JPH0451230Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） 本考案は、車両のサスペンシヨン用アツパサポ
ートにおける車体への取付部に介装せしめられ
て、かかるアツパサポートの車体に対する取付強
度および耐久性を有利に且つ安定して確保せしめ
得るダストシールに関するものである。

（背景技術） 従来から、ストラツト型や４リンク型等の自動
車のサスペンシヨン機構において、車輪を支持す
る車軸乃至はアームと車体との間に配される、シ
ヨツクアブソーバを内蔵した緩衝器の車体に対す
る取付部には、通常、アツパサポートが介装せし
められている。かかるアツパサポートは、緩衝器
を通じての車輪側からの車体に対する振動の伝達
の抑制等を目的として装着されるものであつて、
一般に、緩衝器のピストンロツドが取り付けられ
る内筒金具と、該内筒金具の外側に配されて、径
方向外方に延びる外フランジ部を備えた、車体側
に取り付けられる外筒金具とが、それらの間に介
装された弾性体によつて一体的に連結せしめられ
てなる構造とされている。

そして、このようなアツパサポートの車体側へ
の取付けは、通常、外筒金具における外フランジ
部の一方の面が車体側に当接する状態で、該外フ
ランジ部の周方向複数箇所において、車体側にボ
ルト固定せしめられることによつて為されること
となり、またかかるアツパサポートの外フランジ
部と車体との取付面間には、該取付面間の隙間か
らの泥水等の侵入を防止すべく、一般に、それら
外フランジ部と車体との間で挟圧されることによ
り、そられ両部材間をシールする環状のダストシ
ールが介装せしめられることとなる。

一方、このようなアツパサポートにあつては、
車輪側との間に配される緩衝器やコイルスプリン
グ等を通じて、極めて大きな荷重乃至は振動が及
ぼされることとなるために、車体に対する取付部
に緩みやガタがあると、その外フランジ部に割れ
が発生したり、異音が生じるといつた不具合が惹
起され易く、それ故かかるアツパサポートの車体
への取付部位には充分な取付強度と耐久性とが要
求されるのである。

そこで、従来では、外筒金具の外フランジ部や
車体側の取付面における加工誤差等に起因するガ
タツキを防止するために、例えば、かかる外フラ
ンジ部の複数箇所に設けられた、前記車体側への
ボルト固定部の周りを、それぞれ、取付面側（車
体側）に僅かに突出せしめることにより、それら
の各固定部が、車体側に対してより確実に当接せ
しめられ得るようにされている。

或いはまた、かかる外フランジ部における隣り
合う固定部間を、それぞれ取付面側に僅かに湾曲
せしめて、各固定部間を、車体側に対して弾性的
に当接せしめることにより、その取付強度の向上
と緩みの防止とを図ることも考えられている。

しかしながら、このように外筒金具の外フラン
ジ部に対して突出部分や湾曲部を設けるには、金
型形状が複雑となるために、製造コスト的に好ま
しくなく、また精度確保も難しかつたのであり、
有効な解決手段とは言い難かつたのである。

（解決課題） ここにおいて、本考案は、上述の如き事情を背
景として為されたものであつて、その解決課題と
するところは、車両のサスペンシヨン用アツパサ
ポートの車体に対する取付強度および耐久性が有
利に且つ安定して確保せしめ得るべく改良され
た、アツパサポートと車体との間に介装される新
規なダストシールを提供することにある。

（解決手段） そして、かかる課題を解決すべく、本考案にあ
つては、径方向に所定距離を隔てて配された内筒
金具と外筒金具とが、それらの間に介装されたゴ
ム弾性体によつて一体的に連結されてなる構造を
有し、かかる外筒金具に設けられた外フランジ部
の周方向複数箇所において、該外フランジ部の一
方の面が車体側に当接する状態で、車体側にボル
ト固定せしめられることにより、前記内筒金具に
取り付けられる緩衝器を車体側に防振支持せしめ
るサスペンシヨン用アツパサポートにおいて、そ
の外筒金具における前記外フランジ部と車体との
間に介装されて、それらアツパサポートと車体と
の間をシールするダストシールであつて、前記外
フランジ部における車体側への取付面上の内周側
部分に装着されて、それら外フランジ部と車体と
の間で挟圧せしめられる環状の弾性シート部と、
該弾性シール部の外周縁部から径方向外方に向か
つて所定幅で一体的に延出形成されて、かかる外
フランジ部の複数個所に設けられた前記車体側へ
のボルト固定部間における周方向の各中央部にお
いて、それぞれ、該外フランジ部と車体との間で
挟圧せしめられる薄肉の弾性シート部とを有して
いることを、その特徴とするものである。

（作用・効果） すなわち、このような本考案に係るダストシー
ルにあつては、アツパサポートの車体に対する取
付部位に介装されて、隙間からの泥水等の侵入を
防止すべく、従来から用いられているダストシー
ルに対して、車体側にボルト固定せしめられる外
フランジ部における各固定部間において、該外フ
ランジ部と車体との間で挟圧せしめられる弾性シ
ート部を、一体的に設けてなるものである。

そして、このようなダストシールを用いること
によつて、アツパサポートの外フランジ部が、そ
のボルト固定部のみならず、それらの固定部間に
おいても該ダストシールの弾性シート部を介し
て、車体側に当接せしめられ得るところから、そ
の取付時の当接面が有利に確保され得ると共に、
該弾性シート部や外フランジ部の弾性力によつ
て、ボルトの緩みやガタの発生が良好に防止され
得、以てかかるアツパサポートの取付強度および
耐久性の向上が効果的に図られ得るのである。

また、かかる弾性シート部は、アツパサポート
と車体との取付面間をシールするダストシールと
して、弾性シール部と一体的に構成されているこ
とから、特別な部品点数の増加を伴うものではな
く、また製造も極めて容易であり、それ故、上述
の如き効果が、低コスト性とすぐれた製作性とを
もつて有利に実現され得る点にも、本考案の大き
な特徴が存するのである。

（実施例） 以下、本考案を更に具体的に明らかにするため
に、本考案の一実施例について、図面を参照しつ
つ、詳細に説明することとする。

先ず、第１図及び第２図には、本考案に従う構
造とされたダストシールが装着されてなる、サス
ペンシヨン用アツパサポート１２が示されてい
る。これらの図において、１４は、内筒金具であ
つて、小径部１６と大径部１８とから成る段付円
筒形状の内金具２０と、該内金具２０の段付部の
外周面上に一体的に溶着されて、大径部１８の外
側に位置せしめられたテーパ筒状の外金具２２と
によつて構成されている。

また、かかる内筒金具１４を構成する内金具２
０には、大径部１８内において、ベアリング２４
が嵌入せしめられ、該大径部１８の開口端部がロ
ールカシメされることによつて、その外輪２６が
大径部１８に対して固定的に取り付けられてい
る。そして、図示はされていないが、かかるベア
リング２４の内輪２８に対して、緩衝器のピスト
ンロツドが挿通されて、ボルト等によつて固定さ
れるようになつており、それによつて、かかる緩
衝器のピストンロツドが、内金具２０、延いては
内筒金具１４に対して、軸心回りに相対回転可能
に且つ軸方向相対移動不能に取り付けられること
となるのである。

また一方、第１図及び第２図に示されているよ
うに、上述の如き内筒金具１４の径方向外側に
は、外筒金具３０が配置せしめられている。この
外筒金具３０は、軸方向に重ね合わせられた上側
筒金具３２及び下側筒金具３４によつて構成され
ており、全体として、軸方向一方の側に向かつて
次第に拡径するテーパ筒形状をもつて形成されて
いると共に、その軸方向中央部に位置する上下筒
金具３２，３４の重ね合わせ部分において、径方
向外方に拡がる外フランジ部３６を有している。

そして、このような外筒金具３０は、前記内筒
金具１４の径方向外側において、所定距離を隔て
て同心上に位置し、そのテーパ状内周面が、内筒
金具１４の外金具２２のテーパ状外周面に対して
略平行に対向する状態で、軸方向に所定距離偏倚
して配置せしめられている。

また、かかる配置状態下において、内筒金具１
４と外筒金具３０との間には、全体として略円筒
形状を呈するゴム弾性体３８が介装されており、
該ゴム弾性体３８の内周面に内筒金具１４が、外
周面に外筒金具３０が、それぞれ、加硫接着せし
められることにより、それら内筒金具１４と外筒
金具３０とが、一体的に且つ弾性的に連結せしめ
られているのである。

そして、このような構造とされたアツパサポー
ト１２にあつては、その外筒金具３０の外フラン
ジ部３６において、周方向に略等間隔に３個の取
付孔４０が設けられており、それらの取付孔４０
内に挿通される取付ボルト４２によつて、かかる
外フランジ部３６の上側面４４が車体（図示せ
ず）の取付面に当接する状態で、かかる外筒金具
３０が車体に対して固定的に取り付けられるよう
になつている。

すなわち、かかる外筒金具３０が車体に対して
取り付けられることによつて、前記内筒金具１４
に取り付けられた緩衝器にピストンロツドが、ベ
アリング２４およびゴム弾性体３８を介し、車体
に対して、弾性的に且つ軸心回りに回転可能に防
振連結せしめられることとなるのである。

そして、上述の如き構造とされたアツパサポー
ト１２に対して、その取付時に車体側に当接せし
められることとなる外フランジ部３６の上側面４
４上に、ダストシール４８が装着せしめられてい
るのである。

このダストシール４８は、第３図及び第４図に
も示されているように、所定のゴム材料を用い
て、別途形成されたものであつて、全体として略
円環形状を呈している。

そして、かかるダストシール４８の内周側部分
は、前記外筒金具３０における外フランジ部３６
の内周縁部分に対応した内外径を有する円環板形
状のシール部５０として形成されている。即ち、
かかるシール部５０は、第１図及び第２図に示さ
れている如く、外フランジ部３６の上側面４４上
に載置状態下に装着せめられ、上述の如きアツパ
サポート１２の車体への取付けに際して、それら
外フランジ部３６と車体との間で挟圧されること
となり、それによつてかかる取付面間をシールし
て、泥水やゴミなどの侵入を阻止する。公知のダ
ストシール本来の機能を有しているのである。

更にまた、かかるダストシール４８にあつて
は、上記シール部５０の外周縁部分において、径
方向外方に向かつて所定幅で一体的に延び出す、
略矩形平板状のシート部５２が、周方向略等間隔
に３個設けられている。そして、ダストシール４
８のアツパサポート１２への装着に際して、これ
らのシール部５０は、第１図及び第２図に示され
ている如く、それぞれ、外フランジ部３６の上側
面４４上において、かかる外フランジ部３６に設
けられた３個の取付孔４０間における、各周方向
中央部に位置せしめられるようになつているので
ある。

すなわち、これらのシート部５２が外フランジ
部３６における隣り合う取付孔４０，４０間の中
央部に、それぞれ位置せしめられることにより、
上述の如き、アツパサポート１２の車体への取付
けに際して、かかる外フランジ部３６の取付孔４
０，４０間の中央部が、それぞれ、該シート部５
２を介して、車体側の取付面に対して当接せしめ
られるのである。

また、そこにおいて、外フランジ部３６の上側
面４４は、平坦面にて形成されているが、上述の
如き車体への取付けに際しての、各取付孔４０内
に挿通される取付ボルト４２の締付力による外フ
ランジ部３６の湾曲やシート部５２の弾性変形に
基づいて、各取付孔４０周りが車体に対して良好
に当接され得ることとなる。

なお、かかるダストシール４８における各シー
ト部５２の肉厚としては、その材質やアツパサポ
ート１２の外フランジ部３６の形状や強度、或い
は取付ボルト４２の締付けトルク等を考慮して、
適宜設定されるものであるが、通常、0.3〜２mm
程度に設定されることとなる。

従つて、アツパサポート１２の車体に対する取
付けに際して、上述の如きダストシール４８を装
着せしめることにより、かかる外フランジ部３６
が、取付ボルト４２にて締め付けられる各取付孔
４０の周りのみならず、それらの取付孔４０，４
０間における周方向の各中央部においても、それ
ぞれ、車体側に当接せしめられることとなるとこ
ろから、該車体に対する当接面が有利に確保され
得て、取付強度の向上および安定化が効果的に図
られ得るのである。

また、かかるダストシール４８をアツパサポー
ト１２と車体との間に介装せしめることにより、
該ダストシール４８及び外フランジ部３６の弾性
力に基づいて、取付ボルト４２の緩みが良好に防
止され得ることとなり、その取付部におけるガタ
や異音の発生、更には外フランジ部３６の割れ等
の不具合が有利に防止され得るといつた効果をも
奏し得るのである。

さらに、上述の如きダストシール４８は、泥水
などの侵入を防ぐために、従来から一般に用いら
れているシール部材としての機能をも有するもの
であることから、新たな部材の増加を伴うもので
はなく、上記取付強度や耐久性の向上などの優れ
た効果が、低コストにて且つ容易に実現され得る
点にも、大きな利点を有しているのである。

また、かかるダストシール４８は、アツパサポ
ート１２とは別体構造とされているところから、
外フランジ部３６の装置部位のサイズが略同一で
あれば、異なる仕様のアツパサポートに対して
も、良好に用いられ得るのであり、汎用性を持た
せることによつて、より一層の低コスト化が可能
となるのである。

以上、本考案の一実施例について詳述してきた
が、これは文字通りの例示であつて、本考案はか
かる具体例にのみ限定して解釈されるものではな
い。

特に、本考案に係るダストシールが適用される
アツパサポート１２の具体的構造は、前記実施例
のものに限定されるものでは、決してなく、公知
の各種構造のものについて、何れも有効に適用さ
れ得ることは、勿論である。

例えば、前記実施例においては、前輪用のアツ
パサポート１２が用いられていたが、ベアリング
２４を備えない後輪用のアツパサポートに対して
も適用可能である。或いはまた、前記実施例のア
ツパサポート１２にあつては、外フランジ部３６
の上側面４４が平坦面とされていたが、各取付孔
４０の周りを上側面４４側に突出する突部として
形成し、車体側の取付面に対する当接性がより有
利に確保され得るようにしても良い。

また、前記実施例におけるアツパサポートにあ
つては、何れも、その外フランジ部３６における
周方向の３個所に、車体側への取付部位たる取付
孔４０が設けられていたが、かかる取付孔４０
を、２個所或いは４個所以上設けるようにしても
良い。

さらに、上述の如きダストシールを、輸送時及
び車両への装着時の取扱性を考慮して、形成後、
アツパサポートの外フランジ部に対して、接着剤
等を用いて接着しておくようにしても良い。

その他、一々列挙はしないが、本考案は当業者
の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、ま
たそのような実施態様が、本考案の趣旨を逸脱し
ない限り、何れも本考案の範囲内に含まれるもの
であることは、言うまでもないところである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の一実施例たるダストシール
のアツパサポートに対する装着状態を示す縦断面
図であつて、第２図における−断面に相当す
る図であり、第２図は、第１図における平面図で
ある。また、第３図は、かかるダストシールのみ
を取り出して示す縦断面図であつて、第４図にお
ける−断面に相当する図であり、第４図は、
第３図における平面図である。 １２……アツパサポート、１４……内筒金具、
３０……外筒金具、３６……外フランジ部、３８
……ゴム弾性体、４０……取付孔、４２……取付
ボルト、４４……上側面（取付面）、４８……ダ
ストシール、５０……シール部、５２……シート
部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 径方向に所定距離を隔てて配された内筒金具と
   外筒金具とが、それらの間に介装されたゴム弾性
   体によつて一体的に連結されてなる構造を有し、
   かかる外筒金具に設けられた外フランジ部の周方
   向複数箇所において、該外フランジ部の一方の面
   が車体側に当接する状態で、車体側にボルト固定
   せしめられることにより、前記内筒金具に取り付
   けられる緩衝器を車体側に防振支持せしめるサス
   ペンシヨン用アツパサポートにおいて、その外筒
   金具における前記外フランジ部と車体との間に介
   装されて、それらアツパサポートと車体との間を
   シールするダストシールであつて、 前記外フランジ部における車体側への取付面上
   の内周側部分に装着されて、それら外フランジ部
   と車体との間で挟圧せしめられる環状の弾性シー
   ト部と、該弾性シール部の外周縁部から径方向外
   方に向かつて体所定幅で一体的に延出形成され
   て、かかる外フランジ部の複数個所に設けられた
   前記車体側へのボルト固定部間における周方向の
   各中央部において、それぞれ、該外フランジ部と
   車体との間で挟圧せしめられる薄肉の弾性シート
   部とを有していることを特徴とするサスペンシヨ
   ン用アツパサポートにおけるダストシール。