以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、複合機10の正面側を前側として前後方向8が定義され、複合機10を正面側(手前側)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構成]
図1に示される複合機10(本発明の画像記録装置の一例)は、ファクシミリ機能、プリント機能等の各種の機能を有している。複合機10は、概ね薄型の直方体形状に構成された本体14と、本体14内の下部内に装着された給送トレイ80(第1トレイ)と、給送トレイ80の上側に設けられたサブトレイ90(第2トレイ)とを有している。給送トレイ80は、記録用紙12(図2参照)が収容可能になっており、本体14に装着された位置(請求項1の第1位置に相当。以下、「第1位置」とする。)状態から、前向きに引き出されて、第1位置から離れた位置(請求項1の第2位置に相当。以下、「第2位置」とする。)にスライドされる。
本体14の内部には、装着された給送トレイ80の前側部分の上側に、記録用紙12がプリントアウトされる排出空間13が設けられている。排出空間13は前側に開口している。サブトレイ90は、プリントアウトされる記録用紙12が載置されるように、排出空間13の下側に位置している。サブトレイ90は、給送トレイ80に対して前後方向8へのスライド可能な状態で、給送トレイ80に支持されている。サブトレイ90は、給送トレイ80に収容された記録用紙12とは異なるシートに画像を記録する際に、当該シートが支持される。
図2に示されるように、本体14内における後側の上部にはプリンタ部11が設けられている。プリンタ部11は、インクジェット方式で記録用紙12等の被記録媒体に画像を記録する。給送トレイ80には、記録用紙12が載置される支持板81が設けられている。支持板81上には複数枚の記録用紙12が上下方向7に積み重ねられる。複合機10は、給送トレイ80の支持板81上に載置された記録用紙12の片面及び両面のそれぞれに画像を記録する機能と、CD−ROM、DVD−ROMなどの記録メディアの盤面上に画像を記録する機能と、サブトレイ90上に載置された記録用紙等の各種シートに画像を記録する機能とを有している。
図1及び図2は、本体14内に装着された給送トレイ80内の記録用紙12の片面に、プリンタ部11において画像を記録する場合を示している。この場合には、図3に示されるように、サブトレイ90が、給送トレイ80に対して最も前方にスライドされた位置(請求項1の第3位置に相当。以下、「第3位置」とする。)とされて、給送トレイ80が本体14内に装着された第1位置とされる。第1位置とされた給送トレイ80は、サブトレイ90が第3位置になっていることにより、後部が上方に開放された状態になり、給送トレイ80内の記録用紙12をプリンタ部11に給送可能になる。
なお、サブトレイ90上にシートを載置して、当該シートに画像を記録する場合には、図4に示されるように、サブトレイ90は、給送トレイ80に対して最も後方にスライドされた位置(請求項1の第4位置に相当。以下、「第4位置」とする。)とされる。この場合は、サブトレイ90における後部(後述するシート給送部91)上の所定位置(後述するシート載置領域91A)に予めシートが載置される。サブトレイ90が第4位置になると、給送トレイ80の後部は、サブトレイ90によって覆われた状態になり、給送トレイ80の前部は上方に開放された状態になる。サブトレイ90が第4位置になった給送トレイ80が本体14内に装着されると、サブトレイ90上のシートを本体14内に給送可能な状態になる。
給送トレイ80は、第2位置に位置されると、給送トレイ80に対して第4位置となったサブトレイ90は、図5に示されるように、前側の端部が90度以上にわたって上方に回動可能になる。このような状態になると、ユーザは、給送トレイ80内の支持板81上に記録用紙12を充填することが可能になる。
図2に示されるように、プリンタ部11の下側には、第1位置になった給送トレイ80内の記録用紙12をプリンタ部11に給送する給送部16が設けられている。給送部16には、図6に示されるように、第1位置になった給送トレイ80の後部上方に、左右方向9に沿った状態で回転可能に支持された支持軸28が設けられている。支持軸28には、支持アーム26の一方の端部が回動可能に支持されている。支持アーム26は、他方の端部(先端部)が後側の下方に位置するように延出しており、図示しない付勢部材によって、その先端部が下方に向かって付勢されている。支持アーム26の先端部には、給送ローラ25が、左右方向9に沿った状態で回転可能に支持されている。給送ローラ25には、動力伝達機構27(図2参照)によって図示しないモータの動力が伝達される。
支持アーム26には、給送ローラ25の上下方向7の位置を規定する回動板29が一体的に設けられている。回動板29は、支持アーム26から左側方向に延出した帯板状になっている。
回動板29における左側の側部は、給送トレイ80における右側の側壁部87の上面に摺動可能に支持されたスライド部29Aになっている。給送トレイ80における左側の側壁部87の上面は、後述するように、給送トレイ80の前後方向8へのスライドに伴ってスライド部29Aを上下方向7に案内するガイド面87Jになっている。ガイド面87Jは、前後方向8の位置に対応して上下方向7の位置が変化しており、回動板29は、ガイド面87Jの当接位置における上下方向7の位置に対応した回動位置になる。
図2に示されるように、本体14における後端部には、給送部16によって給送トレイ80から繰り出される記録用紙12を上方に向けて搬送する第1搬送経路33が設けられている。第1搬送経路33は、後側に位置する外周ガイド部材33Aと、前側に位置する内周ガイド部材33Bとによって、後方に突出した円弧状に構成されている。
給送トレイ80から繰り出される記録用紙12は、第1搬送経路33の下端部から第1搬送経路33内に進入し、第1搬送経路33の上端部から前向きに排出される。プリンタ部11の上部には、第1搬送経路33を搬送された記録用紙12が前向きに搬送される第2搬送経路34が前後方向8に沿って設けられている。第2搬送経路34における前側の端部は、サブトレイ90の後端部の上方に位置している。
第2搬送経路34には、前後方向8の前向きに、第1搬送ローラ対59と、プラテン42と、第2搬送ローラ対44と、経路切換ガイド36と、反転ローラ対45とが順番に設けられており、それぞれが第2搬送経路34の一部を形成している。
第1搬送ローラ対59は、上側に配置された第1搬送ローラ60と、下側に配置されたピンチローラ61とを備えている。第1搬送ローラ対59は、第2搬送経路34を記録用紙12が搬送される場合には、第1搬送ローラ60とピンチローラ61とが相互に圧接された状態とされて、第1搬送ローラ60が回転駆動される。
第1搬送ローラ対59と第2搬送ローラ対44との間に配置されたプラテン42は、第2搬送経路34を搬送される記録用紙12を前後方向8に沿った状態で支持する。プラテン42よりも上方には、プラテン42にて支持された記録用紙12に画像を記録する記録部24が設けられている。
記録部24は、プラテン42の上方において前後方向8に所定の間隔をあけた状態でそれぞれが左右方向9に沿って配置された第1ガイドレール56及び第2ガイドレール57によって支持されている。記録部24は、第1ガイドレール56及び第2ガイドレール57にスライド可能に支持されたキャリッジ40と、キャリッジ40の下部に配置された記録ヘッド38とを有している。記録ヘッド38には、複数の吐出口から下方に向かってインクを吐出するノズル39が設けられている。ノズル39には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。
プラテン42の前側に配置された第2搬送ローラ対44は、下側の第2搬送ローラ62と、上側の対向ローラ(従動ローラ)63とを備えている。第2搬送ローラ62は、記録用紙12を搬送する場合には、対向ローラ63に圧接された状態で回転駆動される。
経路切換ガイド36は、第2搬送ローラ対44によって搬送される記録用紙12が当接すると、当該記録用紙12が経路切換ガイド36の上方を通過する状態になる。また、後述されるように、経路切換ガイド36を通過して反転ローラ対45へ案内された記録用紙12が、その後端部が経路切換ガイド36と反転ローラ対45との間に位置する場合に、経路切換ガイド36と当接することによって、経路切換ガイド36の下方へ案内される。
反転ローラ対45は、下側に配置された反転ローラ67と、上側に配置された反転対向ローラ(従動ローラ)68とを備えている。反転ローラ67は、正逆回転可能である。反転対向ローラ68は、反転ローラ67に圧接した状態では、反転ローラ67の回転に追従して回転する。
第2搬送経路34における上側の第1搬送ローラ60、下側の第2搬送ローラ62及び反転ローラ67のそれぞれが回転する向きは、記録用紙12を前向きに搬送する場合を正転と称し、逆向きに回転される場合を逆転と称する。記録用紙12の片面にのみ画像が記録される場合には、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62及び反転ローラ67のそれぞれが正転駆動されて、反転ローラ対45により搬送される記録用紙12がサブトレイ90上に排出される。
記録用紙12の両面に画像が記録される場合には、第1搬送ローラ60、第2搬送ローラ62及び反転ローラ67が正転されて、片面に画像が記録された記録用紙12の後端部が反転ローラ対45を通過する直前まで搬送された後に、反転ローラ67が逆転される。これにより、記録用紙12は、経路切換ガイド36に向かって後向きに搬送され、経路切換ガイド36と当接することによって、経路切換ガイド36の下側へ案内される。経路切換ガイド36の下方には、反転ローラ対45から第1搬送経路33の下端部に達する分岐搬送ガイド71が設けられており、分岐搬送ガイド71によって第3搬送経路73が形成されている。分岐搬送ガイド71に沿って搬送される記録用紙12は、中間搬送ローラ対72によって第1搬送経路33の下端部へ搬送される。
給送トレイ80、サブトレイ90、給送部16、第1搬送経路33、第2搬送経路34は、記録用紙12の搬送装置を構成している。
[給送トレイ80及びサブトレイ90]
図7に示されるように、給送トレイ80は、上下方向7の長さが短い(薄い)中空の直方体状に形成されており、上方に開放された状態になっている。給送トレイ80は、支持板81における左右の両側のそれぞれにおいて前後方向8に沿って立設された側壁部87と、両側壁部87における前側の側縁部同士を結合するために左右方向9に沿って立設された前側壁86とを有している。
給送トレイ80における後端部には、左右一対の当接部材83が、左右方向9に間隔を空けた位置に設けられている。各当接部材83は支持板81の後側の側縁から上方に向かって突出している。各当接部材83は、支持板81上に載置された複数枚の記録用紙12の後側の側縁が当接することによって、支持板81上に載置された記録用紙12を前後方向8に沿って揃った状態にする。
給送トレイ80の後部には、左右方向9に沿った帯板状のスライド部材82が前後方向8にスライド可能に設けられている。スライド部材82における左側の端部及び右側の端部には、脚部82A及び82Bがそれぞれ設けられている。各脚部82A及び82Bの内側には、サブトレイ90を支持する台部82C及び82Dがそれぞれ設けられている。
それぞれの脚部82A及び82Bは、台部82C及び82Dのそれぞれの外側の側縁から外側の下方に向かって延出している。左側の脚部82Aは、右側の脚部82Bよりも下側に位置している。各脚部82A及び82Bの下端部には、前後方向8に沿った状態で外側に僅かに突出した摺動部82Eがそれぞれ設けられている。
スライド部材82における各台部82C及び82Dのそれぞれには、左右方向9に沿った支持軸82Fが設けられている。各支持軸82Fには、サブトレイ90の前側の側縁部における左右の両側に設けられた係合部98が、それぞれ回動可能に係合している。サブトレイ90は、左右方向9に沿った各支持軸82Fを中心として回動可能に支持されており、従って、サブトレイ90における前部が上下方向7に回動可能になっている。
給送トレイ80の右側の側壁部87における前部の内側面には、スライド部材82の右側の摺動部82Eを前後方向8に沿ってスライド可能に支持するガイドレール部87Aが設けられている。左側の側壁部87における前部の内側面にも、スライド部材82の左側の摺動部82Eを前後方向8に沿ってスライド可能に支持するガイドレール部が設けられている。スライド部材82の各台部82C及び82Dは、給送トレイ80の各側壁部87における前部の上面よりも上方に位置している。
右側の脚部82Bは、右側の台部82Dに対して左右方向9に沿ってスライド可能になっており、右側の台部82Dには、右側の脚部82Bを右向きに付勢する付勢部材(図示せず)が設けられている。サブトレイ90における前部の右側には、右側の脚部82Bを付勢部材による付勢力に抗して左向きにスライドさせる操作レバー97が設けられている。操作レバー97は、前後方向8に沿ってスライド可能になっており、前向きにスライドされることにより、右側の脚部82Bが、付勢部材による付勢力に抗して左向きにスライドする。操作レバー97のスライド操作によって右側の脚部82Bをスライドさせる機構については公知であるために、詳細な説明については省略する。左側の脚部82Aは、右側の台部82Cとは一体に構成されており、右側の台部82Cに対しては左右方向9に沿ってスライドしない。
右側の側壁部87には、ガイドレール部87Aの前部および後部のそれぞれの上側の位置において、右側の脚部82Bの摺動部82Eが嵌合して当該摺動部82Eをスライドしない状態に保持する係合孔87C及び87Dがそれぞれ設けられている。ガイドレール部87A上をスライドする摺動部82Eは、外側に向かって付勢されていることにより、ガイドレール部87Aの前端部および後端部のそれぞれに位置されると、係合孔87C及び87Dのそれぞれに嵌合する。これにより、摺動部82Eは、係合孔87C及び87Dのそれぞれに係合して、スライドしない状態に保持される。
スライド部材82は、摺動部82Eが前側の係合孔87Cに係合すると、サブトレイ90は、図3に示されるように、給送トレイ80に対して最も前側の第3位置になる。また、摺動部82Eが後側の係合孔87Dに係合すると、サブトレイ90は、図4に示されるように、給送トレイ80に対して最も後側の第4位置になる。
図4に示されるように、給送トレイ80における左右の各側壁部87には、前側の端部上に上方に向かって突出した係合突出部88がそれぞれ設けられている。各係合突出部88は、後述するように、サブトレイ90に設けられた位置決め部94に係合することにより、サブトレイ90を第1位置に位置決めする。係合突出部88の左右方向9に沿った長さ(幅寸法)は、側壁部87の幅寸法に等しい幅寸法を有しており、それぞれが、側面視で三角形状に構成されている。係合突出部88の前側面88Bは、前側になるにつれて順次、給送トレイ80の支持板81に近接するように傾斜している。後側面88Aは、上下方向7に沿って平坦になっている。
また、図4に示されるように、左右の各側壁部87の上面には、係合突出部88から後側に所定の距離だけ離れた位置に保持部89がそれぞれ設けられている。各保持部89は、サブトレイ90の前部における左右の両側を、上記の支持板81に近接した位置から所定の距離だけ上方に回動した回動位置に保持する
各側壁部87における保持部89の前側に位置する上面は、前後方向8に沿った第1平坦面87Fになっている。また、各側壁部87における保持部89の後側に位置する上面も、前後方向8に沿った第2平坦面87Gになっている。第2平坦面87Gの後側には、上方に突出したストッパー87Hが設けられている。ストッパー87Hは、サブトレイ90に設けられた位置決め部94の後方へのスライドを規制する。
保持部89の上面は、側壁部87における第1平坦面87Fの後側に連続して設けられた第1傾斜面89Aと、第1傾斜面89Aの後側に連続して設けられた平坦面89Bと、平坦面89Bの後側に連続して設けられた第2傾斜面89Cとを有している。第1傾斜面89Aは、後側になるにつれて給送トレイ80の支持板81から離れるように傾斜している。平坦面89Bは、上下方向7に沿って平坦になっている。第2傾斜面89Cは、後側になるにつれて給送トレイ80の支持板81に接近するように傾斜している。
図7に示されるように、給送トレイ80の左側の側壁部87における後端部の上面は、前述したガイド面87Jになっており、給送部16に設けられた回動板29のスライド部29A(図3参照)が摺動する。ガイド面87Jにおける後部は、前側になるにつれて支持板81から離れるように傾斜した第1ガイド部87Kになっている。この第1ガイド部87Kの前側には、前後方向8に沿って平坦な第2ガイド部87Mが連続して設けられている。さらに、第2ガイド部87Mの前側には、前側になるにつれて支持板81に接近するように傾斜した第3ガイド部87Nが設けられている。第2ガイド部87Mは、給送トレイ80の後端部に設けられた一対の当接部材83の上面よりも上方に位置している。
給送トレイ80が第1位置に向かって後方にスライドされると、給送部16に設けられた回動板29のスライド部29Aが、ガイド面87Jの第1ガイド部87Kに摺動する。これにより、回動板29の前側の側縁部が上方に回動し、支持アーム26の先端部が上方に持ち上げられて、給送ローラ25が上方に持ち上げられる。その後、回動板29のスライド部29Aが、ガイド面87Jの第2ガイド部87M上を摺動すると、給送ローラ25は、当接部材83の上面よりも上方に持ち上げられる。従って、給送トレイ80は、当接部材83に給送ローラ25が衝突することなく、円滑に後向きにスライドされる。
給送トレイ80がさらに後向きにスライドされると、回動板29のスライド部29Aが、ガイド面87Jの第3ガイド部87N上を摺動する状態になり、給送ローラ25は、徐々に下降する。そして、給送ローラ25が第1位置に達すると、回動板29のスライド部29Aが、第3ガイド部87Nにおける前側の端部上に位置した状態になる。これにより、給送ローラ25は、支持アーム26が下向きに付勢されていることにより、下向きに回動する。
この場合、サブトレイ90が第3位置になっていると、給送ローラ25は、給送トレイ80の後部内に進入し、給送トレイ80の支持板81上に記録用紙12が載置されていなければ、支持板81に当接する。従って、給送トレイ80の支持板81上に記録用紙12が載置されている場合には、図2に示されるように、給送ローラ25は、給送トレイ80内の最上部の記録用紙12に当接する。このような状態で、給送ローラ25が所定方向に回転駆動されると、給送ローラ25に当接した記録用紙12は、第1搬送経路33内へ繰り出される。
図7に示されるように、サブトレイ90の後部は、給送トレイ80内に収容された記録用紙12よりも小さな所定サイズのシート(例えば葉書)に画像を記録する場合に使用されるシート支持部91になっている。また、サブトレイ90の前部は、プリントアウトされる記録用紙12等が載置される排出トレイ部92になっている。排出トレイ部92は、シート支持部91よりも上側に位置している。
シート支持部91における左右方向9の中央部には、所定サイズのシートが載置されるシート支持領域91Aになっている。サブトレイ90は、シート支持領域91Aに載置された最上部のシートを、後側の側縁から後方へ繰り出すことが可能になっている。
サブトレイ90の左右の両側の各側部の前部には、サブトレイ90の前面から後向きに延出する位置決め部94がそれぞれ設けられている。各位置決め部94は、サブトレイ90の左右の両側面から外側にそれぞれ突出している。位置決め部94の前部の上面は、排出トレイ部92の上面と同一平面内に位置している。位置決め部94における前部以外の部分は、排出トレイ部92の上面よりも給送トレイ80の支持板81に近接した一定の高さになっている。
位置決め部94は中空になっており、底面部分は下方に開口している。位置決め部94の下側の側縁は、前後方向8に沿って平坦であって、前後方向8に沿った長さは、側壁部87の前端部に設けられた係合突出部88から保持部89までの前後方向8に沿った距離にほぼ等しく、また、ストッパー87Hから保持部89までの前後方向8に沿った距離にもほぼ等しくなっている。
図9(A)及び(B)に示されるように、本体14における排出空間13の左右方向9の両側に位置する内側面14Aには、排出空間13側に突出した規制部17がそれぞれ設けられている。各規制部17は、左右方向9の長さが短く、上下方向7の長さが左右方向9の長さよりも長い平板状に構成されている。規制部17の前側面17Aは、本体14における前面14Bよりも後側の位置において上下方向7に沿った状態になっている。図10(A)に示されるように、規制部17の前側面17Aは、給送トレイ80の側壁部87における前面から、保持部89における平坦面89Bの前側の端部までの距離にほぼ等しい距離だけ、本体14における前面14Bから後側に離れている。
規制部17の前部には、前側面17Aから一定の長さにわたって前後方向8に沿って平坦な下面17Bが設けられている。規制部17の下面17Bは、給送トレイ80の側壁部87に設けられた保持部89の平坦面89Bよりも上側に位置している。規制部17の前側面17Aと下面17Bとの間には、前側になるにつれて上側に位置するように傾斜したテーパー面17Cになっている。
各規制部17は、サブトレイ90の前端部が、給送トレイ80の支持板81に近接した近接位置から上方に回動した状態で、給送トレイ80を第2位置から第1位置にスライドさせると、各位置決め部94に当接する。これにより、給送トレイ80がさらに第1位置へスライドすることが規制される。サブトレイ90が給送トレイ80に対して第3位置又は第4位置になっている場合には、サブトレイ90は、給送トレイ80の支持板81に最も近接した近接位置になる。この場合には、給送トレイ80を第2位置から第1位置にスライドさせても、規制部17は、位置決め部94に当接することはない。従って、給送トレイ80は円滑に第2位置から第1位置にスライドされる。
[給送トレイ80及びサブトレイ90の作用]
給送トレイ80内に充填された記録用紙12に画像を記録する場合には、サブトレイ90が給送トレイ80に対して第1位置とされて、給送トレイ80が本体14内に装着される。サブトレイ90が第1位置になっている場合、給送トレイ80における各側壁部87の前端部に設けられた係合突出部88は、左右両側の各位置決め部94の前端部内に収容された状態になり、各位置決め部94は、各側壁部87の第1平坦面87F上に位置している。このような状態では、サブトレイ90は第1位置に位置決めされて、停止状態に保持される。
給送トレイ80は、サブトレイ90が第1位置に位置決めされた状態で、第2位置から第1位置に向かって後向きにスライドされる。この場合、サブトレイ90が第1位置に位置決めされて、給送トレイ80の支持板81に近接した近接位置になっていることから、本体14の規制部17に当接することなく、円滑に第1位置にまでスライドされる。
給送トレイ80が本体14内の第1位置になると、給送部16の回動板29は、給送トレイ80における左側の側壁部87の第3ガイド部87Nの前側の下端部上に位置する。この場合、サブトレイ90が第1位置になっていることから、給送ローラ25は、給送トレイ80内における最上部の記録用紙12に当接する。
このような状態で、給送ローラ25が回転駆動されると、給送ローラ25に当接した記録用紙12は第1搬送経路33へ搬送されて、その後、第2搬送経路34のプラテン42上において停止される。このような状態で、記録部24による画像の記録が実行される。その後、反転ローラ対45における反転ローラ67が正転されることにより、第1位置になったサブトレイ90の排出トレイ部92上に排出される。
これに対して、サブトレイ90のシート支持部91を使用して、所望のシートに画像を記録する場合には、給送トレイ80は、本体14から前方に引き出された第2位置とされる。このような状態で、サブトレイ90は、ユーザによって、第3位置から第4位置にスライドされる。この場合、ユーザは、サブトレイ90に設けられた操作レバー97を前向きにスライドさせて、右側の脚部82Bと係合孔87Cとの係合を解消した状態とする。
このような状態で、ユーザは、サブトレイ90の前端部を上方に持ち上げる。これにより、左右両側の各位置決め部94と係合突出部88との係合状態が解消される。その後、サブトレイ90の全体が、給送トレイ80に対して後向きにスライドされる。これにより、位置決め部94は、保持部89よりも後側の平坦面89B上に位置される。このとき、位置決め部94の後端部がストッパー87Hに当接することにより、サブトレイ90の後向きのスライドが規制される。このような状態になると、位置決め部94は、保持部89とストッパー87Hとの間に位置される。これにより、サブトレイ90は第4位置となって停止状態になる。
サブトレイ90が第4位置に位置されると、シート支持部91は、給送トレイ80における後側部分を覆った状態になる。このような状態で、サブトレイ90のシート支持部91におけるシート支持領域91Aに1枚または複数枚のシートが載置される。その後、給送トレイ80が第1位置になるまで、本体14内を後向きにスライドさせる。この場合も、サブトレイ90は、給送トレイ80に対して第4位置になっているために、支持板81に近接した近接位置になっている。これにより、位置決め部94は、本体14の規制部17に当接することなく、円滑に第1位置にまでスライドされる。
給送トレイ80が第1位置になることにより、給送部16の回動板29は、給送トレイ80における左側の側壁部87の第3ガイド部87Nの前側の下端部上に位置する。この場合、サブトレイ90が第4位置になっていることから、給送ローラ25が下降すると、サブトレイ90におけるシート支持部91のシート支持領域91A上に載置された最上部のシートに当接する。
このような状態で、給送ローラ25が回転駆動されると、給送ローラ25に当接したシートは、第1搬送経路33から第2搬送経路34へ搬送されて、プラテン42上において記録部24によって画像が記録される。その後、反転ローラ対45における反転ローラ67が正転されることにより、給送トレイ80上において第4位置になったサブトレイ90の排出トレイ部92上にシートが排出される。
次に、ユーザが、サブトレイ90を第3位置から第4位置に向かってスライドさせているときに、誤って、サブトレイ90が第4位置に達していない状態で、給送トレイ80を第1位置へスライドさせる操作を実行した場合について説明する。この場合には、図8に示されるように、位置決め部94が、保持部89の平坦面89B上に載置された状態になっている。これにより、サブトレイ90の前端部は、給送トレイ80の支持板81に近接した近接位置よりも上方の回動位置に保持されている。
このような状態で、給送トレイ80を本体14の第1位置に装着するために後向きにスライドさせると、図10(B)に示されるように、位置決め部94は、本体14に設けられた規制部17に当接する。これにより、給送トレイ80を、それ以上に後向きにスライドさせることができなくなり、給送トレイ80は、前側部分が本体14の前面14Bよりも前方に突出した状態で停止する。従って、ユーザは、誤って、サブトレイ90を第4位置にまでスライドさせていない状態で、給送トレイ80を第1位置へスライドさせたことを認識できる。
なお、この場合、サブトレイ90の位置決め部94が、保持部89の平坦面89B上に載置された状態で、給送トレイ80を第1位置へスライドさせる操作を実行した場合、位置決め部94が規制部17に当接して前方にスライドする場合もある。この場合には、サブトレイ90は、給送トレイ80に対して第1位置に保持されることになる。
[実施形態の効果]
本実施形態では、給送トレイ80に対してサブトレイ90が保持部89によって回動位置に保持された状態であれば、給送トレイ80を第1位置へスライドできないために、ユーザは、サブトレイ90がシートを給送できない状態で、シートの搬送を実行するおそれがない。これにより、サブトレイ90が第4位置に位置していない状態で、給送部16における給送動作が実行されることによる不都合が生じるおそれがない。
保持部89は、給送トレイ80の側壁部87に設けられているために、給送トレイ80の支持板81上に載置される記録用紙12の搬送の妨げにならない。また、保持部89は、前側から順番に、第1傾斜面89A、平坦面89B、第2傾斜面89Cになっているために、サブトレイ90を第1位置から第4位置へと円滑に移動させることができる。
サブトレイ90は、排出空間13に排出される記録用紙12を支持する排出トレイ部92を有するために、プリントアウトされる記録用紙12を支持するための専用のトレイを設ける必要がなく、簡潔な構成とすることができる。
規制部17は、排出空間13に対して、記録用紙12の排出向きに直交する方向の外側に設けられているために、排出空間に排出される記録用紙12が規制部17に接触するおそれがない。
サブトレイ90は、サブトレイ90が第3位置から第4位置へのスライド向きの下流側に、左右方向9に沿った回動中心軸を中心に回動可能であるために、給送トレイ80の前側部分を大きく開放することができる。これにより、給送トレイ80の支持板81上に記録用紙12を容易に載置することができる。
給送部16の給送ローラ25は、第1位置における給送トレイ80に対して第4位置になったサブトレイ90上のシートに当接可能であるために、シートを確実に搬送することができる。
[変形例]
前述された実施形態では、給送部16の給送ローラ25は、給送トレイ80のスライドに連動する機構によって、上下方向7の位置が変位する構成であったが、モータ等の動力により、給送ローラ25の上下方向7の位置が変位される構成が採用されてもよい。
また、前述された実施形態では、規制部17は、本体14における排出空間13の左右方向9の両側に位置する内側面14Aに設けられているが、規制部17は必ずしも排出空間13において突出する構成でなくともよい。具体的には、例えば、排出空間13の前側の開口の上縁部分が規制部として機能するように構成されてもよい。
また、前述された実施形態では、サブトレイ90は、給送トレイ80のスライド部材82に設けられた左右方向9に沿った支持軸82Fによって、サブトレイ90における前部が上下方向7に回動可能に構成されているが、サブトレイ90の回動軸が前後方向8に沿って設けられており、かつサブトレイ90が前後方向8にスライド可能に構成されてもよい。