JPH04128578U - ホイールハブのオイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この考案は、脱着作業性の良いホイールハブ
のオイルシールを提供することにある。 【構成】 ここでのオイルシール１０は環状溝６に嵌合
される筒状フランジ１２と、環状シール面１１に摺接す
る環状リップ部１３と、環状リップ部１３及び筒状フラ
ンジ１２を一体形成した主部１４とを有し、主部１２に
はアクスルシャフト１の鍔部３に当接する弾性変形可能
な環状膨出部ａが形成され、環状膨出部ａ及び主部１４
を貫通すると共に鍔部３によって外側開口が閉鎖される
通気穴１６が形成されたことを特徴とし、この通気穴１
６が内部空間９を適時に大気圧化できるように構成され
ている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ホイールハブとアクスルハウジングとの間のシールを行うホイール ハブのオイルシール、特に、ホイールハブ側に外周部が密着されるホイールハブ のオイルシールに関する。

【０００２】

【従来の技術】

大型車両には車体重量を車軸管（アクスルハウジング）で受け、駆動モーメン トを車軸（アクスルシャフト）で受ける、所謂、全浮動式駆動車軸が採用される ことが多い。 このような全浮動式駆動車軸では、車体重量がアクスルハウジングよりベアリ ングを介してアクスルシャフトと一体結合されているホイールハブに伝達され、 そのホイールハブよりタイヤ側に重量伝達が行われている。ここでアクスルハウ ジングとホイールハブの間のベアリングには潤滑用のグリース等が十分に供給さ れ、そのグリース等の外部への流出はオイルシールによって阻止されている。

【０００３】 例えば図５に示す様なトラックに使用されている全浮動式駆動車軸では、ホイ ールハブ５とアクスルシャフト２の鍔部３が図４に示すように、ハブナット４に よって一体的に締め付け結合される。それに先立ち、ホイールハブ５の端部の環 状溝６にはタイトにオイルシール７の筒状フランジ８が嵌着される。これによっ て、オイルシール７の内側空室９（図４参照）は気密化され、グリース等の外部 への流失が防止されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

処で、このようにオイルシール７によって内側空室９が気密化された後、車両 が走行すると内側空室８が摩擦熱等によって高温化し、車両の駐車時には逆に、 放熱によって低温化する。このような温度変化が繰り返され、やがて、ホイール ベアリングＢのグリース補給等のメンテナンスを行う場合には、次のような問題 を生じている。

【０００５】 即ち、車両のメンテナンス時には内側空間９は低温化し、負圧化してしまう。 このため、タイトに環状溝６に嵌合されていたオイルシール７は、更に、内側空 間９側に密着力を受ける。このため、このオイルシール７を外そうとした場合に は離脱力を十分に大きく与えないと取り出し処理が出来ず、この対策として、オ イルシール７の外周ゴム部８０１に組込時にあらかじめオイルを塗っておく必要 があった。また、それを忘れていると、作業性が非常に悪く、問題と成っている 。 本考案の目的は、脱着作業性の良いホイールハブのオイルシールを提供するこ とにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上述の目的を達成するために、本考案はアクスルハブの環状溝に嵌合される筒 状フランジと、上記アクスルハブを枢支するアクスルハウジングの環状シール面 に摺接する環状リップ部と、上記環状リップ部及び上記筒状フランジを内外周部 に一体形成した主部とを有し、上記主部には上記アクスルハブとボルト止めされ るアクスルシャフトの鍔部に当接する弾性変形可能な膨出部が形成され、上記膨 出部及び主部を貫通すると共に上記鍔部によって外側開口が閉鎖される通気穴が 形成されたことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

アクスルハブとアクスルシャフトの鍔部がボルト止めされた際に、膨出部が押 圧されて閉鎖され、内部空間を密閉し、逆に、アクスルハブとアクスルシャフト の鍔部が分離されると、通気穴の外側開口が開いて内部空間が大気圧化する。

【０００８】

【実施例】

図１、図２のホイールハブのオイルシールは図５に示したと同様の全浮動式駆 動車軸に装着され、ここでは、図１には自由状態のオイルシール１０が、図２に は組み込み完了時のオイルシール１０が示されている。 図１に示すように、ここでのオイルシール１０はホイールハブ５の端部の環状 溝６に嵌合される筒状フランジ１２と、アクスルハウジング１の端部の環状シー ル面１１に摺接する環状リップ部１３と、環状リップ部１３及び筒状フランジ１ ２を内外周部に連続形成した主部１４と、環状リップ部１３を環状シール面１１ に当接させるリングバネ１５とで構成されている。

【０００９】 オイルシール１０の外側面にはゴム層Ｒが一様に接合され、特に、中央の環状 リップ部１３はその主要部全体がゴムによって形成される。更に、このゴム層Ｒ の内、主部１４の外周端側にはアクスルシャフト２の鍔部３側に膨出する環状膨 出部ａが形成され、筒状フランジ１２の外周面側には環状溝６の底面に向けて膨 出する環状シール部ｂが形成されている（図３（ａ），（ｂ）参照）。 ここで、環状膨出部ａの一部及び同部に対向する主部１４には両者にわたって 貫通する通気穴１６が形成されている。この通気穴１６の外側開口は鍔部３がホ イールハブ５に結合される際に、その内壁面によって閉鎖される位置に形成され ている。なお、通気穴１６はその外側開口が開放されている場合に、内部空間９ を大気圧化できる。

【００１０】 オイルシール１０がホイールハブ５の環状溝６に嵌合された場合、環状膨出部 ａは図３（ａ）に示すように、ホイールハブ５の端部より突き出し量δを確保で きるように形成されている。他方、オイルシール１０の外径、即ち、環状シール 部ｂの外径は環状溝６の内径とほぼ等しく形成され、これによって、オイルシー ル１０を環状溝６にスムーズに嵌合させることを可能としている。 なお、環状シール部ｂは突き出し方向が環状膨出部ａに対して９０度ずれ、環 状膨出部ａが鍔部３によって軸方向Ｘに押圧された際に、環状シール部ｂを半径 方向Ｙに膨出させて、環状シール部ｂの先端を環状溝６の低面に圧接するように 形成されている。

【００１１】 このようなオイルシール１０を図１、図２の全浮動式駆動車軸に装着する場合 、まず、図１のように、オイルシール１０を環状溝６に嵌め込む。この後、アク スルシャフト２の鍔部３をホイールハブ５の端部に当接させ、ハブボルト４を締 め込み、鍔部３とホイールハブ５を一体化する。 この締め込みによって、鍔部３がオイルシールの環状膨出部ａを図３（ｂ）に 示すように圧縮変形する。この結果、通気穴１６は鍔部３の内壁面によって完全 に閉鎖される。しかも、この圧縮変形に連動して環状シール部ｂが軸方向Ｘに押 圧され、その突端を半径方向Ｙに膨出変位させ、環状溝６の低面に圧接するよう になる。この結果、図２、図３（ｂ）に示すように、オイルシール１０は完全に 内部空間９を外部より密閉でき、内部空間のグリース等の流失を防止できる。

【００１２】 他方、メンテナンス時において、ハブボルト４を緩め、アクスルシャフト２の 鍔部３をホイールハブ５の端部より離脱させた場合、環状膨出部ａが自由状態に 復帰する。これに連動して、通気穴１６の外側開口は鍔部３の内壁面より外れ、 開放され、内部空間９を大気圧化する。更に、環状シール部ｂが軸方向Ｘに戻り 自由状態に復帰する。これにより、環状シール部ｂの環状の先端部分が中心線Ｃ の方向に戻り変位して環状溝６の低面より離脱する。 この結果、内部空間９の気密性が解除され、しかも、環状溝６の低壁と筒状フ ランジ１２の環状シール部ｂとのタイトな結合が解除され、環状溝６よりのオイ ルシール１０の取外し作業はスムーズに行われることと成る。

【００１３】 上述の処において、オイルシール１０の環状シール部ｂは環状膨出部ａの圧縮 変位に連動して環状溝６にタイト結合するものとしたが、これに限定されるもの でなく、オイルシールには単に環状シール部ｂのみを形成し、環状溝６に環状シ ール部ｂがタイトに嵌合するような構成を採っても良い。この場合でも、内部空 間９を通気穴１６が大気圧化出来、オイルシール１０の取外し作業をスムーズに 行なうことが出来る。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように、この考案はアクスルハブとアクスルシャフトの鍔部がボルト止 めされる際に通気穴を鍔部によって閉鎖し、完全に内部空間を外部より密閉でき 、内部空間のグリース等の流出を阻止出来、逆に、アクスルハブとアクスルシャ フトの鍔部が分離されると、通気穴が開放され、内側空間を大気圧化してオイル シールの取り出しを容易化出来、メンテナンス時のオイルシール着脱性を向上さ せることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例としてホイールハブのオイル
シールの自由状態での部分断面図である。

【図２】図１のホイールハブのオイルシールの取付状態
での部分断面図である。

【図３】（ａ）は図１中のゴム層Ｒの要部の自由状態で
の拡大断面図、（ｂ）は図２中のゴム層Ｒの要部の弾性
変形時の拡大断面図である。

【図４】全浮動式駆動車軸に装着された従来のオイルシ
ールの部分断面図である。

【図５】全浮動式駆動車軸の要部断面図である。

【符号の説明】

１ アクスルハウジング ２ アクスルシャフト ３ 鍔部 ５ ホイールハブ ６ 環状溝 ９ 内部空間 １０ オイルシール １１ 環状シール面 １２ 筒状フランジ １３ 環状リップ部 １４ 主部 １６ 通気穴 ａ 環状膨出部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アクスルハブの環状溝に嵌合される筒状フ
   ランジと、上記アクスルハブを枢支するアクスルハウジ
   ングの環状シール面に摺接する環状リップ部と、上記環
   状リップ部及び上記筒状フランジを内外周部に一体形成
   した主部とを有し、上記主部には上記アクスルハブとボ
   ルト止めされるアクスルシャフトの鍔部に当接する弾性
   変形可能な膨出部が形成され、上記膨出部及び主部を貫
   通すると共に上記鍔部によって外側開口が閉鎖される通
   気穴が形成されたことを特徴とするホイールハブのオイ
   ルシール。