JP2011213792A - 水性顔料分散液の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェット記録用印刷に必要な、良好な分散性、吐出性を保持しつつ、印刷画像の印字濃度向上、耐擦過性向上を達成することが可能なインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法を提供すること。
【解決手段】顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程と、前記顔料分散体を水性媒体中に混合、撹拌する混合工程を有する水性顔料分散液の製造方法であって、糖類化合物を水性顔料分散液の製造工程の特定の段階で添加することにより、良好な分散性、吐出性を保持しつつ、印刷画像の印字濃度向上、耐擦過性向上を達成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットプリンター用記録液等に利用可能な水性顔料分散体およびそれを用いたインクジェット用インク、および水性顔料分散体の製造方法に関する。
従来、水を主成分とする液体媒体中に色材を溶解あるいは分散したインクジェット用インクが利用されている。インクジェット記録方式は、微細なノズルからインク液滴を吐出することで直接被印刷物上に文字や画像を形成することが可能であり、インクジェット記録は、近年幅広い用途への展開が検討されている。
インクジェット記録方式には、染料を色材とする水性インクが多く用いられるが、近年は耐水性、耐光性等の堅牢性により優れた記録物を得るために、顔料分散体を色材とする水性顔料インクをオンデマンドインクジェット記録に用いる試みが為されるようになってきた。
このようなインクジェット記録に用いられるインクには種々の特性が要求されている。すなわち、微小粒径で水性媒体に分散しうる分散性、長期保存中にインク物性が変化しないための分散安定性、微細なノズルを目詰まりさせないための吐出安定性、さらに画像印刷を行ったときの印刷塗膜の特性として、印刷物の濃度が高く鮮明であること、耐擦過性や耐水性、耐光性などが良好なことなどが挙げられる。
特に色材に顔料を用いたインクは、染料を用いたインクに比べて耐水性、耐光性は優れているが、水性媒体中に安定分散させるのが困難で、種々の分散剤を用いた製造方法が検討されている。特許文献1においては分散剤としてスチレンアクリル酸系共重合体を用いて、水性媒体中に顔料を分散して水性顔料分散液が作製され、また特許文献2においては、水性媒体中に分散する前に顔料、樹脂、湿潤剤、塩基性化合物を含有する混合物を混練して固形混練物を作製し、しかる後に該混練物を水性媒体中に分散することが行われている。
このような検討により、顔料を用いたインクジェット記録用インクの分散性、分散安定性は格段に向上したが、印刷塗膜に求められる高濃度、耐擦過性の点では、顔料を用いたインクは染料を用いたものに比較すると劣っており、依然として改良すべき点が残されている。
例えばインクの定着性を良好にするために、インク中に界面活性剤等の浸透性を高める化合物を添加したり(特許文献3参照)、揮発性インクを用いることが提案されている(特許文献4参照)。しかし浸透性を高めるとインク中の色材も記録媒体の奥深くまで浸透してしまうため、画像濃度及び彩度が低下するという不都合が生じる。また揮発性溶剤を主体としたインクを用いる場合には、記録ヘッドのノズル部での溶剤の蒸発による目詰まりが発生しやすくなるという問題がある。
もともと顔料系インクは顔料が記録媒体表面に残留しづらく、印字濃度が低いという欠点がある。しかし印字濃度を向上させるために、インク中の顔料量を増やすとインク粘度の増大を招き、インクの吐出性が低下するという欠点がある。
そこで印字濃度を向上させるため、顔料系インクにおいては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー及びα,β―エチレン性不飽和カルボン酸を含有するポリマーを添加したり(例えば、特許文献5参照)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートモノマー又はポリ(トリメチレングリコール)(メタ)アクリレートモノマーからなる高分子分散剤を添加すること(例えば、特許文献6参照)等が提案されている。また、顔料系インクの吐出安定性を向上させるために、ポリマー微粒子を添加したり(例えば、特許文献7)、エチレンオキサイド付加物を添加すること(例えば、特許文献8参照)等が提案されている。しかしながら、オキシエチレン基又はオキシトリメチレン基を含有する(メタ)アクリレートモノマーを共重合させたポリマーには、ポリマー自体の親水性が高く、コピー用紙に浸透しやすく、印刷すると印字濃度が低くなる欠点があるとともに、安定した吐出性を確保することが困難であるという欠点がある。さらに耐擦過性を改良するため、顔料インク中に水溶性高分子化合物を添加することが提案されている(例えば特許文献9)。しかし耐擦過性は改良されても、高分子化合物添加で顔料インクの粘度が高くなる傾向があり、インクジェットノズルの目詰まりを起こしやすいという問題があった。
さらに、インクジェット記録方法によって得られる画像の耐擦過性を向上することを目的として、水酸基を有する樹脂を用いて顔料が分散されたインクが提案されている(例えば特許文献10)。また吐出安定性を改善し、印字特性、定着性に優れた水性インクを得るために、ポリグリセリンポリオキシアルキレン脂肪酸の顔料分散剤を用いたインクが提案されている(特許文献11)。またインクの噴射に先立って、記録媒体上に予め画像を良好にせしめる液体を付着させておく方法が提案されている(特許文献12)。
しかしこれら従来の方法では印字濃度、耐擦過性の十分な改良が為されないか、またたとえ改良が為されたとしても、吐出性不良等の不具合が生じたり、また一液のみで画像印刷を行うことのできるインクジェット記録方法の長所を損なうものであった。
一方、ノズルの目詰まり改善を目的として、インクジェット記録用インクに糖類を添加する試みが為されている(例えば特許文献13、14)。糖類の添加については他にも、フェザリングやブリーディングを抑制することを目的としたり(特許文献15)、インクの耐乾燥性を向上させることを目的としたり(特許文献16)、ゲル化特性を利用したインクのにじみを制御することを目的として(特許文献17)行われてきたが、糖類の添加と印字濃度の向上、耐擦過性向上との関係についてはほとんど指摘されていない。
糖類の添加と耐擦過性との関係については、セルロース誘導体、加工デンプン類の添加によって水性顔料インクの耐擦過性を改善する試みが報告されているが(特許文献18、19)、単にインクジェット記録用インクの配合成分としてこれら糖類を添加するだけでは、耐擦過性の向上には不十分であった。しかも耐擦過性の効果を発現させるためには糖類を多量に添加することが必要で、これら多量に加えられる場合の糖類は、分散剤や湿潤剤としての機能を同時に果たす場合もあるが、インクジェット記録用インク組成物の粘度特性が大きく変化する可能性があるとともに、吐出性、浸透性等にも影響を与える可能性がある。加えて多量の糖類の添加は他の添加物の配合自由度を狭め、インク物性の微調整、最適化を困難にし、また本来のインクジェット記録用インクの分散性を損なう可能性もある。したがって、少量の添加で効果的に耐擦過性を向上させ、しかもインクの分散性を妨げない添加物が必要とされ、また少量の添加で耐擦過性を向上させるような、該添加物のインクジェット記録用インク組成物への配合方法が必要とされていた。
特開2002−256201号公報 特開2004−263035号公報 特開昭55−65269号公報 特開昭55−66976号公報 特開平6−306317号公報 特開2000−144031号公報 特開平8−218015号公報 特開平8−176481号 特開平4−59880号公報 特開2007−146127号公報 特開2006−8881号公報 特開2005−22329号公報 特開平2−018427号公報 特開平9−095636号公報 特開平6−228477号公報 特開平2−214785号公報 特開平7−258590号公報 特開平8−231910号公報 特開2000−95988号公報
本発明の目的はインクジェット記録用印刷に必要な、良好な分散性、吐出性を保持しつつ、印刷画像の印字濃度向上、耐擦過性向上を達成することが可能なインクジェット記録用水性顔料分散液の製造方法を提供することである。
発明者らは上記課題を解決するために、水性顔料分散液の原材料と製造工程、及び製造工程の各段階において添加すべき各種添加剤について検討を行った結果、糖類化合物を水性顔料分散液の製造工程の特定の段階で添加することにより、上記課題に対する解決がなされることを見いだし、本発明を完成した。すなわち本発明は、顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)、並びに糖類もしくはその誘導体(e)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程と、前記顔料分散体を水性媒体中に混合、撹拌する混合工程を有することを特徴とする水性顔料分散液の製造方法を提供する。
さらに本発明は、上記水性顔料分散液の製造方法によって製造された水性顔料分散液を、水性媒体で希釈する希釈工程を有するインクジェット記録用インク組成物の製造方法を提供する。
さらにまた本発明は、顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)湿潤剤(d)、及び糖類またはその誘導体(e)を含有することを特徴とする常温で固体の顔料分散体を提供する。
本発明の製造方法が印字濃度の向上、耐擦過性の向上に極めて顕著な効果を有することについては以下の理由が考えられる。
すなわち、顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)、並びに糖類またはその誘導体(e)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程においては、顔料粒子に印加される高剪断力によって顔料の微細化が進行し、微細化された顔料表面は塩基性化合物存在下の湿潤剤によって膨潤されたスチレン−アクリル酸系共重合体により被覆される。一方で、高剪断力下の混練において糖類またはその誘導体(e)が、微細化された顔料表面および、または微細化された顔料表面を被覆したスチレン−アクリル酸系共重合体に効率的に吸着する。顔料に吸着した糖類またはその誘導体(e)は、それらの有する水酸基と紙の主成分であるセルロール水酸基との間で分子間水素結合し、顔料と紙との定着力が向上した結果、顔料が紙表面に留まるため印字濃度が向上し、顔料と紙とのセット性が高まるために耐擦過性が向上すると考えられる。
本発明の水性顔料分散液、及びインクジェット記録用インク組成物の製造方法は、顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)、並びに糖類またはその誘導体(e)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程を有するので、製造される水性顔料分散液、及びインクジェット記録用インク組成物は、良好な分散性、吐出性および鮮明で印字濃度が高く、耐擦過性の良好な記録画像を与えるという効果が発揮される。
以下に、まず本発明の製造方法において使用する各種の原材料について詳細に説明を行い、続いてそれら原材料を用いた本発明の水性顔料分散液の製造方法を詳細に説明する。
本発明の製造方法において混練工程で使用する糖類またはその誘導体は三糖以上の多糖類またはその誘導体でもよく、二糖類またはその誘導体でもよく、単糖類またはその誘導体でもよい。
糖の誘導体は、糖脂肪酸エステル、糖ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、糖アルコール、糖酸、アミノ糖、チオ糖等が挙げられる。
多糖類またはその誘導体としては、例えばデンプン類、加工デンプン類、ポリグリセリン類、セルロース類等が挙げられる。デンプン類としては、例えば、とうもろこしデンプン、小麦デンプン、米デンプン、タピオカデンプン、馬鈴薯デンプン、甘藷デンプン等が挙げられる。加工デンプン類としては、例えばカチオン化デンプン、リン酸エステル化デンプン、アセチル化デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、酸化デンプン、デキストリン等が挙げられる。ポリグリセリン類としては、デカグリセリンカプリル酸エステル、デカグリセリンラウリン酸エステル、デカグリセリンミリスチン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンベヘニン酸エステル、デカグリセリンエルカ酸エステル等が挙げられる。セルロース誘導体としては、例えばメチルセルロースが挙げられる。これら多糖類またはその誘導体は、糖の主成分であるセルロースと同類であるのでセルロース分子中の水酸基と糖類中の水酸基による強い水素結合力、糖類とセルロースの分子間で働くファンデルワールス力のために強い結着力を示す。
二糖類としては、例えばマルトース、イソマルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、イソトレハロース、ゲンチオビオース、メリビオース、ツラノース、ソホロース、イソサッカロース等が挙げられ、その誘導体としては、例えばマルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトール、スクロースステアリン酸エステル、スクロースパルミチン酸エステル、スクロースミリスチン酸エステル、スクロースオレイン酸エステル、スクロースラウリン酸エステル、スクロースベヘニン酸エステル、スクロースエルカ酸エステル等が挙げられる。
単糖類としては、例えばトレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、プシコース、アルトロース等が挙げられ、その誘導体としてはグリセリン、トレイトール、エリトリトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、リキシトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、グリトール、タリトール、ガラクチトール、アリトール、アルトリトール、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート、等が挙げられる。
これら糖類のうち単糖類および二糖類ならびにそれらの誘導体は、それらの有する水酸基が多糖類の水酸基と同様の特性を示すため印刷画像の耐擦過性に効果的であり、かつ多量に加えた場合の物性変化が三糖類以上の多糖類に比べて少なく好ましい。さらに各種官能基を有する誘導体を形成することにより個々の糖類に対して、その疎水性、親水性の調整、各種特性の制御を行った糖類誘導体を利用し易く好ましい。特に単糖類およびその誘導体がさらに好ましい。
単糖類および二糖類の誘導体としては、それらの糖または糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物及び/又は該付加物のアルキル、アルケニル、アリールエーテル化合物であることが好ましい。それらの糖または糖アルコール1分子に対して付加するアルキレンオキサイドのモル数は、1〜100が良く、さらに1〜50が好ましく、さらに好適には2〜25である。これら単糖類及び二糖類の誘導体には1分子当たり少なくとも水酸基が一つあることが好ましく、2つ以上であることがさらに好ましい。
これらの糖または糖アルコールのアルキレンオキサイド付加物をエーテル化するアルキル基、アルケニル基又はアリール基としては、C〜C20のアルキル基、アルケニル基及びフェニル基、置換フェニル基、ナフチル基、置換ナフチル基等のアリール基があげられる。
エーテル化の位置は、糖または糖アルコールの水酸基であっても、アルキレンオキサイド鎖末端の水酸基であってもよい。
本発明に使用する単糖類または二糖類の誘導体は、混練工程において分散樹脂とともに疎水性の顔料表面に吸着し、また顔料に吸着したのち、分散樹脂の分散機能を阻害せず、分散樹脂とともに顔料の分散性を高める機能を果たすものであることが好ましく、水性媒体中で界面活性剤として機能するものであることが好ましい。特にHLBが8以上のものであることが好ましい。
本発明において使用する、糖類または糖類の誘導体においては、上記単糖類または二糖類およびそれらの誘導体のなかでも、単糖類およびそれらの誘導体がさらに好ましく、さらに単糖類がヘキソースであることがさらにより好ましい。
ヘキソースとしては、具体的にはアルトロース、アロース、イドース、ガラクトース、キノボース、グロース、ジキタロース、ジキトキソース、シマロース、ソルボース、タガロース、タロース、フコース、フルクトース、マンオース、ラムノース等が挙げられる。またその誘導体としてのヘキソースの糖アルコールとしては、イノシトール、ガラクチトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。またヘキソースまたはその糖アルコールに対して付加するアルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトロヒドロフラン等が挙げられ、好ましい付加モル数および付加の形態については、すでに単糖類及び二糖類のところで記載したと範囲と同様である、またそれらにアルキル、アルケニル、アリールエーテル化合物が付加してもよく、アルキレンオキサイド付加物をエーテル化するアルキル基、アルケニル基、又はアリール基等の好ましい炭素数についてもすでに記載した通りである。
上記ヘキソース及びヘキソースの誘導体の中でも、ヘキソースの糖アルコールであるソルビトールおよびその誘導体を用いることが好ましい。特にソルビトールが分子内脱水したソルビタンは、界面活性剤の原材料として知られておりソルビタンおよびその誘導体を用いることが好ましい、ソルビタンの誘導体としてはその脂肪酸エステル、アルキレンオキサイド付加物、該付加物のアルキルエーテル化合物が好ましい。ソルビタンは分子内脱水を行う位置により異なる2つの構造を有し、その誘導体としては上記の官能基を有する以下の一般式(1)または(2)で表される構造のものをそれぞれ好ましく使用することができる。
Figure 2011213792
(1)
(但し、式中、X、Y、Zはそれぞれ独立に水素原子または−(CHCHO)mRまたは−(CHCHCHO)mRまたは−CORであり、Wは−(CHCHO)n−、または−(CHCHCHO)n−であり、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜30のアルキル基であってmは1〜100の整数、nは0または1〜100の整数であり、X,Y,Z中のmはそれぞれ異なっていてもよい。)
Figure 2011213792
(2)
(但し、式中、X、Y、Zは水素原子または−(CHCHO)mRまたは
−(CHCHCHO)mRまたは−CORであり、Wは−(CHCHO)n−、または−(CHCHCHO)n−であり、R1、R2、R3は水素原子または炭素原子数1〜20のアルキル基であってmは1〜100の整数、nは0または1〜100の整数であり、X,Y,Z中のmはそれぞれ異なっていてもよい。)
これら2つ構造のなかでは一般式(1)の構造をとるものが好ましい。
上記の式においてX、Y、Zのうちの少なくとも一つは水素原子、または−(CHCHO)mHであることが好ましい。
mは1〜50の整数であることが好ましく、nは0または1〜50の整数であることが好ましく、さらにmは1〜25の整数であることがさらに好ましく、nは0または1〜25の整数であることがさらに好ましい。またR1、R2、R3は水素原子または炭素原子数5〜30のアルキル基であることが好ましく、さらに水素原子または炭素原子5〜20のアルキル基であることがさらに好ましい。
これらソルビタンの誘導体の中では基本的に界面活性剤としての機能を併有しているものが好ましく、たとえば、ソルビタン脂肪酸エステルが用いられ、その具体例としては、単糖類の誘導体としても一部すでに例示したが、1,5ソルビタンモノステアレート、1,4ソルビタントリステアレート、1,5ソルビタンモノラウレート、1,4ソルビタンモノパルミテート、1,5ソルビタントリオレエート、1,4ソルビタントリミリステート等を挙げることができる。さらにこれらソルビタン脂肪酸エステルは顔料を着色剤とするインクジェット記録用組成物に好適に使用される分散剤として用いることも可能である。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、さらにエチレンオキサイドを付加したポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルがより好ましく、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルは、下記一般式(3)または(4)
Figure 2011213792
(3)
(但し、式中のX,Y,Zはそれぞれ独立に水素原子、−(CHCHO)mH、−(CHCHCH)mH、または−CO−Rであり、Wは−(CHCHO)n−、または−(CHCHCHO)n−であり、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜30のアルキル基であって、mは1〜100の整数、nは0または1〜100の整数を表し、X,Y、Zのうちの少なくとも一つは−(CHCHO)mH、または−(CHCHCH)mHでありX,Y,Z中のmはそれぞれ異なっていてもよい。)
Figure 2011213792
(4)
(但し、式中のX,Y,Zはそれぞれ独立に水素原子、−(CHCHO)mH、−(CHCHCH)mH、または−CO−Rであり、Wは−(CHCHO)n−、または−(CHCHCHO)n−であり、R1、R2、R3はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜30のアルキル基であって、mは1〜100の整数、nは0または1〜100の整数を表し、X,Y、Zのうちの少なくとも一つは−(CHCHO)H、または−(CHCHCHHでありX,Y,Z中のmはそれぞれ異なっていてもよい。)
で表されるものが好適に使用される。
mは1〜50の整数であることが好ましく、nは0または1〜50の整数であることが好ましく、さらにmは1〜25の整数であることがさらに好ましく、nは0または1〜25の整数であることがさらに好ましい。またR1、R2、R3は水素原子または炭素原子数5〜30のアルキル基であることが好ましく、さらに水素原子または炭素原子5〜20のアルキル基であることがさらに好ましい。
ポリオキシアルキレン鎖の種類と長さを調整することにより、親水性、疎水性の程度を調整しやすく、顔料への吸着性と吸着された顔料の分散性を良好にするようこれらを最適化することができる。
これらポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステルの中では、混練工程で顔料表面に吸着しかつ顔料の分散性を妨げないためにHLBが8以上のものが好ましく13以上のものがより好ましい。
ソルビトールまたはその誘導体の具体例を以下に商品例とともに例示すると、以下のようになる。すなわち、ヤシ油脂肪酸ソルビタン(イオネットS−20)、モノステアリン酸ソルビタン(イオネットS−60V)、モノオレイン酸ソルビタン(イオネットS−80)、トリオレイン酸ソルビタン(イオネットS−85)、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン(イオネットT−20C)、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(イオネットT−60V)、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(イオネットT−80V)等(いずれも三洋化成工業社製)があげられる。
これら糖類及び糖類誘導体を混練工程において添加するときは、顔料(a)に対して0.2〜50質量%が好ましい。添加量が0.2質量%未満であると、混練工程に糖類及び糖類誘導体を添加する効果が十分には発現しない傾向にある。一方50質量%を超えて添加すると混練工程における顔料(a)とスチレンーアクリル酸系樹脂(b)の最適配合量比率や、混練物の最適な固形分比率のバランスを崩す可能性があり、十分な剪断力の印加がなされず、また顔料表面の樹脂による良好な被覆が行われなくなる傾向がある。
混練工程における糖類および糖類誘導体の添加量は、顔料(a)に対して0.5〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%がさらに好ましい。
本発明の製造方法において混練工程で使用するスチレン−アクリル酸系共重合体は、構成モノマー成分として、スチレン系モノマー成分とラジカル重合性の二重結合を有しカルボキシル基を有するモノマー成分からなる。分散安定性、長期保存安定性の点から、スチレン系モノマー成分が全構成モノマーの総和に対して50質量%以上、含まれていると好ましい。スチレン系成分は60質量%以上含有されているとより好ましく、70質量%以上含有されているとさらに好ましい。共重合体スチレン−アクリル酸系共重合体中のスチレンモノマー成分の含量を50質量%以上とすることにより、共重合スチレン−アクリル酸系共重合体の疎水性が増加し、水系においてはより強固に顔料へのスチレン−アクリル酸系共重合体被覆が行われる。特に本願発明においては混練工程において糖類または糖類誘導体を添加して混練を行う。このようにスチレン系成分量を高く含有させることによって、糖類または糖類誘導体の添加によっても、スチレン−アクリル酸系アクリル酸系共重合体の顔料表面への吸着が阻害されることなく、良好な被覆が進行する。その結果、水性顔料分散液を経て作製されたインク組成物をインクジェットに用いたときに分散性、分散安定性が高く、スチレン−アクリル酸系共重合体被覆粒子が加熱されても、その粒径が安定であり、粘度や粒径の高温保存安定性が向上する。そして凝集体の発生が抑制されるため吐出安定性が向上し、かつ高い印字濃度が得られる。さらに被記録媒体上の印刷塗膜の耐久性の向上にも効果的である。このような特性は前記インク組成物を、特にサーマルジェットタイプのインクジェット記録用に用いるときに好ましい。なお本発明において、単にモノマーという場合には、重合前のモノマーを指しモノマー成分という場合には、スチレン−アクリル酸系共重合体中に含まれるモノマー由来の構造を示すものとする。
また、本発明で使用するスチレン−アクリル酸系共重合体の酸価は60〜300mgKOH/gの範囲が好ましく、80〜230mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお酸価とは、スチレン−アクリル酸系共重合体1gを中和するに必要な水酸化カリウム(KOH)のミリグラム(mg)数である。酸価が60mgKOH/gより小さいと、親水性が小さくなり、顔料の水性媒体への分散安定性が低下するおそれがある。一方、酸価が300mgKOH/gより大きいと、顔料の凝集が発生し易くなり、またインク組成物を用いた印字品の耐水性が低下するおそれがある。
本発明で使用するスチレン−アクリル酸系共重合体の質量平均分子量は3000〜20000、さらに好ましくは4000〜15000、さらに好ましくは6000〜12000、最も好ましくは8000〜12000である。質量平均分子量を3000以上とすることで、初期的な分散性に加えて、長期的な保存安定性も良好に維持できる傾向がある。また、質量平均分子量を20000以下とすることで水性顔料分散液の粘度が高くなることを抑制しやすく、またスチレン−アクリル酸系共重合体の初期的な分散性、溶解性などを良好に維持できる傾向にある。特に6000〜12000の範囲はインク組成物の加熱時の安定性と吐出性を両立できるため、該インク組成物をサーマルジェットタイプのインクジェット記録用に用いる時に好適である。
本発明の製造方法において使用する顔料は公知の有機顔料及び無機顔料を特に制限なく使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、また併用で使用してもよい。該顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、フタロン系顔料、イソインドリノン系顔料、メチン・アゾメチン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾレーキ系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料等の有機顔料、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナ白、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトボン、カドミウムイエロー、朱、カドミウムレッド、黄鉛、モリブデートオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、クレー、タルク、群青、沈降性硫酸バリウム、バライト粉、炭酸カルシウム、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、カーボンブラック、アルミニウム粉、パール系顔料等の無機顔料が挙げられる。また、これらの顔料が表面処理されており、水性媒体に対して自己分散機能を有しているものであっても良い。
より具体的には、無機顔料としては、例えばカーボンブラック、チタンブラック、ベンガラ、酸化亜鉛、酸化チタンなど使用することができる。また有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントイエロー154、などのモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントオレンジ13などのジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド57:1などのアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36などのフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122などのキナクリドン顔料、などを用いることができる。
顔料とスチレン−アクリル酸系共重合体の質量比率に関しては、スチレン−アクリル酸系共重合体は顔料表面を安定に被覆するのに必要な量、存在していれば十分であり、それをこえるスチレン−アクリル酸系共重合体の含有はむしろ好ましくない。スチレン−アクリル酸系共重合体が過剰量存在すると、水性顔料分散液やインク組成物を作製したときに、顔料に吸着しない遊離のスチレン−アクリル酸系共重合体が増加するため、特にインクジェット記録用インク組成物として使用したときに該スチレン−アクリル酸系共重合体がインクノズルに固着してインク吐出不良の原因となりやすく、特にサーマルジェットプリンターにおいてはこの吐出不良の問題が発生する危険性が高い。そのため、本発明の水性顔料分散液の製造において、スチレン−アクリル酸系共重合体/顔料の質量比率は0.1〜0.6となる様にすると好ましい。スチレン−アクリル酸系共重合体に対して顔料の配合比率が多すぎると前記の問題点が発生し易く、顔料の配合比率が少なすぎると顔料がスチレン−アクリル酸系共重合体によって充分に被覆されず、分散安定性、長期保存安定性が低下するおそれがある。
本発明の製造方法において混練工程で使用する顔料、塩基性化合物、湿潤剤はカルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系共重合体と塩基性化合物とを混合することにより、前記カルボキシル基が中和された水性顔料分散液用顔料分散体が得られる。その結果、水性顔料分散液用顔料分散体と水との親和性が向上し、水性顔料分散液の製造時に、水性顔料分散液用顔料分散体が水中に速やかに分散し、製造効率が向上する。また、水性顔料分散液中のスチレン−アクリル酸系共重合体被覆顔料粒子の分散状態がより安定となり、分散安定性、長期保存安定性も向上する。また、混練時に塩基性化合物を配合すると、塩基性化合物とカルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系共重合体との相互作用によってスチレン−アクリル酸系共重合体が膨潤状態になりやすく、顔料がスチレン−アクリル酸系共重合体に充分に被覆されやすい状態で混練することができる。そのため、混練中に顔料が微粉砕され、微分散された顔料の表面が被覆されつつ解砕が進行する。スチレン−アクリル酸共重合体で表面を被覆された顔料は水性媒体に分散された後は、顔料表面に吸着したスチレン−アクリル酸共重合体同士の立体障害効果で再凝集が抑制されるため粗大粒子が減少しやすくなる。このため、後工程で粗大粒子をさらに解砕する工程を省略し易く、収率が向上するという効果も得られる。
塩基性化合物としては、無機系塩基性化合物、有機系塩基性化合物のいずれも用いることができる。アルカリ強度を調整し易い点において、無機系塩基性化合物がより好ましい。有機系塩基性化合物としてはアミンなどが挙げられる。例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの一般的なアミンを例示することができる。アミンの場合は一般に液体状であるので、そのままの形態で用いることができる。無機系塩基性化合物としては、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩、カルシム、バリウムなどのアルカリ土類金属の炭酸塩;などを例示することができる。中でも、カルボキシル基を含むスチレン−アクリル酸系共重合体の中和によって該スチレン−アクリル酸系共重合体の分散性を向上させることに効果的であるため、強アルカリのものが好ましく、具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物が好ましい。なお、無機系塩基性化合物は混合性向上の点などから、通常、20〜50質量%濃度程度の水溶液の形態で用いられる。
塩基性化合物の配合量は、前記カルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系共重合体の中和率が20%以上、好ましくは40%以上となる様に設定されることが、水溶性溶剤中の分散速度の向上、分散安定性、長期保存安定性の点から好ましい。上限値は特に限定しないが、実質的には、長期保存時に分散安定性があり、ゲル化しないためにも、200%以下、好ましくは40%以上120%以下、さらに好ましくは80%以上120%以下とされる。さらに塩基性化合物は、混練する前に、混合物に配合する他の配合成分とともに一括混合して混合物としておくことが好ましい。例えば混合物は、予めカルボキシル基を含むスチレン−アクリル酸系共重合体と水と塩基性化合物を混合してスチレン−アクリル酸系共重合体水溶液を作製しておき、これを顔料等の他の配合成分に添加するなどして、複数段階に分けて混合し、製造することもできるが、塩基性化合物と他の配合成分を一括配合して混練用の混合物を作製するほうが、該スチレン−アクリル酸系共重合体の顔料の表面への吸着が効率的に進行する点で好ましい。なお、ここで中和率とは、下記の式によって計算される値である。
中和率(%)=(塩基性化合物の質量(g)×56×1000)/(スチレン−アクリル酸系共重合体酸価×塩基性化合物の当量×スチレン−アクリル酸系共重合体量(g))×100
本発明の製造方法において混練工程で使用する湿潤剤は、水溶性有機溶剤のうちインクジェット記録用の水性顔料分散液に湿潤剤として通常使用される公知のものを特に制限なく使用することができる。例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、およびこれらと同族のジオールなどのジオール類;ラウリン酸プロピレングリコールなどのグリコールエステル;ジエチレングリコールモノエチル、ジエチレングリコールモノブチル、ジエチレングリコールモノヘキシルの各エーテル、プロピレングリコールエーテル、ジプロピレングリコールエーテル、およびトリエチレングリコールエーテルを含むセロソルブなどのグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、およびこれらと同族のアルコールなどのアルコール類;あるいは、スルホラン;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;N−(2−ヒドロキシエチル)ピロリドンなどのラクタム類;グリセリンおよびその誘導体などの他、湿潤剤として知られる各種の水溶性有機溶剤を挙げることができる。これらの湿潤剤として用いられる水溶性有機溶剤は1種または2種以上混合して用いることができる。水溶性有機溶剤の選択は、使用するスチレン−アクリル酸系共重合体に対して、ある程度の溶解性を持つものが好ましく、混練工程においてはスチレン−アクリル酸系共重合体の溶解性によってもその添加量が調整される。
これら湿潤剤として用いられる水溶性有機溶剤は、水性顔料分散液中で湿潤剤、乾燥防止剤としての機能を良好に果たす必要があるため、これらの中でも高沸点、低揮発性で、高表面張力の常温で液体の多価アルコール類が好ましく、特にジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類が好ましい。グリコール類は一般的にインク組成物に含まれている場合が多く、最終製品であるインクジェット記録用インク中に残留しても問題がなく、混練工程後の被混練物である着色混練物中から除去を行う必要がない。本発明の製造方法においては塩基性化合物の存在下で混練工程を行うため、スチレン−アクリル酸系共重合体は湿潤剤として用いられる水溶性有機溶剤によって容易に膨潤して混練に適したひとかたまりの混合物となりやすい。このため混練工程に用いる水溶性有機溶剤として、特にスチレン−アクリル酸系共重合体の溶解力の高いものを使用する必要はない。
そのため、本発明の水性顔料分散体の製造において、湿潤剤/顔料の質量比率は温練時の混合物が良好に混練できる形態となりやすいものが好ましく、0.2〜1.4となる様にすると好ましい。湿潤剤の量が顔料の0.2倍未満では混練初期に顔料の表面を充分に濡らすことができなかったり、スチレン−アクリル酸系共重合体を溶解、部分溶解、または膨潤させることができず、その効果を充分に得ることができないおそれがある。また湿潤剤の量が顔料の1.4倍を超えると混練用混合物粘度が低下し、十分な混練が行えないため、顔料の分散性が低下し、インク組成物において、吐出不良等の画質低下を生じさせるおそれがある。なお、上述の様に、塩基性化合物などに由来して溶剤の役割を果たすものが他に配合されている場合には、これを考慮して水溶性有機溶剤の配合量を決定すると好ましい。
次に本発明の水性顔料分散液の製造方法を詳細に説明する。
本発明の水性顔料分散液の製造方法においては、顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)、及び糖類またはその誘導体(e)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程と、前記顔料分散体に水性媒体を混合、撹拌して該顔料分散体を液状化し、前記顔料分散体を水性媒体中に分散させる混合工程を有する。
前記混練工程においては、塩基性化合物と湿潤剤の存在下、スチレン−アクリル酸系共重合体が膨潤状態となり、顔料を含む混合物がひとかたまりの粘土状の被混練物となって、混練装置内で大きな剪断力を受ける。該剪断力によって顔料はさらに粒径の小さい微細顔料粒子へと解砕されるとともに、解砕された微細顔料粒子表面には膨潤状態となったスチレン−アクリル酸系樹脂が押しつけられ、顔料粒子表面のスチレン−アクリル酸系樹脂による被覆が進行する。このとき糖またはその誘導体(e)も大きな剪断力を受け、前記微細顔料粒子表面及び、該微細顔料粒子表面を被覆しているスチレン−アクリル酸系樹脂表面への吸着が進行する。このため本願水性顔料分散液の製造方法における混練工程においては、水性顔料分散液用混練物である混練後の顔料分散体の固形分比が50〜80質量%となるように混練を行うことが好ましい。固形分濃度が50質量%以下であると十分な剪断力をかけることができず、顔料(a)の凝集を解砕することが不十分となる傾向があると同時に、均一な着色混練物が得られにくい傾向がある。一方固形分比が80質量%以上であると、たとえ加温して樹脂を充分に軟化させたとしても混練が困難になりやすい。加えて、固形分比率が高くなりすぎると、混練後の混合物を水性媒体中に分散する工程で、水性媒体による低粘度化が困難となる傾向がある。
混練工程においてはスチレンアクリル酸系樹脂(b)と糖類またはその誘導体(e)が、顔料表面に吸着可能であるが、スチレンアクリル酸系樹脂は疎水性の高いスチレン部位が顔料表面に良好に吸着するため、糖類またはその誘導体(e)が共存しても、解砕された顔料表面のスチレンアクリル酸系樹脂による被覆を阻害することがなく、良好な被覆が行われる。このための混練工程における顔料(a)に対するスチレン−アクリル酸系共重合体(b)の質量比(b)/(a)は0.1〜0.6であることが好ましい。(b)/(a)が0.1以上の場合は、顔料がスチレン−アクリル酸系樹脂により十分に被覆される傾向にあり、顔料の樹脂による被覆不足を避けることができる傾向がある。また(b)/(a)が0.6以下であれば顔料表面に吸着していない過剰なスチレン−アクリル酸系樹脂の存在が、吐出安定性を低下させることを避けられる傾向がる。
本発明の製造方法における混練工程においては、高い剪断力によって混練が進行し粗大粒子が著しく減少する。そのため、この粗大粒子をさらに解砕する工程を大幅に省略することができ、製造効率が向上するとともに収率を向上させることができる。
なお、混練工程においては、混練中に水や水溶性有機溶剤などが蒸発しない様に、混合物(混練物)の質量が実質的に変化しない様に混練すると好ましい。このような状況下においては、混練開始から終了までの間、混合物中に、常に一定量の溶剤が存在し、混練初期に顔料の表面を濡らした溶剤が、当該溶剤によって好ましくは溶解、膨潤あるいは部分溶解したスチレン−アクリル酸系共重合体に置き換えられ、顔料のスチレン−アクリル酸系共重合体による被覆がスムーズに進行し、当該顔料が充分に被覆される。その結果、水性顔料分散液やインク組成物の分散安定性、長期保存安定性が著しく向上する。さらに混練終了後においても溶剤が混練開始時とほぼ同量残っており、混練後の混合物の溶解、分散を極めて短時間に進行させることができる。このための混練工程における顔料(a)に対する湿潤剤(d)の質量比(d)/(a)は0.2〜1.4であることが好ましい。この値が0.2より小さいと、水性顔料分散液用混練物である顔料分散体の樹脂成分を十分に膨潤させることができなくなる傾向にあり、混練物が混練工程で纏まらず十分な剪断力が働かなくなる傾向にある。また(d)/(a)が1.4より大きいと、混練物の固形分濃度が低下するためにやはり混練物に十分な剪断力がかからなくなる傾向がある。
そして、このためには、閉鎖系で混練する混練機が好しく、撹拌槽と、一軸あるいは多軸の撹拌羽根を備えた混練機を用いると好ましい。撹拌羽根の数は特に限定しないが、高い混練作用を得るためには二つ以上の攪拌羽根のものが好ましい。この様な構成の混練機を用いると、水性顔料分散液用顔料分散体を製造した後、これを同一撹拌槽中において直接水溶性溶剤で希釈し分散させて、水性顔料分散液を製造することができる。
この様な装置としてはヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサーなどが例示され、特にプラネタリーミキサーなどが好適である。本発明においては、顔料とスチレン−アクリル酸系共重合体からなる固形分濃度が高い状態で混練を行うため、混練物の混練状態に依存して混練物の粘度が広い範囲で変化するが、プラネタリーミキサーは特に低粘度から高粘度まで広範囲に対応することができるためである。特に水性顔料液を作製するときは、混合工程で該混練物を水溶性溶媒中へ分散する必要があり、混練物をできるだけ均一に低粘度化して、水性媒体中に分散させる混合工程を行うことが重要であるが、プラネタリーミキサーを用いると、この高粘度の混練工程から低粘度への混合工程への移行段階を混練から引き続き同一機種内に水性媒体を添加して連続的に実施することができ、このことが粗大粒子の低減、生産効率の向上に極めて効果的である。
水性顔料分散液用混練物である顔料分散体は、通常、常温で半固体状あるいは固体状の堅練品である。そこで、この水性顔料分散液用混練物である顔料分散体を水性媒体中に撹拌、混合によって分散させて水性顔料分散液を製造する。なお、水性顔料分散液用顔料分散体の顔料は水性顔料分散液用顔料分散体の製造時に既に解砕されているので、水性顔料分散液を得るための分散時間が短く、製造効率が向上する。このため該混練物に水性媒体を添加し、混合、撹拌しただけで、粗大粒子の低減された水性顔料分散液を得ることが可能であり、分散装置を用いて水性媒体との混合、撹拌を行う工程が軽減される。例えば混練工程終了後に、混練装置の撹拌槽中の着色混練物に徐々に水性媒体を添加しつつ撹拌羽根で撹拌することによって、着色混練物を水性媒体中に分散させることが可能である。このような場合は、混練工程と、それ以降の混合、撹拌する混合工程とがともに一つの混練装置のみで行われる。このため水性顔料分散液を得るための工程は短時間となり、極めて効率よく行うことが出来る。加えて本発明の混練工程で作製された着色混練物は、顔料が微粒子化されるとともに、樹脂によって被覆されており、水性媒体を添加すると速やかに水性媒体中に分散する。また混練工程において解砕された顔料が該樹脂によってより良好に被覆されているため、優れた分散性が安定に長期間保持される。
本発明の製造方法においては混練物に水性媒体を添加した後、混合、撹拌する混合工程において、通常の攪拌機による混合、撹拌のみによって混練物を水性媒体中に分散させることが可能であるが、分散状態をより確実にするために分散装置を用いる場合には、公知の分散装置を用いることが出来、メディアを用いたものではペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、バスケットミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミルなどが挙げられる。またメディアを用いないものとしては、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、デゾルバー、ディスパー、高速インペラー分散機などがあげられるが、これらの中でもメディアを用いた分散機は分散能力が高いため好ましい。なお分散後に必要に応じて水性媒体で濃度調整を行っても良い。
また、本発明の水性顔料分散液用混練物である顔料分散体は、カルボキシル基を有するスチレン−アクリル酸系共重合体と塩基性化合物との相互作用により、水もしくは水を主体とする水性媒体に対する溶解性、分散性が良好なので水性媒体中に速やかに溶解、分散する。この様に水もしくは水を主体とする水性媒体に速やかに分散、溶解し、これが安定に保持されることが、本発明の水性顔料分散体の大きな特徴の一つである。
本願発明のインクジェット記録用インク組成物は、上述のように作製された水性顔料分散液をさらに水性媒体にて希釈して、必要に応じて各種添加剤を添加して製造することができる。インク組成物中に含有される顔料濃度は2〜10質量%程度が好ましい。水性顔料分散液を希釈する水性媒体には水溶性有機溶剤が配合されていると、インク組成物において、乾燥防止、粘度調整、濃度調整に寄与するため、好ましい。水溶性有機溶剤としては、上述の顔料分散体を水性顔料分散液へと分散するときに使用したもの、あるい水性顔料分散液用顔料分散体を混練する時に用いた湿潤剤と同様のものを例示することができる。
インクジェット記録用インク組成物には、水性顔料分散液とこれを希釈する水溶性有機溶剤を含有した水性媒体の他に、例えば公知の添加剤等を配合することができる。配合可能なものとしては、例えば浸透剤、アルカリ剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、キレート剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、バインダー樹脂、紫外線硬化性化合物などを例示することができる。これらインクジェット記録用インク組成物の構成成分からインクジェット記録用インクを作製するには、例えば水性顔料分散液、水溶性有機溶剤を含有する溶剤、必要に応じて各種添加剤を加えて均一に撹拌することにより、インク組成物を製造することができる。
このインク組成物は、インクジェット記録用のインクとして好適に用いることができる。適用するインクジェットの方式は特に限定されないが、荷電制御型、スプレー型などの連続噴射型、ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式などのオンデマンド型など、公知のものを例示することができる。そして、このインク組成物は、これら各種のインクジェット方式に適用した場合に、極めて安定したインク吐出が可能となる。
以下、本発明を実施例により、より詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
(樹脂の合成)
撹拌装置、滴下装置、還流装置を有する反応容器にメチルエチルケトン100部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら加温し、メチルエチルケトン還流状態とした後、滴下装置からスチレン83部、アクリル酸7部、メタクリル酸10部及び重合触媒 (和光純薬工業社製/「V−59」)8部の混合液を2時間かけて滴下した。なお滴下の途中より、反応系の温度を80℃に保った。
滴下終了後、同温度でさらに25時間反応を続けた。なお、反応の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適宜、重合触媒を追加した。反応終了後、メチルエチルケトンを減圧下で留去し、得られた固体を粉砕して、このスチレン−アクリル酸系共重合体(A)の粉体を得た。
以上により、スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=83/7/10(重量%)であり、重量平均分子量11000、酸価116mgKOH/gであるスチレンアクリル酸系樹脂Aを製造した。
ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
なお、測定は以下の装置及び条件により実施した。
送液ポンプ:LC−9A
システムコントローラー:SCL−6B
オートインジェクター:SIL−6B
検出器:RID−6A
以上島津製作所社製。
データ処理ソフト:Sic480IIデータステーション(システムインスツルメンツ社製)。
カラム:GL−R400(ガードカラム)+GL−R440+GL−R450+GL−R400M(日立化成工業社製)
溶出溶媒:THF
溶出流量:2ml/min
カラム温度:35℃
以下に顔料がフタロシアニン系顔料の場合について、糖類誘導体をしてポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを混練工程に添加して用いたときの実施例を記載する。
(実施例1)
<混練>
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V((株)井上製作所製)に仕込み、ジャケットを60℃加温し、自転回転数:57rpm、公転回転数:20rpmで2時間混練を継続した。
スチレン−アクリル酸系共重合体A 1.50部
フタロシアニン系顔料 (C.I.ピグメントブルー 15:3)
(Fastogen Blue 5310SD(DIC社製)) 5.00部
イオネットT-20C(三洋化成工業社製) 0.26部
ジエチレングリコール(丸善石油化学社製) 2.90部
34重量%水酸化カリウム水溶液 0.51部
混合物は混練中に一つの固まりとなり、2時間経過後の混練物の状態は固体状であった。引き続き、イオン交換水12.00部を3時間かけて徐々に加え混練物を液状化し、液体状態でプラネタリーミキサーから取り出した。この液状化混練物(a)の固形分濃度は30.2%、顔料濃度は21.8%であった。
<遠心>
液状化混練物(a)100部にイオン交換水36部およびジエチレングリコール 4.8部および防腐剤0.15部を加え、連続式遠心分離機(国産遠心機(株)製 H−600S、2L容量)に通じ、室温にて18900Gの遠心力、12分間の滞留時間で、連続的に遠心分離を行い、水性顔料分散液(a)を得た。顔料水性液(a)の固形分濃度は20.6%、顔料濃度は14.9%であった。
<インクジェット記録用水性インク組成物の調製>
水性分散液(a)を用い下記組成を混合、撹拌して顔料濃度2.7質量%のインクジェット記録用インク組成物を調製した。
水性顔料液(a) 18.1部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0部
2‐ピロリジノン 8.0部
グリセリン 3.0部
サーフィノール440 0.5部
イオン交換水 62.4部
各成分は室温で混合し、撹拌してインクジェット記録用インク組成物(a)を得た。
(実施例2)
<混練>
下記組成の混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V((株)井上製作所製)に仕込み、ジャケットを60℃に加温し、自転回転数:57rpm、公転回転数:20rpmで1時間混練を継続した。
スチレン−アクリル酸系共重合体A 1.50部
フタロシアニン系顔料 (C.I.ピグメントブルー 15:3)
(Fastogen Blue 5310SD(DIC社製)) 5.00部
イオネットS-20 (三洋化成工業社製) 0.25部
ジエチレングリコール(丸善石油化学社製) 3.20部
34重量%水酸化カリウム水溶液 0.51部
混練物は柔らかな固体状で溶融状態まではいかないが溶融状態との中間であった。引き続き、イオン交換水12.00部を3時間かけて徐々に加え混練物を液状化し、液体状態でプラネタリーミキサーから取り出した。この液状化混練物(b)の固形分濃度は31.7%、顔料濃度は22.9%であった。
<遠心>
液状化混(b)100部にイオン交換水44部およびジエチレングリコール 3.6部および防腐剤0.15部を加え、連続式遠心分離機(国産遠心機(株)製 H−600S、2L容量)に通じ、室温にて18900Gの遠心力、12分間の滞留時間で、連続的に遠心分離を行い、水性顔料分散液(b)を得た。水性顔料分散液(b)の固形分濃度は20.1%、顔料濃度は14.5%であった。
<インクジェット記録用インク組成物の調製>
水性顔料分散液(b)を用い下記組成を混合して顔料濃度2.7質量%のインクジェット記録用インク組成物を調製した。
水性顔料分散液(b) 18.6部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0部
2‐ピロリジノン 8.0部
グリセリン 3.0部
サーフィノール440 0.5部
イオン交換水 61.9部
各成分は室温で混合しインクジェット記録用インク組成物(b)を得た。
(比較例1)
<混練>
下記組成の糖を含まない混合物を、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V((株)井上製作所製)に仕込み、ジャケットを60℃加温し、自転回転数:57rpm、公転回転数:20rpmで2時間混練を継続した。
スチレン−アクリル酸系共重合体A 1.50部
フタロシアニン系顔料 (C.I.ピグメントブルー 15:3)
(Fastogen Blue 5310SD(DIC社製)) 5.00部
ジエチレングリコール(丸善石油化学社製) 2.70部
34重量%水酸化カリウム水溶液 0.51部
混練物は柔らかな固体状で溶融状態まではいかないが溶融状態との中間であった。引き続き、イオン交換水12.00部を3時間かけて徐々に加え混練物を液状化し、液体状態でプラネタリーミキサーから取り出した。この取り出し物(c)の固形分濃度は33.1%、顔料濃度は24.8%であった。
<遠心>
取り出し物(c)100部にイオン交換水54部およびジエチレングリコール 6.4部および防腐剤0.15部を加え連続式遠心分離機(国産遠心機(株)製 H−600S、2L容量)に通じ、室温にて18900Gの遠心力、12分間の滞留時間で、連続的に遠心分離を行い、水性顔料分散液(c)を得た。水性顔料分散液(c)の固形分濃度は19.5%、顔料濃度は14.6%であった。
<インクジェット記録用インク組成物の調製>
水性顔料分散液(c)を用い下記組成を混合して顔料濃度2.7質量%のインクジェット記録用インク組成物を調製した。
水性顔料分散液(c) 18.5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0部
2‐ピロリジノン 8.0部
グリセリン 3.0部
サーフィノール440 0.5部
イオン交換水 62.0部
各成分は室温で混合しインクジェット記録用インク組成物(c)を得た。
(比較例2)
<インクジェット記録用インク組成物の調製>
比較例1で作製した水性顔料分散液(c)に対して、実施例1で混練工程に使用したイオネットT‐20Cをインク組成物の調整時に用い下記組成を混合して顔料濃度2.7質量%のインクジェット記録用インク組成物を調製した。
水性顔料分散液(b) 18.5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0部
2‐ピロリジノン 8.0部
グリセリン 3.0部
サーフィノール440 0.5部
イオネットT‐20C 0.9部
イオン交換水 61.1部
各成分は室温で混合しインクジェット記録用インク組成物(d)を得た。
(比較例3)
<インクジェット記録用インク組成物の調製>
比較例1で作製した水性顔料分散液(c)に対して、実施例2で混練工程に使用したイオネットS‐20をインク組成物の調整時に用い下記組成を混合して顔料濃度2.7質量%のインクジェット記録用インク組成物を調製した。
水性顔料液(c) 18.5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8.0部
2‐ピロリジノン 8.0部
グリセリン 3.0部
サーフィノール440 0.5部
イオネットS‐20 0.9部
イオン交換水 61.1部
各成分は室温で混合しインクジェット記録用インク組成物(d)を得た。
実施例1、実施例2及び比較例1〜3で作製したインクジェット記録用インク組成物を以下の方法で評価した。
<初期分散性評価>
実施例および比較例で作製したインクジェット記録用インク組成物について分散粒径と粘度を測定した。測定にあったってははインクジェット記録用インク組成物を約200倍に希釈し、マイクロトラックUPA−150(リーズ&ノースロップ社製)を用いて25℃で体積平均粒径を測定した。測定は3回行いその平均値を取った。粘度はE型粘時計(東機産業社製 VISCOMETER TV−22)を用いて25℃に測定した。
<インクジェット記録用インク組成物の印刷評価>
実施例、比較例により得られた水性インクを市販のサーマルジェット方式のインクジェットプリンターHP−Photosmart−D5360(ヒューレットパッカード社製)に充填し、A4サイズの普通紙とパンフレット紙に印刷を行い、吐出安定性、印字濃度、耐擦過性を評価した。
<吐出安定性評価>
実施例、比較例により得られたインクジェット記録用水性インク組成物を、市販のサーマルジェットタイプのインクジェットプリンターHP−Photosmart−D5360(ヒューレットパッカード社製)に充填し、A4サイズの普通紙とパンフレット紙に100%画像濃度で細線パターンの印刷を行って、印刷物の状態を観察し、以下の評価基準により吐出安定性の評価を行った。
印刷乱れが生じない(◎)
印刷乱れがほとんど生じない(○)
印刷乱れが目立つがドット欠けはほとんど生じない(△)
ドット欠けが目立つ(×)の4段階で行った。
<印字濃度評価>
実施例、比較例により得られたインクジェット記録用水性インク組成物を、市販のサーマルジェットタイプのインクジェットプリンターHP−Photosmart−D5360(ヒューレットパッカード社製)のブラックペンに充填し、記録媒体としてA4サイズの普通紙とパンフレット紙を用いて、100%画像濃度のベタの印刷を行い、得られた画像の印字濃度をSpectro Scan(Gretag Macbeth社製)により測定した。
<耐擦過性評価>
印字濃度評価と同様に100%画像濃度のベタ印刷を行い、印字後の12時間室温で放置した後に、印字面を指および消しゴムでこすり、以下の評価ランクで汚れ具合を観察した。
印刷の汚れが生じない(◎)
印刷物の汚れがほとんど目立たない(○)
印刷物の汚れが目立つがかすれはほとんど無い(△)
印刷物の汚れとかすれが目立つ(×)の4段階で行った。
上記の評価の結果を表1にまとめた。
<総合評価>
Figure 2011213792
実施例1〜2および比較例1の水性顔料分散液から得られた水性インクの吐出安定性は、印刷乱れが生じないことより良好であった。一方、比較例2〜3の水性顔料分散液から得られた水性インクの吐出安定性は、印刷乱れがほとんど生じないことより良好であるが、実施例1〜2および比較例1の水性顔料分散液から得られた水性インクの吐出安定性には劣る結果となった。これは、顔料に吸着していない遊離の糖類またはその誘導体が吐出安定性に影響を及ぼすためと考察できる。
またインクの初期分散性は実施例、比較例とも良好で糖類または糖類誘導体を混練工程で添加したとしても、作製されるインクジェット記録用インク組成物の分散性には悪影響を及ぼさず、混練工程で形成された顔料分散体を水性媒体に混合、撹拌するだけで良好な水性顔料分散液が作製され、さらに良好な分散性のインクジェット記録用インク組成物が作製されていることが明らかである。
実施例1〜2の水性顔料分散液からなる水性インクによる印刷物は、比較例1〜3の顔料分散液からなる水性インクによる印刷物よりも印字濃度が高く、耐擦過性が良好であった。これは、顔料に吸着した糖類またはその誘導体が、自身の持つ水酸基と紙の主成分であるセルロール水酸基との間で分子間水素結合し、顔料と紙との定着力が向上した結果、顔料が紙表面に留まるため印字濃度が向上し、顔料と紙とのセット性が高まるために耐擦過性が向上すると考察できる。なお、印字品質の点からすれば、印刷後に印刷の汚れが全く生じないことが本来望ましい特性であり、また通常印字濃度を0.05改善するのには多大の苦労が伴うことを付記しておく。

Claims (12)

  1. 顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)、湿潤剤(d)、及び糖類またはその誘導体(e)を含有する混合物を混練し、常温で固体の顔料分散体を作製する混練工程と、前記顔料分散体を水性媒体中に混合、撹拌する混合工程を有することを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
  2. 前記スチレンアクリル酸系共重合体は酸価60〜300、重量平均分子量3000〜20000で、全モノマー成分に対して50質量%以上のスチレン系モノマー単位を含有する請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  3. 前記糖類またはその誘導体(e)は単糖類もしくは二糖類またはそれらの誘導体である請求項1または2に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  4. 前記糖類またはその誘導体は、ヘキソースまたはその誘導体である請求項3に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  5. 前記ヘキソースまたはその誘導体はソルビタンまたはそれらの誘導体である請求項4に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  6. 前記ヘキソースまたはその誘導体は、ソルビタン脂肪酸エステル、またはソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物である請求項5に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  7. 前記ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物は
    下記一般式(3)または(4)
    Figure 2011213792
    (3)
    Figure 2011213792
    (4)
    (但し、式中のX,Y,Zはそれぞれ独立に水素原子、−(CHCHO)mH、−(CHCHCH)mH、または−CO−Rであり、Wは、−(CHCHO)n−、または−(CHCHCHO)n−であり、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜30のアルキル基であって、mは1〜100の整数を表し、nは0または1〜100の整数を表し、X,Y、Zのうちの少なくとも一つは−(CHCHO)mH、または−(CHCHCH)mHでありX,Y,Z中のmはそれぞれ異なっていてもよい。)
    で表されるものである請求項6に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  8. 前記ソルビタン脂肪酸エスエル、またはソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレン付加物はHLBが8以上である請求項7に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  9. 前記混練工程における顔料(a)に対するスチレン−アクリル酸系共重合体(b)の質量比、b/aが0.1〜0.6で、前記顔料(a)に対する湿潤剤(d)の質量比d/aが0.2〜1.4である請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  10. 前記混練工程における顔料分散体の固形分比が50〜80質量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性顔料分散液の製造方法。
  11. 請求項10に記載の水性顔料分散液の製造方法によって製造された水性顔料分散液を、水性媒体で希釈する希釈工程を有するインクジェット記録用インク組成物の製造方法。
  12. 顔料(a)、スチレン−アクリル酸系共重合体(b)、塩基性化合物(c)湿潤剤(d)、及び糖類またはその誘導体(e)を含有することを特徴とする常温で固体の顔料分散体。
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