JP7392258B2 - 伸縮性配線基板およびウェアラブルデバイス - Google Patents

伸縮性配線基板およびウェアラブルデバイス Download PDF

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Description

本発明は、伸縮性配線基板およびウェアラブルデバイスに関する。
近年、伸縮性配線基板を構成する配線に用いる材料について様々な開発がなされている。この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、エラストマーからなるウェアラブル筐体と、このウェアラブル筐体の主面上に配設された配線層と、を有する弾性ウェアラブルフレキシブル基板が記載されている。
特開2016-076531号公報
しかしながら、本発明者が検討したところ、上記特許文献1に記載の伸縮性配線基板において、伸長時特性およびウェアラブル適合性の点で改善の余地を有していることが判明した。
本発明者はさらに検討したところ、伸縮性配線基板の伸長時特性およびウェアラブル適合性について、基板硬度×(基板厚み/配線厚み)で表される剛性パラメータを指針とすることにより適切に制御できることを見出した。このような知見に基づきさらに鋭意研究したところ、剛性パラメータを所定の数値範囲内とすることにより、伸縮性配線基板の伸長時特性およびウェアラブル適合性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
エラストマーを含有する基板と、
前記基板の一面上に接置されており、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線と、を有する伸縮性配線基板であって、
未伸長時の前記基板の厚みをT1(μm)とし、未伸長時の前記基板のJIS K6253(1997)に準拠した25℃におけるタイプAデュロメータ硬さをH1とし、未伸長時の前記配線の厚みをT2(μm)としたとき、
H1、T1、およびT2が、以下の式(I)を満たす剛性構造を有する、伸縮性配線基板が提供される。
20≦H1×(T1/T2)≦1000 ・・(I)
また本発明によれば、
上記伸縮性配線基板を備えるウェアラブルデバイスが提供される。
本発明によれば、伸長時特性およびウェアラブル適合性に優れた伸縮性配線基板および、それを用いたウェアラブルデバイスが提供される。
本実施形態における電子装置の概略を示す断面図である。 本実施形態における電子装置の製造工程の概略を示す断面図である。 基板厚み、配線厚みの測定方法を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、本明細書中において、「~」は特に断りがなければ以上から以下を表す。
本実施形態の伸縮性配線基板は、エラストマーを含有する基板と、基板の一面上に接置されており、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線と、を有するものである。
未伸長時の基板の厚みをT1(μm)とし、
未伸長時の基板のJIS K6253(1997)に準拠した25℃におけるタイプAデュロメータ硬さをH1とし、
未伸長時の配線の厚みをT2(μm)としたとき、
当該伸縮性配線基板は、H1、T1、およびT2が、以下の式(I)を満たす剛性構造を有するものである。
20≦H1×(T1/T2)≦1000 ・・(I)
本発明者の知見によれば、基板硬度、および基板と配線の厚み比の両方の要素を適切に制御することで、身体への追従性を維持しつつも、伸長時に配線への応力が低下して配線ダメージを抑制できることが判明した。
このような知見に基づいて鋭意検討した結果、2つの要素を組み合わせて、基板硬度×(基板厚み/配線厚み)で表される剛性パラメータを指針とすることにより、伸縮性配線基板の伸長時特性およびウェアラブル適合性を適切に制御できること、そして、剛性パラメータを所定の数値範囲内とすることにより、剛性パラメータで規定される剛性構造を有する伸縮性配線基板の伸長時特性およびウェアラブル適合性が改善されることが見出された。
詳細なメカニズムは定かでないが、適当な剛性パラメータで規定される剛性構造により、配線への応力が低下し、繰り返し伸長後の配線ダメージや配線抵抗値上昇が抑制されるとともに、身体への追従性を高められる、と考えられる。
本実施形態の伸縮性配線基板は、各種用途に用いることができるが、例えば、ウェアラブルデバイスに好適に用いることができる。
また、本実施形態の伸縮性配線基板は、繰り返し伸長後における配線ダメージが抑制されるため、優れた接続信頼性、すなわち、高耐久性を実現することができる。
以下、本実施形態の伸縮性配線基板の各構成について説明する。
本実施形態の伸縮性配線基板は、少なくともエラストマーを含有する基板とエラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線とを有するものである。基板は絶縁性であり、一方の配線は導電性である。このような伸縮性配線基板は、適度な伸縮性を発現させ、伸縮電気特性を高めることができる。
配線は、導電ペーストを使用して作製されていてもよい。導電性ペーストは、エラストマー組成物と、導電性フィラーと、溶剤と、を含むことができる。導電性ペーストを使用して形成された配線において、適度な伸縮性を発現することができる。
基板は、絶縁ペーストを使用して作製されていてもよい。絶縁性ペーストは、エラストマー組成物と溶剤を含むものである。このような絶縁ペーストを使用して作製された基板は、機械的強度および絶縁性に優れている。
(エラストマー)
上記基板や配線に含まれるエラストマーとしては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、エラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムからなる群から選択される一種以上の熱硬化性エラストマーを含むことができる。また、エラストマーは、化学的に安定であり、また、機械的強度にも優れる観点からシリコーンゴムを含むことができる。
上記熱硬化性エラストマーは、熱硬化性エラストマー組成物の硬化物で構成することができる。例えば、上記シリコーンゴムは、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成することができる。なお熱可塑性エラストマーは、熱可塑性エラストマー組成物の乾燥物で構成することができる。
本明細書中、エラストマー組成物は、上記基板や配線に含まれるエラストマーを構成するために用いるものであり、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムからなる群から選択される一種以上の熱硬化性エラストマーを形成するために用いる熱硬化性エラストマー組成物を含むことができ、好ましくは、シリコーンゴム系硬化性組成物を含むことができる。
以下、本実施形態に係る配線が、シリコーンゴム系硬化性組成物を含む導電性ペーストを用いて形成された一例について説明する。その後、基板が、シリコーンゴム系硬化性組成物を含む絶縁性ペーストを用いて形成された一例について説明する。
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を含むことができる。ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物の主成分となる重合物である。
上記ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、直鎖構造を有するビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を含むことができる。
上記ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)のビニル基の含有量は、特に限定されないが、例えば、分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ15モル%以下であるのが好ましく、0.01~12モル%であるのがより好ましい。これにより、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中におけるビニル基の量が最適化され、後述する各成分とのネットワークの形成を確実に行うことができる。本実施形態において、「~」は、その両端の数値を含むことを意味する。
なお、本明細書中において、ビニル基含有量とは、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する全ユニットを100モル%としたときのビニル基含有シロキサンユニットのモル%である。ただし、ビニル基含有シロキサンユニット1つに対して、ビニル基1つであると考える。
また、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の重合度は、特に限定されないが、例えば、好ましくは1000~10000程度、より好ましくは2000~5000程度の範囲内である。なお、重合度は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の比重は、特に限定されないが、0.9~1.1程度の範囲であるのが好ましい。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、上記のような範囲内の重合度および比重を有するものを用いることにより、得られるシリコーンゴムの耐熱性、難燃性、化学的安定性等の向上を図ることができる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、特に、下記式(1)で表される構造を有するものであるが好ましい。
Figure 0007392258000001
式(1)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられ、中でも、ビニル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
さらに、式(1)中のRおよびRの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(1)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。さらに、R、およびRについても同様である。
さらに、m、nは、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは0~2000の整数、nは1000~10000の整数である。mは、好ましくは0~1000であり、nは、好ましくは2000~5000である。
また、式(1)で表されるビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)の具体的構造としては、例えば下記式(1-1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007392258000002
式(1-1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、メチル基またはビニル基であり、少なくとも一方がビニル基である。
さらに、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)としては、ビニル基含有量が分子内に2個以上のビニル基を有し、かつ0.4モル%以下である第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が0.5~15モル%である第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを含有するものであるのが好ましい。シリコーンゴムの原料である生ゴムとして、一般的なビニル基含有量を有する第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、ビニル基含有量が高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせることで、ビニル基を偏在化させることができ、シリコーンゴムの架橋ネットワーク中に、より効果的に架橋密度の疎密を形成することができる。その結果、より効果的にシリコーンゴムの引裂強度を高めることができる。
具体的には、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)として、例えば、上記式(1-1)において、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、分子内に2個以上有し、かつ0.4モル%以下を含む第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と、Rがビニル基である単位および/またはRがビニル基である単位を、0.5~15モル%含む第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを用いるのが好ましい。
また、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)は、ビニル基含有量が0.01~0.2モル%であるのが好ましく、0.02~0.15モル%がより好ましい。また、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)は、ビニル基含有量が、0.5~12モル%が好ましく、0.8~8モル%がより好ましい。
さらに、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)と第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)とを組み合わせて配合する場合、(A1-1)と(A1-2)の比率は特に限定されないが、例えば、重量比で(A1-1):(A1-2)が50:50~95:5、好ましくは60:40~92:8、より好ましくは80:20~90:10である。
なお、第1および第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)および(A1-2)は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)は、分岐構造を有するビニル基含有分岐状オルガノポリシロキサン(A2)を含んでもよい。
<<オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)を含むことができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)とに分類され、これらのうちのいずれか一方または双方を含むことができる。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖構造を有し、かつ、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分が有するビニル基とヒドロシリル化反応し、これらの成分を架橋する重合体である。
直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量が20000以下であるのが好ましく、1000以上、10000以下であることがより好ましい。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の重量平均分子量は、例えばクロロホルムを展開溶媒としたGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)におけるポリスチレン換算により測定することができる。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
以上のような直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)としては、例えば、下記式(2)で表される構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 0007392258000003
式(2)中、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
また、Rは炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基、これらを組み合わせた炭化水素基、またはヒドリド基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基等が挙げられる。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
なお、式(2)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。Rについても同様である。ただし、複数のRおよびRのうち、少なくとも2つ以上がヒドリド基である。
また、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
なお、式(2)中のR,R,Rの置換基としては、例えば、メチル基、ビニル基等が挙げられ、分子内の架橋反応を防止する観点から、メチル基が好ましい。
さらに、m、nは、式(2)で表される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)を構成する繰り返し単位の数であり、mは2~150整数、nは2~150の整数である。好ましくは、mは2~100の整数、nは2~100の整数である。
なお、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有するため、架橋密度が高い領域を形成し、シリコーンゴムの系中の架橋密度の疎密構造形成に大きく寄与する成分である。また、上記直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)同様、Siに水素が直接結合した構造(≡Si-H)を有し、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)のビニル基の他、シリコーンゴム系硬化性組成物に配合される成分のビニル基とヒドロシリル化反応し、これら成分を架橋する重合体である。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の比重は、0.9~0.95の範囲である。
さらに、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、通常、ビニル基を有しないものであるのが好ましい。これにより、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の分子内において架橋反応が進行するのを的確に防止することができる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)としては、下記平均組成式(c)で示されるものが好ましい。
平均組成式(c)
(H(R3-aSiO1/2(SiO4/2
(式(c)において、Rは一価の有機基、aは1~3の範囲の整数、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)
式(c)において、Rは一価の有機基であり、好ましくは、炭素数1~10の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基である。炭素数1~10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~10のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。
式(c)において、aは、ヒドリド基(Siに直接結合する水素原子)の数であり、1~3の範囲の整数、好ましくは1である。
また、式(c)において、mはH(R3-aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である。
分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は分岐状構造を有する。直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、その構造が直鎖状か分岐状かという点で異なり、Siの数を1とした時のSiに結合するアルキル基Rの数(R/Si)が、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)では1.8~2.1、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)では0.8~1.7の範囲となる。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、分岐構造を有しているため、例えば、窒素雰囲気下、1000℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の残渣量が5%以上となる。これに対して、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)は、直鎖状であるため、上記条件で加熱した後の残渣量はほぼゼロとなる。
また、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の具体例としては、下記式(3)で表される構造を有するものが挙げられる。
Figure 0007392258000004
式(3)中、Rは炭素数1~8の置換または非置換のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基、もしくは水素原子である。炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。炭素数1~8のアリール基としては、例えば、フェニル基が挙げられる。Rの置換基としては、例えば、メチル基等が挙げられる。
なお、式(3)中、複数のRは互いに独立したものであり、互いに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
また、式(3)中、「-O-Si≡」は、Siが三次元に広がる分岐構造を有することを表している。
なお、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)において、Siに直接結合する水素原子(ヒドリド基)の量は、それぞれ、特に限定されない。ただし、シリコーンゴム系硬化性組成物において、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)中のビニル基1モルに対し、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)の合計のヒドリド基量が、0.5~5モルとなる量が好ましく、1~3.5モルとなる量がより好ましい。これにより、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B1)および分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B2)と、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1)との間で、架橋ネットワークを確実に形成させることができる。
本実施形態において、導電性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、導電性ペースト全体に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中におけるシリコーンゴム系硬化性組成物の含有量は、導電性ペースト全体に対して、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
シリコーンゴム系硬化性組成物の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性ペーストを用いて形成された配線が適度な柔軟性を持つことができる。また、シリコーンゴム系硬化性組成物の含有量を上記上限値以下とすることにより配線の機械的強度の向上を図ることができる。
<<シリカ粒子(C)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、必要に応じ、シリカ粒子(C)を含むことができる。これにより、シリコーンゴム系硬化性組成物から形成されるエラストマーの硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
本実施形態の導電性ペーストは、導電性フィラーに加えてシリカ粒子(C)を含有することにより、当該導電性ペーストの硬化物等で構成されるエラストマーの機械的強度や耐久性を向上させることができる。このような導電性ペーストを使用して、伸縮性配線基板を構成する配線などの導電性樹脂膜を作製することによって、その導電性樹脂膜の機械的強度や耐久性を向上させることができる。これにより、本実施形態の導電性ペーストで形成された配線を備える伸縮性配線基板の伸縮電気特性を高めることができる。
シリカ粒子(C)としては、特に限定されないが、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカ粒子(C)は、例えば、BET法による比表面積が例えば50~400m/gであるのが好ましく、100~400m/gであるのがより好ましい。また、シリカ粒子(C)の平均一次粒径は、例えば1~100nmであるのが好ましく、5~20nm程度であるのがより好ましい。
シリカ粒子(C)として、かかる比表面積および平均粒径の範囲内であるものを用いることにより、形成されるシリコーンゴムの硬さや機械的強度の向上、特に引張強度の向上をさせることができる。
本実施形態において、導電性ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量は、導電性ペーストの全体に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中におけるシリカ粒子(C)の含有量は、導電性ペーストの全体に対して、例えば、20量%以下、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
シリカ粒子(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性ペーストを使用して作製された配線のエラストマーが適度な機械的強度を持つことができる。また、シリカ粒子(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、導電性ペーストを使用して作製された配線が適度な導電特性を持つことができる。
<<シランカップリング剤(D)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、シランカップリング剤(D)を含むことができる。
シランカップリング剤(D)は、加水分解性基を有することができる。加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基がシリカ粒子(C)表面の水酸基と脱水縮合反応することで、シリカ粒子(C)の表面改質を行うことができる。
また、このシランカップリング剤(D)は、疎水性基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にこの疎水性基が付与されるため、シリコーンゴム系硬化性組成物中ひいてはシリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)の凝集力が低下(シラノール基による水素結合による凝集が少なくなる)し、その結果、シリコーンゴム系硬化性組成物中のシリカ粒子の分散性が向上すると推測される。これにより、シリカ粒子とゴムマトリックスとの界面が増加し、シリカ粒子の補強効果が増大する。さらに、ゴムのマトリックス変形の際、マトリックス内でのシリカ粒子の滑り性が向上すると推測される。そして、シリカ粒子(C)の分散性の向上及び滑り性の向上によって、シリカ粒子(C)によるシリコーンゴムの機械的強度(例えば、引張強度や引裂強度など)が向上する。
さらに、シランカップリング剤(D)は、ビニル基を有するシランカップリング剤を含むことができる。これにより、シリカ粒子(C)の表面にビニル基が導入される。そのため、シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、シリカ粒子(C)が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中にシリカ粒子(C)も取り込まれるようになる。これにより、形成されるシリコーンゴムの低硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
シランカップリング剤(D)としては、疎水性基を有するシランカップリング剤およびビニル基を有するシランカップリング剤を併用することができる。
シランカップリング剤(D)としては、例えば、下記式(4)で表わされるものが挙げられる。
-Si-(X)4-n・・・(4)
上記式(4)中、nは1~3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。Xは、加水分解性基を表わす。
疎水性基は、炭素数1~6のアルキル基、アリール基、またはこれらを組み合わせた炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基等が挙げられ、中でも、特に、メチル基が好ましい。
また、親水性基は、例えば、水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基またはカルボニル基等が挙げられ、中でも、特に、水酸基が好ましい。なお、親水性基は、官能基として含まれていてもよいが、シランカップリング剤(D)に疎水性を付与するという観点からは含まれていないのが好ましい。
さらに、加水分解性基は、メトキシ基、エトキシ基のようなアルコキシ基、クロロ基またはシラザン基等が挙げられ、中でも、シリカ粒子(C)との反応性が高いことから、シラザン基が好ましい。なお、加水分解性基としてシラザン基を有するものは、その構造上の特性から、上記式(4)中の(Y-Si-)の構造を2つ有するものとなる。
上記式(4)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例は、次の通りである。
上記官能基として疎水性基を有するものとして、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシランのようなクロロシラン;ヘキサメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、及びトリメチルエトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
上記官能基としてビニル基を有するものとして、例えば、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランのようなアルコキシシラン;ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシランのようなクロロシラン;ジビニルテトラメチルジシラザンが挙げられる。この中でも、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルメチルジメトキシシランからなる群から選択される一種以上を含むビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
本実施形態において、シランカップリング剤(D)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、シランカップリング剤(D)の含有量上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対して、100質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤(D)の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性ペーストを用いて形成された配線とエラストマーを含有する基板との適度な密着性を持ち、また、シリカ粒子(C)を用いる場合においては、配線と基板全体としての機械的強度の向上に資することができる。また、シランカップリング剤(D)の含有量を上記上限値以下とすることにより、導電性樹脂膜が適度な機械特性を持つことができる。
またシランカップリング剤(D)がトリメチルシリル基を有するシランカップリング剤およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤の2種を含む場合、疎水性基を有するものとしてはヘキサメチルジシラザン、ビニル基を有するものとしてはジビニルテトラメチルジシラザンを含むことが好ましい。
トリメチルシリル基を有するシランカップリング剤(D1)およびビニル基含有オルガノシリル基を有するシランカップリング剤(D2)を併用する場合、(D1)と(D2)の比率は、特に限定されないが、例えば、重量比で(D1):(D2)が、1:0.001~1:0.35、好ましくは1:0.01~1:0.20、より好ましくは1:0.03~1:0.15である。このような数値範囲とすることにより、所望のシリコーンゴムの物性を得ることができる。具体的には、ゴム中におけるシリカの分散性およびゴムの架橋性のバランスを図ることができる。
<<白金または白金化合物(E)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、白金または白金化合物(E)を含むことができる。
白金または白金化合物(E)は、硬化の際の触媒として作用する触媒成分である。白金または白金化合物(E)の添加量は触媒量である。
白金または白金化合物(E)としては、公知のものを使用することができ、例えば、白金黒、白金をシリカやカーボンブラック等に担持させたもの、塩化白金酸または塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンの錯塩、塩化白金酸とビニルシロキサンとの錯塩等が挙げられる。
なお、白金または白金化合物(E)は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における白金または白金化合物(E)の含有量は、触媒量を意味し、適宜設定することができるが、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して、白金族金属が重量単位で0.01~1000ppmとなる量であり、好ましくは、0.1~500ppmとなる量である。
白金または白金化合物(E)の含有量を上記下限値以上とすることにより、シリコーンゴム系硬化性組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、白金または白金化合物(E)の含有量を上記上限値以下とすることにより、製造コストの削減に資することができる。
<<水(F)>>
また、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物には、上記成分(A)~(E)以外に、水(F)が含まれていてもよい。
水(F)は、シリコーンゴム系硬化性組成物に含まれる各成分を分散させる分散媒として機能するとともに、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)との反応に寄与する成分である。そのため、シリコーンゴム中において、シリカ粒子(C)とシランカップリング剤(D)とを、より確実に互いに連結したものとすることができ、全体として均一な特性を発揮することができる。
さらに、水(F)を含有する場合、その含有量は、適宜設定することができるが、具体的には、シランカップリング剤(D)100重量部に対して、例えば、10~100重量部の範囲であるのが好ましく、30~70重量部の範囲であるのがより好ましい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
<<有機過酸化物(H)>>
本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、有機過酸化物(H)を含むことができる。有機過酸化物(H)は、触媒として作用する成分である。有機過酸化物(H)は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)に代えて、またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)および白金または白金化合物(E)と有機過酸化物(H)を併用して使用することができる。
有機過酸化物(H)としては、例えば、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーオキシエステル類およびパーオキシジカーボネート類が挙げられ、具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-ビス(2,5-t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルパーベンゾエート、1,6-ヘキサンジオール-ビス-t-ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
本実施形態において、シリコーンゴム系硬化性組成物中における有機過酸化物(H)の含有量は、具体的にはビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シリカ粒子(C)、シランカップリング剤(D)の合計量100重量部に対して0.001~10質量%、特に0.002~8質量%が好ましい。有機過酸化物(H)の含有量を上記下限値以上とすることにより、架橋反応を十分に進行させることができ、高いゴム強度、また低い圧縮永久歪等の物性を担保することが可能となる。また、有機過酸化物(H)の含有量を上記上限値以下にすることにより、触媒の分解物を抑制することができる、また、圧縮永久歪を抑制し、得られたシートの変色を抑制することができる。
(その他の成分)
さらに、本実施形態のシリコーンゴム系硬化性組成物は、上記(A)~(F)成分以外に、他の成分をさらに含むことができる。この他の成分としては、例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等のシリカ粒子(C)以外の無機充填材、反応阻害剤、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等の添加剤が挙げられる。
(導電性フィラー)
本実施形態の導電性ペーストは、導電性フィラーを含むものである。この導電性フィラーとしては、公知の導電材料を用いることができる。
例えば、配線を構成するエラストマーは、例えば、導電性フィラーとして、金属、カーボンまたは導電性ポリマーを含むことができる。導電性フィラーは、粉粒状、繊維状、ワイヤー状のいずれであってもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記導電性フィラーは、金属粉(G)を含むことができる。
上記金属粉(G)を構成する金属は特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらを合金化した金属粉のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。
これらのうち、金属粉(G)としては、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅を含むこと、すなわち、銀粉または銅粉を含むことが好ましい。
なお、これらの金属粉(G)は他種金属でコートしたものも使用できる。
上記金属粉(G)としては、形状にとくに制限はないが、鱗片状、樹枝状、球状等が用いられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、伸縮時の接続信頼性の観点から、鱗片状を用いることが好ましい。
上記カーボンとしては、公知の導電性カーボンであれば特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
上記導電性ポリマーとしては、公知のものを使用することができ、例えば、導電性ポリマー単体、導電性ポリマー被覆繊維等を用いることができる。
本実施形態において、導電性ペースト中における導電性フィラーの含有量の下限値は、導電性ペーストの全体に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電性ペースト中における導電性フィラーの含有量の上限値は、導電性ペーストの全体に対して、例えば、90質量%以下、85質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、65質量%以下であることがさらに好ましい。
また、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線中の導電性フィラーの含有量の下限値は、配線全体に対して、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記配線中の導電性フィラーの含有量の上限値は、配線全体に対して、例えば、95質量%以下、90質量%以下であることが好ましく、87質量%以下であることがより好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
導電性フィラーの含有量を上記下限値以上とすることにより、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線が適度な導電特性を持つことができる。また、導電性フィラーの含有量を上記上限値以下とすることにより、配線が適度な柔軟性を持つことができる。
上記金属粉(G)の含有量としては、導電性フィラー100質量%に対して、たとえば、90質量%以上であり、好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは99質量%以上であり、一方で、100質量%以下としてもよい。
また、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線中のシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上とすることができる。これにより、配線の機械的強度を向上させることができる。一方で、上記配線中のシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、シリカ粒子(C)および導電性フィラーの合計量100質量%に対して、例えば、20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下である。これにより、配線の伸縮電気特性と機械的強度のバランスを図ることができる。
(溶剤)
本実施形態の導電性ペーストは、溶剤を含むものである。この溶剤としては、公知の各種溶剤を用いることができるが、例えば、高沸点溶剤を含むことができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記高沸点溶剤の沸点の下限値は、例えば、100℃以上であり、好ましくは130℃以上であり、より好ましくは150℃以上である。これにより、スクリーン印刷などの印刷安定性を向上させることができる。一方で、上記高沸点溶剤の沸点の上限値は、特に限定されないが、例えば、300℃以下でもよく、290℃以下でもよく、280℃以下でもよい。これにより、配線形成時においての過度の熱履歴を抑制できるので、下地基板へのダメージや、導電性ペーストで形成された配線の形状を良好に維持することができる。
また、本実施形態の溶剤としては、エラストマー組成物の溶解性や沸点の観点から適切に選択できるが、例えば、炭素数5以上20以下の脂肪族炭化水素、好ましくは炭素数8以上18以下の脂肪族炭化水素、より好ましくは炭素数10以上15以下の脂肪族炭化水素を含むことができる。
また、本実施形態の溶剤の一例としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、トリフルオロメチルベンゼン、ベンゾトリフルオリドなどの芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタンなどのハロアルカン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのカルボン酸アミド類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類などを例示することができる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで用いられる溶媒は、上記の導電性ペースト中の組成成分を均一に溶解ないし分散させることのできる溶媒の中から適宜選択すればよい。
室温25℃においてせん断速度20〔1/s〕で測定した時の導電性ペーストの粘度の下限値は、例えば、1Pa・s以上であり、好ましくは5Pa・s以上であり、より好ましくは10Pa・s以上である。これにより、成膜性を向上させることができる。また、厚膜形成時においても形状保持性を高めることができる。一方で、室温25℃における導電性ペーストの粘度の上限値は、例えば、100Pa・s以下であり、好ましくは90Pa・s以下であり、より好ましくは80Pa・s以下である。これにより、導電性ペーストにおける印刷性を向上させることができる。
(導電性ペーストの製造方法)
以下、本実施形態に係る導電性ペーストの製造方法について説明する。
本実施形態の導電性ペーストは、たとえば、以下に示すような工程を経ることにより製造することができる。
まず、シリコーンゴム系硬化性組成物の各成分を、任意の混練装置により、均一に混合してシリコーンゴム系硬化性組成物を調製する。
[1]たとえば、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)と、シリカ粒子(C)と、シランカップリング剤(D)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置により、混練することで、これら各成分(A)、(C)、(D)を含有する混練物を得る。
なお、この混練物は、予めビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とシランカップリング剤(D)とを混練し、その後、シリカ粒子(C)を混練(混合)して得るのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)中におけるシリカ粒子(C)の分散性がより向上する。
また、この混練物を得る際には、水(F)を必要に応じて、各成分(A)、(C)、および(D)の混練物に添加するようにしてもよい。これにより、シランカップリング剤(D)とシリカ粒子(C)との反応をより確実に進行させることができる。
さらに、各成分(A)、(C)、(D)の混練は、第1温度で加熱する第1ステップと、第2温度で加熱する第2ステップとを経るようにするのが好ましい。これにより、第1ステップにおいて、シリカ粒子(C)の表面をカップリング剤(D)で表面処理することができるとともに、第2ステップにおいて、シリカ粒子(C)とカップリング剤(D)との反応で生成した副生成物を混練物中から確実に除去することができる。その後、必要に応じて、得られた混練物に対して、成分(A)を添加し、更に混練してもよい。これにより、混練物の成分のなじみを向上させることができる。
第1温度は、例えば、40~120℃程度であるのが好ましく、例えば、60~90℃程度であるのがより好ましい。第2温度は、例えば、130~210℃程度であるのが好ましく、例えば、160~180℃程度であるのがより好ましい。
また、第1ステップにおける雰囲気は、窒素雰囲気下のような不活性雰囲気下であるのが好ましく、第2ステップにおける雰囲気は、減圧雰囲気下であるのが好ましい。
さらに、第1ステップの時間は、例えば、0.3~1.5時間程度であるのが好ましく、0.5~1.2時間程度であるのがより好ましい。第2ステップの時間は、例えば、0.7~3.0時間程度であるのが好ましく、1.0~2.0時間程度であるのがより好ましい。
第1ステップおよび第2ステップを、上記のような条件とすることで、前記効果をより顕著に得ることができる。
[2]次に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを所定量秤量し、その後、任意の混練装置を用いて、上記工程[1]で調製した混練物に、各成分(B)、(E)を混練することで、シリコーンゴム系硬化性組成物(エラストマー組成物)を得る。
なお、この各成分(B)、(E)の混練の際には、予め上記工程[1]で調製した混練物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)とを、上記工程[1]で調製した混練物と白金または白金化合物(E)とを混練し、その後、それぞれの混練物を混練するのが好ましい。これにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応を進行させることなく、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中に確実に分散させることができる。
各成分(B)、(E)を混練する際の温度は、ロール設定温度として、例えば、10~70℃程度であるのが好ましく、25~30℃程度であるのがより好ましい。
さらに、混練する時間は、例えば、5分~1時間程度であるのが好ましく、10~40分程度であるのがより好ましい。
上記工程[1]および上記工程[2]において、温度を上記範囲内とすることにより、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。また、上記工程[1]および上記工程[2]において、混練時間を上記範囲内とすることにより、各成分(A)~(E)をシリコーンゴム系硬化性組成物中により確実に分散させることができる。
なお、各工程[1]、[2]において使用される混練装置としては、特に限定されないが、例えば、ニーダー、2本ロール、バンバリーミキサー(連続ニーダー)、加圧ニーダー等を用いることができる。
また、本工程[2]において、混練物中に1-エチニルシクロヘキサノールのような反応抑制剤を添加するようにしてもよい。これにより、混練物の温度が比較的高い温度に設定されたとしても、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)との反応の進行をより的確に防止または抑制することができる。
また、本工程[2]において、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と白金または白金化合物(E)に代えて、またはオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と白金または白金化合物(E)と併用して、有機過酸化物(H)を添加してもよい。有機過酸化物(G)を混練する際の温度、時間等の好ましい条件、使用する装置については、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)と、白金または白金化合物(E)とを混練する際の条件と同様である。
[3]次に、工程[2]で得られたエラストマー組成物(シリコーンゴム系硬化性組成物)を、溶剤に溶解させ、導電性フィラー(金属粉(G))を加えることで、導電性ペーストを得ることができる。
[伸縮性配線基板]
以下、伸縮性配線基板(配線基板50)の一例について、図1を示しながら説明する。図1には、伸縮性配線基板を備えた電子装置100(ウェアラブルデバイス)の概略を断面図として図示している。
電子装置100は、図1に示すように、配線基板50と、電子部品60と、を備えることができる。
配線基板50(伸縮性配線基板)は、基板20上に配線10を備えることにより構成される。基板20は、エラストマーを含有し、上記の絶縁性ペーストを硬化させたもので構成され得る。配線基板50は、配線10の少なくとも下面と接するもので、配線10を支持する部材である。
配線10は、エラストマーおよび導電性フィラーを含有し、上記の導電性ペーストを硬化させたもので構成され得る。配線10は、上面視において、直線状、矩形状、巻き形状等の各種の配線パターンを有し得る。
本実施形態の電子装置100を構成する基板20は、通常、柔軟性を有する材料により構成される。
この材料としては、前述のエラストマーと同様のものを採用することができる。具体的には、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いることができ、用途等に応じ、この材料を適宜選択することができる。また、基板20は、上記のシリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物で構成されていてもよい。
また、基板20は、上述のエラストマー組成物を用いて作製することができる。また、基板20は、シリカ粒子を含有するエラストマー組成物と溶剤とを含む絶縁性ペーストを用いて構成されていてもよい。この溶剤としては、前述の溶剤と同様の上述の溶剤種を用いることができるが、この中でも上記導電性ペーストや導電性ペーストの硬化物である導電性シートに対して溶解性を示す溶剤を用いることができる。具体的な絶縁性ペーストの溶剤としては、例えば、高沸点溶剤等を用いることができる。
絶縁ペーストは、上記の導電性ペーストの製造方法と同様にして、工程[2]で得られたエラストマー組成物(シリコーンゴム系硬化性組成物)を、溶剤に溶解させて絶縁性ペーストが得られる。
この場合、絶縁性ペースト中におけるエラストマー組成物の含有量は、絶縁性ペースト全体に対して、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また、絶縁性ペースト中におけるエラストマー組成物の含有量は、絶縁性ペースト全体に対して、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。絶縁ペーストから基板を作製する際は、支持体に絶縁ペーストを塗布後、溶剤を揮発させることで作製することが可能である。必要に応じて、溶剤を揮発させた膜をさらなる加熱によって硬化させてもよい。
また、シリカ粒子(C)の含有量の上限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、例えば、60重量部以下でもよく、好ましくは50重量部以下でもよく、さらに好ましくは35重量部以下でもよい。これにより、硬さや引張強等の機械的強度のバランスを図ることができる。また、シリカ粒子(C)の含有量の下限値は、ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合計量100重量部に対し、特に限定されないが、例えば、20重量部以上でもよい。
また、エラストマーを含有する基板が含むシリカ粒子(C)の含有量の上限値は、基板全体に対して、例えば、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。また、上記基板中のシリカ粒子(C)の含有量の下限値は、基板全体に対して、例えば、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。
基板中のシリカ粒子(C)の含有量を上記下限値以上とすることにより、基板が適度な機械的強度を持つことができる。一方、基板中のシリカ粒子(C)の含有量を上記上限値以下とすることにより、基板が適度な伸縮特性を持つことができる。これにより、繰り返し使用時における耐久性を高めることができる。
本実施形態において、伸縮性配線基板(配線基板50)は、H1、T1、およびT2が、以下の式(I)を満たす剛性構造を有するものである。かかる剛性構造は、伸縮性配線基板の少なくとも一部に形成されていればよく、配線が形成された領域全体亘って構成されていてもよい。また、配線基板50の積層構造中、配線10と配線10の下面に接した配線10とが、上記剛性構造を満たすものであればよい。
20≦H1×(T1/T2)≦1000 ・・(I)
上記式(I)中、基板厚みT1は、未伸長時の基板20の厚み(μm)とし、H1は、未伸長時の基板20のJIS K6253(1997)に準拠した25℃におけるタイプAデュロメータ硬さとし、T2は、未伸長時の配線10の厚み(μm)とする。
上記式(I)中のH1×(T1/T2)の下限値は、20以上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上である。これにより、伸長時特性を高めることができる。一方、H1×(T1/T2)の上限値は、1000以下、好ましくは960以下、より好ましくは930以下である。これにより、ウェアラブルデバイス適合性を高めることができる。
上記式(I)中のH1(基板硬度)は、例えば、20~80、好ましくは25~75、より好ましくは30~70である。このような数値範囲内とすることにより、伸長時特性をより一層高めることができる。
なお、基板20の厚みが所定厚みに満たない場合、例えば、基板20の一部を切り出した切出片を複数枚積層して、所定厚みのサンプルを作成し、このサンプルの硬度を「H1」としてもよい。
基板厚みT1、配線厚みT2は、次のようにして測定できる。図3を用いて説明する。図3は、厚みの測定方法を説明するための配線基板50の概略を示す。図3(a)中、X軸、Y軸、Z軸は、3次元空間において互いに直交する。Z軸方向は、基板や配線の厚み方向、X軸方向は、上面視形状が矩形形状の配線の短手方向(幅方向)、Y軸方向は、上面視形状が矩形形状の配線の長手方向(延在方向)を意味する。図3(b)は、図3(a)のA-A矢視における断面図である。
<基板厚みT1>
配線基板50の厚みについて、定圧厚さ測定器を用いて、図3(a)中の点線で囲まれた5点を測定する。5点は、配線10の近傍のものであればよく、隣接した点間距離が等間隔となるように選択する。5点の厚みの平均値を、基板厚みT1とする。
<配線厚みT2>
配線10の幅方向(X方向)の中心を、イオンビームを用いて研磨し、切断面を得る。得られた切断面について、視野領域:600μm×480μm、視野数:1視野、倍率:200倍の条件で、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察像を得る。図3(b)に示すように、配線10の中央部近傍における厚みを、観察像に基づいて計測し、配線厚みT2とする。
なお、配線10が上面視形状が四角形状の電極パッドの場合、切断面は電極パッドの中央近傍を通過すればよい。
上記基板厚みT1は、例えば、5μm~5mm、好ましくは10μm~3mm、より好ましくは15μm~1.5mmである。基板厚みT1を上記下限値以上とすることで、基板の絶縁性を向上させることや、伸縮性配線基板の機械的強度を向上させることができる。基板厚みT1を上記上限値以下とすることで、伸縮性配線基板の柔軟性を向上させることができる。また製造コストを押させることができる。
上記配線厚みT2は、例えば、3μm~300μm、好ましくは5μm~200μm、より好ましくは10μm~100μmである。配線厚みT2を上記下限値以上とすることで、配線の導通性を向上させ、伸縮性配線基板の伸長時接続性を向上させることができる。配線厚みT2を上記上限値以下とすることで、伸縮性配線基板の柔軟性を向上させることができる。また製造コストを押させることができる。
また、本実施形態において、基板厚みT1/配線厚みT2は、例えば、1.0~30.0、好ましくは1.5~25.0、より好ましくは2.0~22.0である。このような数値範囲とすることにより、50%伸長時の接続信頼性とともにウェアラブル適合性のバランスを図ることができる。
基板の、JIS K6252(2001)に準拠して測定される引裂強度の下限値としては、例えば、25N/mm以上であり、好ましくは30N/mm以上であり、より好ましくは33N/mm以上であり、さらに好ましくは35N/mm以上である。これにより、耐傷付き性や機械的強度を向上させることができる。また、基板の繰り返し使用時における耐久性を向上させることができる。一方で、基板の引裂強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、70N/mm以下としてもよく、60N/mm以下としてもよい。これにより、基板の硬化物の諸特性のバランスをとることができる。
基板の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される引張強度の下限値としては、例えば、5.0MPa以上であり、好ましくは6.0MPa以上であり、より好ましくは7.0MPa以上である。これにより、基板の機械的強度を向上させることができる。一方で、基板の引張強度の上限値としては、特に限定されないが、例えば、15MPa以下としてもよく、13MPa以下としてもよい。これにより、基板の操作性を良好なものとすることができる。
基板の、JIS K6251(2004)に準拠して測定される破断伸びの下限値としては、例えば、500%以上であり、好ましくは700%以上であり、より好ましくは800%以上である。これにより、基板の高伸縮性および耐久性を向上させることができる。一方で、基板の破断伸びの上限値としては、特に限定されないが、例えば、2000%以下としてもよく、1500%以下としてもよく、1100%以下としてもよい。これにより、基板の機械的強度を向上させることができる。
本実施形態では、たとえば基板や配線中に含まれる各成分の種類や配合量、基板や配線を形成するための組成物の調製方法や樹脂製可動部材の製造方法等を適切に選択することにより、上記H1×(T1/T2)、引張強度、引裂強度および破断伸びを制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、基板や配線のエラストマーを構成する樹脂の種類や配合比率、樹脂の架橋密度や架橋構造等を適切に制御したり、無機充填材の配合比率や無機充填材の分散性を向上させること等が、上記H1×(T1/T2)、引張強度、引裂強度および破断伸びを所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
配線基板50は、機械的強度を高めつつも、繰り返し伸縮したときの伸縮電気特性を維持することができるため、接続信頼性や耐久性に優れた電子装置100の構造を実現することができる。
本実施形態の電子装置100は、たとえばウェアラブルデバイスとして用いられるものであり、各方向に繰り返し伸縮される装置に好適に用いることができる。
電子部品60は、このような伸縮性配線基板(配線基板50)を構成する配線10に電気的に接続するように構成されていてもよい。
また、上記電子部品60は、用途に応じ、公知の部品の中から適宜選択すればよい。
具体的には、半導体素子、及び半導体素子以外の抵抗やコンデンサ等を挙げることができる。半導体素子としては、たとえば、トランジスタや、ダイオード、LED、コンデンサ等を挙げることができる。本実施形態の電子装置100において、この電子部品60は配線10により導通が図られている。
また、本実施形態の電子装置100は、必要に応じ、カバー材30が備えられていてもよい。このカバー材30を備えることにより、配線10、電子部品60が損傷されることを防ぐことができる。カバー材30は、電子部品60や、基板20上の配線10を覆うように構成されていてもよい。
また、このカバー材30は、基板20と同様の材料により構成することができる。このようなカバー材30が基板20や配線10の伸縮に追従することから、電子装置100全体として、偏りなく伸縮することができ、この電子装置100の長寿命化にも資することができる。
次に、本実施形態の電子装置100の製造工程の一例について図2を用いて説明する。
図2は、本実施形態における電子装置100の製造工程の概略を示す断面図である。
まず図2(a)に示すように、作業台110上に支持体120を設置し、その支持体120上に絶縁性ペースト130を塗工する。塗工方法としては、各種の方法を用いることができるが、例えば、スキージ140を用いたスキージ方法などの印刷法を用いることができる。続いて、塗膜状の絶縁性ペースト130を乾燥させて、支持体120上に絶縁層132(乾燥した絶縁性シート)を形成することができる。乾燥条件は、絶縁性ペースト130中の溶剤の種類や量に応じて適宜設定することができるが、例えば、乾燥温度を150℃~180℃、乾燥時間を1分~30分等とすることができる。
続いて、図2(b)に示すように、絶縁層132上に、所定の開口パターン形状を有するマスク160を配置する。そして、図2(b)、(c)に示すように、マスク160を介して、絶縁層132上に導電性ペースト150を塗工する。塗工方法は、絶縁性ペースト130の塗工方法と同様の手法を用いることができ、例えば、スキージ140によるスキージ印刷を用いてもよい。ここで、絶縁性ペースト130および導電性ペースト150がそれぞれ熱硬化性エラストマー組成物を含む場合、乾燥した絶縁層132上に、所定のパターン形状を有する導電性塗膜(導電層152)を積層した後、これらを一括して硬化処理してもよい。硬化処理としては、熱硬化性エラストマー組成物に応じて適宜設定できるが、例えば、硬化温度を160℃~220℃、硬化時間を1時間~3時間等とすることができる。硬化処理後または硬化処理前に、図2(d)に示すように、マスク160を取り外すことができる。これにより、絶縁層132の硬化物で構成される基板上に、所定のパターン形状を有する、導電層152の硬化物である配線を形成することができる。
続いて、図2(e)に示すように、絶縁層132およびパターン状の導電層152の上に、さらに絶縁性ペースト170を塗工し、図2(f)に示すように絶縁層172を形成することができる。これらの工程を適宜、繰り返してもよい。また、絶縁層132から支持体120を分離することも可能である。
以上により、図2(f)に示す電子装置100を得ることができる。
なお、絶縁性ペーストに代えて絶縁性シートを使用する場合、図2(b)に示す工程から開始してもよい。すなわち、支持体120上に絶縁性シートを設置し、所定の乾燥を行った後、その絶縁性シート上にマスク160を介して導電性ペースト150を塗布してもよい。以後の工程は、上述の工程に従って行うことができる。これにより、図2(f)に示す電子装置100を得ることが可能である。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、参考形態の例を付記する。
1. エラストマーを含有する基板と、
前記基板の一面上に接置されており、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線と、を有する伸縮性配線基板であって、
未伸長時の前記基板の厚みをT1(μm)とし、未伸長時の前記基板のJIS K6253(1997)に準拠した25℃におけるタイプAデュロメータ硬さをH1とし、未伸長時の前記配線の厚みをT2(μm)としたとき、
H1、T1、およびT2が、以下の式(I)を満たす剛性構造を有する、伸縮性配線基板。
20≦H1×(T1/T2)≦1000 ・・(I)
2. 1.に記載の伸縮性配線基板であって、
上記式(I)中のH1は、20以上80以下である、伸縮性配線基板。
3. 1.または2.に記載の伸縮性配線基板であって、
前記基板および前記配線に含まれるエラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含む、伸縮性配線基板。
4. 1.から3.のいずれか1つに記載の伸縮性配線基板であって、
前記基板は、シリカ粒子(C)を含む、伸縮性配線基板。
5. 1.から4.のいずれか1つに記載の伸縮性配線基板であって、
前記導電性フィラーは、金属、カーボンまたは導電性ポリマーを含む、伸縮性配線基板。
6. 1.から5.のいずれか1つに記載の伸縮性配線基板を備えるウェアラブルデバイス。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例において用いた材料は以下の通りである。
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A))
(A1-1):第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.13モル%、Mn=227,734、Mw=573,903、IV値(dl/g)=0.89)、下記の合成スキーム1により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造)
(A1-2):第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン:ビニル基含有量は0.92モル%、下記の合成スキーム2により合成したビニル基含有ジメチルポリシロキサン(上記式(1-1)で表わされる構造でRおよびRがビニル基である構造)
(オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B))
(B):オルガノハイドロジェンポリシロキサン:モメンティブ社製、「TC-25D」
(シリカ粒子(C))
(C):シリカ微粒子(粒径7nm、比表面積300m/g)、日本アエロジル社製、「AEROSIL300」
(シランカップリング剤(D))
(D-1):ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、Gelest社製、「HEXAMETHYLDISILAZANE(SIH6110.1)」
(D-2):ジビニルテトラメチルジシラザン、Gelest社製、「1,3-DIVINYLTETRAMETHYLDISILAZANE(SID4612.0)」
(白金または白金化合物(E))
(E):白金または白金化合物:モメンティブ社製、「TC-25A」
(水(F))
(F):純水
(金属粉(G))
(G1):銀粉、徳力化学研究所社製、商品名「TC-101」、メジアン径d50:8.0μm、アスペクト比16.4、平均長径4.6μm
(ビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)の合成)
[合成スキーム1:第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)の合成]
下記式(5)にしたがって、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を合成した。
すなわち、Arガス置換した、冷却管および攪拌翼を有する300mLセパラブルフラスコに、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)、カリウムシリコネート0.1gを入れ、昇温し、120℃で30分間攪拌した。なお、この際、粘度の上昇が確認できた。
その後、155℃まで昇温し、3時間攪拌を続けた。そして、3時間後、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン0.1g(0.6mmol)を添加し、さらに、155℃で4時間攪拌した。
さらに、4時間後、トルエン250mLで希釈した後、水で3回洗浄した。洗浄後の有機層をメタノール1.5Lで数回洗浄することで、再沈精製し、オリゴマーとポリマーを分離した。得られたポリマーを60℃で一晩減圧乾燥し、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-1)を得た(Mw=573,903、Mn=227,734)。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.13モル%であった。
Figure 0007392258000005
[合成スキーム2:第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)の合成]
上記(A1-1)の合成工程において、オクタメチルシクロテトラシロキサン74.7g(252mmol)に加えて2,4,6,8-テトラメチル2,4,6,8-テトラビニルシクロテトラシロキサン0.86g(2.5mmol)を用いたこと以外は、(A1-1)の合成工程と同様にすることで、下記式(6)のように、第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A1-2)を合成した。また、H-NMRスペクトル測定により算出したビニル基含有量は0.92モル%であった。
Figure 0007392258000006
(シリコーンゴム系硬化性組成物の調製)
次のようにしてシリコーンゴム系硬化性組成物1を調整した。
まず、下記の表1に示す割合で、90%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)、シランカップリング剤(D)および水(F)の混合物を予め混練し、その後、混合物にシリカ粒子(C)を加えてさらに混練し、混練物(シリコーンゴムコンパウンド)を得た。
ここで、シリカ粒子(C)添加後の混練は、カップリング反応のために窒素雰囲気下、60~90℃の条件下で1時間混練する第1ステップと、副生成物(アンモニア)の除去のために減圧雰囲気下、160~180℃の条件下で2時間混練する第2ステップとを経ることで行い、その後、冷却し、残り10%のビニル基含有オルガノポリシロキサン(A)を2回に分けて添加し、20分間混練した。
続いて、下記の表1に示す割合で、得られた混練物(シリコーンゴムコンパウンド)100重量部に、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(B)、白金または白金化合物(E)を加えて、ロールで混練し、シリコーンゴム系硬化性組成物A~E(エラストマー組成物)を得た。
Figure 0007392258000007
[導電性ペーストの作製]
得られた13.7重量部のシリコーンゴム系硬化性組成物Eを、31.8重量部のテトラデカン(溶剤)に浸漬し、続いて自転・公転ミキサーで撹拌し、54.5重量部の金属粉(G1)を加えた後に三本ロールで混練することで、液状の導電性ペーストを得た。
[伸縮性配線基板の作製]
(実施例1~7、11、比較例2)
得られたシリコーンゴム系硬化性組成物Bを170℃、10MPaで10分間プレスし、表2に示す厚みのシート状に成形すると共に、1次硬化した。続いて、200℃、4時間で二次硬化して、シート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。それを幅:2cm×長さ:5cmに切り出し、エラストマー製「基板」を作製した。
続いて、得られた導電性ペーストを用いて、この「基板」上に、配線パターンを描き、これを180℃120分の条件で硬化し、表2に示す厚み×幅:500μm×長さ:30mmの「配線」を有する試験片1~7、11、13(伸縮性配線基板)を作製した。
基板厚みT1、配線厚みT2の測定方法は、以下の通りである。
<基板厚みT1>
配線基板50の厚みについて、定圧厚さ測定器を用いて、図3(a)中の点線で囲まれた5点を測定した。5点は、配線10に近傍しており、隣接した点間距離が等間隔となるように選択した。5点の厚みの平均値を、基板厚みT1とした。
<配線厚みT2>
配線10の幅方向(X方向)の中心を、イオンビームを用いて研磨し、切断面を得た。得られた切断面について、視野領域:600μm×480μm、視野数:1視野、倍率:200倍の条件で、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察像を得た。図3(b)に示すように、配線10の中央部近傍における厚みを、得られた観察像に基づいて計測し、配線厚みT2とした。
(実施例8)
シリコーンゴム系硬化性組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す厚みの「基板」、表2に示す厚みの「配線」を有する試験片8(伸縮性配線基板)を作製した。
(実施例9)
シリコーンゴム系硬化性組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す厚みの「基板」、表2に示す厚みの「配線」を有する試験片9(伸縮性配線基板)を作製した。
(実施例10、比較例1)
シリコーンゴム系硬化性組成物Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、表2に示す厚みの「基板」、表2に示す厚みの「配線」を有する試験片10、12(伸縮性配線基板)を作製した。
<硬度:デュロメータ硬さA>
厚みが1mmであること以外は、[伸縮性配線基板の作製]と同様に各実施例、各比較例のシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られた厚さ1mmのシートを6枚積層し、6mmの試験片を作製した。得られた試験片を用いて、JIS K6253(1997)に準拠して、25℃におけるタイプAデュロメータ硬さを測定した。
硬度については、2つのサンプルを用いて、各サンプルでn=5で測定を行い、計10個の測定の平均値を測定値とした。結果を表2に示す。
Figure 0007392258000008
<引張強度、破断伸び>
厚みが1mmであること以外は、[伸縮性配線基板の作製]と同様に各実施例、各比較例のシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られた厚さ1mmのエラストマー層を用いて、JIS K6251(2004)に準拠して、ダンベル状3号形試験片を作製し、得られた試験片の25℃における引張強度および破断伸びを測定した。引張強度の単位は、MPaである。破断伸びは、[チャック間移動距離(mm)]÷[初期チャック間距離(60mm)]×100で計算した。単位は%である。結果を表3に示す。
<引裂強度>
厚みが1mmであること以外は、[伸縮性配線基板の作製]と同様に各実施例、各比較例のシート状シリコーンゴム(シリコーンゴム系硬化性組成物の硬化物)を得た。得られた厚さ1mmのシートを用いて、JIS K6252(2001)に準拠して、クレセント形試験片を作製し、得られたクレセント形試験片の25℃における引裂強度を測定した。単位は、N/mmである。結果を表3に示す。
破断伸び、引張強度については、3つのサンプルで行い、3つの平均値を測定値とした。引裂強度については、5つのサンプルで行い、5つの平均値を測定値とした。結果を表3に示す。
Figure 0007392258000009
[伸縮性配線基板の評価]
得られた伸縮性配線基板の試験片1~13について、以下の評価項目に従い評価を行った。
(伸長時特性:抵抗値測定)
得られた試験片1~13(伸縮性配線基板)について、(株)エーディーシー製直流電圧・電流源/モニタ(6241A)を用い、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で50%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する試験を100回行った。この抵抗値(Ω)の変化は常にモニタリングを行い、この試験中における抵抗値変化についての解析を行った(50%伸長時の抵抗値測定)
・100回目の50%伸長の終了時までの抵抗値の最大値(50%RMAX
以上の抵抗値について、3つのサンプルで行い、3つの平均値を測定値とした。
得られた50%RMAXについて、以下の表4に示す評価基準に基づいて評価を実施した。評価結果を表2に示す。
なお、断線とは、サンプルの測定値が10000Ω以上11000Ω以下の値のことをいう。
Figure 0007392258000010
(ウェアラブル適合性)
得られた試験片1~13(伸縮性配線基板)を用いて、次のような屈曲・伸び試験および耐久試験を行った。
屈曲・伸び試験:板状部材の両端を両手で持った状態で、90度に曲げる試験を実施し、曲げ開始から曲げ終わりまでの板状部材の曲げやすさによって、板状部材の変形容易性を判断した。板状部材を曲げる試験中、板状部材を曲げる時に負荷を感じない板状部材を○、板状部材を曲げる時に負荷を感じる板状部材を×とした。
実施例1~11の伸縮性配線基板は、比較例1と比べて、伸長時接続信頼性に優れており、比較例2と比べてウェアラブル適合性に優れることが分かった。
10 配線
20 基板
30 カバー材
50 配線基板
60 電子部品
100 電子装置
110 作業台
120 支持体
130 絶縁性ペースト
132 絶縁層
140 スキージ
150 導電性ペースト
152 導電層
160 マスク
170 絶縁性ペースト
172 絶縁層

Claims (6)

  1. エラストマーを含有する基板と、
    前記基板の一面上に接置されており、エラストマーおよび導電性フィラーを含有する配線と、を有する伸縮性配線基板であって、
    前記導電性フィラーが、鱗片状の金属粉(G)を含み、
    前記配線中の前記導電性フィラーの含有量が50質量%以上95質量%以下であり、かつ鱗片状の前記金属粉(G)の含有量が、前記導電性フィラーの含有量100質量%中、90質量%以上100質量%以下であり、
    当該伸縮性配線基板を、3秒で50%伸長させ、10秒間保持し、3秒でその伸長を解放した後、前記配線が断線しないものであり、
    未伸長時の前記基板の厚みをT1(μm)とし、未伸長時の前記基板のJIS K6253(1997)に準拠した25℃におけるタイプAデュロメータ硬さをH1とし、未伸長時の前記配線の厚みをT2(μm)としたとき、
    H1、T1、およびT2が、以下の式(I)を満たす剛性構造を有する、伸縮性配線基板。
    20≦H1×(T1/T2)≦1000 ・・(I)
  2. 請求項1に記載の伸縮性配線基板であって、
    上記式(I)中のH1は、20以上80以下である、伸縮性配線基板。
  3. 請求項1または2に記載の伸縮性配線基板であって、
    前記基板および前記配線に含まれるエラストマーは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、およびエチレンプロピレンゴムからなる群から選択される一種以上を含む、伸縮性配線基板。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の伸縮性配線基板であって、
    前記基板は、シリカ粒子(C)を含む、伸縮性配線基板。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の伸縮性配線基板であって、
    前記導電性フィラーは、金属、カーボンまたは導電性ポリマーを含む、伸縮性配線基板。
  6. 請求項1からのいずれか1項に記載の伸縮性配線基板を備えるウェアラブルデバイス。
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