JP2021123779A - 金属−炭素粒子複合体及び金属−炭素粒子複合体の製造方法 - Google Patents

金属−炭素粒子複合体及び金属−炭素粒子複合体の製造方法 Download PDF

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正一郎 若林
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Abstract

【課題】高い機械的強度を有する金属−炭素粒子複合体及びその製造方法を提供すること。【解決手段】金属−炭素粒子複合体1は、金属マトリックスと金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む。複合体1の一方向をZ軸方向とし、複合体1のZ軸方向に対して垂直な二方向をX軸方向及びY軸方向とし、複合体1のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向をX−Y軸面方向とする。複合体1に含まれる炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が複合体1のX−Y軸面方向に配向している。複合体1全体の炭素粒子含有率が20体積%以上である。複合体1は、炭素粒子含有率が20体積%未満である第1エリアAを含む。第1エリアAは複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に連続している。【選択図】図1

Description

本発明は、金属−炭素粒子複合体及び金属−炭素粒子複合体の製造方法に関する。
なお本明細書及び特許請求の範囲では、文中に特に明示した場合を除き、「アルミニウム」の語は純アルミニウム及びアルミニウム合金の双方を含む意味で用いられるとともに、「銅」の語は純銅及び銅合金の双方を含む意味で用いられる。
金属−炭素粒子複合材は、金属マトリックスと金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含むものであり、金属基炭素粒子複合材とも呼ばれている。この複合材は高い熱伝導性を有しており、そのため高い熱伝導性が要求される部材の材料としての利用が期待されている。
この複合材として、具体的には、炭素粒子として鱗状黒鉛粉末を用いた金属−鱗状黒鉛粒子複合材、炭素粒子として炭素繊維を用いた金属−炭素繊維複合材などが知られている(例えば特許文献1−2参照)。
この種の複合材について開示したその他の特許文献として、特開2015−25158号公報(特許文献3)、特開2018−87372号公報(特許文献4)、特開2019−7033号公報(特許文献5)などがある。
図18は従来の代表的な金属−炭素粒子複合体を模式的に示す斜視図である。同図中の矢印「X」、「Y」及び「Z」はそれぞれ複合体101における互いに直交するX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を示している。なお、複合体101のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向を複合体101のX−Y軸面方向という。
複合体101中の炭素粒子103は、複合体101の金属マトリックス102中に複合体101の全体に亘って分散している。一般に炭素粒子103は1を超えるアスペクト比を有しており、炭素粒子103の最長軸方向P及び幅方向Qは複合体101のX−Y軸面方向に配向している。そのため、複合体101は熱伝導率に異方性を有しており、具体的には複合体101のX−Y軸面方向の熱伝導率は複合体101のZ軸方向の熱伝導率よりも高く、換言すると、複合体101のZ軸方向の熱伝導率は複合体101のX−Y軸面方向の熱伝導率よりも低い。
ところで、パワーモジュールなどの半導体装置は、半導体チップ、半導体チップを冷却する冷却器などを備えている。冷却器は、高い冷却性能を得るため高い熱伝導性が要求される部材(例:配線層、緩衝層、ヒートシンク)を含んでおり、この部材の材料として上述の金属−炭素粒子複合体を用いることが考えられる。
特許第4441768号公報 特許第5150905号公報 特開2015−25158号公報 特開2018−87372号公報 特開2019−7033号公報
しかるに、この複合体は熱伝導率だけでなく機械的強度(例:引張強度)にも異方性を有している。具体的には例えば複合体101のZ軸方向の引張強度は複合体101のX軸方向及びY軸方向の引張強度よりも低い。そのため、この複合体101を高い熱伝導率だけでなく高い機械的強度をも要求される部材の材料として用いる場合、当該部材に要求される機械的強度を満足させるため、複合体101は高い機械的強度を有していることが望ましい。
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は高い機械的強度を有する金属−炭素粒子複合体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
1) 金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む金属−炭素粒子複合体であって、
複合体の一方向をZ軸方向とし、複合体のZ軸方向に対して垂直な二方向をX軸方向及びY軸方向とし、複合体のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向をX−Y軸面方向とするとき、
複合体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が複合体のX−Y軸面方向に配向しており、
複合体全体の炭素粒子含有率が20体積%以上であり、
複合体は、炭素粒子含有率が20体積%未満である第1エリアを含み、
前記第1エリアは複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続している金属−炭素粒子複合体。
2) 複合体は、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高い第2エリアを更に含み、
前記第2エリアは複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続しており、
前記第1エリアと前記第2エリアが複合体のX軸方向及びY軸方向のうち一方の方向に交互に繰り返し配列するとともに、前記第1エリアと前記第2エリアがそれぞれ複合体の他方の方向の全体に亘って複合体の当該他方の方向に連続している前項1記載の金属−炭素粒子複合体。
3) 前記第1エリアと前記第2エリアが交互に繰り返し配列している方向を複合体のY軸方向とするとき、
前記第1エリアのY軸方向の幅(AY)が0.2mm〜10mmの範囲であり、
前記第2エリアのY軸方向の幅(BY)が1mm〜100mmの範囲である前項2記載の金属−炭素粒子複合体。
4) 前記第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%である前項1〜3のいずれかに記載の金属−炭素粒子複合体。
5) 複合体は、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高い第2エリアと、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高く且つ前記第2エリアの炭素粒子含有率よりも低い第3エリアとを更に含み、
前記第2エリア及び前記第3エリアは、それぞれ、複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続しており、
前記第1エリアと前記第2エリアと前記第3エリアが、前記各第3エリアが前記第1エリアと前記第2エリアとに隣接するように複合体のX−Y軸面方向に規則的に配列している前項1記載の金属−炭素粒子複合体。
6) 前記第1エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(AX、AY)がそれぞれ0.2mm〜100mmの範囲であり、
前記第2エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(BX、BY)がそれぞれ1mm〜100mmの範囲であり、
前記第3エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(CX、CY)がそれぞれ1mm〜100mmの範囲である前項5記載の金属−炭素粒子複合体。
7) 前記第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%である前項5又は6記載の金属−炭素粒子複合体。
8) 複合体の少なくとも一つの面に厚さ0.05mm以上の金属層が当該少なくとも一つの面を覆う状態に形成されている前項1〜7のいずれかに記載の金属−炭素粒子複合体。
9) 炭素粒子を含む塗料を金属箔上に、炭素粒子目付量が少ない第1炭素粒子塗工層と炭素粒子目付量が多い第2炭素粒子塗工層とが前記塗料の塗工方向に対して直角な方向に交互に繰り返し配列するように前記塗料の塗工方向に塗工することにより、炭素粒子塗工箔を得る工程と、
前記塗工箔を、前記塗料の塗工方向が互いに平行になるように更に前記塗工箔の平面視において前記第1炭素粒子塗工層が互いに重なり且つ前記第2炭素粒子塗工層が互いに重なるように、複数積層することにより、前記塗工箔の積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
10) 炭素粒子を含む塗料を金属箔上に、炭素粒子目付量が少ない第1炭素粒子塗工層と炭素粒子目付量が多い第2炭素粒子塗工層とが前記塗料の塗工方向に対して直角な方向に交互に繰り返し配列するように前記塗料の塗工方向に塗工することにより、炭素粒子塗工箔を得る工程と、
前記塗工箔を、前記塗料の塗工方向が一枚ごとに交互に交差するように更に前記塗工箔の平面視において前記第1炭素粒子塗工層が一枚おきに重なり且つ前記第2炭素粒子塗工層が一枚おきに重なるように、複数積層することにより、前記塗工箔の積層体を形成する工程と、
前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
11) 金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む第1の金属−炭素粒子複合素材体と、金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む第2の金属−炭素粒子複合素材体とをそれぞれ準備する工程を含み、
前記第1素材体及び第2素材体の一方向をそれぞれZ軸方向とし、前記第1素材体及び第2素材体のZ軸方向に対して垂直な二方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とし、前記第1素材体及び第2素材体のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向をそれぞれX−Y軸面方向とするとき、
前記第1素材体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が前記第1素材体のX−Y軸面方向に配向しており、
前記第2素材体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が前記第2素材体のX−Y軸面方向に配向しており、
前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が20体積%未満であり、
前記第2素材体全体の炭素粒子含有率が前記第1素材体全体の炭素粒子含有率よりも高く、
前記第1素材体をそのZ軸方向に沿って切断することにより前記第1素材体の第1切断片を得る工程と、
前記第2素材体をそのZ軸方向に沿って切断することにより前記第2素材体の第2切断片を得る工程と、
前記第1切断片と前記第2切断片を、前記第1切断片のZ軸方向と前記第2切断片のZ軸方向とが平行になるように更に前記第1切断片が前記第2切断片のZ軸方向の全体に亘って前記第2切断片のZ軸方向に連続するように更に前記第1切断片と前記第2切断片とが前記第2切断片のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わせることにより、前記第1及び第2切断片の組合せ体を形成する工程と、
前記組合せ体を焼結する工程とを更に含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
12) 前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が0体積%である前項11記載の金属−炭素粒子複合体の製造方法。
13) 前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が0体積%であり、
前記第1切断片を得る工程では、前記第1素材体をその任意方向に沿って切断することにより前記第1素材体の第1切断片を得、
前記組合せ体を形成する工程では、前記第1切断片と前記第2切断片を、前記第1切断片の一方向と前記第2切断片のZ軸方向とが平行になるように更に前記第1切断片が前記第2切断片のZ軸方向の全体に亘って前記第2切断片のZ軸方向に連続するように更に前記第1切断片と前記第2切断片とが前記第2切断片のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わせることにより、前記第1及び第2切断片の組合せ体を形成する、前項11記載の金属−炭素粒子複合体の製造方法。
本発明は以下の効果を奏する。
前項1では、金属−炭素粒子複合体は、複合体全体の炭素粒子含有率が20体積%以上であることにより、高い熱伝導率を有している。
さらに、複合体は炭素粒子含有率が低い第1エリアを含むとともに、第1エリアが複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続していることにより、複合体のZ軸方向の機械的強度が高められる。そのため、複合体は高い機械的強度を有している。
前項2では、複合体は炭素粒子含有率が高い第2エリアを更に含んでおり、第1エリアと第2エリアが複合体のX軸方向及びY軸方向のうち一方の方向に交互に繰り返し配列するとともに、第1エリアと第2エリアがそれぞれ複合体の他方の方向の全体に亘って複合体の当該他方の方向に連続していることにより、複合体の他方の方向の熱伝導率が高められる。
前項3では、複合体のZ軸方向における熱伝導率と機械的強度とのバランスを確実に図ることができる。
前項4では、第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%であることにより、複合体のZ軸方向の機械的強度をより高めることができる。
前項5では、複合体は炭素粒子含有率が第1エリアの炭素粒子含有率よりも高く且つ第2エリアの炭素粒子含有率よりも低い第3エリアを更に含むとともに、第1エリアと第2エリアと第3エリアが複合体のX−Y軸面方向に規則的に配列していることにより、複合体のX軸方向の熱伝導率と複合体のY軸方向の熱伝導率とをそれぞれ高めることができる。
さらに、各第3エリアが第1エリアと第2エリアとに隣接していることにより、第1エリアの熱膨張率と第2エリアの熱膨張率との違いによる複合体の熱変形を抑制することができ、そのため複合体の耐久性を高めることができる。
前項6では、複合体のZ軸方向における熱伝導率と機械的強度とのバランスを確実に図ることができる。
前項7では、第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%であることにより、複合体のZ軸方向の機械的強度をより高めることができる。
前項8では、複合体の少なくとも一つの面からの炭素粒子の脱落を金属層により抑制することができる。
前項9〜13では、本発明に係る金属−炭素粒子複合体を製造することができる金属−炭素粒子複合体の製造方法を提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る金属−炭素粒子複合体を模式的に示す斜視図である。 図2は、炭素粒子を模式的に示す斜視図である。 図3は、同複合体の製造工程を示す流れ図である。 図4は、塗料を金属箔の条材上に塗工する塗工装置の概略図である。 図5は、同塗工装置のフィルター板の正面図である。 図6は、同塗工装置により得られた炭素粒子塗工箔の条材を模式的に示す斜視図である。 図7は、同塗工箔の条材の第1炭素粒子塗工層を模式的に示す拡大斜視図である。 図8は、同塗工箔の条材の第2炭素粒子塗工層を模式的に示す拡大斜視図である。 図9は、同複合体を製造する場合において同塗工箔を複数積層する途中の状態を示す斜視図である。 図10は、同塗工箔を複数積層するとともに更に金属箔を積層する途中の状態を示す斜視図である。 図11は、本発明の第2実施形態に係る金属−炭素粒子複合体を模式的に示す斜視図である。 図12は、同複合体を模式的に示す平面図である。 図13は、同複合体を製造する場合において同塗工箔を複数積層する途中の状態を示す斜視図である。 図14は、同複合体の一変形例を模式的に示す平面図である。 図15は、本発明の第3実施形態に係る金属−炭素粒子複合体の製造工程を示す流れ図である。 図16は、第1の金属−炭素粒子複合素材体及びその第1切断片、並びに、第2の金属−炭素粒子複合素材体及びその第2切断片を模式的に示す斜視図である。 図17は、同第1及び第2切断片の組合せ体を模式的に示す斜視図である。 図18は、従来の代表的な金属−炭素粒子複合体を模式的に示す斜視図である。
本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜9は本発明の第1実施形態を説明する図である。
図1に示すように、本第1実施形態に係る金属−炭素粒子複合体1は、金属マトリックスとフィラーとしての炭素粒子3(図2参照)とを含むものである。炭素粒子3は金属マトリックス中に分散している。複合体1の形状は例えば略直方体状である。
金属マトリックスの金属としては、アルミニウム、銅などが用いられる。アルミニウムが用いられる場合、複合体1の軽量化を図ることができるし複合体1の加工性を高めることができる。
炭素粒子3としては、黒鉛粒子、炭素繊維(例:ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維)などが用いられる。
黒鉛粒子としては、鱗片状黒鉛粒子3a、鱗状黒鉛粒子、膨張黒鉛粒子及び熱分解黒鉛粒子(例:高配向熱分解黒鉛粒子)からなる群より選択される少なくとも一種が好適に用いられる。これらの黒鉛粒子のうち鱗片状黒鉛粒子3aは特に高い熱伝導率を有しているため特に好適に用いられる。
上述した炭素粒子3の形状は一般に球状ではなく、したがって炭素粒子3のアスペクト比は一般に1を超えている。
図2中の符号「P」は炭素粒子3(詳述すると鱗片状黒鉛粒子3a)の最長軸方向を示しており、符号「Q」は炭素粒子3の幅方向を示している。なお、炭素粒子3の最長軸及び最長軸方向Pとは炭素粒子3の最も長い方向の軸及びその方向を意味する。したがって、炭素粒子3が例えば炭素繊維である場合、炭素粒子3の最長軸及び最長軸方向Pとは炭素繊維の繊維軸及び繊維軸方向を意味し、炭素粒子3の幅及び厚さとは炭素繊維の直径を意味し、炭素粒子3の幅方向Q及び厚さ方向とは炭素繊維の直径方向を意味する。
炭素粒子3は熱伝導率に異方性を有しており、具体的には一般に炭素粒子3の最長軸方向Pの熱伝導率は高く、炭素粒子3の厚さ方向の熱伝導率は低い。
炭素粒子3の粒子径は限定されるものではなく、好ましくは炭素粒子3の最長軸方向Pの平均長さは0.10mm以上であることがよい。その理由は、炭素粒子3と金属マトリックスとの間の界面熱抵抗を確実に低減し得て、これにより複合体1の熱伝導率を確実に高めることができるからである。炭素粒子3の最長軸方向Pの平均長さの上限は限定されるものではなく、好ましくは2mmである。
炭素粒子3のアスペクト比は限定されるものではないが、一般に炭素粒子3のアスペクト比が高い方が炭素粒子3の熱伝導率が高いことから、炭素粒子3の平均アスペクト比は10以上であることが好ましい。平均アスペクト比の上限は限定されるものではなく、通常200である。
ここで、炭素粒子3のアスペクト比は「炭素粒子3の最長軸方向Pの長さ」/「炭素粒子3の厚さ」で算出される。したがって、炭素粒子3が例えば炭素繊維である場合、そのアスペクト比は「炭素繊維の長さ」/「炭素繊維の直径」で算出される。
図1中の矢印「X」、「Y」及び「Z」はそれぞれ複合体1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を示している。すなわち、複合体1の一方向(例えば複合体1の厚さ方向)が複合体1のZ軸方向であり、複合体1のZ軸方向に対して垂直な二方向(例えば複合体1の長さ方向及び幅方向)が複合体1のX軸方向及びY軸方向である。本第1実施形態ではX軸方向及びY軸方向は互いに垂直である。他の図面でも同様である。以下では、複合体1のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向を複合体1のX−Y軸面方向という。
複合体1では、複合体1に含まれる炭素粒子3の最長軸方向P及び幅方向Qは複合体1のX−Y軸面方向に配向しており、換言すると炭素粒子3の厚さ方向が複合体1のZ軸方向に配向している。
複合体1全体の炭素粒子含有率(これを「TVf」とする)は20体積%以上である(即ち、20体積%≦TVf)。そのため、複合体1は高い熱伝導率を有している。なお、複合体1全体の炭素粒子含有率TVfとは、複合体1全体における炭素粒子3の体積百分率を意味し、具体的には複合体1全体に含まれる炭素粒子3の総体積を複合体1全体の体積で割った値の百分率を意味する。
複合体1は、互いに炭素粒子含有率が相異する第1エリアA及び第2エリアBをそれぞれ複数含んでいる。なお、第2エリアBにはドットハッチングが付されている。
第1エリアAの炭素粒子含有率(これを「AVf」とする)は20体積%未満である(即ち、AVf<20体積%)。なお、第1エリアAの炭素粒子含有率AVfとは、第1エリアAにおける炭素粒子3の体積百分率を意味し、具体的には第1エリアAに含まれる炭素粒子3の総体積を第1エリアAの体積で割った値の百分率を意味する。
第2エリアBの炭素粒子含有率(これを「BVf」とする)は第1エリアAの炭素粒子含有率AVfよりも高い(即ち、AVf<BVf)。なお、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfとは、第2エリアBにおける炭素粒子3の体積百分率を意味し、具体的には第2エリアBに含まれる炭素粒子3の総体積を第2エリアBの体積で割った値の百分率を意味する。
複合体1において、第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に平行に連続している。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、複合体1のX軸方向及びY軸方向のうち一方の方向(例えばY軸方向)の全体に亘って複合体1の当該一方の方向に交互に繰り返し配列している。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1の他方の方向(例えばX軸方向)の全体に亘って複合体1の当該他方の方向に平行に連続している。
第1エリアAと第2エリアBが交互に繰り返し配列している方向は、本第1実施形態では複合体1のY軸方向である。したがって、第1エリアA及び第2エリアBが連続している方向は、複合体1のZ軸方向とX軸方向である。
複合体1では、第1エリアA及び第2エリアBのうち炭素粒子含有率が低いエリアである第1エリアAが複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に連続しているので、複合体1のZ軸方向の機械的強度(例:引張強度)が高い。
さらに、第1エリアAと第2エリアBが複合体1のY軸方向に交互に繰り返し配列するとともに、第1エリアAと第2エリアBがそれぞれ複合体1のX軸方向の全体に亘って複合体1のX軸方向に連続しているので、複合体1のX軸方向の熱伝導率が高い。
ここで、図1に示すように、第1エリアAのY軸方向の幅を「AY」とし、第2エリアBのY軸方向の幅を「BY」とする。
AYは0.2mm〜10mmの範囲であることが好ましく、BYは1mm〜100mmの範囲であることが好ましい。この場合、複合体1のZ軸方向における熱伝導率と機械的強度とのバランスを確実に図ることができる。
第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは上述したように20体積%未満である(即ち、AVf<20体積%)。AVfの下限は限定されるものではなく、複合体1のZ軸方向の機械的強度を高めたい場合は、AVfは小さい方が好ましく、特に0体積%であることがよい(即ち、AVf=0体積%)。AVfが0体積%である場合、複合体1のZ軸方向の機械的強度をより高めることができる。
第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは上述したように第1エリアAの炭素粒子含有率AVfよりも高く(即ち、AVf<BVf)、具体的にはBVfは20体積%以上である(即ち、20体積%≦BVf)。複合体1の熱伝導率を高めたい場合は、BVfは大きい方が好ましく、特に35体積%以上であることがよい。BVfの上限は限定されるものではなく、好ましくは70体積%である。BVfが70体積%以下であることにより、複合体1の第2エリアB中に空隙が存在する不具合を確実に抑制することができる。
次に、本第1実施形態の複合体1の好ましい製造方法について以下に説明する。
複合体1の製造方法は、図3に示すように、炭素粒子塗工箔16を得る工程S1と、塗工箔16の積層体20を形成する工程S2と、積層体20を焼結する工程S3とを含む。
炭素粒子塗工箔16を得る工程S1は、図4に示すように塗工装置30を用いて行われる。
塗工装置30は、炭素粒子3を含む塗料45を金属箔10上に連続的に塗工するものであり、例えば、巻出しロール41と巻取りロール42とを備えたロールtoロール方式のものである。塗工装置30として具体的にはロールtoロール方式のナイフコーター31が用いられている。なお、ナイフコーター31(塗工装置30)がロールtoロール方式のものであるため、金属箔10としては金属箔10の条材10Aが用いられる。
金属箔10の条材10Aの金属材料は複合体1の金属マトリックスの材料となるものである。したがって、複合体1の金属マトリックスが例えばアルミニウムマトリックスである場合、金属箔10の条材10Aとしてアルミニウム箔の条材が用いられ、複合体1の金属マトリックスが例えば銅マトリックスである場合、金属箔10の条材10Aとして銅箔の条材が用いられる。
金属箔10の条材10Aの厚さは限定されるものではなく、好ましくは6μm〜100μmの範囲である。金属箔10の条材10Aの幅は限定されるものではなく、好ましくは200mm〜1200mmの範囲である。
ナイフコーター31(塗工装置30)は、ナイフロール32、バックロール33、塗料ダム部39、乾燥炉40などを備えており、更に、フィルター板35を備えている。塗料45は塗料ダム部39内に溜められている。
塗料45は、炭素粒子3とバインダーとバインダー用溶剤とを混合状態に含むものである。炭素粒子3は塗料45中に均一に分散している。なお塗料45は、炭素粒子3用分散剤、表面調整剤などの添加剤を更に含んでいてもよい。
バインダーは炭素粒子3を金属箔10の条材10A上に結着する役割を有するものであり、通常、水溶性高分子などの樹脂からなる。
溶剤はバインダーを溶解するものであり、溶剤としてアルコール、水などが用いられる。
このナイフコーター31では、巻出しロール41から巻き出された金属箔10の条材10Aは、所定の送り速度で塗料ダム部39、フィルター板35、ナイフロール32及び乾燥炉40を順次通過したのち巻取りロール42に巻き取られる。
同図中の矢印Mは、ナイフコーター31による金属箔10の条材10Aの送り方向を示している。ナイフコーター31による塗料45の塗工方向N(図6参照)は金属箔10の条材10Aの送り方向Mと平行であり、すなわち金属箔10の条材10Aの長さ方向と一致している。また、金属箔10の条材10Aの送り速度がナイフコーター31による塗料45の塗工速度である。
塗料ダム部39内の塗料45は、巻出しロール41から巻き出された金属箔10の条材10Aが塗料ダム部39を通過する際に金属箔10の条材10A上に過剰に付着する。そして、付着した塗料45は、フィルター板35によりその付着量が規制されたのちナイフロール32により金属箔10の条材10A上に計量塗工される。
フィルター板35は、図4及び5に示すように、塗料ダム部39とナイフロール32との間におけるナイフロール32の近傍位置(即ち、金属箔10の条材10Aの送り方向Mに対するナイフロール32の上流側近傍位置)において、フィルター板35の先端辺36が金属箔10の条材10Aを横断する方向(即ち金属箔10の条材10Aの幅方向)に延びるように金属箔10の条材10A(詳述すると金属箔10の条材10Aの表面10a)に近接して設置されている。
フィルター板35の先端辺36は基本的には直線状に形成されるとともに、更に、当該先端辺36には複数の略半円弧状の切欠き部38が当該先端辺36の延びる方向に間隔をおいて形成されている。そのため、フィルター板35の先端辺36では、直線状部37と切欠き部38が先端辺36に沿って(即ち金属箔10の条材10Aの幅方向に沿って)交互に繰り返し配列している。
塗料ダム部39からナイフロール32へ供給される塗料45の供給量は、フィルター板35の先端辺36(詳述するとフィルター板35の先端辺36の直線状部37)と金属箔10の条材10A(詳述すると金属箔10の条材10Aの表面10a)との間の隙間Gを調整することにより、規制される。
すなわち、隙間Gを通過する塗料45の量は、フィルター板35の先端辺36の直線状部37の位置で少なく切欠き部38の位置で多い。例えば、フィルター板35の先端辺36が金属箔10の条材10A(詳述すると金属箔10の条材10Aの表面10a)に接触して設置されている場合、隙間Gは0mmであり、したがって、隙間Gを通過する塗料45の量は、フィルター板35の先端辺36の直線状部37の位置で0であり切欠き部38の位置で多い。
そして、隙間Gを通過した塗料45は、ナイフロール32により金属箔10の条材10A上に計量塗工される。これにより、図6に示すように、金属箔10の条材10Aの長さ方向に連続する第1炭素粒子塗工層13と金属箔10の条材10Aの長さ方向に連続する第2炭素粒子塗工層(ドットハッチングで示す)14とが金属箔10の条材10Aの長さ方向(即ち塗料45の塗工方向N)に対して直角な方向(即ち金属箔10の条材10Aの幅方向)に交互に繰り返し配列するように、第1炭素粒子塗工層13と第2炭素粒子塗工層14が金属箔10の条材10A上に形成される。
第1炭素粒子塗工層13は、隙間Gにおけるフィルター板35の先端辺36の直線状部37の位置を通過した塗料45がナイフロール32により金属箔10の条材10A上に計量塗工されて形成された層である。したがって、第1炭素粒子塗工層13の炭素粒子目付量は少ない。
第2炭素粒子塗工層14は、隙間Gにおけるフィルター板35の先端辺36の切欠き部38の位置を通過した塗料45がナイフロール32により金属箔10の条材10A上に計量塗工されて形成された層である。したがって、第2炭素粒子塗工層14の炭素粒子目付量は第1炭素粒子塗工層13の炭素粒子目付量よりも多い。
ここで、隙間Gが0mmである場合、第1炭素粒子塗工層13の炭素粒子目付量は0g/mであり、したがって金属箔10の条材10A上には第1炭素粒子塗工層13は形成されないで第2炭素粒子塗工層14だけが形成される。金属箔10の条材10A上における、第1炭素粒子塗工層13の炭素粒子目付量が0g/mの部分、すなわち炭素粒子塗工層が形成されていない部分を以下では「炭素粒子非塗工部」ともいう。
こうして第1炭素粒子塗工層13及び第2炭素粒子塗工層14が形成された金属箔10の条材10A、すなわち炭素粒子塗工箔16の条材16Aは、乾燥炉40内を通過する。これにより、これらの炭素粒子塗工層13、14が乾燥炉40により乾燥されてこれらの塗工層13、14中の溶剤が蒸発除去される。
そして、炭素粒子塗工箔16の条材16Aが巻取りロール42に巻き取られる。
炭素粒子塗工箔16の条材16Aの第1炭素粒子塗工層13では、図7に示すように、上述したように炭素粒子目付量は少ない。また、炭素粒子3(例えば鱗片状黒鉛粒子3a)の最長軸方向P及び幅方向Qは金属箔10の条材10Aの表面方向に配向している。
炭素粒子塗工箔16の条材16Aの第2炭素粒子塗工層14では、図8に示すように、上述したように炭素粒子目付量は多い。また、炭素粒子3(例えば鱗片状黒鉛粒子3a)の最長軸方向P及び幅方向Qは金属箔10の条材10Aの表面方向に配向している。
第1炭素粒子塗工層13の炭素粒子目付量が第2炭素粒子塗工層14の炭素粒子目付量よりも少ないことから、肉眼では第1炭素粒子塗工層13は淡く見えるとともに第2炭素粒子塗工層14は濃く見える。そのため、炭素粒子塗工箔16の条材16Aの平面視において、金属箔10の条材10Aの長さ方向に連続している第1炭素粒子塗工層13及び第2炭素粒子塗工層14は、金属箔10の条材10A上にその幅方向に交互にストライプ状に配列しているように見える(図6参照)。
ここで、図6中の「W1」は炭素粒子塗工箔16の第1炭素粒子塗工層13の幅であり、「W2」は炭素粒子塗工箔16の第2炭素粒子塗工層14の幅である。W1とW2は限定されるものではなく、例えば等しくてもよいし相異していてもよい。
塗工箔16の積層体20を形成する工程S2では、炭素粒子塗工箔16の条材16Aは所定形状(例:方形状)に複数裁断され、これにより、所定形状を有する複数の炭素粒子塗工箔16が得られる。
そして、図9に示すように、炭素粒子塗工箔16は、塗料45の塗工方向Nが互いに平行になるように更に塗工箔16の平面視において第1炭素粒子塗工層13が互いに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が互いに重なるように、複数積層され、これにより塗工箔16の積層体20が形成される。積層体20における塗工箔16の積層方向が複合体1のZ軸方向となる。
積層体20では、上述したように塗工箔16の積層方向が積層体20のZ軸方向である。また、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nが積層体20のX軸方向があり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nに対して直角な方向が積層体20のY軸方向である。
積層体20を焼結する工程S3では、積層体20は、塗工箔16が接合一体化されるように焼結される。これにより、図1に示した上述した金属−炭素粒子複合体1が得られる。
積層体20の焼結方法は限定されるものではなく、焼結方法として、積層体20をその一軸方向(具体的には例えば塗工箔16の積層方向)に加圧しながら加熱焼結する方法(例:真空ホットプレス焼結法、放電プラズマ焼結法)、積層体20をその全周から加圧しながら加熱焼結する方法(例:熱間静水圧焼結法(HIP法))などが用いられる。さらに、焼結方法として、押出法、圧延法なども用いることができる。
積層体20の焼結温度は限定されるものではない。例えば、金属箔10がアルミニウム箔である場合、積層体20の焼結温度は好ましくは600℃〜650℃の範囲であり、金属箔10が銅箔である場合、積層体20の焼結温度は好ましくは900℃〜1080℃の範囲である。
積層体20中に存在するバインダーは、積層体20の温度が略室温から焼結温度まで上昇するように積層体20を加熱する途中で昇華、熱分解などにより消失して積層体20から除去される。積層体20の金属箔10の金属材料は、積層体20を加熱する途中で炭素粒子3間に浸入して炭素粒子3間の隙間が消滅する。これにより、複合体1中に空隙が存在しなくなる。
複合体1では、塗工箔16の積層方向が複合体1のZ軸方向であり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nが複合体1のX軸方向があり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nに対して直角な方向が複合体1のY軸方向である。
また、複合体1において、第1エリアAは、積層体20における第1炭素粒子塗工層13の重ね部分が焼結された部分である。第2エリアBは、積層体20における第2炭素粒子塗工層14の重ね部分が焼結された部分である。
ここで、積層体20を形成する工程S2では、図10に示すように、塗工箔16を上述のように複数積層するとともに更にその上に金属箔10を積層することにより、塗工箔16の積層体20aを形成してもよい。この積層体20aを焼結することによって、得られる金属−炭素粒子複合体の上面にその全面を覆うように金属箔10からなる金属層が形成される。金属層の厚さは0.05mm以上である。この複合体によれば、複合体の上面からの炭素粒子3の脱落を金属層により抑制することができる。金属層の厚さの上限は限定されるものではなく、好ましくは0.5mmである。
また本発明において、積層体20を形成する工程S2では、図示していないが、炭素粒子塗工箔16の条材16Aを、塗料45の塗工方向Nが互いに平行になるように更に塗工箔16の平面視において第1炭素粒子塗工層13が互いに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が互いに重なるようにジグザクに折り畳むことにより、塗工箔16の積層体20を形成することも可能である。
図11〜14は本発明の第2実施形態を説明する図である。本第2実施形態について上記第1実施形態との相異点を中心に以下に説明する。
図11に示すように、本第2実施形態に係る金属−炭素粒子複合体1Aでは、複合体1A全体の炭素粒子含有率TVfは上記第1実施形態と同様に20体積%以上である(即ち、20体積%≦TVf)。
複合体1Aは、互いに炭素粒子含有率が相異する第1エリアA、第2エリアB及び第3エリアCをそれぞれ複数含んでいる。なお、第2エリアBにはドットハッチングが付されており、第3エリアCにはクロスハッチングが付されている。
第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは、上記第1実施形態と同様に20体積%未満である(即ち、AVf<20体積%)。
第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは、上記第1実施形態と同様に第1エリアAの炭素粒子含有率AVfよりも高い(即ち、ABf<BVf)。
第3エリアCの炭素粒子含有率(これを「CVf」とする)は、第1エリアAの炭素粒子含有率AVfよりも高く且つ第2エリアBの炭素粒子含有率BVfよりも低い(即ち、AVf<CVf<BVf)。
複合体1Aにおいて、第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、それぞれ、複合体1AのZ軸方向の全体に亘って複合体1AのZ軸方向に平行に連続している。さらに、第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、各第3エリアCが第1エリアAと第2エリアBとに隣接するように複合体1AのX−Y軸面方向に規則的に配列している。
複合体1Aでは、第1エリアA、第2エリアB及び第3エリアCのうち炭素粒子含有率が最も低いエリアである第1エリアAが複合体1AのZ軸方向の全体に亘って複合体1AのZ軸方向に連続しているので、複合体1AのZ軸方向の機械的強度(例:引張強度)が高い。
さらに、複合体1Aでは、第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCが、複合体1AのX−Y軸面方向に規則的に配列しているので、複合体1AのX軸方向の熱伝導率と複合体のY軸方向の熱伝導率とがそれぞれ高い。
さらに、各第3エリアCが第1エリアAと第2エリアBとに隣接しているので、第1エリアAの熱膨張率と第2エリアBの熱膨張率との違いによる複合体1Aの熱変形を抑制することができ、そのため複合体1Aの耐久性が高い。
これらのエリアA〜Cの、複合体1AのX−Y軸面方向における詳細な配列態様について図12を参照して以下に説明する。
複合体1Aは、第1エリアAと第3エリアCが複合体1AのX軸方向の全体に亘って複合体1AのX軸方向に交互に繰り返し配列した第1及び第3エリア交互配列行(これを「AC行」とする)と、第2エリアBと第3エリアCが複合体1AのX軸方向の全体に亘って複合体1AのX軸方向に交互に繰り返し配列した第2及び第3エリア交互配列行(これを「BC行」とする)とをそれぞれ複数備えている。さらに、AC行とBC行は、各第3エリアCが複合体1AのY軸方向に第1エリアA又は第2エリアBに必ず隣接するように複合体1AのY軸方向の全体に亘って複合体1AのY軸方向に交互に繰り返し配列している。
ここで、図11に示すように、第1エリアAのX軸方向及びY軸方向の幅をそれぞれ「AX」及び「AY」とし、第2エリアBのX軸方向及びY軸方向の幅をそれぞれ「BX」及び「BY」とし、第3エリアCのX軸方向及びY軸方向の幅をそれぞれ「CX」及び「CY」とする。
AX及びAYはそれぞれ0.2mm〜100mmの範囲であることが好ましく、BX及びBYはそれぞれ1mm〜100mmの範囲であることが好ましく、CX及びCYはそれぞれ1mm〜100mmの範囲であることが好ましい。この場合、複合体1AのZ軸方向における熱伝導率と機械的強度とのバランスを確実に図ることができる。
また、複合体1Aが上述した特性(利点)を確実に有するようにするため、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは35体積%以上であることが好ましい。BVfの上限は限定されるものではなく、好ましくは70体積%である。第3エリアCの炭素粒子含有率CVfは20体積%以上35体積%未満であることが好ましい。
次に、本第2実施形態の複合体1Aの好ましい製造方法について、上記第1実施形態との相異点を中心に以下に説明する。
複合体1Aの製造方法は、上記第1実施形態と同様に、炭素粒子塗工箔16を得る工程S1と、塗工箔16の積層体20bを形成する工程S2と、積層体20bを焼結する工程S3とを含む(図3参照)。
炭素粒子塗工箔16を得る工程S1は、上記第1実施形態と同様に行われる。
積層体20bを形成する工程S2では、図13に示すように、炭素粒子塗工箔16は、塗料45の塗工方向Nが一枚ごとに交互に交差(詳述すると直交)するように更に塗工箔16の平面視において第1炭素粒子塗工層13が一枚おきに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が一枚おきに重なるように、複数積層され、これにより塗工箔16の積層体20bが形成される。
積層体20bでは、塗工箔16の積層方向が積層体20bのZ軸方向であり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nが積層体20bのX軸方向又はY軸方向であり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nに対して直角な方向が積層体20bのY軸方向又はX軸方向である。
積層体20bを焼結する工程S3は、上記第1実施形態と同様に行われる。
複合体1Aでは、塗工箔16の積層方向が複合体1のZ軸方向であり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nが複合体1AのX軸方向又はY軸方向であり、塗工箔16における塗料45の塗工方向Nに対して直角な方向が複合体1AのY軸方向又はX軸方向である。
また、複合体1Aにおいて、第1エリアAは、積層体20bにおける第1炭素粒子塗工層13の交差重ね部分が焼結された部分である。第2エリアBは、積層体20bにおける第2炭素粒子塗工層14の交差重ね部分が焼結された部分である。第3エリアCは、積層体20bにおける第1炭素粒子塗工層13と第2炭素粒子塗工層14との交互重ね部分が焼結された部分である。
炭素粒子塗工箔16の第1炭素粒子塗工層13の幅W1と第2炭素粒子塗工層14の幅W2は限定されるものではなく、例えば等しくてもよいし相異していてもよい。
W1とW2が略等しい場合(即ち、W1≒W2)、複合体1Aの平面視において第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、図12に示すようにAX、AY、BX、BY、CX及びCYが互いに概ね等しくなるように形成される。
W1とW2が相異している場合の一例としてW2がW1よりも大きい場合(即ち、W1<W2の場合)、複合体1Aの平面視において第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、概ね図14に示すように形成される。
図15〜17は本発明の第3実施形態を説明する図である。本第3実施形態について上記第1実施形態との相異点を中心に以下に説明する。
本第3実施形態に係る金属−炭素粒子複合体の製造方法では、図1に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体1と同様の構成を有する金属−炭素粒子複合体が製造される。したがって、複合体1全体の炭素粒子含有率TVfは上記第1実施形態と同様に20体積%以上である(即ち、20体積%≦TVf)。
複合体1の製造方法は、図15に示すように、第1の金属−炭素粒子複合素材体51(これを「第1素材体51」という)を準備する工程S11と、第2の金属−炭素粒子複合素材体53(これを「第2素材体53」という)を準備する工程S12と、第1素材体51の切断片52(これを「第1切断片52」という)を得る工程S13と、第2素材体53の切断片54(これを「第2切断片54」という)を得る工程S14と、第1及び第2切断片52、54の組合せ体55を形成する工程S15と、組合せ体55を焼結する工程S16とを含んでいる。
図16に示すように、第1素材体51を準備する工程S11において、第1素材体は、金属マトリックスと金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む金属−炭素粒子複合体からなるものである。第1素材体51の形状は例えば略直方体状である。
第2素材体53を準備する工程S12において、第2素材体は、金属マトリックスと金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む金属−炭素粒子複合体からなるものである。第2素材体53の形状は例えば略直方体状である。なお、第2素材体53にはドットハッチングが付されている。
第1素材体51と第2素材体53との主な違いは、後述するように素材体全体の炭素粒子含有率である。
図16中の矢印「X」、「Y」及び「Z」はそれぞれ第1素材体51及び第2素材体53のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向を示している。すなわち、第1素材体51の一方向(例えば第1素材体51の厚さ方向)が第1素材体51のZ軸方向であり、第1素材体51のZ軸方向に垂直な二方向(例えば第1素材体51の長さ方向及び幅方向)が第1素材体51のX軸方向及びY軸方向である。本第3実施形態ではX軸方向及びY軸方向は互いに垂直である。また、第1素材体51のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向を第1素材体51のX−Y軸面方向という。第2素材体53についても同様である。
第1素材体51では、第1素材体51に含まれる炭素粒子3の最長軸方向P及び幅方向Qが第1素材体51のX−Y軸面方向に配向している。
第2素材体53では、第2素材体53に含まれる炭素粒子3の最長軸方向P及び幅方向Qが第2素材体53のX−Y軸面方向に配向している。
第1素材体51全体の炭素粒子含有率(これを「TVf」とする)は20体積%未満である(即ち、TVf<20体積%)。
第2素材体53全体の炭素粒子含有率(これを「TVf」とする)はTVfよりも高い(即ち、TVf<TVf)。
第1素材体51全体の炭素粒子含有率TVfの下限は限定されるものではなく、複合体1のZ軸方向の機械的強度を高めたい場合は、TVfは小さい方が好ましく、特に0体積%であることがよい(即ち、TVf=0体積%)。TVfが0体積%である場合、複合体1のZ軸方向の機械的強度をより高めることができる。
第2素材体53の炭素粒子含有率TVfは具体的には20体積%以上である(即ち、20体積%≦TVf)。複合体1の熱伝導率を高めたい場合は、TVfは大きい方が好ましく、特に35体積%以上であることがよい。TVfの上限は限定されるものではなく、好ましくは70体積%である。
第1素材体51は、第1金属箔上にその全体に亘って第1炭素粒子塗工層が形成された第1炭素粒子塗工箔を複数積層することにより第1塗工箔の積層体を形成するとともに、この積層体を焼結することにより得られたものである。積層体における第1塗工箔の積層方向が第1素材体51のZ軸方向である。
第2素材体53は、第2金属箔上にその全体に亘って第2炭素粒子塗工層が形成された第2炭素粒子塗工箔を複数積層することにより第2塗工箔の積層体を形成するとともに、この積層体を焼結することにより得られたものである。積層体における第2塗工箔の積層方向が第2素材体53のZ軸方向である。
第2炭素粒子塗工層の炭素粒子目付量は第1炭素粒子塗工層の炭素粒子目付量よりも多い。
第1素材体51の第1切断片52を得る工程S13では、第1素材体51はそのZ軸方向に沿ってスライス状に複数切断され、これにより複数の板状の第1切断片52が得られる。
第2素材体53の第2切断片54を得る工程S14では、第2素材体53はそのZ軸方向に沿ってスライス状に複数切断され、これにより複数の板状の第2切断片54が得られる。
第1切断片52のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は第1素材体51の方向を踏襲している。したがって、第1素材体51のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向がそれぞれ第1切断片52のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向である。
第2切断片54のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は第2素材体53の方向を踏襲している。したがって、第2素材体53のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向がそれぞれ第2切断片54のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向である。
第1及び第2切断片52、54の組合せ体55を形成する工程S15では、図17に示すように、第1切断片52と第2切断片54が、第1切断片52のZ軸方向と第2切断片54のZ軸方向とが平行になるように更に第1切断片52が第2切断片54のZ軸方向の全体に亘って第2切断片54のZ軸方向に平行に連続するように更に第1切断片52と第2切断片54とが第2切断片54のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わされる。これにより、組合せ体55が形成される。
組合せ体55において、第1切断片52と第2切断片54が交互に繰り返し配列している方向は、本第3実施形態では第2切断片54のX軸方向及びY軸方向のうちY軸方向だけである。さらに、第1切断片52は、第2切断片54のX軸方向の全体に亘って第2切断片54のX軸方向に平行に連続している。第2切断片54のY軸方向は組合せ体55及び複合体1のY軸方向と一致しており、第2切断片54のX軸方向は組合せ体55及び複合体1のX軸方向と一致している。
組合せ体55を焼結する工程S16では、組合せ体55は、第1切断片52と第2切断片54が接合一体化されるように焼結される。これにより、図1に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体1が得られる。
組合せ体55の焼結方法は限定されるものではなく、焼結方法として、真空ホットプレス焼結法、放電プラズマ焼結法、熱間静水圧焼結法(HIP法)、押出法、圧延法などが用いられる。
複合体1において、第1エリアAは組合せ体55における第1切断片52の部分であり、第2エリアBは組合せ体55における第2切断片54の部分である。
さらに、本第3実施形態の金属−炭素粒子複合体の製造方法では、第1素材体51全体の炭素粒子含有率TVfが0体積%である場合(即ち、TVf=0体積%)、図1に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体1は次のように製造してもよい。この製造方法を上述の製造方法との相違点を中心に以下に説明する。
第1素材体51を準備する上述の工程S11では、TVf=0体積%の第1素材体51として、金属体からなる第1素材体51を準備する。金属体は炭素粒子を含有していない。よって、第1素材体51全体の炭素粒子含有率TVfは0体積%である。第1素材体51(金属体)は略直方体状であってもよいし板状(詳述すると例えば平板状)であってもよい。
ここで、第1素材体51は炭素粒子を含んでいないので、第1素材体51のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は任意に設定可能である。
第1切断片52を得る上述の工程S13では、第1素材体51がその任意方向(例えば、第1素材体51のX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向)に沿って複数切断され、これにより複数の第1切断片52が得られる。第1切断片52の形状は例えば板状である。
第2切断片54を得る上述の工程S14では、第2素材体53はそのZ軸方向に沿ってスライス状に複数切断され、これにより複数の板状の第2切断片54が得られる。
組合せ体55を形成する上述の工程S15では、第1切断片52と第2切断片54が、第1切断片52の一方向と第2切断片54のZ軸方向とが平行になるように更に第1切断片52が第2切断片54のZ軸方向の全体に亘って第2切断片54のZ軸方向に平行に連続するように更に第1切断片52と第2切断片54とが第2切断片54のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わされる。これにより、第1及び第2切断片52、54の組合せ体55が形成される。
組合せ体55において、第1切断片52と第2切断片54が交互に繰り返し配列している方向は、本第3実施形態では第2切断片54のX軸方向及びY軸方向のうちY軸方向だけである。さらに、第1切断片52は、第2切断片54のX軸方向の全体に亘って第2切断片54のX軸方向に平行に連続している。
組合せ体55を焼結する上述の工程S16では、組合せ体55は、第1切断片52と第2切断片54が接合一体化されるように焼結される。これにより、図1に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体1が得られる。この複合体1では、第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは0体積%である。
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々に変更可能である。
本発明に係る金属−炭素粒子複合体は、ハイブリッドカー(HEV)、電気自動車(EV)、電車などの車両に用いられる部材の材料として好適に用いられる。さらにこの複合体は、各種冷却器(例:パワーモジュール用冷却器、電池用冷却器)に用いられる部材の材料としても好適に用いられる。具体的には例えばパワーモジュール用冷却器に備えられた配線層、緩衝層、ヒートシンクなどの部材の材料としてこの複合体が好適に用いられる。
本発明の具体的な実施例及び比較例を以下に示す。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、図1〜9に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体としてアルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体を以下の方法で製造した。なお、実施例1を理解し易くするため、上記第1実施形態で使用した符号を用いて実施例1を説明する。
炭素粒子3としての鱗片状黒鉛粒子3aと、バインダーとしてのポリエチレンオキサイドの10質量%水溶液及びポリビニルアルコールの10質量%水溶液と、バインダー用溶剤としてのイソプロピルアルコール及び水と、分散剤と、表面調整剤とを混合容器内に入れてディスパーにより撹拌混合することで塗料45を得た。塗料45の粘度は25℃で5000mPa・sであった。
鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向Pの平均長さは0.15mmであり、その平均アスペクト比は30であった。塗料45に含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの含有率はバインダーと鱗片状黒鉛粒子3aとの合計質量に対して90質量%であった。
また、金属箔の条材としてアルミニウム箔10の条材10Aを準備した。アルミニウム箔10の条材10Aの材料はJIS(日本工業規格)で規定されたアルミニウム合金番号A1N30であり、その厚さは15μm及びその幅は300mmであった。
次いで、図4に示した構成を有するロールtoロール方式のナイフコーター31によりアルミニウム箔10の条材10A上に塗料45を塗工速度1m/minで塗工し、そして乾燥炉40により乾燥した。これにより、アルミニウム箔10の条材10A上に所定の炭素粒子塗工層13、14(詳述すると鱗片状黒鉛粒子塗工層。以下同じ)が形成された炭素粒子塗工箔16の条材16A(詳述すると鱗片状黒鉛粒子塗工箔の条材。以下同じ)を得た。
ナイフコーター31は、図5に示したフィルター板35を備えたものである。フィルター板35は、塗料ダム部39とナイフロール32との間におけるナイフロール32の近傍位置において、フィルター板35の先端辺36がアルミニウム箔10の条材10Aを横断する方向に延びるようにアルミニウム箔10の条材10A(詳述するとアルミニウム箔10の条材10Aの表面10a)に接触して設置されている。したがって、フィルター板35の先端辺36とアルミニウム箔10の条材10Aとの間の隙間Gは0mmであった。
そのため、炭素粒子塗工箔16の条材16Aにおいて、アルミニウム箔10の条材10A上には第1炭素粒子塗工層13は形成されないで塗料45の塗工方向Nに連続する複数の第2炭素粒子塗工層14だけが塗料45の塗工方向Nに対して直角な方向に間隔をおいて互いに平行に配列して形成されていた。
炭素粒子塗工箔16の条材16Aにおいて、第2炭素粒子塗工層14の幅W2は0.8mmであり、互いに隣り合う第2炭素粒子塗工層14、14間の部分である、炭素粒子塗工層が形成されていない部分(この部分を以下「炭素粒子非塗工部」という)の幅W1は0.4mmであった。炭素粒子非塗工部の炭素粒子目付量は当然のことながら0g/mであり、第2炭素粒子塗工層14の炭素粒子目付量は30g/mであった。
次いで、炭素粒子塗工箔16の条材16Aを正方形状(その寸法:長さ50mm×幅50mm)に複数裁断することにより、複数の正方形状の炭素粒子塗工箔16を得た。
そして、炭素粒子塗工箔16を、塗料45の塗工方向Nが互いに平行になるように更に塗工箔16の平面視において炭素粒子非塗工部が互いに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が互いに重なるように、200枚積層し、これにより塗工箔16の積層体20を形成した。
次いで、積層体20を放電プラズマ焼結装置により真空中にて積層体20の厚さ方向(即ち塗工箔16の積層方向)に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより、積層体20を焼結した。これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体1を得た。この複合体1の厚さは5mmであった。
上述した焼結条件は次のとおりである。焼結温度は620℃、焼結温度の保持時間は3時間、室温からの昇温速度は20℃/min、積層体20への加圧力は20MPa、真空度は3Paであった。また、積層体20の温度が室温から焼結温度まで上昇するように積層体20を加熱する途中で昇温を一旦停止することで積層体20中のバインダーを昇華・熱分解し、これにより積層体20からバインダーを除去した。その際に適用したバインダーの除去条件は、バインダーを除去するための積層体20の加熱温度が450℃であり、その保持時間が30minであった。
複合体1に含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向P及び幅方向Qは複合体1のX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体1全体の炭素粒子含有率(詳述すると鱗片状黒鉛粒子含有率。以下同じ)TVfは38体積%であった。
複合体1の第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に平行に連続していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、複合体1のY軸方向の全体に亘って複合体1のY軸方向に交互に繰り返し配列していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のX軸方向の全体に亘って複合体1のX軸方向に平行に連続していた。第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは1体積%であり、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは48体積%であった。
また、複合体1の第1エリアAのAYは0.2mmであり、第2エリアBのBYは1mmであった。
複合体1の最も高い熱伝導率の方向は複合体1のX軸方向であり、この最高熱伝導率は下記比較例1の複合体のそれに対して1倍であった。また、複合体1の最も熱伝導率が低い方向は複合体1のZ軸方向であり、複合体1のZ軸方向の引張強度は下記比較例1の複合体のそれに対して2倍であった。
なお、上述した熱伝導率及び引張強度はそれぞれ室温(20℃)での値である。以下の実施例2〜4及び比較例1、2でも同じである。
以上の結果を下記表1にまとめて示した。
<比較例1>
上記実施例1の塗料45と同じ塗料を準備した。また、実施例1のアルミニウム箔10の条材10Aと同じアルミニウム箔の条材を準備した。
次いで、ロールtoロール方式の、フィルター板35を備えていないナイフコーターによりアルミニウム箔の条材上にその全体に亘って塗料を塗工速度1m/minで塗工し、そして乾燥炉により乾燥した。これにより、アルミニウム箔の条材上にその全体に亘って炭素粒子目付量が均一な炭素粒子塗工層が形成された炭素粒子塗工箔の条材を得た。炭素粒子塗工層の炭素粒子目付量は30g/mであった。
次いで、炭素粒子塗工箔の条材を正方形状(その寸法:長さ50mm×幅50mm)に複数裁断することにより、複数の正方形状の炭素粒子塗工箔を得た。
そして、炭素粒子塗工箔を200枚積層し、これにより塗工箔の積層体を形成した。
次いで、積層体を上記実施例1と同じ焼結条件で焼結した。これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体を得た。この複合体の厚さは5mmであった。
複合体に含まれる鱗片状黒鉛粒子の最長軸方向及び幅方向は複合体のX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体全体の炭素粒子含有率TVfは48体積%であった。
複合体は、炭素粒子含有率AVfが20体積%未満である第1エリアAを含んでおらず、すなわち複合体全体が第2エリアBに相当している。したがって、AYは0mmであり、BYは50mmであった。
複合体の最も高い熱伝導率の方向は複合体のX−Y軸面方向であり、この最高熱伝導率を1とした。複合体の最も熱伝導率が低い方向は複合体のZ軸方向であり、複合体のZ軸方向の引張強度を1とした。
以上の結果を下記表1にまとめて示した。
Figure 2021123779
表1から分かるように、実施例1の複合体1のZ軸方向の引張強度は比較例1の複合体のそれよりも高かった。
<実施例2>
実施例2では、図11〜14に示した上記第2実施形態の金属−炭素粒子複合体としてアルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体を以下の方法で製造した。なお、実施例2を理解し易くするため、上記第2実施形態で使用した符号を用いて実施例2を説明する。
上記実施例1の炭素粒子塗工箔16と同じ正方形状(その寸法:長さ50mm×幅50mm)の炭素粒子塗工箔16を複数準備した。
そして、炭素粒子塗工箔16を、塗料45の塗工方向Nが一枚ごとに交互に直交するように更に塗工箔16の平面視において炭素粒子非塗工部が一枚おきに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が一枚おきに重なるように、200枚積層し、これにより塗工箔16の積層体20bを形成した。
次いで、積層体20bを上記実施例1と同じ焼結条件で焼結した。これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体1Aを得た。この複合体1Aの厚さは5mmであった。
複合体1Aに含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向P及び幅方向Qは複合体1AのX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体1A全体の炭素粒子含有率TVfは38体積%であった。
複合体1Aの第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、それぞれ、複合体1AのZ軸方向の全体に亘って複合体1AのZ軸方向に平行に連続していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBと第3エリアCは、各第3エリアCが第1エリアAと第2エリアBとに隣接するように複合体1AのX−Y軸面方向に規則的に配列していた。第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは1体積%であり、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは48体積%であり、第3エリアCの炭素粒子含有率CVfは23体積%であった。
また、複合体1Aの第1エリアAのAXは0.2mmであり、AYは0.2mmであった。第2エリアBのBXは1mmであり、BYは1mmであった。第3エリアCのCXは1mmと0.2mmであり、CYは0.2mmと1mmであった(図14参照)。
複合体1Aの最も高い熱伝導率の方向は複合体1のX−Y軸面方向であり、この最高熱伝導率は上記比較例1の複合体のそれに対して0.75倍であった。また、複合体1Aの最も熱伝導率が低い方向は複合体1のZ軸方向であり、複合体1のZ軸方向の引張強度は上記比較例1の複合体のそれに対して1.2倍であった。
以上の結果を下記表2にまとめて示した。
Figure 2021123779
表2から分かるように、実施例2の複合体1AのZ軸方向の引張強度は比較例1の複合体のそれよりも高かった。
<実施例3>
実施例3では、図1〜9に示した上記第1実施形態の金属−炭素粒子複合体として銅−鱗片状黒鉛粒子複合体を以下の方法で製造した。なお、実施例3を理解し易くするため、上記第1実施形態で使用した符号を用いて実施例3を説明する。
上記実施例1の塗料45と同じ塗料45を準備した。また、金属箔の条材として銅箔10の条材10Aを準備した。銅箔10の条材10Aの材料はC1020であり、その厚さは15μm及びその幅は300mmであった。
次いで、上記実施例1と同様に、図4に示した構成を有するロールtoロール方式のナイフコーター31により銅箔10の条材10A上に塗料45を塗工速度1m/minで塗工し、そして乾燥炉40により乾燥した。これにより、銅箔10の条材10A上に所定の炭素粒子塗工層が形成された炭素粒子塗工箔16の条材16Aを得た。なお、ナイフコーター31におけるフィルター板35の先端辺36と銅箔10の条材10Aとの間の隙間Gは0mmであった。
炭素粒子塗工箔16の条材16Aにおいて、第2炭素粒子塗工層14の幅W2は0.8mmであり、炭素粒子非塗工部の幅W1は0.4mmであった。炭素粒子非塗工部の炭素粒子目付量は当然のことながら0g/mであり、第2炭素粒子塗工層14の炭素粒子目付量は30g/mであった。
次いで、炭素粒子塗工箔16の条材16Aを正方形状(その寸法:長さ50mm×幅50mm)に複数裁断することにより、複数の正方形状の炭素粒子塗工箔16を得た。
そして、炭素粒子塗工箔16を、塗料45の塗工方向Nが互いに平行になるように更に塗工箔16の平面視において炭素粒子非塗工部が互いに重なり且つ第2炭素粒子塗工層14が互いに重なるように、200枚積層し、これにより塗工箔16の積層体20を形成した。
次いで、積層体20を放電プラズマ焼結装置により真空中にて積層体20の厚さ方向(即ち塗工箔16の積層方向)に加圧しながら所定の焼結条件で加熱することにより、積層体20を焼結した。これにより、銅−鱗片状黒鉛粒子複合体1を得た。この複合体1の厚さは5mmであった。
上述した焼結条件は次のとおりである。焼結温度は1000℃、焼結温度の保持時間は3時間、室温からの昇温速度は20℃/min、積層体への加圧力は20MPa、真空度は3Paであった。また、積層体20の温度が室温から焼結温度まで上昇するように積層体20を加熱する途中で昇温を一旦停止することで積層体20中のバインダーを昇華・熱分解し、これにより積層体20からバインダーを除去した。その際に適用したバインダーの除去条件は、バインダーを除去するための積層体20の加熱温度が450℃であり、その保持時間が30minであった。
複合体1に含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向P及び幅方向Qは複合体1のX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体1全体の炭素粒子含有率TVfは38体積%であった。
複合体1の第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に平行に連続していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、複合体1のY軸方向の全体に亘って複合体1のY軸方向に交互に繰り返し配列していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のX軸方向の全体に亘って複合体1のX軸方向に平行に連続していた。第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは1体積%であり、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは48体積%であった。
また、複合体1の第1エリアAのAYは0.2mmであり、第2エリアBのBYは1mmであった。
複合体1の最も高い熱伝導率の方向は複合体1のX軸方向であり、この最高熱伝導率は下記比較例2の複合体のそれに対して1倍であった。また、複合体1の最も熱伝導率が低い方向は複合体1のZ軸方向であり、複合体1のZ軸方向の引張強度は下記比較例2の複合体のそれに対して2倍であった。
以上の結果を下記表3にまとめて示した。
<比較例2>
上記実施例1の塗料45と同じ塗料を準備した。また、上記実施例3の銅箔10の条材10Aと同じ銅箔の条材を準備した。
次いで、ロールtoロール方式の、フィルター板35を備えていないナイフコーターにより銅箔の条材上にその全体に亘って塗料を塗工速度1m/minで塗工し、そして乾燥炉により乾燥した。これにより、銅箔の条材上にその全体に亘って炭素粒子目付量が均一な炭素粒子塗工層が形成された炭素粒子塗工箔の条材を得た。炭素粒子塗工層の炭素粒子目付量は30g/mであった。
次いで、炭素粒子塗工箔の条材を正方形状(その寸法:長さ50mm×幅50mm)に複数裁断することにより、複数の正方形状の炭素粒子塗工箔を得た。
そして、炭素粒子塗工箔を200枚積層し、これにより塗工箔の積層体を形成した。
次いで、積層体を上記実施例3と同じ焼結条件で焼結した。これにより、銅−鱗片状黒鉛粒子複合体を得た。この複合体の厚さは5mmであった。
複合体に含まれる鱗片状黒鉛粒子の最長軸方向及び幅方向は複合体のX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体全体の炭素粒子含有率TVfは48体積%であった。
複合体は、炭素粒子含有率AVfが20体積%未満である第1エリアAを含んでおらず、すなわち複合体全体が第2エリアBに相当している。したがって、AYは0mmであり、BYは50mmであった。
複合体の最も高い熱伝導率の方向は複合体のX−Y軸面方向であり、この最高熱伝導率を1とした。複合体の最も熱伝導率が低い方向は複合体のZ軸方向であり、複合体のZ軸方向の引張強度を1とした。
以上の結果を下記表3にまとめて示した。
Figure 2021123779
表3から分かるように、実施例3の複合体1のZ軸方向の引張強度は比較例2の複合体のそれよりも高かった。
<実施例4>
実施例4では、図15〜17に示した上記第3実施形態の金属−炭素粒子複合体としてアルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体を以下の方法で製造した。なお、実施例4を理解し易くするため、上記第3実施形態で使用した符号を用いて実施例4を説明する。
全体の炭素粒子含有率TVfが0体積%(即ち、TVf=0体積%)の第1素材体51として、アルミニウム板(即ち板状のアルミニウム体)からなる第1素材体51を準備した。第1素材体51のアルミニウム板の材料はA1N30であり、その厚さは2mmであった。
第2の金属−炭素粒子複合素材体53として、上記比較例1で製造したアルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体を準備した。したがって、第2素材体53はこの複合体からなる。
第2素材体53に含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向P及び幅方向Qは第2素材体53のX−Y軸面方向に配向していた。また、第2素材体53全体の炭素粒子含有率TVfは48体積%であった。第2素材体53の寸法は、長さ50mm×幅50mm×厚さ5mmであった。
第1素材体51をその厚さ方向に沿って長方形状に複数裁断することにより、複数の長方形状の第1切断片52を得た。第1切断片52の寸法は、長さ50mm×幅5mm×厚さ2mmであった。
ここで、第1素材体51は炭素粒子を含んでいないので、第1素材体51及び第1切断片52のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は任意に設定可能である。そこで、第1切断片52において、長さ50mmの方向を第1切断片52のX軸方向とし、幅5mmの方向を第1切断片52のZ軸方向とし、厚さ2mmの方向を第1切断片52のY軸方向とした。
第2素材体53をそのZ軸方向(即ち第2素材体53の厚さ方向)に沿って長方形状に複数切断することにより、複数の長方形状の第2切断片54を得た。第2切断片54の寸法は、長さ50mm×幅10mm×厚さ5mmであった。第2切断片54において、長さ50mmの方向を第2切断片54のX軸方向とし、幅10mmの方向を第2切断片54のY軸方向とし、厚さ5mmの方向を第2切断片54のZ軸方向とした。
次いで、第1切断片52と第2切断片54を、第1切断片52のZ軸方向と第2切断片54のZ軸方向とが平行になるように更に第1切断片52が第2切断片54のZ軸方向の全体及びX軸方向の全体に亘って第2切断片54のZ軸方向及びX軸方向に平行に連続するように更に第1切断片52と第2切断片54とが第2切断片54のY軸方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わせた。これにより、第1及び第2切断片52、54の組合せ体55を形成した。組合せ体55に含まれる第1切断片52の個数は5個であり、組合せ体55に含まれる第2切断片54の個数は4個であった。
次いで、組合せ体55を放電プラズマ焼結装置により真空中にて組合せ体55のY軸方向(即ち第1切断片52と第2切断片54が交互に繰り返し配列している方向)に加圧しながら上記実施例1と同じ焼結条件で加熱することにより、積層体20を焼結した。これにより、アルミニウム−鱗片状黒鉛粒子複合体1を得た。この複合体1の厚さは5mmであった。
複合体1に含まれる鱗片状黒鉛粒子3aの最長軸方向P及び幅方向Qは複合体1のX−Y軸面方向に配向していた。また、複合体1全体の炭素粒子含有率TVfは38体積%であった。
複合体1の第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のZ軸方向の全体に亘って複合体1のZ軸方向に平行に連続していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、複合体1のY軸方向の全体に亘って複合体1のY軸方向に交互に繰り返し配列していた。さらに、第1エリアAと第2エリアBは、それぞれ、複合体1のX軸方向の全体に亘って複合体1のX軸方向に平行に連続していた。第1エリアAの炭素粒子含有率AVfは0体積%であり、第2エリアBの炭素粒子含有率BVfは48体積%であった。
また、複合体1の第1エリアAのAYは2mmであり、第2エリアBのBYは10mmであった。
複合体1の最も高い熱伝導率の方向は複合体1のX軸方向であり、この最高熱伝導率は上記比較例1の複合体のそれに対して0.8倍であった。また、複合体1の最も熱伝導率が低い方向は複合体1のZ軸方向であり、複合体1のZ軸方向の引張強度は上記比較例1の複合体のそれに対して11倍であった。
以上の結果を下記表4にまとめて示した。
Figure 2021123779
表4から分かるように、実施例4の複合体1のZ軸方向の引張強度は比較例1の複合体のそれよりも高かった。
本発明は、高い熱伝導性と高い機械的強度を要求される部材の材料として用いられる金属−炭素粒子複合体及び金属−炭素粒子複合体の製造方法に利用可能である。
1、1A:金属−炭素粒子複合体
3:炭素粒子
10:金属箔
13:第1炭素粒子塗工層
14:第2炭素粒子塗工層
16:炭素粒子塗工箔
20、20a、20b:積層体
30:塗工装置
45:塗料
51:第1の金属−炭素粒子複合素材体
52:第1切断片
53:第2の金属−炭素粒子複合素材体
54:第2切断片
55:第1及び第2切断片の組合せ体

Claims (13)

  1. 金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む金属−炭素粒子複合体であって、
    複合体の一方向をZ軸方向とし、複合体のZ軸方向に対して垂直な二方向をX軸方向及びY軸方向とし、複合体のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向をX−Y軸面方向とするとき、
    複合体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が複合体のX−Y軸面方向に配向しており、
    複合体全体の炭素粒子含有率が20体積%以上であり、
    複合体は、炭素粒子含有率が20体積%未満である第1エリアを含み、
    前記第1エリアは複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続している金属−炭素粒子複合体。
  2. 複合体は、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高い第2エリアを更に含み、
    前記第2エリアは複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続しており、
    前記第1エリアと前記第2エリアが複合体のX軸方向及びY軸方向のうち一方の方向に交互に繰り返し配列するとともに、前記第1エリアと前記第2エリアがそれぞれ複合体の他方の方向の全体に亘って複合体の当該他方の方向に連続している請求項1記載の金属−炭素粒子複合体。
  3. 前記第1エリアと前記第2エリアが交互に繰り返し配列している方向を複合体のY軸方向とするとき、
    前記第1エリアのY軸方向の幅(AY)が0.2mm〜10mmの範囲であり、
    前記第2エリアのY軸方向の幅(BY)が1mm〜100mmの範囲である請求項2記載の金属−炭素粒子複合体。
  4. 前記第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%である請求項1〜3のいずれかに記載の金属−炭素粒子複合体。
  5. 複合体は、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高い第2エリアと、炭素粒子含有率が前記第1エリアの炭素粒子含有率よりも高く且つ前記第2エリアの炭素粒子含有率よりも低い第3エリアとを更に含み、
    前記第2エリア及び前記第3エリアは、それぞれ、複合体のZ軸方向の全体に亘って複合体のZ軸方向に連続しており、
    前記第1エリアと前記第2エリアと前記第3エリアが、前記各第3エリアが前記第1エリアと前記第2エリアとに隣接するように複合体のX−Y軸面方向に規則的に配列している請求項1記載の金属−炭素粒子複合体。
  6. 前記第1エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(AX、AY)がそれぞれ0.2mm〜100mmの範囲であり、
    前記第2エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(BX、BY)がそれぞれ1mm〜100mmの範囲であり、
    前記第3エリアのX軸方向及びY軸方向の幅(CX、CY)がそれぞれ1mm〜100mmの範囲である請求項5記載の金属−炭素粒子複合体。
  7. 前記第1エリアの炭素粒子含有率が0体積%である請求項5又は6記載の金属−炭素粒子複合体。
  8. 複合体の少なくとも一つの面に厚さ0.05mm以上の金属層が当該少なくとも一つの面を覆う状態に形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の金属−炭素粒子複合体。
  9. 炭素粒子を含む塗料を金属箔上に、炭素粒子目付量が少ない第1炭素粒子塗工層と炭素粒子目付量が多い第2炭素粒子塗工層とが前記塗料の塗工方向に対して直角な方向に交互に繰り返し配列するように前記塗料の塗工方向に塗工することにより、炭素粒子塗工箔を得る工程と、
    前記塗工箔を、前記塗料の塗工方向が互いに平行になるように更に前記塗工箔の平面視において前記第1炭素粒子塗工層が互いに重なり且つ前記第2炭素粒子塗工層が互いに重なるように、複数積層することにより、前記塗工箔の積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
  10. 炭素粒子を含む塗料を金属箔上に、炭素粒子目付量が少ない第1炭素粒子塗工層と炭素粒子目付量が多い第2炭素粒子塗工層とが前記塗料の塗工方向に対して直角な方向に交互に繰り返し配列するように前記塗料の塗工方向に塗工することにより、炭素粒子塗工箔を得る工程と、
    前記塗工箔を、前記塗料の塗工方向が一枚ごとに交互に交差するように更に前記塗工箔の平面視において前記第1炭素粒子塗工層が一枚おきに重なり且つ前記第2炭素粒子塗工層が一枚おきに重なるように、複数積層することにより、前記塗工箔の積層体を形成する工程と、
    前記積層体を焼結する工程とを含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
  11. 金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む第1の金属−炭素粒子複合素材体と、金属マトリックスと前記金属マトリックス中に分散した炭素粒子とを含む第2の金属−炭素粒子複合素材体とをそれぞれ準備する工程を含み、
    前記第1素材体及び第2素材体の一方向をそれぞれZ軸方向とし、前記第1素材体及び第2素材体のZ軸方向に対して垂直な二方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とし、前記第1素材体及び第2素材体のX軸方向とY軸方向とに平行な面方向をそれぞれX−Y軸面方向とするとき、
    前記第1素材体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が前記第1素材体のX−Y軸面方向に配向しており、
    前記第2素材体に含まれる前記炭素粒子の最長軸方向及び幅方向が前記第2素材体のX−Y軸面方向に配向しており、
    前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が20体積%未満であり、
    前記第2素材体全体の炭素粒子含有率が前記第1素材体全体の炭素粒子含有率よりも高く、
    前記第1素材体をそのZ軸方向に沿って切断することにより前記第1素材体の第1切断片を得る工程と、
    前記第2素材体をそのZ軸方向に沿って切断することにより前記第2素材体の第2切断片を得る工程と、
    前記第1切断片と前記第2切断片を、前記第1切断片のZ軸方向と前記第2切断片のZ軸方向とが平行になるように更に前記第1切断片が前記第2切断片のZ軸方向の全体に亘って前記第2切断片のZ軸方向に連続するように更に前記第1切断片と前記第2切断片とが前記第2切断片のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わせることにより、前記第1及び第2切断片の組合せ体を形成する工程と、
    前記組合せ体を焼結する工程とを更に含む、金属−炭素粒子複合体の製造方法。
  12. 前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が0体積%である請求項11記載の金属−炭素粒子複合体の製造方法。
  13. 前記第1素材体全体の炭素粒子含有率が0体積%であり、
    前記第1切断片を得る工程では、前記第1素材体をその任意方向に沿って切断することにより前記第1素材体の第1切断片を得、
    前記組合せ体を形成する工程では、前記第1切断片と前記第2切断片を、前記第1切断片の一方向と前記第2切断片のZ軸方向とが平行になるように更に前記第1切断片が前記第2切断片のZ軸方向の全体に亘って前記第2切断片のZ軸方向に連続するように更に前記第1切断片と前記第2切断片とが前記第2切断片のX軸方向及びY軸方向のうち少なくとも一方の方向に交互に繰り返し配列するように、それぞれ複数組み合わせることにより、前記第1及び第2切断片の組合せ体を形成する、請求項11記載の金属−炭素粒子複合体の製造方法。
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