<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は第1実施形態の冷蔵庫の正面図を示している。冷蔵庫1は内箱2aと外箱2b(図2参照)との間に発泡ウレタン等の発泡断熱材(不図示)を充填した断熱箱体から成る本体部2を備えている。本体部2の上面には外気温を検知する温度センサ99が設けられる。
本体部2の上部には冷蔵室3が配され、冷蔵室3の下方に製氷室5及び冷凍室6が左右に並設される。製氷室5及び冷凍室6の下方には冷凍室7が配され、冷凍室7の下方に野菜室8が配される。製氷室5、冷凍室6及び冷凍室7は本体部2の後部でそれぞれ連通した冷凍空間を形成する。
冷蔵室3の前面は回動式の左扉93(第1扉)及び右扉94(第2扉)により開閉される。左扉93及び右扉94は本体部2の左右の端部に設けた鉛直な枢支軸93c及び枢支軸94cによりそれぞれ枢支される。左扉93及び右扉94には発泡断熱材(不図示)が充填され、右扉94は左扉93よりも横幅を広く形成される。
左扉93の前面及び右扉94の前面には操作部19が設けられる。操作部19は操作スイッチ19a、操作スイッチ19b及び報知部19cを有している。操作スイッチ19aは左扉93の前面に配され、操作スイッチ19b及び報知部19cは右扉94の前面に配される。操作スイッチ19a(第1操作スイッチ)は左扉93の開放を指示し、操作スイッチ19b(第2操作スイッチ)は右扉94の開放を指示する。報知部19cは音声または表示による報知を行う。
操作スイッチ19a、19bは手指により押下またはタッチされるとオン状態となり、手指が離されてオフ状態になった際に後述する扉開閉装置50(図7参照)に対して開扉指示の信号が出力される。尚、左扉93が開いているときは操作スイッチ19aの操作が受け付けられず、右扉94が開いているときは操作スイッチ19bの操作が受け付けられない。
製氷室5の前面は貯氷ケース(不図示)と一体にスライドする扉95により開閉される。冷凍室6の前面は収納ケース(不図示)と一体にスライドする扉96により開閉される。冷凍室7の前面は収納ケース7c(不図示)と一体にスライドする扉97により開閉される。野菜室8の前面は収納ケース(不図示)と一体にスライドする扉98により開閉される。扉95〜98には発泡断熱材(不図示)が充填される。
以下の説明において、冷蔵庫1を正面に見て左右方向をX方向、奥行方向をY方向、上下方向をZ方向という場合がある。
図2は本体部2の正面図を示している。冷蔵室3と冷凍空間との間は発泡断熱材(不図示)を充填した断熱壁9により仕切られる。冷凍空間と野菜室8との間は発泡断熱材(不図示)を充填した断熱壁10により仕切られる。製氷室5及び冷凍室6は本体部2の前部に横設して発泡断熱材(不図示)を充填した仕切部12により冷凍室7と仕切られる。製氷室5と冷凍室6との間は仕切部12上に立設される仕切壁13により仕切られる。
冷蔵室3の背面には複数の冷気の吐出口3bが開口し、冷凍室7の背面には冷気の吐出口7a及び戻り口7bが開口する。冷凍室7の後方には冷凍サイクルを構成する冷却器(不図示)を配した冷気通路(不図示)が設けられる。冷却器(不図示)により生成された冷気は送風機(不図示)により吐出口3b及び吐出口7aから冷蔵室3及び冷凍室7に吐出される。
冷凍室7に吐出された冷気は冷凍空間を流通し、戻り口7bを介して冷却器(不図示)に戻る。冷蔵室3に吐出された冷気は冷蔵室3内を流通した後、連通路(不図示)を介して野菜室8に流入する。野菜室8に流入した冷気は野菜室8内を流通した後、戻り口(不図示)を介して冷却器(不図示)に戻る。
左扉93及び右扉94は閉じた際に冷蔵室3の周壁の前面に接する環状のパッキン83(第1パッキン)及びパッキン84(第2パッキン)を背面に有している。同様に、扉95は閉じた際に製氷室5の周壁の前面に接する環状のパッキン85を背面に有している。扉96は閉じた際に冷凍室6の周壁の前面に接する環状のパッキン86を背面に有している。扉97は閉じた際に冷凍室7の周壁の前面に接する環状のパッキン87を背面に有している。扉98は閉じた際に野菜室8の周壁の前面に接する環状のパッキン88を背面に有している。各パッキン83〜88には本体部2の前面に吸着する磁石(不図示)が設けられる。
図3は左扉93及び右扉94の突合せ部分の拡大図を示している。左扉93及び右扉94の互いに対向する側面上には長手方向を上下方向(Z方向)に配したパッキン81(第3パッキン)及びパッキン82(第3パッキン)がそれぞれ設けられる。パッキン81は磁石81aを有し、パッキン82は磁石82aを有している。これにより、左扉93及び右扉94を閉じた際にパッキン81とパッキン82とが吸着して冷蔵室3が密閉される。尚、磁石81a及び磁石82aの一方を鉄板等の磁性体により形成してもよい。
図4は冷蔵室3の下部の詳細を示す側面断面図である。冷蔵室3の右扉94は枢支軸94c(図1参照)を形成するヒンジピン21により上下端を支持される。冷蔵室3と冷凍室6との間の断熱壁9の前面にはヒンジピン21を保持するアングル11が取り付けられる。尚、以下の説明では冷蔵室3の右扉94について説明しているが、冷蔵室3の左扉93については左右反転した同様の構成となっている。
図5はアングル11の正面図を示している。アングル11は金属板を断面L字型に屈曲して形成され、鉛直部11vがネジ16により断熱壁9に取り付けられる。アングル11の水平部11hの一端にはヒンジピン21が突設される。ヒンジピン21の座面には複数の傾斜面を有する環状の凹凸部22が形成される。
右扉94の下面にはヒンジピン21に嵌合するベアリング部14が取り付けられる。ベアリング部14の下面には凹凸部22に摺動する従節(不図示)が下方に突出して設けられる。
図6は凹凸部22の上面図を示している。凹凸部22は点対称に形成され、図6において時計回りに降下する一対の傾斜面22aと、時計回りに上昇する一対の傾斜面22cとを有している。傾斜面22aの上端と傾斜面22cの上端との間には水平面22dが設けられ、傾斜面22aの下端と傾斜面22cの下端との間には水平面22eが設けられる。
ベアリング部14の下端面に突設される従節は凹凸部22の傾斜面22a及び傾斜面22cにそれぞれ面接触する傾斜面を有している。右扉94は回動により従節の頂部が凹凸部22に摺動して上下動する。
従節が傾斜面22a上に配されると、右扉94は自重により閉じる方向に付勢される。一方、従節が傾斜面22c上に配されると、右扉94は自重により開く方向に付勢される。尚、左扉93も同様に構成され、凹凸部22によって自重により付勢される。
図7は冷蔵庫1の上面図を示している。本体部2の上面には左扉93及び右扉94の上方に延びる支持部材51が取り付けられ、支持部材51上に扉開閉装置50(扉開放装置)が設置される。扉開閉装置50は摺動子59、摺動子59を駆動する駆動部58及び摺動子59を摺動案内する案内部60を備えている。また、扉開閉装置50には左扉93及び右扉94の開き量を検知する検知センサ(不図示)が設けられる。
駆動部58は駆動モータ52、ウォーム53、ウォームホイール57、減速ギア54、減速ギア55、減速ギア56を有している。減速ギア54、減速ギア55及び減速ギア56はそれぞれ2個設けられる。ウォーム53は駆動モータ52のシャフトに取り付けられてウォームホイール57に噛合する。ウォームホイール57は2つの減速ギア54に噛合する。減速ギア55は減速ギア54と同心に取り付けられる。減速ギア56は減速ギア55に噛合する。減速ギア56の下面には摺動子59が設けられる。これにより、摺動子59は駆動モータ52の駆動により回転する。
案内部60は左扉93及び右扉94の上面に設けられ、上方に突出するリブ73及びリブ74を備えている。リブ73はカム面73aを有し、リブ74はカム面74aを有している。図7に示す右扉94の閉止状態で、右方の案内部60のカム面73aは本体部2に近づくに従って枢支軸94cから近づきつつ摺動子59の軌道円よりも内側に入り込むように傾斜する。また、カム面74aは本体部2に近づくに従って枢支軸94cから離れるように傾斜する。
即ち、カム面74aとカム面73aとはY方向に対する傾斜が逆方向となっている。また、カム面74aとカム面73aとは、減速ギア56のY方向の中心線CLに対して共に片方(本実施形態では枢支軸94c側)に配置され、カム面74aはカム面73aよりも本体部2に近い側に配置される。
同様に、図7に示す左扉93の閉止状態で、左方の案内部60のカム面73aは本体部2に近づくに従って枢支軸93cから近づきつつ摺動子59の軌道円よりも内側に入り込むように傾斜する。また、カム面74aは本体部2に近づくに従って枢支軸93cから離れるように傾斜する。
右扉94が閉止状態の駆動待機時では摺動子59は手動で右扉94を開閉しても案内部60に干渉しない退避位置に配される。即ち、退避位置で摺動子59は中心線CL上に配され、右扉94の開閉に伴うカム面73a、74aの回動による軌跡の外周側に配される。
右扉94の閉止状態で操作スイッチ19bが操作されると駆動部58によって右扉94を開扉駆動する。開扉駆動により図8に示すように減速ギア56が図中、反時計回りCCWに回転し、摺動子59がY方向の移動を伴ってX方向の枢支軸94cに近づく方向(図中、右方)に移動する。これにより、摺動子59がリブ73のカム面73aに摺動する。
摺動子59とカム面73aとの摺動により右扉94が開放方向に移動すると、従節が右扉94の自重による付勢力に抗して傾斜面22aを上昇し、右扉94が上昇しながら開かれる。右扉94が所定量開かれると摺動子59がカム面73aの終端(後端)に到達し、開扉駆動を終了する。
駆動部58による開扉駆動を終了すると、従節が傾斜面22cと摺動し、右扉94を自重により付勢して右扉94が開かれる。これにより、図9に示すように摺動子59がカム面63aから離れた位置に配される。その後、従節が水平面22e上に配されると右扉94は十分開いた状態となり、右扉94を手動で容易に開くことができる。駆動部58による開扉駆動を終了すると、駆動モータ52を反転駆動して前述の図7に示すように摺動子59が退避位置に配され、駆動モータ52が停止される。
次に、右扉94の開成状態から手動で右扉94を閉じると、従節が傾斜面22cと摺動して右扉94が上昇する。右扉94が所定位置まで閉じられたことを検知センサで検知すると、駆動部58によって右扉94を閉扉駆動する。
閉扉駆動により図10に示すように減速ギア56が図中、反時計回りCCWに回転し、退避位置の摺動子59がX方向の枢支軸94cに近づく方向(図中、右方)に移動する。これにより、摺動子59がリブ74のカム面74aに摺動して右扉94が閉じられる。
図11に示すように、右扉94が所定量閉じられると摺動子59がカム面74aの終端(前端)に到達する。この時、従節が傾斜面22a(図6参照)上に配されて右扉94が閉じる方向に付勢され、摺動子59がカム面74aから離れる。そして、図12に示すように、摺動子59がカム面73aに当接し、摺動子59の摺動面がカム面74aからカム面73aに切り替えられる。
この時、右扉94の自重によって摺動子59はカム面73aに押圧され、自重による付勢力に抗して右扉94を支持する。そして、摺動子59が反転して図中、時計回りCWに回転することによって従節が傾斜面22a(図6参照)上を降下して右扉94が閉じる方向に案内される。これにより、図13に示すように右扉94が閉じられる。その後、摺動子59は前述の図7に示す退避位置に配される。
尚、右扉94の開扉駆動及び閉扉駆動時に左方の減速ギア56が回転するが、左方の摺動子59はリブ73から離れた位置で回転するため左扉93の閉止状態が保持される。
一方、左扉93も右扉94と同様に、左扉93の閉止状態で操作スイッチ19aが操作されると駆動部58によって左扉93を開扉駆動する。開扉駆動により減速ギア56が図7において時計回りCWに回転して左扉93が開かれる。一方、左扉93を所定量閉じると、閉扉駆動により減速ギア56が図中、時計回りCWに回転し、左扉93が閉じられる。
図14は扉開閉装置50により左扉93、右扉94を開く際の詳細な動作を示すフローチャートである。操作スイッチ19a及び操作スイッチ19bの少なくとも一方が押下またはタッチによりオン状態になると図14の動作が開始される。
ステップ#13では操作スイッチ19a、19bの他方がオン状態か否かが判断される。操作スイッチ19a、19bの他方がオフ状態の場合はステップ#14に移行し、一方がオフ状態になったか否かが判断される。操作スイッチ19a、19bの一方がオン状態の場合はステップ#13に戻り、ステップ#13、#14が繰り返される。
操作スイッチ19a、操作スイッチ19bの他方がオン状態になる前に一方がオフ状態になると、ステップ#21に移行する。ステップ#21では駆動モータ52のトルクを設定するトルク設定処理が行われる。
図15はトルク設定処理の動作を示すフローチャートである。ステップ#61では左扉93または右扉94を前回閉じてから所定時間経過したか否かが判別される。所定時間経過している場合にはステップ#62に移行し、経過してない場合にはステップ#64に移行する。
ステップ#62では操作スイッチ19a、19bの他方に対応する左扉63または右扉64が開いた状態か否かが判断される。操作スイッチ19a、19bの他方に対応する左扉63または右扉64が閉じた状態の場合はステップ#63に移行し、開いた状態の場合はステップ#64に移行する。
ステップ#63では温度センサ99により検知される外気温が所定の温度よりも高いか否かが判断される。外気温が所定の温度よりも低い場合にはステップ#64に移行し、高い場合にはステップ#65に移行する。
ステップ#64では駆動モータ52のトルクが所定の第1トルク(第1駆動力)に設定され、図14の処理に戻る。ステップ#65では駆動モータ52のトルクが第1トルクよりも大きい第2トルク(第2駆動力)に設定され、図14の処理に戻る。第2トルクは第1トルクよりもデューティー比の増加により駆動電圧を大きくして設定される。
外気温の高温時はパッキン81〜84が軟化するため、パッキン81〜84の粘着力が大きくなる。また、左扉93及び右扉94が外気温によって膨張し、パッキン81とパッキン82との摩擦力が大きくなる。
このため、外気温の高温時に駆動モータ52を高い第2トルクで駆動し、左扉93及び右扉94を確実に開くことができる。また、外気温の低温時に駆動モータ52を低い第1トルクで駆動し、省電力化を図るとともに左扉93及び右扉94の急激な開放による使用者との衝突を回避することができる。
この時、前回左扉93または右扉94が閉じられてからの経過時間が短時間の場合は、パッキン81〜84の粘着力が上昇していない。このため、ステップ#61の判断によりステップ#64に移行して第1トルクに設定される。
また、操作スイッチ19a、19bの他方に対応する左扉63または右扉64が開いた状態では左扉63と右扉64との間のパッキン83、84が粘着しない。このため、ステップ#62の判断によりステップ#64に移行して第1トルクに設定される。なお、ステップ#61の判断及びステップ#62の判断の少なくとも1つの判断のみでステップ#65に移行して第2トルクに設定してもよい。
図14のステップ#22ではトルク設定処理で設定されたトルクにより駆動モータ62を駆動して操作スイッチ19a、19bの一方に対応する左扉63または右扉64が開かれ、処理を終了する。
ステップ#13の判断で操作スイッチ19a、19bの一方がオフ状態になる前に他方がオン状態になると、ステップ#15に移行する。この時、操作スイッチ19a、19bの両方が押下またはタッチされた状態になっている。ステップ#15では操作スイッチ19a、19bのどちらか片方がオフ状態になるまで待機する。操作スイッチ19a、19bのどちらか片方がオフ状態になると、ステップ#16に移行してタイマーをスタートさせる。
ステップ#17では操作スイッチ19a、19bの両方がオフ状態になったか否かが判断される。操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bがオン状態の場合はステップ#18に移行する。ステップ#18ではタイマーの計時が0.2秒経過したか否かが判断される。タイマーの計時が0.2秒経過していない場合はステップ#17に戻り、ステップ#17、#18が繰り返される。
ステップ#17の判断で0.2秒の経過前に操作スイッチ19a、19bの両方がオフ状態になると操作スイッチ19a、19bの同時操作と判断してステップ#31に移行する。即ち、操作スイッチ19a、19bの両方のオン状態から操作スイッチ19a、19bのそれぞれがオフとなったタイミングの差が0.2秒以内の場合には、同時に操作されたと判断する。同時操作と判断する時間を0.2秒以外に設定してもよい。
操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bの一方がオン状態を維持して0.2秒を経過した場合は、同時操作ではないと判断してステップ#25に移行する。
ステップ#25では前述の図15のトルク設定処理が行われる。ステップ#26ではトルク設定処理で設定されたトルクで駆動モータ52を駆動し、ステップ#15で先にオフ状態になったと判断した操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bに対応する左扉93または右扉94が開かれる。
ステップ#28ではオン状態の操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bから手指が離れて操作スイッチ19a、19bの両方がオフ状態になるまで待機する。操作スイッチ19a、19bの両方がオフ状態になると、ステップ#29に移行する。ステップ#29では、後にオフ状態になった操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bに対応する左扉93または右扉94が開かれ、処理を終了する。この時、ステップ#26で既に左扉93または右扉94が開かれているため、駆動モータ52が第1トルクで駆動される。
ステップ#17で操作スイッチ19a、19bの同時操作と判断してステップ#31に移行すると、前述の図15のトルク設定処理が行われる。ステップ#32ではトルク設定処理で設定されたトルクで駆動モータ52を駆動し、右扉94が開かれる。ステップ#34では左扉93が開かれ、処理を終了する。この時、ステップ#32で既に右扉94が開かれているため、駆動モータ52が第1トルクで駆動される。
遅延して開かれる左扉93の横幅は、先に開かれる右扉94の横幅よりも狭いため、左扉93の前方(使用者に向かう方向)への突出量は、右扉94に比べ小さくなる。このため、右扉94の開放により使用者が冷蔵庫1に接近しても、遅れて開放される左扉93と使用者との衝突を回避することができる。
本実施形態によると、操作スイッチ19a(第1操作スイッチ)及び操作スイッチ19b(第2操作スイッチ)が同時に操作された際に横幅の広い右扉94(第2扉)が先に開かれる。このため、右扉94の開放により使用者が冷蔵庫1に接近しても、遅延して開かれる左扉93の横幅が狭いため左扉93と使用者との衝突を回避することができる。また、操作スイッチ19aと操作スイッチ19bとが同時に操作されたと判断した場合は、右扉94(第2扉)を先に開放するようにしたため、使用者が同時操作したときの扉の開放動作を把握でき、予期しない動作となることを防止する。従って、冷蔵庫1の安全性及び利便性を向上することができる。
また、外気温が所定温度よりも低いときに駆動モータ52を所定の第1トルク(第1駆動力)で駆動し、高いときに駆動モータ52を第1トルクよりも大きい第2トルク(第2駆動力)で駆動する。これにより、外気温の高温時に左扉93及び右扉94を確実に開くことができる。また、外気温の低温時に省電力化を図るとともに左扉93及び右扉94の急激な開放による使用者との衝突を回避することができる。
また、左扉93または右扉94を閉じてから所定時間経過前に操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bが操作された際に、外気温に拘わらず第1駆動力により駆動モータ52を駆動する。これにより、パッキン81〜パッキン83の粘着力が上昇していない期間で第1トルクにより駆動モータ52を駆動し、省電力化を図るとともに左扉93または右扉94の急激な開放による使用者との衝突を回避することができる。
また、左扉93または右扉94が開かれた状態で操作スイッチ19aまたは操作スイッチ19bが操作された際に、外気温に拘わらず第1駆動力により駆動モータ52を駆動する。左扉63または右扉64が開いた状態ではパッキン83、84が粘着しない。このため、第1トルクにより駆動モータ52を駆動し、省電力化を図るとともに左扉93または右扉94の急激な開放による使用者との衝突を回避することができる。
また、駆動モータ52の駆動電圧によって大きさの異なる第1トルク及び第2トルクを容易に実現できる。
<第2実施形態>
次に、図16は第2実施形態の冷蔵庫1の正面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図15に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は冷蔵室3が一枚の扉92により開閉される。その他の部分は第1実施形態と同様である。
冷蔵室3の前面の開口面3aは本体部2に鉛直な枢支軸92cで枢支される扉92のみにより開閉される。枢支軸92cは扉92の上下端をそれぞれ支持するヒンジピン21(図4参照)により形成される。
扉92の本体部2に面した周部には冷気漏れを防止するパッキン(不図示)が設けられる。パッキンには本体部2の前面に吸着するマグネット(不図示)が設けられる。扉92の前面には操作部19が設けられる。操作部19には操作スイッチ19a及び報知部19cが設けられる。
図17は冷蔵庫1の上面図を示している。本体部2の上面には扉92の上方に延びる支持部材51が取り付けられ、支持部材51上に扉開閉装置50が設置される。扉開閉装置50は第1実施形態と異なり、減速ギア54を省き、ウォームホイール57と同心に減速ギア55が設けられる。その他は第1実施形態と同様である。
扉92の閉止状態で操作スイッチ19a(図16参照)により所定の操作が行われると駆動部58によって扉92を開扉駆動する。この時、第1実施形態と同様に、外気温が所定温度よりも低いときに駆動モータ52を第1トルクで駆動する。また、外気温が所定温度よりも高いときに駆動モータ52を第1トルクよりも大きい第2トルクで駆動する。
一方、扉92の開成状態から手動で扉92が所定位置まで閉じられると、駆動部58によって扉92を閉扉駆動する。
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、外気温が所定温度よりも低いときに駆動モータ52を所定の第1トルク(第1駆動力)で駆動し、高いときに駆動モータ52を第1トルクよりも大きい第2トルク(第2駆動力)で駆動する。これにより、外気温の高温時にパッキンが軟化しても扉92を確実に開くことができる。また、外気温の低温時に省電力化を図るとともに扉92の急激な開放による使用者との衝突を回避することができる。
本実施形態において、減速ギア56のY方向の中心線CLに対してカム面73aと対称なカム面63a(図17において一点鎖線で示す)を案内部60に設けてもよい。これにより、開扉駆動時に摺動子59がカム面63aに摺動することによって扉92を開くことができる。
<第3実施形態>
図18は第3実施形態の冷蔵庫1の開扉動作を説明するフローチャートを示している。本実施形態は前述の図14に示す第1実施形態の閉扉動作と動作が一部異なり、駆動モータ52が所定回数連続駆動されると駆動モータ52の駆動を停止する。その他の部分は第1実施形態と同様である。
以下、図14に示すフローチャートと異なる部分について説明する。ステップ#11では駆動モータ52が停止状態か否かを判別する停止状態判別処理が呼び出される。
図19は停止状態判別処理の動作を示すフローチャートである。ステップ#41では駆動モータ52の連続駆動回数を計数するカウンタiが後述の上限値よりも小さい所定値(ここでは80)以上であるか否かが判断される。尚、外気温が低い場合には該所定値を80よりも大きくしてもよい。カウンタiは後述する連続駆動判別処理によって増加する。カウンタiが80未満の場合はステップ#47に移行し、カウンタiが80以上の場合にはステップ#42に移行する。
ステップ#42ではカウンタiが所定の上限値(ここでは100)以上であるか否かが判断される。カウンタiが100未満の場合にはステップ#43に移行し、カウンタiが100以上の場合にはステップ#44に移行する。尚、外気温が低い場合に上限値を100よりも大きくしてもよい。
ステップ#43では報知部19cによって駆動モータ52の連続駆動回数が上限値に近づいたことを報知し、ステップ#47に移行する。
ステップ#44では扉4が駆動停止状態であり、操作部19では受付ができないことを報知する。
ステップ#45ではカウンタiが上限値に到達してから所定の停止時間(例えば、3000sec)が経過したか否かが判断される。停止時間が経過していない場合はステップ#48に移行し、駆動モータ52の駆動停止状態と判定して図18のステップ#12に戻る。停止時間が経過している場合はステップ#46に移行してカウンタiがリセットされる(駆動モータ52の駆動前のためi=0)。
ステップ#47では駆動モータ52の駆動可能状態と判定して図18のステップ#12に戻る。
図18のステップ#12では停止状態判別処理の戻り値によって駆動モータ52が駆動停止状態か否かが判断される。駆動停止状態の場合は処理を終了する。これにより、左扉93及び右扉94は手動のみによって開閉される。駆動可能状態の場合はステップ#13に移行し、第1実施形態と同様にステップ#13〜#26及びステップ#31、#32が行われる。
ステップ#26で駆動モータ52が駆動されると、ステップ#27で連続駆動判別処理が呼び出される。また、ステップ#32で駆動モータ52が駆動されると、ステップ#33で連続駆動判別処理が呼び出される。また、ステップ#22、ステップ#29、ステップ#34で駆動モータ52が駆動されると、ステップ#35で連続駆動判別処理が呼び出される。
図20は連続駆動判別処理の動作を示すフローチャートである。連続駆動判別処理は駆動モータ52の駆動が所定の解除時間内に連続して行われたか否かを判別する。
ステップ#51では所定の解除時間Tiが導出される。解除時間Tiはカウンタiの関数から成り、本実施形態では30sec×iにしている。これにより、カウンタiの増加に伴って解除時間Tiを長くしている。
ステップ#52では前回駆動モータ52を駆動してからの経過時間Tが解除時間Ti以上であるか否かが判断される。経過時間Tが解除時間Ti以上の場合は駆動モータ52が十分放熱されたと判断し、ステップ#55に移行してカウンタiをリセットする(駆動モータ52の駆動後のためi=1)。
経過時間Tが解除時間Ti未満の場合はステップ#53に移行する。ステップ#53では経過時間Tが所定の保留時間Tx以上であるか否かが判断される。本実施形態では保留時間Txを30秒としている。経過時間Tが保留時間Tx以上の場合は所定量の放熱が行われたと判断し、後述するカウンタiの積算を保留して図18の処理に戻る。経過時間Tが保留時間Txよりも小さい場合は放熱が不十分と判断し、ステップ#54に移行する。
ステップ#54では右扉94が駆動されたか否かが判断される。左扉93が駆動された場合にはステップ#56へ移行し、右扉94が駆動された場合にはステップ#57へ移行する。ステップ#56ではカウンタiに1が加算され、ステップ#57ではカウンタiに2が加算されて図18に戻る。左扉93よりも横幅の広い右扉94は駆動モータ52の負荷が大きいためカウンタiに加算される値を大きくしている。
ステップ#56、#57によってカウンタiが積算され、カウンタiが上限値を超えると停止状態判別処理によって駆動モータ52が停止状態になる。
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、駆動モータ52の駆動が解除時間Ti内に連続して行われたか否かを連続駆動判別処理(判別部)によって判別する。また、駆動モータ52の駆動が解除時間Ti内に連続する場合に積算して解除時間Ti内に連続しない場合にリセットされるカウンタiを設けている。そして、カウンタiが上限値に到達した際に駆動モータ52の駆動を停止時間だけ停止する。これにより、駆動モータ52の異常な加熱が抑制され、駆動モータ52の故障を低減することができる。
また、駆動モータ52の駆動が解除時間Ti内で連続しない場合にはカウンタiがリセットされる。これにより、一般的な使用ではカウンタiが上限値に達して駆動モータ52が停止状態となることを防止できる。
また、カウンタiの増加に伴って解除時間Tiを長くしたので、連続駆動により駆動モータ52に蓄積される熱を十分放熱することができる。
また、カウンタiが所定値(本実施形態では80)に到達した際に報知する。これにより、ユーザに駆動モータ52が加熱状態になっていることを容易に知らせることができる。
尚、第2実施形態の冷蔵庫1に本実施形態と同様の停止状態判別処理及び連続駆動判別処理を設け、駆動モータ52が所定回数連続駆動されると駆動モータ52の駆動を停止してもよい。
<第4実施形態>
次に本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では第3実施形態の図20の保留時間Txが駆動モータ52の負荷によって可変される。その他の部分は第3実施形態と同様である。
駆動モータ52の負荷は前回の扉の開放時または閉止時の駆動モータ52の駆動時間(駆動開始から終了までの時間)や、駆動時のモータ電流などから推定する。そして、駆動モータ52の負荷が所定値よりも小さい場合に、保留時間Txに30秒よりも短い時間を設定する。
例えば、前回の駆動モータ52の駆動時間が所定時間以上の場合は保留時間Txを30秒に設定し、該所定時間未満の場合は保留時間Txを30秒よりも短い15秒に設定する。また、店頭でデモを行うデモモードでは貯蔵室内が冷却されないため負圧にならず、ドアポケットに重量物が収納されていないため、駆動モータ52の負荷が小さい。このため、デモモードでは保留時間Txを15秒よりも更に短い5秒に設定する。
これにより、駆動モータ52の駆動時の負荷が小さく駆動モータ52の発熱が小さい場合に、短時間の保留時間Txが経過すれば、カウンタiを積算する必要がない。これにより、デモモード等の場合に不要なカウンタの積算による駆動モータ52の駆動停止状態への移行を抑制できる。
第1〜第4実施形態において、駆動モータ52の駆動によって左扉93及び右扉94を開き、手動により左扉93及び右扉94を閉じる冷蔵庫1であってもよい。この時、第3実施形態及び第4実施形態のカウンタiは左扉93または右扉94の開扉動作時に増加する。