JPH0311316Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、機械式駐車設備として水平循環方式
と呼ばれる水平循環式駐車設備におけるパレツト
の縦送り機構の改良に関する。

（従来の技術） 一般に、前述水平循環式駐車設備は、矩形状に
配置した縦・横２列宛から成る縦・横移送路上に
対向２隅が空スペースとなるごとく複数の車両搭
載用パレツトを配置し、縦・横１ピツチ宛交互に
移動して循環するごとくなつている。

従来、この駐車設備において、パレツトＰの縦
送り機構は、一部要部を第５，６図に示すよう
に、縦移送路１を挾み前・後に離間して各々左・
右１組宛の前・後スプロケツト２，２を配設し、
前後に対応する各前・後スプロケツト２，２間に
左・右２条の無端チエン３を巻掛け、該両無端チ
エン３にパレツトＰの縦送りピツチに相当して複
数の取付金具４を取着し、左右に対応する取付金
具４，４間に縦送りレール５を横架し、該各縦送
りレール５の左・右部にガイドローラ組立体６を
固設し、各無端チエン３の少くとも上側移動経路
に沿つてガイドレール７を敷設し、無端チエン３
の循環に伴い縦送りレール５が上側移動経路に沿
つて水平移動する際ガイドローラ組立体６の前後
１対のガイドローラ８をガイドレール７上に係合
支持させて縦送りレール５の水平移動時の案内を
行い、移動停止時に縦送りレール５の端部が横移
送路に敷設せる横行レール端部に近接接続するよ
うになつている。

また前述各取付金具４は、前記無端チエン３の
１組のリンクプレートを兼用し隣接するリンクプ
レート３ａ，３ａのチエンローラピン３ｂ，３ｂ
に枢着された形プレート４ａ，４ａと、縦送り
レール５の下面に固設され前記プレート４ａの上
部水平突出面４a₁にボルト締めされた水平板４と
から成り、該水平板４は無端チエン３の延びる方
向に対し直角方向に延び端部下面に前記ガイドロ
ーラ組立体６が取付けられている。

（考案が解決しようとする問題点） ところでこの種駐車設備において前述縦送り機
構に要求される設計的課題の１つは、無端チエン
３、縦送りレール５、およびガイドローラ組立体
６等の高速循環に伴う振動および騒音をいかにし
て小さく抑えるかということである。特に振動・
騒音源となるのは前・後スプロケツト２，２にお
ける反転部である。即ち、第５図において、スプ
ロケツト２のまわりを反時計回り方向に反転する
際、先行側ガイドローラ８の軸心Ｑは、軌跡Ａと
して示すように、スプロケツト２の軸心真上に到
達した位置A₁で最高位となり、この位置から下
降し始め、後続側チエンローラピン３ｂがスプロ
ケツト２の軸心真上に到達した位置A₂で先行側
ガイドローラ８がガイドレール７上に載り、この
位置A₂から水平軌道に移行する。前述構成の縦
送り機構の場合、前記取付金具４がチエンローラ
ピンの１ピツチで枢着されているため、反転／水
平移行期間即ち前記位置A₁，A₂間水平距離Ｌが
短く、高さ距離Ｈが長い。従つて、先行側ガイド
ローラ８が案内レール７上に当接する際の衝撃が
大きく、それに伴い振動・騒音も大きくなる。

（問題点の解決手段） 本考案による縦送り機構の取付金具は、チエン
ローラピンの少くとも２ピツチ以上の距離を隔て
て前後２個所で支持せしめ、このうち一方の支持
部は無端チエンに対し不動の枢点とし、他方の支
持部は前後方向に形成した長穴に前記チエンロー
ラピンの延長部を遊嵌係合させたことを特徴とす
る。

（作用） 無端チエンに対する取付金具の支持が前述のよ
うにチエーンローラピンの少くとも２ピツチ以上
隔てて行われるため、ガイドローラ組立体がスプ
ロケツト部で反転し上側の水平軌道に移行する際
の反転／水平移行期間は、従来のものより水平距
離が長くなり、しかも高さ距離が短くなる。従つ
て、先行側ガイドローラが水平軌道を規制するガ
イドレールへ載る際の衝撃が和らげられ、それに
伴い振動・騒音が大幅に低減される。

（実施例） 以下、第１〜３図に示す実施例に基づき詳述す
る。説明の便宜上、第１図における左・右を
「左」・「右」、第２，３図における左・右を
「前」・「後」と呼称する。

１０ａ，１０ｂおよび１１ａ，１１ｂはそれぞ
れ並列対向して矩形状に形成した横移送路と縦移
送路、１２ａ，１２ｂは前記横移送路１０ａ，１
０ｂ上にそれぞれ平行に固定配置した各２本宛の
横行レールである。

１３は車両搭載用パレツトで、循環移動停止時
においては対角状に両縦移送路１１ａ，１１ｂに
おいて空スペースが生ずるごとく横移送路１０
ａ，１０ｂの総てと縦移送路１１ａ，１１ｂに１
個宛連接配置し、左・右側面前・後に固設した
雄・雌連結金具１３ａにより横方向へのパレツト
相互の連結を行わせるとともにパレツト相互の縦
方向への係合・離脱を可能としてある。

さらに前記パレツト１３は、下面左・右、前・
後に車輪１３ｂを軸支し、該車輪１３ｂを前記横
行レール１２ａ，１２ｂ上に係合支持させてあ
る。

１４は前記横移送路１０ａ，１０ｂに関連して
設けた横送り機構で、以下の構成より成る。１５
ａ，１５ｂは前記横移送路１０ａ，１０ｂの中央
部内側寄りの床において中心を水平回転自在に支
承した旋回リンクで、前記パレツト１３の横幅に
ほぼ等しい長さであり、両端上面に水平回転自在
に押動ローラ１６ａ，１６ｂを軸着し、該押動ロ
ーラは前記パレツト１３の右側下面に前後方向に
設けたガイド溝１３ｃに嵌入係合および離脱可能
に配置してある。１７は両横移送路１０ａ，１０
ｂ間の床に設置した減速機およびブレーキ付の可
逆モータで、伝動回転軸１８を前後方向に延長
し、両端に互いに逆ねじウオーム１９ａ，１９ｂ
を固定し、該ウオーム１９ａ，１９ｂをそれぞれ
前記旋回リンク１５ａ，１５ｂの中心軸と同軸に
固定せるウオーム歯車２０ａ，２０ｂに常時噛合
わせてある。しかして、可逆モータ１７の駆動に
より、伝動回転軸１８、ウオーム１９ａ，１９
ｂ、ウオーム歯車２０ａ，２０ｂを介し、旋回リ
ンク１５ａ，１５ｂが互いに反対方向に旋回し、
該旋回に伴い各押動ローラ１６ａ，１６ｂがパレ
ツト１３のガイド溝１３ｃに嵌入係合しながら横
移送路１０ａ，１０ｂのそれぞれのパレツト１３
群を一体に互いに逆方向に横送りするようになつ
ている。

２１ａ，２１ｂは前記縦移送路１１ａ，１１ｂ
に関連して設けた縦送り機構で、左右対称の同一
構成のため、左側の縦送り機構２１ａについての
み以下説明する。

２２ａ，２２ｂは縦移送路１１ａの前・後方部
床に適宜軸受（図示せず）により左右水平に回転
自在に支持した回転軸で、該各回転軸２２ａ，２
２ｂには左右離間してそれぞれ２個宛の前・後ス
プロケツト２３ａ，２３ｂを固定し、前後に対応
する前記スプロケツト２３ａ，２３ｂ間には左右
２条の無端チエン２４，２４を巻掛けてある。そ
して前記回転軸２２ａの右方延長端には減速機お
よびブレーキ付可逆モータ２５を接続し、該モー
タ２５の駆動により回転軸２２ａ，２２ｂおよび
前・後スプロケツト２３ａ，２３ｂを介し２条の
無端チエン２４を同期的に循環させるごとくして
ある。

２６ａ，２６ｂは前記２条の無端チエン２４，
２４間に左右方向に横断して延びるように前後離
間して並列状に配列した２本１組計４組の縦送り
レールで、隣接する組の対応する縦送りレール２
６ａ，２６ａ間および２６ｂ，２６ｂ間の距離は
パレツト１３の縦送りピツチ、即ち、前側横行レ
ール１２ａ，１２ｂ間距離（または後側横行レー
ル１２ａ，１２ｂ間距離）に等しく設定してあ
る。

次に、各縦送りレール２６ａ，２６ｂの無端チ
エン２４への取り付け手段、およびこれに付随す
る案内手段につき、第２，３図に基づき説明す
る。

２７は前記各無端チエン２４に前記縦送りピツ
チに相当して取着した取付金具で、左右１対の取
付プレート２７ａ，２７ｂから成り、該取付プレ
ート２７ａ，２７ｂは無端チエン２４のリンクプ
レート２４ａの左右両側に配設し、上部に外方直
角水平部２７a₁，２７b₁を形成し、垂直面の前部
は特殊な第１の長尺チエンローラピン２４b₁によ
り回転自在に枢着し、中間部内側面に凹所２７
a₂，２７b₂を形成して前記長尺チエンローラピン
２４b₁から後方１ピツチ目の普通の短尺チエンロ
ーラピン２４b₂端部との接触を回避し、後部は前
後方向に長穴２７a₃，２７b₃を削設するとともに
前記長尺チエンローラピン２４b₁から後方２ピツ
チ目に設けた特殊な第２の長尺チエンローラピン
２４b₃を前記長穴２７a₃，２７b₃に遊嵌してあ
る。２８は前記縦送りレール２６ａ，２６ｂの
左・右部下面に固設した左右方向に細長い水平ブ
ラケツトで、前記外方直角水平部２７ａ１，２７
b₁上面に左右に貫通して削設した浅い凹所２７
a₁₁，２７b₁₁に下部を嵌合させ前後２個宛のボル
ト２９ａ，２９ｂにより外方直角水平部２７a₁，
２７b₁と一体に固定してある。

３０は前記各縦送りレール２６ａ，２６ｂの
左・右端部付近に前記各取付金具２７の水平ブラ
ケツト２８を介し固設したガイドローラ組立体
で、以下の構成より成る。即ち、第２，３図にお
いて、３１ａ，３１ｂは左右に離間して前後方向
に並行した１対の垂直支持板で、中央上端面に浅
い凹所３１a₁，３１b₁を削設し、前記水平ブラケ
ツト２８の右方部下面を前記凹所３１a₁，３１b₁
に嵌合させて溶着してある。前記垂直支持板３１
ａ，３１ｂは各々前・後部を前後方向斜め上方に
延長し該各延長部３１a₂，３１b₂間および３１
a₃，３１b₃間にそれぞれ前・後ガイドローラ３２
ａ，３２ｂを軸着してある。

３３は前記各無端チエン２４の外方に上・下部
前後方向水平移動経路に沿つて敷設した上・下、
左・右計４本のガイドレールで、前記無端チエン
２４の循環移動時に前記各ガイドローラ組立体３
０の前・後ガイドローラ３２ａ，３２ｂが載置係
合して転動し各縦送りレール２６ａ，２６ｂを水
平に案内するごとくしてある。

しかして、例えば左側の縦移送路１１ａにおい
て、前記モータ２５の駆動により２条の無端チエ
ン２４が同方向同速度で縦送りレール２６ｂの１
ピツチ分移動すると、それに伴い、１本の縦送り
レール２６ｂ並びにこれを支持する左・右のガイ
ドローラ組立体３０は前または後スプロケツト２
３ａ，２３ｂまわりに一体に反転する。いま、第
２図において、後スプロケツト２３ｂのまわりを
反時計回り方向に反転するとした場合、先行側ガ
イドローラ３２ａの軸心Q′は軌跡A′として示す
ように、スプロケツト２３ｂの軸心真上に到達し
た位置A₁′で最高位となり、この位置から下降し
始め、後続側の第２長尺チエンローラピン２４b₃
が後スプロケツト２３ｂの軸心真上に到達した位
置A₂′で先行側ガイドローラローラ３２ａが上側
のガイドレール３３上に載り、この位置Ａ２′か
ら水平軌道に移行する。この反転中、取付金具２
７部分の無端チエン２４は後スプロケツト２３ｂ
に噛合係合し、リンクプレート２４ａは関節状に
折れ曲り第１および第２長尺チエンローラピン２
４b₁，２４b₃間の直線距離は若干短くなり、その
短縮分は前記長穴２７a₃，２７b₃で吸収される。

従つて、ガイドローラ３２ａ，３２ｂの直径お
よび軸心間距離、並びに第１および第２長尺チエ
ンローラピン２４b₁，２４b₃の軸心を結ぶ線から
ガイドローラ３２ａ，３２ｂの軸心までの高さ距
離が、それぞれ既述従来技術におけるガイドロー
ラ８，８の直径および軸心間距離、並びにチエン
ローラピン３ｂ，３ｂの軸心を結ぶ線からガイド
ローラ８，８の軸心までの高さ距離に等しいとし
て比較した場合、前記位置A₁′，A₂′間水平距離
L′（即ち、反転／水平移行期間）は従来の前記水
平距離Ｌより長く、また位置A₁′，A₂′の高さ距離
H′は従来の前記高さ距離Ｈより短くなり、さら
に反転軌跡A′の半径は従来の反転軌跡Ａの半径
より小さい。（即ち、ガイドローラ３２ａの周速
度が従来のガイドローラ８より遅い）。このこと
は、先行側ガイドローラ３２ａがガイドレール３
３上に当接する際の衝撃は従来より小さく、それ
に伴い振動・騒音も軽減されることを意味する。

尚、前述実施例では前記取付金具２７の無端チ
エン２４に対する支持間隔をチエンローラピンの
２ピツチとしたが、第４図に示すようにこの支持
間隔をチエンローラピンの３ピツチとしてもよ
い。即ち、第４図において、１２３はスプロケツ
ト、１２４は無端チエン、１２６は縦送りレー
ル、１２７は取付金具、１２７ａは取付プレー
ト、１２８は水平ブラケツト、１３０はガイドロ
ーラ組立体、１３２ａ，１３２ｂはガイドローラ
である。

そして、前記取付金具１２７は、１対の取付プ
レート１２７ａを無端チエン１２６の左右両側に
配置し、前後にチエンローラピンの３ピツチ離間
して前後２本の長尺チエンローラピン１２４b₁，
１２４b₃によりリンクプレート１２４ａ，１２４
ａに枢着するが、後方側長尺チエンローラピン１
２４b₃は取付プレート１２７ａに削設した長穴１
２７b₃に沿つて移動自在となつており、また両長
尺チエンローラピン１２４b₁，１２４b₃間に位置
する２本の短尺チエンローラピン１２４b₂の端部
は取付プレート１２７ａに接触しない状態として
ある。従つて、取付金具１２７部分がスプロケツ
ト１２３ｂまわりを反転するとき、該取付金具１
２７部分のリンクプレート１２４ａが関節状に折
れ曲り、長尺チエンローラピン１２４b₁，１２４
b₃間の直線距離は若干短くなり、その短縮分は前
記長穴１２７b₃で吸収される。この実施例におけ
る反転／水平移行期間としての位置A₁″，A₂′間
水平距離L″および高さ距離H″を、第５図の従来
技術のものと比較すれば（但し第４図は第５図の
２倍の尺度となつている）、L″は従来のＬにほぼ
等しいが、H″は従来のＨの約1/2であり、先行側
ガイドローラ１３２ａがガイドレール１３３上に
当接する際の衝撃は従来より大幅に軽減されるこ
とが判る。

（考案の効果） 以上詳述したように、本考案による水平循環式
駐車設備の縦送り機構によれば、縦送りレールお
よびガイドローラ組立体を無端チエンに取付ける
取付金具はチエンローラピンの少くとも２ピツチ
以上の距離を隔てて前後２個所で支持せしめ、こ
のうち一方の支持部は無端チエンに対し不動の枢
点とし、他方の支持は前後方向に形成した長穴に
チエンローラピンの延長部を遊嵌係合させたた
め、ガイドローラ組立体の先行ガイドローラが反
転から水平移動に移動する期間における水平距離
へ長くなる上、この期間において先行側ガイドロ
ーラが降下してガイドレールへ着地する高さ距離
が短くなり、ガイドローラの周速度が遅くなるこ
とと相俟つて、ガイドローラがガイドレールに当
たる衝撃は小さくなり、これに伴い振動・騒音も
大幅に軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１〜４図はいずれも本考案の実施例を示すも
ので、第１図は駐車設備全体の全体平面図、第２
図は第１図の〜矢視拡大側面図、第３図は第
２図の〜矢視拡大底面図、第４図は別実施例
を示す第２図相当図である。第５，６図は従来の
縦送り機構を示すもので、第５図は第２図相当の
要部側面図、第６図は第５図の〜矢視拡大底
面図である。 図中、１０ａ，１０ｂは横移送路、１１ａ，１
１ｂは縦移送路、１３はパレツト、１３ｂは車
輪、２１ａ，２１ｂは縦送り機構、２３ａ，２３
ｂは前・後スプロケツト、２４は無端チエン、２
４ａはリンクプレート、２４b₁，２４b₃は長尺チ
エンローラピン、２６ａ，２６ｂは縦送りレー
ル、２７は取付金具、２７ａ，２７ｂは取付プレ
ート、３０はガイドローラ組立体、３１ａ，３１
ｂは垂直支持板、３２ａ，３２ｂは前・後ガイド
ローラ、３３はガイドレールである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 矩形状に配置した縦・横２列宛から成る縦・横
   移送路上に対向２隅が空スペースとなるごとく複
   数の車両搭載用パレツトを配置し縦・横１ピツチ
   宛交互に移動して循環するごとくした水平循環式
   駐車設備であつて、パレツトの縦送り機構を、前
   記縦移送路を挾み前・後に離間して配設した各々
   左・右１組宛の前・後スプロケツトと、該各前・
   後スプロケツト間に巻掛けた左・右２条の無端チ
   エンと、該両無端チエンに縦送りピツチに相当し
   て取着した複数の取付金具と、左右に対応する前
   記取付金具間に横架した縦送りレールと、該縦送
   りレールの左・右部に固設したガイドローラ組立
   体と、前記各無端チエンの少なくとも上側移動経
   路に沿つて敷設し前記縦送りレールが該上側移動
   経路を移動する際前記ガイドローラ組立体のガイ
   ドローラを係合支持させて縦送りレールの水平移
   動時の案内を行い移動停止時に該縦送りレールの
   端部が横移送路に敷設せる横行レール端部に近接
   接続するようにしたガイドレールとから構成した
   ものにおいて、前記各取付金具はチエンローラピ
   ンの少くとも２ピツチ以上の距離を隔てて前後２
   個所で支持せしめ、このうち一方の支持部は無端
   チエンに対し不動の枢点とし、他方の支持部は前
   後方向に形成した長穴に前記チエンローラピンの
   延長部を遊嵌係合させたことを特徴とする、水平
   循環式駐車設備の縦送り機構。