JP6341660B2 - 磁性トナー - Google Patents
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Description
複写機やプリンターにおいては、装置の小型化や省エネ化が進んでおり、これらの点で有利な磁性トナーを用いた磁性一成分現像方式が好ましく用いられる。
磁性一成分現像方式では、内部にマグネットロールなどの磁界発生手段を設けたトナー担持体(以下、現像スリーブという)上に、磁性トナー層規制部材(以下、現像ブレードという)により、磁性トナー層を形成する。そして、この磁性トナー層を現像スリーブにより、現像領域に搬送し、現像する。
磁性トナーへの電荷付与は、現像ブレードと現像スリーブの当接部(以下、ブレードニプ部という)で、現像ブレードおよび現像スリーブと接触し、その際の摩擦によって帯電する。
装置の小型化という点においては、現像スリーブの小径化が重要な技術となる。このように、小径化された現像スリーブの場合には、現像ニップ部の現像領域が狭くなることにより、現像スリーブから磁性トナーが飛翔しにくくなり、一部の磁性トナーが現像スリーブに留まりやすい。
この場合、ブレードニップ内の磁性トナー層において磁性トナーの入れ替わりが悪くなり、磁性トナー層の帯電性が不均一になりやすい。
また、この磁性トナーの劣化現象は、高温高湿環境下において特に起きやすく、近年の高速化に対応したプロセススピードを速くした系においては、均一帯電性に対してはさらに厳しくなる一方である。
特に、磁性トナーにおいては、磁性体を含有しない非磁性トナーに比べて、磁性体の分散性が均一帯電性に大きく影響を与えやすく、磁性トナーの均一帯電性が劣る場合には様々な画像欠陥を生じやすい。
例えば、過剰に帯電した一部の磁性トナーが現像スリーブ上に留まることで画像濃度が低下しやすくなったり、非画像領域へのカブリといった画像欠陥が起こる場合がある。
この場合、現像スリーブ近傍の磁性トナーが過剰に帯電するなどして、帯電が不均一な状態でブレードニップ部に磁性トナーが搬送されることで、磁性トナーの均一帯電性としては不十分になりやすい。
こうした課題に対して、磁性トナー内における磁性体の分散状態の指標である誘電特性を制御し、環境変動に伴う現像性の変化を安定させる手法が数多く提案されている。
例えば、特許文献1では、高温域および常温域における誘電正接(tanδ)を制御し、環境変動に伴うトナーの帯電性の変化を小さくするよう試みている。
確かに、ある特定の条件下において一定の効果を得ているが、特に磁性体含有量が多いところでの高度な原材料分散性については十分には言及されておらず、磁性トナーの均一帯電性の点では未だ改善の余地があった。
含水率を上記のように制御することにより、確かにある特定の条件下では、画像濃度再現性や転写性について一定の効果を得ているが、特に着色剤として磁性体を相当量含有させた場合の均一帯電性については言及されておらず、本発明の効果を得るには不十分であった。
一方、特許文献4においては、大径粒子を固定化し、小径粒子を外添するトナーについて開示されている。これにより、定着離型性を向上と、トナー流動性の安定化を図ることができ、荷電性、搬送性、および離型性に優れた粉砕トナーを得ることができるとしている。
さらに、特許文献5においては、外添剤の被覆状態を制御し、さらにトナーの誘電特性を制御し、主に停止スジといった課題に有効な技術が開示されている。
そのため、帯電性が不均一になりやすい高温高湿環境下において、長期耐久試験を行った場合などでは、磁性トナーの均一帯電性としては不十分であり、本発明の意図する効果は得られなかった。
すなわち、高速化に対応しプロセススピードの速い系において、また、装置の小型化に対応して小径化したスリーブを用いて、長期耐久試験を行った後でも、十分な均一帯電性を備えた磁性トナーにより、高品位な画像を得るには依然として改善の余地があった。
具体的には、使用環境によらず、優れた均一帯電性を示す磁性トナーを提供する。
また、高速化に対応しプロセススピードの速い系において、装置の小型化に対応した小径化したスリーブ用いて長期耐久試験を行った後でも、十分な均一帯電性を備える磁性トナーを提供する。さらに、使用環境や使用状況によらず、帯電不均一性に伴う画像欠陥を
抑制できる磁性トナーを提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該無機微粒子を、該磁性トナー粒子への固着強度に応じて、固着強度の弱い順に、弱固着無機微粒子、中固着無機微粒子、強固着無機微粒子とした場合、
1) 該弱固着無機微粒子の含有量が、該磁性トナー100質量部中に0.10質量部以上0.30質量部以下であり、
2) 該中固着無機微粒子が、該弱固着無機微粒子の2.0倍以上5.0倍以下存在し、3) X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該磁性トナーの表面の該強固着無機微粒子による被覆率Xが、60.0面積%以上90.0面積%以下であり、
弱固着無機微粒子は、界面活性剤を含むイオン交換水に該磁性トナーを加えた分散液を、振とう速度:46.7cm/秒、振とうの幅:4.0cm、で2分間振とうした場合に剥がれる無機微粒子であり、
中固着無機微粒子は、該振とうでは剥がれないが、強度120W/cm2で30分間の超音波分散により剥がれる無機微粒子であり、
強固着無機微粒子は、該振とうおよび該超音波分散でも剥がれない無機微粒子であることを特徴とする磁性トナー。
また、高速化に対応しプロセススピードの速い系において、装置の小型化に対応した小径化したスリーブ用いて長期耐久試験を行った後でも、十分な均一帯電性を備える磁性トナーを提供することが可能である。さらに、使用環境や使用状況によらず、帯電不均一性に伴う画像欠陥を抑制できる磁性トナーを提供することが可能である。
本発明は、結着樹脂、および磁性体を含有する磁性トナー粒子と、該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子と、を含有する磁性トナーであって、
該無機微粒子を、該磁性トナー粒子への固着強度に応じて、固着強度の弱い順に、弱固着無機微粒子、中固着無機微粒子、強固着無機微粒子とした場合、
1) 該弱固着無機微粒子の含有量が、該磁性トナー100質量部中に0.10質量部以上0.30質量部以下であり、
2) 該中固着無機微粒子が、該弱固着無機微粒子の2.0倍以上5.0倍以下存在し、3) X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該磁性トナーの表面の該強固着無機微粒子による被覆率Xが60.0面積%以上90.0面積%以下であり、
弱固着無機微粒子は、界面活性剤を含むイオン交換水に該磁性トナーを加えた分散液を、振とう速度:46.7cm/秒、振とうの幅:4.0cm、で2分間振とうした場合に剥がれる無機微粒子であり、
中固着無機微粒子は、該振とうでは剥がれないが、強度120W/cm2で30分間の超音波分散により剥がれる無機微粒子であり、
強固着無機微粒子は、該振とうおよび該超音波分散でも剥がれない無機微粒子であることを特徴とする磁性トナーに関する。
また、高速化に対応しプロセススピードの速い系において、装置の小型化に対応した小径化したスリーブ用いて長期耐久試験を行った後でも、十分な均一帯電性を備える磁性トナーを提供することが可能である。さらに、使用環境や使用状況によらず、帯電不均一性に伴う画像欠陥を抑制できる磁性トナーを提供することが可能である。
磁性トナーにおいて添加される無機微粒子について、固着強度の違いなどによりその存在状態を詳細に制御することにより、上述のような均一帯電性を付与しうる理由については明確ではないが、本発明者らは以下のように推測している。
強固着無機微粒子による被覆率Xが60.0面積%以上であることで、磁性トナー粒子表面が無機微粒子の表面性状に近くなる。無機微粒子の表面性状に近くなることで、長期耐久試験を行った後での均一帯電性を格段に向上させることができる。
被覆率Xは、強固着無機微粒子の個数平均粒子径、添加量、外添条件等により制御できる。
通常、磁性トナー粒子表面には、磁性体や結着樹脂、必要に応じてワックスや、荷電制御剤などを添加している場合には、それらがランダムに表面近傍に存在している。
一方で、被覆率Xの値として、磁性トナー粒子表面の60.0面積%以上を強固着無機微粒子が占めることで、表面組成の均一性を高めていると考えることができる。
磁性トナー粒子表面組成の均一性が高まることにより、磁性トナー全体、すなわち現像スリーブ上の磁性トナー層内全体の均一帯電性が向上すると考えられる。
粒子表面の均一性が高まることで、上述のような選択現像が抑制されやすくなる。
さらに、強固着無機微粒子により、磁性トナー粒子表面の見掛けの硬度が増し、長期耐久試験を行っても、磁性トナー表面に存在する中固着無機微粒子や弱固着無機微粒子の埋没に伴う劣化現象が抑制されやすい。
その結果、長期耐久試験後においても、磁性トナーの均一帯電性が格段に向上すると思われる。
ここで、均一帯電性を高度に維持するためには、中固着無機微粒子および弱固着無機微粒子が、以下の条件を満たすことが重要である。
本発明の磁性トナーおいては、中固着無機微粒子が、弱固着無機微粒子の2.0倍以上5.0倍以下存在するように、無機微粒子の固着状態を制御することが重要である。制御方法としては、例えば、外添工程において、2段階混合を実施し、1段目の外添工程と2段目の外添工程において、それぞれ無機微粒子の添加量や外添強度を調整する方法が挙げられる。
より好ましくは、中固着無機微粒子が、弱固着無機微粒子の2.2倍以上5.0倍以下であり、さらに好ましくは、2.5倍以上5.0倍以下である。
弱固着無機微粒子の含有量を上記範囲に制御する方法としては、例えば、無機微粒子の添加量の調整や、上述のような2段階混合により、1段目、2段目それぞれの外添条件の調整をすることにより制御することができる。
弱固着無機微粒子量の測定方法は後述するが、弱固着無機微粒子は、磁性トナー表面で比較的自由に挙動することが可能であると考えられる。弱固着無機微粒子が磁性トナー100質量部中に0.10質量部以上0.30質量部以下存在することにより、磁性トナー間の潤滑性を高め、凝集力を低減する効果を発揮させることができると考えられる。
0.10質量部未満ではこの潤滑性および凝集力低減の効果が十分に得られず、0.30質量部を超える場合には、潤滑性が必要以上に高くなりやすく、磁性トナーが密に詰まりやすくなり、かえって流動性を低下させやすい。この場合、圧密状態になりやすい、現像スリーブ裏で磁性トナーがパッキングされやすい。
本発明者らは、この中固着無機微粒子が、固定化されながらも適度に露出している状態により、ブレードニップ内や現像スリーブ裏などの磁性トナーが圧密されるような状態のときに、磁性トナーを回転させる効果を発揮すると推測している。このとき、磁性トナーが自転するだけでなく、他の磁性トナー粒子表面の中固着シリカ微粒子と噛みこみ合うような相互作用をすることで、他の磁性トナー粒子をも回転させる効果があると考えている。
さらに、ブレードニップ部だけでなく、磁性トナーが圧密されてパッキングしやすい現像スリーブ裏においても、磁性トナーが大きく撹拌されることで、現像スリーブに適切に磁性トナーが供給され、均一な磁性トナー層の形成に貢献していると考えられる。
現像スリーブ裏で圧密された磁性トナーがパッキング状態になり、適切に磁性トナーが現像スリーブに供給されないと、現像スリーブ近傍の磁性トナーが過剰に帯電するなどして、帯電が不均一な状態でブレードニップ部に磁性トナーが搬送されやすくなる。
その結果、ブレードニップ部において磁性トナーがある程度入れ替わっていたとしても、磁性トナーの均一帯電性としては不十分になりやすい。
中固着無機微粒子と弱固着無機微粒子がこの量比関係にあるとき、初めて、現像スリーブ裏の磁性トナーにより、現像スリーブ上に均一な磁性トナー層を形成し、かつ、ブレードニップ部においても、磁性トナーが大きく撹拌される。これにより、現像スリーブ上の磁性トナー層内において、磁性トナーの均一帯電性が格段に向上すると考えられる。
中固着無機微粒子が、弱固着無機微粒子の5.0倍を超える場合、潤滑性および凝集力低減の作用が、中固着無機微粒子による噛みこみ合う作用に対して弱くなり、現像スリーブ裏およびブレードニップ部における撹拌効果が得られない。
一方、中固着無機微粒子が、弱固着無機微粒子の2.0倍未満の場合、中固着無機微粒子による噛みこみ合う作用が十分に得られず、上記同様、やはり撹拌効果を十分に得ることができない。
強固着無機微粒子による被覆率Xが90.0面積%を超える場合には、後述する無機微粒子の外添方法によっても、中固着無機微粒子と弱固着無機微粒子の量比関係を本発明の範囲に制御することが困難になる。
また、磁性トナー粒子表面の見掛けの硬度が高くなりすぎることで、低温定着性を阻害しやすく好ましくない。
この理由については明確ではないが、以下のように推測している。
前述の弱固着無機微粒子による磁性トナー間の潤滑性向上および凝集力低減の効果をさらに発揮させるためには、磁性トナー粒子表面に存在する無機微粒子同士のすべり性を活用することが非常に有効であると思われる。
さらに、そのためには、比較的自由に挙動可能な弱固着無機微粒子に対して、磁性トナー粒子表面に強固着されている強固着無機微粒子一粒子の占める面積が大きい方がすべり性を最大限活用できると考えられる。
弱固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)に対する、該強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)の比が、4.0未満の場合、上記の無機微粒子同士のすべり性が十分に得られにくくなる傾向にある。
一方、上記比が25.0を超える場合には、強固着無機微粒子一粒子の占める面積が大きくなることで、中固着無機微粒子と弱固着無機微粒子の好ましい量比関係を満足しにくくなる傾向にある。
当該比は、強固着させる無機微粒子と弱固着させる無機微粒子の個数平均粒子径を適宜選択することにより制御することができる。
以上200nm以下、より好ましくは60nm以上180nm以下、さらに好ましくは70nm以上150nm以下である。
強固着無機微粒子一次粒子の個数平均粒子径(D1)が50nm未満の場合、上記のすべり性が十分に得られにくく、また、長期耐久試験に伴う弱固着無機微粒子および中固着無機微粒子の埋没を抑制しにくくなる傾向にある。
一方、強固着無機微粒子一次粒子の個数平均粒子径(D1)が200nmを超える場合、磁性トナーの表面の該強固着無機微粒子による被覆率Xを60.0面積%以上に調整しにくくなる傾向にある。
強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)は、強固着させる無機微粒子を適宜選択することにより制御することができる。
上記範囲であることにより、弱固着無機微粒子においては潤滑性および凝集力低減効果を発揮させやすい。また、中固着無機微粒子においては、噛みこみによる磁性トナーの撹拌効果を発揮させやすい。
ここで誘電率を測定する条件として周波数を100kHzとしたのは、磁性体の分散状態を検証するために好適な周波数である為である。100kHzより低周波数であると安定して測定しにくくなり、磁性トナーの誘電率の差が見づらくなる傾向がある。また120kHzで測定したところ、100kHzとほぼ同じ値が安定して得られ、それ以上の高周波数の場合は、性能差のある磁性トナー間で、誘電率差がやや小さくなる傾向があった。また、温度30℃というのは画像プリント中のカートリッジ内部の温度を想定した場合に、低温時から高温時までの磁性トナー物性を代表できる温度である。
すなわち、ε’と、tanδを好ましくは本発明の範囲に制御することによって、磁性トナー粒子が帯電しやすく、電荷をリークさせにくい特性となり、その結果、より均一帯電性も向上すると考えられる。
磁性トナーの誘電特性は、結着樹脂の選択、磁性トナーの酸価、磁性体の含有量などにより調整することができる。
例えば、磁性トナーの結着樹脂として、ポリエステル成分の含有量を多くすることにより、ε’を比較的高くすることができ、上記範囲に制御しやすい。
また、磁性トナーの、樹脂成分の酸価を低くするか、磁性トナー中の磁性体の含有量を少なくすることにより、ε’を小さくすることができ、逆に、樹脂成分の酸価を高くするか、磁性トナー中の磁性体の含有量を多くすることにより、ε’を大きくすることができる。
一方、誘電正接(tanδ)は、磁性トナー中の磁性体の均一分散により低くすることができ、例えば、磁性トナー製造工程における、溶融混練時の混練時温度を上げて(例えば、160℃以上)、混練物の粘度を低下させることにより、磁性体の均一分散を促進させることができる。
結着樹脂の主成分とは、本発明においては、結着樹脂中の少なくとも50質量%以上と定義する。
また、架橋成分として働く3価以上のアルコール成分や3価以上の酸成分を単独で使用するか、もしくは併用してもよい。
該3価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ブタントリオール、ペンタントリオール、グリセロール、メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはトリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
また、本発明における三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばトリメリット酸
、ピロメリット酸、ベンゼントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、ヘキサントリカルボン酸または下記(C)式で表わされるテトラカルボン酸などが挙げられる。
スチレン系樹脂として具体的には、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体が挙げられる。これらは単独でまたは複数種を組み合わせて用いることができる。
また樹脂または磁性トナーのガラス転移温度は、示差走査熱量計、例えばパーキンエルマー社製のDSC−7やTAインスツルメンツジャパン社製のDSC2920を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。
また、酸価が10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下であることにより、均一帯電性が向上しやすい。
上記酸価を上記範囲に制御するためには、本発明に用いられる結着樹脂の酸価を、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下とすることが好ましい。結着樹脂の酸価は、例えば、モノマーの選択、樹脂の重合条件等により制御できる。酸価の測定方法の詳細は後述する。
磁性トナーの上記酸価が、10mgKOH/g未満の場合、長期耐久使用条件によっては、磁性トナーが過剰に帯電しやすくなり、帯電が不均一になる傾向にある。
磁性トナーの上記酸価が、40mgKOH/gを超える場合、吸湿性が上がりやすくなることにより、上記同様に、長期耐久使用条件によっては、帯電が不均一になる傾向にある。
より好ましくは、上記エステル化合物が、炭素数が32以上48以下の1官能エステル化合物である。具体的には、パルミチン酸パルミチル、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニルなどの飽和脂肪酸モノエステル類が挙げられる。
ただし、このような多官能エステル化合物の場合には、後述する熱風による表面改質工程を実施する場合には、磁性トナー表面に染み出しやすい場合があり、その結果、均一帯電性や耐久現像性が低下しやすくなる傾向にある。
磁性トナーが、示差走査熱量計(DSC)による測定において50℃以上80℃以下に最大吸熱ピークを有するように制御しやすい点で、離型剤の最大吸熱ピーク温度は50℃以上80℃以下である事が好ましい。
磁性トナーが53℃以上75℃以下に最大吸熱ピークを有することがより好ましい。
本発明において、最大吸熱ピークのピークトップ温度の測定は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、磁性トナー約10mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30〜200℃の範囲におけるDSC曲線から離型剤の最大吸熱ピークのピークトップ温度を求める。
上記磁性体は個数基準の個数平均一次粒径(D1)が0.50μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.05μm〜0.30μmである。
また、本発明において好ましい磁性トナーの磁気特性に制御しやすい点で、磁性体の磁場79.6kA/mにおいて、以下のような磁気特性に制御するが好ましい。
すなわち、抗磁力(Hc)が1.5〜6.0kA/mであり、より好ましくは2.0〜5.0kA/mであり、飽和磁化(σs)が40〜80Am2/kg(より好ましくは50〜70Am2/kg)であり、残留磁化(σr)が1.5〜6.5Am2/kg、より好ましくは2.0〜5.5Am2/kgであることが好ましい。
なお、磁性トナー中の磁性体の含有量は、パーキンエルマー社製熱分析装置TGA Q5000IRなどを用いて測定することができる。測定方法は、窒素雰囲気下において昇温速度25℃/分で常温から900℃まで磁性トナーを加熱し、100〜750℃の減量質量を磁性トナーから磁性体を除いた成分の質量とし、残存質量を磁性体量とする。
飽和磁化(σs)は、磁性体の粒径や形状、添加元素等により制御できる。
また、好ましくは、残留磁化σrが3.0Am2/kg以下、より好ましくは、2.6Am2/kg以下、さらに好ましくは、2.4Am2/kg以下である。
σr/σsが小さいと言う事は、磁性トナーの残留磁化が小さい事を意味する。
ここで、磁性1成分現像方式においては、現像スリーブ内部に存在する多極のマグネットの影響で磁性トナーは現像スリーブに取り込まれたり、吐き出されたりする。吐き出された磁性トナー(現像スリーブから離れた磁性トナー)はσr/σsが小さいと磁気凝集しにくい。このような磁性トナーが再び取り込み極で現像スリーブに付着し、ブレードニップ部に突入すると磁気凝集しにくい状態であるため、磁性トナー層厚の規制が適切に行われ、現像スリーブ上の磁性トナー量が安定する。このため、ブレードニップ部での磁性トナーの入れ替わりが非常に安定化し、帯電均一性がより向上しやすい。
なお、[σr/σs]は、磁性トナーが含有する磁性体の粒径、形状、および、磁性体を製造する際に添加する添加剤を調整することで、上記範囲に調整することが可能である。具体的には、磁性体にシリカやリンなどを添加する事によってσsを高く保ったまま、σrをより低くする事が可能となる。また、磁性体の表面積が小さいほどσrは小さくなり、形状は八面体よりも磁気異方性が小さな球形の方がσrは小さくなる。これらを組み合わせる事により、σrを非常に低くする事が可能となり、σr/σsを0.10以下に制御する事ができる。
は、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定する。外部磁場が79.6kA/mにて測定する理由については以下の通りである。一般的に、現像スリーブ中に固定されているマグネットローラーの現像極の磁力は79.6kA/m(1000エルステッド)前後である。このため、外部磁場79.6kA/mで残留磁化を測定する事により現像領域での磁性トナー挙動を捉える事ができるからである。
負帯電用の荷電制御剤としては、例えば、有機金属錯化合物、キレート化合物が有効で、その例としては、モノアゾ金属錯化合物;アセチルアセトン金属錯化合物;芳香族ハイドロキシカルボン酸または芳香族ダイカルボン酸の金属錯化合物などが挙げられる。
負帯電用の荷電制御剤としては、例えばSpilon Black TRH、T−77、T−95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S−34、S−44、S−54、E−84、E−88、E−89(オリエント化学社)が挙げられる。
これらの荷電制御剤は単独または二種以上組み合わせて用いることが可能である。これらの荷電制御剤の使用量は、磁性トナーの帯電量の点から、結着樹脂100質量部あたり好ましくは0.1〜10.0質量部、より好ましくは0.1〜5.0質量部である。
また、磁性トナーに含有される無機微粒子の総量に対して、85質量%以上がシリカ微粒子であることが好ましい。これは、上記無機微粒子の中でもシリカ微粒子が最も帯電特性に優れ、本発明の効果を発揮しやすいためである。
本発明の磁性トナーには、前記のように固着強度を制御した無機微粒子だけでなく、他の有機または無機微粒子を添加してもよい。例えばフッ素樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末のような滑剤;酸化セリウム粉末、炭化硅素粉末、アルカリ土類金属のチタン酸塩の微粒子;具体的にはチタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸バリウム微粒子、チタン酸カルシウム微粒子などの研磨剤;シリカなどのスペーサー粒子を本発明の効果に影響を与えない程度に少量用いることもできる。
また、本発明の磁性トナーは、固着強度を制御した無機微粒子としてシリカ微粒子を選択した場合は、さらにチタニア微粒子を含有することがより好ましい。
チタニア微粒子を添加することによって、磁性トナーの過剰帯電を抑制しやすく、さらに流動性を向上させやすいため、磁性トナーの均一帯電性がさらに向上しやすい。2段階混合を行う場合であれば、チタニア微粒子を2段目の外添工程で添加することが好ましい。
固着強度を制御した無機微粒子またはチタニア微粒子は磁性トナーに良好な流動性を付与させる為に、窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)が20m2/g以上350m2/g以下のものが好ましく、25m2/g以上、300m2/g以下のものがより好ましい。
上記窒素吸着によるBET法で測定した比表面積(BET比表面積)の測定は、JIS
Z8830(2001年)に準じて行なう。測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。
特に好ましい。
上記疎水化処理の方法としては、有機ケイ素化合物、シリコーンオイルまたは長鎖脂肪酸などで処理する方法が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどが挙げられる。これらは一種または二種以上の混合物で用いられる。
上記シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイルまたはフッ素変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
この中で、炭素数が10〜22の直鎖の飽和脂肪酸は無機微粒子表面を均一に処理し易く、非常に好ましい。
直鎖の飽和脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸またはベヘン酸などが挙げられる。
シリカ微粒子をシリコーンオイルで処理する方法としては、例えば、ケイ素化合物で処理された無機微粉体とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーなどの混合機を用いて直接混合する方法や、無機微粉体にシリコーンオイルを噴霧する方法が挙げられる。あるいは、適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解または分散させた後、無機微粉体を加えて混合し、溶剤を除去する方法でもよい。
シリコーンオイルの処理量は、良好な疎水性を得るために、シリカ微粒子100質量部に対し、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上35質量部以下であることがより好ましい。
磁性トナーの平均円形度を0.955以上とすることにより、凹部の少ないトナー表面形状とすることができ、強固着無機微粒子や中固着無機微粒子の固着状態を制御しやすく好ましい。
本発明の磁性トナーの平均円形度は、磁性トナーの製造方法や、製造条件の調整によって上記範囲に調整することが可能である。
本発明の磁性トナーは、無機微粒子の固着状態を調整することができ、好ましくは平均円形度を調整する工程を有する製造方法であれば、特に限定されず、公知の方法によって製造することができる。
そのような製造方法としては、以下の方法を好適に例示できる。まず、結着樹脂および
磁性体、並びに、必要に応じて、離型剤および荷電制御剤などのその他の材料を、ヘンシェルミキサーまたはボールミルのような混合機により十分混合してから、ロール、ニーダーおよびエクストルーダーのような熱混練機を用いて溶融、捏和および混練して樹脂類を互いに相溶せしめる。
上記混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)などが挙げられる。
上記混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)などが挙げられる。
上記粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング)などが挙げられる。
上記分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)などが挙げられる。
粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社製);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩いなどが挙げられる。
磁性トナー粒子を得たのち、さらに無機微粒子を添加し、好ましくは後述する混合処理装置を用いて、外添混合処理することにより、本発明に係る磁性トナーを製造することができる。
によって磁性トナー粒子の表面改質を行う熱風処理工程が挙げられる。
このような熱風処理工程によってトナー粒子の表面を改質することは、磁性トナー粒子に過度の熱を加えることがないので原材料成分の変質を防ぎつつ磁性トナー粒子の表面改質を行うことができるとともに、本発明において好ましい平均円形度に調整しやすい。
磁性トナー粒子の熱風処理工程には、例えば図1に示すような表面改質装置を用いることができる。磁性トナー粒子51はオートフィーダー52で供給ノズル53を通じて、一定量で表面改質装置内部54に供給される。表面改質装置内部54はブロワー59で吸引されているので、供給ノズル53から導入された磁性トナー粒子51は機内に分散する。機内に分散にされた磁性トナー粒子51は、熱風導入口55から導入される熱風で、瞬間的に熱が加えられて表面改質される。本発明ではヒーターにより熱風を発生させているが、磁性トナー粒子の表面改質に十分な熱風を発生させられるものであれば装置は特に限定されない。
熱風の温度は、好ましくは180〜400℃であり、より好ましくは200〜350℃である。
熱風流量としては、好ましくは、4m3/min〜10m3/minであり、より好ましくは、5m3/min〜8m3/minである。
また、冷風流量としては、好ましくは、2m3/min〜6m3/minであり、より好ましくは、3m3/min〜5m3/minである。
ブロア風量としては、好ましくは、10m3/min〜30m3/minであり、より好ましくは、12m3/min〜25m3/minである。
インジェクションエア流量は、好ましくは、0.2m3/min〜3m3/minであり、より好ましくは、0.5m3/min〜2m3/minである。
表面改質された磁性トナー粒子57は、冷風導入口56から導入される冷風で瞬時に冷却される。本発明では冷風には液体窒素を用いているが、表面改質された磁性トナー粒子57を瞬時に冷却することができれば、手段は特に限定されない。冷風の温度は、好ましくは2〜15℃であり、より好ましくは2〜10℃である。表面改質された磁性トナー粒子57はブロワー59で吸引されて、サイクロン58で捕集される。
まず磁性トナー粒子に、上記混合機により、無機微粒子を外添混合処理し、熱風処理前磁性トナー粒子を得る。その後、熱風処理前磁性トナー粒子を、図1に示す表面改質装置に供給し、上記のように熱風処理を行うことにより、外添混合処理された無機微粒子が熱風により半溶融した結着樹脂に覆われることで、強い強度で固着化される。このように、磁性トナー粒子に、無機微粒子を外添混合処理し、熱風処理を行うことが好ましい。その後さらに、無機微粒子を外添混合することが好ましい。
この際、熱風処理前磁性トナー粒子に添加する無機微粒子の選択および添加量の調整、さらに熱風処理の処理条件の適正化により、強固着無機微粒子の固着状態を調整することが可能である。
特に、本発明で重要な特徴である、強固着無機微粒子による被覆率Xを60.0面積%以上とする場合、熱風処理を行うことが好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明における強固着無機微粒子による被覆率Xが60.0面積%以上である場合に、中固着無機微粒子および弱固着無機微粒子が上記の状態を満たすためには、図2に示すような以下の外添混合処理装置を用いることが非常に好ましい。当該混合処理装置は、磁性トナー粒子と無機微粒子に対して、狭いクリアランス部において、シェアがかかる構成になっているために、無機微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、トナー粒子表
面に付着させることができる。そのため、本発明のように強固着無機微粒子による被覆率が60.0面積%以上である場合にも、弱固着無機微粒子と中固着無機微粒子の量を制御しやすく非常に好ましい。
さらに、後述するように、回転体の軸方向において、磁性トナー粒子と無機微粒子が循環しやすく、固着が進む前に十分に均一混合されやすい点で、本発明で好ましい無機微粒子の固着状態に制御しやすい。
上記無機微粒子を外添混合する混合処理装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1とを有する。
本体ケーシング1の内周部と、撹拌部材3との間隙(クリアランス)は、磁性トナー粒子に均一にシェアを与え、無機微粒子を二次粒子から一次粒子へとほぐしながら、磁性トナー粒子表面に付着しやすくするために、一定かつ微小に保つことが好ましい。
また本装置は、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下である。図2において、本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径(回転体2から撹拌部材3を除いた胴体部の径)の1.7倍である例を示す。本体ケーシング1の内周部の径が、回転体2の外周部の径の2倍以下であると、磁性トナー粒子に力が作用する処理空間が適度に限定されるため、二次粒子となっている無機微粒子に十分に衝撃力が加わるようになる。
また、上記クリアランスは、本体ケーシングの大きさに応じて、調整することが好ましい。本体ケーシング1の内周部の径の、1%以上、5%以下程度とすることで、無機微粒子に十分なシェアをかけることができる。具体的には、本体ケーシング1の内周部の径が130mm程度の場合は、クリアランスを2mm以上、5mm以下程度とし、本体ケーシング1の内周部の径が800mm程度の場合は、10mm以上、30mm以下程度とすればよい。
図3に示すように、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、回転体2の回転に伴って、磁性トナー粒子および無機微粒子を回転体の軸方向の一方向に送る送り用撹拌部材3aとして形成される。また、複数の撹拌部材3の少なくとも一部が、磁性トナー粒子および無機微粒子を、回転体2の回転に伴って、回転体の軸方向の他方向に戻す戻し用撹拌部材3bとして形成されている。
ここで、図2のように、原料投入口5と製品排出口6が本体ケーシング1の両端部に設けられている場合には、原料投入口5から製品排出口6へ向かう方向(図3で右方向)を「送り方向」という。
すなわち、図3に示すように、送り用撹拌部材3aの板面は送り方向(13)に磁性トナー粒子を送るように傾斜している。一方、撹拌部材3bの板面は戻り方向(12)に磁性トナー粒子および無機微粒子を送るように傾斜している。
これにより、「送り方向」への送り(13)と、「戻り方向」への送り(12)とを繰り返し行いながら、磁性トナー粒子の表面に無機微粒子の外添混合処理を行う。
図3に示す例では、撹拌部材3aと3bは等間隔で、計12枚形成されている。
さらに、図3において、Dは撹拌部材の幅、dは撹拌部材の重なり部分を示す間隔を示す。磁性トナー粒子および無機微粒子を、送り方向と戻り方向に効率よく送る観点から、図3における回転体2の長さに対して、Dは20%以上、30%以下程度の幅であることが好ましい。図3においては、23%である例を示す。さらに撹拌部材3aと3bは撹拌部材3aの端部位置から垂直方向に延長線を引いた場合、撹拌部材3bと撹拌部材の重なり部分dをある程度有することが好ましい。これにより、二次粒子となっている無機微粒子に効率的にシェアをかけることが可能である。Dに対するdは、10%以上、30%以下であることがシェアをかける点で好ましい。
なお、羽根の形状に関しては、図3に示すような形状以外にも、送り方向および戻り方向に磁性トナー粒子を送ることができ、クリアランスを維持することができれば、曲面を有する形状や先端羽根部分が棒状アームで回転体2に結合されたパドル構造であってもよい。
図2に示す装置は、少なくとも複数の攪拌部材3が表面に設置された回転体2と、回転体2を回転駆動する駆動部8と、攪拌部材3と間隙を有して設けられた本体ケーシング1を有する。さらに、本体ケーシング1の内側および回転体端部側面10にあって、冷熱媒体を流すことのできるジャケット4を有している。
さらに、図2に示す装置は、磁性トナー粒子および無機微粒子を導入するために、本体ケーシング1上部に形成された原料投入口5、外添混合処理された磁性トナーを本体ケーシング1から外に排出するために、本体ケーシング1下部に形成された製品排出口6を有している。
さらに、図2に示す装置は、原料投入口5内に、原料投入口用インナーピース16が挿入されており、製品排出口6内に、製品排出口用インナーピース17が挿入されている。
本発明においては、まず、原料投入口5から原料投入口用インナーピース16を取り出し、磁性トナー粒子を原料投入口5より処理空間9に投入する。次に無機微粒子を原料投入口5より処理空間9に投入し、原料投入口用インナーピース16を挿入する。次に、駆動部8により回転体2を回転させ(11は回転方向を示す)、上記で投入した処理物を、回転体2表面に複数設けられた撹拌部材3により撹拌、混合しながら外添混合処理する。
なお、投入する順序は、先に無機微粒子を原料投入口5より投入し、次に、磁性トナー粒子を原料投入口5より投入しても構わない。また、ヘンシェルミキサーのような混合機で予め、磁性トナー粒子と無機微粒子を混合した後、混合物を、図2に示す装置の原料投入口5より投入しても構わない。
この2段階混合により、無機微粒子が付着しにくい、見かけ上硬度の高い磁性トナー粒子表面に対しても、中固着無機微粒子が効率よく形成しやすいなど、無機微粒子の固着制御がしやすく好ましい。
特に中固着無機微粒子量を適正なものとするうえで、図2のような外添混合処理装置を用いることが好ましい。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
0.2W/gより動力が低い場合には、中固着無機微粒子が形成されにくく、本発明において好ましい無機微粒子の固着状態に制御できない場合がある。一方、2.0W/gより高い場合には、無機微粒子が埋め込まれすぎてしまう傾向にある。
処理時間としては、特に限定されないが、好ましくは、3分以上、10分以下である。
さらに、本発明において、特に好ましい処理方法は、外添混合処理操作の前に、プレ混合工程を持たせることである。プレ混合工程を入れることにより、無機微粒子が磁性トナー粒子表面上で高度に均一分散されることで、好ましい無機の固着状態により制御しやすくなる。
より具体的には、プレ混合処理条件として、駆動部8の動力を、0.06W/g以上、0.20W/g以下とし、処理時間を0.5分以上、1.5分以下とすることが好ましい。プレ混合処理条件として、0.06W/gより負荷動力が低い、または処理時間が0.5分より短い場合には、プレ混合として十分な均一混合がなされにくい傾向にある。一方、プレ混合処理条件として、0.20W/gより負荷動力が高い、または処理時間1.5分より長い場合には、十分な均一混合がなされる前に、磁性トナー粒子表面に無機微粒子が固着されてしまう場合がある。
外添混合処理終了後、製品排出口6内の、製品排出口用インナーピース17を取り出し、駆動部8により回転体2を回転させ、製品排出口6から磁性トナーを排出する。得られた磁性トナーを、必要に応じて円形振動篩機などの篩機で粗粒などを分離し、磁性トナーを得る。
<弱固着および中固着無機微粒子量の測定方法>
本発明では、磁性トナー粒子に対して弱、中、強の3段階で無機微粒子が固着している。それぞれの量は、磁性トナー中に含まれる無機微粒子の総量と、磁性トナーから無機微粒子を剥がし、磁性トナー粒子上に残った無機微粒子を定量することで得る。無機微粒子を剥がす工程は、本発明では水中に磁性トナーを分散し、縦型振とう機や超音波分散器によりシェアを与えて行う。その際、磁性トナーが受けるシェアの大きさにより、弱固着や中固着といった付着強度別に無機微粒子を分け、量を得る。弱固着無機微粒子を剥がす場合は、後述する条件を満たすKM Shaker(いわき産業社製)を用い、中固着無機微粒子を剥がす場合は、後述する条件を満たす超音波式ホモジナイザーVP−050(タイテック株式会社製)を用いる。また、無機微粒子含有量の定量には、蛍光X線分析装置
Axios(PANalytical製)および測定条件設定および測定データ解析を
するための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。具体的には、以下のように測定することができる。
(1)磁性トナー中の無機微粒子の含有量の定量
磁性トナーをリング径22mm×16mm×5mmの塩ビリングに約1g載せ、プレス機にて100kgfで圧縮しサンプルを作製する。得られたサンプルを蛍光X線分析(XRF)装置(Axios)にて測定および上記専用ソフトによる解析を実施し、磁性トナーが含有する無機微粒子由来の元素のネット強度(A)を得る。次に、磁性トナー粒子100質量部に対して無機微粒子を0.0質量%、1.0質量%、2.0質量%、3.0質量%と添加量を振った検量線用サンプルを用意し、上記と同様にして上記元素のネット強度に対する無機微粒子量の検量線を作成する。なお、検量線用サンプルはXRF測定前にコーヒーミルなどにより均一に混合しておく。また、混合する無機微粒子は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上50nm以下のものであれば、本定量に影響なく使用することができる。上記検量線と(A)の数値から、磁性トナー中の無機微粒子量を算出する。
上記操作において、まず、磁性トナー表面に含有される無機微粒子を元素分析により同定する。その際、例えば、シリカ微粒子を含有していれば、上記操作において、シリカ微粒子による検量線用サンプルを用意し、チタニア微粒子を含有していれば、チタニア微粒子による検量線用サンプルを用意することで、無機微粒子の含有量を知ることができる。
イオン交換水20g、界面活性剤であるコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)0.4gを30ccのガラスバイアル(例えば、日電理化硝子株式会社製、VCV−30、外径:35mm、高さ:70mm)に入れて十分混合し、分散液を作製する。このバイアルに磁性トナー1.5gを添加し、磁性トナーが自然に沈降
するまで静置して処理前分散液Aを作製する。その後に下記条件で振とうし、弱固着無機微粒子を剥がす。その後、分散液を減圧濾過器で濾過して、濾過ケーキAおよび濾液Aを得た後、該濾過ケーキAを乾燥機で12時間以上乾燥する。減圧濾過は、濾紙としてアドバンテック社製No.5C(粒子保持能:1μm、JIS P3801 5種C(1995年)相当)またはそれと同等の濾紙を用いる。
乾燥して得られた試料を(1)と同様に蛍光X線分析装置(Axios)で測定および解析し、得られたネット強度と(1)で得たネット強度の差と、(1)で得た検量線データから下記振とうによって剥がれた無機微粒子量を算出する。すなわち、界面活性剤を含むイオン交換水に磁性トナーを加えた分散液を、下記条件による振とうで剥がれる無機微粒子を弱固着無機微粒子と定義する。
[振とう装置/条件]
装置:KM Shaker(いわき産業社製)
model:V.SX
振とう条件:speedを50(振とう速度:46.7cm/秒、1分間に350往復、振とうの幅:4.0cm)に設定し、2分間振とう
上記(2)と同様に処理前分散液Aを作製した後、下記条件で超音波分散処理を行い、磁性トナーに含まれる弱固着および中固着無機微粒子を剥がす。その後、(2)と同様に分散液を減圧濾過器で濾過、乾燥し、蛍光X線分析装置(Axios)による測定および解析を行う。ここで、(2)の振とう条件で剥がれないが、下記条件の超音波分散により剥がれる無機微粒子を中固着無機微粒子とし、下記条件の超音波分散でも取れないほど強固に付着した無機微粒子を強固着無機微粒子とした。蛍光X線分析により得られたネット
強度と、(1)で得た検量線データから強固着無機微粒子量が得られる。得られた強固着無機微粒子量および(2)で得た弱固着無機微粒子量を、(1)で得た無機微粒子の含有量から差し引くことで中固着無機微粒子量を得る。
なお、超音波条件の中で30分間分散する理由は以下のとおりである。下記超音波式ホモジナイザーを使用して、3種類の外添強度でシリカ微粒子を外添した磁性トナーについて、超音波分散時間と、超音波分散後のシリカ微粒子由来のネット強度の関係を図5に示す。なお、分散時間0分は(2)のKM Shakerによる処理後のデータである。図5によると、超音波分散によってシリカ微粒子が剥がれていき、いずれの外添強度においても20分の超音波分散でほぼ一定となる。
[超音波分散装置/条件]
装置:超音波式ホモジナイザーVP−050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%(強度15W、120W/cm2)、30分間。このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
まず、中固着無機微粒子量の定量(3)の超音波分散条件で分散させ、弱固着および中固着無機微粒子を除去し、磁性トナー粒子に対して強固着無機微粒子のみが付着した状態のサンプルを作製する。磁性トナー表面の強固着無機微粒子による被覆率Xは、以下のようにして算出する。なお、被覆率Xは磁性トナー粒子表面のうち、強固着無機微粒子が被覆している面積の割合を示す。
下記装置を下記条件にて使用し、上記サンプル表面の元素分析を行う。
・測定装置:X線光電子分光装置Quantum2000(商品名、アルバックファイ株式会社製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:1.25eV
・解析ソフト:Maltipak(PHI社)
られたSi元素の定量値をY1とする。
次いで上述の磁性トナー表面の元素分析と同様にして、シリカ微粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたSi元素の定量値をY2とする。
本発明において、磁性トナー表面の無機微粒子による被覆率Xは、上記Y1およびY2を用いて下式のように定義される。
被覆率X(面積%)=Y1/Y2×100
なお、本測定の精度を向上させるために、Y1およびY2の測定を、2回以上行うことが好ましい。定量値Y2を求める際には、外添に使用された無機微粒子を入手できれば、それを用いて測定を行う。
また、強固着無機微粒子として、チタニア微粒子(またはアルミナ微粒子)を選択した場合、Ti元素(アルミナ微粒子の場合はAl元素)を用いて、上記のパラメーター、Y1およびY2を求めることにより、同様に被覆率Xを算出することができる。
ここで、強固着無機微粒子として、複数の無機微粒子を選択した場合は、例えば、シリカ微粒子とチタニア微粒子を選択した場合は、それぞれの被覆率を求め、それを合計する
ことにより、無機微粒子の被覆率を算出することが可能である。
無機微粒子が未知の場合、後述する強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法と同様の操作を行い、強固着無機微粒子を単離する。得られた強固着無機微粒子を元素分析することで、該無機微粒子を構成する原子を特定し、それを分析のターゲットとする。弱固着無機微粒子および中固着無機微粒子についても、必要に応じて単離し元素分析を実施することで、分析のターゲットを見つけることができる。
弱固着および中固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影される磁性トナー表面の無機微粒子画像から算出される。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。
(1)試料作製
(1−1)弱固着無機微粒子サンプルの作製
上記弱固着無機微粒子の定量(2)と同様な操作を行い、濾液Aを得る。濾液Aをスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm,30分間の条件で分離する。無機微粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、デカンテーションで水溶液を除去する。残った無機微粒子をスパチュラなどで採取および乾燥し、S−4800観察用サンプルAを得る。
(1−2)中固着無機微粒子サンプルの作製
上記弱固着無機微粒子の定量(2)と同様な操作を行い、濾過ケーキAを得る。その後、弱固着無機微粒子の定量(2)における処理前分散液Aの作製時と同様に、濾過ケーキAが自然沈降した処理前分散液Bを得る。この処理前分散液Bに対して、上記中固着無機微粒子の定量(3)と同様に超音波分散処理を行い、濾過ケーキAに含まれる中固着無機微粒子を剥がす。その後、分散液を減圧濾過し、中固着無機微粒子が分散した、濾液Bを得る。減圧濾過は、濾紙としてアドバンテック社製No.5C(粒子保持能:1μm、JIS P3801 5種C(1995年)相当)またはそれと同等の濾紙を用いる。あとは、上記の弱固着無機微粒子サンプルの作製と同様にして、観察用サンプルBを得る。
(1−3)試料台の作製および準備
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上に十分解砕した上記観察用サンプルAまたはBを乗せる。さらにエアブローして、余分な無機微粒子を試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
弱固着または中固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べてのチャージアップが少ないため、粒径を精度良く測定することができる。
S−4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]および[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で
観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止めるまたは最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、少なくとも300個の無機微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、無機微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、弱固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。また、例えば、無機微粒子がシリカ微粒子である場合には、シリカ微粒子かどうか見た目で判断できない場合は、適宜元素分析を行い、珪素が主成分として検出されることを確認しながら粒径測定を行う。
弱固着および中固着無機微粒子量の測定方法(3)と同様な操作を行い、磁性トナーから弱固着および中固着無機微粒子を剥がし、濾過、乾燥してサンプルBを作製する。
サンプルBに対して、テトラヒドロフランを加え、良く混合した後に超音波分散を10分間行う。磁石により磁性粒子を引き付け、上澄み液を捨てる。この作業を5回繰り返し、サンプルCを得る。この操作で、磁性体以外の樹脂などの有機成分はほぼ取り除くことができる。ただし、樹脂中のテトラヒドロフラン不溶解分が残存する可能性があるため、上記操作で得られたサンプルCを800℃まで加熱して残存する有機成分を燃焼させ、サンプルDを得る。弱固着および中固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法(1−3)〜(3)と同様に操作してサンプルDのS−4800による観察を行う。サンプルDには磁性体と磁性トナー粒子に対して強固着していた無機微粒子が含有されている。そのため、適宜元素分析を実施し、測定対象の無機微粒子であることを確認しながら、少なくとも無機微粒子300個について粒径を測定して、平均粒径を求める。ここで、無機微粒子は凝集塊として存在するものもあるため、一次粒子と確認できるものの最大径を求め、得られた最大径を算術平均することによって、強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)を得る。
磁性トナーの重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行う。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように専用ソフトの設定を行う。
専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、磁性トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いて磁性トナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
磁性トナーの平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)を用い、校正作業時の測定および解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中
に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像測定装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像測定装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個の磁性トナーを計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.985μm以上、39.69μm未満に限定し、磁性トナーの平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
フロー式粒子像測定装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長Lなどが計測される。
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200〜1.000の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
本発明における酸価は、以下の操作により求められる。基本操作はJIS K0070に属する。
測定装置としては、電位差滴定測定装置を用いて測定する。この滴定には、京都電子株式会社の電位差滴定測定装置AT−400(winworkstation)とABP−410電動ビュレットとを用いての自動滴定が利用できる。
装置の校正は、トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を使用する。測定温度は25℃とする。
試料の調製は、磁性トナー1.0gまたは結着樹脂0.5gをトルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒に投入したのち、超音波分散で10分間分散する。その後、マグネチックスターラーを入れて、フタをした状態で約10時間、撹拌溶解させる。0.1mol/lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用いて、ブランクテストを行う。この時の水酸化カリウムのエタノール溶液の使用量をB(ml)とする。上記、10時間撹拌後の試料溶液について、磁性体は磁力分離し、可溶分(磁性トナーまたは結着樹脂による
試料溶液)の滴定を行う。このときの水酸化カリウム溶液の使用量をS(ml)とする。
下記式により酸価を計算する。なお下記式中のfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)={(S−B)×f×5.61}/W
結着樹脂のピーク分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、次の条件で測定される。
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。カラムとしては、1×103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのがよい。例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807、800Pの組み合せや、東ソー社製のTSKgel G1000H(HXL)、G2000H(HXL)、G3000H(HXL)、G4000H(HXL)、G5000H(HXL)、G6000H(HXL)、G7000H(HXL)、TSKgurd columnの組み合せを挙げることができるが、特に昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合せが好ましい。
一方で、結着樹脂をTHFに分散し溶解後、1晩静置した後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2〜0.5μm、例えばマイショリディスクH−25−2(東ソー社製)など使用できる。)で濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として結着樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整した結着樹脂のTHF溶液を50〜200μl注入して測定する。なお、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical
Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
磁性トナーの誘電特性は以下の方法で測定する。
磁性トナーを1g秤量し、20kPaの荷重を1分間かけて、直径25mm、厚さ1.5±0.5mmの円盤状の測定試料に成型する。
この測定試料を、直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(TA Instruments社製)に装着する。測定温度30℃にて250g/cm2の荷重をかけた状態で、4284AプレシジョンLCRメータ(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、100kHz、温度30℃における複素誘電率の測定値より、誘電率ε’および誘電正接(tanδ)を算出する。
(結着樹脂の製造例1)
ポリエステルモノマーのモル比を下記とする。
BPA−PO/BPA−EO/TPA/TMA=50/50/70/12
ここで、それぞれ、BPA−PO:ビスフェノールA プロピレンオキサイド2.2モル付加物、BPA−EO:ビスフェノールA エチレンオキサイド2.2モル付加物、TPA:テレフタル酸、TMA:無水トリメリット酸、を示す。
上記に示す原料モノマーのうち、TMA以外の原料モノマーと、触媒としてテトラブチルチタネート0.1質量%を脱水管、撹拌羽根、窒素導入管などを備えたフラスコに入れ、220℃で10時間縮合重合したのち、さらにTMAを添加し、210℃で所望の酸価に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂1(ガラス転移点Tg=64℃、酸価17mgKOH/g、ピーク分子量6200)を得た。
結着樹脂の製造例1において、原料モノマーの比率を以下のように変更することで、ピーク分子量、Tg、酸価を適宜調整し、表1に示す結着樹脂2〜5を得た。
結着樹脂2:BPA−PO/BPA−EO/TPA/TMA=50/50/80/10
結着樹脂3:BPA−PO/BPA−EO/TPA/TMA=60/40/70/20
結着樹脂4:BPA−PO/BPA−EO/TPA/TMA=50/50/70/10
結着樹脂5:BPA−PO/BPA−EO/TPA/TMA=50/50/70/15
4つ口フラスコ内にキシレン300質量部を投入し、昇温して還流させ、スチレン78質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部、およびジ−tert−ブチルパーオキサイド3.0質量部の混合液を5時間かけて滴下して、低分子量重合体(L−1)溶液を得た。
4つ口フラスコ内に脱気水180質量部とポリビニルアルコールの2質量%水溶液20質量部を投入した後、スチレン78質量部、アクリル酸−n−ブチル22質量部、ジビニルベンゼン0.005質量部、および2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン(半減期10時間温度;92℃)0.09質量部の混合液を加え、撹拌し懸濁液とした。フラスコ内を十分に窒素で置換した後、85℃まで昇温して重合し、24時間保持した後、ベンゾイルパーオキサイド(半減期10時間温度;72℃)0.1質量部を追加添加し、さらに、12時間保持して高分子量重合体(H−1)の重合を完了した。
上記低分子量重合体(L−1)の均一溶液300質量部に上記高分子量重合体(H−1)25質量部を投入し、還流下で十分に混合した後、有機溶剤を留去して、表1に示す、スチレンアクリル樹脂、結着樹脂6(ガラス転移点Tg=58℃、酸価0mgKOH/g、ピーク分子量6500)を得た。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1モル当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対して珪素元素換算で0.60質量%となる量のSiO2、鉄元素に対してリン元素換算で0.15質量%となる量のリン酸ソーダを混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した
。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH7.5に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.21μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化が66.7Am2/kg、残留磁化が4.0Am2/kgの磁性体1を得た。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1モル当量の苛性ソーダ溶液、鉄元素に対して珪素元素換算で0.60質量%となる量のSiO2を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。
次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH8.5に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.22μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化が66.1Am2/kg、残留磁化が5.9Am2/kgの磁性体2を得た。
硫酸第一鉄水溶液中に、鉄元素に対して1.1モル当量の苛性ソーダ溶液を混合し、水酸化第一鉄を含む水溶液を調製した。水溶液のpHを8.0とし、空気を吹き込みながら85℃で酸化反応を行い、種晶を有するスラリー液を調製した。次いで、このスラリー液に当初のアルカリ量(苛性ソーダのナトリウム成分)に対し1.0当量となるよう硫酸第一鉄水溶液を加えた後、スラリー液をpH12.8に維持して、空気を吹込みながら酸化反応をすすめ、磁性酸化鉄を含むスラリー液を得た。このスラリーを濾過、洗浄、乾燥し解砕処理して体積平均粒径(Dv)が0.20μm、磁場79.6kA/m(1000エルステッド)における飽和磁化が65.9Am2/kg、残留磁化が7.3Am2/kgの磁性体3を得た。
メタノール、水、アンモニア水存在下、35℃に加温し、攪拌しながら、テトラメトキシシランを滴下し、シリカ微粒子の懸濁液を得た。溶媒置換を行い、得られた分散液に疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザンを室温で添加し、その後、130℃まで加熱して反応させ、シリカ微粒子表面の疎水化処理を行なった。湿式で篩いを通過させ、粗大粒子を除去後、溶媒を除去し、乾燥することにより、シリカ微粒子1(ゾルゲルシリカ)を得た。シリカ微粒子1について表2に示す。
反応温度と攪拌速度を適宜変更すること以外は、シリカ微粒子の製造例1と同様にして、シリカ微粒子2〜4を得た。シリカ微粒子2〜4について、表2に示す。
乾式シリカ(BET:50m2/g)100質量部を、ヘキサメチルジシラザン15質量部で処理し、次いでジメチルシリコーンオイル10質量部で処理を行って、シリカ微粒子5を得た。シリカ微粒子5について表2に示す。
乾式シリカのBETの異なる、以下の原体シリカ微粒子を使用し、シリカ微粒子5と同様に表面処理を行った以外は同様にして、シリカ微粒子6〜8を得た。シリカ微粒子6〜8について、表2に示す。
シリカ微粒子6:BET:200m2/g
シリカ微粒子7:BET:300m2/g
シリカ微粒子8:BET:130m2/g
・結着樹脂1: 100質量部
・表3に示すワックス1: 5.0質量部
・磁性体1 95質量部
・荷電制御剤 T−77(保土谷化学社): 1.0質量部
得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT−250(ターボ工業社製)を用いて、フィード量を20kg/hrとし、排気温度が40℃になるようエアー温度を調整して微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径(D4)が7.9μmの磁性トナー粒子を得た。
本実施例においては、図2に示す装置の処理空間9の容積が2.0×10−3m3の装置(NOB−130;ホソカワミクロン株式会社製)を用い、駆動部8の定格動力を5.5kWとし、攪拌部材3の形状を図3のものとした。そして、図3における攪拌部材3aと攪拌部材3bの重なり幅dを攪拌部材3の最大幅Dに対して0.25Dとし、攪拌部材3と本体ケーシング1内周との最小間隙を2.0mmとした。
上記した装置構成で、上記磁性トナー粒子の100質量部(500g)と、表2に示すシリカ微粒子1の3.0質量部とを、図2に示す装置に投入した。
磁性トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、磁性トナー粒子とシリカ微粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部8の動力を0.1W/g(
駆動部8の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部8の動力を1.6W/g(駆動部8の回転数2500rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。
引き続いて、このシリカ微粒子1を外添混合処理した、磁性トナー粒子を、図1に示す表面改質装置により表面改質を行った。いずれも表面改質時の条件は、原料供給速度はいずれも2kg/hr、熱風流量はいずれも7m3/min、熱風の吐出温度はいずれも300℃で行った。また、冷風温度=4℃、冷風流量=4m3/min、ブロワー風量=20m3/min、インジェクションエア流量=1m3/minとした。この表面改質処理により、強固着シリカ微粒子を表面に有する磁性トナー粒子1を得た。
磁性トナー粒子1の処方、表面改質条件について、表4に示す。
磁性トナー粒子の製造例1において、磁性トナー処方、表面改質前添加シリカ種、添加量、および表面改質時温度を表4に示すように変更した以外は、磁性トナー粒子の製造例1と同様にして、磁性トナー粒子2〜28を得た。
磁性トナー粒子2〜28の処方、表面改質条件について、表4に示す。
磁性トナー粒子の製造例1で得た磁性トナー粒子1に対して、磁性トナー粒子の製造例1で用いた構成と同じ図2に示す装置を用いて、外添混合処理を行った。
磁性トナー粒子1の100質量部と、表3に示すシリカ微粒子6の0.50質量部とを図2に示す装置に投入した。
磁性トナー粒子とシリカ微粒子を投入後、磁性トナー粒子とシリカ微粒子を均一に混合するために、プレ混合を実施した。プレ混合の条件は、駆動部8の動力を0.10W/g(駆動部8の回転数150rpm)とし、処理時間を1分間とした。
プレ混合終了後、外添混合処理を行った。外添混合処理条件は、駆動部8の動力を0.60W/g(駆動部8の回転数1400rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、処理時間を5分間とした。
その後さらにシリカ微粒子6を0.30質量部添加(磁性トナー粒子に対して、トータル0.80質量部)し、さらに、チタニア微粒子(ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理した、BET法で測定した比表面積(BET比表面積)が130m2/gのチタニア微粒子)を0.2質量部添加し、駆動部8の動力を0.60W/g(駆動部8の回転数1400rpm)で一定となるように、攪拌部材3の最外端部周速を調整し、さらに処理を2分間実施とした。
外添混合処理後、直径500mm、目開き75μmのスクリーンを設置した円形振動篩機で粗粒などを除去し、磁性トナー1を得た。
磁性トナー1の外添混合処理条件について、表5に示す。
また、磁性トナー1について、前述した方法で、弱固着シリカ微粒子および中固着シリカ微粒子の量、強固着シリカ微粒子による被覆率X、さらに誘電特性や磁気特性、最大吸熱ピーク温度などを測定した結果を、表6に示す。
用いる結着樹脂、磁性体などの処方を表4のようにして、更に外添混合条件を表5に示すように変更した以外は磁性トナー1と同様にして、磁性トナー2〜31を得た。磁性トナー2〜31の物性を表6に示す。
用いる結着樹脂、磁性体などの処方を表4のようにして、更に外添混合条件を表5に示すように変更した以外は磁性トナー1と同様にして、比較磁性トナー1〜11を得た。比較磁性トナー1〜11の物性を表6に示す。
(画像形成装置)
画像形成装置として、直径10mmである小径現像スリーブを搭載した、LBP―3100(キヤノン製)を用い、印字速度を16枚/分を32枚/分に改造した。小径現像スリーブを搭載した画像形成装置において、印字速度を32枚/分に変更する事で耐久性を厳しく評価できる。
この改造機を用いて、磁性トナー1を使用し、高温高湿環境下(32.5℃/80%RH)にて、印字率が1%の横線を1枚間欠モードで10000枚画出し試験を行った。
10000枚の画出し後、高温高湿環境下で1日放置し、さらに画出しを行なった。
その結果、耐久試験前後で濃度が高く、非画像部へのカブリの少ない画像を得ることができた。また、10000枚の画出し後、磁性トナーの帯電量分布を評価した。その結果、帯電量分布としても非常にシャープであった。
結果を表7に示す。
の個数分の帯電量が測定されると画面は停止し、その後、帯電量と粒子径の3次元分布や粒径別の帯電量分布、平均帯電量(クーロン/重量)などが画面に表示される。Espartアナライザーの測定部に試料粒子として磁性トナーを導入することで、磁性トナーの帯電量を測定し、磁性トナーの帯電性能から粒径と帯電量の関係を評価できる。
本発明においては、現像スリーブ上の磁性トナー層を測定部に導入することで、現像スリーブ上の帯電量分布について評価した。
現像スリーブ上の帯電量の均一性が不十分の場合、帯電量分布の形状はブロードとなり、特に現像スリーブ下層の過剰帯電した磁性トナーの影響で、帯電性の低い磁性トナーが反転成分としてカウントされることになる。
<画像濃度>
画像濃度はべた画像部を形成し、このべた画像の濃度をマクベス反射濃度計(マクベス社製)にて測定した。
耐久初期のべた画像の反射濃度と、10000枚耐久使用後のべた画像の反射濃度の差が、小さいほど良好とした。
A:非常に良好(0.05未満)
B:良好(0.05以上0.15未満)
C:普通(0.15以上0.25未満)
D:悪い(0.25以上)
白画像を出力して、その反射率を東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用して測定した。一方、白画像形成前の転写紙(標準紙)についても同様に反射率を測定した。フィルターは、グリーンフィルターを用いた。白画像出力前後の反射率から、下記式を用いてカブリを算出した。
カブリ(反射率)(%)=標準紙の反射率(%)−白画像サンプルの反射率(%)
なお、カブリの判断基準は以下の通りである。
A:非常に良好(0.5%未満)
B:良好(0.5%以上1.5%未満)
C:普通(1.5%以上3.0%未満)
D:悪い(3.0%以上)
帯電量分布は、10000枚耐久使用した後に1日放置し、上記Espartアナライザーにて、現像スリーブ上の磁性トナーの帯電量を測定し、帯電量分布を解析することにより評価した。帯電量分布の判断基準を以下に示す。
反転成分として検出された磁性トナーの個数が、
A:5.0%未満
B:5.0%以上10.0%未満
C:10.0%以上20.0%未満
D:20.0%以上
低温定着性は、耐久初期に定着器のヒーター温度を20℃低下させることにより、評価した。低温定着性の判断基準を以下に示す。
A:べた画像をこすっても手につかず問題なし。
B:べた画像をこすると、やや手につくが、テキスト画像などは問題なし。
C:べた画像もテキスト画像も強くこすると、はがれるところがありやや気になる。
磁性トナーとして、磁性トナー2〜31、および比較磁性トナー1〜11を使用し、実施例1と同様の条件で評価を行った。評価結果を表7に示す。
1:本体ケーシング、2:回転体、3、3a、3b:撹拌部材、4:ジャケット、5:原料投入口、6:製品排出口、7:中心軸、8:駆動部、9:処理空間、10:回転体端部側面、11:回転方向、12:戻り方向、13:送り方向、16:原料投入口用インナーピース、17:製品排出口用インナーピース、d:撹拌部材の重なり部分を示す間隔、D:撹拌部材の幅
100:静電潜像担持体(感光体)、102:現像スリーブ、114:転写部材(転写ローラー)、116:クリーナー、117:帯電部材(帯電ローラー)、121:レーザー発生装置(潜像形成手段、露光装置)、123:レーザー、124:レジスタローラー、125:搬送ベルト、126:定着器、140:現像器、141:攪拌部材
Claims (10)
- 結着樹脂、および磁性体を含有する磁性トナー粒子と、該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子と、を含有する磁性トナーであって、
該磁性トナー粒子表面に固着された無機微粒子がシリカ微粒子であり、
該無機微粒子を、該磁性トナー粒子への固着強度に応じて、固着強度の弱い順に、弱固着無機微粒子、中固着無機微粒子、強固着無機微粒子とした場合、
1) 該弱固着無機微粒子の含有量が、該磁性トナー100質量部中に0.10質量部以上0.30質量部以下であり、
2) 該中固着無機微粒子が、該弱固着無機微粒子の2.0倍以上5.0倍以下存在し、3) X線光電子分光装置(ESCA)により求めた、該磁性トナーの表面の該強固着無機微粒子による被覆率Xが、60.0面積%以上90.0面積%以下であり、
弱固着無機微粒子は、界面活性剤を含むイオン交換水に該磁性トナーを加えた分散液を、振とう速度:46.7cm/秒、振とうの幅:4.0cm、で2分間振とうした場合に剥がれる無機微粒子であり、
中固着無機微粒子は、該振とうでは剥がれないが、強度120W/cm2で30分間の超音波分散により剥がれる無機微粒子であり、
強固着無機微粒子は、該振とうおよび該超音波分散でも剥がれない無機微粒子であることを特徴とする磁性トナー。 - 弱固着無機微粒子および中固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)が、5nm以上30nm以下である請求項1に記載の磁性トナー。
- 前記弱固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)に対する、前記強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)の比が、4.0以上25.0以下である請求項1または2に記載の磁性トナー。
- 前記強固着無機微粒子の一次粒子の個数平均粒子径(D1)が、50nm以上200nm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 周波数100kHz、温度30℃における前記磁性トナーの誘電率ε’が、30.0pF/m以上40.0pF/m以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁性トナー
。 - 前記磁性トナーの平均円形度が、0.955以上であり、
前記磁性トナーが粉砕トナーである請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁性トナー。 - 前記磁性トナーの酸価が、10mgKOH/g以上40mgKOH/g以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーの飽和磁化(σs)が30.0Am2/kg以上40.0Am2/kg以下であり、前記磁性トナーの残留磁化(σr)と前記飽和磁化(σs)との比[σr/σs]が、0.03以上0.10以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーが、さらに、チタニア微粒子を含有する請求項2〜8のいずれか1項に記載の磁性トナー。
- 前記磁性トナーが、離型剤としてエステル化合物を含有し、示差走査熱量計(DSC)による測定において50℃以上80℃以下に最大吸熱ピークを有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁性トナー。
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