JP2013142786A - 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】製造適性が良好で、ヘイズ防止性に優れた位相差フィルム、および、それを用いたコントラストに優れた偏光板と液晶表示装置を提供する。
【解決手段】セルロースアセテートと二糖類の糖エステル化合物とを含有する位相差フィルムであって、(1)前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.00〜2.64の範囲内であり、分子量分散度Mw/Mnが2.5〜8.0の範囲内であり、6位置換度が0.65〜0.85の範囲内であり、アセチル化度分布半値幅が1.0〜2.3の範囲内であり、粘度平均重合度が180〜220の範囲内であり、かつ(2)前記二糖類の糖エステル化合物が下記一般式(1)で表される化合物であり、当該二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が4.0〜6.0の範囲内である位相差フィルム。
Figure 2013142786

【選択図】なし

Description

本発明は位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力が少なく、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴があり、テレビをはじめ、コンピュータ、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどの各種の表示用デバイスに用いられている。近年、液晶表示装置の大型化が急速に進んでおり、大型化に伴うさまざまな性能改良と共に、コストダウンも強く求められている。
コストダウンのため、偏光板のコスト削減が求められている。そのためには偏光板加工前の保護フィルム幅をできるだけ広くし、原反からできるだけ多くの偏光板を取れることが望ましい。
幅を広くする方法としては、ドープを流延してから幅手方向(TD方向)に延伸することが挙げられる。例えば特許文献1ではアシル基置換度2.00〜2.80の範囲内のセルロースアシレートと糖エステル化合物を含有するフィルムを特定条件で延伸したものを位相差フィルムとして使用することにより、コントラスト良好な液晶表示装置が提案されている。しかしフィルムの幅は1280mm程度であり、しかも延伸条件が狭く広幅加工適性に乏しいことから。コストダウンに対しては不十分である。
また、幅広の薄膜フィルムを作製しようとすると、巻き取り時にツレ(張力ムラが発生することによる部分的な波打ち)が起こってシワになり易い。
特許文献2では、アシル基置換度2.0〜2.6の範囲内のセルロース系樹脂と該樹脂との溶解度パラメータ差が小さい添加剤を含む光学フィルムが、白化(ヘイズ上昇)が生じ難いと述べている。しかし、膜厚が40μm程度であり、更に薄膜化するとその抑制効果は不十分であった。
また、幅広のフィルムを作製の際ツレを防ぐためにマット剤を増量するとフィルムのヘイズが上昇する。エンボス高さを増加させると巻き長が増えるほど端部が盛り上がって取り扱い性が劣化する等の問題があり、薄膜・広幅加工適正に優れた位相差フィルムが求められていた。
特開2011−121327号公報 特開2009−269970号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、製造適性が良好で、ヘイズ防止性に優れた位相差フィルムを提供することである。また、それを用いたコントラストに優れた偏光板と液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、特定のセルロースアセテートと、特定の二糖類の糖エステルを組み合わせることで解決できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.セルロースアセテートと二糖類の糖エステル化合物とを含有する位相差フィルムであって、(1)前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.00〜2.64の範囲内であり、分子量分散度Mw/Mnが2.5〜8.0の範囲内であり、6位置換度が0.65〜0.85の範囲内であり、アセチル化度分布半値幅が1.0〜2.3の範囲内であり、粘度平均重合度が180〜220の範囲内であり、かつ(2)前記二糖類の糖エステル化合物が下記一般式(1)で表される化合物であり、当該二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が4.0〜6.0の範囲内であることを特徴とする位相差フィルム。
Figure 2013142786
(式中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表し、R1〜R8は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
2.前記セルロースアセテートの重量平均分子量Mwが、190000〜235000の範囲内であることを特徴とする前記第1項に記載の位相差フィルム。
3.前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.20〜2.56の範囲内であり、及び分子量分布Mw/Mnが3.0〜7.5の範囲内であることを特徴とする前記第1項又は2項に記載の位相差フィルム。
4.前記セルロースアセテートの25℃における95%アセトン水溶液の6%粘度が、120〜230mPa・sの範囲内であることを特徴とする前記第1項〜3項のいずれかに一項に記載の位相差フィルム。
5.下記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有することを特徴とする前記第1項〜4項のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
6.前記一般式(1)で表わされる二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が、4.5〜6.0の範囲内であることを特徴とする前記第1項〜5項のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
7.前記一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物のエステル置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることを特徴とする前記第1項〜6項のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
8.温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長550nmにおいて、下記式(i)で定義される、面内のリターデーション値Roが30〜90nmの範囲内であり、下記式(ii)で定義される厚さ方向のリターデーション値Rtが70〜300nmの範囲内であることを特徴とする前記第1項〜7項のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
9.前記第1項〜8項のいずれか一項に記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
10.前記第1項〜8項のいずれか一項に記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、製造適性が良好で、ヘイズ防止性に優れた位相差フィルムを提供することができる。また、それを用いたコントラストに優れた偏光板と液晶表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
特定の範囲のアセチル基置換度とアセチル化度分布半値幅を有するセルロースアセテートで、かつ、分子量分散度がある程度の幅を有することで、従来のセルロースアセテート樹脂より破断伸度が大となることで延伸適正領域が広がると共に、延伸によりフィルム表面の微妙な凹凸が増えて摩擦性が下がったためと考えられる。
共流延用ダイの模式図の一例である。
本発明の位相差フィルムは、セルロースアセテートと二糖類の糖エステル化合物とを含有する位相差フィルムであって、(1)前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.00〜2.64の範囲内であり、分子量分散度Mw/Mnが2.5〜8.0の範囲内であり、6位置換度が0.65〜0.85の範囲内であり、アセチル化度分布半値幅が1.0〜2.3の範囲内であり、粘度平均重合度が180〜220の範囲内であり、かつ(2)前記二糖類の糖エステル化合物が前記一般式(1)で表される化合物であり、当該二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が4.0〜6.0の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項10までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては前記セルロースアセテートの重量平均分子量Mwが、190000〜235000の範囲内であることが好ましい。この範囲内であると、ろ過性と破断伸度が良好である。
また、前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.20〜2.56の範囲内であり、及び分子量分布Mw/Mnが3.0〜7.5の範囲内であることが、ケン後のヘイズ防止性、破断伸度が良好であることから、好ましい
さらに、本発明においては、前記セルロースアセテートの25℃における95%アセトン水溶液の6%粘度が、120〜230mPa・sの範囲内であることが好ましい。これにより、搬送時の破談の懸念が少なく、ろ過性も良好であり好ましい。
本発明の位相差フィルムは、前記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有することがリターデーション安定性の観点から、好ましい。
前記一般式(1)で表わされる二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が、4.5〜6.0の範囲内であることが本発明に係るセルロースアセテートとの相溶性が良好で好ましい。
前記一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物のエステル置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることが、効果発現の観点から好ましい。
温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長550nmにおいて、前記式(i)で定義される、面内のリターデーション値Roが30〜90nmの範囲内であり、前記式(ii)で定義される厚さ方向のリターデーション値Rtが70〜300nmの範囲内であることが、液晶表示装置の視野角を拡大する観点から好ましい。
本発明の位相差フィルムは、偏光板に好適に用いられる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<セルロースアセテート>
(アセチル基置換度)
本発明に用いられるセルロースアセテートは、アセチル基置換度が2.00〜2.64の範囲内、すなわち、アセチル化度が48.8〜58.1の範囲内である。セルロースアセテートの置換度が2.00を下回る場合には作製したフィルムが偏光板加工時の鹸化液浸透により、ヘイズが上昇してしまう。セルロースアセテートの置換度が2.64を上回る場合には、厚さ方向のリターデーション(Rt)を十分に高くすることができず、液晶表示装置の視野角特性が劣化する。
本発明ではセルロースアセテートのアセチル基置換度はアセチル基の平均置換度をいう。セルロースアセテートの平均置換度を求める最も一般的な方法は、ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)におけるアセチル化度の測定方法である。ASTMに従い求めたアセチル化度(結合酢酸量)を、次式(1)で置換度に換算してもよい。
式(1) DS=(AV×162)/(6005−AV×42)
上記式において、DSはアセチル基置換度であり、AVはアセチル化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の値は、上記の平均置換度の2.00から2.64に当てはめた場合には48.8から58.1に相当する。
(分子量分散度Mw/Mn)
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートの分子量分散度(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した値:Mw/Mn)は2.5以上8.0以下である。分子量分散度Mw/Mnが2.5未満の場合には、分子の大きさが物理的に揃いすぎるため、延伸したフィルムに凹凸ができ難くなることで巻き取り性が劣化する。分子量分散度Mw/Mnが8.0より大きい場合には未反応物が多く存在し、このため、破断伸度が低くなる。さらに、分子量分散度Mw/Mnは、3.0〜7.5範囲内のが好ましく、3.5〜7.3範囲内が特に好ましい。本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートは、異なる平均分子量と分子量分散度を有するセルロースアセテートを複数混合したものでもよく、混合物のアセチル基置換度と分子量分散度が前記範囲に有ればよい。
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートの重量平均分子量Mwは190000〜235000の範囲内が好ましく、200000〜230000の範囲内がさらに好ましい。重量平均分子量Mwが190000未満の場合は粘度が低くなり易く、破断伸度が低くなる傾向があるので、ツレやシワが発生することがある。重量平均分子量Mwが235000を超えると、濾過性が悪くなる場合がある。
セルロースアセテートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分子量分散度(Mw/Mn)は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で求めることができる。
(6位置換度)
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートの6位置換度は0.65〜0.85の範囲内である。ここで「6位置換度」とは、セルロースアセテートを構成するグルコース環の6位の置換度をいう。6位置換度が0.65より低い場合には、反応が不均一となり、濾過性が悪くなる。6位置換度が0.85より高い場合には、6位ヒドロキシ基による水素結合が少なくなるため、破断伸度が低くなってフィルム作製時にシワが発生し易い。さらに、6位置換度は、0.68〜0.85の範囲内が好ましく、0.70〜0.85の範囲内が特に好ましい。
本発明に係るセルロースアセテートのグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度は、手塚(Tezuka,Carbonydr.Res.273,83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、セルロースアセテート試料の遊離ヒドロキシ基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースアセテートにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル基置換度を求めることができる。アセチル基置換度は、13C−NMRのほか、1H−NMRで分析することもできる。
(アセチル化度分布半値幅)
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートのアセチル化度分布半値幅は1.0〜2.3の範囲内である。アセチル化度分布半値幅が1.0より小さい場合、また、アセチル化度分布半値幅が2.3より大きい場合には、破断伸度が低くなる。さらに、アセチル化度分布半値幅は1.5〜2.3の範囲内が好ましく、1.9〜2.3の範囲内が特に好ましい。
本発明に係るセルロースアセテートとしては、アセチル基置換度の均一なセルロースアセテートであるのが好ましい。アセチル基置換度の均一性を評価するのに、セルロースアセテートの分子間置換度分布曲線或いはアセチル化度分布曲線の最大ピークの半値幅の大きさであるアセチル化度分布半値幅を指標とすることができる。なお、「半値幅」は、アセチル化度(置換度)を横軸(x軸)に、このアセチル化度(置換度)における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、アセチル化度(置換度)の分布のバラツキの目安を表す指標である。
アセチル化度分布半値幅は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により求めることができる。すなわち、異なる置換度を有する複数のセルロースエステルを標準試料として用いて所定の測定装置および測定条件でHPLC分析を行い、これらの標準試料の分析値を用いて作成した較正曲線[セルロースエステルの存在量と、置換度(アセチル化度)との関係を示す曲線、通常、二次曲線(特に放物線)]から、本発明に係るセルロースアセテートの組成分布半値幅を求めることができる。
より具体的には、アセチル化度分布半値幅は、所定の処理条件で測定したHPLC(逆相HPLC)におけるセルロースアセテートの溶出曲線の横軸(溶出時間)を置換度(0〜3)に換算することにより得ることができる。
溶出時間を置換度に換算する方法としては、例えば、特開2003−201301号公報(段落番号[0037]〜[0040])に記載の方法などを利用できる。例えば、溶出曲線を置換度(分子間置換度)分布曲線に変換する際には、複数(例えば、4種以上)の置換度の異なる試料を用いて、同じ測定条件で溶出時間を測定し、溶出時間(T)から置換度(DS)を求める換算式(変換式)を得てもよい。すなわち、溶出時間(T)と置換度(DS)との関係から、最小二乗法によりキャリブレーションカーブの関数(通常は、下記の2次式の式(2))を求めることができる。
式(2) DS=aT2+bT+c
(式中、DSはエステル置換度であり、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の係数である。)
そして、上記のような換算式により求めた置換度分布曲線(セルロースエステルの存在量を縦軸とし、置換度を横軸とするセルロースエステルの置換度分布曲線)において、認められた平均置換度に対応する最大ピーク(E)に関し、以下のようにして置換度分布半値幅を求める。すなわち、ピーク(E)の低置換度側の基部(A)と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引き、このベースラインに対して、最大ピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、分子間置換度分布曲線との二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点間の幅を、最大ピークの半値幅とする。
このような置換度分布半値幅は、試料中のセルロースエステルの分子鎖について、その構成する高分子鎖一本一本のグルコース環のヒドロキシ基がどの程度エステル化されているかにより、保持時間(リテンションタイムとも称される)が異なることを反映している。したがって、理想的には、保持時間の幅が、(置換度単位の)組成分布の幅を示すことになる。しかしながら、高速液体クロマトグラフには分配に寄与しない管部(カラムを保護するためのガイドカラムなど)が存在する。それゆえ、測定装置の構成により、組成分布の幅に起因しない保持時間の幅が誤差として内包されることが多い。この誤差は、上記の通り、カラムの長さ、内径、カラムから検出器までの長さや取り回しなどに影響され、装置構成により異なる。
このため、前記セルロースエステルの置換度分布半値幅(アセチル化度分布半値幅)は、通常、下記式(3)で表される補正式に基づいて、補正値Zとして求めることができる。このような補正式を用いると、測定装置(および測定条件)が異なっても、同じ(ほぼ同じ)値として、より正確な置換度分布半値幅を求めることができる。
式(3) Z=(X2−Y21/2
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた置換度分布半値幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた置換度3のセルロースエステルの置換度分布半値幅を示す。)
上記式において、「置換度3のセルロースエステル」とは、セルロースのヒドロキシ基の全てがエステル化されたセルロースエステル(セルローストリアセテートではアセチル化度62.5%のセルローストリアセテート)を示し、セルロースのアシル化後であって、熟成前において得られる脱アシル化されていない完全置換物に相当し、実際には(又は理想的には)置換度分布半値幅を有しない(すなわち、置換度分布半値幅0の)セルロースエステルである。
上記の通り、セルロースアセテートの分子間置換度分布曲線は、逆相HPLCにおけるセルロースアセテートの溶出曲線を得て、溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチル基置換度(0〜3)に換算することにより得ることができる。同様に、アセチル化度分布曲線も逆相HPLCにおけるセルロースアセテートの溶出曲線から得ることができ、これから、アセチル化度分布半値幅を、置換度分布半値幅と同様に得ることができる。
(粘度平均重合度)
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートの粘度平均重合度は180〜220の範囲内である。好ましくは185〜215、さらに好ましくは185〜210の範囲内が好ましい。粘度平均重合度が180より小さいと、破断伸度が低くなってセルロースアセテートを含有するフィルムを延伸した場合に破断することがある。粘度平均重合度が220を超えると、濾過性が悪くなる。
粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。なお、溶媒はセルロースアセテートの置換度などに応じて選択できる。例えば、メチレンクロライド/メタノール=9/1(質量比)の混合溶液にセルロースアセテートを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定する。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間t0(秒)を測定し、下記式(4)〜(6)に従って、粘度平均重合度を算出できる。
式(4) ηrel=t/t0
式(5) [η]=(lnηrel)/c
式(6) DP=[η]/(6×10-4
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度を示す)
(95%アセトン水溶液の6%粘度)
本発明における「95%アセトン水溶液の6%粘度」とは、アセトン95質量%の水溶液中に溶解したセルロースアセテートの、温度25℃における6質量/体積%での粘度をいう。ここで温度25℃とは25℃±1℃の範囲内である。
本発明に係る位相差フィルム用セルロースアセテートの95%アセトン水溶液の6%粘度(以下単に6%粘度ともいう)は、120〜230mPa・sの範囲内が好ましく、より好ましくは125〜210mPa・s、更に好ましくは130〜200mPa・s、特に好ましくは135〜160mPa・sの範囲内であることである。6%粘度が高いと濾過性が悪くなる場合があり、また分子量分布を高く維持することが難しくなる。また6%粘度が低い場合には、本発明に係るセルロースアセテートを延伸した場合に破断することがある。なお、6%粘度の異なるセルロースアセテートをブレンドして、上記範囲の6%粘度を有するセルロースアセテートとしてもよい。
セルロースアセテートの6%粘度は、下記の方法で測定できる。本発明で、三角フラスコに乾燥試料3.00g、95質量%アセトン水溶液を39.90g入れ、密栓して約1.5時間攪拌する。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させる。得られた6質量/体積%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式(7)により6%粘度を算出する。
式(7) 6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数
粘度計係数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式(8)より求める。
式(8) 粘度計係数={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)}
なお、本発明に係るセルロースアセテートに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で他のセルロースアセテート又は他のセルロースアシレートを混合することができる。
<二糖類の糖エステル化合物>
本発明に係る一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物及び参考化合物を、以下に記載するが本発明はこれらに限定されない。
本発明に係る一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度は4.0〜6.0の範囲内であることを特徴とする。
本発明において、一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度とは、一般式(1)のR1〜R8のうち、水素以外の基(それぞれ置換、無置換のアルキルカルボニル基、又はアリールカルボニル基)を含む数を表す。したがって、R1〜R8がすべて水素以外の置換基により置換された場合に、置換度は最大値の8.0となり、R1〜R8がすべて水素原子である場合には、0.0となる。
本発明においては、一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が、4.0〜6.0の範囲内である必要がある。一般式(1)で表される構造を有する二糖類の糖エステル化合物は、ヒドロキシ基の数、OR基の数が固定された単一種の化合物を合成することは困難であり、式中のヒドロキシ基の数、OR基の異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られているため、本発明における一般式(1)のエステル置換度としては、平均エステル置換度を用いることが適当であり、常法により高速液体クロマトグラフィーによって置換度分布を示すチャートの面積比から平均エステル置換度を測定することができる。
一般式(1)において、R1〜R8は、それぞれ水素原子、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、或いは、置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R1〜R8は、同じであっても、異なっていてもよい。
本発明に係る二糖類の糖エステル化合物の合成原料の糖の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、あるいはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースあるいはケストース挙げられる。
この他、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
本発明に係る二糖類の糖エステル化合物の合成時に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることが出来る。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環に1〜5個のアルキル基もしくはアルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
本発明に係る一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物の具体例の一部を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、下表中に記載のRは、一般式(1)中のR1〜R8のうちのいずれかを表す。
Figure 2013142786
Figure 2013142786
Figure 2013142786
(合成例:本発明に係る一般式(1)で表される化合物の合成)
Figure 2013142786
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(
4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%であった。なお、得られた混合物の一部を、シリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
その後、常法により高速液体クロマトグラフィーによって置換度分布を示すチャートの面積比から平均置換度を測定したところ、A−1〜A−5までそれぞれ1.3%、13.4%、13.1%、31.7%、40.5%の質量比となり平均置換度は5.5となった。
本発明で位相差フィルムに添加される、一般式(1)で示される二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度は4.0〜6.0の範囲内であることを特徴とするが、4.5〜6.0の範囲内であることが、本発明に係るセルロースアセテートとの相溶性がよいため好ましく、当該エステル置換度の分布範囲は4.0〜8.0の範囲内であることが好ましい。更にエステル置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることが好ましい。
エステル置換度の分布範囲が4.0未満になると、セルロースアセテートとの相溶性が低下するため、フィルムのヘイズが高くなる。特に置換度8.0の二糖類の糖エステル化合物は2%を超えて含有させるとフィルムのヘイズを顕著に高くする。
置換度の分布及び平均置換度は、エステル化反応時間の調節によって制御できるが、平均置換度は置換度違いの化合物を混合することにより調整してもよい。
<一般式(2)で表されるエステル化合物>
本発明の位相差フィルムには、特に偏光板の環境変化でのリターデーション安定性の観点から、下記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有することが好ましい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
一般式(2)において、炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。
炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースアセテートとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用できる。
また、炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種又は2種以上の混合物として使用できる。
炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種又は2種以上の混合物として使用される。
炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。
以下に、本発明に用いられる一般式(2)で表されるエステル化合物の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2013142786
Figure 2013142786
Figure 2013142786
<その他の添加剤>
本発明の位相差フィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて、これらの化合物や下記に述べる可塑剤や種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば位相差発現剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、微粒子、酸捕捉剤、光安定剤、光学異方性制御剤、帯電防止剤、剥離剤、等を含有させることができる。
〈可塑剤〉
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤および多価アルコールエステル系可塑剤、エステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R11−(OH)n
但し、R11はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、および/又はフェノール性ヒドロキシ基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースアセテートとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500の範囲内であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2013142786
Figure 2013142786
Figure 2013142786
Figure 2013142786
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R12(COOH)m1(OH)n1
式中、R12は(m1+n1)価の有機基、m1は2以上の正の整数、n1は0以上の整数、COOH基はカルボキシ基、OH基はアルコール性又はフェノール性ヒドロキシ基を表す。
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができる
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖若しくは側鎖を持った脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性のヒドロキシ基を、モノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上持つ芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲内であることが好ましく、350〜750の範囲内であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースアセテートとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
〈位相差発現剤〉
本発明では、位相差(リターデーション)発現剤を含んでいてもよい。位相差発現剤は、例えば0.5〜10質量%の割合で含有させることができ、さらには、2〜6質量%の割合で含有させることが好ましい。位相差(リターデーション)発現剤を採用することにより、低延伸倍率で高いRe発現性を得られる。位相差(リターデーション)発現剤の種類としては、特に定めるものではないが、棒状又は円盤状化合物からなるものを挙げることができる。上記棒状又は円盤状化合物としては、少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を位相差(リターデーション)発現剤として好ましく用いることができる。棒状化合物からなる位相差(リターデーション)発現剤の添加量は、セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましく、2〜6質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
円盤状の位相差(リターデーション)発現剤は、前記セルロースエステルを含むポリマー成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の範囲内で使用することが好ましく、1〜8質量部の範囲内で使用することがより好ましく、2〜6質量部の範囲内で使用することがさらに好ましい。二種類以上の位相差(リターデーション)発現剤を併用してもよい。
位相差(リターデーション)発現剤は、250〜400nmの波長領域に最大吸収を有することが好ましく、可視領域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
円盤状化合物について説明する。円盤状化合物としては少なくとも二つの芳香族環を有する化合物を用いることができる。
ここで、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であることが特に好ましい。
芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。
芳香族環としては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、ビフェニール類が好ましい。特に1,3,5−トリアジン環が好ましく用いられる。具体的には例えば特開2001−166144号公報に開示の化合物が好ましく用いられる。
位相差(リターデーション)発現剤が有する芳香族環の炭素数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。
〈紫外線吸収剤〉
位相差フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
前記紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明において、セルロースアセテート溶液は紫外線吸収剤を二種以上含有することが好ましい。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、位相差フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、位相差フィルムに対して0.5〜10質量%の範囲内が好ましく、0.6〜4質量%の範囲内が更に好ましい。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記位相差フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、前記重合体(A)とセルロースエステルの総質量に対して質量割合で1ppm〜1.0%の範囲内が好ましく、10〜1000ppmの範囲内が更に好ましい。
〈微粒子〉
本発明の位相差フィルムには、取扱性を向上させる為、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などの微粒子(以下マット剤ともいう)を含有させることが好ましい。中でも二酸化ケイ素がフィルムのヘイズを小さくできるので好ましい。
微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmの範囲内であり、特に好ましくは、5〜12nmの範囲内である。
これらの微粒子は0.1〜5μmの粒径の2次粒子を形成して位相差フィルムに含まれることが好ましく、好ましい平均粒径は0.1〜2μmの範囲内であり、更に好ましくは0.2〜0.6μmの範囲内である。これにより、フィルム表面に高さ0.1〜1.0μm程度の凹凸を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることができる。
表裏面の滑り性はJIS-K-7125−ISO8295に準じて測定することができる。この値が0.5〜1.0の範囲内であることが好ましい。搬送性の観点からはこの値が小さい方が好ましい。1.0を超えると、巻き取る際の巻きずれ、フィルムロールからの巻き出し時貼り付き、および貼り付きに伴う帯電による異物付着等が起こるので偏光板の収率が低下する。しかし、0.5未満になるとフィルムの凹凸が顕著になり、液晶表示装置のバックライトからの光がフィルムを通過する際に散乱が増えるのでコントラストが低下する。また、0.5未満にするためにはマット剤増量等が必要だが、フィルムのヘイズ上昇に繋がる。
本発明に用いられる微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、粒子径を測定しその平均値をもって、1次平均粒子径とすることができる。
微粒子の見掛比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ防止性、凝集物が良化するため好ましく、また、固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また例えばアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812(以上、日本アエロジル社製)の商品名で市販されており、それらを使用することができる。
上記記載の見掛け比重は二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の重さを測定し、下記式で算出したものである。
見掛け比重(g/リットル)=二酸化珪素質量(g)/二酸化珪素の容積(リットル)
本発明に用いられる微粒子の分散液を調製する方法としては、例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
《調製方法A》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。微粒子分散液をドープに加えて攪拌する。
《調製方法B》
溶剤と微粒子を攪拌混合した後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とする。別に溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに前記微粒子分散液を加えて攪拌する。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープと十分混合する。
《調製方法C》
溶剤に少量のセルロースアシレートを加え、攪拌溶解する。これに微粒子を加えて分散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラインミキサーでドープと十分混合する。
調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法である。
《分散方法》
二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散する時の二酸化珪素の濃度は5〜30質量%の範囲内が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量の範囲内%が最も好ましい。分散濃度は高い方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘイズ防止性、凝集物が良化するため好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースアセテートの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
セルロースアセテートに対する二酸化珪素微粒子の添加量はセルロースアセテート100質量部に対して、二酸化珪素微粒子は0.01〜5.0質量部の範囲内が好ましく、0.05〜1.0質量部が更に好ましく、0.1〜0.5質量部の範囲内が最も好ましい。添加量は多い方が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方が、凝集物が少なくなる。
分散機は通常の分散機が使用できる。分散機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレス分散機がヘイズが低く好ましい。メディア分散機としてはボールミル、サンドミル、ダイノミルなどが挙げられる。
メディアレス分散機としては超音波型、遠心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。
高圧分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μmの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MPa以上であることが好ましい。更に好ましくは19.613MPa以上である。またその際、最高到達速度が100m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/時間以上に達するものが好ましい。
上記のような高圧分散装置には、Microfluidics Corporation社製超高圧ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)或いはナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴーリン型高圧分散装置、例えば、イズミフードマシナリ製ホモジナイザ、三和機械社製UHN−01等が挙げられる。
また、本発明の位相差フィルムは、前記セルロースアセテートを含むドープを溶液流延製膜法又は溶融製膜法を利用して製膜することができるが、微粒子を含むドープを流延支持体に直接接するように流延することが、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるので好ましい。
〈溶液流延製膜法〉
本発明の位相差フィルムの溶液流延法での製造は、セルロースアセテートおよび添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースアセテートの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースアセテートの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースアセテートの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースアセテートの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%の範囲内であり、貧溶剤が2〜30質量%の範囲内である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースアセテートを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。
そのため、セルロースアセテートの平均アセチル化度(アセチル基置換度)によって良溶剤、貧溶剤が変わる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースアセテートの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースアセテートに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースアセテートの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースアセテートを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースアセテートの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃の範囲内であり、60〜110℃がより好ましく、70〜105℃の範囲内が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースアセテートを溶解させることができる。
次に、このセルロースアセテート溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲内の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲内の濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースアセテートに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に位相差フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2の範囲内である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃の範囲内であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃の範囲内であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度は0〜55℃の範囲内であり、25〜50℃の範囲内が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを120℃で1時間の加熱後の質量である。
また、位相差フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%の範囲内である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の位相差フィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点から熱風で行うことが好ましい。ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃の範囲内で段階的に高くしていくことが好ましい。
本発明の位相差フィルムの膜厚は、20〜80μmの範囲内で用いることができる。好ましくは20〜60μmであり、更に好ましくは20〜40μmの範囲内である。
位相差フィルムは複数の層から構成されていても良い。例えばコア層に薄いスキン層をコア層の両面に設けることができる。この場合3層とも本発明の位相差フィルムの構成をとることが好ましいが、主となるコア層は少なくとも本発明の構成の位相差フィルムであることが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、幅1〜4mの範囲内のものが用いられるが、幅1.3〜4mのものが好ましく、更に好ましくは1.9〜3.5mであり、特に好ましくは2.1〜3.5mの範囲内である。4mを超えると運搬が困難となる。
本発明の位相差フィルムは、下記式(i)で定義される、温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長550nmにおける面内のリターデーション値Roが30〜90nmの範囲内であり、下記式(ii)で定義される温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長550nmにおける厚さ方向のリターデーション値Rtが70〜300nmの範囲内であることが、後述するVA型(MVA,PVA)の液晶表示装置の視野角を拡大する上で好ましい位相差である。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
なお、リターデーション値Ro、Rtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、波長が589nmで求めることができる。
本発明で上記の好ましいリターデーション値Ro、Rtを得るには、位相差フィルムが本発明の構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えば、長手方向の張力を低く又は高くすることでリターデーション値を変動させることが可能となる。
また、フィルムの長手方向(製膜方向)およびそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することができる。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜3.0倍の範囲内とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.5倍の範囲内で行うことが好ましい。
延伸温度は120〜200℃の範囲内が好ましく、さらに好ましくは150〜200℃の範囲内であり、さらに好ましくは150℃を超えて190℃以下で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0%の範囲内が好ましく、さらに好ましくは15〜0%の範囲内のもので延伸するのが好ましい。
具体的には155℃で残留溶媒が11%で延伸する、あるいは155℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましい。もしくは160℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましく、あるいは160℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明の位相差フィルムの遅相軸又は進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制又は防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
〈偏光板〉
本発明の位相差フィルムは、偏光板、それを用いた液晶表示装置に使用することができる。本発明の偏光板は、前記本発明の位相差フィルムを用いたことを特徴とする。本発明の位相差フィルムを偏光子の少なくとも一方の面に貼合して作製することができる。
本発明の偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の位相差フィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には該位相差フィルムを用いても、また他のフィルムを貼合することもできる。
例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC8UA、KC6UA、KC4UA、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタオプト社製)も好ましく用いられる。
〈液晶表示装置〉
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を用いたことを特徴とする。少なくとも一方の液晶セル面に、本発明の偏光板を、粘着層等を介して貼り合わされて作製することができる。本発明の位相差フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々のコントラストに優れたに優れた液晶表示装置を作製することができる。
本発明の位相差フィルムは、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA、PVA)型液晶表示装置である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(実施例1)
<セルロースアセテートCA1〜CA13の調製>
α−セルロース含量98.4質量%の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100質量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8質量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、前処理として60時間静置し活性化した。活性化したパルプを、323質量部の酢酸、245質量部の無水酢酸、13.1質量部の硫酸からなる混合物に加え、40分を要して5℃から40℃の最高温度に調整し、90分間アセチル化した。中和剤(24%酢酸マグネシウム水溶液)を、硫酸量(熟成硫酸量)が2.5質量部に調整されるように3分間かけて添加した。さらに、反応浴を75℃に昇温した後、水を添加し、反応浴水分(熟成水分)を52mol%濃度とした。なお、熟成水分濃度は、反応浴水分の酢酸に対する割合をモル比で表わしたものに100を乗じてmol%で示した。その後、85℃で100分間熟成を行ない、酢酸マグネシウムで硫酸を中和することで熟成を停止し、セルロースアセテートを含む反応混合物を得た。得られた反応混合物に希酢酸水溶液を加え、セルロースアセテートを分離した後、水洗・乾燥・水酸化カルシウムによる安定化をしてセルロースアセテートを得た。上記作製方法において、前処理時間、アセチル化時間、中和剤添加時間、熟成条件を変更し、表1に示すセルロースアセテートCA1〜CA13を作製した。
次いで、重量平均分子量Mw、分子量分散度Mw/Mn、6位置換度、アセチル化度分布半値幅、6%粘度、粘度平均重合度を前記した方法で測定した。
Figure 2013142786
<二糖類の糖エステル化合物1の調製>
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×102Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×102Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物である本発明に係る二糖類の糖エステル化合物1を得た。
得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が1.3質量%、A−2が13.4質量%、A−3が13.1質量%、A−4が31.7質量%、A−5が40.5質量%であった。平均置換度は5.5であった。エステル置換度8.0である成分の含有質量比率は1.2%であった。
<HPLC−MSの測定条件>
1)LC部
装置:日本分光(株)製カラムオーブン(JASCO CO−965)、ディテクター(JASCO UV−970−240nm)、ポンプ(JASCO PU−980)、デガッサ−(JASCO DG−980−50)
カラム:Inertsil ODS−3 粒子径5μm 4.6×250mm(ジーエルサイエンス社製)
カラム温度:40℃
流速:1ml/min
移動相:THF(1%酢酸):H2O(50:50)
注入量:3μl
2)MS部
装置:LCQ DECA(Thermo Quest(株)製)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化(ESI)法
Spray Voltage:5kV
Capillary温度:180℃
Vaporizer温度:450℃
無水安息香酸の量とエステル化反応時間を調整する以外は同様にして、後述する表2に記載の平均置換度とエステル置換度8.0である成分の含有質量比率を有する二糖類の糖エステル化合物を各々調製した。
<位相差フィルム1の作製>
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル社製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
(微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
次に、下記の主ドープを調製した。
セルロースアセテート(CA1) 100質量部
二糖類の糖エステル化合物1 20質量部
エステル化合物(一般式(2)で表される例示化合物2−14) 4質量部
ジクロロメタン 406質量部
エタノール 61質量部
このドープを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、更に日本精線(株)製のファインメットNM(絶対濾過精度100μm)、ファインポアNF(絶対濾過精度50μm、15μm、5μmの順に順次濾過精度を上げて使用)を使用して濾過圧力9.8kPaで濾過し、主ドープを調製した。
主ドープ100質量部に微粒子添加液を2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体上に均一に溶液流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて搬送方向(MD)延伸倍率が1.02倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.35倍となるように延伸した延伸開始時の残留溶媒は30%であった。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後に幅保持を解除し、両端部から約3cmの所でスリットして端部を除去し、140℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅2300mm、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μmの本発明の位相差フィルム1を作製した。
<位相差フィルム2〜13の作製>
位相差フィルム1の作製において、セルロースアセテートおよび二糖類の糖エステル化合物、一般式(2)のエステル化合物、その他添加剤を表2のように変えた以外は、位相差フィルム1と同様にしてドープを調製し、表3記載の製膜条件によって位相差フィルム2〜13を作製した。
<位相差フィルム14の作製>
下記の主ドープを調製した。
セルロースアセテート(CA1) 60質量部
セルロースアセテート(CA394−60S (イーストマンケミカル社製)アセチル基置換度2.45 Mw210000 Mw/Mn3.3) 40質量部
二糖類の糖エステル化合物(表2記載のもの) 20質量部
エステル化合物(一般式(2)で表される例示化合物2−8) 4質量部
ジクロロメタン 406質量部
エタノール 61質量部
表3記載の製膜条件によって位相差フィルム14を作製した。
<位相差フィルム15の作製>
下記3種のドープを作製し、共流延によってコア、スキン部分を有する積層位相差フィルム14を作製した。
(スキン層1用ドープ)
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.75、Mw265000 Mw/Mn2.1) 100質量部
トリフェニルホスフェート 6質量部
化合物A 2質量部
微粒子 2質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
(コア層用ドープ)
セルロースアセテート(CA6) 100質量部
二糖類の糖エステル化合物(表2記載のもの) 20質量部
エステル化合物(一般式(2)で表される例示化合物2−19) 4質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
(スキン層2用ドープ)
セルロースアセテート(アセチル基置換度2.95、重量分子量200000 Mw/Mn2.3) 100質量部
トリフェニルホスフェート 12質量部
化合物A 4質量部
微粒子 2質量部
ジクロロメタン 406質量部
メタノール 61質量部
Figure 2013142786
上記の組成物を各々ミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、各セルロースアセテートドープを調製した。次に、共流延用ダイを用いて3層同時に積層した。図1は共流延用ダイの模式図の一例である。上記のように調製したドープを密閉容器に投入し、図1に示す共流延用ダイ(4)を用いた共流延法により、コア層用ドープ(3)を介してスキン層用ドープ1(1)、スキン層用ドープ2(2)を用いて、流延用支持体(5)上に積層することにより、対応するスキン層1,2及びコア層からなる三層積層の位相差フィルム12を製造した。流延する際には延伸後のフィルムの膜厚がコア層で約50μ、スキン層で約5μ、合計で約60μmとなるように各ドープの流延量を調整した。残留溶剤量が約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより140℃の熱風を当てて、延伸率32%まで拡幅した後、延伸率が30%となるように140℃で60秒間緩和させた。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から150℃で乾燥し巻き取り、位相差フィルム15を作製した。
《評価》
製造適性として、ドープろ過性、延伸状態、フィルム巻き状態、動摩擦係数、及び位相差フィルムの特性として、リターデーションRo値、Rt値、ヘイズを評価した。
(ドープろ過性)
上記の流延製膜において、下記の基準で評価した。
○:濾紙に目詰まり無く、ろ過できる。
×:濾紙に目詰まりが発生し、○に対してろ過時間が2倍以上かかる。この場合製造適性は劣る
(延伸状態)
TD方向に延伸した際の状態を下記の基準で評価した。
○:歪無く正常に延伸できる
×:延伸途中でフィルムが破断。
(フィルム巻き状態)
下記の評価基準で評価した。
○:シワ・巻きズレ・変形なく巻き取れた。
×:シワや巻きズレが発生し、フィルムロールが変形した。
(動摩擦係数)
本発明の位相差フィルムの表面と裏面間の動摩擦係数は、JIS-K-7125−ISO8295に準じて測定した。
23℃、相対湿度55%で6時間以上調湿したフィルムを40mm×150mmにカットしたものを2枚用意する。そのうちの1枚を東洋精機製作所社製friction tester TR−2の試料台上に固定する。もう1枚のフィルム端部(40mm側)をクリップで挟み、固定したフィルムと表裏面が接触するように重ねてから150gのおもりを載せる。
前記装置の可動フックを移動させ、前記の試料を挟んだクリップを引っ掛ける。移動速度100mm/分でクリップで挟んだフィルムを水平に引っ張りながら移動中の平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数を求めた。
動摩擦係数=移動中の平均荷重F(N)/おもりの質量(N)
この値が0.5〜1.0の範囲内であることが好ましい。
(リターデーションRo値、Rt値測定)
得られた位相差フィルムから試料35mm×35mmを切り出し、23℃,55%RHで6時間調湿し、自動複屈折計(KOBRAWR、王子計測(株))で、589nmにおける垂直方向から測定した値とフィルム面を傾けながら同様に測定したリターデーション値の外挿値から以下の式より算出した。
式(i) Ro=(nx−ny)×d
式(ii) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
なお、リターデーション値Ro、Rtは、KOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用いて、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が589nmで測定した。
(ヘイズ)
位相差フィルムのヘイズは、JIS K−7136:2000に準拠した方法;具体的には、以下の手順で測定することができる。
1)本発明の位相差フィルムを、23℃55%RH下で5時間以上調湿する。その後、フィルム表面に付着したホコリなどをブロワー等で除去する。
2)次いで、位相差フィルムのヘイズを、ヘイズメーター(濁度計)(型式:NDH 2000、日本電色社製)にて測定する。ヘイズメーターの光源は、5V9Wのハロゲン球とし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)としうる。ヘイズの測定は、いずれも23℃55%RHの条件下にて行う。
位相差フィルムの主な構成と以上の評価結果とを以下の表2、及び表3に示す。
なお、表中以下の略号を用いた。
TPP:トリフェニルホスフェート
CA−EK:CA394−60S イーストマンケミカル社製
糖エステル化合物:二糖類の糖エステル化合物
Figure 2013142786
Figure 2013142786
表2及び表3から、本発明の位相差フィルムは製造適性が良好で、ヘイズ防止性に優れていることがわかる。また、位相差フィルム14のように、本発明に係るセルロースアセテート以外のセルロースアセテートと併用しても、更に位相差フィルム15のように位相差フィルムが3層構成であっても、主たるコア層が本発明の構成である場合は効果が大きいことがわかる。
(実施例2)
<セルロースアセテートCA21〜CA30の調製>
実施例1のセルロースアセテートCA1の作製方法において、前処理時間、アセチル化時間、中和剤添加時間、熟成条件を変更し、表4に示すセルロースアセテートCA21〜CA30を作製した。また、実施例1と同様に重量平均分子量Mw、分子量分散度Mw/Mn、6位置換度、アセチル化度分布半値幅、6%粘度、粘度平均重合度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2013142786
<位相差フィルム16〜26の作製>
実施例1における位相差フィルム1の作製において、セルロースアセテートおよび二糖類の糖エステル化合物、一般式(2)のエステル化合物、その他添加剤を表5のように変えた以外は、位相差フィルム1と同様にしてドープを調製し、表6記載の製膜条件によって位相差フィルム16〜26を作製した。位相差フィルム26については、CA22とCA−EKとを9:1の質量比の混合物を用いた。
Figure 2013142786
《評価》
製造適性として、ドープろ過性、延伸状態、フィルム巻き状態、動摩擦係数、及び位相差フィルムの特性として、リターデーションRo値、Rt値、ヘイズを実施例1と同様に評価した。その結果を表6に示す。
Figure 2013142786
表5及び表6から、本発明の位相差フィルムは製造適性が良好で、ヘイズ防止性に優れていることがわかる。
(実施例3)
<偏光板の作製>
下記工程1〜5に従って偏光子と前記位相差フィルム16〜26と、コニカミノルタタックKC6UA(コニカミノルタオプト(株)製セルロースエステルフィルム 幅はそれぞれ実施例の位相差フィルムと同じものを使用)とを貼り合わせて偏光板16〜26を作製した。
厚さ75μmのクラレ社製ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの割合で混合した水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの割合で混合した60℃の加温液に浸漬しながら、搬送方向に約6倍延伸した。これを水洗、乾燥して偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と前記位相差フィルム16〜26と、裏面側にはコニカミノルタタックKC6UA(コニカミノルタオプト社製セルロースエステルフィルム)を貼り合わせて偏光板16〜26を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化カリウム溶液に30秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合するための位相差フィルム16A〜26AとコニカミノルタタックKC6UAを得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルム16A〜26Aの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルム16A〜26Aと偏光子と裏面側コニカミノルタタックKC6UAを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約20m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子、位相差フィルム及びコニカミノルタタックKC6UAとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ、位相差フィルム16〜26に対応する偏光板16〜26を作製した。
<液晶表示装置の作製>
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
SONY製40型ディスプレイBRAVIA X1の予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板16〜26をそれぞれ液晶セルのガラス面の両面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、位相差フィルム16〜26の面が、液晶セル側となるようにし、かつ予め貼合されていた偏光板16〜26と同一方向に吸収軸が向くように各液晶表示装置を作製した。
(視野角の評価)
測定装置としてELDIM社製EZ−Contrast160Dを用い、23℃55%RHの環境下、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向から60度傾けた方向の輝度を測定し、その比(60°コントラスト)を視野角とした。
◎:60°コントラストが100以上
○:60°コントラストが80以上100未満
×:60°コントラストが80未満
(液晶表示装置の正面コントラスト)
液晶表示装置について、それぞれの正面コントラストを測定した。正面コントラストの測定は、ELDIM社製の正面コントラスト測定装置(EZ−contrast)により行い、白表示時と黒表示時の光量を測定した。測定結果を、正面コントラストの値によって、下記のように優劣を付けてランク付けを行った。
◎:正面コントラスト比=3000:1以上
○:正面コントラスト比=2000:1以上〜3000:1未満
△:正面コントラスト比=1000:1以上〜2000:1未満
×:正面コントラスト比=1000:1未満
Figure 2013142786
表7から、本発明の液晶表示装置はコントラストに優れることがわかる。
1 スキン層用ドープ1
2 スキン層用ドープ2
3 コア層用ドープ
4 共流延用ダイ
5 流延用支持体

Claims (10)

  1. セルロースアセテートと二糖類の糖エステル化合物とを含有する位相差フィルムであって、(1)前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.00〜2.64の範囲内であり、分子量分散度Mw/Mnが2.5〜8.0の範囲内であり、6位置換度が0.65〜0.85の範囲内であり、アセチル化度分布半値幅が1.0〜2.3の範囲内であり、粘度平均重合度が180〜220の範囲内であり、かつ(2)前記二糖類の糖エステル化合物が下記一般式(1)で表される化合物であり、当該二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が4.0〜6.0の範囲内であることを特徴とする位相差フィルム。
    Figure 2013142786
    (式中、R1〜R8は、それぞれ水素原子、置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、又は置換若しくは無置換のアリールカルボニル基を表し、R1〜R8は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 前記セルロースアセテートの重量平均分子量Mwが、190000〜235000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記セルロースアセテートのアセチル基置換度が2.20〜2.56の範囲内であり、及び分子量分布Mw/Mnが3.0〜7.5の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記セルロースアセテートの25℃における95%アセトン水溶液の6%粘度が、120〜230mPa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに一項に記載の位相差フィルム。
  5. 下記一般式(2)で表されるエステル化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
    一般式(2) B−(G−A)n−G−B
    (式中、Bはヒドロキシ基又はカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表す。nは1以上の整数を表す。)
  6. 前記一般式(1)で表わされる二糖類の糖エステル化合物の平均エステル置換度が、4.5〜6.0の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  7. 前記一般式(1)で表される二糖類の糖エステル化合物のエステル置換度が8.0である成分の含有質量比率が2%以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
  8. 温度23℃、相対湿度55%の環境下での、測定光波長550nmにおいて、下記式(i)で定義される、面内のリターデーション値Roが30〜90nmの範囲内であり、下記式(ii)で定義される厚さ方向のリターデーション値Rtが70〜300nmの範囲内であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
    式(i) Ro=(nx−ny)×d
    式(ii) Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
    (式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の位相差フィルムを用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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