JP6677918B2 - 転写シート - Google Patents
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基材と、前記基材上に、熱溶融着色層を備えてなり、
前記熱溶融着色層が、ガラス転移温度が70℃以上のポリエステル系樹脂を含んでなる、転写シートが提供される。
基材と、前記基材上に、剥離層と熱溶融着色層とを順に備えてなり、
前記剥離層が、ガラス転移温度が70℃以上のポリエステル系樹脂を含んでなる、熱転写シートが提供される。
一実施形態において、本発明による転写シートは、基材と、熱溶融着色層とを備えてなる。この場合、基材および熱溶融着色層が、剥離界面層に該当する。
また、一実施形態において本発明による転写シートは、基材と、該基材上に、離型層と熱溶融着色層とを順に備えてなる。この場合、離型層および熱溶融着色層が、剥離界面層に該当する。
また、一実施形態において本発明による転写シートは、基材と、該基材上に、剥離層と熱溶融着色層とを順に備えてなる。この場合、基材および剥離層が、剥離界面層に該当する。
また、一実施形態において本発明による転写シートは、基材と、該基材上に、離型層と剥離層と熱溶融着色層とを順に備えてなる。この場合、離型層および剥離層が、剥離界面層に該当する。
さらに、一実施形態において、本発明による転写シートは、基材の熱溶融着色層を形成させた面とは反対側の面に背面層をさらに備えてもよい。以下、本発明による転写シートの層構成を、図面を参照しながら説明する。
本発明において基材は、熱溶融着色層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上支障のない程度の機械的強度を有する材料であることが好ましい。このような基材の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。また、基材の厚さは、2μm以上、20μm以下であることが好ましく、4μm以上、10μm以下であることがより好ましい。
本発明において熱溶融着色層は、転写シートと被転写体とを重ね合わせ、基材の裏面側(基材の熱溶融着色層が設けられていない側)を熱転写用のサーマルヘッドを備えたプリンタ等、従来公知の加熱手段を用いて加熱することにより、被転写体または中間転写記録媒体が備える受容層上に転写される層である。このように、熱溶融着色層を、被転写体上または中間転写記録媒体が備える受容層上に転写することにより、文字や数字等の画像を形成することができる。
本発明において、塩酸ビニル−酢酸ビニル系樹脂とは、(1)塩酸ビニルと酢酸ビニルとの重合体もしくはその誘導体、および(2)塩酸ビニルと酢酸ビニルと他のモノマーとの共重合体を含むものである。
塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂における塩化ビニルおよび酸酸ビニルの総含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
本発明において剥離層は、熱転写時に熱溶融着色層が基材から容易に剥離することが可能となるように、所望により設けられる層である。また、転写シートが、剥離層を備える場合、剥離層は、剥離界面層に該当し、基材と、熱溶融着色層との間に設けられ、熱溶融着色層とともに被転写体へ転写される。
本発明において離型層は、熱転写時に熱溶融着色層または剥離層が基材から容易に剥離することが可能となるように、所望により設けられる層であり、熱転写時に基材側に留まる層である。離型層は、基材と、熱溶融着色層との間、または基材と、剥離層との間に設けることができる。
本発明において背面層は、熱転写する際の基材の裏面側(基材の熱溶融着色層が設けられていない側)からの加熱によるスティキングやシワ等の悪影響を防止するために、所望により設けられる層である。背面層を設けることによって、耐熱性に劣るプラスチックフィルムを基材とした熱転写シートにおいてもスティッキングが起こることなく熱印字が可能であって、プラスチックフィルムの持つ切れにくさ、加工のし易さ等のメリットが生かせる。
本発明による転写シートは、所望により、熱昇華着色層を備えていてもよい。
熱昇華着色層は、昇華性染料を含んでなることが好ましく、十分な着色濃度を有し、光、熱、温度などにより変退色しないものが好ましい。
昇華性染料は、例えば、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、チアゾール系染料、メロシアニン染料、ピラゾロン染料、メチン系染料、インドアニリン系染料、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンなどのアゾメチン系染料、キサンテン系染料、オキサジン系染料、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンなどのシアノスチレン系染料、チアジン系染料、アジン系染料、アクリジン系染料、ベンゼンアゾ系染料、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラゾールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジスアゾなどのアゾ系染料、スピロピラン系染料、インドリノスピロピラン系染料、フルオラン系染料、ローダミンラクタム系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、キノフタロン系染料などを使用することができる。より具体的には、MSRedG(三井東圧化学社製)、Macrolex Red Violet R(バイエル社製)、CeresRed 7B(バイエル社製)、Samaron Red F3BS(三菱化学社製)などの赤色染料、ホロンブリリアントイエロー6GL(クラリアント社製)、PTY−52(三菱化成社製)、マクロレックスイエロー6G(バイエル社製)などの黄色染料、カヤセットブルー714(日本化薬社製)、ワクソリンブルーAP−FW(ICI社製)、ホロンブリリアントブルーS−R(サンド社製)、MSブルー100(三井東圧化学社製)、C.I.ソルベントブルー22などの青色染料を使用することができる。
本発明による転写シートの転写に使用可能な被転写体としては、特に限定されず、普通紙、上質紙、トレーシングペーパー、プラスチックフィルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布などいずれのものであってもよい。
熱溶融着色層の被転写体への転写は、従来公知の熱転写プリンタを用いて、被転写体に直接行うことができ、また、被転写体が直接転写を行うことが困難なものである場合、中間転写記録媒体が備える受容層上へ、熱溶融着色層を転写後、この中間転写記録媒体の受容層を被転写体へ転写することによっても行うことができる。
熱転写プリンタは、例えば、昇華転写用、熱溶融転写用、保護層転写用というように別々に転写条件を設定してもよいし、また、共通のプリンタでそれぞれ印字エネルギーを適切に調整して行ってもよい。また、加熱手段として特に限定されず、熱板、ホットスタンパー、熱ロール、ラインヒーター、アイロンなどを用いて転写を行うこととしてもよい。
基材として、厚さ4.5μmのPETフィルム上に、下記組成の剥離層用塗布液を乾燥時1.0g/m2になるように塗布して剥離層を形成した。剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量は、5質量%であった。
<剥離層用塗布液>
・塩酸ビニル−酢酸ビニル系樹脂 95質量部
(日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインCNL(以下、場合により「CNL」と表す。))
・ポリエステル系樹脂 5質量部
(Tg:82℃、Mn:6000、ユニチカ株式会社製、商品名:UE−9885)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 200質量部
<熱溶融着色層用塗布液>
・カーボンブラック分散体 100質量部
(固形分46%、カーボンブラック40%、分散剤6%、メチルエチルケトン/トルエン=50/50)
・塩酸ビニル−酢酸ビニル系樹脂 40質量部
(日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインCL)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 50質量部
<背面層用塗布液>
・ポリビニルブチラール樹脂 2.0質量部
(積水化学工業株式会社、商品名:エスレックBX−1)
・ポリイソシアネート 9.2質量部
(大日本インキ化学工業株式会社、商品名:バーノックD750)
・リン酸エステル系界面活性剤 1.3質量部
(第一工業製薬株式会社、商品名:プライサーフA208N)
・タルク 0.3質量部
(日本タルク工業株式会社、商品名:ミクロエースP−3)
・トルエン 43.6質量部
・メチルエチルケトン 43.6質量部
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、40質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、100質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
剥離層を設けず、熱溶融着色層用塗布液の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。熱溶融着色層における固形分の総量に対する、熱溶融着色層中のポリエステル系樹脂の含有量は、20.0質量%であった。
<熱溶融着色層用塗布液>
・カーボンブラック分散体 100質量部
(固形分46%、カーボンブラック40%、分散剤6%、メチルエチルケトン/トルエン=50/50)
・塩酸ビニル−酢酸ビニル系樹脂 22.8質量部
(日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインCL)
・ポリエステル系樹脂 17.2質量部
(Tg:82℃、Mn:6000、ユニチカ株式会社製、商品名:UE−9885)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 50質量部
ポリエステル系樹脂を、バイロンGK−640(Tg:79℃、Mn:13000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
ポリエステル系樹脂を、バイロン885(Tg:79℃、Mn:8000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
ポリエステル系樹脂を、バイロンUR−1700(Tg:92℃、Mn:16000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
熱溶融着色層用塗布液の組成を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
<熱溶融着色層用塗布液>
・カーボンブラック分散体 100質量部
(固形分46%、カーボンブラック40%、分散剤6%、メチルエチルケトン/トルエン=50/50)
・アクリル系樹脂A 40質量部
(Tg:105℃、Mw:40000、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−83)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 50質量部
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例9と同様にして、転写シートを得た。
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、40質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例9と同様にして、転写シートを得た。
ポリエステル系樹脂を、バイロンGK−640(Tg:79℃、Mn:13000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例9と同様にして、転写シートを得た。
一方の面に水分散性アクリル樹脂を用いて表面易接着処理を施した厚さ4.5μmのPETフィルムを用意した。この基材の一方の面に、下記組成の離型層用塗布液を乾燥時0.5g/m2になるように塗布して離型層を形成した。
<離型層用塗布液>
・ウレタン系樹脂 25質量部
・アセタール系樹脂 75質量部
(積水化学株式会社製、商品名:エスレックKS−5)
・トルエン/イソプロピルアルコール(1/1) 1900質量部
ポリエステル系樹脂を、バイロン200(Tg:65℃、Mn:17000、東洋紡績株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、40質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
ポリエステル系樹脂を、バイロン600(Tg:47℃、Mn:16000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
ポリエステル系樹脂を、バイロン220(Tg:53℃、Mn:3000、東洋紡績株式会社製)に変更し、剥離層における固形分の総量に対する、剥離層中のポリエステル系樹脂の含有量が、20質量%となるよう、ポリエステル系樹脂の添加量を変更した以外は、実施例1と同様にして、転写シートを得た。
上記の実施例および比較例で製造した転写シートについて、印画安定性の各評価を行った。
(テストプリンター)
サーマルヘッド:KEE−57−12GAN2−STA(京セラ株式会社製)
発熱体平均抵抗値:3303(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印字開始温度:35(℃)
パルスDuty比:85%
印画パターン:図3に示す印画パターン(白線および黒線)
<中間転写記録媒体の作製>
厚さ16μmのPETフィルム上に、下記組成の剥離層用塗布液、保護層用塗布液および受容層兼ヒートシール層用塗工液をグラビアリバースコート方式で、順次塗工、乾燥して、剥離層、保護層および受容層兼ヒートシール層を形成させて被転写体を得た。上記の各々の乾燥塗工量は、剥離層は1.0g/m2、保護層は2.0g/m2、受容層兼ヒートシール層は1.5g/m2であった。
(剥離層用塗布液)
・アクリル系樹脂 29質量部
(Tg:105℃、Mw:25000、三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤナ−ルBR−87)
・ポリエステル系樹脂 1質量部
(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン200)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 70質量部
(保護層用塗布液組成)
・ポリエステル系樹脂 30質量部
(東洋紡績株式会社製、商品名:バイロン200)
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 70質量部
(受容層兼ヒートシール層用塗布液)
・塩酸ビニル−酢酸ビニル系樹脂 20質量部
(日信化学工業株式会社製、商品名:ソルバインCNL)
・シリコーンオイル 1質量部
・メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 79質量部
<カスレ評価基準>
A:カスレがなく、良好である。
B:部分的にカスレがあるが、判読できる。
C:カスレがあり、判読が困難である。
D:全体的にカスレがあり、不良である。
<ツブレ評価基準>
A:ツブレがなく、良好である。
B:部分的にツブレがあるが、判読できる。
C:ツブレがあり、判読が困難である。
D:全体的にツブレがあり、不良である。
11 基材
12 離型層
13 剥離層
14 熱溶融着色層
15 背面層
16 熱昇華着色層
Claims (6)
- 基材と、前記基材上に、熱溶融着色層を備えてなり、
前記熱溶融着色層が、ガラス転移温度が70℃以上のポリエステル系樹脂を含み、
前記熱溶融着色層が、剥離界面層であり、
前記熱溶融着色層が、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂を含み、
前記熱溶融着色層における固形分の総量に対して、前記塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、40質量%以上であり、
前記熱溶融着色層と面順次となるように熱昇華着色層をさらに備えてなる、転写シート。 - 基材と、前記基材上に、剥離層と熱溶融着色層とを順に備えてなり、
前記剥離層が、ガラス転移温度が70℃以上のポリエステル系樹脂を含み、
前記剥離層が、剥離界面層であり、
前記剥離層が、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂を含み、
前記剥離層における固形分の総量に対して、前記塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂の含有量が、40質量%以上である、転写シート。 - 前記熱溶融着色層と面順次となるように熱昇華着色層をさらに備えてなる、請求項2に記載の転写シート。
- 前記ポリエステル系樹脂の数平均分子量が、4000以上、20000以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写シート。
- 前記熱溶融着色層または前記剥離層中の前記ポリエステル系樹脂の含有量が、前記熱溶融着色層または前記剥離層における固形分の総量に対して、2.5質量%以上、50.0質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写シート。
- 前記熱溶融着色層が、着色剤と、ガラス転移温度が70℃以上の(メタ)アクリル系樹脂を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の転写シート。
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