JP6593321B2 - 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents
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Description
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記高飽和ニトリルゴム(A)は、分岐度指数が20,000Pa・s以下であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記高飽和ニトリルゴム(A)は、分子量分布(Mw/Mn)が1.2〜10であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記不飽和カルボン酸金属塩(B)が、不飽和カルボン酸の亜鉛塩であることが好ましく、不飽和モノカルボン酸の亜鉛塩であることがより好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記不飽和カルボン酸金属塩(B)は、体積平均粒子径が20μm以上の粒子の含有割合が5%以下であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕が50以下、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、不飽和カルボン酸金属塩(B)と、有機過酸化物架橋剤(C)とを含有してなる組成物である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、少なくともα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を、これと共重合可能な他の単量体と共重合して得られる、ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕が50以下、ヨウ素価が120以下のゴムである。
α−オレフィン単量体としては、炭素数が3〜12のものが好ましく、たとえば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸エチル(アクリル酸エチル及びメタクリル酸エチルの意。以下同様。)、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸モノエステルとしては、たとえば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステルとしては、たとえば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
メルカプトベンゾイミダゾール系老化防止剤の具体例としては、メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、メルカプトメチルベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩などが挙げられる。
ビスフェノール系老化防止剤の具体例としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのようなビスフェノール・アルカン;および4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのようなビスフェノール・スルフィド、が挙げられる。
モノフェノール系老化防止剤の具体例としては、スチレン化フェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ジメチル−6−(1−メチルシクロヘキシル)フェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−〔1−(2−ヒドロ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートなどが挙げられる。
ヒドロキノン系老化防止剤の具体例としては、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。
ニッケル系老化防止剤の具体例としては、ニッケルジメチルジチオカーバメート、ニッケルジエチルジチオカーバメート、ニッケルジブチルチオカーバメート、ニッケルイソプロピルサントゲン酸塩などが挙げられる。
チオウレア系老化防止剤の具体例としては、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)チオウレア、トリブチルチオウレアなどが挙げられる。
チオエーテル系老化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)などが挙げられる。
リン系老化防止剤の具体例としては、トリス(ノニル化フェニル)フォスファイトなどが挙げられる。
一例を挙げると、スクリュー回転数を高くするほど、分岐度指数を低くすることができる。さらに、処理速度を遅くするほど、分岐度指数を高くすることができる。
以上、これらの方法を複数組み合わせることにより、分岐度指数が上記範囲になるように調整することが好ましい。
本発明で用いる不飽和カルボン酸金属塩(B)は、不飽和カルボン酸と、金属との塩である。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、高飽和ニトリルゴム(A)および不飽和カルボン酸金属塩(B)に加えて、有機過酸化物架橋剤(C)を含有する。
有機過酸化物架橋剤(C)としては、従来公知のものを用いることができ、特に限定されないが、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。
高飽和ニトリルゴムを構成する各単量体単位の含有割合は、以下の方法により測定した。
1,3−ブタジエン単位および飽和化ブタジエン単位の含有割合は、高飽和ニトリルゴムを用いて、水素添加反応前と水素添加反応後のよう素価(JIS K 6235による)を測定することにより算出した。
アクリロニトリル単位の含有割合は、JIS K6384に従い、ケルダール法により、高飽和ニトリルゴム中の窒素含量を測定することにより算出した。
高飽和ニトリルゴムのヨウ素価は、JIS K 6235に準じて測定した。
高飽和ニトリルゴムのムーニー粘度(ポリマー・ムーニー)は、JIS K6300−1に従って測定した(単位は〔ML1+4、100℃〕)。
高飽和ニトリルゴムの分岐度指数は、粘弾性測定装置:商品名「RPA−2000、ラバープロセスアナライザー」、アルファテクノロジーズ社製)を用いて測定した。
具体的には、まず、高飽和ニトリルゴムについて、100℃において、周波数1Hz、動的ひずみ7.0%、せん断速度0.44s−1における複素粘度η*を測定し、これをη1(単位は〔Pa・s〕)とした。次いで、100℃において、周波数1Hz、動的ひずみ473.0%、せん断速度29.7s−1における複素粘度η*を測定し、これをη2(単位は〔Pa・s〕)とした。分岐度指数は(η1)−(η2)で求められる(単位は〔Pa・s〕)。
高飽和ニトリルゴムをクロロホルムに溶解し、メンブレンフィルターを通した後、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、以下の条件で測定し、高飽和ニトリルゴムの分子量分布Mw/Mnを求めた。なお、MwおよびMnは標準ポリスチレン換算である。
測定器:商品名「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:商品名「GMH−HR−H」(東ソー社製)2本と、商品名「G3000H−HR」(東ソー社製)1本を直列に接続。
検出器:示差屈折計RI
溶離液:クロロホルム
カラム温度:40℃
架橋性ニトリルゴム組成物のムーニースコーチ時間(t5)を、JIS K6300に従って125℃で測定した。ムーニースコーチ時間(t5)の値が大きいほど、スコーチ安定性に優れる。
架橋性ニトリルゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。次いで、得られたゴム架橋物をギヤー式オーブンに移して170℃で4時間二次架橋を実施した。得られたシート状のゴム架橋物を列理方向に3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の破断時の引張強度、100%引張応力、および、破断時の伸びをそれぞれ測定した。
架橋性ニトリルゴム組成物をJIS K6260に従い、170℃で30分間プレス架橋を行い、デマチャ式屈曲疲労試験用のゴム架橋物を得た。そして、得られたゴム架橋物について、デマチャ式屈曲疲労試験機(上島製作所製)を用いて、25℃にて亀裂発生時の屈曲疲労回数を測定した。亀裂発生までの屈曲疲労回数が多いほど、耐屈曲疲労性に優れると判断できる。
反応器内でイオン交換水200部に、炭酸ナトリウム0.2部を溶解し、それに脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル37部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.47部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン63部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部、還元剤、およびキレート剤適量を仕込み、温度を5℃に保ちながら16時間重合反応を行なった。次いで、濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止し、水温60℃のロータリーエバポレータを用いて残留単量体を除去して、ニトリルゴムのラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
二軸押出機:商品名「KZW15TW−60MG」(テクノベル社製)
シリンダ内径:15mm
スクリュー長:900mm
送りスクリュー部の溝深さ:2.75mm
チップクリアランス(シリンダ内壁とスクリュー先端との距離):0.2mm
L/D:60
バレル構成:8バレル構成
スクリュー構成:混練、剪断ゾーンにおけるニーディングゾーンは3箇所
スクリュー回転数:400rpm
処理速度:2kg/時間
スクリューの構造:完全かみ合い型の二条スクリュー、同方向回転
滞留時間 :180〜230秒
バレル1(投入ゾーン):100℃
バレル2(溶融ゾーン):270℃
バレル3〜6(混練、剪断ゾーン):270〜300℃
バレル7〜8(冷却、脱気ゾーン):200〜270℃
アクリロニトリルの使用量を37部から41部に、1,3−ブタジエンの使用量を63部から59部にそれぞれ変更し、さらに、水素添加反応に使用するパラジウム・シリカ触媒の量を200重量ppmから500重量ppmに変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a2)を得た。
そして、製造例1と同様の二軸押出機(8つのバレルを結合して構成したもの)を用いて、上記にて得られた高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a2)100部に対しポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名「ノクラック224」、大内新興化学社製、アミン・ケトン類老化防止剤)1部を添加し、製造例1と同様にして、高剪断力付与処理を行うことで、高飽和ニトリルゴム(A2)を得た。
得られた高剪断力付与処理後の高飽和ニトリルゴム(A2)の組成は、アクリロニトリル単位40.0重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)60.0重量%であり、ヨウ素価は6、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は27、分岐度指数は9615Pa・s、Mw/Mnは2.29であった。
t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.35部に変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a3)を得た。
そして、製造例1と同様の二軸押出機(8つのバレルを結合して構成したもの)を用いて、上記にて得られた高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a3)100部に対しポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名「ノクラック224」、大内新興化学社製、アミン・ケトン類老化防止剤)1部を添加し、スクリュー回転数を400rpmから200rpmに変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断力付与処理を行うことで、高飽和ニトリルゴム(A3)を得た。
得られた高剪断力付与処理後の高飽和ニトリルゴム(A3)の組成は、アクリロニトリル単位36.0重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)64.0重量%であり、ヨウ素価は26、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は35、分岐度指数は10210Pa・s、Mw/Mnは4.1であった。
アクリロニトリルの使用量を37部から36部に、1,3−ブタジエンの使用量を63部から60部に、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.55部に、それぞれ変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a4)を得た。
そして、製造例1と同様の二軸押出機(8つのバレルを結合して構成したもの)を用いて、上記にて得られた高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a3)100部に対しポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名「ノクラック224」、大内新興化学社製、アミン・ケトン類老化防止剤)1部を添加し、処理速度を2kg/時間から1kg/時間に変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断力付与処理を行うことで、高飽和ニトリルゴム(A4)を得た。
得られた高剪断力付与処理後の高飽和ニトリルゴム(A4)の組成は、アクリロニトリル単位35.5重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)64.5重量%であり、ヨウ素価は35、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は20、分岐度指数は15630Pa・s、Mw/Mnは5.0であった。
アクリロニトリルの使用量を37部から34部に、1,3−ブタジエンの使用量を63部から66部に、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.39部に、それぞれ変更するとともに、重合反応時の反応温度を5℃から10℃に変更し、さらに水素添加反応に使用するパラジウム・シリカ触媒の量を200重量ppmから400重量ppmに変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a5)を得た。
そして、製造例1と同様の二軸押出機(8つのバレルを結合して構成したもの)を用いて、上記にて得られた高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a5)100部に対しポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(商品名「ノクラック224」、大内新興化学社製、アミン・ケトン類老化防止剤)1部を添加し、製造例1と同様にして、高剪断力付与処理を行うことで、高飽和ニトリルゴム(A5)を得た。
得られた高剪断力付与処理後の高飽和ニトリルゴム(A5)の組成は、アクリロニトリル単位33.0重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)67.0重量%であり、ヨウ素価は11、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は43、分岐度指数は9560Pa・s、Mw/Mnは2.9であった。
アクリロニトリルの使用量を37部から44部に、1,3−ブタジエンの使用量を63部から56部に、t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.45部に、それぞれ変更するとともに、水素添加反応に使用するパラジウム・シリカ触媒の量を200重量ppmから400重量ppmに変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a6)を得た。
そして、製造例1と同様の二軸押出機(8つのバレルを結合して構成したもの)を用いて、上記にて得られた高剪断処理前の高飽和ニトリルゴム(a6)100部に対しポリ(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)(商品名「ノクラック224」、大内新興化学社製、アミン・ケトン類老化防止剤)1部を添加し、スクリュー回転数を400rpmから300rpmに変更し、かつ、処理速度を2kg/時間から1kg/時間に変更した以外は、製造例1と同様にして、高剪断力付与処理を行うことで、高飽和ニトリルゴム(A6)を得た。
得られた高剪断力付与処理後の高飽和ニトリルゴム(A6)の組成は、アクリロニトリル単位43.0重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)57.0重量%であり、ヨウ素価は18、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は33、分岐度指数は16200Pa・s、Mw/Mnは5.5であった。
t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.50部に変更するとともに、二軸押出機を用いた高剪断力付与処理を行わなかった以外は、製造例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム(B1)を得た。
得られた高飽和ニトリルゴム(B1)の組成は、アクリロニトリル単位36.0重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)64.0重量%であり、ヨウ素価は29、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は60、分岐度指数は23549Pa・s、Mw/Mnは2.84であった。
t−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の使用量を0.47部から0.48部に変更するとともに、二軸押出機を用いた高剪断力付与処理を行わなかった以外は、製造例1と同様にして、高飽和ニトリルゴム(B2)を得た。
得られた高飽和ニトリルゴム(B2)の組成は、アクリロニトリル単位36.3重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.7重量%であり、ヨウ素価は28、ポリマー・ムーニー粘度〔ML1+4、100℃〕は75、分岐度指数は28780Pa・s、Mw/Mnは2.72であった。
バンバリーミキサを用いて、製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部、SRFカーボンブラック(商品名「シーストS」、東海カーボン社製、カーボンブラック)15部、シリカ(商品名「ニップシールVN−3」、東ソー・シリカ社製、シリカ)5部、メタクリル酸亜鉛(体積平均粒子径が20μm以上の粒子の含有割合が5%以下のもの)15部、(4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1.5部、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩(商品名「ノクラックMBZ」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1.5部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「アデカサイザーC−8」、ADEKA社製、可塑剤)5部、およびステアリン酸1部を、チャンバー設定温度50℃で5分間混練した。次いで、混合物をオープンロールに移して、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(商品名「ペロキシモンF−40」、日本油脂社製、有機過酸化物架橋剤)5部を配合し、50℃で10分間混練することにより、架橋性ニトリルゴム組成物を得た。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例2で得られた高飽和ニトリルゴム(A2)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
SRFカーボンブラックの配合量を15部から2部に、メタクリル酸亜鉛の配合量を15部から25部に、それぞれ変更した以外は、実施例2と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例3で得られた高飽和ニトリルゴム(A3)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例4で得られた高飽和ニトリルゴム(A4)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例5で得られた高飽和ニトリルゴム(A5)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例6で得られた高飽和ニトリルゴム(A6)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例3で得られた高飽和ニトリルゴム(B1)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
製造例1で得られた高飽和ニトリルゴム(A1)100部に代えて、製造例4で得られた高飽和ニトリルゴム(B2)100部を使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
SRFカーボンブラックの配合量を15部から55部に変更するとともに、メタクリル酸亜鉛を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
また、不飽和カルボン酸金属塩(B)を配合しない場合には、得られるゴム架橋物は、引張強さが低く、耐屈曲疲労性に劣るものであった(比較例3)。
Claims (5)
- ムーニー粘度(ML1+4、100℃)が50以下、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、
不飽和カルボン酸金属塩(B)と、
有機過酸化物架橋剤(C)とを含有し、
前記高飽和ニトリルゴム(A)は、複素粘度(η1)と、複素粘度(η2)との差(η1−η2)である分岐度指数が20,000Pa・s以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が2.29〜10である架橋性ニトリルゴム組成物。
(ただし、前記複素粘度(η1)は、温度100℃、周波数1Hz、動的ひずみ7.0%、せん断速度0.44s −1 で測定される複素粘度であり、前記複素粘度(η2)は、温度100℃、周波数1Hz、動的ひずみ473.0%、せん断速度29.7s −1 で測定される複素粘度である。) - 前記不飽和カルボン酸金属塩(B)が、不飽和カルボン酸の亜鉛塩である請求項1に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
- 前記不飽和カルボン酸金属塩(B)が、不飽和モノカルボン酸の亜鉛塩である請求項1または2に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
- 前記不飽和カルボン酸金属塩(B)は、体積平均粒子径が20μm以上の粒子の含有割合が5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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