JP6508252B2 - 摺動構造体 - Google Patents
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Description
h1=0.5μm〜2.0μm、
h2/h1=1.5〜5.0、
の範囲に設定されており、前記張出形状部の張出頂部と前記第1摺動面との間の距離を第2最小隙間h3とし、前記張出形状部の裾部と前記第1摺動面との間の距離を第2最大隙間h4とするとき、
h3=0.5μm〜2.0μm
h4/h3=1.5〜5.0
の範囲に設定されていることを特徴とする。
図1は、本発明の第1実施形態に係る摺動構造体を概略的に示す一部破断斜視図である。ここで例示する摺動構造体は、上記の第2の態様に相当する。摺動構造体は、第1部材1と、この第1部材1に対して相対移動する第2部材2とを含む。第2部材2は円柱体である。第1部材1は、第2部材2を収容する円柱型の空間を備え、その空間を区画する内周壁が第1摺動面1Sである。第2部材2の外周壁が第2摺動面2Sであり、この第2摺動面2Sは、第1摺動面1Sと所定の隙間を置いてY方向(第2部材2の径方向)に対峙している。
図2は、第1実施形態の摺動構造体における、ミクロテクスチャ構造部30の構成を示す、X方向に沿った断面図である。ここに例示しているミクロテクスチャ構造部30が備える複数の溝3は、X方向断面において鋸歯形状を形成している。溝3の各々は、第1摺動面1Sに最も近い部分である頂部31と、最も遠い部分である底部32と、頂部31と底部32との間の傾き面33とを備える。傾き面33は、摺動方向H1(+X方向)の下流側(+X側)が深く、上流側(−X側)が浅くなる傾き面である。
ミクロテクスチャ構造部30による摺動浮揚の作用を効果的に発現させるためには、溝3のプロファイルを適正化する必要がある。このプロファイルにおいて重要となるのが、溝3の頂部31と第1摺動面1Sとの間の距離である最小隙間h1と、底部32と第1摺動面1Sとの間の距離である最大隙間h2との比である隙間比h2/h1である。また、最小隙間h1を、最適な範囲に設定することも肝要となる。この点を、図4を参照して説明する。
最小隙間h1=0.5μm〜2.0μm
隙間比m=h2/h1=1.5〜5.0
の範囲に設定することが望ましい。最大隙間h2、及び最大隙間h2と最小隙間h1との差分h2−h1である溝深さDは、h1及びmが設定されることにより、自ずと決定される。好ましい溝深さDは、(h1_min×m_min−h1_min)〜(h1_max×m_max−h1_max)より、0.25μm〜8.0μmの範囲である。
図6は、第1実施形態の変形例1に係るミクロテクスチャ構造部30aを備えた摺動構造体の断面図である。上記の第1実施形態では、溝3の第1面3Aが第1摺動面1Sに対して直交する方向に延びる平面である例を示した。変形例1では、第1面3Aが前記直交する方向から傾いた面である例を示す。
図7は、第1実施形態の変形例2に係るミクロテクスチャ構造部30bを備えた摺動構造体の断面図である。上記の第1実施形態では、複数の溝3が摺動方向H1に密に連設されている例を示した。変形例2では、隣接する溝3間にプラトー(plateau)が設けられている例を示す。
第1実施形態では、X方向の断面において直線状に延びる第2摺動面2Sにミクロテクスチャ構造部30が設けられる例を示した。第2実施形態では、第2摺動面2S自体にも、マクロ的な浮揚構造が施与されている例を示す。図8(A)は、第2実施形態に係るミクロテクスチャ構造部30Aを備えた摺動構造体の断面図、図8(B)は、ミクロテクスチャ構造部30Aの拡大図である。
第3実施形態(及び第4実施形態)では、本発明に係る摺動構造体が、往復動ピストンエンジンの摺動部に適用される例を示す。図9は、往復動ピストンエンジンの、気筒軸AXに沿い且つクランク軸5と直交する方向の概略断面図である。往復動ピストンエンジンは、気筒41、クランク軸5及びコンロッド6を含む。
図11は、図9の要部拡大図であって、第4実施形態に係る摺動構造体を構成するコンロッド6の大端部62及びクランクピン52の結合部の断面図である。第4実施形態では、先に挙げた第3の態様の摺動構造体であって、大端部62がクランクピン52回りに回転摺動する摺動構造体に本発明が適用される例を示す。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、溝3の摺動方向H1の断面形状が鋸歯型のものを例示したが、傾き面33が摺動方向H1の下流側が深く上流側が浅くなる傾向を具備している限りにおいて形状を変形して良い。例えば、底部32が鋭角的なものとせず、R面としてもよい。また、傾き面33が緩やかな凸面又は凹面であっても良い。
1S 第1摺動面
2、21 第2部材
2S、21S 第2摺動面
30、30a、30b、30A、30B、30C ミクロテクスチャ構造部
3 溝
3A、3B 第1面、第2面
3U、3D 上流側縁部、下流側縁部
31 頂部
32 底部
33 傾き面
34 プラトー部
41 気筒
41A スラスト側内周壁(第1摺動面)
42 シリンダブロック(第1部材)
43 ピストン
45 スカート部(第2部材)
45SA 摺動面(第2摺動面)
5 クランク軸
52 クランクピン(第1部材)
52A 外周面(第1摺動面)
6 コンロッド
64 軸受けメタル(第2部材)
64A 内周面(第2摺動面)
F 潤滑性流体
L1 溝ピッチ
H1 摺動方向
Claims (5)
- 第1摺動面を有する第1部材と、
前記第1摺動面と対峙する第2摺動面を有し、前記第1部材に対して所定の摺動方向に相対移動する第2部材と、を備え、
前記第1摺動面と前記第2摺動面との間には潤滑性流体が介在され、
前記第2摺動面は、前記摺動方向に沿った断面において前記第1摺動面側へ弓形に張り出す張出形状部に形成され、前記摺動方向と直交する方向に延びる複数の溝からなるミクロテクスチャ構造部を含み、
前記ミクロテクスチャ構造部の前記溝の各々は、前記摺動方向の下流側が深く上流側が浅くなる傾き面を有する摺動構造体において、
前記第1部材が、往復動ピストンエンジンの気筒を区画するシリンダブロックであって、前記第1摺動面が前記気筒の内周壁であり、
前記第2部材が、前記気筒内を往復動するピストンであって、前記第2摺動面が前記ピストンのスカート部の外周面であり、
前記スカート部は、前記ピストンのピストンピン回りの首振り方向を基準として、スラスト側に位置するスラスト側スカート部と反スラスト側に位置する反スラスト側スカート部とを備え、
前記スラスト側スカート部及び反スラスト側スカート部は、それぞれ前記張出形状部を有し、
前記ミクロテクスチャ構造部は、前記スラスト側スカート部及び反スラスト側スカート部のうち、前記スラスト側スカート部にだけ形成され、且つ、当該スラスト側スカート部が有する張出形状部の張出頂部及びその周辺領域にだけ形成され、
前記溝の、前記第1摺動面に最も近い部分を溝頂部、最も遠い部分を溝底部とし、前記溝頂部と前記第1摺動面との間の隙間を第1最小隙間h1とし、前記溝底部と前記第1摺動面との間の隙間を第2最大隙間h2とするとき、
h1=0.5μm〜2.0μm、
h2/h1=1.5〜5.0、
の範囲に設定されており、
前記張出形状部の張出頂部と前記第1摺動面との間の距離を第2最小隙間h3とし、前記張出形状部の裾部と前記第1摺動面との間の距離を第2最大隙間h4とするとき、
h3=0.5μm〜2.0μm
h4/h3=1.5〜5.0
の範囲に設定されている、摺動構造体。 - 請求項1に記載の摺動構造体において、
第1最小隙間h1は、
前記第1摺動面の表面粗さ、若しくは、
前記第2摺動面が前記複数の溝間にプラトー部を有する場合には、前記第1摺動面及び前記プラトー部の表面粗さの合算表面粗さ
よりも大きい値に設定されている、摺動構造体。 - 請求項1に記載の摺動構造体において、
前記溝は、当該溝の開口縁であって前記摺動方向の下流側縁部及び上流側縁部と、これら縁部の間に位置する最深の底部と、前記下流側縁部と前記底部との間の第1面と、前記上流側縁部と前記底部との間の第2面と、を含み、
前記第1摺動面は前記摺動方向と平行な面であり、前記第1面及び前記第2面は前記第1摺動面に対して傾きを持つ平面であって、
前記第1面は、前記第1摺動面に対して前記第2面よりも大きい傾きを持つ面であり、
前記第2面が前記傾き面である、摺動構造体。 - 請求項3に記載の摺動構造体において、
前記第1面は、前記第1摺動面に対する傾き角が70°〜90°の範囲に設定されている、摺動構造体。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の摺動構造体において、
前記複数の溝が前記摺動方向に並ぶピッチが、1μm〜1mmの範囲に設定されている、摺動構造体。
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JP2017089414A JP6508252B2 (ja) | 2017-04-28 | 2017-04-28 | 摺動構造体 |
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