JPH0635078Y2 - 平面循環式駐車装置におけるトレイ縦送り装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は，車両等を載置すべき横行車輪付トレイの任意
数を平面内に複数列平行に配置してその一方の対角線上
の両端部にトレイ１台分のデッドスペースを形成し，前
記トレイ列の横及び縦方向に配設されるべきそれぞれの
送り装置の作動により前記トレイを２工程方式にて移動
循環せしめるようにした型式の平面循環式駐車装置にお
けるトレイ縦送り装置に係るものである。

（従来の技術） 前記種類の平面循環式駐車装置は，既に，実用新案登録
第861562号（実公昭43-15059）「平面循環式駐車装置」
として開示され公知となっており，当該駐車装置におい
ては，横送り固定レールと縦送り移動レールとの組合せ
で横送り装置及び縦送り装置を相互に駆動することによ
り順次トレイを２工程方式にて移動循環せしめるもので
あるが，この場合，縦送り装置は構造フレームに張設し
てある一対のエンドレスチエーン間にトレイを載置する
移動レールが等ピッチにて配置してあり，循環動作は横
送り乃至縦送りの何れかが先行し，交互に作動して前記
トレイを移動循環するように構成されている。

（考案が解決しようとする問題点） 前述したような平面循環式駐車装置のトレイ縦送り装置
において，エンドレスチエーンに等間隔に配置されてい
る移動レールはトレイの横行車輪ゲージに対応して同寸
法でなければならず，トレイの車輪ゲージを無視して短
縮乃至伸長することはできない。従って，一対の横送り
のピッチとエンドレスチエーンの全長は，常にレールゲ
ージの倍数となることから一対の横送り装置またはトレ
イを含めた構造フレーム等の全巾を越えた縦送りの全長
となり，これが搬送りチエーンの全長とならざるを得な
いというケースが発生する。

そこで，駐車装置としての必要な平面寸法は，自動車を
載置するトレイと該トレイが車輪で走行するレール並び
に構造フレームの設置されるスペースが最小限であれば
良いが，これに較べて縦送り装置は，殆んどの場合，前
記平面寸法に収まらないため，計画時の建築空間は前記
縦送り装置の全長をまかなえる寸法で設定せざるを得な
いという問題がある。例えば，前述したトレイ縦送り装
置は，その始端部及び末端部がトレイ端縁より外方へ突
出しているために，機器設置スペースの利用効率が悪
く，構造が複雑でコスト高になっている。

本考案の目的は，トレイ縦送り装置の全長を短縮して設
置スペースの利用効率を向上させると共に，装置構造を
簡略化してコストダウンを図ることにある。

（問題点を解決するための手段） 本考案は前記目的を達成するために、トレイに、トレイ
横行車輪の他にトレイ縦行車輪を増設するとともに、ト
レイ縦行時に床側ガイドに作動係合するトレイ側ガイド
を設け、駐車装置には、デッドスペースから当該デッド
スペースに対向する他のトレイ列の端部にかけて敷設さ
れた縦送り固定レールと、横送り固定レール上を移動す
るトレイの縦行車輪の取付位置に対応する縦送り固定レ
ールの部位に設けられた補助ローラと、縦送り固定レー
ルの下側に収納設置され、トレイを前記縦送り固定レー
ルに沿って縦送り駆動するトレイ縦送り装置とを設け、
このトレイ縦送り装置は、縦送り固定レールの下方に設
けられた駆動側架台上に設置された駆動モータと、該駆
動モータに作動連結され水平面で回転する駆動スプロケ
ットと、駆動スプロケットとは縦行方向に所定の距離間
隔をおいて設置された被駆動スプロケットと、前記駆動
スプロケットおよび被駆動スプロケットの間に掛け渡さ
れ駆動循環動作を行なうエンドレスチェーンと、このエ
ンドレスチェーンに取り付けられ、トレイ縦行時に前記
トレイ側ガイドに作動係合するトレイ縦送り用の牽引ロ
ーラとを具備し、牽引ローラは縦行方向に、トレイの全
長にトレイ列間の間隙寸法を加算した範囲で循環駆動せ
しめられるようにしたことを要旨とする。

（実施例） 第１図において,1は自動車等を載置しているか，または
載置しないで移動循環せしめられるトレイ,2はトレイ左
側縦送り装置,3はトレイ右側縦送り装置,4はトレイ前方
横送り装置,5はトレイ後方横送り装置をそれぞれ示すも
のであって，トレイ１は２列平行に且つ相互に隣接して
任意数平面内に配置されており，その一方の対角線上の
両端部にトレイ１台分のデッドスペース6,7が形成して
あり，トレイ１の裏面には，第６図及び第７図にも示さ
れているように，横送り固定レール８上を走行する対向
配置の１対（計４個）の横行車輪９と縦送り固定レール
10上を走行する対向配置の１対（計４個）の縦行車輪11
が取付けてある。また，横送り固定レール８と縦送り固
定レール10とが交差する前記縦送り固定レールの内側近
傍の、横送り固定レール８上を移動するトレイ１の縦行
車輪11の取付位置に対応する縦送り固定レール10の部位
には、前記縦行車輪11が縦送りに際して乗る担持部材例
えば補助ローラ12が設置してあり，トレイ１の裏面には
トレイ横送り装置（4,5）の旋回アームの先端ローラ
（共に図示せず）が嵌合する縦向きガイドすなわちガイ
ド溝13を設けてトレイ横送りと縦送りに共用するように
なっており，更に，前記ガイド溝の同一軸線上には床側
雄ガイド14に嵌合して通過するトレイ側雌ガイド15と手
前側の両端部には１対の床側横行ガイド16に嵌合してト
レイ横送りを行うと共にトレイ縦送りを行うのに使用さ
れる溝状の横向きガイドすなわちトレイ側ガイド17,18
が設けてある。

なお，各トレイ１の左側前後部には逆Ｌ字状の雄連結金
具19が，右側前後部にはＵ字状の雌連結金具20が設けて
あって両連結金具の噛合によりカップラ21を形成し，両
トレイ列間にはトレイ縦送り時の横ずれ防止用の床側ガ
イド22が設けてある。

次に，前述した構成から左側トレイ縦送り装置２と右側
トレイ縦送り装置３は，第１図に示すように，トレイ１
の全長にトレイ列間の間隙距離、すなわち一方のトレイ
列と他方のトレイ列に配置されたトレイの内側端部間の
間隙の距離を加算した範囲内に配置されるものであっ
て，この場合，左右側トレイ縦送り装置は全く同様の構
造を有するので，右側トレイ縦送り装置３についてのみ
説明する。当該右側トレイ縦送り装置３は、第２図乃至
第５図に示すように，縦送り固定レール10,10の下部に
一体的に設けた駆動側架台23上に設置してある駆動モー
タとしてのギヤードモータ24（ブレーキ25,モータ26,減
速機27）と、該モータにカップリング28を介して直結さ
れているベベルギヤ対29と、これに駆動連結した主原動
スプロケット30及び従原動スプロケット31と、該従原動
スプロケットに同軸的に取付けてある上下の駆動スプロ
ケット32と、これによって循環駆動される２本のエンド
レスチェーン33が水平に掛けてある上下の被駆動スプロ
ケット34とを有する。この場合、第３図及び第４図に示
すように，ベベルギヤ対29及び主原動スプロケット30は
駆動側架台23の内方に１対の軸受35を介して枢設されて
いる駆動シャフト36に取付けられてあり，従原動スプロ
ケット31及び上下の駆動スプロケット32は駆動側架台23
の外方に１対の軸受37を介して枢設されている他の駆動
シャフト38に取付けてあって，これらのスプロケット3
1、32は前記主原動スプロケット及び従原動スプロケッ
トに装架されているチェーン39によってギヤードモータ
24の動力を伝達せしめられる。

また，上下の被駆動スプロケット34は，第５図に示すよ
うに，被駆動側架台40の外方に１対の軸受41を介して枢
設されている駆動シャフト42に取付けてあり，駆動スプ
ロケット32及び被駆動スプロケット34に水平に装架され
ている２本のエンドレスチェーンの全長の半分の位置ま
たはその近傍を２本の連結アーム43,44にて連続し，こ
れらのアーム上に立設したピン45,46の先端にはトレイ
１の裏面の手前側両隅部に形成してある溝状のトレイ側
ガイド18（17）に嵌合する牽引ローラ47,48が装着して
あって，これらのピン乃至ローラは駆動スプロケット32
と被駆動スプロケット34の最外周端にきた時にトレイ１
の全長にトレイ列間の間隙距離を加算した位置にもたら
されるように設定されている。更に，駆動側架台23と被
駆動側架台40の両側にはチェーンガイド49が設けてあっ
て,2本のエンドレスチェーン33のたるみを防止して円滑
な駆動循環を行うために，前記チェーンに等ピッチにて
複数個の補助ガイドローラ（図示せず）及び２本の連結
アーム43,44にそれぞれガイドローラ50,51が取付けてあ
る。以上の説明から明らかなように、駆動側架台23やギ
ヤードモータ24、駆動スプロケット32等の駆動側の各種
部材、および被駆動側架台40や被駆動スプロケット34等
の被駆動側の各種部材からなる縦送り装置２、３は、ほ
ぼ全体をトレイ１の全長、全幅内に収納されて固定レー
ル10の平面区域（範囲）からはみ出ることはなく、駐車
装置の平面積を小さくすることができる。

なお，第１図において,2工程方式によるトレイ移動循環
は，縦送り装置2,3及び横送り装置4,5の同期駆動回路
（図示せず）にて行われ，また，これらの両送り装置は
個々的に単独駆動回路（図示せず）にてそれぞれトレイ
の縦送りと横送りが行われるものである。

（作用） 第１図において，トレイ１は同期して同時に反対方向に
移動される左右側縦送り2,3及び前後方横送り装置4,5の
作動により２工程方式にて移動循環せしめて所定の入出
庫を行うものであって，この場合，第５図及び第７図に
示すように，カップラ21にて相互に連結されている各ト
レイ１は後方横送り装置５の作動により横送りされる時
に横送り固定レール８上を横行車輪９が走行して（縦行
車輪はフリーになっている），最右端のトレイ１がデッ
ドスペース６に定置せしめられるものであり，このトレ
イ横送りに際し，トレイ裏面に形成してある溝状のトレ
イ側ガイド17,18は床側横行ガイド16をそれぞれ跨過す
るようになっているから脱論することはなく，また，縦
行車輪11は補助ローラ12上に移載されて縦送りが可能な
状態となる。

次いで，第２図乃至第５図に示されているトレイ縦送り
装置３（２）のギヤードモータ24を駆動して主原動スプ
ロケット30を時針方向に回転せしめると，チエーン39を
介して従原動スプロケット31も時針方向に回転し，従っ
て，このスプロケットと同軸に取付けてある上下の駆動
スプロケット32が回転するために（第３図及び第４
図）、上下の被駆動スプロケット34間に装架されている
２本のエンドレスチエーン33は，第２図に示すように，
水平面で矢印Ａ方向に移動循環せしめられる。このチエ
ーン移動循環に伴ってエンドレスチエーン33に連結アー
ム43（44）を介して取付けてあるピン45（46）の先端に
装着した牽引ローラ47（48）がトレイ１の裏面に形成し
てある溝状のトレイ側ガイド17（18）に係合して，トレ
イ１は，第６図及び第７図に示すように，カップラ21が
外れて矢印Ｂ方向に縦送りされる。このトレイ１の縦送
りの開始時点において、ピン46および牽引ローラ48は被
駆動スプロケット34の最外端、すなわち縦方向Ｂの運動
に対して死点に相当する位置にあるから、トレイ１は初
速ゼロから最初ゆっくりと縦行移動し始め次第に加速さ
れる。次いで前記ピン46および牽引ローラ48がエンドレ
スチェーン33の平行部分を移動するときは、トレイ１は
このエンドレスチェーン33の循環速度と同じ速度で運搬
される。そして、ピン46および牽引ローラ48が反対側の
駆動スプロケット32に差しかかるとトレイ１は次第に減
速せしめられ、目的の位置に到達したときは前記ピン46
および牽引ローラ48は駆動スプロケット32の最外端、す
なわち、やはり縦行方向Ｂの運動に対して死点に相当す
る位置にあるから、トレイ１の移動速度はゼロとなる。
このため、トレイ１が縦送り駆動を受けるにあたって
は、急激な作動にともなう衝撃を受けることがなく静か
な縦送り作動が実現される。そして、トレイ１が、第１
図に示す実線位置まで移動せしめられると同時に他のト
レイ縦送り装置２の作動にて，それまではデッドスペー
ス７にあったトレイ１は反対方向に縦送りされて実線位
置まで移動せしめられ，引き続いて前記両送り装置の相
互作動による２工程方式にてトレイ移動循環を行って所
定のトレイ入出庫運転を行うものである。

（考案の効果） 以上述べたところから，本考案によれば，トレイ横行車
輪の他に縦行車輪を設けると共に、トレイの全長にトレ
イ列間の間隙距離を加算した範囲にトレイを縦方向に移
動するため水平面内で回転する駆動スプロケットを備え
たトレイ縦送り装置を設置したので、縦送り装置の高さ
寸法を小さく抑えることができる。また、この縦送り装
置により、横行車輪で横移動してきたトレイを横送り固
定レール及び縦送り固定レールの交差部において，前記
縦行車輪を前記縦送り固定レールの補助ローラ上に移載
してトレイの縦送りを行うことができ，従って，垂直内
で循環駆動するエンドレスチエーンによる移動レールを
使用することなくエンドレスチェーンの水平循環駆動に
よるトレイの縦送りが可能となることからトレイ縦送り
装置の全長を短縮して装置の全平面積を縮小することに
よって立体空間効率の向上とコストダウンを図ることが
できるものである。

また、トレイの縦送りは縦送り装置によって初速ゼロか
らスタートして加速され、次に到達地点に着いたときに
速度がゼロになるように減速作用を受けながら縦行移動
せしめるから、トレイの縦送り駆動に際し、急激な作動
にともなう衝撃を受けることがなく、静かな縦送り作動
が実現される。

また，本考案は複数列トレイのコーナ部分にトレイ１台
分のデッドスペースを形成し，横送り及び縦送り装置の
作動により２工程方式にてトレイを移動循環せしめる型
式の駐車装置または一層に限定されることなく多層の駐
車装置に適応し得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るトレイ縦送り装置を設置した平面
循環式駐車装置の平面図，第２図は本考案に係るトレイ
縦送り装置の平面図，第３図，第４図及び第５図は第２
図中のIII−III線,IV−IV線及びＶ−Ｖ線に沿う矢視
図，第６図及び第７図はトレイの縦及び横送りガイドの
関係を示す略図的平面図及び正面図である。 １……トレイ,2,3……トレイ左右側縦送り装置,4,5……
前後方横送り装置,6,7……デッドスペース,8……横送り
固定レール,9……横行車輪,10……縦送り固定レール,11
……縦行車輪,23……駆動側架台,24……ギヤードモー
タ,29……ベベルギヤ対,30……主原動スプロケット,31
……従原動スプロケット,32……駆動スプロケット,33…
…エンドレスチエーン,34……被駆動スプロケット,40…
…被駆動側架台,45,46……ピン,47,48……牽引ローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両を載置すべき横行車輪付トレイの任意
   数を平面内に複数列平行に配置してその一方の対角線上
   の両端部にトレイ１台分のデッドスペースを形成し、前
   記トレイ列の横及び縦方向に配設されるべきそれぞれの
   送り装置の作動により前記トレイを２工程方式にて移動
   循環せしめるようにした型式の駐車装置において、 トレイに、トレイ横行車輪の他にトレイ縦行車輪を増設
   するとともに、トレイ縦行時に床側ガイドに作動係合す
   るトレイ側縦向きガイドを設け、 駐車装置には、デッドスペースから当該デッドスペース
   に対向する他のトレイ列の端部にかけて敷設された縦送
   り固定レールと、横送り固定レール上を移動するトレイ
   の縦行車輪の取付位置に対応する縦送り固定レールの部
   位に設けられた補助ローラと、縦送り固定レールの下側
   に収納設置され、トレイを前記縦送り固定レールに沿っ
   て縦送り駆動するトレイ縦送り装置とを設け、 トレイ縦送り装置は、縦送り固定レールの下方に設けら
   れた駆動側架台上に設置された駆動モータと、該駆動モ
   ータに作動連結され水平面で回転する駆動スプロケット
   と、駆動スプロケットとは縦行方向に所定の距離間隔を
   おいて設置された被駆動スプロケットと、前記駆動スプ
   ロケットおよび被駆動スプロケットの間に掛け渡され駆
   動循環動作を行なうエンドレスチェーンと、このエンド
   レスチェーンに取り付けられ、トレイ縦行時にトレイ側
   横向きガイドに作動係合するトレイ縦送り用の牽引ロー
   ラとを具備し、 トレイ牽引ローラは縦行方向に、トレイの全長にトレイ
   列間の間隙寸法を加算した範囲で循環駆動せしめられる
   ことを特徴とする平面循環式駐車装置におけるトレイ縦
   送り装置。