JPH0645077Y2 - ダンパ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車エンジンのクランクシャフトなど各種
の回転駆動系に生起される振動を吸収減衰するダンパの
改良に関するものである。

〔従来の技術〕

従来から、ダンパの一種として、第８図に示すように、
自動車エンジンのクランクシャフトの端部にボルト止め
される円環形のハブ（１）を有し、該ハブ（１）のリム
部（1a）の内外周のそれぞれにダンパ部（２）（３）を
設けてなるダブルマス型のトーショナルダンパが知られ
ているが、本考案は、このうち、ハブ（１）と内周側の
ダンパ部（２）に関するものである。内周側のダンパ部
（２）は、ハブ（１）に取り付けられた環状の取付プレ
ート（４）と、該プレート（４）に弾性体（５）を介し
て接続された環状の質量体（６、マスまたは振動リング
とも称する）とを有し、取付プレート（４）を複数の取
付ボルト（７、図では１個のみ示している）をつかって
ハブ（１）に取り付けている。弾性体（５）は所定のゴ
ム、ハブ（１）、取付プレート（４）および質量体
（６）はそれぞれ所定の金属によって成形され、とくに
取付プレート（４）は板金によってプレス成形されてい
る。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記ダンパは、自動車エンジンのクランクシャフトに対
し一種の共振系を構成して該シャフトに生じる振動を吸
収するものであるが、前記取付プレート（４）を複数の
取付ボルト（７）をつかってハブ（１）に取り付けるも
のであることから、取付作業に手間と時間がかかり、ボ
ルト（７）の費用が嵩み、ボルト（７）を取り付けるス
ペースが必要となって当該ダンパが径方向に大型化する
問題がある。また図示したように屈曲形成された取付プ
レート（４）の一部（外径側部分）がハブ（１）の側壁
（1b）から離れた状態となるため、回転時にこの部分が
細かく震えて放射音を発生させる問題がある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題
を解消することを目的とするもので、この目的を達成す
るため、第１請求項に示すように、シャフトの端部にボ
ルト止めされるハブと、前記ハブに取り付けられる取付
プレートと、前記プレートに弾性体を介して接続された
質量体とを有するダンパにおいて、前記プレートが、そ
の外径縁部を前記ハブに設けた凹段部にインロー嵌合さ
れ、その内径縁部を前記ハブと前記ボルト頭の間に挟着
されるものであることを特徴とするダンパを提供する。

第２請求項によるダンパは、上記第１請求項を引用し
て、前記プレートが、前記ハブの側壁部に全面密着され
るものであることを特徴とする。

また第３請求項によるダンパは、同じく第１請求項を引
用して、前記プレートと前記ハブの側壁部の間にゴムリ
ング、ゴムビードまたはゴムシートなどの吸音材を介装
したものである。

〔作用〕

上記したように、ハブはもともとシャフトの端部にボル
ト止めされるようになっており、このボルトをつかって
ハブをシャフトに装着する際にハブとボルト頭の間に取
付プレートを挟み込めば、上記専用の取付ボルト（７）
を用いなくても取付プレートをハブに取り付けることが
できる。また、この取り付けに際して取付プレートをハ
ブの側壁部に全面密着させたり、取付プレートとハブの
側壁部の間に吸音材を介装することにより取付プレート
の震れを抑えて放射音の発生を防止することができる。

〔実施例〕 つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明する。

第１図に示すダンパは、自動車エンジンのクランクシャ
フト（11）の端部にクランクプーリボルト（12）をつか
って装着された円環形のハブ（１）と、前記ハブ（１）
に取り付けられた環状の取付プレート（４）と、前記取
付プレート（４）に弾性体（５）を介して接続された環
状の質量体（６）とを有し、前記取付プレート（４）
は、その外径縁部（4a）を前記ハブ（１）に設けた凹段
部（1c）にインロー嵌合されるとともにその内径縁部
（4b）を前記ハブ（１）と前記ボルト（12）頭の間に挟
着されている。弾性体（５）は所定のゴム、ハブ
（１）、取付プレート（４）および質量体（６）はそれ
ぞれ所定の金属によって成形され、とくに取付プレート
（４）は板金によってプレス成形されている。

第２図は上記ダンパをボルト（12）締めする前の状態を
示し、この状態において、略平板状に成形した取付プレ
ート（４）の内径縁部（4b）には、環状の、または放射
状の湾曲凸部（4c）が形成されており、一種の板ばねと
して働くこの湾曲凸部（4c）をボルト（12）締めに際し
て押し潰すことにより、取付プレート（４）をハブ
（１）の側壁部（1b）に全面密着させて放射音の発生を
防止する。また、この構造によれば、従来技術のように
専用の取付ボルト（７）を用いなくても取付プレート
（４）を取り付けることができ、取付作業の手間と時間
を省き、ボルト（７）の費用を節約し、当該ダンパを径
方向に小型化することができる。

第３図および第４図は本考案の第２実施例として、ハブ
（１）の側壁部（1b）をテーパ状に成形し、この側壁部
（1b）に平板状の取付プレート（４）を全面密着させた
ものを示しており、上記第１実施例と同様な効果を奏す
ることができる。

取付プレート（４）の震えを抑えて放射音の発生を防止
するためには、該取付プレート（４）をハブ（１）の側
壁部（1b）に全面密着させることの外に、また全面密着
とともに、該取付プレート（４）とハブ（１）の側壁部
（1b）の間にゴムリング（８）（第５図）、ゴムビード
（９）（第６図）またはゴムシート（10）（第７図）な
どの吸音材を介装するのが有効であって、これらのゴム
材を介装することにより泥水の侵入を防止することもで
きる。

〔考案の効果〕

本考案のダンパは以上説明したように、取付プレートを
インローとハブ用ボルトの締め付けによって取り付ける
ようにしたもので、従来技術における専用の取付ボルト
をなくしたため、取付作業の手間と時間を省き、ボルト
の費用を節約し、当該ダンパを径方向に小型化すること
ができる。また取り付けに際して取付プレートをハブの
側壁部に全面密着させたり、取付プレートとハブの側壁
部の間に吸音材を介装することにより、取付プレートの
震れを抑えて放射音の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例に係るダンパの装着状態を
示す半裁断面図、第２図はボルトによる締め込み前の状
態を示す半裁断面図、第３図は本考案の第２実施例に係
るダンパの装着状態を示す半裁断面図、第４図はボルト
による締め込み前の状態を示す半裁断面図、第５図は本
考案の第３実施例に係るダンパの半裁断面図、第６図は
本考案の第４実施例に係るダンパの要部断面図、第７図
は本考案の第５実施例に係るダンパの要部断面図、第８
図は従来例に係るダンパの半裁断面図である。 （１）ハブ、（1a）リム部、（1b）側壁部 （1c）凹段部、（２）（３）ダンパ部 （４）取付プレート、（4a）外径縁部 （4b）内径縁部、（4c）湾曲凸部、（５）弾性体 （６）質量体、（７）取付ボルト （８）ゴムリング、（９）ゴムビード （10）ゴムシート、（11）クランクシャフト （12）クランクプーリボルト

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シャフト（11）の端部にボルト（12）止め
   されるハブ（１）と、前記ハブ（１）に取り付けられる
   取付プレート（４）と、前記プレート（４）に弾性体
   （５）を介して接続された質量体（６）とを有するダン
   パにおいて、前記プレート（４）が、その外径縁部（4
   a）を前記ハブ（１）に設けた凹段部（1c）にインロー
   嵌合され、その内径縁部（4b）を前記ハブ（１）と前記
   ボルト（12）頭の間に挟着されるものであることを特徴
   とするダンパ。
2. 【請求項２】前記プレート（４）が、前記ハブ（１）の
   側壁部（1b）に全面密着されるものであることを特徴と
   する第１項記載のダンパ。
3. 【請求項３】前記プレート（４）と前記ハブ（１）の側
   壁部（1b）の間にゴムリング（８）、ゴムビード（９）
   またはゴムシート（10）などの吸音材を介装してなるこ
   とを特徴とする第１項記載のダンパ。