JP6772448B2 - 導電性樹脂組成物、配線、配線基板および電子装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、昨今のウェアラブルデバイス市場としては、装置全体をさらに小型化する要求が高まってきていることもあり、配線基板全体としての材料の種類を増加させ、その構造を複雑化することについての制約がある。すなわち、このような技術的背景から、導電性樹脂組成物の硬化物そのものとしての耐久性を向上させることの要求がある。
伸縮性および導電性を有する樹脂材料を形成するために用いる、(A)エラストマーと、(B)金属粉とを含む導電性樹脂組成物であって、
(C)シリカ粒子を含み、前記(C)シリカ粒子の比表面積が10m2/g〜400m2/gであり、
前記(C)シリカ粒子の含有量が、当該導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、2質量%以上10質量%以下であり、
溶媒を含み、
以下に示される試験を100回行ったときに、
6回目から10回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop10が、1回目から5回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop5の2倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物が提供される。
(試験)
長さ5cm×幅2cm×高さ500μmの寸法であり、硬度30のシリコーンゴムからなる基板に、長さ30mm×幅500μm×高さ50μmの前記導電性樹脂組成物の硬化物で構成される配線パターンを、前記基板の長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点と前記配線パターンの長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点が重なるように形成し、試験片とする。
この試験片に対し、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で20%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する。
まず、本実施形態における導電性樹脂組成物の概要について説明する。すなわち、本実施形態の導電性樹脂組成物は以下に示されるものである。
(A)エラストマーと、(B)金属粉とを含む導電性樹脂組成物であって、
以下に示される試験を100回行ったときに、
6回目から10回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop10が、1回目から5回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop5の2倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
(試験)
長さ5cm×幅2cm×高さ500μmの寸法であり、硬度30のシリコーンゴムからなる基板に、長さ30mm×幅500μm×高さ50μmの前記導電性樹脂組成物の硬化物で構成される配線パターンを、前記基板の長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点と前記配線パターンの長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点が重なるように形成し、試験片とする。
この試験片に対し、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で20%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する。
また、本実施形態の導電性樹脂組成物の態様としては、少なくともこの試験を100回繰り返しても、試験片に備えられた配線パターンが破断しないことが特徴として挙げられる。
なお、このような試験において、抵抗値の測定は(株)エーディーシー社製直流電圧・電源流/モニタ(6241A)を用いて行うことができる。
また、基板として用いられるシリコーンゴムとしては、JIS K6253に規定するタイプAデュロメーターにより測定される25℃における硬度として「30」のものが使用される。
なお、このRtop5に対するRtop10の倍率の下限値は特に制限されるものではないが、たとえば、1.05倍以上である。
また、このRtop10の値は、たとえば750Ω以下であり、より好ましくは700Ω以下であり、さらに好ましくは600Ω以下である。
また、このRtop5の値は、たとえば700Ω以下であり、より好ましくは650Ω以下であり、さらに好ましくは600Ω以下である。
すなわち、本実施形態の導電性樹脂組成物は、前記試験を100回行ったときに、50回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre50が、5回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre5の5倍以下となることが好ましい。
本実施形態において、このRre50は、Rre5の5倍以下であることが好ましいが、より好ましくは4倍以下であり、さらに好ましくは3倍以下であり、とくに好ましくは2倍以下である。
Rre5に対するRre50の倍率の上限値をこのように設定することで、一段と繰り返し伸縮にも耐えうる硬化物が達成される。
なお、このRre5に対するRre50の倍率の下限値は特に制限されるものではないが、たとえば、1.05倍以上である。
また、このRre50の値は、たとえば800Ω以下であり、より好ましくは750Ω以下であり、さらに好ましくは700Ω以下である。
また、このRre5の値は、たとえば600Ω以下であり、より好ましくは500Ω以下であり、さらに好ましくは400Ω以下である。
すなわち、本実施形態の導電性樹脂組成物は、前記試験を100回行ったときに、100回目の伸長の終了時における抵抗値Rex100が、100回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre100の4倍以下となることが好ましい。
本実施形態において、このRex100は、Rre100の4倍以下であることが好ましいが、より好ましくは3倍以下であり、さらに好ましくは2倍以下である。Rre100に対するRex100の倍率の上限値をこのように設定することで、一段と電子装置等の寿命の延長に資する硬化物が達成される。
なお、このRre100に対するRex100の倍率の下限値は特に制限されるものではないが、たとえば、0.2倍以上である。導電性樹脂組成物の組成によっては、Rre100よりもRex100の方が低い値を取りうる。これは伸長によって配線が幅方向や厚さ方向に圧縮されることにより、分散した金属粉同士が接触し、結果的に導電性が向上するような分散状態を取りうるためである。
また、このRex100の値は、たとえば950Ω以下であり、より好ましくは900Ω以下であり、さらに好ましくは800Ω以下である。
また、このRre100の値は、たとえば850Ω以下であり、より好ましくは800Ω以下であり、さらに好ましくは700Ω以下である。
本実施形態においては、たとえば、エラストマーとしてシリコーンゴムを用いることが上記各条件における数値を制御する上では好ましい態様であり、また、ビニル基の含有量の異なる複数種のビニル基含有オルガノポリシロキサンを含ませることが、これらの数値範囲を所望の範囲内に制御する観点から、とりわけ好ましい態様の一例として選択され得る。
本実施形態の導電性樹脂組成物は(A)エラストマーを含む。これにより、導電性樹脂組成物を硬化物とした際も、適度な伸縮性を発現することができる。
この(A)エラストマーとしては、公知のものを採用することができ、たとえばシリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いることができる。
これらの中でも、化学的に安定であり、また、機械的強度にも優れる観点からシリコーンゴムを含むことが好ましい。
以下、(A)エラストマーとしてシリコーンゴムを用いる場合を例に挙げて説明を続ける。
本実施形態においては、このようなシリコーンゴムの中でも、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)との混合物から得られるシリコーンゴムが好ましく用いられる。
ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)は、直鎖構造を有し、かつ、ビニル基を含有しており、かかるビニル基が硬化時の架橋点となる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)は、直鎖構造を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐構造を有する分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))とに分類され、本実施形態では、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))だけでもよいし、分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))だけでもよいし、これらの直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(a))と分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2(b))の双方を含んでもよい。
(Ha(R7)3−aSiO1/2)m(SiO4/2)n
(式(c)において、R7は一価の有機基、aは1〜3の範囲の整数、mはHa(R7)3−aSiO1/2単位の数、nはSiO4/2単位の数である)。
(A)エラストマーの含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な柔軟性を持つことができる。また、(A)エラストマーの含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物の機械的強度の向上を図ることができる。
なお、本明細書中において、「固形分」とは、水や有機溶媒等の揮発性成分を除去した成分全体を指し、たとえば常温で液体を呈していたとしても、揮発の起こらない成分については、固形分であるものとして合算する。
以下、各成分についても同様である。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、(B)金属粉を含む。
この(B)金属粉を構成する金属は特に限定はされないが、例えば、銅、銀、金、ニッケル、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、アンチモン、或いはこれらを合金化した金属粉のうち少なくとも一種類、あるいは、これらのうちの二種以上を含むことができる。
これらのうち、(B)金属粉としては、導電性の高さや入手容易性の高さから、銀または銅を含むこと、すなわち、銀粉または銅粉を含むことが好ましい。
なお、これらの(B)金属粉は他種金属でコートしたものも使用できる。
また、(B)金属粉の粒径も制限されないが、たとえば平均粒径D50で0.001μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上である、さらに好ましくは0.1μm以上である。(B)金属粉の粒径は、たとえば平均粒径D50で1,000μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。
平均粒径D50をこのような範囲に設定することで、導電性樹脂組成物の硬化物として適度な導電性を発揮することができる。
なお、(B)金属粉の粒径は、たとえば、導電性樹脂組成物あるいはこの硬化物について透過型電子顕微鏡等で観察の上、画像解析を行い、任意に選んだ金属粉200個の平均値として定義することができる。
(B)金属粉の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な導電特性を持つことができる。また、(B)金属粉の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な柔軟性を持つことができる。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、必要に応じ、(C)シリカ粒子を含んでいてもよい。この(C)シリカ粒子を含ませることにより、導電性樹脂組成物から形成される硬化物の硬さや機械的強度の向上を図ることができる。
なお、(C)シリカ粒子の粒径は、たとえば、導電性樹脂組成物あるいはこの硬化物について透過型電子顕微鏡等で観察の上、画像解析を行い、任意に選んだシリカ粒子200個の平均値として定義することができる。
なお、(C)シリカ粒子は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)シリカ粒子の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が適度な機械的強度を持つことができる。また、(C)シリカ粒子の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な導電特性を持つことができる。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、(D)シランカップリング剤を含んでいてもよい。この(D)シランカップリング剤は、加水分解性基を有するものであり、この加水分解基が水により加水分解されて水酸基になり、この水酸基が(C)シリカ粒子表面の水酸基と脱水縮合反応することで、(C)シリカ粒子の表面改質を行うことができる。
その他、(C)シリカ粒子が存在しない場合であっても、導電性樹脂組成物の硬化物から構成される配線と、この配線が描かれる基板との密着性を向上させるという効果を発揮することができる。
これにより、たとえば、(A)エラストマーとして、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)とオルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が含まれる場合、以下のような効果が奏される。
すなわち、導電性樹脂組成物の硬化の際、すなわち、ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1)が有するビニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が有するヒドリド基とがヒドロシリル化反応して、これらによるネットワーク(架橋構造)が形成される際に、(C)シリカ粒子が有するビニル基も、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(A−2)が有するヒドリド基とのヒドロシリル化反応に関与するため、ネットワーク中に(C)シリカ粒子も取り込まれるようになる。これにより、形成される硬化物の高硬度化および高モジュラス化を図ることができる。
上記式(4)中、nは1〜3の整数を表わす。Yは、疎水性基、親水性基またはビニル基を有するもののうちのいずれかの官能基を表わし、nが1の時は疎水性基であり、nが2または3の時はその少なくとも1つが疎水性基である。ORは、加水分解性基を表わす。
(D)シランカップリング剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物の硬化物が基板との適度な密着性を持ち、また、(C)シリカ粒子を用いる場合においては、硬化物全体としての機械的強度の向上に資することができる。また、(D)シランカップリング剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、硬化物が適度な導電特性を持つことができる。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、(E)白金または白金化合物を含むことができる。
(E)白金または白金化合物は、本実施形態の導電性樹脂組成物硬化の際の触媒として作用する成分である。
なお、(E)白金または白金化合物は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)白金または白金化合物の含有量を上記下限値以上とすることにより、導電性樹脂組成物が適切な速度で硬化することが可能となる。また、(E)白金または白金化合物の含有量を上記上限値以下とすることにより、導電性樹脂組成物を作製する際のコストの削減に資することができる。
また、本実施形態の導電性組成物には、(F)水が含まれていてもよい。
これにより、先述の(D)シランカップリング剤が加水分解を起こし、所望の効能を発現しやすくなる。
なお、この(F)水の添加量は任意である。
さらに、本実施形態の導電性樹脂組成物は、上記(A)〜(F)成分の他、樹脂組成物に配合される公知の成分を含有していてもよい。例えば、珪藻土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ガラスウール、マイカ等が挙げられる。その他、分散剤、顔料、染料、帯電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、熱伝導性向上剤等を適宜配合することができる。
また、後述するように、導電性樹脂組成物の硬化性を制御する観点から、適宜反応阻害剤を加えることもできる。
続いて、本実施形態に係る導電性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本実施形態の導電性樹脂組成物は、たとえば、以下に示すような工程を経ることにより製造することができる。
さらに、混練する時間は、5分〜1時間程度であるのが好ましく、10〜40分程度であるのがより好ましい。
ここで用いられる溶媒は、上記の配合物を均一に溶解ないし分散させることのできる溶媒の中から適宜選択すればよい。
溶媒は、これらのうち一種類を単独で用いても良く、二種類以上の溶媒を任意の比率で混合して用いても良い。
続いて、本実施形態の導電性樹脂組成物の具体的な用途について、図1を示しながら説明する。
図1には、係る配線を備えた電子装置100の概略を断面図として図示している。
ここで、図1は、電子装置100の一部分を示している。電子装置100は配線基板50と電子部品60とを備えるものであり、この配線基板50は、基板20上に配線10を備えることにより構成される。
係る電子装置100は、たとえばウェアラブルデバイスとして用いられるものであり、各方向に繰り返し伸縮される装置となる。
このとき、適宜加圧条件を組み合わせることができる。
この材料としては、前述の(A)エラストマーと同様のものを採用することができる。具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、スチレンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム等を用いることができ、用途等に応じ、この材料を適宜選択することができる。
この電子部品60は、用途に応じ、公知の部品の中から適宜選択すればよい。具体的には、半導体素子、及び半導体素子以外の抵抗やコンデンサ等を挙げることができる。半導体素子としては、たとえば、トランジスタや、ダイオード、LED、コンデンサ等を挙げることができる。
本実施形態の電子装置100において、この電子装置60は配線10により導通が図られている。
また、このカバー材30が基板20や配線10の伸縮に追従することから、電子装置100全体として、偏りなく伸縮を行うことができ、この電子装置100の長寿命化にも資することができる。
なお、このカバー材30は、基板20と同様の材料により構成することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. (A)エラストマーと、(B)金属粉とを含む導電性樹脂組成物であって、
以下に示される試験を100回行ったときに、
6回目から10回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値R top10 が、1回目から5回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値R top5 の2倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
(試験)
長さ5cm×幅2cm×高さ500μmの寸法であり、硬度30のシリコーンゴムからなる基板に、長さ30mm×幅500μm×高さ50μmの前記導電性樹脂組成物の硬化物で構成される配線パターンを、前記基板の長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点と前記配線パターンの長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点が重なるように形成し、試験片とする。
この試験片に対し、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で20%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する。
2. 1.に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記試験を100回行ったときに、
50回目の伸長解放の終了時における抵抗値R re50 が、5回目の伸長解放の終了時における抵抗値R re5 の5倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
3. 1.または2.に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記試験を100回行ったときに、
100回目の伸長の終了時における抵抗値R ex100 が、100回目の伸長解放の終了時における抵抗値R re100 の4倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
4. 1.ないし3.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(A)エラストマーはシリコーンゴムを含む、導電性樹脂組成物。
5. 1.ないし4.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(A)エラストマーは、(A−1)ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、(A−2)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を含む導電性樹脂組成物。
6. 1.ないし5.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(B)金属粉は銀粉または銅粉を含む、導電性樹脂組成物。
7. 1.ないし6.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
前記導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、前記(B)金属粉を60質量%以上90質量%以下含む、導電性樹脂組成物。
8. 1.ないし7.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
さらに(C)シリカ粒子を含む、導電性樹脂組成物。
9. 1.ないし8.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
さらに(D)シランカップリング剤を含む、導電性樹脂組成物。
10. 1.ないし9.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物であって、
さらに(E)白金または白金化合物を含む、導電性樹脂組成物。
11. 1.ないし10.のいずれか一つに記載の導電性樹脂組成物の硬化物により構成される配線。
12. 11.に記載の配線と、基板と、を備える配線基板。
13. 12.に記載の配線基板を備える電子装置。
各実施例および比較例1において、表1に記載の質量部にてビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、シリカ粒子と、シランカップリング剤と、水とを所定量秤量し、その後、混練装置((株)モリヤマ製、油圧式加圧型ニーダー)により、混練することで、これら各成分を含有する混練物を得た。
なお、ここでの混練条件としては、第1ステップが窒素雰囲気下、60〜90℃の条件下で1時間混練し、第2ステップが減圧雰囲気下、160℃で1時間混練する条件とした。
この溶液に対し、銀粉を加えることで、各導電性樹脂組成物を得た。
なお、比較例2においては、東レ・ダウコーニング社製のエラストマー配合物(品番C6−135;表1中では「シリコーンエラストマー配合物A」と称する。)を2.33倍量のテトラデカンに浸漬し、その後銀粉を加えることで導電性樹脂組成物を得た。
得られた導電性樹脂組成物については以下の項目に従い評価を行った。
まず、各実施例および各比較例で得られた導電性樹脂組成物を用いて、シリコーンゴム(硬度30)で形成された幅2cm×高さ500μm×長さ5cmの基板上に、配線パターンを描き、これを170℃60分の条件で硬化し幅500μm×長さ30mm×高さ50μmの配線パターンを有する試験片を作製した。
なお、本実施例項において、基板は実施例1で用いたエラストマー配合物(実施例1の導電性樹脂組成物に対し、銀粉とテトラデカンを含まないもの)を成形することにより作製した。
この試験片について、(株)エーディーシー製直流電圧・電流源/モニタ(6241A)を用い、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で20%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する試験を100回行った。
この抵抗値の変化は常にモニタリングを行い、この試験中における変化についての解析を行った。実施例1におけるこのモニタリングの結果(チャート)は図2に示した。
また、これとあわせ、「Rtop10」と「Rtop5」の比を「Rtop10/Rtop5」として、「Rre50」と「Rre5」の比を「Rre50/Rre5」として、「Rre100」と「Rex100」の比を「Rex100/Rre100」として示した。なお、表1における各抵抗値の値は「Ω」である。
なお、比較例1における試験片は、17回目の試験で抵抗値の測定上限(1,000Ω)を超えることが確認された。また、比較例2における試験片は、5回目の試験での配線パターンの破断が確認された。
各実施例および各比較例に対して抵抗値の測定をおこなった試験片の作成方法と同様にして試験片を作製した。
このようにして得られた試験片について、試験片の長さ方向に20%伸長し、この伸長を解放する操作を1000回行った。
この伸長操作を1000回行った場合でも十分に配線の導通が図れたものを◎、伸長操作を500回行った場合でも十分に導通が図れたものを○、伸長操作を500回行った段階で配線が断線していたものを×として評価した。結果を表1に示す。
20 基板
30 カバー材
50 配線基板
60 電子部品
100 電子装置
Claims (16)
- 伸縮性および導電性を有する樹脂材料を形成するために用いる、(A)エラストマーと、(B)金属粉とを含む導電性樹脂組成物であって、
(C)シリカ粒子を含み、前記(C)シリカ粒子の比表面積が10m2/g〜400m2/gであり、
前記(C)シリカ粒子の含有量が、当該導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、2質量%以上10質量%以下であり、
溶媒を含み、
以下に示される試験を100回行ったときに、
6回目から10回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop10が、1回目から5回目の伸長開始時から解放終了時までに生じる抵抗値のピークトップの平均値Rtop5の2倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。
(試験)
長さ5cm×幅2cm×高さ500μmの寸法であり、硬度30のシリコーンゴムからなる基板に、長さ30mm×幅500μm×高さ50μmの前記導電性樹脂組成物の硬化物で構成される配線パターンを、前記基板の長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点と前記配線パターンの長さ方向と幅方向の辺から構成される面の中心点が重なるように形成し、試験片とする。
この試験片に対し、抵抗を測定しながら長さ方向に3秒で20%伸長させ、10秒間保持し、3秒で当該伸長を解放し、10秒間保持する。 - 請求項1に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記試験を100回行ったときに、
50回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre50が、5回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre5の5倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。 - 請求項1または2に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記試験を100回行ったときに、
100回目の伸長の終了時における抵抗値Rex100が、100回目の伸長解放の終了時における抵抗値Rre100の4倍以下となることを特徴とする、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(A)エラストマーはシリコーンゴムを含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(A)エラストマーが、第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))と、ビニル基含有量が前記第1のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(a))よりも高い第2のビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサン(A−1(b))と、を含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(A)エラストマーは、(A−1)ビニル基含有直鎖状オルガノポリシロキサンと、(A−2)オルガノハイドロジェンポリシロキサンと、を含む導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(B)金属粉は銀粉または銅粉を含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記導電性樹脂組成物の固形分全体に対して、前記(B)金属粉を60質量%以上88質量%以下含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記(C)シリカ粒子の比表面積が300m 2 /gである、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし9のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
前記溶媒が、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロアルカン類、カルボン酸アミド類、及びスルホキシド類からなる群から選ばれる一または二以上を含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし10のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
さらに(D)シランカップリング剤を含み、
前記(D)シランカップリング剤が、ビニル基を有するシランカップリング剤を含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし11のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
さらに前記(B)金属粉以外の(E)白金または白金化合物を含む、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし12のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物であって、
伸縮性を有する配線を形成するために用いる、導電性樹脂組成物。 - 請求項1ないし13のいずれか一項に記載の導電性樹脂組成物の硬化物により構成される配線。
- 請求項14に記載の配線と、基板と、を備える配線基板。
- 請求項15に記載の配線基板を備える電子装置。
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