JP6720706B2 - 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、テレビ、ノートパソコン、及びスマートフォン等の液晶ディスプレイとして広く用いられている。液晶表示装置は、通常、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含み;偏光板は、偏光子と、偏光板保護フィルムとを含む。
偏光板保護フィルムは、その機能に応じた位相差を有することが求められる。例えば、IPS方式の液晶セルの位相差フィルムとして用いられる偏光板保護フィルムは、位相差の絶対値ができるだけ小さいこと、即ち、ゼロ付近であることが求められる。
そのような位相差が低減された偏光板保護フィルムとして、例えばセルロースアシレートと、糖エステル(位相差低減剤)とを含む光学フィルムが提案されている(例えば特許文献1)。そのような光学フィルムは、セルロースアシレートと、糖エステルとを有機溶媒に溶解させたドープを金属支持体上に流延及び乾燥させて後、金属支持体から剥離して得られる膜状物を延伸して製造することができる。
特開2014−149325号公報
しかしながら、通常、溶液流延法による製膜では、膜状物を金属支持体から剥離する際に、該膜状物を金属支持体から剥離しにくい場合がある。そのため、該膜状物を金属支持体から剥離するためには比較的大きな力を掛ける必要があり、得られる偏光板保護フィルムは、剥離力の変動により、幅方向に複数のスジ、即ち、横段ムラが形成されやすいという問題があった。横段ムラを構成するスジ部分は膜厚が変動しているため、特に膜状物の厚みが薄い場合は、膜厚の変動も相対的に大きくなり、横段ムラが目立ちやすい傾向があった。そのような横段ムラが形成された偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の表示画面上ではスジ状の光漏れとして検出されやすく、表示特性を損なう原因となりやすい。従って、特許文献1においても、膜状物を金属支持体から一層剥離しやすくし、そのような横段ムラを一層抑制できることが望まれている。
また、近年の液晶表示装置の薄型化、大型化及び偏光板の収率向上の要求に伴い、偏光板保護フィルムの薄型化と広幅化が求められている。従って、上記膜状物を高倍率延伸することによって、偏光板保護フィルムを製造することが望まれる。
しかしながら、膜状物を高倍率延伸すると、通常、膜状物に含まれる成分が配向しやすいため、位相差が発現しやすい。特許文献1においても、膜状物を高倍率延伸したときの位相差の発現を一層少なくすることが求められている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、薄くても、横段ムラが十分に抑制され、且つ位相差が十分に低減された偏光板保護フィルムを提供することを目的とする。
[1] 熱可塑性樹脂と、糖のアルキレンオキサイド付加物とを含む、偏光板保護フィルム。
[2] 紫外線吸収剤をさらに含む、[1]に記載の偏光板保護フィルム。
[3] 前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、[2]に記載の偏光板保護フィルム。
[4] 前記紫外線吸収剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂の全質量に対して1.5〜5質量%である、[2]又は[3]に記載の偏光板保護フィルム。
[5] 前記糖のアルキレンオキサイド付加物は、スクロースのアルキレンオキサイド付加物を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[6] 前記糖のアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドを含む、[1]〜[5]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[7] 前記糖のアルキレンオキサイド付加物は、糖1モルに対して5〜20モルのアルキレンオキサイドが付加したものである、[1]〜[6]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[8] 前記糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量は、前記熱可塑性樹脂の全質量に対して10〜20質量%である、[1]〜[7]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[9] 前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートである、[1]〜[8]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[10] 前記セルロースアシレートは、アセチル基置換度が2.6〜3.0であるセルロースアセテートである、[9]に記載の偏光板保護フィルム。
[11] 波長590nmで測定される、下記式(I)で表される面内方向の位相差Roが0〜8nmであり、下記式(II)で表される厚み方向の位相差Rtが−10〜10nmである、[1]〜[10]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
式(I):Ro=(nx−ny)×d
式(II):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式(I)及び(II)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大となる方向xにおける屈折率であり、nyは、フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率であり、nzは、フィルムの厚み方向における屈折率であり、dは、フィルムの膜厚(nm)である)
[12] 膜厚が10〜30μmである、[1]〜[11]のいずれかに記載の偏光板保護フィルム。
[13] 偏光子と、[1]〜[12]のいずれかに記載の偏光板保護フィルムとを含む、偏光板。
[14] 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に含み、前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルムF1と、前記第一の偏光子と前記液晶セルとの間に配置された偏光板保護フィルムF2とを有し、前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子と前記液晶セルとの間に配置された偏光板保護フィルムF3と、前記第二の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルムF4と、を有し、前記保護フィルムF2及びF3の少なくとも一方が、[1]〜[12]のいずれかに記載の偏光板保護フィルムである、液晶表示装置。
本発明によれば、薄くても、横段ムラが十分に抑制され、且つ位相差が十分に低減された偏光板保護フィルムをすることができる。
本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、糖のアルキレンオキサイド付加物を含む膜状物は、金属支持体からの剥離性が高く、得られる偏光板保護フィルムに横段ムラを形成されにくくし得ることを見出した。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、金属支持体の表面は、酸化被膜により親水性を示すため、親水性の高い従来の糖エステル化合物では、剥離性を高めにくい。これに対して、糖のアルキレンオキサイド付加物は、従来の糖エステル化合物よりも疎水性が高いので、剥離性を高めることができる(剥離力を小さくすることができる)と考えられる。
また、糖のアルキレンオキサイド付加物を含む膜状物は、高倍率延伸しても位相差を発現しにくく、得られる偏光板保護フィルムの位相差を低くし得ることを見出した。これは、熱可塑性樹脂の分子と、糖のアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとが相互作用し、糖のアルキレンオキサイド付加物が、フィルムの厚み方向に配向しやすいからであると考えられる。
これらにより、高倍率延伸しても、横段ムラが抑制され、且つ位相差が低減された偏光板保護フィルムを得ることができる。
さらに、糖のアルキレンオキサイド付加物を含む膜状物は、紫外線吸収剤をさらに含む場合であっても、高倍率延伸したときの白化を抑制できる。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、従来の糖エステル化合物は親水性が高く、紫外線吸収剤との相溶性が十分でないことから、高温・高湿下では、紫外線吸収剤が押し出され、紫外線吸収剤が結晶化してフィルムが白化する場合がある。これに対して、糖のアルキレンオキサイド付加物は、従来の糖エステル化合物よりも疎水性が高いので、紫外線吸収剤との相溶性が高く、湿熱条件下で紫外線吸収剤が押し出されるのを抑制し、紫外線吸収剤の結晶化を抑制しやすい。それにより、得られる偏光板保護フィルムは、高温・高湿下でのフィルムの白化も抑制され、湿熱耐久性を高めることができる。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものである。
1.偏光板保護フィルム
本発明の偏光板保護フィルムは、熱可塑性樹脂と、糖のアルキレンオキサイド付加物とを含み、紫外線吸収剤をさらに含むことが好ましい。
1−1.熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂の例には、セルロースアシレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、スチレン系樹脂等が含まれる。中でも、位相差を発現しにくく、耐湿性又は耐熱性が良好である点から、セルロースアシレート、アクリル系樹脂、及びシクロオレフィン系樹脂が好ましい。偏光板保護フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせたものであってもよい。
(セルロースアシレート)
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基の一部又は全部が、カルボン酸とエステル化反応して得られる樹脂である。セルロースアシレートに含まれるアシル基は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせたものであってもよい。
セルロースアシレートに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であってもよいし、芳香族アシル基であってもよい。中でも、位相差の調整が容易である点から、セルロースアシレートに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基であることが好ましい。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、2〜7であることが好ましく、2〜4であることがより好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基及びブタノイル基等が含まれる。
中でも、セルロースアシレートのアシル基は、耐熱性を高めやすい点から、アセチル基を含むことが好ましく、必要に応じて炭素原子数3以上のアシル基をさらに含んでもよい。炭素原子数3以上のアシル基は、セルロースアシレートに疎水性を付与し得る。
セルロースアシレートの例には、セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレート等が含まれ、位相差を発現しにくく、良好な耐熱性を有することから、セルロースアセテート及びセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。
セルロースアシレートのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0であることが好ましく、2.6〜3.0であることがより好ましい。アシル基の総置換度を高めることで、延伸による位相差発現性を低くすることができる。アシル基の置換度は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
具体的には、以下の式(1)〜(3)、好ましくは(1)’〜(3)’を満たすセルローストリアセテート又はセルロースアセテートプロピオネートが好ましい。式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基の置換度である。
式(1)1.0≦X≦3.0
式(2) 0≦Y≦1.5
式(3)2.0≦X+Y≦3.0
式(1)’2.0≦X≦2.9
式(2)’ 0≦Y≦1.0
式(3)’2.6≦X+Y≦3.0
セルロースアシレートの数平均分子量Mnは、30000〜150000であることが好ましい。セルロースアシレートの数平均分子量Mnが30000以上であると、偏光板保護フィルムの機械的強度が得られやすく、150000以下であると、成形性が損なわれにくい。セルロースアシレートの重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、1.4〜3.0程度であり得る。
セルロースアシレートの数平均分子量Mn及び重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。測定条件は、以下の通りである。
(測定条件)
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;又は(メタ)アクリル酸エステルとそれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であり得る。尚、(メタ)アクリル酸エステルには、アクリル酸エステルと、メタクリル酸エステルの両方が含まれる。
(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、メタクリル酸メチルであることがより好ましい。
(メタ)クリル酸メチルと共重合可能な他のモノマーの例には、アルキル部分の炭素原子数が2〜18のメタクリル酸アルキルエステル;アルキル部分の炭素原子数が1〜18のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸;スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル;無水マレイン酸、グルタル酸無水物等の酸無水物;マレイミド、N−置換マレイミド等が含まれる。これらの他のモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとそれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体におけるメタクリル酸メチル由来の構造単位の含有割合は、該共重合体を構成する全構成単位の合計に対して30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。
アクリル系樹脂の例には、ポリメチルメタクリレート等が含まれる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、80000〜1000000であることが好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwが80000以上であると、偏光板保護フィルムの機械的強度が得られやすく、1000000以下であると、成形性が損なわれにくい。アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは、前述と同様の方法で測定できる。
(シクロオレフィン系樹脂)
シクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体である。RoやRt(特にRt)が低い偏光板保護フィルムを得る観点から、非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体を含むことが好ましい。非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体の例には、下記式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体が含まれる。
Figure 0006720706
一般式(A−1)のRは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。中でも、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。
一般式(A−1)のRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を表す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体は、非対称な構造を有する。即ち、一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の置換基R及びRが、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低い。そのような非対称な構造を有するシクロオレフィン単量体は、主鎖がx方向に並んでも、側鎖がxy面内だけでなく、それ以外の種々の方向を向くため、Roのみが発現しやすく、Rtが大きくなりにくいと考えられる。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系重合体を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して、例えば50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上とし得る。一般式(A−1)で表される単量体を一定以上含むシクロオレフィン系重合体は、偏光板保護フィルムのRtを低くしやすい。
シクロオレフィン単量体は、必要に応じて一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体以外の他のシクロオレフィン単量体をさらに含んでもよい。他のシクロオレフィン単量体の例には、下記式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体が含まれる。
Figure 0006720706
一般式(A−2)のR〜Rは、独立して水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R〜Rの全てが水素原子となる場合を除き、RとRが同時に水素原子となるか、又はRとRが同時に水素原子となる場合はないものとする。
炭素原子数1〜30の炭化水素基は、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基をさらに有していてもよい。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。
極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−2)のpは、0〜2の整数を示す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示し、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示す。
Figure 0006720706
他のシクロオレフィン単量体の例には、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等も含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン及びシクロオクタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する全単量体の合計に対して例えば50〜100モル%、好ましくは60〜100モル%とし得る。
シクロオレフィン系重合体の数平均分子量Mnは、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系重合体の重量平均分子量Mwは、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwは、前述と同様の方法で測定できる。
これらの中でも、偏光板保護フィルムに含まれる熱可塑性樹脂は、偏光板に加工する際の適性から、セルロースアシレートが好ましい。位相差を低減しやすく、耐湿性や耐熱性をバランスさせやすい点では、セルロースアシレートとアクリル系樹脂の併用が好ましい。耐湿性を高めやすい点では、アクリル系樹脂やシクロオレフィン系樹脂が好ましい。
偏光板保護フィルムにおける熱可塑性樹脂の含有量は、偏光板保護フィルムの全質量に対して50質量%以上、好ましくは70質量%以上とし得る。
1−2.糖のアルキレンオキサイド付加物
糖のアルキレンオキサイド付加物は、糖に、アルキレンオキサイドを付加反応させて得られる化合物である。
糖のアルキレンオキサイド付加物を構成する糖は、フラノース環又はピラノース環の少なくとも一方を1〜10個有する単糖若しくはオリゴ糖、又はそれらの還元体であり得る。
そのような単糖若しくはオリゴ糖の例には、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース及びケストース等が含まれる。単糖若しくはオリゴ糖の還元体の例には、ソルビトール、マンニトール等が含まれる。中でも、フラノース環とピラノース環の両方を含む糖が好ましく、スクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース及びスタキオースがより好ましく、延伸によって位相差を発現しにくく、湿熱耐久性も高めやすい点から、スクロースであることがさらに好ましい。
糖のアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドは、炭素数2〜5のアルキレンオキサイドであることが好ましい。アルキレンオキサイドの例には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドが含まれる。中でも、疎水性や紫外線吸収剤との相溶性を高めて湿熱耐久性を向上させやすくする点から、糖のアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドを含むことが好ましい。
アルキレンオキサイドの重合形態は、特に制限されず、1種類のアルキレンオキサイドの単独重合であってもよいし、2種類以上のアルキレンオキサイドのランダム共重合又はブロック共重合であってもよい。
アルキレンオキサイドの水酸基末端は、モノカルボン酸で封止されていてもよいし、封止されていなくてもよい。紫外線吸収剤との相溶性を高める点では、アルキレンオキサイドの水酸基末端は、モノカルボン酸で封止されていることが好ましい。
封止に用いられるモノカルボン酸は、脂肪族カルボン酸又は芳香族モノカルボン酸であるが、位相差を発現させにくくする点では、脂肪族モノカルボン酸が好ましい。脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜18の脂肪族モノカルボン酸であることが好ましく、その例には、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等が含まれる。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、糖1モルに対して1〜100モルであることが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数が1モル以上であると、糖のアルキレンオキサイド付加物の疎水性が適度に高まるだけでなく、紫外線吸収剤との相溶性も高まるので、湿熱耐久性が高まりやすい。アルキレンオキサイドの付加モル数が100モル以下であると、糖のアルキレンオキサイド付加物が延伸によって配向し過ぎないので、延伸による位相差発現性を低減しやすく、疎水性が高すぎないので、金属支持体からの剥離性も高めやすい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、糖1モルに対して5〜20モルであることがより好ましく、10〜20モルであることがさらに好ましい。
糖の水酸基の少なくとも一部、好ましくは全部に、アルキレンオキサイドが付加していることが好ましい。糖の水酸基のアルキレンオキサイド付加率(アルキレンオキサイド置換度)は、例えば60%以上であり、好ましくは100%である。
糖のアルキレンオキサイド付加物の具体例には、スクロースのエチレンオキサイド付加物、スクロースのプロピレンオキサイド付加物、スクロースのEO/POブロック共重合体付加物、グルコースのエチレンオキサイド付加物、グルコースのプロピレンオキサイド付加物、グルコースのEO/POブロック共重合体付加物、ソルビトールのエチレンオキサイド付加物、ソルビトールのプロピレンオキサイド付加物、ソルビトールのEO/POブロック共重合体付加物等が含まれる。
糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して1質量%以上であると、膜状物の剥離に要する力を十分に低減し得るだけでなく、延伸による位相差発現性も十分に低減することができる。糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して30質量%以下であると、延伸時や湿熱環境下でフィルムから押し出されにくい。糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して5〜20質量%であることがより好ましく、特に位相差をより低減しやすく、剥離性をより高めやすい点では、10〜20質量%であることが更に好ましい。
1−3.任意成分
本発明の偏光板保護フィルムは、必要に応じて上記以外の他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤及びマット剤が含まれる。
1−3−1.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、偏光板保護フィルムの耐候性を向上させる目的で添加され得る。そのような紫外線吸収剤の例には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、及びトリアジン系紫外線吸収剤が含まれる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例には、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノールが含まれる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品の例には、TINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN234、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN928等のTINUVINシリーズがあり、これらはいずれもBASF社製の市販品である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例には、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等が含まれる。
サリチル酸エステル系紫外線吸収剤の例には、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルサリシレート等が含まれる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤の例には、2’−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−アクリレート等が含まれる。
トリアジン系紫外線吸収剤の例には、2−(2’−ヒドロキシ−4’−ヘキシルオキシフェニル)−4,6−ジフェニルトリアジン等が含まれる。トリアジン系紫外線吸収剤の市販品の例には、TINUVIN477が含まれる。
これらの中でも、良好な紫外線吸収能を有する点では、トリアジン系の紫外線吸収剤が好ましいが、延伸によって位相差を発現しやすい傾向がある。従って、延伸により位相差を発現しにくく、且つ良好な紫外線吸収性能を有する点では、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がより好ましい。
尚、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤は、トリアジン系の紫外線吸収剤と比べると紫外線吸収性能はやや劣るため、フィルムにおける含有量を多くする必要がある。紫外線吸収剤の含有量を多くすると、湿熱耐久性は低下しやすい。そのような場合であっても、糖のアルキレンオキサイド付加物を用いることで、湿熱耐久性を高めることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して0.1質量%以上であれば、偏光板保護フィルムの耐候性を十分に高めうる。紫外線吸収剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して10質量%以下であれば、得られる偏光板保護フィルムの透明性が損なわれ難い。紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.5〜10質量%であることがより好ましく、1.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
1−3−2.可塑剤
可塑剤の例には、ポリエステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤(フタル酸エステル系可塑剤を含む)、グリコレート系可塑剤、エステル系可塑剤(脂肪酸エステル系可塑剤を含む)、及びアクリル系可塑剤等が含まれる。偏光板保護フィルムに含まれる可塑剤は、一種類であってもよいし、二種類以上を組み合わせてもよい。中でも、熱可塑性樹脂と相溶しやすく、良好な可塑性が得られやすい点から、ポリエステル系可塑剤が好ましい。
ポリエステル系可塑剤は、下記式(I)で表されるであることが好ましい。下記式(I)のnは、1以上の整数を表す。
式(I)
B−(G−A)n−G−B
一般式(I)のAは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される基、アルケニレンジカルボン酸から誘導される基、又は炭素原子数6〜12のアリールジカルボン酸から誘導される基を表す。
アルキレンジカルボン酸から誘導される基の例には、1,2−エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3−プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4−ブタンジカルボン酸(アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)等が含まれる。アルケニレンジカルボン酸から誘導される基の例には、マレイン酸、フマル酸等から誘導される基が含まれる。アリールジカルボン酸から誘導される基の例には、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等から誘導される基が含まれる。
Aは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される基と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸から誘導される基との組み合わせが好ましい。
一般式(I)のGは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される基、又は炭素原子数4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される基を表す。
炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基の例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−オクタデカンジオール等から誘導される基が含まれる。
炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される基の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される基が含まれる。炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等から誘導される基が含まれる。
Gは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。中でも、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される基であることが好ましい。
一般式(I)のBは、芳香環含有モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸から誘導される基である。
芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシ基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基等を介してカルボキシ基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等から誘導される基が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸から誘導される基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などから誘導される基が含まれる。中でも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
一般式(1)で表されるポリエステル系可塑剤の例には、以下のものが含まれる。
Figure 0006720706
Figure 0006720706
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ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、500〜3000であることが好ましい。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量が500以上であると、製膜時に揮発しにくく、3000以下であると成形性や熱可塑性樹脂との相溶性が損なわれにくい。ポリエステル系可塑剤の重量平均分子量は、600〜2000であることがより好ましい。重量平均分子量は、前述と同様の方法で測定することができる。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1〜40質量%であることが好ましい。可塑剤の含有量が熱可塑性樹脂の全質量に対して1質量%以上であると、後述する膜状物を十分に可塑化しやすく、40質量%以下であると、延伸時や保存時のブリードアウトを十分に抑制しやすい。可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1〜20質量%であることがより好ましく、1〜3質量%であることがさらに好ましい。
可塑剤は、その効果の一つとして、熱可塑性樹脂の含水率を低下させて耐水性と耐湿性を向上させ得る。従って、可塑剤以外の添加剤の疎水性が高ければ、可塑剤の添加量を少なくすることができる。つまり、糖のアルキレンオキサイド付加物は、糖エステル化合物よりも疎水性が高いので、ポリエステル系可塑剤の含有量を少なくすることができる。
1−3−3.酸化防止剤
酸化防止剤は、高湿高温下に置かれた液晶表示装置に含まれる偏光板保護フィルムの劣化を抑制する目的;具体的には、偏光板保護フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等による樹脂の分解を遅らせたり、抑制したりする目的で添加され得る。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、その例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が含まれる。中でも、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
酸化防止剤の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して1質量ppm〜1.0質量%であることが好ましく、10〜1000質量ppmであることがより好ましい。
1−3−4.微粒子(マット剤)
微粒子(マット剤)は、偏光板保護フィルムの表面の滑り性を高める目的で添加され得る。微粒子は、無機微粒子又は有機微粒子である。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の微粒子が含まれる。有機微粒子の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の微粒子が含まれる。中でも、ヘイズを生じ難く、着色も少ないことから、二酸化ケイ素(シリカ)粒子が好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)等が含まれる。中でも、得られるフィルムの濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させやすいことから、アエロジルR972V、NAX50及びシーホスターKE−P30が好ましい。
微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きいほうが、得られるフィルムの滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対して0.05〜1.0質量%であることが好ましく、0.1〜0.8質量%であることがより好ましい。
1−4.フィルム物性
(位相差Ro及びRt)
本発明の偏光板保護フィルムの、測定波長550nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Roは、0〜8nmであることが好ましく、0〜5nmであることがより好ましい。本発明の偏光板保護フィルムの、測定波長550nm、23℃55%RHの環境下で測定される厚み方向の位相差Rtは、−10〜10nmであることが好ましく、−8〜8nmであることがより好ましい。このような位相差を有する偏光板保護フィルムは、例えばIPSモードの液晶表示装置の位相差フィルムとして好適である。
偏光板保護フィルムのRo及びRtは、それぞれ下記式で定義される。
式(1a):Ro=(nx−ny)×d
式(1b):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大となる方向x(面内遅相軸方向)における屈折率であり、
nyは、フィルムの面内方向において前記方向x(面内遅相軸方向)と直交する方向yにおける屈折率であり、
nzは、フィルムの厚み方向における屈折率であり、
dは、フィルムの膜厚(nm)である)
偏光板保護フィルムのRo及びRtの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)偏光板保護フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。
2)調湿後の偏光板保護フィルムの、測定波長550nmにおけるリターデーションRo及びRtを、それぞれ自動複屈折率計 Axometorics社製Axoscanを用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的な測定手順や測定条件は、後述する実施例と同様である。
偏光板保護フィルムの位相差Ro及びRtは、主として熱可塑性樹脂の種類、糖のアルキレンオキサイド付加物の種類及び含有量、並びに延伸倍率によって調整することができる。偏光板保護フィルムの位相差Ro及びRtを低くするためには、例えば熱可塑性樹脂としてセルロースアシレートとアクリル系樹脂の混合物を選択したり;糖のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数を少なくしたり、アルキレンオキサイドの種類を炭素数の少ないアルキレンオキサイドとしたり、アルキレンオキサイドの水酸基末端を未封止としたり;延伸倍率を低くしたりすることが好ましい。
(ヘイズ)
本発明の偏光板保護フィルムのヘイズは、0.01〜2.0であることが好ましい。偏光板保護フィルムのヘイズが2.0以下であると、液晶表示装置の表示画像のコントラストを高め得る。本発明の偏光板保護フィルムのヘイズは、0.01〜1.0であることがより好ましい。偏光板保護フィルムのヘイズは、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)により測定することができる。
偏光板保護フィルムのヘイズは、主として糖のアルキレンオキサイド付加物の種類や含有量によって調整することができる。偏光板保護フィルムのヘイズを低くするためには、例えば糖のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドの付加モル数を多くしたり、アルキレンオキサイドの種類を炭素数の多いアルキレンオキサイドとしたりすることが好ましい。
(厚み)
偏光板保護フィルムの厚みは、例えば5〜100μmとし得る。RoとRtを上記範囲に調整しやすくする観点から、5〜60μmであることがより好ましく、10〜30μmであることが特に好ましい。
2.偏光板保護フィルムの製造方法
本発明の偏光板保護フィルムは、任意の方法で製造することができ、例えば1)少なくとも前述の熱可塑性樹脂と、糖のアルキレンオキサイド付加物と、溶媒とを含むドープを得る工程と、2)得られたドープを金属支持体上に流延し、乾燥及び剥離して、膜状物を得る工程と、3)得られた膜状物を延伸する工程とを含む。
1)の工程について
(溶媒)
ドープに用いられる溶媒は、前述の熱可塑性樹脂やその他の成分を溶解させ得る有機溶媒(良溶媒)を含むことが好ましい。そのような良溶媒の例には、塩化メチレン(メチレンクロライド)等の塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等の非塩素系有機溶媒が含まれる。中でも、塩化メチレン(メチレンクロライド)、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく用いることができる。
ドープに用いられる溶媒は、貧溶媒をさらに含んでいてもよい。貧溶媒の例には、炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。ドープ中のアルコールの比率が高くなると、膜状物がゲル化しやすく、金属支持体からの剥離が容易になりやすい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
良溶媒と貧溶媒とを併用する場合、良溶媒の含有比率を60〜99質量%、貧溶媒の含有比率を1〜40質量%とし得る。
ドープの樹脂濃度は、金属支持体上に流延した後の乾燥負荷を低減する観点では高いほうが好ましいが、濾過時の負荷が増えて濾過精度が悪くなる。これらを両立するドープの樹脂濃度は、15〜45質量%であることが好ましい。
樹脂の溶解は、一般的な方法で行うことができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶媒の常圧での沸点以上で且つ加圧下で溶媒が沸騰しない温度で加熱しながら攪拌溶解すると、塊状未溶解物の発生を抑制できるので、好ましい。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を発現させる方法によって行うことができる。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
加熱温度は、樹脂の溶解性の観点からは高いほうが好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。加熱温度は、例えば45〜120℃であることが好ましい。
異物故障を抑制する観点等から、得られたドープを濾材で濾過することが好ましい。濾過したドープを脱泡した後、送液ポンプで流延ダイに供給する。
2)の工程について
得られたドープを、金属支持体上に流延する。ドープの流延は、流延ダイから吐出させて行うことができる。
金属支持体は、ステンレスベルト又は回転する金属ドラム等であり得る。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
次いで、金属支持体上に流延されたドープ中の溶媒を蒸発させ、乾燥させる。金属支持体上のドープ中の溶媒の蒸発は、ドープの表面に風を当てる方法、金属支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。金属支持体上のドープの乾燥は、40〜100℃の雰囲気下で行うことが好ましい。
そして、乾燥されたドープを金属支持体から剥離して、膜状物を得る。金属支持体から剥離する際のドープの残留溶媒量(剥離時の残留溶媒量S)は、得られる偏光板保護フィルムの位相差RoやRtを低減しやすくする点では、50〜120質量%であることが好ましい。剥離時の残留溶媒量Sが50質量%以上であると、乾燥又は延伸時に熱可塑性樹脂が流動しやすく無配向にしやすいため、得られる偏光板保護フィルムのRoやRtを低減しやすい。剥離時の残留溶媒量Sが120質量%以下であると、ドープを剥離する際に要する力が過剰に大きくなりにくいので、ドープの破断を抑制しやすい。
ドープの残留溶媒量は、下記式で定義される。以下においても同様である。
ドープの残留溶媒量(質量%)=(ドープの加熱処理前質量-ドープの加熱処理後質量)/ドープの加熱処理後質量×100
尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、120℃60分の加熱処理をいう。
剥離して得られた膜状物は、必要に応じてさらに乾燥させてもよい。
3)の工程について
得られた膜状物を、乾燥させながら延伸する。延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。
延伸は、一段階で行ってもよいし、多段階に分割して行ってもよい。また、二軸延伸を行う場合、同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に延伸を行う逐次二軸延伸を行ってもよい。
延伸倍率は、広幅化と薄型化を実現する点から、一定以上の延伸倍率であることが好ましく、例えば全方向の延伸倍率の合計が、10〜200%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましい。延伸倍率は、{(延伸後の膜状物の延伸方向大きさ)/(延伸前の膜状物の延伸方向大きさ)}×100として定義される。全方向の延伸倍率の合計とは、各方向の延伸倍率の総和(合計)をいう。
延伸温度は、フィルムのガラス転移温度をTgとしたとき、例えば(Tg+15)〜(Tg+50)℃、好ましくは(Tg+20)〜(Tg+40)℃とし得る。延伸温度が(Tg+15)℃以上であると、乾燥又は延伸時に膜状物に加わる張力が過剰には大きくなりにくいので、得られる偏光板保護フィルムのRoやRtが過剰には増大しにくい。延伸温度が(Tg+50)℃以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制しやすい。延伸温度は、具体的には140〜220℃とし得る。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、5〜20質量%であることが好ましい。延伸開始時の残留溶媒量Sが5質量%以上であると、残留溶媒による可塑化効果で、延伸時の膜状物の実質的なTgが低くなるため、偏光板保護フィルムのRoやRtが増大しにくい。延伸開始時の残留溶媒量Sが20質量%以下であると、膜状物中の溶媒の気化による気泡の発生を高度に抑制できる。延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量Sは、8〜15質量%であることがより好ましい。
糖のアルキレンオキサイド付加物を含む膜状物は、従来の糖エステル化合物を含む膜状物よりも、延伸によって位相差を発現しにくい。従って、本発明では、延伸時の残留溶媒量Sが低い場合であっても、延伸によって位相差を発現しにくいので、延伸時の残留溶媒量Sの許容範囲を広げることができる。
膜状物のMD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法(ロール法)で行うことができる。膜状物のTD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法(テンター法)で行うことができる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、それを挟持する一対の偏光子保護フィルムとを含む。一対の偏光板保護フィルムの少なくとも一方を、本発明の偏光板保護フィルムとし得る。本発明の偏光板保護フィルムが偏光子の一方の面にのみ配置される場合、偏光子の他方の面には、他の偏光板保護フィルムが配置され得る。
3−1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜25μmであることがより好ましい。
3−2.本発明の偏光板保護フィルム
本発明の偏光板保護フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置され得る。本発明の偏光板保護フィルムが、例えばIPS用の位相差フィルムとして用いられる場合、本発明の偏光板保護フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とは略直交となることが好ましい。
3−3.他の偏光板保護フィルム
偏光子の他方の面には、必要に応じて他の偏光板保護フィルムが配置されてもよい。他の偏光板保護フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UA、KC2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製))、ポリエステルフィルム(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等)、シクロオレフィン系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム等が含まれる。
他の偏光板保護フィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
3−4.偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の偏光板保護フィルムとを、接着剤又は粘着剤を介して貼り合わせて得ることができる。
接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を主成分として含む水系接着剤や、エポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を主成分として含む活性エネルギー線硬化型接着剤でありうる。粘着剤は、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテル等をベースポリマーとして含むものでありうる。中でも、本発明の偏光板保護フィルムとの親和性が良いことから、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、光ラジカル重合性化合物を主成分とする光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合性化合物を主成分とする光カチオン重合型組成物、又は光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物とを併用したハイブリッド型組成物であり得る。
光ラジカル重合型組成物は、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物でありうる。ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることがより好ましい。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物及び(メタ)アクリレート系化合物等が含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
光カチオン重合型組成物は、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する組成物でありうる。
活性エネルギー線硬化性接着剤を用いた偏光板の製造方法は、例えば1)偏光子と偏光板保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、活性エネルギー線硬化性接着剤を塗布する工程、2)得られた接着剤層を介して偏光子と偏光板保護フィルムとを貼り合せる工程、3)接着剤層を介して偏光子と偏光板保護フィルムとが貼り合わされた状態で、活性エネルギー線を照射して、接着剤層を硬化させて偏光板を得る工程、及び4)得られた偏光板を所定の形状に打ち抜く(切断する)工程とを含む。1)の工程の前に、必要に応じて4)偏光板保護フィルムの偏光子を接着する面を、易接着処理(コロナ処理やプラズマ処理等)する工程を実施してもよい。
1)の工程では、活性エネルギー線硬化性接着剤の塗布は、硬化後の接着剤層の厚みが、例えば0.01〜10μm、好ましくは0.5〜5μmとなるように行うことが好ましい。
3)の工程では、照射する活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、X線及び電子線等を用いることができる。取扱いが容易で硬化速度も十分であることから、一般的には、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の照射条件は、接着剤を硬化しうる条件であればよい。例えば、紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmであることが好ましく、100〜500mJ/cmであることがさらに好ましい。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図1は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル20と、それを挟持する第一の偏光板30及び第二の偏光板40と、バックライト50とを含む。
液晶セル20の表示モードは、特に制限されず、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vistical Alignment)、及びIPS(In Plane Switching)等のいずれであってよい。モバイル機器向けの液晶セルは、例えばIPSモードのものが好ましく、中・大型用途の液晶セルは、例えばVAモードのものが好ましい。
第一の偏光板30は、液晶セル20の視認側の面に配置されており、第一の偏光子31と、第一の偏光子31の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム33(F1)と、第一の偏光子31の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム35(F2)とを含む。
第二の偏光板40は、液晶セル20のバックライト側の面に配置されており、第二の偏光子41と、第二の偏光子41の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム43(F3)と、第二の偏光子41の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム45(F4)とを含む。第二の偏光子41の吸収軸は、第一の偏光子31の吸収軸と直交していることが好ましい。
そして、偏光板保護フィルム35(F2)及び43(F3)の少なくとも一方が、本発明の偏光板保護フィルムであることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、糖のアルキレンオキサイド付加物を含むので、紫外線吸収剤をさらに含んでいても、高温高湿下で保存後のヘイズの上昇を抑制できる。従って、偏光板保護フィルム33(F1)や45(F4)が、例えば紫外線吸収剤を含有しない場合であっても、偏光板保護フィルム35(F2)及び43(F3)の少なくとも一方を、紫外線吸収剤を含む本発明の偏光板保護フィルムとすることで、第一の偏光子31又は第二の偏光子41の光劣化を好ましく抑制することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.偏光板保護フィルムの材料
<熱可塑性樹脂>
(セルロースアシレート)
セルロースアシレートA:アセチル基置換度2.80である数平均分子量Mn70000のセルローストリアセテート(表中TACと記載)
セルロースアシレートB:アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、総アシル基置換度2.68、数平均分子量Mn75000のセルロースアセテートプロピオネート(表中CAP480-20と記載)
(シクロオレフィン樹脂)
アートンG7810(JSR社製、式(A−1)で表される単量体由来の構造単位を含む重合体、重量平均分子量Mw140000)
(アクリル樹脂)
デルペット80N(旭化成ケミカルズ社製、ポリメチルメタクリレート、重量平均分子量Mw100000)
<糖誘導体>
(糖のアルキレンオキサイド付加物)
下記表1の化合物B1〜B17を用いた。例えば、スクロールのプロピレンオキサイド付加物B1〜B5は、スクロース(ショ糖)に、水酸化カリウムの存在下で、所定のモル数のプロピレンオキサイドを添加及び付加して合成した。
化合物B6〜B17についても、原料となる糖の種類や付加させるアルキレンオキサイドの種類を変更して、同様に合成した。尚、アルキレンオキサイドの水酸基末端の封止は、得られたアルキレンオキサイド付加物に、所定の脂肪酸を反応させることにより行った。
尚、化合物B1〜B17は、いずれも糖の水酸基のアルキレンオキサイド付加率(アルキレンオキサイド置換度)は、ほぼ100%であった。
Figure 0006720706
(糖エステル化合物)
下記表2の化合物R1及びR2を用いた。
Figure 0006720706
<紫外線吸収剤>
TINUVIN928(BASFジャパン社製、ベンゾトリアゾール系、下記式参照)
Figure 0006720706
TINUVIN477(BASFジャパン社製、トリアジン系、下記式参照)
Figure 0006720706
<可塑剤>
(ポリエステル系可塑剤)
1,2−プロピレングリコール327g、フタル酸268g、アジピン酸157g、安息香酸459g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四ツ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温した。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、ポリエステル系可塑剤を得た。ポリエステル系可塑剤の数平均分子量は、450であった。
<マット剤>
アエロジルR812(日本アエロジル社製、疎水性フュームドシリカ、ヘキサメチルジシラザンにより表面修飾処理、一次平均粒子径約7nm)
2.偏光板保護フィルムの作製と評価
<実施例1>
(ドープの調製)
下記組成のドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアシレートAを撹拌しながら投入し、これを加熱し、撹拌しながら完全に溶解させた。
次いで、これに化合物B1、ポリエステル系可塑剤、TINUVIN928及びR812をさらに投入し、撹拌しながら溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを得た。
セルロースアシレートA:85.5質量部
化合物B1(糖のアルキレンオキサイド付加物):10質量部
ポリエステル系可塑剤:1.5質量部
TINUVIN928(紫外線吸収剤):3質量部
R812の12%エタノール分散液(マット剤、日本アエロジル製):2.5質量部
メチレンクロライド:430質量部
エタノール:28質量部
(製膜)
上記調製したドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が20質量%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離して、膜状物を得た。
次いで、剥離して得られた膜状物を35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンター延伸機を用いて、160℃の温度で幅手方向(TD方向)に元幅に対して1.20倍延伸(20%延伸)した。テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、5質量%であった。
その後、得られた膜状物を、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥させた後、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2.5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻取り、偏光板保護フィルムを得た。得られた偏光板保護フィルムの膜厚は30μm、巻きの長さは3000mであった。
<実施例2>
膜厚を、表3に示されるように、ドープの流延量を調整した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例3>
延伸倍率を、表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例4〜7>
糖のアルキレンオキサイド付加物における、アルキレンオキサイド付加モル数を表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例8〜15>
糖のアルキレンオキサイド付加物における、アルキレンオキサイドの種類又は末端封止の有無・種類を、表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例16〜19>
糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量を、表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例20>
ポリエステル系可塑剤を含有させなかった以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例21>
紫外線吸収剤を含有させなかった以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例22及び24>
糖のアルキレンオキサイド付加物における、糖の種類を表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例23及び25>
糖のアルキレンオキサイド付加物における、糖の種類を表3に示されるように変更した以外は実施例8と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例26>
紫外線吸収剤の種類と含有量を、表3に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例1>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例2>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例2と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例3>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例3と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例4>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例21と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例5>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例26と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例6>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R2に変更した以外は実施例1と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例7>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R2に変更した以外は実施例2と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例8>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R2に変更した以外は実施例3と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例27>
(ドープの調製)
下記組成のドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにアートンG7810を撹拌しながら投入し、これを加熱し、撹拌しながら完全に溶解した。
次いで、これに化合物B1、TINUVIN928及びR812をさらに投入し、撹拌しながら溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを得た。
アートンG7810(シクロオレフィン樹脂):87質量部
化合物B1(糖のアルキレンオキサイド付加物):10質量部
TINUVIN928(紫外線吸収剤):3質量部
R812の12%エタノール分散液(日本アエロジル(株)製、マット剤):2.5質量部
メチレンクロライド:300質量部
エタノール:20質量部
(製膜)
上記調製したドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が25%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離し、膜状物を得た。
次いで、剥離して得られた膜状物を35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンター延伸機を用いて、150℃の温度で幅手方向(TD方向)に元幅に対して1.20倍延伸(20%延伸)した。テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、5%であった。
その後、得られた膜状物を、100℃、110℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥させた後、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2.5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻取り、偏光板保護フィルムを得た。
得られた偏光板保護フィルムの膜厚は30μm、巻きの長さは3000mであった。
<実施例28>
糖のアルキレンオキサイド付加物の種類を、表4に示されるように変更した以外は実施例27と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<実施例29>
下記組成のドープを調製した。まず、加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクに、デルペット80N(アクリル樹脂)とセルロースアシレートBを撹拌しながら投入し、これを加熱し、撹拌しながら完全に溶解させた。
次いで、化合物B1、TINUVIN928及びメタブレンW−341をさらに投入し、撹拌しながら溶解して、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを得た。
デルペット80N(アクリル樹脂):60.9質量部
セルロースアシレートB:26.1質量部
化合物B1:10質量部
TINUVIN928(紫外線吸収剤):3質量部
メタブレンW−341(三菱レイヨン社製、アクリル微粒子添加剤)の20%メチレンクロライド分散液:25質量部
メチレンクロライド:430質量部
エタノール:30質量部
(製膜)
上記調製したドープを、ベルト流延装置を用い、温度22℃、1.8m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が25%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離して、膜状物を得た。
次いで、得られた膜状物を35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンター延伸機を用いて、140℃の温度で幅手方向(TD方向)に元幅に対して1.20倍延伸(20%延伸)した。テンターによる延伸を開始したときの残留溶媒量は、5%であった。
その後、得られた膜状物を100℃、120℃の乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥させた後、1.3m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2.5μmのナーリング加工を施した後、コアに巻取り、偏光板保護フィルムを得た。
得られた偏光板保護フィルムの膜厚は30μm、巻きの長さは3000mであった。
<実施例30>
糖のアルキレンオキサイド付加物の種類を、表4に示されるように変更した以外は実施例29と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
<比較例9>
糖のアルキレンオキサイド付加物B1を糖エステル化合物R1に変更した以外は実施例27と同様にして偏光板保護フィルムを得た。
実施例1〜26及び比較例1〜8の評価結果を、表3に示し;実施例27〜30及び比較例9の評価結果を、表4に示す。
Figure 0006720706
Figure 0006720706
得られた偏光板保護フィルムの位相差(Ro、Rt)、湿熱耐久性、及び横段ムラを、以下の方法で評価した。
(位相差)
偏光板保護フィルムを、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で24時間調湿した。その後、得られた偏光板保護フィルムの波長550nmにおける3次元の屈折率(nx、ny及びnz)を、Axometrics社製Axoscanを用いて測定した。得られた屈折率nx及びny、nzを、下記式に当てはめて、面内方向の位相差Ro、及び厚み方向の位相差Rtを算出した。
Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(湿熱耐久性)
湿熱耐久性は、高温高湿下で保存前後のヘイズの変化量によって評価した。
1)偏光板保護フィルムのヘイズ1を、JIS K−7136に準拠して、23℃・55%RHの環境下で、日本電色工業株式会社製ヘーズメーターNDH−2000にて測定した。
2)次いで、偏光板保護フィルムを80℃、90%RHの高温高湿雰囲気下で500時間保存した。その後、偏光板保護フィルムのヘイズ2を、前記1)と同様にして測定した。
3)前記1)で得られたヘイズ1と、前記2)で得られたヘイズ2を、下記式に当てはめて、ヘイズの変化量を求めた。
ヘイズの変化量=ヘイズ2(保存後のヘイズ)−ヘイズ1(保存前のヘイズ)
ヘイズの変化量が少ないほど、湿熱耐久性が高いことを意味する。
(横段ムラ)
横段ムラは、液晶表示装置における画像ムラとして確認することができる。そこでまず、以下の方法で偏光板及び液晶表示装置を作製した。
<偏光子の作製>
厚み120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素が0.075g、ヨウ化カリウムが5g、水が100gからなる水溶液に60秒間浸漬した。次いで、ヨウ化カリウムが6g、ホウ酸が7.5g、水が100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して、厚み25μmの偏光子を得た。
<接着剤の調製>
下記の各成分を混合した後、脱泡して、紫外線硬化型接着剤を調製した。尚、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50質量%プロピレンカーボネート溶液として使用し、下記の構成では、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートを固形分量として表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート:45質量部
エポリードGT−301(ダイセル化学社製の脂環式エポキシ樹脂):40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル:15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート:2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン:0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン:2.0質量部
<偏光板の作製>
上記作製した偏光板保護フィルムの表面に、コロナ放電処理を施した。なお、コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分とした。次いで、偏光板保護フィルムのコロナ放電処理面に、上記調製した紫外線硬化型接着剤を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。得られた紫外線硬化型接着剤層に、上記作製した偏光子を貼り合わせた。貼り合わせは、偏光板保護フィルムの遅相軸と、偏光子の吸収軸とが90°となるように行った。
また、コニカミノルタタックKC2UA(厚み25μm、コニカミノルタ社製)に、前述と同様の条件でコロナ放電処理を施した。次いで、上記KC2UAのコロナ放電処理面に、上記調製した紫外線硬化型接着剤液を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。
そして、上記KC2UAの紫外線硬化型接着剤層と、上記作製した偏光板フィルムが片面に貼り合わされた偏光子とを貼り合わせて、上記作製した偏光板保護フィルム/紫外線硬化型接着剤層/偏光子/紫外線硬化型接着剤層/上記KC2UAの積層構造を有する積層物を得た。
得られた積層物の両面側から、ベルトコンベヤー付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、それぞれの紫外線硬化型接着剤層を硬化させて、偏光板を得た。
<液晶表示装置の作製>
液晶表示装置として、LGエレクトロニクス製IPSモード液晶テレビ47LM6600を準備した。この液晶表示装置の、予め貼合されていたバックライト側の偏光板(第二の偏光板)を剥がし取り、上記作製した偏光板保護フィルムが液晶セルのバックライト側のガラス面と接するように、上記作製した偏光板を貼り付けた。貼り付けは、偏光板の吸収軸と、予め貼合されていた偏光板の吸収軸とが同一方向となるように行った。
そして、得られた液晶表示装置における画像ムラ(横段ムラ)を、以下の方法で評価した。
<評価>
得られた液晶表示装置に黒の画像表示をさせて、目視観察を行った。偏光板保護フィルムに横段ムラがあると、その部分のみ位相差が変化するため、黒の画像部に、画面に垂直又は水平方向に直線のスジ状の光漏れが発生し、これが画像ムラとして現れる。
◎:横段ムラ(画像ムラ)が全くない
○:見る角度を変えた場合に、僅かに横段ムラが認められる
△:横段ムラが認められる
×:正面から見ても、顕著な横段ムラが認められる
実施例1〜26及び比較例1〜8の評価結果を、表5に示し;実施例27〜30及び比較例9の評価結果を、表6に示す。
Figure 0006720706
Figure 0006720706
表5及び6に示されるように、糖のアルキレンオキサイド付加物を含む実施例1〜30の偏光板保護フィルムは、糖エステル化合物を含む比較例1〜9の偏光板保護フィルムよりも、比較的高い延伸倍率で延伸されたものであるにも係わらず、Roが8nm以下、Rtが10nm以下と十分に低く、且つ湿熱耐久性も高いことがわかる。また、実施例1〜30の偏光板保護フィルムを用いて得られた表示装置は、比較例1〜9の偏光板保護フィルムを用いて得られた表示装置よりも、画像ムラが少なく、横段ムラが低減されたこともわかる。
特に、糖エステル化合物を用いた場合、紫外線吸収剤をさらに含むことで、湿熱耐久性が低下する傾向があるが(比較例1と4の対比);糖のアルキレンオキサイド付加物を用いることで、紫外線吸収剤をさらに含んでいても、湿熱耐久性の低下が少ないことがわかる(実施例21と1の対比)。
また、糖エステル化合物を用いた場合、厚みが小さいと、横段ムラが生じやすいのに対し(比較例1と2の対比);糖のアルキレンオキサイド付加物を用いることで、厚みが薄くても、横段ムラが少ないことがわかる(実施例1と2の対比)。
また、糖のプロピレンオキサイド付加物における糖がスクロースであると、グルコースやソルビトールであるよりも、位相差が低く、且つ湿熱耐久性がより高いことがわかる(実施例1、22及び24の対比)。
また、糖のプロピレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドがプロピレンオキサイドであると、エチレンオキサイドであるよりも、湿熱耐久性がより高くなることがわかる(実施例1と10の対比)。
また、糖のアルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイド付加モル数が20モル以下であると、偏光板保護フィルムの湿熱耐久性を損なわない範囲で、位相差(RoやRt)がより低く、横段ムラがより少なくなることがわかる。一方、アルキレンオキサイド付加モル数が10モル以上であると、偏光板保護フィルムの位相差や横段ムラを生じない範囲で、湿熱耐久性がより高くなることがわかる(実施例1及び4〜7の対比)。
また、熱可塑性樹脂がセルロースアシレートであると、シクロオレフィン系樹脂であるよりも、位相差が低くできることがわかる(実施例20と27の対比)。さらに、熱可塑性樹脂がセルロースアシレートであると、アクリル系樹脂/セルロースアセテートプロピオネートの混合物であるよりも、横段ムラが少ないことがわかる(実施例20と29の対比)。
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含むフィルムは、トリアジン系紫外線吸収剤を含むフィルムよりも紫外線吸収剤の含有量が多いにも係わらず、位相差の上昇が少なく、湿熱耐久性も良好であることがわかる(実施例26と実施例1との対比)。
本発明によれば、薄くても、横段ムラが十分に抑制され、且つ位相差が十分に低減された偏光板保護フィルムを提供することができる。
10 液晶表示装置
20 液晶セル
30 第1の偏光板
31 第1の偏光子
33 保護フィルム(F1)
35 保護フィルム(F2)
40 第2の偏光板
41 第2の偏光子
43 保護フィルム(F3)
45 保護フィルム(F4)
50 バックライト

Claims (14)

  1. 熱可塑性樹脂と、糖のアルキレンオキサイド付加物とを含む、
    偏光板保護フィルム。
  2. 紫外線吸収剤をさらに含む、
    請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. 前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である、
    請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 前記紫外線吸収剤の含有量は、前記熱可塑性樹脂の全質量に対して1.5〜5質量%である、
    請求項2又は3に記載の偏光板保護フィルム。
  5. 前記糖のアルキレンオキサイド付加物は、スクロースのアルキレンオキサイド付加物を含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  6. 前記糖のアルキレンオキサイド付加物を構成するアルキレンオキサイドは、プロピレンオキサイドを含む、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  7. 前記糖のアルキレンオキサイド付加物は、糖1モルに対して5〜20モルのアルキレンオキサイドが付加したものである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  8. 前記糖のアルキレンオキサイド付加物の含有量は、前記熱可塑性樹脂の全質量に対して10〜20質量%である、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  9. 前記熱可塑性樹脂は、セルロースアシレートである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  10. 前記セルロースアシレートは、アセチル基置換度が2.6〜3.0であるセルロースアセテートである、
    請求項9に記載の偏光板保護フィルム。
  11. 波長590nmで測定される、下記式(I)で表される面内方向の位相差Roが0〜8nmであり、下記式(II)で表される厚み方向の位相差Rtが−10〜10nmである、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
    式(I):Ro=(nx−ny)×d
    式(II):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
    (式(I)及び(II)において、
    nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大となる方向xにおける屈折率であり、
    nyは、フィルムの面内方向において前記方向xと直交する方向yにおける屈折率であり、
    nzは、フィルムの厚み方向における屈折率であり、
    dは、フィルムの膜厚(nm)である)
  12. 膜厚が10〜30μmである、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  13. 偏光子と、請求項1〜12のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムとを含む、
    偏光板。
  14. 第一の偏光板と、液晶セルと、第二の偏光板と、バックライトとをこの順に含み、
    前記第一の偏光板は、第一の偏光子と、前記第一の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルムF1と、前記第一の偏光子と前記液晶セルとの間に配置された偏光板保護フィルムF2とを有し、
    前記第二の偏光板は、第二の偏光子と、前記第二の偏光子と前記液晶セルとの間に配置された偏光板保護フィルムF3と、前記第二の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルムF4と、を有し、
    前記偏光板保護フィルムF2及び前記偏光板保護フィルムF3の少なくとも一方が、請求項1〜12のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムである、
    液晶表示装置。
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