JP6876569B2 - 金属−炭素粒子複合材 - Google Patents

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本発明は、金属マトリックス中に炭素粒子としての鱗片状黒鉛粒子が分散した金属−炭素粒子複合材に関する。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特に文中に示した場合を除いて、「アルミニウム」の語は純アルミニウム及びアルミニウム合金の双方を含む意味で用いられ、「銅」の語は純銅及び銅合金の双方を含む意味で用いられる。
また本明細書では、説明の便宜上、金属−炭素粒子複合材における金属層と鱗片状黒鉛粒子分散層とが交互に複数積層している方向を、複合材の厚さ方向と定義し、複合材の厚さ方向に対して垂直な面及びその方向をそれぞれ複合材の平面及び平面方向と定義する。
金属−炭素粒子複合材は一般に高熱伝導性及び低線膨張性を有している。この種の複合材やその製造方法を開示した文献として次のものがある。
特許第5150905号(特許文献1)は、シート状又はフォイル状の金属支持体上に炭素繊維を含有する皮膜が形成されたプリフォームを形成し、これを複数積み重ねて積層体を形成し、積層体を加熱圧接することにより、金属−炭素粒子複合材としての金属基炭素繊維複合材を製造する方法を開示している。この方法では、得られる複合材において熱伝導率が高くなるのは炭素繊維が配向した一方向のみである。
特開2015−25158号公報(特許文献2)は、金属層と炭素繊維層が交互に且つ積層方向の両最外側にそれぞれ金属層が配置される態様にして複数積層されるとともに、これらの層が拡散接合により接合一体化された、金属と炭素繊維との複合材を開示している。
この複合材では、複合材の厚さ方向の両最外側にそれぞれ配置された金属層(これを説明の便宜上「最外側金属層」という)は、複合材の両最外側金属層の内側に配置された金属層(これを説明の便宜上「内側金属層」という)よりも厚くなっている。その理由は、最外側金属層は、主に、複合材中の炭素繊維が複合材の外面に露出したり複合材の外面から脱落したりするのを抑制するために複合材の外面を保護する保護層としての役割を有しているからである。
特許第4441768号公報(特許文献3)は、鱗状黒鉛粉末と所定の鱗状金属粉末との混合体を用いて焼結前駆体を形成し、焼結前駆体を焼結することにより、金属−炭素粒子複合材を製造する方法を開示している。この方法では、製造時において金属粉末の取り扱いが難しいし、製造コストが高いという問題がある。
特開2006−1232号公報(特許公報4)は、結晶系カーボン材層と金属層が交互に複数積層され複合化された複合体をホットプレス焼結することにより、金属−炭素粒子複合材としての高熱伝導・低熱膨張複合材を製造する方法を開示している。この方法では、複合体の焼結が難しく、そのため、接合が不十分で接合界面のずれが生じやすいと考えられる。
金属−炭素粒子複合材を開示したその他の文献として、特開2015−217655号公報(特許文献5)がある。
特許第5150905号 特開2015−25158号公報 特許第4441768号公報 特開2006−1232号公報 特開2015−217655号公報
而して、SiC等を用いた次世代半導体チップは高温動作が可能である。そのようなチップを冷却する冷却器の構成層の材料は、冷却器の冷却性能を高めるために、より高い熱伝導性(高い熱伝導率)を有していることが望ましい。そこで、この材料として金属−炭素粒子複合材を用いることが考えられる。
しかるに、金属−炭素粒子複合材の炭素粒子として炭素繊維が用いられている場合、複合材は高い成形加工性を有しているが、複合材において熱伝導率が高くなるのは炭素繊維が配向した方向のみであり、そのため、高い熱伝導率を有する複合材の製造は容易ではない。
金属−炭素粒子複合材の炭素粒子として鱗片状黒鉛粒子が用いられている場合、高い熱伝導率を有する複合材を製造可能であるが、複合材の成形加工性があまり良くないという難点があった。そのため、複合材を例えば曲げ加工すると、複合材を構成する層(即ち、金属層、鱗片状黒鉛粒子層)の剥離や複合材の破断が発生し易かった。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、高い熱伝導率と高い成形加工性を有する金属−炭素粒子複合材を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] 金属マトリックスからなる金属層と前記金属マトリックス中に鱗片状黒鉛粒子が分散した鱗片状黒鉛粒子分散層とが交互に複数積層した状態に接合一体化されており、
前記金属層の平均厚さが12〜100μmの範囲であり、
前記鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さが1〜100μmの範囲であり、
前記金属層の平均厚さと前記鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さとの比率を1:Xとするとき、Xが0.1〜1の範囲である金属−炭素粒子複合材。
[2] 前記金属マトリックスがアルミニウム又は銅である前項1記載の金属−炭素粒子複合材。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1に記載の金属−炭素粒子複合材では、炭素粒子として鱗片状黒鉛粒子が用いられていることにより、高い熱伝導率を有する複合材を容易に製造することができる。
さらに、金属層の平均厚さが12〜100μmの範囲であり、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さが1〜100μmの範囲であり、金属層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子層の平均厚さとの比率を1:Xとするとき、Xが0.1〜1の範囲であるから、金属層が厚く、これにより複合材の成形加工性を高めることができる。
前項2では、金属マトリックスがアルミニウム又は銅であることにより、複合材の熱伝導率を確実に高めることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る金属−炭素粒子複合材の概略断面組織図である。 図2は、金属層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子層の平均厚さの算出方法を説明するための同概略断面組織図である。 図3は、同複合材の製造方法の流れ図である。 図4は、塗工箔を得る工程を説明する概略図である。 図5は、同塗工箔の条材を切断するときの概略図である。 図6は、積層体の概略正面図である。 図7は、同積層体を加圧加熱焼結装置により焼結する場合の概略図である。
次に、本発明の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る金属−炭素粒子複合材20は、金属マトリックス(ドット網掛けで示す)23からなる複数の金属層(一点鎖線で囲んだ領域)22と、金属マトリックス23中に炭素粒子としての鱗片状黒鉛粒子1が分散した複数の鱗片状黒鉛粒子分散層(二点鎖線で囲んだ領域)21とを含んでいる。金属層22と鱗片状黒鉛粒子分散層21は、複合材20の厚さ方向Bの略全体に亘って複合材20の厚さ方向Bに交互に複数積層した状態に配列している。そしてこの状態で、複数の金属層22と複数の鱗片状黒鉛粒子分散層21とが接合一体化(詳述すると焼結一体化)されており、これにより複合材20が形成されている。
複合材20では、炭素粒子として鱗片状黒鉛粒子1が用いられているので、複合材20は詳述すると金属−鱗片状黒鉛粒子複合材である。
各鱗片状黒鉛粒子分散層21では、鱗片状黒鉛粒子1は金属マトリックス23中に複合材20の平面方向Aに多数分散している。
鱗片状黒鉛粒子1は、なるべく高い熱伝導性を有するもの(例:高熱伝導性鱗片状黒鉛粒子)であることが望ましい。
鱗片状黒鉛粒子1の粒径は限定されるものではないが、鱗片状黒鉛粒子1の最長軸方向の長さを鱗片状黒鉛粒子1の粒径とするとき、金属マトリックス23中に分散される多数の鱗片状黒鉛粒子1の最長軸方向の平均長さは300μm以上であることが望ましい。この場合、複合材20の内部において鱗片状黒鉛粒子1と金属マトリックス23との間の界面熱抵抗を小さくすることができ、これにより、複合材20の熱伝導率を確実に高めることができる。鱗片状黒鉛粒子1の最長軸方向の平均長さの上限も限定されるものではなく、通常1000μmである。
ここで、鱗片状黒鉛粒子1の最長軸方向の平均長さは次の方法により算出される。
ガラス板上に分散した多数の鱗片状黒鉛粒子の中から任意に選択した100個の鱗片状黒鉛粒子をそれぞれ光学顕微鏡で観察し、各鱗片状黒鉛粒子の最も長い方向の長さを測定する。そして、それらの算術平均値を鱗片状黒鉛粒子の最長軸方向の平均長さとする。
鱗片状黒鉛粒子1のアスペクト比は限定されるものではなく、特にその平均アスペクト比が30以上であることが望ましい。鱗片状黒鉛粒子1の平均アスペクト比の望ましい上限も限定されるものではなく、通常100である。
金属マトリックス23の種類は限定されるものではないが、特に金属マトリックス23はアルミニウム又は銅であることが望ましい。この場合、複合材20の熱伝導率を確実に高めることができる。
本実施形態の複合材20では、炭素粒子として鱗片状黒鉛粒子1が用いられていることにより、高い熱伝導率を有する複合材20を容易に製造することができる。
本実施形態の複合材20において、金属層22の平均厚さ及び鱗片状黒鉛粒子分散層21の平均厚さは次の方法により定義される。
図2に示すように、複合材20をその厚さ方向Bに切断した断面について1.5mm(複合材20の平面方向A)×1.0mm(複合材20の厚さ方向B)の視野範囲を撮影した断面組織写真において、複合材20の厚さ方向Bに延びるグリッド線60を複合材20の平面方向Aに0.1mmの間隔で10本引いたとき、一つのグリッド線60が一つの鱗片状黒鉛粒子1を横断する線分の長さtを一つの鱗片状黒鉛粒子分散層21の厚さとして測定し、10本のグリッド線60について測定した全ての鱗片状黒鉛粒子分散層21の厚さの算術平均値を鱗片状黒鉛粒子分散層21の平均厚さと定義し、また、一つのグリッド線60が一つの金属マトリックス部分(即ち、当該一つのグリッド線60が横断する互いに隣り合う二つの鱗片状黒鉛粒子1、1間の部分)を横断する線分の長さTを一つの金属層22の厚さとして測定し、10本のグリッド線60について測定した全ての金属層22の厚さの算術平均値を金属層22の平均厚さと定義する。
ただし、複合材20の厚さ方向Bの両最外側にそれぞれ配置された金属層、即ち最外側金属層は、金属層22の平均厚さの算出に適用する金属層から除外する。その理由は、最外側金属層は、複合材20の外面を保護する保護層としての役割を有するようにするため、一般に複合材20の両最外側金属層の内側に配置された金属層(即ち内側金属層)22よりも厚くなっていることが多いからである。
本実施形態の複合材20では、金属層22の平均厚さは12〜100μmの範囲に設定されており、鱗片状黒鉛粒子分散層21の平均厚さは1〜100μmの範囲に設定されており、金属層22の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層21の平均厚さの比率を1:Xとするとき、Xは0.1〜1の範囲に設定されている。
金属層22の平均厚さ、鱗片状黒鉛粒子分散層21の平均厚さ及びXがそれぞれ上述した範囲に設定されていることにより、複合材20の熱伝導率を高めることができるし複合材20の成形加工性(例:曲げ加工性、延性、打ち抜き加工性)を高めることができる。
Xが0.1未満である場合、複合材20中の鱗片状黒鉛粒子1の含有量が少なすぎ、そのため複合材20の熱伝導率を高める効果に劣る。Xが1を超える場合、複合材20中の鱗片状黒鉛粒子1の含有量が多すぎ、そのため複合材20の製造が困難になるし複合材20の成形加工性が悪化する。
金属層22の特に望ましい厚さは15〜50μmの範囲であり、鱗片状黒鉛粒子分散層21の特に望ましい厚さは10〜35μmの範囲である。また、Xは0.2〜0.7の範囲であることが特に望ましい。
また、複合材20中の鱗片状黒鉛粒子1の体積含有率は、複合材20の体積に対して10〜50体積%の範囲であることが望ましい。この場合、複合材20の成形加工性を確実に高めることができる。
複合材20の製造方法は限定されるものではないが、その望ましい製造方法について図3〜7を参照して以下に説明する。
図3に示すように、複合材20の製造方法は、塗工箔を得る工程S1と、積層体を形成する工程S2と、積層体を焼結する工程S3とを含んでおり、この記述の順に行われる。
塗工箔を得る工程S1では、図4に示すように、鱗片状黒鉛粒子1とバインダー2とバインダー2用溶剤3とを混合状態に含む塗工液5を金属箔10の塗工予定表面10aに塗工することにより、金属箔10の塗工予定表面10aに鱗片状黒鉛粒子層11が形成された塗工箔12を得る。
本実施形態では、金属箔10として金属箔10の帯状条材10A(即ち帯状の長尺な金属箔10)が用いられている。
金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aは、金属箔10の条材10Aの厚さ方向の両表面のうち少なくとも片側の表面であり、本実施形態では塗工予定表面10aは金属箔10の条材10Aの厚さ方向の片側の表面だけである。
金属箔10の金属材料は、所望する複合材20の金属マトリックス23の種類に応じて決定される。すなわち、金属マトリックス23がアルミニウムマトリックスである場合、金属箔10としてアルミニウム箔が用いられ、金属マトリックス23が銅マトリックスである場合、金属箔10として銅箔が用いられる。
金属箔10がアルミニウム箔である場合、アルミニウム箔の材質は限定されるものではなく、例えば、純度99%以上の純アルミニウムやアルミニウム合金である。
金属箔10が銅箔である場合、銅箔の材質は限定されるものではなく、例えば、純銅や銅合金である。
金属箔10の厚さは、得られる複合材20の金属層22の平均厚さが12〜100μmの範囲になるような厚さであれば良い。ここで、金属箔10の厚さが10μm以下である場合、金属箔10の材料コストが高いし金属箔10のハンドリング性が悪いので、金属箔10の厚さは10μmを超えていることが望ましい。
バインダー2は、鱗片状黒鉛粒子1に金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aへの付着力を付与して鱗片状黒鉛粒子1が塗工予定表面10aから不慮に脱落するのを抑制するためのものである。バインダー2は通常、有機樹脂などの樹脂からなる。バインダー2として、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、アクリル系樹脂などが用いられる。
溶剤3はバインダー2を溶解するものである。溶剤3として、親水性溶剤(イソプロピルアルコール、水)、有機溶剤などが用いられる。
塗工液5は例えば次のようにして得られる。
すなわち、塗工液5は、鱗片状黒鉛粒子1とバインダー2と溶剤3を混合容器41内に入れこれらを撹拌混合器42により混合することにより、得られる。必要に応じて、塗工液5には分散剤(図示せず)、表面調整剤(図示せず)などが添加される。撹拌混合器42として、ディスパー、プラネタリーミキサー、ビーズミルなどが用いられる。
塗工液5を金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aに塗工する方法及び塗工装置は限定されるものではない。例えば、塗工液5の塗工装置として、グラビアコーター、3本ロールコーター(オフセットタイプ)、ナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター(2本ロール)、スプレーコーター、カーテンコーター、リバースロールコーターなどが用いられる。
本実施形態では、図4に示すように、塗工液5の塗工は、金属箔10の条材10Aを巻き出す巻出しロール37aと金属箔10の条材10A(塗工箔12の条材12A)を巻き取る巻取りロール37bとを用いたロールtoロール方式の塗工装置により行われる。この場合における塗工液5の塗工方法は次のとおりである。
巻出しロール37aと巻取りロール37bとの間には、塗工装置30と乾燥炉38が金属箔10の条材10Aの送り方向Fに並んで設置されている。
塗工装置30は例えばグラビアコーター(詳述するとダイレクトグラビアコーター)であり、グラビアロール31、バックアップロール33、塗工液5をグラビアロール31の周面31aに付着させる塗工液付着手段35、ドクターブレード34などを備えている。
グラビアロール31の周面31aにはその全体に亘って多数のセル(図示せず)が整然と配列して設けられている。セルは、格子型セル、ピラミッド型セル、亀甲型セル、円型セル、斜線型セルなどである。
塗工液付着手段35は、塗工液5を収容した塗工液パン(図示せず)を備えたものであり、グラビアロール31の周面31aの周方向の一部がパン内の塗工液5に接触した状態でグラビアロール31がその中心軸を中心に回転することにより、グラビアロール31の周面31aにその周方向に塗工液5が付着されるように構成されている。
巻出しロール37aから巻き出された金属箔10の条材10Aは、グラビアコーター(塗工装置30)のグラビアロール31とバックアップロール33との間を通過する。この際に金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aに塗工液5がグラビアロール31によって金属箔10の条材10Aの長さ方向(即ち金属箔10の条材10Aの送り方向F)に連続的に層状に塗工される。これにより、金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aに塗工液5からなる鱗片状黒鉛粒子層11が形成(塗工)された塗工箔12の条材12Aが得られる。
そして、塗工箔12の条材12Aが乾燥炉38内を通過することにより、鱗片状黒鉛粒子層11中の溶剤3が鱗片状黒鉛粒子層11から蒸発除去される。その後、塗工箔12の条材12Aが巻取りロール37bに巻き取られる。
金属箔10の条材10Aの塗工予定表面10aへの塗工液5の塗工量は限定されるものではない。特に、塗工液5は、鱗片状黒鉛粒子層11中の鱗片状黒鉛粒子1の塗工量が10〜160g/m(好ましくは25〜80g/m)になるように塗工予定表面10aに塗工されることが望ましい。
積層体を形成する工程S2は、塗工箔12が複数積層された状態の積層体15を形成する工程であり、例えば次のように行われる。
図5に示すように、まず巻取りロール37bから巻き解かれた塗工箔12の条材12Aを切断機45により所定形状に切断する。これにより、塗工箔12の条材12Aから所定形状(例:略方形状)の塗工箔12を複数切り出す。すなわち、各塗工箔12は塗工箔12の条材12Aを切断した切断片からなるものである。
次いで、図6に示すように塗工箔12を複数積層する。これにより、塗工箔12が複数積層された状態の積層体15を形成する。
塗工箔12を積層する際には焼結補助材としての金属粒子を互いに重なり合う塗工箔12、12間に介在させないことが望ましい。この場合、積層体15の形成を容易に行うことができる。金属粒子としては、金属箔10と同種の金属粉末などが用いられる。ただし本実施形態では、互いに重なり合う塗工箔12、12間に金属粒子を介在させないことに限定されるものではなく、金属粒子を介在させても良い。
積層体15を形成するための塗工箔12の積層枚数は限定されるものではなく、所望する複合材20の厚さなどに対応して設定され、例えば10〜1000枚である。
ここで、上記の特開2015−25158号公報(特許文献2)に記載の複合材のように、厚さ方向の最外側に保護層としての金属層が配置されている複合材を製造する場合には、同公報に記載のように、塗工箔12を複数積層する際に、積層体15の厚さ方向の最外側に保護層用金属箔(当該金属箔は鱗片状黒鉛粒子層等の炭素粒子層を有していない)を積層する。なお、保護層は、複合材20中の鱗片状黒鉛粒子1が複合材20の外面に露出したり複合材20の外面から脱落したりするのを抑制するために複合材20の外面を保護する役割を有するものであり、その厚さは、通常、塗工箔12の金属箔10よりも厚くなっている。
積層体15を焼結する工程S3では、積層体15を所定の焼結雰囲気(例:非酸化雰囲気)中にて一軸加圧しながら加熱することにより焼結し、これにより複数の塗工箔12を一括して接合一体化(詳述すると焼結一体化)する。
積層体15の焼結方法は、真空ホットプレス法、放電プラズマ焼結法(SPS法)、熱間静水圧焼結法(HIP法)、圧延法などから選択される。
具体的には、図7に示すように、例えば、加圧加熱焼結装置50の焼結室51内に積層体15を配置し、そして所定の焼結雰囲気中にて積層体15をその厚さ方向(即ち塗工箔12の積層方向)に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより積層体15を焼結する。これにより、図1に示した断面組織を有する金属−炭素粒子複合材20が得られる。
焼結装置50は、積層体15を一軸加圧可能なものであり、例えば当該手段として一対の押圧パンチ52、52を備えている。両押圧パンチ52、52は互いに対向状に配置されている。
積層体15への加圧は、両押圧パンチ52、52で積層体15をその厚さ方向に挟んで加圧することにより行われる。したがって、積層体15の加圧方向とは積層体15の厚さ方向であり、この方向は複合材20の厚さ方向(B、図1参照)と一致している。すなわち、複合材20の厚さ方向Bは積層体15の加圧方向と一致している。
積層体15を焼結するための積層体15の加熱温度、即ち積層体15の焼結温度は限定されるものではなく、通常、金属箔10の金属材料の融点以下であり、例えば、金属材料の融点と当該融点よりも約50℃低い温度との間の温度に設定される。具体的には、金属箔10が例えばアルミニウム箔である場合、積層体15の焼結温度は例えば550〜620℃に設定される。
積層体15中に存在するバインダー2は、この工程S3において積層体15の温度が略室温から積層体15の焼結温度まで上昇するように積層体15を加熱する途中で昇華、分散などにより消失して積層体15から除去される。
この工程S3では、積層体15が上述のように加圧加熱されることにより、金属箔10の金属材料の一部が鱗片状黒鉛粒子層11内に浸透して鱗片状黒鉛粒子層11内に存在する微細な空隙(例:鱗片状黒鉛粒子層11中の鱗片状黒鉛粒子間の隙間)に充填されて、当該空隙が略消滅する。これにより、複合材20の密度が上昇するとともに複合材20の強度が向上する。さらに、鱗片状黒鉛粒子1は複合材20の平面方向Aに配向する。
また、金属箔10の金属材料の一部が鱗片状黒鉛粒子層11内に浸透することによって、各鱗片状黒鉛粒子層11中の鱗片状黒鉛粒子1は複合材20の金属マトリックス23中に複合材20の平面方向Aに分散した状態になり、即ち各鱗片状黒鉛粒子層11は図1に示すように複合材20の鱗片状黒鉛粒子分散層21になる。また、各金属箔10は複合材20の金属層22になる。
したがって、複合材20においては、鱗片状黒鉛粒子分散層21と金属層22は、上述したように複合材20の厚さ方向の略全体に亘って複合材20の厚さ方向Bに交互に複数積層した状態に配列する。
本実施形態の複合材20は、上述したように高い熱伝導率を有しているので、パワーモジュール用冷却器の構成層の材料に好適に使用可能であるし、リチウムイオン二次電池(LiB)の電池の構成部材の材料に好適に使用可能である。なお、パワーモジュールはハイブリッドカー(HEV)、電気自動車(EV)、電車などの車両に用いられたり、風力発電、太陽光発電などのエネルギー分野に用いられたりするものである。
複合材20がパワーモジュール用冷却器の構成層の材料に使用される場合、複合材20は当該冷却器を構成する複数の層のうち配線層、緩衝層、放熱層(例:ヒートシンク)などの材料に特に好適に使用される。
以上で本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
次に、本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、金属−炭素粒子複合材を次の手順で製造した。
炭素粒子としての鱗片状黒鉛粒子と、バインダーとしてのポリエチレンオキサイドの3質量%水溶液及びポリビニルアルコールの10質量%水溶液と、溶剤としてのイソプロピルアルコール及び水と、分散剤と表面調整剤とを混合容器内に入れてディスパーによりこれらを撹拌混合して、塗工液を得た。塗工液の粘度は25℃で1000mPa・sであった。
鱗片状黒鉛粒子の最長軸方向の平均長さは300μmであり、鱗片状黒鉛粒子の平均アスペクト比は30であった。塗工液に含まれる鱗片状黒鉛粒子の含有量は、バインダーと鱗片状黒鉛粒子との合計質量に対して90質量%であった。
アルミニウム箔(Al箔)の帯状条材の塗工予定表面に塗工液をロールtoロール方式のグラビアコーター(詳述するとダイレクトグラビアコーター)により塗工速度2m/minで層状に塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
アルミニウム箔の条材の材質はJIS(日本工業規格)アルミニウム合金番号1N30(以下、単に「A1N30」と記する)であり、その厚さは50μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は80g/mであった。
次いで、塗工箔の条材を正方形状(その寸法:横50mm×縦50mm)に切断し、これにより塗工箔の条材から正方形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を12枚積層することで積層体を形成した。
次いで、加圧加熱焼結装置としての放電プラズマ焼結装置(SPS装置)により真空雰囲気中にて積層体をその厚さ方向(即ち塗工箔の積層方向)に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより積層体を焼結した。これにより、金属−炭素粒子複合材としてのアルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して40体積%であった。
この焼結に適用した焼結条件は次のとおりであった。
焼結温度は620℃、焼結温度の保持時間(即ち焼結時間)は3時間、室温からの昇温速度は20℃/min、積層体への加圧力は20MPa、真空度は3Paであった。また、積層体を室温から焼結温度620℃まで加熱する途中で昇温を一旦停止することで、積層体からのバインダーの除去を行った。この際に適用したバインダーの除去条件は次のとおりであった。
バインダーを除去するための積層体の加熱温度は450℃、その保持時間は30minであった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は442W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。
また、複合材をその厚さ方向に切断した断面について1.5mm(複合材の平面方向)×1.0mm(複合材の厚さ方向)の視野範囲を光学顕微鏡(倍率:75倍)により撮影した断面組織写真を用いて、アルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを上述の実施形態に記載の定義に従ってそれぞれ算出した。その結果、アルミニウム層の平均厚さは52μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは33μmであった。したがって、Xは0.63であった。
また、複合材から50mm×10mmの曲げ加工試験片(厚さ1mm)を切り出し、当該試験片について曲げ半径3mmの90°曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離や破断は見られなかった。
<実施例2>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成のアルミニウム箔の条材を準備した。
アルミニウム箔の条材の材質はA1N30であり、その厚さは15μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は25g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を40枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して40体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は436W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。
また、複合材のアルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、アルミニウム層の平均厚さは16μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは10μmであった。したがって、Xは0.63であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離や破断は見られなかった。
<実施例3>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成のアルミニウム箔の条材を準備した。
アルミニウム箔の条材の材質はA1N30であり、その厚さは20μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は10g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を40枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して17体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は320W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。
また、複合材のアルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、アルミニウム層の平均厚さは21μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは4μmであった。したがって、Xは0.1であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離や破断は見られなかった。
<実施例4>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成のアルミニウム箔の条材を準備した。
アルミニウム箔の条材の材質はA1N30であり、その厚さは15μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は36g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を33枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して50体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は522W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。
また、複合材のアルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、アルミニウム層の平均厚さは16μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは15μmであった。したがって、Xは0.94であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離や破断は見られなかった。
<実施例5>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成の銅箔(Cu箔)の条材を準備した。
銅箔の条材の材質はC1020であり、その厚さは50μm及びその幅は300mmであった。また、銅箔の条材の塗工予定表面は銅箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、銅箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、銅箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は80g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を12枚積層することで積層体を形成した。
次いで、放電プラズマ焼結装置により真空雰囲気中にて積層体をその厚さ方向に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより積層体を焼結した。これにより、金属−炭素粒子複合材としての銅−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して40体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしての銅が鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は530W/(m・K)であり、銅の熱伝導率よりも高かった。
また、複合材の銅層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、銅層の平均厚さは53μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは33μmであった。したがって、Xは0.62であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片の銅層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離や破断は見られなかった。
<比較例1>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成のアルミニウム箔の条材を準備した。
アルミニウム箔の条材の材質はA1N30であり、その厚さは6μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は10g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を100枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して40体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は438W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。
また、複合材のアルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、アルミニウム層の平均厚さは6μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは4μmであった。したがって、Xは0.67であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離と破断が見られた。
<比較例2>
実施例1で用いた塗工液と同じ塗工液を準備した。また、金属箔の条材として次の構成のアルミニウム箔の条材を準備した。
アルミニウム箔の条材の材質はA1N30であり、その厚さは15μm及びその幅は300mmであった。また、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面はアルミニウム箔の条材の厚さ方向の片側の表面であった。
次いで、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に塗工液を実施例1と同じ塗工方法で塗工し、これにより、アルミニウム箔の条材の塗工予定表面に鱗片状黒鉛粒子層が形成された塗工箔の条材を得た。
そして、塗工箔の条材を乾燥炉内に通過させることにより、鱗片状黒鉛粒子層中の溶剤を鱗片状黒鉛粒子層から蒸発除去した。鱗片状黒鉛粒子層の鱗片状黒鉛粒子の塗工量は80g/mであった。
次いで、塗工箔の条材から実施例1と同じ寸法及び形状の塗工箔を複数切り出した。そして、塗工箔を20枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して70体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間にあまり浸透しておらず、複合材の内部において鱗片状黒鉛粒子間とアルミニウム箔間にそれぞれ空隙が存在しており、複合材の焼結状態はあまり良くなく、複合材の熱伝導率を測定することができなかった。
また、複合材のアルミニウム層の平均厚さと鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さを実施例1と同じ方法でそれぞれ算出したところ、アルミニウム層の平均厚さは16μm、鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さは33μmであった。したがって、Xは2.1であった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、試験片のアルミニウム層及び鱗片状黒鉛粒子分散層について組織的な剥離と破断が見られた。
<比較例3>
実施例1で用いた鱗片状黒鉛粒子と同じ鱗片状黒鉛粒子を準備した。また、アルミニウムペーストを準備した。アルミニウムペーストは、鱗片状アルミニウム粉末にミネラルスピリット及び脂肪酸が添加された、アルミニウムの固形分が70質量%のものであった。
次いで、鱗片状黒鉛粒子61gとアルミニウムペースト160gと10%ポリスチレン−クメン溶液100gとを混合、混練及び分散してペースト状にした。そして、このペースト状物をドクターブレード法によりPETシート上にシート成形し、その後、1日の間、風乾した。次いで、PETシートを剥がすことによりアルミニウム粉末−鱗片状黒鉛粒子のグリーンシートを製作した。グリーンシートの厚さは1mmであった。
次いで、グリーンシートから実施例1と同じ寸法及び形状のシート素片を複数切り出した。そして、シート素片を10枚積層することで積層体を形成した。
次いで、積層体を実施例1と同じ焼結装置及び焼結条件で焼結し、これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合材を得た。複合材の厚さは1mmであった。また、複合材中の鱗片状黒鉛粒子の体積含有率は、複合材の体積に対して40体積%であった。
複合材は、金属マトリックスとしてのアルミニウムが鱗片状黒鉛粒子間に十分に浸透しており、複合材の内部に空隙が殆ど存在しておらず、複合材の密度は複合材の理論密度の99%であり、複合材の焼結状態は良好であった。
また、複合材の平面方向の熱伝導率は440W/(m・K)であり、アルミニウムの熱伝導率よりも高かった。なお、この複合材では、複合材の平面方向とは積層体の焼結時に積層体を加圧した方向に垂直な方向を意味する。
また、複合材では、金属マトリックスとしてのアルミニウム中に複合材の平面方向に配向した鱗片状黒鉛粒子が三次元的にランダムに分散しており、アルミニウム層の平均厚さ及び鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さをそれぞれ定義することができなかった。
また、複合材から実施例1と同じ寸法及び形状の曲げ加工試験片を切り出し、当該試験片について実施例1と同じ曲げ加工条件で曲げ加工をしたところ、アルミニウムマトリックス組織、及びアルミニウム/鱗片状黒鉛粒子界面について組織的な剥離と破断が見られた。
以上の結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006876569
なお、同表中の「曲げ加工試験の評価」欄における符号の意味は次のとおりである。
○:良好
×:不良(破断)
本発明は、金属マトリックス中に炭素粒子としての鱗片状黒鉛粒子が分散した金属−炭素粒子複合材に利用可能である。
1:鱗片状黒鉛粒子
2:バインダー
3:溶剤
5:塗工液
10:金属箔
10A:金属箔の条材
11:鱗片状黒鉛粒子層
12:塗工箔
12A:塗工箔の条材
15:積層体
20:金属−炭素粒子複合材複合材
21:鱗片状黒鉛粒子分散層
22:金属層
23:金属マトリックス
30:塗工装置

Claims (2)

  1. 金属マトリックスからなる金属層と前記金属マトリックス中に鱗片状黒鉛粒子が分散した鱗片状黒鉛粒子分散層とが交互に複数積層した状態に接合一体化されており、
    前記金属層の平均厚さが1〜100μmの範囲であり、
    前記鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さが〜100μmの範囲であり、
    前記金属層の平均厚さと前記鱗片状黒鉛粒子分散層の平均厚さとの比率を1:Xとするとき、Xが0.1〜1の範囲である金属−炭素粒子複合材。
  2. 前記金属マトリックスがアルミニウム又は銅である請求項1記載の金属−炭素粒子複合材。
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