JP6591919B2 - ハニカム型脱硝触媒の製造方法 - Google Patents

ハニカム型脱硝触媒の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハニカム型脱硝触媒(窒素酸化物除去用触媒)の製造方法に関する。本発明に係るハニカム型脱硝触媒(窒素酸化物除去用触媒)は、例えば、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガス焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、ごみ焼却炉および各種工業プロセスから排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するのに用いられる。
一般に、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガス焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、ごみ焼却炉および各種工業プロセスから排出される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)が含まれている。そして、この排ガス中の窒素酸化物を除去する目的で現在実用化されている窒素酸化物の除去方法としては、アンモニアまたは尿素などの還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を触媒上で接触還元して窒素および水に分解する選択的触媒還元法(SCR法)が一般的である。近年、酸性雨に代表されるように窒素酸化物による環境汚染が世界的に深刻化するに伴い、高性能な触媒が求められている。
一方、上記排ガス中には硫黄酸化物(SOx)等の酸性ガスも含まれていることから、当該排ガスの処理に用いられる触媒にはNOx除去性能に加えて耐SOx性を有していることが必要であり、この観点からはチタニア系触媒が有望とされている。
ここで、チタニア系の脱硝触媒をハニカム型触媒の形態とすることで、触媒の表面積および細孔容積を大きくし、低温、高空間速度でも高性能を示す高活性な脱硝触媒とすることが行われている。しかしながら、ハニカム型触媒は強度が小さく、特にガスとの接触面が摩耗に弱いという欠点がある。また、例えば石炭焚きボイラに使用される場合、その排ガスには石炭燃焼灰等がダスト(煤塵)として数百mg/m〜数十g/m含まれることも少なくない。このように多量のダストを含む排ガスをハニカム型触媒の形態のチタニア系脱硝触媒を用いて処理すると、ガスとの接触面がダストにより摩耗し、排ガス処理効率が低下したり、粉塵が排ガスとともに系外に排出されて二次公害を引き起こしたり、後流層の触媒層が閉塞したりするなどの問題を引き起こす可能性がある。
従来、脱硝触媒の耐摩耗性を向上させることを目的として、酸化チタン(TiO)と、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)のうちの一種以上の元素の化合物(活性成分)とを含有する脱硝触媒において、酸化チタンに上記活性成分を加熱混練して担持したものの乾燥または仮焼粉末からなる第一成分と、含水酸化チタン粉末からなる第二成分との混練物成形体を乾燥・焼成することにより脱硝触媒を得る技術が提案されている(特許文献1を参照)。
また、酸化チタンまたは酸化チタン−シリカ複合酸化物100重量部に対して、三酸化タングステン5〜20重量部と、五酸化バナジウム0〜2.0重量部とを含む多孔質成形体に硫酸マグネシウム水溶液を含浸させ、加熱焼成して、硫酸マグネシウムを0.5〜5.5重量部の範囲で上記多孔質成形体に担持させることにより脱硝触媒を得る技術も提案されている(特許文献2を参照)。
特開平7−163876号公報 特開平9−276659号公報
本発明者らが検討を行ったところ、特許文献1〜2に開示されている脱硝触媒では、ハニカム型触媒としての耐摩耗性が依然として十分ではないことが判明した。一方、耐摩耗性を向上させようとすると、場合によっては脱硝性能が低下してしまうというトレードオフが存在することも判明した。
そこで本発明は、ハニカム型脱硝触媒において、脱硝性能の低下を最小限に抑制しつつ、耐摩耗性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、所定の酸化物と、所定の活性成分と、無機繊維と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して得られた触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成してハニカム型脱硝触媒を製造する際に、前記酸化物として、硫黄化合物の含有量が所定の範囲内の値に制御された硫黄原子換算で1.5〜3.5質量%であるものを用い、得られる触媒における前記無機繊維の含有量を14〜20質量%とし、かつ、前記混練を2段階以上で行い、前記無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、チタン酸化物、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、無機繊維と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること、および、前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成することを含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法が提供される。そして、当該製造方法においては、前記酸化物に含まれる硫黄化合物の含有量が、硫黄原子換算で1.5〜3.5質量%であり、得られる触媒における前記無機繊維の含有量が、14〜20質量%であり、前記混練を2段階以上で行い、前記無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加する点に特徴がある。
本発明によれば、脱硝性能の低下を最小限に抑制しつつ、耐摩耗性が向上したハニカム型脱硝触媒が提供されうる。
実施例8の製造方法に対応したフロー図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには限定されない。
本発明の一形態によれば、チタン酸化物、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、無機繊維と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること(以下、「工程(1)」とも称する)、および、前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成すること(以下、「工程(2)」とも称する)を含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法であって、前記酸化物に含まれる硫黄化合物の含有量が、硫黄原子換算で1.5〜3.5質量%であり、得られる触媒における前記無機繊維の含有量が、14〜20質量%であり、前記混練を2段階以上で行い、前記無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加することを特徴とする、ハニカム型脱硝触媒の製造方法が提供される。
[工程(1)]
工程(1)は、所定の原料を含む触媒ペースト前駆体を得た後、これを混練して触媒ペーストを得る工程である。
(触媒ペースト前駆体)
触媒ペースト前駆体は、所定の酸化物、所定の活性成分、無機繊維、および水を必須に含み、必要に応じて、バインダなどの添加剤をさらに含んでもよい。
・酸化物
触媒ペースト前駆体に含まれる所定の酸化物は、以下のものからなる群から選択される酸化物である:
チタン酸化物(TiO);
チタン−ケイ素の混合酸化物(TiOとSiOとの混合物);
チタン−ケイ素の複合酸化物(TiO−SiO複合酸化物(「TS複合酸化物」とも称する));
チタン−タングステンの複合酸化物(TiO−WO複合酸化物(「TW複合酸化物」とも称する));
チタン−タングステンの混合酸化物(TiOとWOとの混合物);
チタン−ケイ素−タングステンの複合酸化物(TiO−SiO−WO複合酸化物(「TSW複合酸化物」とも称する));
チタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物(TiOとSiOとWOとの混合物、TS複合酸化物またはTSW複合酸化物とWOとの混合物、TW複合酸化物またはTSW複合酸化物とSiOとの混合物、TS複合酸化物とTW複合酸化物(さらに必要に応じてSiOおよび/またはWO)との混合物、)。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、上記所定の酸化物は、ケイ素の酸化物(SiO)を含むものであることが、脱硝性能および耐摩耗性の両立の観点からはより好ましい。すなわち、上記所定の酸化物は、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択されることが好ましい。
なお、上記所定の酸化物はチタン酸化物(TiO)を必須成分として含むものであるが、上記所定の酸化物がチタン酸化物(TiO)以外の成分をも含む場合、上記所定の酸化物におけるチタン酸化物(TiO)の含有割合は、酸化物換算で好ましくは70〜99.9質量%であり、より好ましくは80〜99.5質量%である。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法では、触媒ペースト前駆体(および触媒ペースト)に含まれる上記所定の酸化物が、所定量の硫黄化合物を含有する点に特徴がある。すなわち、本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、上記所定の酸化物における硫黄化合物の含有量は、硫黄原子換算で1.5〜3.5質量%であることが必須であり、好ましくは2.0〜3.5質量%である。上記所定の酸化物における硫黄化合物の含有量が1.5質量%未満であると、触媒の脱硝性能および耐摩耗性が悪化してしまうという問題がある。一方、上記硫黄化合物の含有量が3.5質量%を超えると、触媒製造時の焼成工程段階で硫黄化合物が大気に多量に放出するため、高価な後処理装置の設置が必要となる場合がある。ここで、上記所定の酸化物に含まれる硫黄化合物の具体的な形態について特に制限はなく、当該硫黄原子は、例えば、硫酸チタン、硫化タングステン、硫酸アンモニウム等といった硫黄化合物の形態で上記酸化物中に存在しうる。なお、上記所定の酸化物における硫黄化合物の含有量の値としては、後述する実施例の欄に記載の手法を用いて得られた値を採用するものとする。
上記所定の酸化物の平均粒子径は、好ましくは0.5〜50μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜40μmである。当該酸化物の平均粒子径が0.5〜50μmであれば、触媒が持つ細孔容積の細孔径0.1〜10μmの範囲のマクロ細孔を形成しやすくなって脱硝活性を向上できる。また、上記の酸化物および活性成分の原料である塩類等を混合する際に添加する水分量を適正な範囲に制御することができ、媒強度および摩耗強度を向上できるという利点がある。なお、当該酸化物の平均粒子径の値は、粒子径分布測定装置という装置を用い、レーザー回折散乱法という方法によって測定された値を採用するものとする。また、当該酸化物のBET比表面積は、好ましくは70〜250m/gであり、より好ましくは80〜200mであり、さらに好ましくは90〜180m/gである。当該酸化物のBET比表面積が70〜250m/gであれば、酸化物および活性成分の原料である塩類等を混合する際に添加する水分量を適正な範囲に制御することができ、触媒強度および摩耗強度を向上できるという利点がある。
上記所定の酸化物としては、市販品を購入したものを用いてもよいし、自ら調製したものを用いてもよい。上記所定酸化物のなかでも複合酸化物を自ら調製する方法としては、例えば、共沈法が挙げられる(後述する実施例8〜9を参照)。共沈法によって複合酸化物を得る方法自体は従来公知であり、公知の知見が適宜参照されうる。共沈法によって調製された複合酸化物は比表面積が高いなどの優れた特性を有しており、触媒性能も高くなることから、より好適に用いられる。この際、チタンの原料としては、塩化チタン、硫酸チタン、四塩化チタン、硫酸チタニル、テトライソプロピルチタネートが挙げられ、ケイ素の原料としては、シリカゾル、水ガラス、四塩化ケイ素が挙げられ、タングステンの原料としては、三酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムが挙げられる。
・活性成分
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、活性成分を含む。この活性成分は、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を必須に含有する。これらの活性成分は通常、当該成分を含む化合物またはその溶液(例えば、水溶液)の形態で供給されて、触媒ペースト前駆体中に導入される。上記活性成分の原料(化合物)としては、例えば、バナジウム原料として五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸バナジル、シュウ酸バナジル;タングステン原料として上記と同様の三酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム;モリブデン原料として三酸化モリブデン、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウムが挙げられる。
なお、上述した活性成分以外の活性成分が含まれてもよく、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムなどが含まれてもよい。また、これらの原料としては、ケイ素原料として上記と同様のシリカゾル、水ガラス、四塩化ケイ素;アルミニウム原料としてアルミナ、ベーマイト、硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム;ジルコニウム原料として酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムが挙げられる。
・無機繊維
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、無機繊維を含む。この無機繊維は、得られる触媒の強度を向上させるための強化用部材として添加されるものである。この目的で用いられる無機繊維の具体的な形態について特に制限はないが、無機繊維としては、例えば、グラスウール等のガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、炭素繊維などが用いられうる。繊維長さは3〜10mm、繊維径は3〜15μmの範囲のものが好ましい。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法では、得られる触媒における無機繊維の含有量にも特徴がある。すなわち、本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、得られる脱硝触媒における無機繊維の含有量は、14〜20質量%であることが必須であり、好ましくは16〜20質量%である。得られる脱硝触媒における無機繊維の含有量が14質量%未満であると、触媒の耐摩耗性が悪化してしまうという問題がある。一方、上記無機繊維の含有量が20質量%を超えると、触媒の脱硝性能が悪化してしまうという問題がある。
・水
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、水を含む。この水は、上述した活性成分を触媒ペースト前駆体に導入する際の溶液の溶媒として導入される場合のほか、水のみの形態で別途添加されることにより導入される場合がある。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体に含まれる水の含有量は、上述した所定の酸化物の質量当たり好ましくは450〜700g/kgであり、より好ましくは500〜650g/kgである。この水の量が上述の範囲内の値であれば、脱硝性能と耐摩耗性とが十分に両立されうる。
・添加剤
触媒ペースト前駆体は、必要に応じて、上述した成分以外の添加剤を含みうる。かような添加剤としては、例えば、グラスウール等の無機繊維からなる強化用部材や、シリカゾル、澱粉、ポリビニルアルコール、メトロース(セルロース系増粘剤、信越化学工業株式会社の商品名やカルボキシルセルロース等)等からなる成型助剤(バインダ)が挙げられる。これらの添加剤の種類および添加剤の添加量について特に制限はなく、本発明の作用効果を損ねない範囲で、従来公知の知見を参照しつつ適宜決定されうる。
(混練工程)
工程(1)は、上記で得られた触媒ペースト前駆体を混練する工程(混練工程)を含む。触媒ペースト前駆体は、混練工程を経ることで粘度が調整されて組成も均一化されて触媒ペーストとなり、後述の工程(2)において使用される。
混練工程の詳細について特に制限はなく、触媒ペースト前駆体の粘度、硬度を後述する成型に適した値に制御することができ、かつ、組成物の組成を均一化することが可能な手段であれば、従来公知の任意の手段が採用されうる。例えば、双軸式ニーダー、コンティニュアスニーダー、双腕型ニーダー、連続スクリュー式ニーダー、加圧型ニーダー、多羽根式ニーダー、混合機(パグミキサー、リボンミキサー)などが用いられる。
本発明に係る脱硝触媒の製造方法において、混練工程は、2段階以上の多段階(例えば、2段階)で行われる。ここで、「混練工程が多段階で行われる」とは、条件の異なる混練、混合操作を続けて行うことを意味する。この際、「異なる条件」としては、混練工程の際の混練強度、温度、装置の種類、装置の回転速度、装置内圧力、処理量、時間の1つまたは2つ以上が挙げられるが、特に好ましいのは、異なる装置を用いて多段階(好ましくは2段階)の混練、混合操作を行うことである。例えば2段階での混練処理を例に挙げると、1段階目の混練工程に用いる第1の混練装置としては、比較的混練強度の大きい、いわゆる混練機が好ましい。混練機としては、例えば、加圧型ニーダー、双軸式ニーダー、コンティニュアスニーダー、連続スクリュー式ニーダーのうち1機種を用いることが好ましい。また、2段階目の混練工程に用いる第2の混練装置としては、比較的混練強度の小さい、いわゆる混合機が好ましい。混合機としては、パグミキサー、リボンミキサー、双腕型ニーダー、多羽根式ニーダーのうち1機種を用いることが好ましい。混練機と混合機を併用する好ましい実施形態について説明したが、混練機と混合機とを併用することが好ましく、上述したように混練機を先に用い、混合機をその後の工程で用いることがより好ましい。言い換えれば、混練工程の途中で混練強度を弱めるように変化させることが好ましく、混練機→混合機のように装置の種類を変更することによってかような混練強度の変化を達成することがより好ましい。このような構成とすることで、触媒ペースト前駆体の粘度、硬度を成型に適した値に制御し、組成物の組成を均一化することが確実に行われうるという利点がある。これは、混練強度が大きいと混練対象物をしっかりと強く練ることができ、目的とする練物の粘度、硬度を得ることができる。一方で、この工程でしっかりと強く練ると、添加した無機繊維が破壊される結果、もとの繊維長さを維持することができない可能性もある。このため、混練強度のより大きい混練の後、混練強度のより小さい混練の前に無機繊維を添加する工程を含むことがより好ましい。これにより、触媒の摩耗強度をよりいっそう向上させることができる。
そして、本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法における混練工程での上記詳細をさらに説明する。本発明では、上述した無機繊維の添加形態に最大の特徴がある。すなわち、上述したように混練工程では混練を2段階以上で行うが、この際、無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加する点に特徴を有しているのである。ここで、「無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加する」とは、2段階以上の混練(上記で定義したように条件の異なる2つ以上の混練操作をつづけて行うこと)の各混練操作の開始前に、混練の段階の数と同じ数に分割しておいた所望の量の無機繊維を触媒ペーストの混合物中に添加することを意味する。例えば、混練を2段階で行うのであれば、得られる触媒に含まれる所望の量の無機繊維を2つに分割しておき、分割された無機繊維を2段階の各混練操作の開始前にそれぞれ触媒ペーストの混合物中に添加すればよい。なお、最初の混練操作の時点で添加されている無機繊維は、最初の混練操作の開始前に触媒ペーストの混合物中に含まれていれば、その添加のタイミングについて特に制限はない。また、無機繊維を分割する際には、均一な組成の触媒ペーストを得るという観点からは、等分に近いように分割するほど好ましいが、厳密に等分に分ける必要はなく、n段階の混練操作に対応するように無機繊維をn個に分割する場合の好ましい実施形態として、例えば、添加する無機繊維の全量を100質量%としたときに、分割後のそれぞれの無機繊維の質量が100/n±10(%)の範囲に含まれていることが好ましく、100/n±5(%)の範囲に含まれていることがより好ましい。また、上述したように、得られる脱硝触媒における無機繊維の含有量は14〜20質量%であることが必須であるが、他の好ましい実施形態においては、混練を2段階で行い、無機繊維を2段階の混練に対応するように2段階に分割して添加し、この際、それぞれの混練段階における前記無機繊維の添加量を、得られる触媒の質量の8〜10質量%とする。かような構成とすることで、特に脱硝性能および耐摩耗性に優れた脱硝触媒が提供されうる。
上述した混練工程を経て、工程(1)では触媒ペーストが得られるが、この触媒ペーストの硬度(土壌硬度計にて測定)は、好ましくは20mm以上であり、より好ましくは22mm以上である。この触媒ペーストの支持力強度は、好ましくは6.3kg/cm以上、より好ましくは8.5kg/cm以上である。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)において得られた触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成する工程である。これにより、ハニカム型脱硝触媒が得られる。
成型工程の詳細についても特に制限はなく、従来公知の任意の手段が採用されうる。例えば、押出し成形機を用いてハニカム状に成型すればよい。
得られた成型体については、その後、50〜120℃程度の温度でよく乾燥する。次いで、300〜750℃程度、好ましくは400〜650℃、より好ましくは490〜520℃の温度で、1〜10時間、好ましくは3〜10時間焼成する。これにより、ハニカム状脱硝触媒を得ることができる。
得られた脱硝触媒の特性について特に制限はないが、触媒の比表面積については、80m/g以上の範囲が好ましく、80〜250m/gの範囲がより好ましい。触媒の比表面積が80m/g以上程度あれば、十分な脱硝性能を得ることができる。
また、触媒の細孔容積については、全細孔容積が0.25〜0.5mL/gの範囲にあるのがよく、より好ましくは0.3〜0.5mL/gがよい。触媒の細孔容積が0.25mL/g以上であれば十分な脱硝性能が得られ、0.5mL/g以下であれば触媒の機械的強度も十分なものとなり、耐磨耗性も十分に確保されうる。
本形態に係る脱硝触媒は、各種排ガスの処理に用いられる。排ガスの組成については特に制限はないが、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設および各種工業プロセスから排出される窒素酸化物(NOx)の分解活性に優れるため、これら窒素酸化物を含む排ガスの処理に好適に用いられる。
本形態に係る脱硝触媒を用いて窒素酸化物の除去を行うには、本形態に係る触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させることで、排ガス中の窒素酸化物を還元除去することができる。アンモニア量は、窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量に対して0.3〜1.5倍、好ましくは0.5〜1.2倍である。アンモニア量が窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量に対して0.3倍以上であれば窒素酸化物の処理効率を十分に確保することができ、1.5倍以下であれば未反応のアンモニアの残存量の増大に伴う環境への悪影響を防止することができる。ここで、窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量について、対象物質がNOの場合は、NO 1モルに対してアンモニアは1モルであり、対象物質がNOの場合は、NO 1モルに対してアンモニアは1.33〜2モルである。なお、尿素をも用いる場合は、尿素はアンモニアの2倍モルとして作用するのでアンモニア量の半分のモル量となる。
本形態に係る脱硝触媒を用いて窒素酸化物の除去を行う際の条件について特に制限はなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される除去率などを考慮して適宜決定すればよい。
なお、触媒入口ガス温度は100〜600℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは150〜500℃、さらに好ましくは200〜450℃がよい。また、その際の空間速度は100〜200000hr−1(STP)が好ましく、1000〜100000hr−1(STP)がより好ましく、さらに好ましくは2000〜50000hr−1(STP)がよい。なお、排ガス中の窒素酸化物の濃度は、5〜5000ppm、好ましくは10〜2000ppmである。
以下、実施例を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施例に限定して解釈されるべきではない。なお、実施例8の製造方法に対応したフロー図を図1に示す。
<ハニカム型触媒の製造>
(実施例1)
所定の酸化物としてTS混合酸化物を用いて、以下の手法によりハニカム型脱硝触媒を得た。
具体的には、まず、2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム2.23kgおよびモノエタノールアミン0.96kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.34kgおよびシュウ酸0.46kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、所定の酸化物であるTS混合酸化物(硫黄化合物を硫黄原子換算で3.5質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)];平均粒子径3μm)20.0kgを計量した。計量したTS混合酸化物を混練機に投入し、この上からa液およびb液を投入し、成形助剤を追加水とともに加え、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール)を加えて、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は110m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、TS混合酸化物の質量当たり540g/kgとした。
(実施例2)
TS混合酸化物として、硫黄化合物を硫黄原子換算で3.0質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)](平均粒子径3μm)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は108m/gであった。
(実施例3)
TS混合酸化物として、硫黄化合物を硫黄原子換算で2.0質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)](平均粒子径3μm)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は108m/gであった。
(実施例4)
TS混合酸化物として、硫黄化合物を硫黄原子換算で1.5質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)](平均粒子径3μm)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は106m/gであった。
(実施例5)
無機繊維(グラスウール)の添加量を実施例1から変更して、以下の手法によりハニカム型脱硝触媒を得た。
具体的には、まず、2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム2.36kgおよびモノエタノールアミン1.01kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.36kgおよびシュウ酸0.49kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、所定の酸化物であるTS混合酸化物(硫黄化合物を硫黄原子換算で3.5質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)];平均粒子径3μm)20.0kgを計量した。計量したTS混合酸化物を混練機に投入し、この上からa液およびb液を投入し、成形助剤を追加水とともに加え、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して10質量%の量の無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して10質量%の量の無機繊維(グラスウール)を加えて、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は125m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、TS混合酸化物の質量当たり540g/kgとした。
(実施例6)
所定の酸化物としてTSW混合酸化物を用いて、以下の手法によりハニカム型脱硝触媒を得た。
具体的には、まず、2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム1.75kgおよびモノエタノールアミン0.75kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.33kgおよびシュウ酸0.45kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、所定の酸化物であるTSW混合酸化物(硫黄化合物を硫黄原子換算で3.0質量%含むチタン−ケイ素−タングステン混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO:WO=95:3:2(質量比);平均粒子径3μm)20.0kgを計量した。計量したTSW混合酸化物を混練機に投入し、この上からa液およびb液を投入し、成形助剤を追加水とともに加え、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール)を加えて、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は110m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、TS混合酸化物の質量当たり540g/kgとした。
(実施例7)
以下の手法により、所定の酸化物であるTS複合酸化物を得た後、これを用いてハニカム型脱硝触媒を得た。
[酸化物(TS複合酸化物)の調製]
具体的には、まず、所定の酸化物であるTS複合酸化物(TiO−SiOの複合酸化物の粉体)を、以下に述べる方法で調製した。
水1000Lにアンモニア水(NH_25%)715Lを添加し、これに30質量%のシリカゾル溶液44kgを加えた。得られた水溶液に、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiOSO[TiO換算]250g/L、HSO_1100g/L)401Lを水800Lに添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を撹拌下で徐々に滴下して、共沈ゲルを生成させた。さらに、そのまま40時間放置して静置した。このようにして得られたTiO−SiOゲルを濾過し、水洗した後、乾燥し、次いで550℃にて5時間、空気雰囲気下で焼成して、TS複合酸化物(TiO−SiOの複合酸化物の粉体)を得た。得られたTS複合酸化物の組成は、酸化物としての質量比でTiO:SiO=88:12であった。なお、上記TS複合酸化物に含まれる硫黄化合物の量は、硫黄原子換算で3.0質量%であった。また、当該TS複合酸化物の平均粒子径は20μmであった。
[ハニカム型触媒の製造]
2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム2.23kgおよびモノエタノールアミン0.96kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.34kgおよびシュウ酸0.46kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、上記で調製した所定の酸化物であるTS複合酸化物(平均粒子径20μm)を20.0kg計量した。計量したTS複合酸化物を混練機に投入し、この上からa液およびb液を投入し、成形助剤を追加水とともに加え、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール)を加えて、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は125m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、TS複合酸化物の質量当たり540g/kgとした。
(実施例8)
以下の手法により、所定の酸化物であるTSW複合酸化物を得た後、これを用いてハニカム型脱硝触媒を得た。
[酸化物(TSW複合酸化物)の調製]
具体的には、まず、所定の酸化物であるTSW複合酸化物(TiO−SiO−WOの複合酸化物の粉体)を、以下に述べる方法で調製した。
水1000Lにアンモニア水(NH_25%)715Lを添加し、これに30質量%のシリカゾル溶液19kgを加えた。そこへ、別途調製した、水5Lにモノエタノールアミン(MEA)を1kg加え、その上からパラタングステン酸アンモニウムを2.6kg混合し、約60℃まで加温して、パラタングステン酸アンモニウムを溶解した液を加えた。得られた水溶液に、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiOSO[TiO換算]250g/L、HSO_1100g/L)421Lを水800Lに添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を撹拌下で徐々に滴下して、共沈ゲルを生成させた。さらに、そのまま40時間放置して静置した。このようにして得られたTiO−SiO−WOゲルを濾過し、水洗した後、乾燥し、次いで550℃にて5時間、空気雰囲気下で焼成して、所定の酸化物(TiO−SiO−WOの複合酸化物の粉体)を得た。得られた所定の酸化物の組成は、酸化物としての質量比でTiO:SiO:WO=95:3:2であった。なお、上記TSW複合酸化物に含まれる硫黄化合物の量は、硫黄原子換算で3.5質量%であった。また、所定の酸化物の平均粒子径は25μmであった。
[ハニカム型触媒の製造]
2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム1.75kgおよびモノエタノールアミン0.75kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.33kgおよびシュウ酸0.45kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、上記で調製した所定の酸化物であるTSW複合酸化物(平均粒子径25μm)を20.0kg計量した。計量したTSW複合酸化物を混練機に投入し、この上からa液およびb液を投入し、成形助剤を追加水とともに加え、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、さらに得られる触媒の質量100質量%に対して8質量%の量の無機繊維(グラスウール)を加えて、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は115m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、TSW複合酸化物の質量当たり540g/kgとした。
(比較例1)
TS混合酸化物として、硫黄化合物を硫黄原子換算で1.0質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)](平均粒子径3μm)を用いたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は106m/gであった。
(比較例2)
無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))の添加量を、得られる触媒の質量100質量%に対して12質量%とし、第1混練工程前および第2混練工程前の添加量をそれぞれ6質量%としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は110m/gであった。
(比較例3)
無機繊維(グラスウール;オーウェンス社製、GW(830A))の添加量を、得られる触媒の質量100質量%に対して25質量%とし、第1混練工程前および第2混練工程前の添加量をそれぞれ13質量%および12質量としたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は130m/gであった。
(比較例4)
第1混練工程前に無機繊維の全量(得られる触媒の質量100質量%に対して16質量%)を添加し、第2混練工程前には無機繊維を添加しなかったこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。なお、得られたハニカム型脱硝触媒の比表面積は112m/gであった。
[ハニカム型脱硝触媒の評価]
上記の実施例および比較例で得られたハニカム型脱硝触媒を用いて、下記の条件で触媒の耐摩耗性(摩耗率)および脱硝性能(脱硝率)を評価した。結果を下記の表2に示す。なお、表2には、レーザー回折散乱法という手法により測定した酸化物の平均粒子径の値、および、水銀圧入法により測定したハニカム型脱硝触媒の細孔容積の値についても併せて記載する。
(耐摩耗性の評価(摩耗率の測定))
ハニカム型脱硝触媒を9セル×9セル×100mm長さのサイズに切り出し、摩耗率測定用サンプルとした。このサンプルの貫通孔内に38g/mの濃度の硅砂を含む空気を16m/s(触媒断面あたり)のガス流量で常温にて2時間導入することにより強制摩耗試験を行い、下記式に従って摩耗率を算出した。なお、摩耗率の値が小さいほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
摩耗率(%)=([テスト前触媒質量−テスト後触媒質量)/テスト前触媒質量]×100
(脱硝率の測定)
ハニカム型脱硝触媒を3セル×3セル×306mm長さのサイズに切り出し、ステンレス製の反応管に充填した。この反応管に、下記の表1の組成を有する合成ガスを導入した。そして、反応管入口ガスおよび出口ガスのNOx濃度を化学光学式NOx計により測定し、下記式に従って脱硝率を算出した。なお、脱硝率の値が大きいほど、脱硝性能に優れることを意味する。
脱硝率(%)=[(入口NOx濃度−出口NOx濃度)/入口NOx濃度]×100
表2に示す結果から、酸化物中の硫黄含有量が少な過ぎる比較例1や、無機繊維の添加量が少な過ぎる比較例2、無機繊維を分割して添加していない比較例4では、脱硝性能は優れるものの、十分な耐摩耗性を得ることができていない。一方、無機繊維の添加量が多過ぎる比較例3では、耐摩耗性は優れるものの、十分な脱硝性能を得ることができていない。
これに対し、所定の酸化物と無機繊維とを含む触媒ペースト前駆体を混練してからハニカム状に成型して脱硝触媒を製造する際に、上記酸化物として所定量の硫黄化合物を含むものを用い、かつ、得られる触媒に含まれる無機繊維の添加量所定の範囲内の値に制御するとともに混練工程を2段階以上行い、上記無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加することで、脱硝性能の低下を最小限に抑えつつ、耐摩耗性に優れるハニカム型脱硝触媒を得ることができることがわかる。

Claims (5)

  1. チタン酸化物、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、無機繊維と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること、および、
    前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成することを含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法であって、
    前記酸化物に含まれる硫黄化合物の含有量が、硫黄原子換算で1.5〜3.5質量%であり、
    得られる触媒における前記無機繊維の含有量が、14〜20質量%であり、
    前記混練を2段階以上で行い、前記無機繊維を2段階以上の混練に対応するように2段階以上に分割して添加することを特徴とする、ハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  2. 前記酸化物が、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  3. 前記混練を2段階で行い、前記無機繊維を2段階の混練に対応するように2段階に分割して添加し、この際、それぞれの混練段階における前記無機繊維の添加量が、得られる触媒の質量の8〜10質量%である、請求項1または2に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  4. 前記酸化物の平均粒子径が1〜50μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  5. 前記焼成を、490〜520℃の温度にて、3〜10時間行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
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