JP2013235150A - 液晶表示装置 - Google Patents

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健太郎 矢野
Ayako Inagaki
絢子 稲垣
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Abstract

【課題】良好な視野角特性を有し、かつ高い透過率や開口率を有していても、コントラストの低下などが目立たない液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶セルと、第一および第二の偏光板とを有し、液晶セルは、薄膜トランジスタ、カラーフィルタ、画素電極および共通電極を有するアレイ基板と、対向基板と、それらの間に正の誘電率異方性の液晶分子を含む垂直配向型の液晶層とを含み、アレイ基板の面は第一のスリットを有する領域Aを含み、対向基板の面は領域Aに対向する面である領域aを有し、領域a近傍の液晶分子は電圧無印加時は対向基板面の法線に対して第一のスリットの長軸方向にプレチルトし、第二の偏光板は対向基板側に配置され、第二の偏光子と対向基板との間に保護フィルムF3を有し、該フィルムは、微粒子を含む層と、それよりも高い位相差を有しかつ微粒子を含まない層とを含み、Rが50〜100nm、Rthが250〜450nmである。
【選択図】図3A

Description

本発明は、液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)に比べて薄くて軽量であり、低電圧で駆動できるため消費電力が小さいという利点がある。そのため、液晶表示装置は、テレビ、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)、デスクトップ型PC、PDA(携帯端末)および携帯電話等の種々の電子機器に使用されている。
なかでも、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置は、従来のTN(Twisted Nematic)型の液晶表示装置よりも視野角特性に優れることから、広く用いられている。
VA型の液晶表示装置では、省電力化、低コスト化を実現するために、開口率や透過率を高めることが検討されている。例えば、開口率を高めるために、遮光部分(ブラックマトリクス)が極小化された液晶表示装置や、カラーフィルタオンアレイ(Color Filter on Array)構造を有する液晶表示装置などが提案されている(例えば特許文献1および2)。これらの液晶表示装置の透過率は、一般的なVA型の液晶表示装置の透過率よりも約10%程度高いことが見込まれている。
さらに、透過率を高めるために、電圧印加時に一方の基板と他方の基板との間で液晶分子をツイスト配向させるVA型の液晶表示装置などが提案されている(例えば特許文献3)。即ち、電圧印加時に、一対の基板間で液晶分子をツイスト配向させて、バックライト側の偏光板を通過した光の偏光軸を十分に変化させる(旋光させる)ことで、視認側の偏光板を透過する光の量を多くしている。このように、旋光を利用した液晶表示装置の透過率は、一般的なVA型の液晶表示装置の透過率よりも約30〜50%高いことが見込まれている。
特開2011−95694号公報 特開2008−146004号公報 特許第4744518号公報
本発明者らは、開口率と透過率の両方を高めるために、COA構造を有し、かつ電圧印加時に一方の基板と他方の基板との間で液晶分子をツイスト配向させる新たなVA型の液晶表示装置を見出した。しかしながら、新たな液晶表示装置では、透過光量が多いため、従来の液晶表示装置では目立たないコントラストの低下や表示ムラが目立ちやすいという問題があった。
一方、特許文献1では、COA構造を有する液晶表示装置において、熱や湿度による表示ムラを抑制するために、バックライト側の位相差フィルム(F2)の位相差や光弾性係数を、視認側の位相差フィルム(F3)よりも低くすることが提案されている。しかしながら、旋光を利用した液晶表示装置においては、表示ムラを十分には抑制できなかった。
本発明者らは、新たな液晶表示装置のコントラストの低下や表示ムラは、位相差フィルムの配向乱れに起因することを見出した。即ち、位相差フィルムは、フィルム表面に滑り性を付与するために、通常、微粒子を含有している。しかしながら、微粒子を含有する位相差フィルムは、微粒子の周辺部で樹脂の配向乱れが生じやすい。この位相差フィルムの配向乱れが、コントラストの低下や表示ムラを生じさせると考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い開口率や透過率を有していても、コントラストの低下や表示ムラなどが目立ちにくい液晶表示装置を提供することを目的とする。
[1] 液晶セルと、前記液晶セルの一方の面に配置され、第一の偏光子を有する第一の偏光板と、前記液晶セルの他方の面に配置され、第二の偏光子を有する第二の偏光板とを有し、前記液晶セルは、薄膜トランジスタと、カラーフィルタと、画素電極と、共通電極とを有するアレイ基板と、配向膜を有する対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に配置され、正の誘電率異方性の液晶分子を含む垂直配向型の液晶層とを含み、前記アレイ基板の前記液晶層側の面は、前記画素電極と前記共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域Aを含み、
前記アレイ基板に対向する前記対向基板の面は、前記領域Aに対向する面である領域aを有し、前記対向基板の前記領域a近傍の液晶分子は、電圧無印加時には、前記対向基板面の法線に対して前記第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、前記第一の偏光板の吸収軸と前記第二の偏光板の吸収軸とは直交しており、前記第一の偏光板は、前記液晶セルの前記アレイ基板側に配置され、かつ前記第二の偏光板は、前記液晶セルの前記対向基板側に配置され、前記第二の偏光子と前記対向基板との間に配置された保護フィルムF3をさらに有し、前記保護フィルムF3は、微粒子を含む一以上の層と、微粒子を含まず、かつ前記微粒子を含む層の位相差よりも大きい位相差を有する層とを含み、前記微粒子を含む一以上の層は、前記保護フィルムF3の最表面に配置されており、前記保護フィルムF3の、下記式(I)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される面内方向のリターデーションRが50〜100nmであり、下記式(II)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される厚み方向のリターデーションRthが250〜450nmである、液晶表示装置。
式(I):R=(nx−ny)×t(nm)
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×t(nm)
(式(I)および(II)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;nzは、フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;t(nm)は、フィルムの厚みを表す)
[2] 前記第一の偏光板の前記液晶セルとは反対側に配置されたバックライトをさらに有する、[1]に記載の液晶表示装置。
[3] プレチルトした前記領域a近傍の液晶分子の長軸と前記対向基板面の法線とのなす角の絶対値が0°超15°以下である、[1]または[2]に記載の液晶表示装置。
[4] 前記アレイ基板の前記液晶層側の面は、第一の画素電極と第一の共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域A1と、第二の画素電極と第二の共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域A2と、前記領域A1と前記領域A2との間に設けられ、第一の画素電極と第二の画素電極との間に形成される第二のスリットを有する領域Bとを含み、前記アレイ基板に対向する前記対向基板の面は、前記領域A1に対向する面である領域a1と、前記領域A2に対向する面である領域a2と、前記領域Bに対向する面である領域bとを有し、前記対向基板において、電圧無印加時には、前記領域a1近傍の液晶分子は、前記対向基板面の法線に対して前記領域A1の第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、前記領域a2近傍の液晶分子は、前記対向基板面の法線に対して前記領域A2の第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、かつ前記領域a1近傍の液晶分子の傾きと前記領域a2近傍の液晶分子の傾きとは互いに逆である、[1]〜[3]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[5] 前記領域A1、前記領域A2および前記領域Bの面積比は、領域A1/領域A2/領域B=50〜40/50〜40/0〜20である、[4]に記載の液晶表示装置。
[6] 前記液晶セルのΔndが400超である、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[7] 前記第一の偏光板は、前記第一の偏光子と前記アレイ基板との間に配置された保護フィルムF2をさらに有し、前記保護フィルムF2の、前記式(I)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される面内方向のリターデーションRが0〜5nmであり、前記式(II)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される厚み方向のリターデーションRthが0〜10nmである、[1]〜[5]のいずれかに記載の液晶表示装置。
[8] 前記保護フィルムF3の測定波長480nm、630nmで測定される面内方向のリターデーションをそれぞれR(480)、R(630)としたとき、R(480)/R(630)が0.90以上1.05未満である、[1]〜[6]のいずれかに記載の液晶表示装置。
本発明の液晶表示装置は、良好な視野角特性を有する。また、本発明の液晶表示装置は、高い透過率や開口率を有していても、コントラストの低下などが目立ちにくい。
本発明に係る液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。 COA構造を有する垂直配向型の液晶セルの断面図である。 図2のアレイ基板上の1つの副画素領域P10を示す平面図である。 対向基板の配向膜面のうち、図3Aの副画素領域P10に対向する領域の一例を示す平面図である。 液晶表示装置の副画素領域P10における電圧無印加時の状態の一例を示す分解斜視図である。 液晶表示装置の副画素領域P10における電圧印加時の状態の一例を示す分解斜視図である。
1.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、その一方の面に配置された第一の偏光板と、他方の面に配置された第二の偏光板とを有し、バックライトをさらに有してもよい。
図1は、本発明に係る液晶表示装置の構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、液晶表示装置10は、液晶セル20と、その一方の面に配置された第一の偏光板40と、他方の面に配置された第二の偏光板60と、バックライト80とを有する。
液晶セル20について
液晶セル20は、特に制限されないが、高いコントラストを得るためには、VA方式、MVA方式、PVA方式などの垂直配向型の液晶セルであることが好ましい。また、液晶セルは、開口率を高めるためには、COA構造(カラーフィルタ・オン・アレイ構造)を有することが好ましい。COA構造を有する液晶セルの具体例には、特開平10−206888号公報に記載のものが含まれる。
COA構造を有する垂直配向型の液晶セルは、通常、薄膜トランジスタと、カラーフィルタと、画素電極と、共通電極とを有するアレイ基板と、配向膜を有する対向基板と、それらの間に配置され、液晶分子を含む液晶層とを有する。
アレイ基板上の1つの副画素領域P10では、画素電極と共通電極は、それぞれ櫛歯状の形状を有し、かつ画素電極と共通電極とが互いに噛み合うように配置されている。即ち、アレイ基板上の1つの副画素領域P10は、画素電極と共通電極との間に形成されるスリットを有する領域Aを含む。
1つの副画素領域P10に含まれる領域Aの数は、1であっても、2以上であってもよい。液晶セルの開口率を低下させずに、表示装置の視野角を広げるためには、領域Aの数は2であることが好ましい。
図2は、COA構造を有する垂直配向型の液晶セル20の断面図である。同図の領域Rの部分は、後述する図3AのX−X線で示された領域Rの断面図に対応する。図2に示されるように、液晶セル20は、アレイ基板100と、対向基板200と、アレイ基板100と対向基板200との間に配置され、液晶分子を含む液晶層300とを有する。
アレイ基板100は、絶縁基板110と、薄膜トランジスタ130と、第一および第二の画素電極(150、150’)と、第一および第二の共通電極(170、170’とを有する。同図では、第二の画素電極150’および第二の共通電極170’は図示していない。第一の画素電極150は、薄膜トランジスタ130のドレイン電極143と接続している。本実施形態では、アレイ基板100を平面視したときに、後述するように第一の画素電極150と第一の共通電極170とは、副画素領域内で櫛歯状の形状を有し、かつ第一の画素電極150と第一の共通電極170とが互いに噛み合うように配置されている。各画素電極に接続する薄膜トランジスタは、各画素の隅に配置される。
図2に示されるように、薄膜トランジスタ130は、ゲート電極131と、ゲート絶縁膜133と、島状半導体135と、第1および第2の島状オーミックコンタクト部材(137および139)と、ソース電極141と、ドレイン電極143とを有する。ソース電極141は、データ信号を伝達するデータ線(不図示)と連結されている。
薄膜トランジスタ130は、下部保護膜180pで覆われており、下部保護膜180pの上には遮光部材181またはカラーフィルタ183が配置されている。遮光部材181またはカラーフィルタ183は、上部保護膜180qでさらに覆われており、上部保護膜180qの一部上に第一の画素電極150が配置されている。第一の画素電極150は、下部保護膜180pと上部保護膜180qに設けられたコンタクトホール185を介してドレイン電極143に接続している。さらに、上部保護膜180qと第一の画素電極150は、配向膜187で覆われている。符号225は貫通孔であり、符号227は遮光部材181の開口部である。
対向基板200は、絶縁基板210と、配向膜211と、がこの順に積層されている。絶縁基板210は、前述の絶縁基板110と同様に、透明なガラスまたは樹脂で構成される。
図3Aは、図2のアレイ基板100上の1つの副画素領域P10を示す平面図である。図3Aに示されるように、アレイ基板100は、第一の画素電極150と第一の共通電極170とが対向している領域A1と、第二の画素電極150’と第二の共通電極170’とが対向している領域A2と、領域A1とA2の間に配置され、第一の画素電極150と第二の画素電極150’とが対向している領域Bとを有する。
図3Aでは、1つの副画素領域P10に含まれる領域Aの数が、2つである例を示したが、それに限定されず、1つであっても、3以上であってもよい。液晶セルの開口率を低下させずに、表示装置の視野角を広げるためには、領域Aの数は2つであることが好ましい。同様に、図3Aでは、1つの副画素領域P10に含まれる領域Bの数が、1つである例を示したが、それに限定されず、0であっても、2以上であってもよい。
領域A1は、第一の画素電極150と第一の共通電極170との間に形成される複数の第一のスリット191を有する。領域A2は、第二の画素電極150’と第二の共通電極170’との間に形成される複数の第一のスリット191’を有する。領域Bは、第一の画素電極150と第二の画素電極150’との間に形成される第二のスリット193を有する。第一のスリット191および第二のスリット193は、長軸と短軸を有する矩形状であることが好ましい。また、複数のスリット191は、その長軸が互いに平行となるように配置されていることが好ましい。
「領域A1における第一のスリット191の総面積」/「領域A2における第一のスリット191’の総面積」/「領域Bにおける第二のスリット193の総面積」の比率は、求められる表示性能にもよるが、例えば50〜40/50〜40/0〜20としうる。これらの領域の面積比率は、各スリットの大きさや数によって調整されうる。
1つの副画素領域P10における、領域A1の面積/領域A2の面積/領域Bの面積の比率は、例えば50〜40/50〜40/0〜20としうる。領域Bは、液晶分子の駆動を積極的に行う領域ではないことから、領域Aよりもできるだけ小さいことが好ましい。
図3Bは、対向基板200の配向膜211の面のうち、図3Aの副画素領域P10に対向する領域の一例を示す平面図である。図3Bに示されるように、アレイ基板100の副画素領域P10に対向する対向基板200の面は、領域A1に対向する面である領域a1と、領域A2に対向する面である領域a2と、領域Bに対向する面である領域bとを有する。
電圧印加時に、対向基板200の配向膜211面近傍の液晶分子を一定の方向にチルトさせやすくするために、電圧無印加時に、対向基板200の配向膜211近傍の液晶分子は、対向基板200の法線に対してプレチルトしていることが好ましい。プレチルトした領域a1近傍の液晶分子は、領域A1の第一のスリット191の長軸方向に傾いていることが好ましく;プレチルトした領域a2近傍の液晶分子は、領域A2の第一のスリット191の長軸方向に傾いていることが好ましい。そして、プレチルトした領域a1近傍の液晶分子の傾きとプレチルトした領域a2近傍の液晶分子の傾きは互いに逆であることが好ましい。
プレチルトした領域b近傍の液晶分子は、どの方向に傾いていてもよいが、領域Bの第二のスリット193の長軸方向に傾いていることが好ましい。第二のスリット193は、正確な矩形ではなく凹凸を有するが、長径と短径とを有しており、長径に沿った方向を長軸とする。
例えば、プレチルトした領域a1近傍の液晶分子の傾きの方向は、図3Aにおけるベクトルα1で表すことができ;プレチルトした領域a2近傍の液晶分子の傾きの方向はベクトルa2で表すことができ;プレチルトした領域b近傍の液晶分子の傾きの方向はベクトルβで表すことができる。図3Aにおけるベクトルの起点は、液晶セル20の厚み方向において、液晶分子の長軸の両端部のうち、配向膜211面に近い側の端部を示す。
各領域におけるプレチルトした液晶分子の傾きの方向は、対向基板200上の配向膜211の配向処理方向によって調整されうる。
対向基板200の配向膜211面近傍の液晶分子(領域a1、領域a2および領域b近傍の液晶分子)の長軸と対向基板200面の法線とのなす角(プレチルト角)の絶対値は、いずれも0°超15°以下であることが好ましく、0°超10°以下であることがより好ましい。プレチルト角が小さすぎると、表示装置における応答速度の向上効果が得られにくい。一方、プレチルト角が大きすぎると、黒表示時の光漏れが多くなり、コントラストが低下しやすい。
配向膜の配向処理は、ラビング法、SiOxを斜方蒸着させる方法、光配向法などによって行うことができ、配向処理の制御が行いやすいなどの観点から、好ましくは光配向法である。光配向法は、光源とフォトマスクとを固定して露光する方法(同時露光法)や、光線の照射位置を移動させながら露光する方法(スキャン露光法)などがあり、好ましくはスキャン露光法である。
スキャン露光では、配向膜の材料にもよるが、対向基板200の配向膜211面近傍の液晶分子を前述のようにプレチルトさせるためには、光線を対向基板200面の法線に対して斜め方向から入射させることが好ましい。プレチルト角を前述の範囲とするためには、配向膜の材料にもよるが、光線の基板面の法線に対する入射角を5°以上70°以下とすることが好ましい。光線は、配向膜の材料にもよるが、消光比が2:1以上の部分偏光もしくは直線偏光であることが好ましい。光線の波長帯やエネルギー量は、配向膜の材料に応じて、適宜設定されればよい。
光線が照射される配向膜は、光配向膜材料を含む溶液を絶縁基板110上にスピンコート法、バーコート法、印刷法などで塗布した後、乾燥させて得られるものであることが好ましい。光配向膜材料は、特に限定されず、感光性基を含む樹脂;例えば4−カルコン基(下記式(1))、4’−カルコン基(下記式(2))、クマリン基(下記式(3))、およびシンナモイル基(下記式(4))などの感光性基を含むポリマーであることが好ましく、クマリン基(下記式(3))を含むポリマーであることがより好ましい。ポリマーは、好ましくはポリイミドでありうる。
Figure 2013235150
液晶層300は、液晶分子301を含む。液晶分子301は、正の誘電率異方性を有することが好ましい。正の誘電率異方性を有する液晶分子の例には、正の誘電率異方性を有するネマチック液晶分子が含まれ、その具体例には、TN型、IPS型液晶表示装置に用いられる液晶材料が含まれる。なかでも、Δn=0.0815、Δε=4.5程度のネマチック液晶材料などが好ましく用いられる。
液晶層300は、後述するように、電圧印加時に液晶分子を十分にツイスト配向させるために、TN方式の液晶セルに含まれるようなカイラル材をさらに含んでもよい。
カイラル材の例には、コレステリック環を有する化合物、ビフェニル骨格を有する化合物、ターフェニル骨格を有する化合物、2つのベンゼン環がエステル結合によって連結された骨格を有するエステル化合物、シクロヘキサン環がベンゼン環に直接的に連結された骨格を有する化合物などが含まれる。そのようなカイラル材の具体例には、下記式(C1)〜(C7)で表される化合物などが含まれる。
Figure 2013235150
カイラル材の含有量は、液晶分子の含有量の0.1〜5.0質量%の範囲、より好ましくは1.0質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満であると、電圧印加時に液晶分子を速やかにツイスト配向させる効果が十分には得られにくい。一方、5.0質量%超であると、液晶分子の動的応答特性を低下させるという不具合がある。
液晶セル20のΔndは、透過率を高めるためには、400nm超であることが好ましく、電圧印加時に液晶分子を十分にツイスト配向させるためには、450nm以上であることがより好ましい。即ち、Δndが上記範囲にある液晶セル20は、電圧印加時に、第一の偏光板40を通過した光の偏光軸を、第二の偏光板60を通過できる程度まで十分に変化させうる(旋光させうる)ので、透過率を高めることができる。液晶セル20のΔndは、23℃、測定波長590nmにて測定される液晶分子の屈折率異方性Δnと、液晶セル20のギャップd(nm)との積である。液晶分子の屈折率異方性Δnは、液晶分子の常光屈折率noと異常光屈折率neの差の絶対値Δn=|ne−no|として表される。液晶セル20のギャップdは、具体的には液晶層の厚さ(nm)である。
液晶セル20のΔndは、例えば液晶分子の封入量(またはセルギャップd)や、液晶分子の屈折率異方性Δn、液晶分子の配向量によって調整することができる。例えば、液晶セル20のΔndを大きくするためには、液晶セル20のギャップdを大きくして、液晶分子の封入量を多くしたり;カイラル材などを添加して、液晶分子のツイスト量を多くしたりすればよい。
バックライト80は、液晶セル20のアレイ基板100側に配置されても、対向基板200側に配置されてもよく、好ましくはアレイ基板100側に配置される。
バックライト80は、公知の光源を導光板側面に配設したサイドライト(エッジライト)型面光源、または拡散板の下に公知の光源を配列させた直下型面光源などでありうる。公知の光源の例には、冷陰極管(CCFL)や熱陰極管(HCFL)、外部電極蛍光管(EEFL)、平面蛍光管(FFL)、発光ダイオード素子(LED)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)などが含まれる。
なかでも、液晶表示装置の消費電力を少なくできるなどの観点から、光源としてLEDを用いたバックライト(LEDバックライト)が好ましい。
図4Aは、液晶表示装置10の、一つの副画素領域P10の電圧無印加時の状態の一例を示す分解斜視図であり;図4Bは、電圧印加時の状態の一例を示す分解斜視図である。同図では、第一の偏光板40の吸収軸D1と、第二の偏光板60の吸収軸D2とは、互いに直交している。
図4Aに示されるように、電圧無印加時(画素電極150と共通電極170との間に電圧が印加されていない状態)では、液晶分子は、その長軸がアレイ基板100面または対向基板200面に対して、プレチルトしつつも、略垂直に配向している。
図4Bに示されるように、電圧印加時(画素電極150と共通電極170との間に電圧が印加されている状態)では、液晶分子は、電界の影響を受けてアレイ基板100面に対して略平行方向に配向する。具体的には、アレイ基板100面の領域A1およびA2近傍の液晶分子は、その長軸方向が第一のスリット191の短軸方向と平行に配向する。一方、対向基板200面の領域a1およびa2近傍の液晶分子は、その長軸が第一のスリット191の長軸方向と平行に配向する。即ち、アレイ基板100面近傍の液晶分子の配向方向(長軸方向)と、対向基板200面近傍の液晶分子の配向方向(長軸方向)とは互いに略直交し、ツイスト配向する。それにより、第一の偏光板40を通過した光は、その偏光軸が液晶層300によって十分に変化し、第二の偏光板60を通過することができる。つまり、第二の偏光板60を透過する光量が増えるため、液晶表示装置10の透過率を高めることができる。
さらに、一つの副画素領域P10において、アレイ基板100と対向基板200との隙間には、液晶分子の配向状態が互いに異なる3つの領域(領域A1と領域a1との間の領域;領域A2と領域a2との間の領域;および領域Bと領域bとの間の領域)を含む。そのため、歩留まりの低下を最小限にしつつ、液晶表示装置10の視野角を広げることができる。また、液晶分子の配向状態が異なる領域の数(配向分割数)が少ないので、遮光領域となる領域間の界面量を少なくしうる。それにより、液晶表示装置10の開口率を高めることができる。
図1に示されるように、第一の偏光板40は、液晶セル20のアレイ基板100側の面(好ましくはバックライト80側の面)に配置されており、第一の偏光子42と、その液晶セル20とは反対側の面(好ましくはバックライト80側の面)に配置された保護フィルム44(F1)と、液晶セル20側の面に配置された保護フィルム46(F2)とを有する。保護フィルム46(F2)の面内遅相軸と、第一の偏光子42の吸収軸とは直交していることが好ましい。
第二の偏光板60は、液晶セル20の対向基板200側の面(好ましくは視認側の面)に配置されており、第二の偏光子62と、その液晶セル20側の面に配置された保護フィルム64(F3)と、液晶セル20とは反対側の面(好ましくは視認側の面)に配置された保護フィルム66(F4)とを有する。保護フィルム64(F3)の面内遅相軸と、第二の偏光子62の吸収軸とは直交していることが好ましい。
第一の偏光板40の吸収軸D1と、第二の偏光板60の吸収軸D2とは互いに直交している。保護フィルム46(F2)は、必要に応じて省略されてもよい。
偏光子(第一の偏光子42、第二の偏光子62)は、一定方向の偏波面の光のみを通過させる素子である。偏光子の代表的な例は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムであり、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものと、がある。
偏光子は、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素または二色性染料で染色して得られるフィルムであってもよいし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素または二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール水溶液を製膜したものであってもよい。ポリビニルアルコール系フィルムは、偏光性能および耐久性能に優れ、色斑が少ないなどことから、エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましい。エチレン変性ポリビニルアルコールフィルムの例には、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載されたエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のフィルムが含まれる。
二色性色素の例には、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素およびアントラキノン系色素などが含まれる。
保護フィルム44(F1)、46(F2)、64(F3)および66(F4)は、偏光子の面に直接配置されてもよいし、他のフィルムまたは層を介して配置されてもよい。
前述した通り、本発明の液晶表示装置は、高い透過率と開口率を有する。そのため、液晶表示装置において位相差フィルムとして機能する保護フィルム64(F3)が軸配向の乱れや位相差の乱れを有していると、コントラストの低下や表示ムラが目立ちやすい。
軸配向の乱れや位相差の乱れは、微粒子を含有する保護フィルムにおいて生じやすいと考えられる。軸配向の乱れや位相差の乱れが微粒子を含有する保護フィルムにおいて生じやすい理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。即ち、微粒子を含有する保護フィルムは、通常、微粒子を含有する原反フィルムを延伸して製造される。延伸工程において、フィルム中の微粒子近傍の樹脂にかかる延伸応力は、微粒子を含まない樹脂にかかる延伸応力とは異なるため、微粒子近傍の樹脂に局所的な配向乱れが生じやすい。
軸配向の乱れや位相差の乱れによるコントラストや表示ムラへの影響は、特に高位相差を有する位相差フィルムにおいて大きいと考えられる。
例えば、従来の一般的なVA型液晶セルのΔndは250〜350nm程度であり、100〜300nmの位相差を有する位相差フィルムが用いられている。一方、本発明のVA型液晶セルのΔndは400〜500nm程度であり、250〜450nmの高位相差を有する位相差フィルムが必要となる。そのため、本発明で用いられる位相差フィルムには、特に軸配向の乱れや位相差の乱れが少ないことが求められる。
そこで、本発明の液晶表示装置において、高位相差を有する保護フィルム64(F3)を、「微粒子を含有するスキン層」と、「微粒子を含有せず、かつ前述のスキン層の位相差よりも大きい位相差を有するコア層」(微粒子を含有しないコア層)との積層物とする。
即ち、微粒子を含有しないコア層は、前述の微粒子に起因する軸配向の乱れや位相差の乱れを発現させないため、位相差を良好に調整しうる。微粒子を含有するスキン層は、フィルム表面の滑り性を付与しつつ、位相差を調整する機能はほとんど有しない。それにより、位相差フィルムの軸配向の乱れや位相差の乱れによる、表示装置のコントラストのムラなどを抑制しうる。
保護フィルム64(F3)について
保護フィルム64(F3)は、前述の通り、「微粒子を含有するスキン層」と、「微粒子を含有せず、かつ前述のスキン層の位相差よりも大きい位相差を有するコア層」とを有する。
微粒子を含有するスキン層は、保護フィルムの表面の滑り性を高めるために、保護フィルムの少なくとも一方の最表面に配置される。例えば、保護フィルム64(F3)における微粒子を含有するスキン層は、図1の液晶セル20に接して配置されても、第二の偏光子62と接して配置されてもよいが、位相差への影響を少なくするためには、第二の偏光子62と接して配置されることが好ましい。微粒子を含有するスキン層と微粒子を含有しないコア層は、それぞれ一層ずつであってもよいし、それぞれ複数層あってもよい。なかでも、図1に示されるように、保護フィルム64(F3)は、スキン層64b/コア層64a/スキン層64bの3層構造を有することが好ましい。
1)微粒子を含有しないコア層について
微粒子を含有しないコア層は、熱可塑性樹脂を含み、かつ微粒子を実質的に含まないことを特徴とする。微粒子を実質的に含有しないとは、コア層に含まれる微粒子の含有量が、好ましくはコア層の10質量%以下、より好ましくはコア層の1質量%以下、さらに好ましくはゼロであることをいう。微粒子を含有しないコア層は、前述の微粒子に起因する軸配向の乱れや位相差の乱れを有しないため、位相差層として好ましく機能しうる。
熱可塑性樹脂の例には、セルロースエステル、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、(メタ)アクリル樹脂(PMMA)などが含まれる。
機械的強度や破断強度を高める観点からは、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)などの熱可塑性樹脂を用いることもできる。
耐熱性や耐久性を高める観点からは、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などの熱可塑性樹脂を用いることもできる。
位相差発現性、透明性等の観点から、環状ポリオレフィン(COP)、セルロースエステルが好ましく用いられ、特にセルロースエステルが好ましく用いられる。
コア層に含まれるセルロースエステル
セルロースエステルは、セルロースの水酸基を、脂肪族カルボン酸または芳香族カルボン酸でエステル化して得られる化合物である。
セルロースエステルに含まれるアシル基は、脂肪族アシル基または芳香族アシル基であり、好ましくは脂肪族アシル基である。脂肪族アシル基の例には、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、シンナモイル基が含まれる。芳香族アシル基の例には、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基などが含まれる。なかでも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基などの炭素原子数2〜4の脂肪族アシル基が好ましい。
微粒子を含有しないコア層に含まれるセルロースエステルのアシル基の総置換度は、1.5〜3.0とすることができ、延伸によって位相差を発現させやすくするためには、2.0〜2.7であることが好ましく、2.25〜2.50であることがより好ましい。
セルロースエステルのアシル基のうちアセチル基の置換度は1.5〜3.0であることが好ましく、2.0〜2.7であることがより好ましく、2.25〜2.50であることがさらに好ましい。セルロースエステルのアシル基の全てがアセチル基であることが特に好ましい。
アシル基置換度とは、セルロースエステルを構成するセルロースの繰り返し単位であるグルコースの2位、3位および6位のヒドロキシル基(水酸基)がエステル化されている割合の合計をいう。例えば、セルロースを構成する全てのグルコースの2位、3位および6位のヒドロキシル基が、それぞれ100%エステル化された場合、アシル基置換度は最大の3となる。セルロースエステルのアシル基置換度は、セルロースをエステル化させる際の反応条件(時間、温度、試料濃度等)によって調整できる。
アシル基置換度の測定方法は、ASTM−D817−96に準じて測定することができる。
セルロースエステルの例には、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、およびセルロースフタレートなどが含まれる。なかでも、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが好ましく、セルロースジアセテートがより好ましい。セルロースアセテートに含まれるアシル基の全てがアセチル基であることが好ましい。延伸によって位相差を発現しやすいからである。セルロースエステルは、一種類であってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。
セルロースエステルの数平均分子量は、機械的強度が高いフィルムを得るためには、3.0×10〜2.0×10の範囲であることが好ましく、4.0×10〜1.6×10の範囲であることがより好ましい。セルロースエステルの重量平均分子量は、1.1×10以上3.5×10未満であることが好ましく、1.2×10以上3.0×10未満であることがより好ましい。
セルロースエステルの分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1.5〜5.5であることが好ましく、2.0〜5.0であることがより好ましく、2.5〜5.0であることがさらに好ましく、3.0〜5.0であることが特に好ましい。
セルロースエステルの分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製)を3本接続して使用する。
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standardポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1.0×10〜5.0×10までの13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に選択することが好ましい。
セルロースエステルを、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌して得られる溶液のpHが6〜7であり、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
セルロースエステルは、公知の方法で合成することができる。具体的には、セルロースと、少なくとも酢酸またはその無水物を含む炭素数3以上の有機酸またはその無水物と、を触媒(硫酸など)の存在下でエステル化反応させてセルロースのトリエステル体を合成する。次いで、セルロースのトリエステル体を加水分解して、所望のアシル置換度を有するセルロースエステルを合成する。得られたセルロースエステルをろ過、沈殿、水洗、脱水および乾燥させて、セルロースエステルを得ることができる(特開平10−45804号公報に記載の方法を参照)。
原料となるセルロースの例には、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)およびケナフなどが含まれる。原料となるセルロースは、一種類だけであってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。
コア層に含まれる環状ポリオレフィン
環状オレフィン樹脂の例には、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、およびこれらの水素化物などが含まれる。なかでも、成形しやすく、得られるフィルムの透明性が高いことから、ノルボルネン系樹脂が好ましい。
ノルボルネン系樹脂の例には、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、ノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、またはそれらの水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、ノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、またはそれらの水素化物などが含まれる。なかでも、成形しやすく、得られるフィルムの透明性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、共重合体またはそれらの水素化物が特に好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の例には、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などが含まれる。ノルボルネン構造を有する単量体は、一種類であってもよいし、二種以上であってもよい。
環が有しうる置換基の例には、アルキル基、アルキレン基、極性基などが含まれる。置換基は、複数あってもよく、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。極性基の例には、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが含まれる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体の例には、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体などが含まれる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体の例には、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが含まれる。なかでも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらの単量体は、一種類であっても、二種以上を組み合わせてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体または付加(共)重合体は、ノルボルネン構造を有する単量体を、公知の開環重合触媒または付加重合触媒の存在下で(共)重合させることによって得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体または付加(共)重合体の水素添加物は、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体または付加(共)重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素添加触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合の好ましくは90%以上を水素添加することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂のなかでも、繰り返し単位として、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造(X)と、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造(Y)とを有する樹脂が好ましい。そのようなノルボルネン系樹脂における繰り返し単位の含有量が、繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつXの含有割合とYの含有割合との質量比X:Yが100:0〜40:60であるものが好ましい。このようなノルボルネン系樹脂は、寸法変化が少なく、光学特性が均一なコア層を与えうる。
環状ポリオレフィンの分子量は、特に制限されないが、シクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定される、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、通常、20,000〜150,000であり、好ましくは25,000〜100,000であり、より好ましくは30,000〜80,000である。重量平均分子量が上記範囲にある環状ポリオレフィンを含むフィルムは、機械的強度や成型加工性が良好である。
環状ポリオレフィンの分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、緩和時間を少なくし、生産性を高める観点から、1.2〜3.5であり、好ましくは1.5〜3.0であり、さらに好ましくは1.8〜2.7である。緩和時間とは、得られるフィルムの光学特性を均一にしたり、位相差値を調整したりする目的で、延伸後のフィルムを固定した状態で加熱する緩和処理に要する時間をいう。
環状ポリオレフィンからなるフィルムの光弾性係数Cの絶対値は10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることがさらに好ましい。環状ポリオレフィンからなるフィルムの光弾性係数Cは、当該フィルムに加えた応力をσとし、そのときのフィルムの複屈折をΔnとしたとき、C=Δn/σで表される値である。
環状ポリオレフィンのガラス転移温度は、特に制限されないが、得られるフィルムの耐久性や延伸加工性を高める観点から、好ましくは130〜160℃であり、より好ましくは135〜150℃である。
微粒子を含有しないコア層は、必要に応じて糖エステル化合物、ポリエステル化合物、ヒドロキシ基末端ポリエステル化合物などをさらに含んでいてもよい。
コア層に含まれる糖エステル化合物
糖エステル化合物は、糖類のヒドロキシル基(水酸基)と、モノカルボン酸のカルボキシル基とをエステル化させて得られる化合物をいう。
糖エステル化合物を構成する糖類の例には、単糖類(monosaccharide)、二糖類(disaccharides)、および3〜6個の単糖類が結合したオリゴ糖類が含まれる。なかでも、炭素数6〜48の糖類が好ましく、単糖類および二糖類がより好ましい。
単糖類の例には、グルコース、果糖、アラビノース、マンノース、ソルビトールなどが含まれる。二糖類の例には、ショ糖、マルトースなどが含まれる。なかでも、原料が入手しやすいことから、グルコース、果糖、ショ糖が好ましく、ショ糖がさらに好ましい。
糖エステル化合物を構成するモノカルボン酸は、特に制限されず、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸でありうる。フィルムのリターデーションを発現させ易くするためには、芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、一種類でもよいし、二種以上の混合物であってもよい。例えば、脂肪族モノカルボン酸と芳香族モノカルボン酸とを組み合わせてもよい。
脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。脂肪族モノカルボン酸は、アリール基などの置換基をさらに有してもよい。
脂環式モノカルボン酸の例には、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸が含まれる。
芳香族モノカルボン酸は、一以上のベンゼン環を有するモノカルボン酸であって、ベンゼン環はアルキル基またはアルコキシ基などの置換基をさらに有していてもよい。芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸などが挙げられ、特に安息香酸が好ましい。
これらのモノカルボン酸は、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロゲン原子、シアノ基またはニトロ基などの置換基をさらに有していてもよい。
構成糖がショ糖である糖エステル化合物の平均エステル置換度(ショ糖に含まれる8つのヒドロキシル基のうちモノカルボン酸でエステル化される割合)は、1.0以上であり、好ましくは3.0〜8.0であり、より好ましくは3.5〜7.5である。
なかでも、下記一般式(1)で表され、平均置換度が3.5〜7.5である糖エステル化合物が好ましい。
Figure 2013235150
式(1)のR〜Rは、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表わす。R〜Rは、互いに同じであっても、異なってもよい。
置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基の炭素数は、2以上であることが好ましい。置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基の例には、メチルカルボニル基(アセチル基)が含まれる。アルキル基が有する置換基の例には、フェニル基などのアリール基が含まれる。
置換もしくは無置換のアリールカルボニル基の炭素数は、7以上であることが好ましい。アリールカルボニル基の例には、フェニルカルボニル基が含まれる。アリール基が有する置換基の例には、メチル基などのアルキル基が含まれる。
一般式(1)で示される化合物の具体例には、以下のものが含まれる。表中のRは、一般式(1)におけるR〜Rを表す。
Figure 2013235150
Figure 2013235150
糖エステル化合物の含有量は、微粒子を含有しないコア層の湿度の変動による位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化させるために、樹脂成分に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。
コア層に含まれるポリエステル化合物
ポリエステル化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2)
Figure 2013235150
式(2)中、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基または炭素原子数8〜14のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基を表す。Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基、または炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。Bは、モノカルボン酸から誘導される1価の基を表す。nは、1以上の整数を表す。
Aの、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数8〜14のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。
Gの、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、および1,12-オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。
Gの、炭素原子数6〜12のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。
Gは、炭素数2〜12のアルキレングリコールから誘導される2価の基であることが好ましい。ポリエステル化合物の、セルロースエステルとの相溶性を高めるためである。
Bの、モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、およびアセトキシ安息香酸などの芳香族モノカルボン酸;酢酸、プロピオン酸、および酪酸などの脂肪族モノカルボン酸などから誘導される1価の基が含まれる。なかでも、Bは、芳香族モノカルボン酸から誘導される1価の基であることが好ましい。
ポリエステル化合物の数平均分子量は、300〜1500であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。数平均分子量が300未満であるポリエステル化合物は、コア層から溶出しやすいことがある。
ポリエステル化合物の酸価は、それを含むコア層と他の機能層との密着性を高める観点などから、0.5mgKOH/g以下であることが好ましく、0.3mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル化合物の酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ポリエステル化合物の酸価は、JIS K0070に準拠して測定されうる。
ポリエステル化合物の水酸基価は、セルロースエステルとの相溶性を高める観点などから、25mgKOH/g以下であることが好ましく、15mgKOH/g以下であることがより好ましい。ポリエステル化合物の水酸基価は、試料1gを無水酢酸と反応させてアセチル化させたとき、未反応の酢酸を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数として定義される。ポリエステル化合物の水酸基価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定される。
式(2)で示されるポリエステル化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2013235150
Figure 2013235150
Figure 2013235150
Figure 2013235150
Figure 2013235150
一般式(2)で表されるポリエステル化合物と糖エステル化合物の含有質量比は、99:1〜1:99の範囲で調整されうる。一般式(2)で表されるポリエステル化合物と糖エステル化合物の合計含有量は、樹脂成分に対して1〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
微粒子を含有しないコア層は、一般式(3)で表されるポリエステル化合物(ヒドロキシル基末端ポリエステル化合物)も含んでいてもよい。
Figure 2013235150
式(3)中、Aは、炭素数6〜14のアリーレン基または炭素数4〜12のアルキレン基を表す。アリーレン基の例には、ナフタレン基またはビフェニレン基が好ましい。アリーレン基は、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル機、アルコキシル基などの置換基をさらに有してもよい。アルキレン基の例には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸などが含まれる。Bは、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基またはシクロアルキレン基を表す。nは1以上の自然数を表す。
式(3)で表されるポリエステル化合物は、環炭素数6〜16の芳香族ジカルボン酸と、炭素数2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレンジオールまたはシクロアルキレンジオールとを反応させて得られる化合物である。
環炭素数6〜16の芳香族ジカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが含まれ、好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸である。
炭素数が2〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレンジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが含まれ、好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオールである。シクロアルキレンジオールの例には、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが含まれる。
式(3)で表されるポリエステル化合物の水酸基価は、100〜500mgKOH/gであることが好ましく、170〜400mgKOH/gであることがより好ましい。水酸基価が500mgKOH/g超であると、式(3)で表されるポリエステル化合物の疎水性が高まるため、低アセチル置換度のセルロースエステルとの相溶性が低下しやすい。一方、水酸基価が100mgKOH/g未満であると、式(3)で表されるポリエステル化合物同士の分子間相互作用(水素結合など)が強くなり、セルロースエステルとの相溶性が低下しやすい。水酸基価の測定は、日本工業規格 JIS K1557−1:2007に記載の無水酢酸法により行うことができる。
式(3)で表されるポリエステル化合物の数平均分子量(Mn)は、下記式から計算することができる。
Mn=(分子中の水酸基の数)×56110/(水酸基価)=2×56110/(水酸基価)
以下に、式(3)で表されるポリエステル化合物の具体例を示す。
Figure 2013235150
Figure 2013235150
PES−15:コハク酸/アジピン酸/エチレングリコール(3/2/5)共重合体、数平均分子量1000
式(3)で表されるポリエステル化合物の含有量は、樹脂成分に対して1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
コア層に含まれるその他添加剤
微粒子を含有しないコア層は、必要に応じて他の添加剤をさらに含有していてもよい。そのような添加剤の例には、リターデーション上昇剤、可塑剤、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、紫外線吸収剤、光学異方性制御剤、帯電防止剤、剥離剤などが含まれる。
可塑剤の例には、リン酸エステル化合物や(メタ)アクリル化合物などでありうる。
リン酸エステル化合物の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリブチルホスフェート等が含まれる。
(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリレートの単独重合体であってもよいし、(メタ)アクリレートとそれと共重合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。
(メタ)アクリレートモノマーは、好ましくはアルキル部分の炭素数が1〜18の(メタ)アクリレートであり、より好ましくはメチル(メタ)クリレートである。共重合可能なモノマーの例には、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルなどの水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル;スチレンモノマーなどが含まれる。共重合体における(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有割合は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。(メタ)アクリレートモノマーと、それと共重合可能なモノマーとの共重合体は、側鎖にアルキル基やポリエーテル基、ポリエステル基、水酸基、エポキシ基等の置換基をさらに有していてもよい。
(メタ)アクリル化合物の重量平均分子量Mwは、500〜50000であることが好ましい。
(メタ)アクリル化合物の重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は、以下の通りとしうる。
溶媒:メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
可塑剤の含有量は、コア層に含まれる前述の樹脂成分に対して1〜40質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましい。
リターデーション上昇剤は、二以上の芳香族環を有する芳香族化合物であることが好ましい。リターデーション上昇剤は、一種類であってもよいし、二種類以上の混合物であってもよい。
芳香族化合物に含まれる芳香環は、芳香族性炭化水素環または芳香族性ヘテロ環である。芳香族炭化水素環は、好ましくは6員環(ベンゼン環)である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環であり、好ましくは5員環または6員環である。芳香族性ヘテロ環に含まれるヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子であり、好ましくは窒素原子である。
芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれ、好ましくは1,3,5−トリアジン環である。
リターデーション上昇剤は、一般式(4)で表されるトリアジン化合物であることが好ましい。
Figure 2013235150
一般式(4)のR〜Rは、それぞれ独立してアリール基またはヘテロアリール基を示す。アリール基は、好ましくはフェニル基またはナフチル基であり、より好ましくはフェニル基である。ヘテロアリール基は、好ましくはピリジニル基である。
一般式(4)のX〜Xは、それぞれ独立して単結合または−NR−を示す。Rは、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロアリール基を示し、好ましくは水素原子である。
−NR−におけるRが示すアルキル基は、環状であっても鎖状であってもよく、好ましくは鎖状であり、より好ましくは直鎖状である。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。
−NR−におけるRが示すアルケニル基は、環状であっても鎖状であってもよく、好ましくは鎖状であり、より好ましくは直鎖状である。アルケニル基の炭素数は、好ましくは2〜30であり、より好ましくは2〜20であり、さらに好ましくは2〜10である。
−NR−におけるRが示すアルキル基およびアルケニル基は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)などの置換基をさらに有してもよい。
−NR−におけるRが示すアリール基またはヘテロアリール基は、R〜Rのアリール基またはヘテロアリール基と同様に定義されうる。
一般式(4)で表される化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2013235150
芳香族化合物の具体例には、特開2004−109410号公報、特開2003−344655号公報、特開2000−275434号公報、特開2000−111914号公報、特開平12−275434号公報などにも記載の化合物も含まれる。
リターデーション上昇剤の含有量は、微粒子を含有しないコア層に含まれる樹脂成分に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、0.05〜15質量%であることがより好ましく、0.1〜10質量%であることがさらに好ましい。
微粒子を含有しないコア層は、後述する微粒子を含有するスキン層よりも高い位相差(面内方向のリターデーションRおよび厚み方向のリターデーションRth)を有する。微粒子を含有しないコア層の位相差を大きくするためには、例えば微粒子を含有しないコア層に含まれるセルロースエステルのアシル基総置換度を低くしたり;レターデーション発現剤の含有量を増やしたり、微粒子を含有しないコア層を厚くしたりすればよい。
2)微粒子を含有するスキン層について
微粒子を含有するスキン層は、熱可塑性樹脂と、微粒子(マット剤)とを含む。微粒子を含有するスキン層は、保護フィルムの表面に滑り性を付与し、巻き取り時に生じやすいブロッキングなどを抑制しうる。
微粒子を含有するスキン層に含まれる熱可塑性樹脂の例には、微粒子を含有しないコア層に含まれる熱可塑性樹脂と同様のものが含まれる。微粒子を含有するスキン層に含まれる熱可塑性樹脂は、微粒子を含有しないコア層に含まれる熱可塑性樹脂と同じであっても、異なってもよい。
なかでも、微粒子を含有するスキン層に含まれる熱可塑性樹脂は、セルロースエステル;またはポリエーテルユニット、ポリエステルユニットもしくはポリアクリルユニットを含む熱可塑性樹脂であることが好ましい。
スキン層に含まれるセルロースエステルについて
微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルは、微粒子を含有しないコア層に含まれるセルロースエステルと同様でありうる。なかでも、保護フィルムを、微粒子を含有するコア層と微粒子を含有しないスキン層の積層物を延伸することによって得る場合、微粒子を含有するスキン層に含まれる熱可塑性樹脂は、微粒子を含有しないコア層に含まれる熱可塑性樹脂よりも、延伸によって位相差を発現しにくい樹脂であることが好ましい。
即ち、微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルの総アシル基置換度は、微粒子を含有しないコア層に含まれるセルロースエステルの総アシル基置換度よりも高いことが好ましい。例えば、微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルのアシル基の総置換度は、微粒子を含有しないコア層に含まれるセルロースエステルのアシル基の総置換度よりも、0.3〜0.5程度高くしうる。
微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルのアシル基の総置換度は、2.0〜3.0程度であり、延伸によってリターデーションを発現させ難くするためには、好ましくは2.6〜2.95であり、より好ましくは2.7〜2.95である。
セルロースエステルに含まれるアシル基のうちアセチル基の置換度は、好ましくは1.6以上である。炭素数3以上のアシル基の置換度は、1.3以下としうる。
微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルは、好ましくはセルロースアセテートであり、より好ましくはセルローストリアセテートであり、さらに好ましくはアシル基の全てがアセチル基であるセルローストリアセテートである。
スキン層に含まれるポリエーテルユニット、ポリエステルユニットまたはポリアクリルユニットを含む熱可塑性樹脂について
ポリエーテルユニットとは、オキシアルキレン基を繰り返し単位として含むユニットである。ポリエーテルユニットを含む熱可塑性樹脂の例には、ポリエーテル、後述するポリエーテルウレタンなどが含まれる。ポリエステルユニットとは、ジカルボン酸とジオールとの縮重合体からなるユニットである。ポリエステルユニットを含む熱可塑性樹脂の例には、ポリエステル、後述するポリエステルウレタンなどが含まれる。ポリアクリルユニットとは、(メタ)アクリル酸エステルの付加重合体からなるユニットである。ポリアクリルユニットを含む熱可塑性樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂や、後述するポリアクリルウレタンなどが含まれる。これらの熱可塑性樹脂は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
微粒子を含有するスキン層が偏光子と接している場合には、微粒子を含有しないコア層と偏光子との接着性を高めるためには、微粒子を含有するスキン層は、ポリエーテルウレタン、ポリエステルウレタン、ポリアクリルウレタンなどのウレタン樹脂を含むことが好ましい。
ウレタン樹脂は、通常、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる。ポリオールは、分子中にヒドロキシル基を2以上有する化合物であり、その具体例には、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが含まれる。例えば、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる樹脂は、ポリエステルウレタンである。ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる樹脂は、ポリエーテルウレタン樹脂である。ウレタン樹脂は、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリル酸エステルと、水酸基を有する単量体と、必要に応じて他の単量体とを共重合させて得られる。
(メタ)アクリル酸エステルの例には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが含まれる。水酸基を有する単量体の例には、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチルなどの(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどが含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
他の単量体の例には、(メタ)アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸、その無水物あるいはモノまたはジエステル類;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレンなどのα,β−不飽和芳香族単量体などが含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ポリエステルポリオールは、多塩基酸とポリオールとを反応させて得られる。多塩基酸の例には、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;あるいはこれらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライドなどの反応性誘導体が含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ポリエステルポリオールを構成するポリオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールFなどが含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ポリエーテルポリオールは、多価アルコールに、アルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。多価アルコールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが含まれる。アルキレンオキシドの例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ポリイソシアネートの例には、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジイソシアネート;
トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;
ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネートなどが含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ウレタン樹脂は、カルボキシル基を有するウレタン樹脂であってもよい。カルボキシル基を有するウレタン樹脂を含むスキン層は、特に高温・高湿下において偏光子との密着性を高めうる。
カルボキシル基を有するウレタン樹脂は、例えば、前述のポリオールとポリイソシアネートとに加えて、遊離カルボキシル基を有する鎖長剤をさらに共重合させて得られる。遊離カルボキシル基を有する鎖長剤の例には、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸などが含まれる。ジヒドロキシカルボン酸の例には、ジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸)などのジアルキロールアルカン酸が含まれる。これらは、一種類であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートとに加えて、さらに他のポリオールや鎖長剤をさらに反応させて得られるものであってもよい。他のポリオールの例には、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトラオール、1,4−ソルビタン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの水酸基数が3以上のポリオールが含まれる。他の鎖長剤の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、アミノエチルエタノールアミンなどの脂肪族ジアミン;イソホロンジアミン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどの脂環族ジアミン;キシリレンジアミン、トリレンジアミンなどの芳香族ジアミンが含まれる。
ウレタン樹脂の数平均分子量は、好ましくは5000〜600000であり、より好ましくは10000〜400000である。ウレタン樹脂の酸価は、好ましくは10以上であり、より好ましくは10〜50であり、さらに好ましくは20〜45である。酸価が上記範囲であるウレタン樹脂を含むスキン層は、コア層と偏光子との接着性を高めうる。
スキン層に含まれる微粒子
微粒子は、無機微粒子であっても、有機微粒子であってもよい。
無機微粒子を構成する無機化合物の例には、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムなどが含まれる。なかでも、二酸化珪素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化珪素である。
二酸化珪素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)などが含まれる。
有機微粒子(ポリマー微粒子)を構成する樹脂の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、スチレン系樹脂および(メタ)アクリル樹脂などが含まれる。
微粒子の形状は、特に制限されず、球状、針状、板状などであってよい。微粒子の一次粒子径は、5〜50nmであることが好ましく、7〜20nmであることがより好ましい。一次粒子径が大きいほうが、得られる層の滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子またはその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50万〜200万倍で一次粒子または二次凝集体を観察し、一次粒子または二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は、微粒子を含むスキン層に含まれる前述の樹脂成分に対して好ましくは0.3〜10質量%であり、より好ましくは0.6〜3質量%である。微粒子の含有量が0.3質量%未満であると、保護フィルムの表面に凹凸を十分に形成できないため、十分なブロッキング抑制効果が得られにくい。一方、微粒子の含有量が10質量%超であると、保護フィルムのヘイズが高くなりやすい。
微粒子を含有するスキン層は、必要に応じて、微粒子を含有しないコア層に含まれるのと同様の添加剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤など)をさらに含有していてもよい。各添加剤の含有量は、前述した範囲と同様としうる。微粒子を含有するスキン層における添加剤の組成は、微粒子を含有しないコア層における添加剤の組成と同じであっても異なってもよい。
微粒子を含有するスキン層は、配向乱れによるコントラストの低下を抑制するために、位相差を実質的に有しないことが好ましい。即ち、微粒子を含有するスキン層は、微粒子を含有しないコア層よりも位相差が小さいことが好ましい。例えば、微粒子を含有するスキン層の、測定波長550nmにおける面内方向のリターデーションRは、微粒子を含有しないコア層のそれよりも50nm以上低いことが好ましく;微粒子を含有するスキン層の、測定波長550nmにおける厚み方向のリターデーションRthは、微粒子を含有しないコア層のそれよりも150nm以上低いことが好ましい。
微粒子を含有するスキン層の位相差を小さくするためには、例えば微粒子を含有するスキン層に含まれるセルロースエステルのアシル基総置換度を高くしたり;レターデーション発現剤を含有させないか、あるいは含有量を低減したり;微粒子を含有するスキン層の厚みを薄くしたりすればよい。
微粒子を含有しないコア層と微粒子を含有するスキン層に含まれる熱可塑性樹脂は、いずれもセルロースエステルであることが好ましい。
保護フィルムは、必要に応じて他の機能層をさらに含有していてもよい。例えば、他の層は、微粒子を含有しないスキン層や、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層などであってもよい。
保護フィルムの物性
保護フィルムの厚みは、20〜200μmであることが好ましく、20〜100μmであることがより好ましく、40〜90μmであることがさらに好ましい。保護フィルムの厚みが200μm超であると、湿度によって位相差の変動が大きくなりやすい。一方、保護フィルムの厚みが20μm未満であると、所望の位相差が得られにくい。
微粒子を含有するスキン層の厚みは、微粒子を含有しないコア層の厚みの20%以下、好ましくは10%以下としうる。例えば、微粒子を含有するスキン層の厚みは、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.1〜5μmであり、さらに好ましくは0.2〜1.5μmである。微粒子を含有するスキン層の厚みが10μm超であると、微粒子を含有するスキン層に位相差が発現することがあり、0.1μm未満であると、微粒子を含有するスキン層の膜厚がばらつきやすい。
前述の液晶セルを有する液晶表示装置において、液晶セルと第二の偏光子との間に配置される位相差フィルムとして用いられる保護フィルムF3の、23℃55%RHの環境下で、波長550nmにて測定される面内方向のリターデーションRは、50〜100nmであることが好ましく、50〜90nmであることがより好ましい。23℃55%RHの環境下で、波長550nmにて測定される厚み方向のリターデーションRthは、250〜450nmであることが好ましく、350〜450nmであることがより好ましい。
波長分散RDSP(=R(480)/R(630))は、斜め方向の色味変化を十分に抑制するためには、0.90≦RDSP<1.05を満たすことが好ましい。
面内方向のリターデーションRおよび厚み方向のリターデーションRthは、それぞれ以下の式で表される。
式(I) R=(nx−ny)×d
式(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(nx:フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、ny:フィルム面内において、遅相軸に対して直交する方向の屈折率、nz:厚み方向におけるフィルムの屈折率、d:フィルムの厚み(nm))
リターデーションRおよびRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)保護フィルムを、23℃55%RHで調湿する。調湿後の保護フィルムの3方向の屈折率をアッベ屈折計にて測定し、それらの平均値を平均屈折率とする。
2)調湿後の保護フィルムに、測定波長480nm、550nm、630nmの光をそれぞれフィルム表面の法線に平行に入射させたときの面内方向のリターデーションR(480)、R(550)およびR(630)を、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)にて測定する。
3)KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、フィルム面内の遅相軸を傾斜軸として(遅相軸がない場合は、フィルム面内の任意の方向を傾斜軸として)、フィルム表面の法線に対してθの角度から測定波長550nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定する。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で10°毎に合計6点行うことができる。
4)測定されたRおよびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長550nmでのRthを算出する。リターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行うことができる。
(480)/R(630)は、得られたR(480)とR(630)から算出することができる。
保護フィルムのRよびRthは、例えば延伸条件やフィルムの膜厚などによって調整されうる。Rを大きくするためには、例えば幅方向(TD方向)の延伸倍率を高くし、かつ搬送方向(MD方向)の延伸倍率を低くすればよい。Rthを大きくするためには、例えば幅方向(TD方向)の延伸倍率と搬送方向(MD方向)の延伸倍率の両方を高くしたり、フィルムの膜厚を大きくしたりすればよい。
DSPは、例えばフィルムの組成;具体的には、熱可塑性樹脂の種類、波長分散調整剤や可塑剤などの種類や含有量によって調整されうる。
Nz(=(nx−nz)/(nx−ny))は、表示装置の斜め方向の色味変化を低減するためには、4超であることが好ましい。
保護フィルムは、フィルム面内に遅相軸または進相軸を有する。遅相軸の搬送方向(MD方向)とのなす角θ1(配向角)は、−5°以上+5°以下であることが好ましく、−1°以上+1°以下であることがより好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがさらに好ましく、−0.1°以上+0.1°以下であることが特に好ましい。配向角θ1が上記範囲を満たしていると、光漏れを抑制できるため、表示画像の輝度を高めることができる。配向角θ1は、延伸条件によって調整されうる。
保護フィルムの配向角θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて測定することができる。
保護フィルムの、JIS K−7136に準拠して測定される内部ヘイズは、0.05%以下であることが好ましく、0.03%以下であることがさらに好ましい。
保護フィルムの、JIS Z 0208に準拠して測定される40℃、90%RHにおける透湿度は、10〜1200g/m・24hであることが好ましい。保護フィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることがより好ましい。保護フィルムの破断伸度は10〜80%であることが好ましい。
保護フィルムF3の製造方法
保護フィルムF3は、任意の方法で製造することができる。例えば、微粒子を含有する層と微粒子を含有しない層とを積層した後、得られる積層フィルムを延伸してもよいし(方法A);微粒子を含有しないフィルムを延伸した後、得られる延伸フィルムと微粒子を含有する層とを積層してもよい(方法B)。
方法Aについて
方法Aでは、微粒子を含有する層と微粒子を含有しない層とを積層した後、得られる積層フィルムを延伸して、保護フィルムF3を得る。
微粒子を含有するコア層と微粒子を含有しないスキン層との積層は、溶液(共)流延法または溶融(共)流延法で行うことができ、平面性が高いフィルムが得られやすいことから、好ましくは溶液(共)流延法で行うことができる。
即ち、保護フィルムF3を溶液(共)流延法で製造する方法は、1)少なくとも前述のセルロースエステルなどを溶剤に溶解させてコア層用ドープとスキン層用ドープを得る工程、2)得られた各ドープを無端状の金属支持体上に共流延させる工程、3)共流延して得られたドープ膜から溶媒を蒸発させた後、金属支持体から剥離してウェブを得る工程、4)ウェブを乾燥後、延伸して積層フィルム(保護フィルム)を得る工程を含む。
1)コア層用ドープとスキン層用ドープを得る工程
溶解釜において、前述の熱可塑性樹脂と、必要に応じて添加剤とを溶剤に溶解させて、微粒子を含有しないコア層用ドープを得る。同様に、前述の熱可塑性樹脂と、微粒子と、必要に応じて添加剤とを溶剤に溶解させて、微粒子を含有するスキン層用ドープを得る。
各ドープの調製に用いられる溶剤は、セルロースエステルなどの熱可塑性樹脂を溶解するものであれば、特に制限されない。そのような溶剤の例には、メチレンクロライドなどの塩素系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、乳酸エチル、乳酸、ジアセトンアルコールなどの非塩素系有機溶媒などが含まれ、好ましくは塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、乳酸エチルである。
各ドープの調製に用いられる溶剤は、前述した以外の他の溶剤をさらに含有してもよい。そのような他の溶剤の例には、炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールが含まれる。炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールの例には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどが含まれ、沸点が比較的低く、乾燥しやすいことなどから、好ましくはエタノールである。
他の溶剤の含有量は、溶剤全体に対して1〜40質量%としうる。他の溶剤の含有割合を高めにすると、得られるウェブがゲル化しやすいため、金属支持体から剥離しやすい。一方、ドープ中の他の溶剤の含有割合を低めにすると、溶剤が非塩素系有機溶媒である場合に、熱可塑性樹脂を溶解させやすい。
溶剤として、メチレンクロライドと、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとを含有するドープ中の熱可塑性樹脂の含有量は、10〜45質量%であることが好ましい。
熱可塑性樹脂の溶解は、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上かつ加圧下で行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報または特開平9−95538号公報に記載された冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載の高圧下で行う方法などであってよく、特に主溶媒の沸点以上かつ加圧下で行う方法が好ましい。
2)共流延する工程
前述で得られたコア層用ドープとスキン層用ドープとを、共流延ダイから無端状の金属支持体上に共流延させる。共流延させる方法は、各ドープを、流延方向に異なる位置に設けられた複数の流延口からそれぞれ流延させながら逐次的に積層して多層のウェブとする方法(逐次積層共流延)でもよいし;流延方向に同じ位置に設けられた複数の流延口から同時に流延して積層して多層のウェブとする方法(同時積層共流延)でもよい。
逐次積層共流延法の例には、特開昭61−158414号公報、特開平1−122419号公報、特開平11−198285号公報に記載の方法がある。同時積層共流延の例には、特公昭60−27562号公報、特開昭61−94724号公報、特開昭61−947245号公報、特開昭61−104813号公報、特開昭61−158413号公報、特開平6−134933号公報に記載の方法などがある。
共流延において、金属支持体に接する層(内側の層)と金属支持体に接しない層(外側の層)のうち金属支持体に接しない層(外側の層)の厚さは、好ましくは全膜厚の1〜50%であり、より好ましくは2〜30%である。例えば、3層以上の共流延の場合は、金属支持体に接しない層の厚さは、金属支持体に接する層以外の層の合計膜厚を意味する。
流延ダイの例には、Tダイなどが含まれる。無端状の金属支持体の例には、金属ベルト(例えばステンレススチールベルト)、金属ドラムなどが含まれる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げが施されていることが好ましい。
3)ドープ膜の溶媒を蒸発させた後、金属支持体から剥離してウェブを得る工程
流延したドープ膜を、金属支持体上で残留溶媒量が一定以下となるまで乾燥させる。乾燥方法の例には、ドープ膜の表面に風を当てる方法、ドープ膜を赤外線ヒータなどで加熱する方法などが含まれる。
ドープ膜を乾燥させるときの雰囲気温度は、40〜100℃であることが好ましい。剥離時のドープ膜の残留溶媒量は、得られる保護フィルムの平面性を高めるためには、好ましくは25〜120質量%とし、より好ましくは30〜110質量%としうる。
ウェブの残留溶媒量は、下記式で定義される。下記式において、Mは、製造中のウェブまたは製造後のフィルムから任意の時点で採取した試料の質量を示す。Nは、当該試料を115℃で1時間加熱したときの、試料の質量を示す。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
そして、残留溶媒量が一定以下となるまで乾燥させたドープ膜を、金属支持体上から剥離して、ウェブを得る。ウェブは、「微粒子を含有するコア層となる層」と「微粒子を含有しないスキン層となる層」とを含む。ドープ膜の剥離は、例えば剥離ロールによって行うことができる。ドープ膜の剥離張力は、好ましくは300N/m以下とし、より好ましくは190N/m以下としうる。
ドープ膜を剥離する位置における金属支持体の表面温度は、好ましくは−50〜40℃であり、より好ましくは10〜40℃である。
4)ウェブを乾燥後、延伸してフィルムを得る工程
金属支持体から剥離して得られたウェブを乾燥させた後、延伸する。ウェブの乾燥は、ウェブを上下に配置した多数のロールにより搬送しながら乾燥させてもよいし、ウェブの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブの乾燥方法は、熱風、赤外線、加熱ロールおよびマイクロ波等で乾燥する方法であってよく、簡便であることから熱風で乾燥する方法が好ましい。ウェブの乾燥温度は、40〜250℃、好ましくは40〜160℃である。高温での乾燥は、ウェブの残留溶媒量が8質量%以下で行うことが好ましい。
ウェブの延伸により、所望のレターデーションを有するフィルムを得る。保護フィルムのレターデーションは、ウェブに掛かる張力の大きさを調整することによって制御することができる。
ウェブの延伸は、幅方向(TD方向)、ドープの流延方向(MD方向)、または斜め方向の延伸であり、少なくとも幅方向(TD方向)に延伸することが好ましい。ウェブの延伸は、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよい。二軸延伸は、好ましくはドープの流延方向(MD方向)と幅方向(TD方向)への延伸である。二軸延伸は、逐次二軸延伸であっても同時二軸延伸であってもよい。
逐次二軸延伸には、延伸方向の異なる延伸を順次行う方法や、同一方向の延伸を多段階に分けて行う方法などが含まれる。逐次二軸延伸の例には、以下のような延伸ステップが含まれる。
流延方向(MD方向)に延伸−幅方向(TD方向)に延伸−流延方向(MD方向)に延伸−流延方向(MD方向)に延伸
幅方向(TD方向)に延伸−幅方向に延伸(TD方向)−流延方向(MD方向)に延伸−流延方向(MD方向)に延伸
同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方の方向の張力を緩和して収縮させる態様も含まれる。
延伸倍率は、得られる保護フィルムの膜厚や、求められるレターデーション値にもよるが、各方向に1.01〜2.0倍、より好ましくは1.01〜1.5倍としうる。
ウェブの延伸方法は、特に制限されず、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して流延方向(MD方向)に延伸する方法(ロール延伸法)、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を流延方向(MD方向)に向かって広げて流延方向(MD方向)に延伸したり、幅方向(TD方向)に広げて幅方向(TD方向)に延伸したり、流延方向(MD方向)と幅方向(TD方向)の両方に広げて流延方向(MD方向)と幅方向(TD方向)の両方に延伸する方法など(テンター延伸法)などが挙げられる。これらの延伸方法は、組み合わせてもよい。
延伸開始時のウェブの残留溶媒量は、好ましくは30質量%以下とし、より好ましくは25質量%以下としうる。延伸後のフィルムの残留溶媒量は、延伸後の乾燥時間を短縮するためなどから、好ましくは10質量%以下とし、より好ましくは5質量%以下としうる。
ウェブの延伸温度は、30〜160℃であることが好ましく、50〜150℃であることがより好ましく、70〜140℃であることがさらに好ましい。
テンター延伸装置は、ウェブの把持長(把持開始から把持終了までの距離)を、左右で独立に制御できるものが好ましい。また、テンター工程は、得られる偏光板保護フィルムの平面性を高めるために、異なる温度領域を有したり、異なる温度領域の間にニュートラルゾーンを有したりすることが好ましい。
このように、ウェブを構成する「微粒子を含有するスキン層となる層」に含まれる熱可塑性樹脂は、「微粒子を含有しないコア層となる層」に含まれる熱可塑性樹脂よりも、延伸によってレターデーションを発現しにくい。そのため、微粒子を含有しないコア層は、微粒子を含有するスキン層よりも高い位相差を有する保護フィルムを得ることができる。
方法Bについて
方法Bでは、微粒子を含有しない延伸フィルムを得た後、当該延伸フィルムと微粒子を含有する層とを積層して、保護フィルムF3を得る。延伸フィルムは、溶液流延法や溶融流延法で製造されてもよいし、市販品を用いてもよい。
延伸フィルムと微粒子を含有する層との積層は、当該延伸フィルム上に、微粒子を含有する溶液を塗布して行うことが好ましい。微粒子を含有する溶液は、前述の熱可塑性樹脂と、微粒子とを含み、必要に応じて架橋剤や添加剤などをさらに含んでもよい。
熱可塑性樹脂がカルボキシル基を有するウレタン樹脂である場合、架橋剤は、カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーであることが好ましい。カルボキシル基と反応し得る基の例には、有機アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等が挙げられ、好ましくはオキサゾリン基である。オキサゾリン基を有する架橋剤は、ウレタン樹脂と混合されたときの室温でのポットライフが長く、かつ加熱によって架橋反応が進行しやすいからである。
カルボキシル基と反応し得る基を有するポリマーの例には、アクリル系ポリマー、スチレン・アクリル系ポリマー等が挙げられ、好ましくはアクリル系ポリマーである。アクリル系ポリマーは、それを含む微粒子を含有するスキン層と偏光子との接着性を高めうる。また、アクリル系ポリマーは、後述する水系の塗布液中で良好に相溶するため、ウレタン樹脂を良好に架橋反応させ得る。
微粒子を含有する溶液における架橋剤(固形分)の含有量は、熱可塑性樹脂(固形分)100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは3〜20質量部である。架橋剤の含有量が1質量部未満であると、偏光子との十分な密着性が得られにくい。一方、架橋剤の含有量が30質量部超であると、微粒子を含有するスキン層に位相差が発現することがある。
微粒子を含有する溶液は、必要に応じて、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、フィラー、滑剤、オルガノシラン化合物(エポキシ基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤などのシランカップリング剤)などの添加剤をさらに含んでいてもよい。
微粒子を含有する溶液は、水系であることが好ましい。微粒子を含有する溶液における熱可塑性樹脂の含有量は、均一に塗布できる粘度に調整するためなどから、好ましくは1.5〜15質量%であり、より好ましくは2〜10質量%である。
微粒子を含有する溶液の塗布方法は、例えばバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法などでありうる。
塗膜の乾燥温度は、50℃以上、好ましくは90℃以上、さらに好ましくは110℃以上としうる。乾燥温度の上限は、好ましくは200℃、より好ましくは180℃としうる。乾燥温度が上記範囲であると、得られる偏光板の耐色性(特に高温高湿下における耐色性)が良好だからである。
保護フィルム46(F2)について
保護フィルム46(F2)は、好ましくはセルロースエステルフィルムや環状オレフィン樹脂フィルムである。
保護フィルム46(F2)の、23℃55%RHの環境下で、波長550nmにて測定される面内方向のリターデーションRは0〜5nmであることが好ましい。23℃55%RHの環境下で、波長550nmにて測定される厚み方向のリターデーションRthは0〜10nmであることが好ましい。
保護フィルム46(F2)の厚みは、特に制限されないが、20〜200μm程度とすることができ、好ましくは20〜40μmである。
保護フィルム44(F1)または66(F4)について
保護フィルム44(F1)または66(F4)は、透明樹脂フィルムであればよく、好ましくは透明な熱可塑性樹脂フィルムである。透明な熱可塑性樹脂フィルムの好ましい例には、セルロースエステルフィルムが含まれる。
セルロースエステルフィルムは、市販品であってもよい。市販品のセルロースエステルフィルムの例には、セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)などが含まれる。
保護フィルム44(F1)または66(F4)の厚みは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは10〜70μmである。
偏光板は、偏光子と、前述の保護フィルム(F1〜F4のいずれか)とを接着剤を介して貼り合わせるステップを経て得ることができる。
貼り合わせに用いられる接着剤の例には、ポリビニルアルコール系接着剤や光硬化性接着剤などが含まれる。熱や湿度により偏光子が寸法変化し、それによる液晶セルの反りを抑制するためには、光硬化性接着剤を好ましく用いることができる。光硬化性接着剤からなる接着層は、ポリビニルアルコール系接着剤よりも弾性率が高いため、偏光子の寸法変化する力を液晶セルに伝わりにくくしうる。
ポリビニルアルコール系接着剤について
ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂などを含み、必要に応じて架橋剤などをさらに含んでもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂の例には、ポリ酢酸ビニルのケン化物またはその誘導体;酢酸ビニルと共重合成分との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化またはリン酸エステル化した変性ポリビニルアルコールなどが含まれる。共重合成分の例には、(無水)マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸およびそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アリルスルホン酸(ソーダ)、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体などが含まれる。これらの樹脂は、一種類であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。
ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100〜5000程度、さらに好ましくは1000〜4000である。平均ケン化度は、接着性の点から、好ましくは85〜100モル%程度、さらに好ましくは90〜100モル%である。
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを反応させて得られる。アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール樹脂は、酢酸等の溶媒中にポリビニルアルコール系樹脂を分散させて得られる分散溶液にジケテンを添加する方法;ジメチルホルムアミドまたはジオキサン等の溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解させて得られる溶液にジケテンを添加する方法;またはポリビニルアルコール系樹脂にジケテンガスまたは液状ジケテンを直接接触させる方法などで得られる。
アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、0.1モル%以上であり、好ましくは0.1〜40モル%程度であり、より好ましくは1〜20%であり、さらに好ましくは2〜7モル%である。アセトアセチル基変性度が0.1モル%未満であると、得られる接着層の耐水性が不十分となりやすく、アセトアセチル基変性度が40モル%超であると、耐水性を高める効果が十分でないことがある。アセトアセチル基含有ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、NMRにより測定することができる。
ポリビニルアルコール系接着剤に含まれる架橋剤の例には、ポリビニルアルコール系樹脂との反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物であってよく、その具体例には、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基を2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびこれらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等のイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジまたはトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどのエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどのモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒドなどのジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物などのアミノ−ホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケル等の二価金属、または三価金属の塩およびその酸化物などが含まれる。なかでも、アミノ−ホルムアルデヒド樹脂およびジアルデヒド類が好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂は、好ましくはメチロール基を有する化合物であり;ジアルデヒド類は、好ましくはグリオキザールである。なかでも、メチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好ましい。
ポリビニルアルコール系接着剤における架橋剤の含有量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して10〜60重量部程度であり、好ましくは20〜50重量部である。ポリビニルアルコール系樹脂の含有量が上記範囲にある接着剤は、接着性が高いからである。架橋剤の含有量が60重量部超であると、架橋剤の反応が短時間で進行しやすく、接着剤をゲル化させやすいことから、ポットライフが短くなりやすい。
ポリビニルアルコール系接着剤は、必要に応じて金属化合物コロイドを含んでいてもよい。金属化合物コロイドは、金属化合物微粒子が分散媒中に分散しているものであり、安定性を有しうる。金属化合物コロイドを含むポリビニルアルコール系接着剤は、架橋剤の含有量が多くても、比較的安定である。
金属化合物コロイドの微粒子の平均粒子径は、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nmである。金属化合物コロイドの微粒子を接着層に均一に分散させうるため、接着性を確保しつつ、クニック欠陥(光抜け)を抑制しうる。
金属化合物コロイドを構成する金属化合物の例には、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア等の金属酸化物;ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウムなどの金属塩;セライト、タルク、クレイ、カオリンなどの鉱物が含まれる。なかでも、正電荷を有する金属化合物が好ましく、そのような金属化合物は、シリカ、アルミナ、チタニアなどがあり、好ましくはシリカ、アルミナである。
金属化合物コロイドは、分散媒に分散したコロイド溶液の状態で存在している。分散媒の例には、水、アルコール類が含まれる。コロイド溶液中の固形分濃度は、1〜50重量%程度であり、好ましくは1〜30重量%である。金属化合物コロイドは、安定剤として硝酸、塩酸、酢酸などの酸をさらに含有してもよい。
ポリビニルアルコール系接着剤における金属化合物コロイド(固形分)の含有量は、好ましくはポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して200重量部以下であり、好ましくは10〜200重量部であり、より好ましくは20〜175重量部であり、特に好ましくは30〜150重量部である。金属化合物コロイドの含有量が上記範囲であると、金属化合物コロイドの微粒子を接着層に均一に分散させうるため、接着性を確保しつつ、クニック欠陥(光抜け)を抑制しうる。
ポリビニルアルコール系接着剤は、必要に応じてシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、粘着付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤などをさらに含んでよい。
ポリビニルアルコール系接着剤は、水溶液(水系樹脂溶液)であることが好ましい。ポリビニルアルコール系接着剤の樹脂濃度は、塗工性や保存安定性などを高める観点などから、好ましくは0.1〜15重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%である。樹脂溶液の粘度は、好ましくは1〜50mPa・sである。金属化合物コロイドを含むポリビニルアルコール系接着剤の粘度は、1〜20mPa・s程度としうる。樹脂溶液のpHは、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2.5〜5であり、特に好ましくは3〜5であり、最も好ましくは3.5〜4.5である。金属化合物コロイドの表面電荷は、通常、pHによって調整されうる。金属化合物コロイドの表面電荷は、好ましくは正電荷である。正電荷を有することにより、クニック欠陥の発生をさらに抑制し得る。金属化合物コロイドの表面電荷は、例えばゼータ電位測定機でゼータ電位を測定することによって確認できる。
ポリビニルアルコール系接着剤から得られる接着層の厚みは、好ましくは10〜300nmであり、より好ましくは10〜200nmであり、特に好ましくは20〜150nmである。接着層の厚みが上記範囲にあれば、十分な接着性が得られやすい。
ポリビニルアルコール系接着剤を用いた偏光板は、保護フィルムと偏光子とを、ポリビニルアルコール系接着剤を介して貼り合わせるステップ;貼り合わされた偏光子と保護フィルムの積層物を乾燥するステップ、を経て得ることができる。
ポリビニルアルコール系接着剤の塗布方法は、例えばロール法、噴霧法、浸漬法等でありうる。また、ポリビニルアルコール系接着剤が金属化合物コロイドを含む場合、ポリビニルアルコール系接着剤の塗布厚みは、乾燥後の厚みが金属化合物コロイドの平均粒子径よりも大きくなるようにする。乾燥温度は、5〜150℃、好ましくは30〜120℃としうる。乾燥時間は、120秒以上、好ましくは300秒以上としうる。
光硬化性接着剤について
光硬化性接着剤は、光硬化性樹脂を含み、必要に応じて架橋剤や光重合開始剤、その他の添加剤などをさらに含んでよい。
光硬化性樹脂は、紫外線硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂などでありうる。紫外線硬化性樹脂は、ラジカル重合性樹脂であっても、カチオン重合性樹脂であってもよい。紫外線硬化樹脂は、一種類であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。二種以上の混合物は、二種類以上のラジカル重合性樹脂の混合物であってもよいし、二種類以上のカチオン重合性樹脂の混合物であってもよいし、ラジカル重合性樹脂とカチオン重合性樹脂の混合物であってもよい。
ラジカル重合性樹脂の例には、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂などが含まれる。(メタ)アクリル樹脂は、前述と同様のものが用いられる。(メタ)アクリルアミド樹脂の例には、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシ−1−ヒドロキシエチル)−(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミドなどが含まれ、好ましくはN−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドである。
カチオン重合性樹脂の例には、エポキシ樹脂が含まれる。エポキシ樹脂は、二官能以上の芳香族エポキシ樹脂または脂肪族エポキシ樹脂でありうる。芳香族エポキシ樹脂の例には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールSのジグリシジルエーテルなどのビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型のエポキシ樹脂;それらの水素化物などが含まれる。脂肪族エポキシ樹脂の例には、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテルなどが含まれる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマーまたはそれらの混合物などでありうる。
これらのなかでも、取り扱いやすく、接着強度が高いことなどから、エポキシ樹脂が好ましい。
紫外線硬化性樹脂を含む光硬化性接着剤(紫外線硬化性接着剤)は、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤または光カチオン重合開始剤でありうる。
光重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部あたり、通常、0.1〜10重量部程度であり、好ましくは0.5〜3重量部である。一方、電子線硬化性樹脂を含む光硬化性接着剤(電子線硬化性接着剤)は、必ずしも光重合開始剤を含まなくてもよい。
光硬化性接着剤は、必要に応じてさらに添加剤を含んでもよい。そのような添加剤の例には、電子線による硬化速度や感度を上げるための増感剤(例えばカルボニル化合物)、接着促進剤(例えばシランカップリング剤やエチレンオキシド)、微粒子を含有するスキン層上でのぬれ性を高める添加剤、接着層の機械的強度や加工性などを向上させる添加剤(例えばアクリロキシ基化合物や炭化水素系天然樹脂または合成樹脂)、紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤(金属化合物フィラー以外)、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止割などが含まれる。
光硬化性接着剤から得られる接着層の厚みは、0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.01〜5μmである。接着層の厚みが0.01μm未満であると、十分な接着強度が得られにくく、接着層の厚みが10μm超であると、接着層の透明性が損なわれやすいだけでなく、発泡による浮きや剥がれが生じやすく、得られる偏光板の耐久性が十分でないことがある。
光硬化性接着剤を用いた偏光板は、保護フィルムと偏光子とを、光硬化性接着剤を介して貼り合わせるステップ;貼り合わされた偏光子と保護フィルムを含む積層物に、活性エネルギー線(電子線、紫外線等)を照射して、光硬化性接着剤から得られる接着層を光硬化させるステップ、を経て得ることができる。
保護フィルムと偏光子とを、光硬化性接着剤を介して貼り合わせるステップでは、偏光子と保護フィルムの少なくとも一方の貼り合わせ面に、光硬化性接着剤を塗布して、接着層を形成すればよい。
光硬化性接着剤の塗布方法は、光硬化性接着剤の粘度や塗布厚みに応じて選択すればよく、その例には、リバースコーター、グラビアコーター(ダイレクト,リバースやオフセット)、バーリバースコーター、ロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ロッドコーターなどが含まれる。
偏光子と保護フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネーターなどで行うことができる。
光硬化性接着剤を介して貼り合わされた偏光子と保護フィルムの積層物に、活性エネルギー線(電子線、紫外線等)を照射して、接着層を硬化させる。活性エネルギー線の照射は、任意の方向から行うことができ、保護フィルムの外側から照射することが好ましい。活性エネルギー線を偏光子側から照射すると、偏光子が活性エネルギー線によって劣化するおそれがある。
紫外線硬化性接着剤から得られる接着層を硬化させる場合、紫外線の照射量は、積算光量で100〜500mJ/cmであることが好ましく、200〜400mJ/cmであることがより好ましい。
電子線硬化性接着剤から得られる接着層を硬化させる場合、電子線照射は、加速電圧が好ましくは5〜300kVであり、より好ましくは10〜250kVである。加速電圧が5kV未満であると、電子線が接着層の厚み方向に十分に照射できず、硬化不足となりやすい。一方、加速電圧が300kV超であると、電子線によって保護フィルムや偏光子にダメージを与えやすい。電子線の照射線量は、好ましくは5〜100kGyであり、より好ましくは10〜75kGyである。照射線量が5kGy未満であると接着層が硬化不足となりやすく、100kGy超であると、保護フィルムや偏光子にダメージを与え、機械的強度の低下や黄変を生じやすい。
電子線照射は、通常、不活性ガス雰囲気下で行うが、必要であれば大気中または酸素を少量含有する雰囲気下で行ってもよい。
偏光板をラインで連続的に製造する場合、ライン速度は、光硬化性接着剤の硬化時間にもよるが、好ましくは1〜500m/min、より好ましくは5〜300m/min、さらに好ましくは10〜100m/minとしうる。ライン速度が低すぎると生産性が低く、保護フィルムへのダメージが大きくなりやすい。一方、ライン速度が高すぎると、光硬化性接着剤の硬化が不十分となり、十分な接着性が得られにくい。
以下において、実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
1.位相差フィルムの材料
1)セルロースエステル
セルロースアセテートA(アセチル基置換度2.45、分子量Mw165000)
セルロースアセテートB(アセチル基置換度2.88、分子量Mw285000)
セルロースアセテートC(アセチル基置換度2.46、分子量Mw190000)
2)添加剤
2−1)(メタ)アクリル化合物
(合成例1)
ポリマーY1の合成
特開2000−128911号公報に記載の重合方法で、下記メチルアクリレートを塊状重合させて、ポリマーY1を得た。即ち、攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、投入口および環流冷却管を備えたフラスコに、モノマーYaとして下記メチルアクリレートを投入し、窒素ガスを導入してフラスコ内を窒素ガスで置換した。次いで、フラスコの内容物を攪拌しながら、下記チオグリセロールをさらに添加した。
メチルアクリレート:100質量部
チオグリセロール:5質量部
次いで、フラスコの内容物の温度を適宜調整して4時間重合を行った。そして、内容物を室温に戻した後、ベンゾキノン5質量%テトラヒドロフラン溶液を20質量部添加し、重合を停止させた。得られた内容物をエバポレーターに移し、80℃で減圧下、テトラヒドロフラン、残存モノマーおよび残存チオグリセロールを除去して、ポリマーY1(重量平均分子量1000のポリメチルアクリレート)を得た。
(合成例2)
ポリマーY2の合成
メチルアクリレートを、メタクリル酸メチルに変更した以外は合成例1と同様にして、ポリマーY2(重量平均分子量1200のポリメタクリル酸メチル)を得た。
2−2)糖エステル化合物
(合成例3)
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。
次いで、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させて、糖エステル化合物Aを得た。
得られた糖エステル化合物Aの平均置換度を、高速液体クロマトグラフィにより、置換度分布を示すチャートの面積比から求めた。その結果、糖エステル化合物Aは、下記例示化合物A−1〜A−5を、それぞれ1.3質量%、13.4質量%、13.1質量%、31.7質量%、40.5質量%含む混合物であり、平均置換度は6.5であった。
Figure 2013235150
(合成例4)
無水安息香酸の添加量を変更した以外は合成例3と同様にして平均置換度5.5の糖エステル化合物Bを得た。
2−3)ポリエステル化合物
ポリエステル化合物A:コハク酸/アジピン酸/エチレングリコール(3/2/5)共重合体、数平均分子量1000
ポリエステル化合物B:
Figure 2013235150
ポリエステル化合物C:
Figure 2013235150
ポリエステル化合物D:下記芳香族末端ポリエステル化合物
Figure 2013235150
2−4)その他
トリアジン化合物:下記式で表されるトリアジン化合物
Figure 2013235150
トリフェニルホスフェート
ビフェニルジフェニルホスフェート
2.位相差フィルムの作製
(製造例1)
微粒子添加液1の作製
下記成分をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて微粒子分散液1を得た。
(微粒子分散液1の組成)
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製):11質量部
エタノール:89質量部
得られた微粒子分散液1を、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながらゆっくりと添加した後、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにてさらに分散させた。得られた溶液を、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を得た。
(微粒子添加液1の組成)
メチレンクロライド:99質量部
微粒子分散液1:5質量部
ドープ1(コア層用ドープ)の調製
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解させた。得られた溶液を、平均孔径34μmのろ紙でろ過した後、平均孔径10μmの焼結金属フィルタでさらにろ過して、ドープ1(コア層用ドープ)を得た。
(ドープ1の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートA(アセチル基置換度2.45):100質量部
ポリマーY2:6質量部
ポリエステル化合物A:12質量部
ドープ2(スキン層用ドープ)の調製
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解させた。得られた溶液を、平均孔径34μmのろ紙でろ過した後、平均孔径10μmの焼結金属フィルタでさらにろ過して、ドープ2(スキン層用ドープ)を得た。
(ドープ2の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートB(アセチル基置換度2.88):100質量部
ポリマーY1:12質量部
ポリエステル化合物D:5質量部
微粒子添加液1:1質量部
得られたドープ1(コア層用ドープ)とドープ2(スキン層用ドープ)を、バンド流延機にて共流延させた。具体的には、走行する流延バンドの上に流延ダイから、ドープ1とドープ2を、スキン層(微粒子を含むスキン層)/コア層(微粒子を含有しないコア層)/スキン層(微粒子を含むスキン層)の順に積層されるように同時多層流延させた。延伸後のフィルムにおける膜厚比が表1に示される値となるように、各ドープの流延量を調整した。
得られた流延膜を、残留溶剤量が約30質量%となるまで乾燥させた後、バンドから剥ぎ取ってウェブを得た。得られたウェブを、テンターにて140℃の熱風で乾燥させた後、ロールで搬送させながら120〜150℃でさらに乾燥させた。
得られたウェブを、テンターにて140℃、延伸倍率35%でウェブの幅方向(TD方向)に延伸した後、140℃で60秒間緩和させて、スキン層/コア層/スキン層の3層構造を有する位相差フィルム101を得た。
(製造例2)
ドープ1(コア層用ドープ)を下記ドープ3に変更し、かつ延伸条件を表1に示されるように変更した以外は製造例1と同様にして位相差フィルム102を得た。
(ドープ3の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースエステルC(エステル基置換度2.46):100質量部
ポリエステル化合物B:6質量部
糖エステル化合物A(置換度6.5):12質量部
(製造例3)
ドープ1(コア層用ドープ)を下記ドープ4に変更し、かつ延伸条件を表1に示されるように変更した以外は製造例1と同様にして位相差フィルム103を得た。
(ドープ4の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートA(アセチル基置換度2.45):100質量部
ポリエステル化合物C:6質量部
糖エステル化合物B(置換度5.5):12質量部
(製造例4)
ドープ1(コア層用ドープ)を下記ドープ5に変更し、かつ125℃、延伸倍率25%で幅方向(TD方向)に延伸した後、125℃、延伸倍率45%で、それと直交する搬送方向(MD方向)に延伸した以外は製造例1と同様にして位相差フィルム104を得た。
(ドープ5の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートB(アセチル基置換度2.88):100質量部
トリフェニルホスフェート:8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート:4質量部
トリアジン化合物:15質量部
(製造例5)
易接着層用組成物の調製
ポリエステルウレタン(第一工業製薬社製、商品名:スーパーフレックス210、固形分33%)16.8g、架橋剤(オキサゾリン含有ポリマー、日本触媒社製、商品名:エポクロスWS−700、固形分25%)4.2g、1重量%のアンモニア水2.0g、コロイダルシリカ(扶桑化学工業社製、商品名:クォートロンPL−3、固形分20重量%)0.42gおよび純水76.6gを混合し、易接着剤組成物を得た。
市販のZEONORフィルム(波長550nmにおけるR:55nm、Rth:260nm、厚み76μm)を、140℃、延伸倍率15%で幅方向(TD方向)に延伸した後、140℃、延伸倍率20%でそれと直交する搬送方向(MD方向)に延伸した。得られた延伸フィルムの片面にコロナ放電処理を施した。コロナ放電における電子照射量は77W/m/minとした。得られたフィルムのコロナ処理面に、易接着剤組成物をバーコーターにて乾燥後の厚みが0.3μmとなるように塗布した後、150℃で乾燥させて、位相差フィルム105を得た。
(製造例6)
延伸後のZEONORフィルムを、ラクトン化ポリメチルメタクリレートフィルム(ラクトン化率20%、UV吸収剤なし、波長550nmにおけるR:0μm、Rth:0nm、厚み30μm)に変更した以外は製造例5と同様にして位相差フィルム106を得た。
(製造例7)
微粒子添加液2の作製
下記成分をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散させて微粒子分散液2を得た。
(微粒子分散液2の組成)
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製):11質量部
エタノール:89質量部
得られた微粒子分散液2を、メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながらゆっくりと添加した後、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにてさらに分散させた。得られた溶液を、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液2を得た。
(微粒子添加液2)
メチレンクロライド:99質量部
微粒子分散液2:5質量部
下記成分をミキシングタンクに投入し、攪拌して溶解させた。得られた溶液を、平均孔径34μmのろ紙でろ過した後、平均孔径10μmの焼結金属フィルタでさらにろ過して、下記のドープ7を得た。
(ドープ7の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートB(アセチル基置換度2.88):100質量部
トリフェニルホスフェート:8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート:4質量部
トリアジン化合物:15質量部
微粒子添加液2:4質量部
得られたドープ7を、バンド流延機にて流延させた。得られた流延膜を、残留溶剤量が約30質量%となるまで乾燥させた後、バンドから剥ぎ取ってウェブを得た。得られたウェブを、テンターにて140℃の熱風で乾燥させた後、ロールで搬送させながら120〜150℃でさらに乾燥させた。
得られたウェブを、テンターにて125℃、延伸倍率25%でウェブの幅方向(TD方向)に延伸した後、125℃、延伸倍率45%で搬送方向(MD方向)に延伸して、単層の位相差フィルム107を得た。
(製造例8)
延伸後のZEONORフィルムに、コロナ放電処理を施さず、かつ易接着剤組成物を塗布しなかった以外は製造例5と同様にして位相差フィルム108を得た。
(製造例9)
ドープ7を製造例2で用いたドープ3に変更し、かつ延伸条件を表1に示されるように変更した以外は製造例7と同様にして位相差フィルム109を得た。
(製造例10)
ドープ7を下記ドープ8に変更し、かつ延伸条件を表1に示されるように変更した以外は製造例7と同様にして位相差フィルム110を得た。
(ドープ8の組成)
メチレンクロライド:340質量部
エタノール:64質量部
セルロースアセテートB(アセチル基置換度2.88):100質量部
ポリマーY1:12質量部
ポリエステル化合物B:5質量部
微粒子添加液1:4質量部
製造例1〜10で得られた位相差フィルムのリターデーションRおよびRthを、以下の方法で測定した。
(リターデーションR、RthおよびDSPの測定)
1)得られたフィルムを、23℃55%RHで調湿した。調湿後のフィルムの3方向の屈折率をアッベ屈折計にて測定し、それらの平均値を平均屈折率とした。
2)調湿後のフィルムに、測定波長550nmの光をフィルム表面の法線に平行に入射させたときの面内方向のリターデーションR(550)を、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)にて測定した。同様に、測定波長480nm、630nmの光をそれぞれフィルム表面の法線に平行に入射させたときの面内方向のリターデーションR(480)およびR(630)も測定した。
3)KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、フィルム面内の遅相軸を傾斜軸として(遅相軸がない場合は、フィルム面内の任意の方向を傾斜軸として)、フィルム表面の法線に対してθの角度から測定波長550nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定した。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で10°毎に合計6点で行った。
4)測定されたR(550)およびR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)により、nx、nyおよびnzを算出して、測定波長550nmでのRth(550)を算出した。リターデーションの測定は、23℃55%RH条件下で行った。
さらに、DSP=R(480)/R(630)を算出した。
製造例1〜10の位相差フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 2013235150
3.偏光板の作製
偏光子の作製
厚さ125μmのポリビニルアルコールフィルムを、温度110℃、延伸倍率5倍で一軸延伸した。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬させた後、ヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬させた。得られたフィルムを水洗した後、乾燥させて厚さ25μmの偏光子を得た。
偏光板201の作製
下記工程1〜5に従って、偏光板201を作製した。
工程1:製造例1で得られたフィルム101を、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬させた後、水洗および乾燥して、表面を鹸化処理した。同様に、コニカミノルタタックKC6UA(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム、厚み60μm)の表面を鹸化処理した。
工程2:前述で作製した偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤中に1〜2秒間浸漬させた。
工程3:偏光子の表面に付着した過剰の接着剤を軽く拭きとった後、偏光子の一方の面に鹸化処理済みのフィルム101を配置し、他方の面に鹸化処理済みのコニカミノルタタックKC6UAを配置して、積層物を得た。フィルム101は、その遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように配置した。
工程4:工程3で得られた積層物を、圧力20〜30N/cm、搬送スピード約2m/分で貼り合わせた。
工程5:貼り合わせた積層物を、80℃の乾燥機中で2分間乾燥させて、偏光板201を得た。
偏光板202〜210の作製
製造例1で得られたフィルム101を、製造例2〜10で得られたフィルム102〜110に変更した以外は前述と同様にして偏光板202〜210を得た。
偏光板211の作製
製造例1で得られたフィルム101を、コニカミノルタタックKC8UX(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム)に変更した以外は前述と同様にして偏光板211を得た。
4.液晶表示装置の作製
(実施例1)
液晶セルの作製
ガラス基板上に、カラーフィルタと、保護膜とをこの順に積層した。得られた保護膜上に、所定のパターンのマスクを介してITOをスパッタリングして、ITO膜を形成した。得られたITO膜上にレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとしてITO膜の露出部をエッチングして画素電極と共通電極を形成し、前述の図3Aに示されるような領域A1、A2およびBを形成した。領域A1の総面積/領域A2の総面積/領域Bの総面積の比率を、40/40/20とした。領域A1とA2の合計幅(図3Aにおける領域A1の横方向長さと領域A2の横方向長さとの和)は300μmとした。画素電極と共通電極の上に、垂直配向膜をさらに形成し、アレイ基板を得た。
一方、前述のアレイ基板とは別に、ガラス基板を準備した。このガラス基板上に、下記式(3)で表されるクマリン基を有するポリイミドを含む光配向膜用ポリイミド溶液を、厚さ70nmにスピンコート法により塗布した。次いで、得られた塗布層を180℃で60分間焼成して光配向膜を形成した。その後、得られた光配向膜面にスキャン露光して配向処理を行い、図3Bに示されるような配向方向の領域a1、a2およびbを有する垂直配向膜を得た。スキャン露光における、光線の基板面の法線に対する入射角は15°とした。これにより、対向基板を得た。
Figure 2013235150
アレイ基板の垂直配向膜上に、スペーサである球状の樹脂ボールを含有する接着剤を枠状に塗布形成した。接着剤からなる枠には、液晶材料を注入するための開口部を設けた。次いで、アレイ基板の垂直配向膜と、対向基板の垂直配向膜とが対向するように、アレイ基板と対向基板とを、枠状の接着剤を介して貼り合わせた。
接着剤に含まれるスペーサであるプラスチックビーズの粒径は5μmとした。液晶セルのギャップdを5.5μmとした。
得られた液晶セル内に、誘電率異方性が正である液晶材料(Δn=0.09、Δε=4)を真空注入法によって注入した。表示用液晶材料を注入した後、注入口を紫外線硬化樹脂で封止して、垂直配向型の液晶セルを得た。得られた液晶セルの△ndは、450nmであった。電圧無印加時における対向基板近傍の液晶分子の、基板の法線に対するプレチルト角は1°であった。電圧印加時には液晶分子が基板面に対して略平行に配向し、かつアレイ基板側から対向基板側にわたってツイスト配向するものであった。
得られた液晶セルの両面に、表2に示されるように偏光板を貼り合わせて、液晶表示装置を得た。
(実施例2〜5、比較例1〜3)
得られた液晶セルの両面に貼り合わせる偏光板を、表2に示されるように変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置のコントラストおよび表示ムラを、それぞれ以下の方法で評価した。
(コントラストの測定)
23℃55%RHの環境下で、液晶表示装置のバックライトを1週間連続点灯させた。その後、液晶表示装置のコントラストを、コニカミノルタセンシング社製分光放射輝度計CS―2000を用いて測定した。具体的には、液晶表示装置を白表示させたときの表示画面の法線方向の輝度と、黒表示させたときの表示画面の法線方向の輝度をそれぞれ測定し、それらの比をコントラストとした。
コントラスト=(白表示させたときの表示画面の法線方向の輝度)/(黒表示させたときの表示画面の法線方向の輝度)
コントラストの評価は、以下の基準に基づいて行った。
◎:コントラストが6500以上
○:コントラストが5500以上6500未満
△:コントラストが4500以上5500未満
×:コントラストが4500未満
(表示ムラの評価)
得られた液晶表示装置を23℃55%RH環境下で24時間湿熱処理した。その後、バックライトを2時間点灯させた後、黒表示させたときの最大輝度と最小輝度を、輝度分布測定装置(コニカミノルタ社製、商品名「CA−1500」)を用いて測定した。
最大輝度と最小輝度の測定は、以下のようにして行った。即ち、液晶パネルの表示画面を横4区画×縦4区画の合計16区画に分割した。そして、縦方向中央部2区画と横方向中央部の2区画の合計4区画の輝度のうち最も小さい輝度を最小輝度とし;全区画(16区画)のうち最も大きい輝度を最大輝度とした。
得られた最大輝度を、最小輝度で除して、黒輝度比を算出した。
黒輝度比=最大輝度/最小輝度
表示ムラの評価は、以下の基準に基づいて行った。
◎:1.50未満
○:1.50以上1.75未満
△:1.75以上2.00未満
×:2.00以上
一方、得られた液晶表示装置を、50℃90%RH環境下で24時間湿熱処理した。その後、前述と同様にして黒輝度比を測定し、表示ムラを評価した。
実施例1〜5および比較例1〜3の液晶表示装置の評価結果を表2に示す。
Figure 2013235150
表2に示されるように、少なくともF3に所定の位相差フィルムを用いた実施例1〜5の液晶表示装置は、比較例1〜3の液晶表示装置よりも、コントラストが高く、かつ表示ムラが抑制されることがわかる。
実施例1〜5の中でも、F3だけでなく、F2にも所定の位相差フィルムを用いた実施例2の液晶表示装置は、コントラストが高く、かつ表示ムラが抑制されることがわかる。
10 液晶表示装置
20 液晶セル
40 第一の偏光板
42 第一の偏光子
44 保護フィルム(F1)
46 保護フィルム(F2)
60 第二の偏光板
62 第二の偏光子
64 保護フィルム(F3)
64a コア層
64b スキン層
66 保護フィルム(F4)
80 バックライト
100 アレイ基板
110 絶縁基板
130 薄膜トランジスタ
131 ゲート電極
133 ゲート絶縁膜
135 島状半導体
137 第1の島状オーミックコンタクト部材
139 第2の島状オーミックコンタクト部材
141 ソース電極
143 ドレイン電極
150 第一の画素電極
150’ 第二の画素電極
170 第一の共通電極
170’ 第二の共通電極
180p 下部保護膜
180q 上部保護膜
181 遮光部材
183 カラーフィルタ
185 コンタクトホール
187 配向膜
191、191’ 第一のスリット
193 第二のスリット
200 対向基板
210 絶縁基板
211 配向膜
225 貫通孔
227 遮光部材181の開口部
300 液晶層
301 液晶分子
A1、A2、B、a1、a2、b 領域
D1 第一の偏光板40の吸収軸
D2 第二の偏光板60の吸収軸

Claims (8)

  1. 液晶セルと、前記液晶セルの一方の面に配置され、第一の偏光子を有する第一の偏光板と、前記液晶セルの他方の面に配置され、第二の偏光子を有する第二の偏光板とを有し、
    前記液晶セルは、薄膜トランジスタと、カラーフィルタと、画素電極と、共通電極とを有するアレイ基板と、配向膜を有する対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に配置され、正の誘電率異方性の液晶分子を含む垂直配向型の液晶層とを含み、
    前記アレイ基板の前記液晶層側の面は、前記画素電極と前記共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域Aを含み、
    前記アレイ基板に対向する前記対向基板の面は、前記領域Aに対向する面である領域aを有し、
    前記対向基板の前記領域a近傍の液晶分子は、電圧無印加時には、前記対向基板面の法線に対して前記第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、
    前記第一の偏光板の吸収軸と前記第二の偏光板の吸収軸とは直交しており、
    前記第一の偏光板は、前記液晶セルの前記アレイ基板側に配置され、かつ
    前記第二の偏光板は、前記液晶セルの前記対向基板側に配置され、前記第二の偏光子と前記対向基板との間に配置された保護フィルムF3をさらに有し、
    前記保護フィルムF3は、微粒子を含む一以上の層と、微粒子を含まず、かつ前記微粒子を含む層の位相差よりも大きい位相差を有する層とを含み、
    前記微粒子を含む一以上の層は、前記保護フィルムF3の最表面に配置されており、
    前記保護フィルムF3の、下記式(I)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される面内方向のリターデーションRが50〜100nmであり、下記式(II)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される厚み方向のリターデーションRthが250〜450nmである、液晶表示装置。
    式(I):R=(nx−ny)×t(nm)
    式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×t(nm)
    (式(I)および(II)において、
    nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
    nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
    nzは、フィルムの厚み方向zにおける屈折率を表し;
    t(nm)は、フィルムの厚みを表す)
  2. 前記第一の偏光板の前記液晶セルとは反対側に配置されたバックライトをさらに有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. プレチルトした前記領域a近傍の液晶分子の長軸と前記対向基板面の法線とのなす角の絶対値が0°超15°以下である、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記アレイ基板の前記液晶層側の面は、第一の画素電極と第一の共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域A1と、第二の画素電極と第二の共通電極との間に形成される第一のスリットを有する領域A2と、前記領域A1と前記領域A2との間に設けられ、第一の画素電極と第二の画素電極との間に形成される第二のスリットを有する領域Bとを含み、
    前記アレイ基板に対向する前記対向基板の面は、前記領域A1に対向する面である領域a1と、前記領域A2に対向する面である領域a2と、前記領域Bに対向する面である領域bとを有し、
    前記対向基板において、電圧無印加時には、
    前記領域a1近傍の液晶分子は、前記対向基板面の法線に対して前記領域A1の第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、
    前記領域a2近傍の液晶分子は、前記対向基板面の法線に対して前記領域A2の第一のスリットの長軸方向にプレチルトしており、かつ
    前記領域a1近傍の液晶分子の傾きと前記領域a2近傍の液晶分子の傾きとは互いに逆である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  5. 前記領域A1、前記領域A2および前記領域Bの面積比は、領域A1/領域A2/領域B=50〜40/50〜40/0〜20である、請求項4に記載の液晶表示装置。
  6. 前記液晶セルのΔndが400超である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第一の偏光板は、前記第一の偏光子と前記アレイ基板との間に配置された保護フィルムF2をさらに有し、
    前記保護フィルムF2の、前記式(I)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される面内方向のリターデーションRが0〜5nmであり、前記式(II)で定義され、かつ測定波長550nmで測定される厚み方向のリターデーションRthが0〜10nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記保護フィルムF3の測定波長480nm、630nmで測定される面内方向のリターデーションをそれぞれR(480)、R(630)としたとき、R(480)/R(630)が0.90以上1.05未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016153839A (ja) * 2015-02-20 2016-08-25 コニカミノルタ株式会社 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
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