JPH0529361B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、植物の葉や花及び果実などを食べ
るナメクジやカタツムリなどの陸生無脊椎動物か
ら、前記植物を保護するために使用する陸生無脊
椎動物の忌避材に関する。

（従来の技術） 従来、ナメクジやカタツムリなどの陸生無脊椎
動物の誘殺剤としてのメタアルデヒドを有効成分
とした顆粒タイプ又は有機リン剤及び合成ピレス
ロイドを主成分とするスプレータイプのものが、
既に市販さている。

（発明が解決しようとする課題） ところで、前記誘殺剤の有効成分であるメタア
ルデヒドは、水溶性であることから持続効果に乏
しく、また、スプレータイプのものには固着剤と
なるバインダーが含まれていないため持続性がな
く、特にナメクジなどがよく現われる雨上りに
は、雨水により洗い流されてしまつて、良好な殺
傷効果が得られない問題があつた。

本発明は、以上の如き問題を解決するために、
ナメクジなどの陸生無脊椎動物に対して有効な薬
剤について研究を重ねた所、少なくともカチオン
基を有する界面活性剤又は窒素基含有非イオン界
面活性剤若しくはアセチレン基含有非イオン界面
活性剤が、人体などに無害で陸生無脊椎動物に対
して有効な忌避効果を示すことを知り、前記界面
活性剤を合成樹脂、ゴムまたはパルプから成る基
材の組成物に混合して混合物を形成し、該混合物
から前記忌避薬剤を徐々にブリード又は溶出させ
ることより、長期に亙つて優れた忌避効果を持続
でき、かつ安全性に優れた陸生無脊椎動物の忌避
材を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本発明は、主成分
が合成樹脂、ゴムまたはパルプから成る基材１の
組成物に、少なくともカチオン基を有する界面活
性剤又は窒素基含有非イオン界面活性剤若しくは
アセチレン基含有非イオン界面活性剤から成る忌
避薬剤２を混合して、固形又は液状の混合物を形
成したものである。

前記混合物には、該混合物から前記忌避薬剤２
を徐々に長期に亙つてより安定良くブリード又
は、溶出させるため高吸水性樹脂３を混合するこ
とが効果的である。

また、前記混合物を固形として用いる場合、該
混合物を使用する対象物に応じて、シート状に成
形したり、或いは栽培用の容器又は栽培台を載置
可能な大きさのブロツク形状に成形して用いる。
尚、前記混合物をシート状に成形する場合には、
その片面に合成樹脂シートを貼着するのが好まし
い。

又基材１として揮発性を有する溶剤を含む液状
合成樹脂を用いることにより、混合物を液状の
まゝ対象物やその周囲に塗布又は散布して使用可
能であり、また、この液状混合物を織布や不織布
に含浸させて用いてもよい。

（作用） しかして前記基材１と前記忌避薬剤２との混合
物で成形された忌避材は、初期段階では該忌避材
の外表面に付着する前記忌避薬剤２が、ナメクジ
などの陸生無脊椎動物に対して忌避作用を及ぼ
し、また散水や降雨などにより前記忌避薬剤２が
洗い流されることがあつても前記基材１内に混入
された忌避薬剤２が、前記忌避材の外表面へ経時
的に徐々にブリードまたは溶出され、このブリー
ドまたは溶出された忌避薬剤２が陸生無脊椎動物
に忌避作用を及ぼすのであり、従つて陸生無脊椎
動物に対する忌避作用は、長期に亙つて持続され
るのである。

また、前記基材１と前記忌避薬剤２との混合物
に、前述した高吸水性樹脂３を混合した場合に
は、この高吸水性樹脂３が散水や降雨時などの水
分を吸水したとき、その体積が大きく膨潤される
ことから、、前記忌避材の表面に多数の細かい亀
裂が発生するのであり、従つて、該各亀裂から前
記基材１に混合された前記忌避薬剤２が、外表面
に徐々にブリード又は溶出され、またブリード又
は溶出された一部の忌避薬剤２は前記高吸水性樹
脂３に吸収保持され、該高吸水性樹脂３の体積減
少に伴い再度ブリード又は溶出されることゝなつ
て、前記忌避薬剤２による忌避効果が長期に亙つ
てより安定的に持続されるのである。

（実施例） 以下本発明に係る陸生無脊椎動物の忌避材を、
第１図に示した実施例に基づいて説明する。

第１図において、１は主成分が合成樹脂又はゴ
ム或いはパルプから成る基材であり、２はこの基
材１の組成物に混合する忌避薬剤であつて、第１
図の実施例では、前記基材１の組成物に忌避薬剤
２を混合した混合物をシート状に成形したもので
ある。尚、前記基材１は忌避薬剤２の担体として
該忌避薬剤２を経時的に徐々にブリード又は溶出
させるために使用するものであつて、前記基材１
に採用する合成樹脂として例えば塩化ビニール樹
脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ウ
レタン樹脂又はポリアミド樹脂などを使用し、ゴ
ムとしては例えばブタヂエンゴム、ポリイソプロ
ピレンゴムなどを使用し、パルプとしては例えば
レーヨン紙の原料などを使用するのである。

また、前記忌避薬剤２としては、カチオン基を
有する陽イオン界面活性剤又はカチオン基とアニ
オン基とを有する両性界面活性剤若しくは非イオ
ン界面活性剤のうち、窒素基含有非イオン界面活
性剤又はアセチレン基含有非イオン界面活性剤を
使用する。

具体的には、前記カチオン基のみをもつ陽イオ
ン界面活性剤としては、例えば日本油脂(株)製のナ
イミーンＬ−201（オキシ・エチレンドデシル・ア
ミン）、同社製のカチオンF2−20R（アルキルジメ
チル・ベンジル・アンモニウムクロライド）、同
社製のニユーエレガンＡ、及び花王(株)製のコータ
ミン24p（ラウリルトリメチルアンモニウムクロ
ライド）などを使用し、またカチオン基とアニオ
ン基とをもつ両性界面活性剤としては、例えば日
本油脂(株)製のアノンBF（ジメチル・アルキルベタ
イン）、同社製のアノンLG（アルキル・ジアミノ
エチル・グリシン）、及び花王(株)製のアンヒトー
ル24B（ラウリルベタイン）などを使用する。更
に、非イオン界面活性剤のうち、窒素基含有非イ
オン界面活性剤としては、例えば花王(株)製のエレ
クトロストリツパーEA（N.ビス・２・ヒドロキ
シルエチル・アルキルアミン）第一工業製薬(株)製
のアミラジン（Ｎ・ポリエチレングリコールアル
キルアミン）及び日本油脂(株)製のスタホームDF
−１（ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド）などを
使用し、また、アセチレン基含有非イオン界面活
性剤としては、日信化学工業(株)製のサーフイノー
ル82（アセチレングリコール）などを使用する。

前記界面活性剤の陸生無脊椎動物に対する忌避
作用については、未だ原理的には不明であるが、
前述した少なくともカチオン基を有する界面活性
剤又は非イオン界面活性剤でも、そのうち、窒素
基含有非イオン界面活性剤やアセチレン基含有非
イオン界面活性剤のように、分極が強く親油基が
カチオンに傾いている性質、つまりカチオニツク
な性質を示す界面活性剤を浸潤した不織布上にナ
メクジなどを置いて実験したところ、ナメクジな
どは粘性膜を残して苦しみながら移動することか
ら、前記界面活性剤がもつ浸透圧作用などによ
り、ナメクジなどの粘性膜に何らかの刺激を及ぼ
して忌避作用を与えるものと推測できるのであ
る。

以上説明した各種界面活性剤は、使用する前記
基材１の成形加工条件（特に成形加工温度）で変
質しないものを、選択使用するのである。

尚、前記各種界面活性剤を忌避主剤とし、該界
面活性剤の他に有機リン剤、カーボメイト系薬
剤、流酸胴などを添加することも可能である。

また前記基材１には、以上の如き各種界面活性
剤と共に高吸水性樹脂３を混合して、該高吸水性
樹脂３の水分吸収に伴う膨潤作用で、前記基材１
の表面に亀裂を発生させ、この亀裂から前記基材
１に混入された前記界面活性剤又は前記薬剤を
徐々に溶出させるかまたはブリードを調整させる
ことにより、忌避効果を長期にわたつてより安定
的に持続させることが可能である。以上のことを
目的として添加される前記高吸水性樹脂３として
は、例えば、三洋化成工業(株)製のサンウエツト
IM−1000MPS、日本合成化学工業(株)製のGP−
１、日本触媒化学工業(株)のアクアリツクCAW、
住友化学工業(株)製のスミカゲルＰ−1020、及びク
ラレイソプレンケミカル(株)製のKEゲル201KF2な
どを用いる。

しかして、本発明忌避材は以上説明した基材１
の組成物に、忌避薬剤２を混合して、第１〜４図
に示したようにシート状に成形したり、或いは例
えば第１１図に示すごとく植物栽培用の容器又は
第７、８図に示したごとく植物栽培台を載置可能
な所定以上の大きさから成るブロツク状の立方体
に成形するか、又は、液状として用いるのであつ
て、使用法としては、シート状に成形する場合に
は、そのまゝ用いるか又はその片面に主として合
成樹脂から成る保持シートを貼着するのであり、
また、液状として用いる場合には、揮発性溶剤を
含む液状合成樹脂を主成分とする基材１を用い、
該液状合成樹脂に忌避薬剤２を混合して液状に形
成し、この液状忌避材を忌避箇所に直接塗布して
もよいが、その他編布を含む織布や不織布に含浸
させるのである。

尚、使用する揮発性を有する溶剤としては、有
機溶剤に限らず、基材１を溶解し、一旦揮発した
後には基材１が水に溶解しないものであれば、例
えばアクリル樹脂をアルコールと水とで溶解分散
したエマルジヨン等の水を混合した溶剤を用いて
もよい。

また、前記シート状に成形する場合、その厚さ
は任意にできるのであり、従つて、フイルム状シ
ートも含むものであり、さらに、シート状とした
ものを小片に細断して前記保持シートと共に用い
ることも可能である。また、忌避箇所へ直接塗布
する場合、例えば植木鉢やプランターなどの栽培
用容器の表面に塗布したり、第９図及び第１０図
に示すごとく栽培台の天板部分に塗布したり、さ
らには、植物の幹部や、その植物の周囲に塗布す
るのである。この場合、例えば人参などの作付け
に際して施す敷藁に、液状忌避材を作付けした作
物の周囲に散布してもよく、このように使用すれ
ば、敷藁の表面だけでなく、ナメクジが好む敷藁
の内部にまで塗料が侵入し、乾燥すれば藁一本一
本の表面に忌避層を設けたことになり、換言すれ
ば作物の周囲に層状の忌避帯を設けたことになる
のである。

実施例 １ 先ず、熱可塑性樹脂組成物１に、窒素基含有非
イオン界面活性剤から成る忌避薬剤２と高吸水性
樹脂３とを混合して、この混合物を薄肉シート状
に成形加工して、第１図に示したようなシート状
忌避材Ｓを形成した。

前記忌避材Ｓを形成するにあたつては、前記熱
可塑性樹脂組成物１として、ノーブレンBC−１
（三菱油化(株)製のポリプロピレン樹脂）の100重量
部と、忌避薬剤２として、エレクトロストツパー
EA（花王(株)製の窒素基含有非イオン界面活性剤）
の20重量部と、前記高吸水製樹脂３として、KE
ゲル201KF2（クラレイソプレンケミカル(株)製の高
吸水製樹脂）の60重量部とを用い、これら各者を
170℃の温度で均一に攪拌混合し、プレス機で１
mm厚さのシート状に形成した。

比較例 １ 前記実施例１の比較例として、前記実施例１か
ら前記界面活性剤を取除いた配合例のもの、つま
り前記熱可塑性樹脂組成物１として、ノーブレン
BC−１の100重量部と、前記高吸水性樹脂３とし
て、KEゲル201KF2の60重量部とを用い、これら
両者を前記場合と同様に170℃の温度で均一に攪
拌混合し、プレス機で１mm厚さのシート状に成形
した。

しかして、前記実施例１と比較例１とで成形さ
れたシートを、第５図に示した如く、15cm角の正
方形状に切取り、その中央部に５cm角の除去部Ｇ
を設けて、それぞれ下記する忌避試験の試験片Ｈ
とした。

そして前記各試験片Ｈを、第６図示した如く、
12mm厚のベニヤ板Ｂ上に重ね合わせ、500c.c.の水
で散水乾燥を２回行つた後に、前記各試験片Ｈの
中央除去部Ｇに、野原ナメクジ３匹と、日本ナメ
クジ３匹と、コウラナメクジ３匹をそれぞれ収容
し、また前記各試験片Ｈの外部に前記各ナメクジ
の餌として人参Ｎを置き、前記各試験片Ｈの各部
にカバーＣを掛けて、１昼夜放置した。

以上の試験を行つた結果、前記実施例１の試験
片Ｈでは、前記中央除去部Ｇから前記試験片Ｈの
外部に逃げ出したナメクジは０匹であり、また、
前記比較例１の試験片Ｈでは、試験開始から３時
間経過後に、既に７匹のナメクジが前記除去部Ｇ
から外部に逃げ出してしまい、前記実施例１の試
験片Ｈつまり前記界面活性剤から成る忌避薬剤２
を添加したものが、各種ナメクジに対する忌避効
果に極めて優れていることが理解できたのであ
る。

実施例 ２ 次に、第１実施例と同様、肉薄状のシートに加
工した忌避材Ｓを形成するに際し、前記基材１に
使用する合成樹脂としてゼオン103EP（日本ゼオ
ン(株)製塩化ビニル樹脂）100重量部、DOP（積水
化学(株)製可塑剤）40重量部、LT−700J（昭島化学
工業(株)製Ba／Zn系安定剤）、ソフトン1000（備北
粉化工業(株)製炭酸カルシウム）100重量部、顔料
４重量部を用い、また前記忌避薬剤２としてニユ
ーエレガンＡ（日本油脂(株)製のカチオン基をもつ
陽イオン界面活性剤）の35重量部とを用い、これ
らを均一に攪拌混合し逆Ｌ字型カレンダーロール
にて0.3mm厚の第２図に示すようなシートを形成
した。

比較例 ２ 前記実施例２比較例として、前記実施例２から
前記界面活性剤から成る忌避薬剤２を取り除いた
配合の物、すなわち、前記保持体１に使用する合
成樹脂としてゼオン103EP（日本ゼオン(株)製塩化
ビニル樹脂）100重量部、DOP（積水化学(株)製可
塑剤）40重量部、LT−700J（昭島化学工業(株)製
Ba／Zn系安定剤）、ソフトン1000（備北粉化工業
(株)製炭酸カルシウム）100重量部、顔料４重量部
を用い、これらを均一に攪拌混合し逆Ｌ字型カレ
ンダーロールにて0.3mm厚のシートを形成した。

しかして、前記実施例２と前記比較例２で形成
されたシートを、第５図に示した如く、15cm角の
正方形状に切取り、その中央部に５cm角の除去部
Ｇを設けて、それぞれ下記する忌避試験の試験片
Ｈとした。そして、前記各試験片Ｈを、第６図に
示した如く12mmの厚のベニヤ板Ｂ上に重ね合わ
せ、500c.c.の水で散水乾燥を２回行つた後に、前
記各試験片Ｈの中央除去部Ｇに、カタツムリ６匹
を収容し、また前記各試験片Ｈの外部に前記カタ
ツムリの餌として人参Ｎを置き、前記各試験片Ｈ
の外部にカバーＣを掛けて、１昼夜放置した。

以上の試験を行つた結果、前記実施例２の試験
片Ｈでは、前記中央除去部Ｇから前記試験片Ｈの
外部に逃げ出したカタツムリは０匹であり、また
前記比較例２の試験片Ｈでは、試験開始から３時
間経過後に、既に４匹のカタツムリが前記除去部
Ｇから外部に逃げ出してしまい、前記実施例２の
試験片Ｈつまり前記界面活性剤から成る忌避薬剤
２を添加したものが、カタツムリに対する忌避効
果に極めて優れていることが理解できたのであ
る。

前記第１、２実施例のシート状基礎材の使用方
法としては、適宜大きさに切り取り植物の根の囲
りや、植木鉢等の下に敷いて用いたり、或いは農
業用マルチシートとして、野菜などを被覆する如
く用いてもよいし、さらに、前記シート状に形成
した忌避材Ｓを約10cm幅の細幅テープ状に裁断
し、みかんなどの果樹の幹に直接巻付けて陸生無
脊椎動物の忌避材として使用してもよい。

また前記界面活性剤から成る忌避薬剤２が片面
のみにブリードし忌避効果の持続性を向上させる
ために、前記カレンダーロールにて前記忌避材Ｓ
を加工後ラミネートロールにて前記忌避材Ｓの片
面に接着剤を塗布した合成樹脂シートを貼着して
もよい。また前記基材１としては、塩化ビニール
だけではなく、ブタジエンゴムなどのシート加工
が可能なものであればよく、特に限定するもので
はない。

実施例 ３ 忌避材Ｓとして、第３図に示した如く、薄肉の
フイルム４の一側に前記実施例１と同様シート状
に形成した混合物の小片５を、複数個融着手段又
は接着手段などで飛び模様状に一体に突設し、こ
の各小片５により忌避効果を発揮させるように構
成した。

前記忌避材Ｓを形成するにあたつては、先ず前
記熱可塑性樹脂組成物１として、ゼオン121（日本
ゼオン(株)製の塩化ビニール樹脂）の100重量部と、
可塑剤としてヂオクチルフタレート（大八化学(株)
製）の55重量部と、安定剤としてMA−10（昭島
化学工業(株)製）の５重量部と、充填剤としてソフ
トン1000B（備北粉化(株)製）の225重量部と、顔料
４重量部とを用い、また前記忌避薬剤２として、
ニユーエレガンＡ（日本油脂(株)製）のカチオン基
をもつ陽イオン界面活性剤）の35重量部とを用
い、これら各者を均一に攪拌混合した。

しかる後に前記混合物を、約10mm角で深さ１mm
の直方状凹部を12mm間隔で縦横に配列した金型に
充填し、200℃の温度で３分間加熱して、前記混
合物中の塩化ビニール樹脂を溶融させた後、前記
第３図で示したフイルム４として、0.2mmの塩化
ビニール樹脂製フイルムを用い、このフイルム４
を前記金型内の混合物と熱融着させて、冷却後に
前記金型から剥離することにより、高さが１mmで
10mm角の小片５が、12mm間隔で縦横方向に突設さ
れたデザイン模様を呈するシート状忌避材Ｓを形
成した。

比較例 ３ 前記実施例３の比較例として、前記実施例３か
ら前記界面活性剤を取除いた配合例のもの、つま
り前記熱可塑性樹脂組成物１として、ゼオン121
（日本ゼオン(株)製の塩化ビニール樹脂）の100重量
部と、可塑剤としてヂオクチルフタレート（大八
化学(株)製）の55重量部と、安定剤としてMA−10
（昭島化学工業(株)製）の５重量部と、充填剤とし
てソフトン1000B（備北粉化(株)製）の225重量部
と、顔料４重量部とから成る混合物を用い、この
混合物を前記実施例３と同様にしてシートを成形
した。

しかして、前記実施例１で行つた場合と同様な
忌避試験を行つた結果、前記実施例３の忌避材Ｓ
では、前記第５図の中央除去部Ｇから前記試験片
Ｈの外部に逃げ出したナメクジは０匹であり、ま
た前記比較例３のものでは、試験開始から５時間
経過後に、既に６匹のナメクジが前記除去部Ｇか
ら外部に逃げ出してしまい、前記実施例３の忌避
材Ｓがナメクジに対する忌避効果に極めて優れて
いることが理解できたのである。

実施例 ４ 忌避材Ｓとして、混合物をシート状に成し、こ
のシート状物の一側外面に、第４図に示した如
く、不織布から成る防水性に優れたベース部材６
を張付けて形成した。

前記忌避材Ｓを形成するにあたつては、前記熱
可塑性樹脂組成物１として、ハイラツク3000（東
洋ポリマー(株)製の液状ウレタン樹脂）の100重量
部と、サンウエツトIM−1000（三洋化成(株)製の高
吸水性樹脂）の20重量部と、忌避薬剤２として、
アノンBF（日本油脂(株)製の両性界面活性剤）の５
重量部とから成る混合物を、ベース部材６として
用いるポリエステルフイルムに0.5mm厚に塗布し、
この塗布面にスパンボンドＥ−3050（旭化成(株)製
のポリエステル不織布）を密着させ、前記混合物
が乾燥した後に、前記ポリエステルフイルムを剥
離して形成した。

比較例 ４ 前記実施例４の比較例として、前記実施例４か
ら前記界面活性剤を取除いた配合例のもの、つま
り前記熱可塑性樹脂組成物１として、ハイラツク
3000の100重量部と、サンウエツトIM−
1000MPSの20重量部とから成る混合物を、ポリ
エステルフイルムに0.5mm厚に塗布し、この塗布
面にスパンボンドＥ−3050を密着させ、前記混合
物が乾燥した後に、前記ポリエステルフイルムを
剥離してシートを形成した。

しかして前記実施例１で行つた場合と同様な忌
避試験を行つた結果、前記実施例４の忌避材Ｓで
は、前記第５図の中央除去部Ｇから前記試験片Ｈ
の外部に逃げ出したナメクジは０匹であり、また
前記比較例４のものでは、試験開始から５時間経
過後に、既に８匹のナメクジが前記除去部Ｇから
外部に逃げ出してしまい、前記実施例４の忌避材
Ｓがナメクジに対する忌避効果に極めて優れてい
ることが理解できたのである。

実施例 ５ 合成樹脂組成物１に、窒素基含有界面活性剤か
ら成る忌避薬剤２と高吸水性樹脂３とを混合し
て、この混合物を直方体に成形して、第７、８図
に示したようなブロツク状忌避材Ｓを成形した。

前記忌避材を成形するにあたつては、前記基材
１として、ノーブレンBC−１（三菱油化(株)製のポ
リプロピレン樹脂）の100重量部と忌避薬剤２と
してエレクトロストリツパーEA（花王(株)製の窒素
含有非イオン界面活性剤）の20重量部と、前記高
吸水性樹脂３としてKEゲル201KF2（クラレイソ
プレンケミカル(株)製の高吸水性樹脂）の60重量部
とを用いて、これらを170℃の温度で均一に攪拌
混合し、射出成型機にて10cm×10cm×20cmの直方
体に形成した。

比較例 ５ 前記実施例５の比較例として、前記実施例５か
ら前記界面活性剤から成る忌避薬剤２を取り除い
た配合の物、すなわち前記基材１として、ノーブ
レンBC−１の100重量部と前記高吸水性樹脂３と
してKEゲル201KF2（クラレイソプレンケミカル
(株)製の高吸水性樹脂）の60重量部とを用いて、こ
れらを前記した場合と同様に170℃の温度で均一
に攪拌混合し、射出成型機にて10cm×10cm×20cm
の直方体に形成した。

しかして第８図示すようにアルミニウム製で高
さ31cm、幅25cm、長さ90cmの栽培台の脚の下に実
施例５と比較例５のブロツクを試験片Ｈとして敷
き、前記栽培台にさつきの鉢植え３鉢を置き、毎
日2000c.c.の散水を７日間行つたところ、実施例５
の試験片Ｈを用いたものでは栽培台上及び鉢付近
にナメクジはいなかつたが、比較例５の試験片Ｈ
を用いたものでは、７匹のナメクジが見つかつ
た。

以上の試験の結果、前記実施例５の試験片Ｈを
用いた試験では、栽培台に登つてきたナメクジは
０匹であつたが、比較例５の試験片Ｈを用いた試
験では、栽培台に登つてきたナメクジが７匹おり
前記実施例５の試験片Ｈつまり前記界面活性剤か
ら成る忌避薬剤２を添加したものが、ナメクジに
対する忌避効果に極めて優れていることが理解で
きたのである。

尚、加工成型体の形状はブロツク状に限定する
ものではなく、例えば鉢などの形状にしてもよい
し、また、押出機にてパイプ状に成形し、適便な
長さに忌避材Ｓを形成する。前記忌避材Ｓを野菜
類が前記円筒形の忌避材Ｓの中心に来るように設
置し、前記忌避材Ｓの一部を地中に埋没させて使
用するのである。このように使用すれば、野菜類
の周囲に忌避材Ｓの壁を構成することにより、前
記野菜類をナメクジから守れるのである。尚、忌
避材Ｓの形状は、筒状に限らず使用する作物に適
した形状にすればよい。

（発明の効果） 以上の如く本発明は、主成分が合成樹脂、ゴム
またはパルプから成る基材１の組成物に、少なく
ともカチオン基を有する界面活性剤又は窒素基含
有非イオン界面活性剤若しくはアセチレン基含有
非イオン界面活性剤から成る忌避薬剤２を混合し
て、固形又は液状の混合物を形成したことにより
その使用に際し、初期段階では、固形又は液状か
ら固形化した前記混合物の外表面に付着する忌避
薬剤２がナメクジなどの陸生無脊椎動物に対して
忌避作用を及ぼし、散水や降雨などにより忌避材
の外表面に付着する忌避薬剤２が洗い流されるこ
とがあつても、前記基材１内に混入された忌避材
Ｓが、忌避材の外表面へ経時的に徐々にブリード
または溶出され、このブリードまたは溶出された
忌避薬剤２が陸生無脊椎動物に忌避作用を長期に
亙つて接続することができるのである。その上、
前記忌避薬剤２として用いる前記界面活性剤は、
一般に各種肥料や農薬等の分散剤として広く使用
され、土壌や人体などに悪影響を与えることが少
なく、安全性にも優れているのである。

１ また、前記混合物に高吸水性樹脂３を混合す
る場合には、この高吸水性樹脂３が散水や降雨
時などの水分を吸水して、その体積が大きく膨
潤されることから、前記忌避材の表に多数の細
かい亀裂を発生させ、この亀裂部分から前記基
材１に混入された忌避薬剤２を徐々にブリード
させるかまたは溶出させることにより忌避効果
を長期に亙つてより安定的に持続させることが
できる。

また、前記混合物をシート状或いは例えば植物
栽培用の容器や植物栽培台を載置可能な所定以上
の大きさから成るブロツク状の立方体に成形する
ことによりその使用範囲を拡大できると共に、用
途に適したものを使用できる。

また、揮発性を有する溶剤を含む液状合成樹脂
から成る基材１を用いて、混合物を液状とするこ
とにより、該混合物を例えば直接果樹の幹に塗布
して用いたり、或いは作物の周囲に散布して用い
たりすることができるし、さらには、この液状混
合物を織布や不織布などに含浸させて使用するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかゝる忌避材をシート状とし
た実施例を示す断面図、第２図乃至第４図はそれ
ぞれ別の実施例を示す断面図、第５図は忌避試験
に使用した試験片を示す平面図、第６図は忌避試
験方法を示す断面図、第７図は忌避材をブロツク
状とした実施例を示す断面図、第８図は同忌避材
の使用状態を示す説明図、第９図は忌避材を液状
とした場合における使用状態を示す説明図、第１
０図は同要部の一部拡大断面図、第１１図は忌避
材を植木鉢形状とした実施例を示す断面図であ
る。 １……基材、２……忌避薬剤、３……高吸水性
樹脂。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 主成分が合成樹脂、ゴムまたはパルプから成
   る基材１の組成物に、少なくともカチオン基を有
   する界面活性剤又は窒素基含有非イオン界面活性
   剤若しくはアセチレン基含有非イオン界面活性剤
   から成る忌避薬剤２を混合して、固形又は液状の
   混合物を形成したことを特徴とする陸生無脊椎動
   物の忌避材。 ２ 混合物に高吸水性樹脂３を混合したことを特
   徴とする請求項１記載の陸生無脊椎動物の忌避
   材。 ３ 混合物をシート状に成形して成る請求項１又
   は２記載の陸生無脊椎動物の忌避材。 ４ シート状に成形した混合物の片面に保持シー
   トを貼着したことを特徴とする請求項３記載の陸
   生無脊椎動物の忌避材。 ５ 混合物を所定以上の大きさから成るブロツク
   状の立方体に成形して成る請求項１又は２記載の
   陸生無脊椎動物の忌避材。 ６ 基材１が揮発性を有する溶剤を含む液状合成
   樹脂からなる請求項１及び２記載の陸生無脊椎動
   物の忌避材。 ７ 揮発性を有する溶剤を含む液状合成樹脂を主
   成分とする基材１を織布に含浸させている請求項
   ６記載の陸生無脊椎動物の忌避材。 ８ 揮発性を有する溶剤を含む液状合成樹脂を主
   成分とする基材１を不織布に含浸させている請求
   項６記載の陸生無脊椎動物の忌避材。