以下、図面を用いて、本発明の実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
図1は、本発明の実施形態の冷蔵庫を示す正面図である。
図1に示す冷蔵庫1は、本体1Aを有している。この冷蔵庫1の本体1Aは、左側面部17と、右側面部18と、上面部19と、底面部15と、背面部16を有している。本体1Aは、外側側板からなる外箱と、内側側板からなる内箱を有し、断熱性のあるキャビネットにより構成されている。この本体1Aの内部には、複数の貯蔵室が形成されている。
貯蔵室としては、例えば上から順に冷蔵室2、野菜室3が設けられ、この野菜室3の下には製氷室4と小冷凍室5が左右の並べて設けられ、最下部に主冷凍室6が設けられている。しかし、貯蔵室が上から下に配置される順番は、特に限定されず、任意に選択できる。
図1に示す冷蔵室2の前面には、冷蔵室2の前面開口部を開閉する左右の扉7,8が設けられている。左右の冷蔵室扉7,8は、観音開き式扉(両開き扉)である。左側の冷蔵室扉7の左端部が、ヒンジにより回動可能に取り付けられている。同様にして、右側の冷蔵室扉8の右端部が、ヒンジにより回動可能に取り付けられている。
また、野菜室3、製氷室4、小冷凍室5、主冷凍室6の各前面には、各前面開口部を開閉する引出し式扉9,10,11,12が、それぞれ設けられている。
図1に示すように、左右の冷蔵室扉7,8と、引出し式扉9,10,11,12の各前面には、好ましくは透光性を有するガラス板である前面板7A,8A,9A,10A,11A,12Aが、それぞれ配置されている。左右の冷蔵室扉7,8と、引出し式扉9,10,11,12は、内部に断熱材を設けることで断熱性を有している。
左の冷蔵室扉7には、操作パネルユニット20が配置されている。操作パネルユニット20は、使用者が、例えば静電タッチスイッチ等のスイッチを、指で触れることにより、冷蔵庫1の各種の操作機能を設定するための必要な事項を入力できる。また、操作パネルユニット20は、冷蔵庫1の動作設定状況等の各種の表示項目を表示する。
図2は、図1に示す貯蔵室の好ましい例として野菜室3の構造例を示す図である。図3は、図2に示す野菜室3を、後側RRから見た図である。図4は、野菜室3内から引き出し式扉9の物品収納部21を引き出した状態を示す側面図である。図5は、野菜室3内へ引き出し式扉9の物品収納部21を押し込んで閉じようとしている途中の状態を示す図である。
図2に示すように、野菜室3は、図1に示す引出し式扉9と物品収納部21を有している。野菜室3の空間22内には、例えばプラスチック製の物品収納部21が納められている。この物品収納部21は、野菜を収納するための容器であり、四方に形成された上部の縁部分21Aと、底部21Bと、前後の側部21C,21D、そして左右の側部21E,21Fを有する。上部の縁部分21Aは、長方形の野菜を入れたり取り出したりするための上部開口部21Pを形成している。
物品収納部21は、引出し式扉9の内面側に一体的に取り付けられている。使用者が引出し式扉9を持って移動することで、物品収納部21は、引出し式扉9とともに、X1方向に引き出したり、X2方向に押し込んで閉じることが可能である。引出し式扉9は、野菜室3の空間22の前面開口部3Rを閉じる長方形状の扉である。
図3を参照すると、物品収納部21の上部には、左右の縁部分21A,21Aが、X1、X2方向に沿って水平に設けられている。左右のスライドレール31,32は、左右の縁部分21A,21Aに対して、それぞれ固定されている。図2に示すように、左右のスライドレール31,32の先端部は、それぞれ引出し式扉9の内面に固定されている。引出し式扉9の内面側には、物品収納部21が左右のスライドレール31,32を用いて一体的に固定されている。
図3に示すように、左右のスライドレール31,32は、断面逆U字型を有している例えば金属製の部材である。一方のスライドレール31は、他方のスライドレール32に比べて、やや大型である。
図3に示すように、野菜室3の側面部25,26には、それぞれ支持レール27,28が固定されている。支持レール27,28は、野菜室3の側面部25,26の上部の位置にそれぞれ固定されている。
図2と図3に示すように、これらの支持レール27,28は、X1、X2方向に沿って設けられている。図3に示すように、支持レール27,28は、断面U字型を有している例えば金属製の部材である。支持レール27,28は、それぞれガイド溝部27A,28Aを有しており、ガイド溝部27A,28Aは、X1、X2方向に沿っている。なお、図2では、支持レール27は破線で示している。
図3に示すように、スライドレール31のガイド部31Aは、支持レール27のガイド溝部27Aにはまり込んでおり、スライドレール31のガイド部31Aは、支持レール27のガイド溝部27Aに沿って、X1、X2方向にスライド可能である。同様にして、スライドレール32のガイド部32Aは、支持レール28のガイド溝部28Aにはまり込んでおり、スライドレール32のガイド部32Aは、支持レール28のガイド溝部28Aに沿って、X1、X2方向にスライド可能である。
これにより、使用者が、図2において、引出し式扉9をX1方向に引き出そうとすると、図3に示すスライドレール31を支持レール27に沿って案内すると同時にスライドレール32を支持レール28に沿って案内する。このため、引出し式扉9と一体になった物品収納部21が、図2から図4に示すように、野菜室3の空間22内から、X1方向に沿ってスムーズに引き出すことができる。
逆に、使用者が、図4において、引出し式扉9をX2方向に押して閉じようとすると、図4から図5に示すように、図3に示すスライドレール31を支持レール27に沿って案内すると同時にスライドレール32を支持レール28に沿って案内する。このため、図4、図5そして図2に示すように、引出し式扉9と一体になった物品収納部21が、X2方向に沿って野菜室3の空間22内にスムーズに収まるようになっている。
図6は、図2に示すように、物品収納部21が野菜室3の空間22内に収容されている状態における物品収納部の駆動機構部40を斜め後ろから見た斜視図である。図7は、図6において物品収納部の駆動機構部40を矢印RTから見た斜視図である。図8は、物品収納部21が野菜室3の空間22から引き出された状態を示す斜視図である。
図6と図7に示す物品収納部の駆動機構部40は、使用者が、物品収納部21を野菜室3の空間22内から引き出す際と、物品収納部21を野菜室3の空間22内に納める際に、それぞれ制御部100の指令により、力のアシストをする。
図3と図6と図7に示す物品収納部の駆動機構部40は、スライド機構部70と、電動モータ41と、減速機42と、トルクセンサ43と、エンコーダ44と、駆動ベルト45と、主動プーリ51と従動プーリ52を備えている。
図3に示すように、スライド機構部70は、すでに説明した図3に示す左右の支持レール27,28と、左右のスライドレール31,32により構成されている。支持レール27,28は、野菜室3側に固定された固定側のレールであり、スライドレール31,32は、物品収納部21側に固定されて支持レール27,28に沿ってそれぞれX1、X2方向に移動可能な移動側のレールである。このスライド機構部70は、物品収納部21を貯蔵室である野菜室3の空間22内で、引出し式扉9の開閉移動方向であるX1、X2方向に沿って直線的に移動可能に支持している。
図3と図6と図7に示す電動モータ41は、例えばロータにマグネットを用いた永久磁石式モータ(PMモータ、磁石式同期モータ)等を使用することができるが、特に限定されない。電動モータ41は、制御部100の指令により正回転と逆回転を行う。
図7に示すこの電動モータ41の主軸41Aとトルクセンサ43の回転軸46は、ギアボックスである減速機42に取り付けられている。この減速機42は、例えば図7と図8に示すように、歯数の異なる複数のギア42G、42Hと、これらのギア42G、42Hに掛かっているベルト42Kを有している。減速機42は、電動モータ41の主軸41Aの回転数を、駆動ベルト45を動かすのに必要な回転数に下げる。しかし、減速機42の構造は、一例であり、これに限定されない。
電動モータ41の主軸41Aの回転は、減速機42により減速されてトルクセンサ43の回転軸46に伝達される。このトルクセンサ43の回転軸46は、エンコーダ44の回転盤47を固定しており、しかも回転軸46は、主動プーリ51の主動軸でもある。
図7に示すように、駆動ベルト45は、エンドレス状のベルトであり、主動プーリ51と従動プーリ52に掛かっている。駆動ベルト45と主動プーリ51と従動プーリ52は、図7に示すように、支持レール27の内側に沿って回転可能に設けられている。主動プーリ51は、野菜室3の空間22の後部側に位置し、従動プーリ52は野菜室3の空間22の前部側に位置している。
図6に示すように、支持レール27の両端部には、第1軸受け99Mと第2軸受け99Nが設けられている。図6と図3に示すように、第1軸受け99Mは、回転軸46の端部を回転可能に支持している。第2軸受け99Nは、従動プーリ52の軸52Pを回転可能に支持している。
図7に示す駆動ベルト45は、ゴムベルトであっても金属ベルトであっても良く、歯付きベルトであるのがより好ましい。駆動ベルト45が歯付きベルトである場合には、主動プーリ51と従動プーリ52は、共にそれに対応して歯付きのプーリである。
図7に示すトルクセンサ43は、使用者が引出し式扉9をX1方向に引き出した場合には、物品収納部21のX1方向への引き出し動作と連動して移動する駆動ベルト45を通じて主動プーリ51に力がかかる。トルクセンサ43は、回転軸46を介して主動プーリ51にかかった力、すなわち引出し式扉9を引き出す力に応じて、トルク検知出力SSを、制御部100に出力するようになっている。制御部100は、このトルク検知出力SSを受けて、トルクが軽減するように電動モータ41の回転制御を行い、使用者の引出し式扉9をX1方向に引き出す際の力のアシストを行う。
また、図7に示すトルクセンサ43は、使用者が引出し式扉9をX2方向に押し込む場合には、物品収納部21のX2方向への押し込み動作と連動して移動する駆動ベルト45を通じて主動プーリ51に力がかかる。トルクセンサ43は、回転軸46を介して主動プーリ51にかかった力、すなわち引出し式扉9を引き出す力に応じて、トルク検知出力SRを、制御部100に出力するようになっている。制御部100は、このトルク検知出力SRを受けて、トルクが軽減するように電動モータ41の回転制御を行い、使用者の引出し式扉9をX2方向に押し込む際の力のアシストを行う。
図7に示すエンコーダ44は、電動モータ41の回転制御の際に、引出し式扉9をX1方向に引き出す際の引出し速度と引出し量、開閉方向を含む位置情報SGを、制御部100に与える。また、エンコーダ44は、電動モータ41の回転制御の際に、引出し式扉9をX2方向に押し込む際の押し込み速度と押し込み量、開閉方向を含む位置情報SHを、制御部100に与えるようになっている。
また、図3と図7に示すように、野菜室3の側面部25の内面25Aには、ホームポジションセンサとしてのポジション検知センサ50が配置されている。このポジション検知センサ50は、好ましくは光学センサ、一例としてフォトセンサである。
図9は、このポジション検知センサ50と遮蔽部材54等を示す斜視図である。
図9に示すように、ポジション検知センサ50は、本体部51と発光部52と受光部53を有する。ポジション検知センサ50は、好ましくは駆動ベルト45の下部分45Aと上部分45Bの間の位置において配置されている。本体部51の上部には発光部52が配置され、本体部52の下部には受光部53が配置されている。発光部52は例えば発光ダイオードであり、受光部53はフォトダイオードであるが、特に限定されない。
図9に示す遮光部材54は、光を通さないプラスチックまたは金属の板部材であり、基部55と取付け部56を有する。遮光部材54の基部55は、駆動ベルト45の下部分45Aに固定されている。このため、遮光部材54は、駆動ベルト45とともにX1、X2方向に移動することができる。遮光部材54は、Y方向(上方向)に向けて突き出して形成されている。
図10(A)は、ポジション検知センサ50の発光部52が発する光Lが、受光部53に受光されている状態を示し、図10(B)は、遮光部材54が発光部52と受光部53の間を通過することで、発光部52が発する光Lを遮断して、光Lが受光部53に到達しない状態を示している。
図10(A)に示すように、ポジション検知センサ50の発光部52が発する光Lが、受光部53に受光されている。しかし、図10(B)に示すように、駆動ベルト45がX2方向に移動する際に、遮光部材54が発光部52と受光部53の間を通過することで、発光部52が発する光Lを遮断して、光Lが受光部53に到達しない。これにより、受光部53は、制御部100に対して、光Lを受光しないタイミングで、ホームポジション信号SHPを送るようになっている。
また、図8と図9と図10(B)に示すように、遮光部材54の取付け部56は、スライドレール31の内側31Mに固定されている。これにより、遮光部材54の取付け部56は、スライドレール31と駆動ベルト45との固定関係がある。
このため、使用者が、物品収納部21から内部から野菜を取り出そうと引出し式扉9を引き出すと、物品収納部21はスライドレール31とともに、電動モータ41のアシストによる駆動ベルト45の移動により、野菜室3の空間22内からX1方向に引き出すことができる。また、使用者が、物品収納部21から野菜を取り出した後に引出し式扉9を押し込もうとすると、物品収納部21はスライドレール31とともに、電動モータ41のアシストによる駆動ベルト45の移動により、X2方向に押し込んで納めることができる。
図11は、図1に示す冷蔵庫1の電気ブロックの例を示している。
図11に示すように、制御部100は、メイン基板101に搭載されている。このメイン基板101は、制御部100の他に、インバータコントローラ102、ヒータ駆動回路103、インテリジェントパワーモジュール(IPM)108、ファンドライバ104,105、三方弁ドライバ106等を搭載している。
ヒータ駆動回路103は、除霜ヒータ107を駆動する。インテリジェントパワーモジュール(IPM)108は、コンプレッサ109を駆動する。ファンドライバ104,105は、それぞれ冷蔵室ファン110と冷凍室ファン111を駆動する。三方弁ドライバ106は、三方弁112を駆動する。
図11の制御部100は、冷蔵室センサ121、冷凍室センサ122、製氷器センサ123、除霜センサ124に接続されており、それぞれから温度情報を得ることができる。制御部100は、図1に示す冷蔵室扉7,8のドア開閉検知をするためのスイッチ131,132に接続されている。制御部100は、操作パネルユニット20に対してインターフェース20Fを介して接続されている。
さらに、制御部100は、すでに説明したように、物品収納部の駆動機構部40のポジション検知センサ50、エンコーダ44、トルクセンサ43、そして電動モータ41に接続されている。
次に、図12を参照して、上述した野菜室3において、使用者が、物品収納部21内から野菜を取り出す際に、手指で引出し式扉9を引き出すことで、物品収納部21を野菜室3の空間22内からX1方向に引き出す電動アシスト付きの開扉操作を説明する。
そして、この後に、図13を参照して、上述した野菜室3において、使用者が、物品収納部21内から野菜を取り出した後に、手指で引出し式扉9を押し込むことで、物品収納部21を野菜室3の空間22内へX2方向に押し込んで納める電動アシスト付きの閉扉操作を説明する。
<1.引出し式扉9と物品収納部21を、野菜室3の空間22内からX1方向に引き出すための電動アシスト付きの開扉操作>
図12(A)は、物品収納部21を野菜室3の空間22内からX1方向に引き出す操作におけるトルクセンサ43のトルク検知出力SSを示し、図12(B)は、トルク検知出力SSに対応して出力される電動モータ41のモータアシスト量MAを示す。
そして、図12(C)は、扉閉位置CPから扉開位置OPまでの引出し式扉9の扉移動距離DTを示している。
図12(C)に示すように、使用者が手指で引出し式扉9を持ってX1方向に引き出して、扉閉位置CPから扉開位置OPまで扉移動距離DTが大きくなっていく場合を説明する。
図12(A)に示すように、使用者が、手指で図2に示す引出し式扉9を持って、X1方向に引き出す(開ける)際に力を加えると、図3に示す引出し式扉9と物品収納部21とスライドレール31,32が、一体的な1つのユニットとして支持レール27,28に沿ってX1方向に引き出される。この際に、図8に示すように、スライドレール31がX1方向に引き出されるとともに、駆動ベルト45の下部分45AがX1方向に移動する。
このように、駆動ベルト45の下部分45AがX1方向に移動することで、主動プーリ51に力がかかり、主動プーリ51と同軸上のトルクセンサ43が、図12(A)に示すように、引出し式扉9を引き出す力に応じて、図7のトルクセンサ43は、破線で示すプラスのトルク検知出力SSを制御部100に出力する。
図12(A)に示すように、このトルク検知出力SSは、使用者が引出し式扉9を引き出した直後の時点T1において大きな値を出す。図12(A)に示すように、トルク検知出力SSは、時点T1以後は、ほぼ一定値を保つ。
そして、図12(A)に示すように、使用者が引出し式扉9の引出し操作を停止しようとして力を掛けるのを止める時点T2では、ブレーキを掛けることになるので、図7のトルクセンサ43はマイナスのトルク検知出力SS1を制御部100に出力する。すなわち、図12(A)に示すように、使用者が引出し式扉9の引出しを停止しようとする時点T2では、使用者は引出し式扉9を引き出す力を抑えることで、トルクセンサ43が出力するプラスのトルク検知出力SSの向きが逆になり、マイナスのトルク検知出力SS1になる。
図12(A)に示すトルク検知出力SSの変化に応じて、図7の制御部100は、図12(B)に示すように、トルクを軽減するようにモータアシスト量MAを与えるために図7の電動モータ41の回転制御を行う。これにより、電動モータ41は、使用者が引出し式扉9を引き出す(開ける)際の動作におけるトルクを軽減するように力の電動アシスト操作を行う。
電動モータ41の回転制御によるトルクの軽減のための電動アシスト操作を行う場合には、制御部100は、引出し式扉9を開く操作において、図12(A)と図12(B)を比較すると判るように、好ましくはトルクセンサ43により得られるトルク検知出力SSよりも小さいモータアシスト量MAを発生するようになっている。
これにより、使用者が引出し式扉9を開く操作をする力よりも大きいモータアシスト量を発揮することがないので、使用者は引出し式扉9を、図2に示す閉めた状態から図4に示す開いた状態にまで、適切な開く操作感覚で、引出し操作に違和感なく開くことができる。
図12(A)と図12(B)に示す例のように、使用者が引出し式扉9を引き出した直後の時点T1以降では、モータアシスト量MAは、例えばトルクセンサ43が検出したトルク検知出力SSの1/2に設定して、アシストすることができるが、特にモータアシスト量MAのアシスト量は1/2には制約されず、任意に設定することができる。
この電動モータ41の回転制御によるトルクの軽減のための電動アシストを行う際に、図7に示す引出し式扉9をX1方向に引き出す際の引出し速度と引出し量、開閉方向を含む位置情報SGを、制御部100に与えて、引出し式扉9の引出し速度が速い場合や、引出し限度付近では、アシスト量を軽減しても良い。
<2.引出し式扉9と物品収納部21を、野菜室3の空間22内へX2方向に押し込んで納めるための電動アシスト付きの閉扉操作>
図13(A)は、物品収納部21を野菜室3の空間22内へX2方向に押し込んで納める操作におけるトルクセンサ43のトルク検知出力SRを示し、図13(B)は、トルク検知出力SRに対応して出力される電動モータ41のモータアシスト量MBを示す。
そして、図13(C)は、扉開位置OPから扉閉位置CPまでの引出し式扉9の扉移動距離DTを示している。
図13(C)に示すように、使用者が手指で引出し式扉9を持ってX2方向に押し込んで納めるので、扉開位置OPから扉閉位置CPまで扉移動距離DTが小さくなっていく場合を説明する。
図13(A)に示すように、使用者が手指で引出し式扉9を持ってX2方向に押し込む(閉じる)際に力を加えると、図3に示す引出し式扉9と物品収納部21とスライドレール31,32が、一体的な1つのユニットとして支持レール27,28に沿ってX2方向に押し込まれる。図8に示すように、スライドレール31がX2方向に押し込まれるとともに、駆動ベルト45の下部分45AもX2方向に移動する。引出し式扉9は、図4に示す開いた状態から、図5に示すほぼ閉じた状態になり、そして図2に示す完全に閉じた状態に閉じるようになっている。
このように、図7に示す駆動ベルト45の下部分45AがX2方向に移動することで、主動プーリ51には、すでに説明した引出し式扉9を引き出す場合とは逆に力がかかり、主動プーリ51と同軸上のトルクセンサ43が、図13(A)に示すように、引出し式扉9を押す力に応じた破線で示すプラスのトルク検知出力SRを制御部100に出力する。このトルク検知出力SRは、使用者が引出し式扉9を押し込もうとする直後の時点T10において大きな値を出す。そして、トルク検知出力SRは、時点T10以後は、ほぼ一定値を保つ。
図7に示す電動モータ41の回転制御によるトルクの軽減のための電動アシスト操作を行う場合には、図13(A)と図13(B)を比較して判るように、制御部100は、引出し式扉9を閉じる操作において、好ましくはトルクセンサ43により得られるトルク検知出力SRよりも小さいモータアシスト量MBを発生するようになっている。
これにより、使用者は引出し式扉9を、図4に示す開けた状態から図4に示す少し開いた状態まで、適切な開く操作感覚で、引出し操作に違和感なく閉じることができる。
図13(A)と図13(B)に示すように、使用者が引出し式扉9を引き出した直後の時点T10以降では、モータアシスト量MBは、例えばトルクセンサ43が検出したトルク検知出力SRの1/2に設定して、アシストすることができるが、特にモータアシスト量MBのアシスト量は1/2には制約されず、任意に設定することができる。
ところで、使用者が図4の開いた状態から図5に示す少し開いた状態まで、引出し式扉9のX2方向に沿って押し込み操作を行っていると、図5に示すように、遮光部材54がポジション検知センサ50を通過する。
この遮光部材54がポジション検知センサ50を通過すると、図10(B)に示すように、遮光部材54は発光部52の光Lを遮断するので、光Lが受光部53に到達しない。これにより、図10(B)の受光部53は、光Lを受光しないタイミングで、制御部100に対してホームポジション信号SHPを送る。
このポジション検知センサ50は、図13に示すように、好ましくは引出し式扉9の物品収納部21が空間22の内端部から、例えば3cmの距離MJのホームポジション位置HPに設定されている。言い換えれば、図5に示すように、この距離MJは、引出し式扉9が図5に示す少し開いた状態から図2に示すように完全に閉まるまでの間隔である。図5と図7に示すように、ホームポジション位置HPに配置されているポジション検知センサ50は、遮光部材54がX2方向に通過すると、図10(B)に示すように、ホームポジション信号SHPを制御部100へ送る。
このように、図13に示す引出し式扉9が完全に閉まる扉閉位置CPまでの一定の距離(例えば3cm)MJに相当するホームポジション位置HPに、ポジション検知センサ50が設けられている。
このため、図13(A)と図13(B)に示すように、引出し式扉9の収納部21が、ある一定の位置(ホームポジションHP位置)まで、野菜室3の空間22内に押し込まれた場合には、次のようにして、制御部100は、電動モータ41を回転制御して、図13(B)に示すように、自動的にモータアシスト量MB1を発生する。
すなわち、使用者が引出し式扉9を押す力を、時点T11において弱めてしまいトルクセンサ43のトルク検知出力SRが小さくなってしまっても、制御部100は、トルクセンサ43のトルク検知出力SRの大小やトルク検知出力SRの有無に関わらず、電動モータ41を回転制御して、図13(B)に示すように、自動的にモータアシスト量MB1を別途発生させる。
これにより、制御部100は、電動モータ41にモータアシスト量MB1を発生させて、引出し式扉9と物品収納部21は、引出し式扉9が野菜室3の前面開口部3Rを完全に閉じる位置まで、強制的に押し込むことができる。
従って、仮に、使用者が引出し式扉9を押し込んでいる途中で、引出し式扉9を押し込む力を弱めるか、完全に閉めるのを止めてしまったとしても、制御部100は、ホームポジションHPの位置から、電動モータ41により追加のモータアシスト量MB1を与えることで、自動的に引出し式扉9を扉閉位置CPまで完全に閉じることができる。これにより、引出し式扉9は、半開きの状態で停止してしまうのを防止し、使用者が引出し式扉9を閉める時の負担を軽減することができる。
これに対して、比較例として、通常の引出し式扉の場合には、使用者が、引出し式扉を完全に閉める前に引出し式扉を押すのを止めてしまと、トルクセンサはトルク検知信号を発生しないことから、制御部はモータアシスト量を発生しない。このため、引出し式扉はこの位置で停止したまま引出し式扉は、野菜室において半開き状態のままになるという不都合が生じる。
上述した構成の冷蔵庫1は、使用者が大型の引出し式扉であっても軽く開閉操作を行え、引出し式扉を完全に閉じる前に、使用者が引出し式扉のハンドルを押すのを止めてしまっても、引出し式扉を完全に閉めることができる。このため、引出し式扉の開閉時の操作性の向上が図れ、冷蔵庫1の使用勝手の良好になる。
大型の引出し式の物品収納部を有する野菜室などの貯蔵部であっても、使用者は引出し式扉の開閉操作を容易に行え、使用者は引出し式扉の動作には違和感がなくなる。
本発明の実施形態の冷蔵庫1は、引出し式扉の開閉移動操作に従って貯蔵室内で移動可能な物品収納部を有する冷蔵庫であって、引出し式扉の開閉移動操作に従って物品収納部の移動をアシストする物品収納部の駆動機構部を備え、物品収納部の駆動機構部は、モータと、引出し式扉の開閉移動操作に従って掛かるトルクを検知してトルク検知出力を発生するトルクセンサと、トルクセンサにより得られるトルク検知出力に応じてモータから引出し式扉の開閉移動操作をアシストするモータアシスト量を発生する制御部と、を有し、制御部は、引出し式扉を閉じる動作時に、一定の距離まで引出し式扉を閉じると、モータを回転制御して引出し式扉を最後まで閉じる動作を自動的に行う。
これにより、制御部は、引出し式扉の開閉移動操作に従ってトルクセンサにより得られるトルク検知出力に応じて、モータから引出し式扉の開閉移動操作をアシストするモータアシスト量を発生することで、野菜室3や冷凍室等6の貯蔵室の物品収納部21内に大量の物品が貯蔵されている場合であっても、使用者は、引出し式扉の開閉移動操作が容易に軽く行える。大型の引出し式扉であって物品収納部21内に大量の物品が貯蔵されている場合であっても、引出し式扉を完全に閉じる前に、使用者が引出し式扉のハンドルを押すのを止めてしまっても、引出し式扉は完全に閉めることができる。このため、引出し式扉が半開き状態にならずに、冷蔵庫の引出し扉の操作性の向上が図れ、使用勝手が良好である。
物品収納部の駆動機構部70は、引出し式扉9が完全閉まる前の位置であるポジションHPに配置されたポジション検知センサ50を有し、制御部100は、引出し式扉を閉じる動作時に一定の距離まで引出し式扉を閉じたことをポジション検知センサ50により検知された時に、トルクセンサ43により得られるトルク検知出力に関係なく、モータ41によるモータアシスト量を発生させて、引出し式扉9を最後まで閉じる動作を自動的に行う。
これにより、制御部100は、引出し式扉9を閉じる動作時に一定の距離まで引出し式扉9を閉じたことをポジション検知センサ50により検知された時に、トルクセンサ43により得られるトルク検知出力に関係なく、モータ41によるモータアシスト量を発生させて、引出し式扉9を最後まで閉じる動作を自動的に行うことができる。このため、大型の引出し式扉9であって物品収納部21内に大量の物品が貯蔵されている場合であっても、引出し式扉が半開き状態にならずに、冷蔵庫1の引出し扉の操作性の向上が図れ、使用勝手が良好である。
物品収納部の駆動機構部40は、物品収納部21を貯蔵室である例えば野菜室3内で引出し式扉9の開閉移動方向に沿ってスライド可能に支持するスライド機構部70と、スライド機構部70により物品収納部21が移動する際に同期して移動するエンドレス状の駆動ベルト45と、駆動ベルト45を掛ける主動プーリ51と従動プーリ52と、主動プーリ51に取り付けられたトルクセンサ43と、トルクセンサ43を介して主動プーリ51をアシストするモータ41を有する。
これにより、物品収納部21は、引出し式扉の開閉移動に伴って、物品収納部の駆動機構部40のスライド機構部70を用いてスムーズに移動することができる。モータ41が発生するモータアシスト量は、主動プーリ51と駆動ベルト45を通じて引出し式扉9の開閉操作のアシストを行うことができる。
制御部100は、引出し式扉の開閉移動操作に、トルクセンサ43により得られるトルク検知出力よりも小さいモータアシスト量を発生するようになっている。
これにより、使用者が引出し式扉を開閉操作する力よりも大きいモータアシスト量を発揮することがなく、使用者は適切な開閉操作感覚で開閉操作をすることができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な態様で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明の実施形態を示す図示例では、野菜室3における引出し式扉9のオープン操作とクローズ操作の際に、物品収納部の駆動機構部40を用いて力のアシスト操作を行うこと説明している。
しかしこれに限らず、図14に例示するように、野菜室3の引出し式扉9だけではく、例えば主冷凍室6の引出し式扉12、製氷室4の引出し式扉10、小冷凍室5の引出し式扉11の少なくとも1つにおけるオープン操作とクローズ操作の際に、物品収納部の駆動機構部40を用いて力のアシスト操作を行うようにしても良い。また、野菜室3、主冷凍室6、製氷室4、小冷凍室5の上下位置関係は、図1と図14の例に限らず、任意に変更することができる。
ポジション検知センサ50としては、フォトセンサのような非接触式センサを用いている。しかし、これに限らず、ポジション検知センサとしては、例えば機械式の接触によるセンサにより、物品収納部のホームポジションHPの位置を検知するようにしても良い。また、別の例のポジション検知センサとしては、扉の開閉スイッチによる検知信号と、扉の移動量を検知するエンコーダの組み合わせにより、引出し式扉が、完全閉まる前の位置であるホームポジションHP、完全閉まる前の一定の距離、例えば3cmの距離の位置を得るようにしても良い。
電動モータは、主軸が回転する形式のものを採用しているが、これに限らず他の形式の駆動モータ、例えばリニアモータであっても良い。
また、図1に示す冷蔵庫1の構造は、一例であり、任意の構造を採用することができる。図示した本発明の実施形態では、冷蔵庫1の冷蔵室2は、両開き式の冷蔵室扉7,8を有する構造であるが、これに限らず片開き式の冷蔵室扉を有する構造であっても良い。