い成形体を製造可能な芳香族ポリ
アミドを得ることができる。
【0044】また、この芳香族ポリアミドの極限粘度
は、例えば反応系内に分子量調整剤等を配合してジカル
ボン酸とジアミンとの反応させることにより調整するこ
とができる。ここで使用される分子量調整剤としては、
モノカルボン酸およびモノアミン(例:第1アミンまた
は第2アミン)を使用することができる。
【0045】ここで使用されるモノカルボン酸の例とし
ては、炭素原子数2〜30の脂肪族モノカルボン酸、芳
香族モノカルボン酸および脂環族モノカルボン酸を挙げ
ることができる。なお、芳香族モノカルボン酸および脂
環族モノカルボン酸は、環状構造部分に置換基を有して
いてもよい。
【0046】脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリ
ル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノール酸
を挙げることができる。また、芳香族モノカルボン酸の
例としては、安息香酸、トルイル酸、ナフタレンカルボ
ン酸、メチルナフタレンカルボン酸およびフェニル酢酸
を挙げることができ、脂環族モノカルボン酸の例として
は、シクロヘキサンカルボン酸を挙げることができる。
【0047】モノアミンとしては、脂肪族、脂環族およ
び芳香族の第1アミンおよび第2アミンを用いることが
できる。ここで、第1および第2脂肪族モノアミンの例
としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミ
ン、ブチルアミン、へキシルアミン、デシルアミン、ス
テアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ
プロピルアミンおよびジブチルアミンを挙げることがで
きる。また、第1および第2芳香族モノアミンの例とし
ては、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミンおよび
ナフチルアミンを挙げることができ、さらに第1および
第2脂環族モノアミンの例としては、シクロへキシルア
ミンおよびジシクロへキシルアミンを挙げることができ
る。
【0048】このような分子量調整剤は、上述の芳香族
ジカルボン酸とジアミンとの反応の際に用いられる。こ
の分子量調整剤は、反応系におけるジカルボン酸成分1
モルに対して、通常は、0.0001〜0.05モル、好ましくは
0.0005〜0.02モルの量で使用される。このような量で分
子量調整剤を使用することにより、少なくともその一部
がポリアミド中に取り込まれ、これにより芳香族ポリア
ミドの分子量、即ち極限粘度が本発明で規定される範囲
内に調整される。
【0049】さらに反応時間、反応温度などを調整する
ことによっても、この芳香族ポリアミドの極限粘度を上
記範囲内に調整することもできる。
【0050】また、本発明で使用される芳香族ポリアミ
ドは、前記式[I]で表わされる繰返し単位を主な繰返
し単位とする芳香族ポリアミドと、前記式[II]およ
び、または前記式[III]で表わされる繰返し単位を主
な繰返し単位とする芳香族ポリアミドとからなる混合物
であってもよい。この場合、式[I]で表わされる繰返
し単位を主な繰返し単位とする芳香族ポリアミドの含有
率は、通常は50重量%以上、好ましくは60重量%以
上である。
【0051】本発明の組成物を構成する上記芳香族ポリ
アミドは、従来から使用されている脂肪族ポリアミドよ
りも高い融点を示す。すなわち本発明で使用される芳香
族ポリアミドの融点は通常は280℃以上、好ましくは
290〜340℃である。さらに、本発明で使用される
芳香族ポリアミドの非晶部におけるガラス転移温度は通
常は70℃以上である。
【0052】さらに、この芳香族ポリアミドは、非晶部
におけるガラス転移温度が70℃以上であるので、本発
明の組成物から形成される成形体を高温に晒した場合で
あってもクラック等が発生しにくい。
【0053】この芳香族ポリアミドは、従来の脂肪族ポ
リアミドと比較すると耐薬品性に優れ、吸水性が低く、
この芳香族ポリアミドとポリフェニレンエーテルとを含
む本発明の組成物は、極めて低い吸水率を示す。
【0054】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物を構
成するポリフェニレンエーテルは、式[IV]で表される
構造を有するポリフェニレンエーテルであり、さらに本
発明においてポリフェニレンエーテルは上記のような未
変性のポリフェニレンエーテルだけでなく、後述するよ
うな極性基含有変性ポリフェニレンエーテルをも内包す
る。
【0055】
【化4】
【0056】ただし、上記式[IV]中、R2、R3
4、R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、
アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミ
ノ基、フェノキシ基またはスルホン基であり、nは重合
度を示す正の整数である。
【0057】上記式[IV]において、nは20〜100
0が好ましい。
【0058】このような式[IV]で表されるポリフェニ
レンエーテルの例としては、ポリ-1,4-フェニレンエー
テル、ポリ-2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル、ポ
リ-2,6-ジエチル-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2,6-
ジプロピル-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2-メチル-6
-イソプロピル-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2,6-ジ
メトキシ-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2,6-ジクロロ
メチル-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2,6-ジフェニル
-1,4-フェニレンエーテル、ポリ-2,6-ジニトリル-1,4-
フェニレンエーテル、ポリ-2,6-ジクロル-1,4-フェニレ
ンエーテル、ポリ-2,5-ジメチル-1,4-フェニレンエーテ
ル等を挙げることができる。これらは単独で、あるいは
2種以上を混合して使用することができる。
【0059】これらのポリフェニレンエーテルついて3
0℃のクロロホルム中で測定した極限粘度[η]は、通常
は0.01〜5dl/g、好ましくは0.1〜3dl/g
である。
【0060】また、上記ポリフェニレンエーテルについ
て、サーモ・メカニカル・アナライザーで測定した軟化
温度(TMA)は、通常は100℃以上、好ましくは1
50〜250℃であり、ガラス転移温度(Tg)は、通
常は100℃以上、好ましくは150〜250℃であ
る。
【0061】本発明では、ポリフェニレンエーテルとし
て、上記のような未変性のポリフェニレンエーテルを使
用することもできるし、さらにこのポリフェニレンエー
テルとして、極性基を含有する変性ポリフェニレンエー
テルを使用することもできる。ここでポリフェニレンエ
ーテルに導入される極性基の例としては、カルボキシル
基、カルボン酸無水物基およびエポキシ基を挙げること
ができる。
【0062】このような極性基が導入されたポリフェニ
レンエーテル(極性基含有変性ポリフェニレンエーテ
ル)は、例えば、(イ)上記のような極性基を分子内に
有するビニル単量体を、ポリフェニレンエーテルにグラ
フト重合するか、あるいは、(ロ)多価カルボン酸ある
いはその酸無水物の酸クロリド、エピクロルヒドリン、
イソシアヌル酸モノクロリドのジグリシジルエステルな
どを、塩基触媒存在下、ポリフェニレンエーテルの末端
水酸基と反応させることによって合成することができ
る。
【0063】ポリフェニレンエーテルにカルボキシル基
を導入する際に用いられるカルボキシル基含有ビニル単
量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、フマール酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒ
ドロフタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-
ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸が用いられる。こ
れらのうち、特にフマール酸が好ましく用いられる。
【0064】またポリフェニレンエーテルにカルボン酸
無水物を導入するには、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビ
シクロ[2,2,1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水
物などが用いられる。これらのうち特に無水マレイン酸
が好ましく用いられる。
【0065】ポリフェニレンエーテルにエポキシ基を導
入する際に用いられる分子内にエポキシ基を有するビニ
ル単量体としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル
酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブ
テンジカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテンジカル
ボン酸モノグリシジルエステル、2-メチルアリルグリシ
ジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル-3,4-エポキ
シブテン、3,4-エポキシ-3-メチル-1-ブテン、ビニルシ
クロヘキセンモノオキシド、p-グリシジルスチレンなど
が挙げられ、これらのうち、メタクリル酸グリシジルが
好ましく用いられる。
【0066】極性基の導入に用いられる多価カルボン酸
の酸クロリドとしては、多価カルボン酸のカルボキシル
基の一部または全部が酸塩化物基である化合物であっ
て、たとえば、塩化テレフタロイル、塩化イソフタロイ
ル、塩化フタロイル、塩化オキサリル、塩化スクシニ
ル、塩化マロニル、トリメリット酸クロリド、無水トリ
メリット酸クロリドなどが用いられる。これらのうち、
無水トリメリット酸クロリドが好ましく用いられる。な
お、多価カルボン酸の酸クロリドを用いる場合、塩素受
容体、例えば金属酸化物を添加することが望ましい。
【0067】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物は、
上記のような芳香族ポリアミド(a)と、ポリフェニレ
ンエーテル(または極性基含有変性ポリフェニレンエー
テル)(b)とを含有している。本発明の芳香族ポリア
ミド樹脂組成物中に芳香族ポリアミド(a)と、ポリフ
ェニレンエーテル(b)とを、通常1:99〜99:
1、好ましくは20:80〜80:20の重量比で含有
している。
【0068】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物は、
上記のように芳香族ポリアミド(a)とポリフェニレン
エーテル(b)とを良好に混合するために、相溶化剤を
含有していてもよい。ここで使用される相溶化剤に特に
制限はなく、樹脂を混合する際に使用される通常の相溶
化剤を使用することができる。特に本発明では、相溶化
剤としてポリカルボン酸またはその誘導体の有効性が高
い。本発明で相溶化剤として好ましく使用されるポリカ
ルボン酸の例としては、クエン酸およびリンゴ酸を挙げ
ることができる。これらの相溶化剤は単独であるいは組
み合わせて使用することができる。このような相溶化剤
は、本発明の組成物を形成する樹脂成分100重量部に
対して、通常は0.01〜10重量部の量で使用され
る。
【0069】この相溶化剤は、ポリアミド(a)および
/またはポリフェニレンエーテル(b)中に添加混合し
て使用することもできるし、予めポリフェニレンエーテ
ル(b)中に上記相溶化剤を配合して、ポリフェニレン
エーテル(b)に、少なくとも一部の相溶化剤を反応さ
せた後に、このポリフェニレンエーテル(b)とポリア
ミド(a)とを混練してもよい。特に、このような相溶
化剤の使用は未変性のポリフェニレンエーテルを使用す
る場合に有用性が高い。
【0070】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物は、
上記のような芳香族ポリアミド(a)と、ポリフェニレ
ンエーテル(極性基含有変性ポリフェニレンエーテルを
含む)(b)とに加えて、さらに他の極性基含有重合体
(c)を含有していてもよい。
【0071】このような重合体(c)としては、具体的
には例えば、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレ
ン、アクリル酸グラフト変性エチレン-プロピレン共重
合体、無水マレイン酸グラフト変性水添スチレン-ブタ
ジエン-スチレンブロック共重合体、エチレン-アクリル
酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、スチレ
ン無水マレイン酸共重合体、エチレン-グリシジルメタ
クリレート-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアル
コール共重合体などを用いることができる。
【0072】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物が上
記のような重合体(c)を含有する場合、上述した芳香
族ポリアミド(a)およびポリフェニレンエーテル
(b)の合計量100重量部に対して、重合体(c)を
5〜50重量部の量で用いることが好ましい。
【0073】このような重合体(c)を芳香族ポリアミ
ド樹脂組成物中に配合することによって、樹脂組成物の
耐衝撃性を高めることができる。
【0074】さらに、本発明の樹脂組成物には、組成物
の特性を損なわない範囲内で、上記(a)成分および
(b)成分、さらに必要により配合される(c)成分の
他に、耐熱安定剤、難燃剤、耐候安定剤、帯電防止剤、
スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤剤、滑剤、
染料、顔料、天然油、合成油およびワックスなどを配合
することができ、その配合割合は適宜量である。
【0075】また、本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成
物には、繊維状充填材を配合することが好ましい。
【0076】ここで使用される繊維状充填材には、有機
繊維および無機繊維があり、本発明においてはいずれを
も使用することができるが、特に無機繊維からなる繊維
状充填材を使用することが好ましい。さらにこのような
無機繊維の好適な例としては、ガラス繊維およびホウ素
繊維を挙げることができる。このような繊維状の充填材
としては特にガラス繊維が好ましい。ガラス繊維を使用
することにより、本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物
から形成される成形体の引張り強度、曲げ強度、曲げ弾
性率等の機械的特性および熱変形温度などの耐熱特性が
向上する。繊維状充填材としてガラス繊維を使用する場
合には、使用されるガラス繊維の平均長さが、通常は
0.1〜20mm、好ましくは0.3〜6mmの範囲にあり、
アスペクト比が、通常は10〜2000、好ましくは3
0〜600の範囲にあるものが好適に使用される。この
ようなガラス繊維を配合することにより、本発明の組成
物の成形性が向上すると共に、熱変形温度などの耐熱特
性、引張り強度、曲げ強度等の機械的特性が特に良好な
成形体を得ることができる。
【0077】本発明の組成物に繊維状充填材を配合する
場合に、繊維状充填材は、組成物中の芳香族ポリアミド
とポリフェニレンエーテルとの合計重量100重量部に
対して、通常0.5〜200重量部の範囲内、好ましく
は5〜180重量部の範囲内、さらに好ましくは5〜1
50重量部の範囲内の量で配合される。
【0078】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物に
は、上記の無機繊維状の充填材の他、本発明において
は、粉末状、粒状、板状、針状、クロス状、マット状等
の形状を有する種々の充填材を使用することができる。
このような充填材の例としては、シリカ、シリカアルミ
ナ、アルミナ、二酸化チタン、ケイソウ土、クレー、カ
オリン、ガラス、マイカ、セッコウ、ベンガラ、酸化亜
鉛などの粉状あるいは板状の無機化合物、ポリパラフェ
ニレンテレフタルアミド、ポリメタフェニレンテレフタ
ルアミド、ポリパラフェニレンイソフタルアミド、ポリ
メタフェニレンイソフタルアミド、ジアミノジフェニル
エーテルとテレフタル酸(および/またはイソフタル
酸)との縮合物、パラ(メタ)アミノ安息香酸の縮合物
などの全芳香族ポリアミド、ジアミノジフェニルエーテ
ルと無水トリメリット酸または無水ピロメリット酸との
縮合物などの全芳香族ポリアミドイミド、全芳香族ポリ
エステル、全芳香族ポリイミド、ポリベンツイミダゾー
ル、ポリイミダゾフェナントロリンなどの複素環含有化
合物、ポリテトラフルオロエチレンなどから形成されて
いる粉状、板状、繊維状あるいはクロス状物などの二次
加工品などを挙げることができる。
【0079】これらの充填材は、2種以上混合して使用
することもできる。また、これらの充填材をシランカッ
プリング剤あるいはチタンカップリング剤などで処理し
て使用することもできる。なお、このような粉末状の充
填材の平均粒径は、通常0.1〜200μm、好ましく
は1〜100μmの範囲内にある。
【0080】このような粉末状の充填材は、芳香族ポリ
アミドとポリフェニレンスルフィドとの合計、すなわち
一般には組成物中の樹脂成分100重量部に対して、通
常200重量部以下の量で、好ましくは100重量部以
下の量で、特に好ましくは0.5〜50重量部の量で使
用される。
【0081】また、本発明の樹脂組成物には、本発明の
組成物の特性を損なわない範囲内で、耐熱性樹脂を配合
することもできる。このような耐熱性樹脂の例として
は、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PES(ポ
リエーテルスルフォン)、PEI(ポリエーテルイミ
ド)およびLCP(液晶ポリマー)などを挙げることが
でき、さらにこれらの樹脂の変性物を挙げることができ
る。このような耐熱性樹脂の含有率は、通常は50重量
%未満、好ましくは0〜40重量%である。
【0082】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物の製
造する際の混練方法には特に制限はなく、例えば、それ
ぞれペレット状の芳香族ポリアミド(a)とポリフェニ
レンエーテル(b)、さらに所望により添加される他の
成分とを予めドライブレンドした後、シリンダ温度30
0〜360℃に加熱した押出機にて溶融混練する方法、
押出機の前段でポリフェニレンエーテル(b)および所
望により添加される他の成分を溶融状態にしておきシリ
ンダ中間部に設けたホッパーよりペレット状の芳香族ポ
リアミド(a)を添加しさらに混練する方法、押出機の
前段で芳香族ポリアミド(a)を溶融状態にしておきシ
リンダ中間部に設けたホッパーよりポリフェニレンエー
テル(b)および所望により添加される他の成分を添加
しさらに混練する方法等を挙げることができる。ここで
混練装置としては、押出機のほか、ニーダーなども用い
ることができる。
【0083】上記のような本発明の芳香族ポリアミド樹
脂組成物は、通常の溶融成形法、例えば圧縮成形法、射
出成形法、または押出成形法などによって成形すること
ができる。
【0084】上記のようにして得られる芳香族ポリアミ
ド樹脂組成物は、芳香族ポリアミド(a)とポリフェニ
レンエーテル(b)とを含有するため、芳香族ポリアミ
ドの諸特性を維持したまま、さらに耐熱性、電気特性、
成形性に優れており、また、芳香族ポリアミドとして特
定の重合度と末端アミノ基含量を有する芳香族ポリアミ
ドを用いるため、この樹脂組成物の射出成形品のウェル
ド強度に優れている。
【0085】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物は、
通常の成形法により成形され、従来の芳香族ポリアミド
の用途の他にも、特に優れた成形性と共に優れた表面平
滑性が求められる分野、あるいは精密成形性が要求され
る分野に広く使用することができる。
【0086】本発明の樹脂組成物の用途の例を挙げる
と、エンジンマウントブラケット、シリンダーヘッドカ
バー等の自動車機構構造部品;電動工具、OA機器、カ
メラ、ポンプ等のハイウジング類;シャーシ類;精密機
器部品;インストゥルメンタルパネル、ラジエータグリ
ル、クラスターグリル、コンソールボックス、ガーニッ
シュ、ホイルカバー、コラムカバー、フェンダー、ボン
ネット、トランク等の自動車外装材;コネクタ、コイル
ボビン、スイッチケース等の電子部品;カバー類;ボト
ル類;シート、キャストフィルム、二軸延伸フィルム、
多層フィルムなどのフィルム類;押し出し発泡体、イン
ジェクション発泡体など発泡体類を挙げることができ
る。
【0087】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリアミド樹脂組成物
は、特定の芳香族ポリアミドと、ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂とを含有しているので、特に熱変形温度、高温
剛性などの熱特性に優れると同時に、この樹脂組成物か
ら得られる射出成形品のウェルド強度に優れる。
【0088】
【実施例】次に本発明の実施例を示して本発明をさらに
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定
的に解釈されるべきではない。
【0089】
【製造例1】1,6-ジアミノヘキサン286.1g(2.4
6モル)と、テレフタル酸205.6g(1.24モル)
およびアジピン酸148.0g(1.01モル)と、分子
量調節剤として安息香酸3.43g(2.81×10ー2
ル)と、触媒である次亜リン酸ナトリウム0.48g
(4.50×10-3モル)と、イオン交換水62mlと
を、容量1リットルの反応器に仕込み、窒素置換後、2
50℃、35Kg/cm2の条件で1時間反応させた。テレ
フタル酸とアジピン酸とのモル比(仕込み量)は55:
45である。
【0090】1時間経過後、この反応器内に生成した反
応生成物を、この反応器と連結され、かつ圧力を約10
Kg/cm2低く設定した受器に抜き出し、極限粘度(30
℃濃硫酸中で測定、以下同様)[η]が0.15dl/gの
ポリアミド前駆体560gを得た。
【0091】次いで、このポリアミド前駆体を乾燥し、
得られた乾燥物を二軸押出機に供給して、シリンダー設
定温度330℃で溶融重合して芳香族ポリアミドを得
た。この芳香族ポリアミドの物性は次の通りである。
【0092】極限粘度[η]=0.76dl/g 末端アミノ基含量(メタクレゾール溶液中、パラトルエ
ンスルホン酸による滴定値)=0.183ミリモル/g
ポリマー 融点=312℃ ガラス転移点=80℃。
【0093】
【製造例2〜5】1,6-ジアミノヘキサンの仕込量を表1
に示す量に変えた以外は製造例1と同様にして芳香族ポ
リアミドを得た。これらの芳香族ポリアミドの物性を表
1に併せて示す。
【0094】
【表1】
【0095】
【製造例6】2,6-ジメチル-1,4-ポリフェニレンエーテ
ル[極限粘度:IV=0.5dl/g(30℃クロロホルム
中で測定)]100重量部に、無水マレイン酸1重量部
と2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシ
ン-3(日本油脂(株)製パーヘキシン25B)0.06重
量部とをアセトン0.6重量部に溶解させた溶液を加
え、混合した後、二軸押出機(池貝鉄工(株)製PCM-
45)を用いて次の条件で溶融混練し、無水マレイン酸
変性ポリフェニレンエーテルを得た。
【0096】シリンダ設定温度 350℃ スクリュ回転数 250rpm フィード速度 250g/min。
【0097】
【実施例1および比較例1〜6】製造例1〜5で得た芳
香族ポリアミドと、製造例6で得た無水マレイン酸変性
ポリフェニレンエーテルと、耐熱安定剤とを表2に示す
重量比にてドライブレンドした後、二軸押出機((株)プ
ラスチック工学研究所製BT-30)を用いて次の条件
で溶融混練し、芳香族ポリアミド樹脂組成物を得た。
【0098】シリンダ設定温度 320℃ スクリュ回転数 150rpm フィード速度 100g/min。
【0099】
【表2】
【0100】このようにして得られた芳香族ポリアミド
樹脂組成物のペレットを射出成形機[東芝機械製,IS
-55EPN]を用いて、下記の条件で試験片を射出成
形した。
【0101】[射出成形条件]シリンダー温度:320
℃ 射出圧力:1次/2次=1000/800kg/cm2 金型温度:70℃。
【0102】上記試験片について、曲げ特性、アイゾッ
ト衝撃強度、流動性、ウェルド強度を下記の方法に従っ
て評価した。
【0103】[評価方法]曲げ特性:ASTM D790に準じ
てサイズ3.2mm×12.7mm×127mmの試験片を用
い、曲げ試験を行って曲げ弾性率を求めた。
【0104】アイゾット衝撃強度(ノッチ有り):ASTM
D256に準拠した。 流動性:スパイラルフロー値にて評価した。
【0105】ウェルド強度:2カ所にゲートを設けた金
型を使用して、試験片の中央部位にウェルドのあるASTM
D638 1号試験片(厚さ3mm)を作成した。この試験片
について、チャック間距離=115mm、引張り速度5mm
/minの条件で引張り強度を測定した。また、比較のた
めに、同じ金型の2カ所のゲートの内の1つを塞いでウ
ェルドのない試験片を作成し、同様の条件で引張り強度
を測定した。
【0106】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ウェルド強度の測定に用いた試験片
を模式的に示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) テレフタル酸成分単位50〜10
    0モル%と、テレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸成
    分単位0〜50モル%および/または炭素原子数4〜2
    0の脂肪族ジカルボン酸成分単位0〜50モル%とから
    なるジカルボン酸成分単位と、 脂肪族ジアミン成分単位および/または脂環族ジアミン
    成分単位からなるジアミン成分単位とからなる繰返し単
    位から構成され、末端アミノ基含量が0.1ミリモル/
    g以上であり、かつ30℃濃硫酸中で測定した極限粘度
    が0.5〜0.9dl/gである芳香族ポリアミド、 および(b)ポリフェニレンエーテルからなる芳香族ポ
    リアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記芳香族ポリアミド樹脂組成物が、芳
    香族ポリアミド(a)とポリフェニレンエーテル(b)
    とを1:99〜99:1の重量比で含有することを特徴と
    する請求項第1項記載の芳香族ポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記芳香族ポリアミド樹脂組成物が、芳
    香族ポリアミド(a)とポリフェニレンエーテル(b)
    との合計量100重量部に対して、0.5〜200重量
    部の繊維状充填材を含有することを特徴とする請求項第
    1項もしくは第2項記載の芳香族ポリアミド樹脂組成
    物。
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