JP6304021B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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本発明は、乗物のボディサイド部に対し側方から衝撃が加わった場合に、乗物用シートに着座している乗員とボディサイド部との間でエアバッグ本体を展開及び膨張させて、乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置に関する。
側突等により車両に対し側方から衝撃が加わった場合に、車両用シートに着座している乗員を保護する装置として、エアバッグ及びインフレータを備えたサイドエアバッグ装置が有効である。このサイドエアバッグ装置の一形態として、エアバッグが、その外殻部分を構成するエアバッグ本体と、調圧弁等のガス流れ規制部を有する区画部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。区画部は、エアバッグ本体内を、同区画部よりも後側に位置して、インフレータから膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、区画部よりも前側に位置して、上流側膨張部及びガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画している。
上記サイドエアバッグ装置によれば、車両のボディサイド部、例えばサイドドア等に対し側方から衝撃が加わると、インフレータから膨張用ガスが上流側膨張部に供給されて、同上流側膨張部が、乗員の上半身と車内側へ進入してくるボディサイド部との間で展開及び膨張する。上流側膨張部内の膨張用ガスはガス流れ規制部を通って下流側膨張部へ流入し、上流側膨張部に遅れて下流側膨張部を展開及び膨張させる。そして、上記上流側膨張部及び下流側膨張部を通じ、乗員の上半身に荷重が作用し、同上半身が拘束されるとともに、ボディサイド部を通じて乗員の上半身に伝わる側方からの衝撃が緩和されることで、乗員が保護される。
特開2013−35535号公報
ところで、乗員の上半身においては、肩部が他の部位、例えば、胸部や腹部よりもボディサイド部側へ多く飛び出している。また、ボディサイド部において乗員の腹部と略同程度の高さとなる箇所からは、一般にアームレストが車室内に向けて突出している。従って、上半身のボディサイド部との間隔は、その上半身の部位に応じて異なる。
しかしながら、上記特許文献1を含め、従来のサイドエアバッグ装置では、上記間隔と上半身の部位との関係が充分考慮されずに上流側膨張部の展開及び膨張が行なわれている。そのため、上流側膨張部から作用する荷重が上半身の部位によっては小さすぎたり、大きすぎたりする。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、上流側膨張部が展開及び膨張したときに乗員の上半身の各部を適切な荷重で拘束することのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも肩部から腹部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されており、前記区画部長は、前記腹部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位で近似し、かつ前記胸部を保護する部位で最長となるように設定され、前記本体長は、前記腹部を保護する部位、前記胸部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位の順に短くなるように設定されており、前記区画部長についての長短関係の設定は、各縦結合部の中間部が上下方向に沿って延びる直線状に形成され、各縦結合部の上部及び下部がそれぞれ前方に膨らむ湾曲状に形成されることによりなされている」
上記課題を解決するサイドエアバッグ装置は、側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、
前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも肩部から腹部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されており、前記区画部長は、前記腹部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位で近似し、かつ前記胸部を保護する部位で最長となるように設定され、前記本体長は、前記腹部を保護する部位、前記胸部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位の順に短くなるように設定されており、前記エアバッグ本体が膨張用ガスを充填されることなく平面状に展開させられた状態では、同エアバッグ本体の後縁部が上下方向に沿って直線状に延びており、前記本体長についての長短関係の設定は、前記区画部が、下側ほど前記エアバッグ本体の後縁部から前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されることによりなされている。
上記の構成によれば、ボディサイド部に側方から衝撃が加わり、膨張用ガスが上流側膨張部に供給されると、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも肩部から腹部にかけての領域とボディサイド部との間で、上流側膨張部が展開及び膨張する。
ここで、胸部のボディサイド部との間隔は、肩部や腹部のボディサイド部との間隔よりも広い。これは、1つには、肩部が、胸部や腹部よりもボディサイド部側へ多く飛び出しているからである。また、室内に向けて突出するアームレストは、一般に、ボディサイド部において乗員の腹部と同程度の高さに設けられるからである。
一方で、上流側膨張部のうち、胸部を保護する部位の膨張厚みは、肩部や腹部を保護する部位の膨張厚みよりも大きい。そのため、胸部を保護する部位は、胸部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で胸部を拘束する。
また、上流側膨張部のうち、腹部を保護する部位は、胸部とボディサイド部との間よりも狭い、腹部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で腹部を拘束する。
さらに、一般に、上流側膨張部のうち、肩部を保護する部位は、腹部を保護する部位よりも膨張用ガスの供給源から遠い。上流側膨張部のうち、肩部を保護する部位へは、腹部を保護する部位よりも遅く膨張用ガスが供給される。一方で、衝撃によりボディサイド部が乗物の室内側へ入り込むため、同ボディサイド部と乗員の上半身との間隔は、時間の経過とともに狭くなる。衝撃が加わる前のボディサイド部との間隔が、肩部と腹部とで同程度であっても、肩部を保護する部位が展開及び膨張を開始するときの同肩部とボディサイド部との間隔は、腹部を保護する部位が展開及び膨張を開始するときの同腹部とボディサイド部との間隔よりも狭い。肩部を保護する部位が、腹部を保護する部位と同程度の膨張厚みで膨張すると、肩部を必要以上の荷重で押圧することとなる。
しかし、上流側膨張部のうち、肩部を保護する部位は、腹部を保護する部位よりも小さな膨張厚みで膨張する。そのため、肩部を保護する部位は、腹部とボディサイド部との間よりも狭い、肩部とボディサイド部との間で展開及び膨張し、両者の間隔に適した荷重で肩部を拘束する。
なお、上流側膨張部に供給された膨張用ガスは、ガス流れ規制部を通って下流側膨張部へ流入する。膨張用ガスは、ガス流れ規制部を通過する際に流路面積を絞られ、下流側膨張部へ流入することを少なからず規制される。この膨張用ガスにより、上流側膨張部に加え下流側膨張部も展開及び膨張する。乗員は、上流側膨張部に加え下流側膨張部によっても拘束され、衝撃から保護される。
上記の構成によれば、上流側膨張部は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとし、膨張厚みを生ずる。この膨張厚みは、本体長が長くなるに従い増大する傾向にある。
一方、縦結合部によりエアバッグ本体に結合された区画部は、上流側膨張部が展開及び膨張する際に、乗物用シートの幅方向の両側に引っ張られる。区画部は緊張状態となって、上流側膨張部の膨張厚みを規制する。規制の度合いは区画部長が大きくなるに従い小さくなる。従って、上流側膨張部の膨張厚みは、区画部長が大きくなるに従い大きくなる傾向にある。
このように、上流側膨張部の膨張厚みは、主として区画部長及び本体長によって決定される。そのため、区画部長及び本体長の組合わせを適切に設定することにより、胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に膨張厚みを小さくすることが可能である。
本体長が上記の条件を満たすように設定されることで、区画部がないと仮定した場合には、膨張厚みは、腹部を保護する部位、胸部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくなる。
一方で、区画部長が上記の条件を満たすように設定されることで、区画部が緊張状態となって上流側膨張部の膨張厚みを規制する度合いは、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位で同程度に大きく、胸部を保護する部位で最小となる。
そして、区画部による厚み規制が、本体長によって決まる膨張厚みに影響を及ぼすことで、上流側膨張部の膨張厚みを、胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくすることが可能である。
請求項1に記載のサイドエアバッグ装置の構成によれば、区画部長は、上記の構成によるように、各縦結合部の上部及び下部がそれぞれ前方に膨らむ湾曲状に形成されることで、上下方向に沿って延びる直線状に形成される場合よりも短くなる。その結果、区画部長を、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位で近似させ、胸部を保護する部位で最長とすることが可能である。
請求項2に記載のサイドエアバッグ装置の構成によれば、区画部が、下側ほどエアバッグ本体の後縁部から前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されることで、本体長が下側ほど長くなる。本体長は、腹部を保護する部位、胸部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に短くなる。
上記サイドエアバッグ装置によれば、上流側膨張部が展開及び膨張したときに乗員の上半身の各部を適切な荷重で拘束することができる。
車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態を示す図であり、同装置が設けられた車両用シートを乗員とともに示す側面図。 一実施形態において、車両用シート、エアバッグ、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す平断面図。 一実施形態において、車両用シート、乗員及びボディサイド部の位置関係を示す正断面図。 一実施形態において、エアバッグモジュールが組み込まれたシートバックの側部の内部構造を示す部分平断面図。 一実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを車外側から見た側面図。 一実施形態において、エアバッグ本体が非膨張展開状態にされたエアバッグモジュールを車内側から見た側面図。 一実施形態において、エアバッグの各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示す分解斜視図。 (a)は、図5のエアバッグモジュールの内部構造を乗員及び車両用シートとともに示す部分側断面図、(b)は図8(a)の一部を拡大して示す部分側断面図。 図4のエアバッグ本体がその一部をシートバック内に残して車両用シートから飛び出して展開及び膨張した状態を示す部分平断面図。 一実施形態における上流側膨張部の膨張に伴い区画部が緊張したときの調圧弁及びその周辺部分を示す部分斜視図。 (a)〜(c)は、一実施形態における連通部及び調圧弁の動作を模式的に示す部分側断面図。 一実施形態において、展開させられた区画部を前方から見た状態を示す正面図。 (a)〜(c)は、展開及び膨張したエアバッグ本体の各部を模式的に示す平断面図。 ガス流れ規制部の変形例として、連通部及び調圧弁に代えて開口部が設けられた区画部を示す斜視図。 区画部に、ガス流れ規制部として、孔及び蓋シートが設けられた変形例を示す図であり、(a)は区画部及び蓋シートの斜視図、(b)は図15(a)の一部を拡大して示す部分斜視図。
以下、車両用のサイドエアバッグ装置に具体化した一実施形態について、図1〜図13を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の幅方向(車幅方向)についての中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とするものとする。また、車両用シートには、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が着座しているものとする。このダミーは、例えば国際統一側面衝突ダミー(WorldSID)のAM50(米国成人男性の50%をカバーするモデル)である。
図1〜図3に示すように、車両10においてボディサイド部11の車内側の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、ボディサイド部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応するボディサイド部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応するボディサイド部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
ボディサイド部11の内壁において乗員Pの腹部PBと同程度の高さとなる箇所には、アームレスト(肘掛け)ARが車内内へ向けて突設されている(図3参照)。
車両用シート12は、シートクッション13と、そのシートクッション13の後側から起立し、かつ傾斜角度を調整可能に構成されたシートバック14とを備えている。車両用シート12は、シートバック14が前方を向く姿勢で配置されている。このように配置された車両用シート12の幅方向は、車幅方向と合致する。
次に、シートバック14における車外側の側部の内部構造について説明する。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部15」という)は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。サイドフレーム部15を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド16が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード17が配置されている。なお、シートパッド16は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図9についても同様である。
シートパッド16内において、サイドフレーム部15の車外側近傍には収納部18が設けられている。この収納部18には、サイドエアバッグ装置の主要部をなすエアバッグモジュールABMが組み込まれている。
収納部18の角部からは、斜め前かつ車外側に向けてスリット19が延びている。シートパッド16の前側の角部16cとスリット19とによって挟まれた箇所(図4において二点鎖線の枠で囲んだ箇所)は、後述するエアバッグ40によって破断される破断予定部21を構成している。
エアバッグモジュールABMは、ガス発生器30及びエアバッグ40を主要な構成部材として備えている。次に、これらの構成部材の各々について説明する。
<ガス発生器30>
図4及び図8(a)に示すように、ガス発生器30は、インフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その下端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ31の上端部には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータ31としては、上記ガス発生剤を用いたパイロタイプに代えて、高圧ガスの充填された高圧ガスボンベの隔壁を火薬等によって破断して膨張用ガスを噴出させるタイプ(ハイブリッドタイプ)が用いられてもよい。
一方、リテーナ32は、膨張用ガスの噴出する方向を制御するディフューザとして機能するとともに、インフレータ31をエアバッグ40と一緒にサイドフレーム部15に締結する機能を有する部材である。リテーナ32の大部分は、金属板等の板材を曲げ加工等することによって略筒状に形成されている。リテーナ32の少なくとも下端は開放端となっている。
リテーナ32には、これをサイドフレーム部15に取付けるための係止部材として、複数本のボルト33が固定されている(図6参照)。なお、ガス発生器30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
図1及び図2に示すように、エアバッグ40の外殻部分はエアバッグ本体41によって構成されている。
<エアバッグ本体41>
図5及び図6は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールABMを示している。また、図8(a)は、エアバッグモジュールABMの内部構造を示すべく、図5のエアバッグ本体41が車幅方向の中央部分で切断されたエアバッグモジュールABMを乗員P及び車両用シート12とともに示している。図7は、エアバッグ本体41をはじめとする、エアバッグ40の各構成部材をそれぞれ展開させた状態で示している。
図5〜図7に示すように、エアバッグ本体41は、1枚の布片(基布、パネル布等とも呼ばれる)を、その中央部分に設定した折り線42に沿って前方へ二つ折りして車幅方向に重ね合わせ、その重ね合わされた部分を袋状となるように結合させることにより形成されている。ここでは、エアバッグ本体41の上記の重ね合わされた2つの部分を区別するために、車内側に位置するものを本体布部43といい、車外側に位置するものを本体布部44というものとする。上記折り線42に沿った二つ折りにより、非膨張展開状態のエアバッグ本体41の後縁部は、上下方向に沿って直線状に延びている。
なお、本実施形態では、折り線42がエアバッグ本体41の後端部に位置するように布片が二つ折りされているが、折り線42が他の端部、例えば前端部、上端部、下端部等に位置するように布片が二つ折りされてもよい。また、エアバッグ本体41は折り線42に沿って分割された2枚の布片からなるものであってもよい。さらに、エアバッグ本体41は3枚以上の布片からなるものであってもよい。
エアバッグ本体41においては、両本体布部43,44の外形形状が、折り線42を対称軸として互いに線対称の関係にある。図1及び図2に示すように、各本体布部43,44は、エアバッグ本体41が車両用シート12とボディサイド部11との間で展開及び膨張したときに、乗員Pの上半身の多くの部分(肩部PSから腰部PPの上部にかけての部位)に対応する領域を占有し得る形状及び大きさに形成されている。この領域には、胸部PT及び腹部PBに対応する領域が含まれる。
両本体布部43,44としては、強度が高く、かつ可撓性を有していて容易に折り畳むことのできる素材、例えばポリエステル糸、ポリアミド糸等を用いて形成した織布等が適している。
両本体布部43,44の上記結合は、それらの周縁部に設けられた周縁結合部45においてなされている。本実施形態では、周縁結合部45の大部分は、両本体布部43,44の周縁部のうち、後端部(折り線42の近傍部分)を除く部分を、縫製(縫糸で縫合)することにより形成されている。この点は、後述する縦結合部52,71、横結合部63及び結合部84についても同様である。
上記縫製に関し、図5〜図8(a)、図10及び図12では、3つの線種によって縫製部分が表現されている。変形例の説明に用いられる図15についても同様である。1つ目の線種は、一定長さの太線を断続的に並べて表現した線であり、これは、縫糸を側方から見た状態を示している(図5における周縁結合部45等参照)。2番目の線種は、一定長さ(一般的な破線よりも長い長さ)の細線を断続的に並べて表現した線であり、これは、例えば布片の奥に位置していて直接は見えない(隠れている)縫糸の状態を示している(図5における横結合部63等参照)。3番目の線種は、点を一定間隔おきに並べて表現した線であり、これは、縫製部分を通る断面に沿った縫糸の断面を示している(図8(a)における周縁結合部45等参照)。
なお、周縁結合部45は、上記縫糸を用いた縫合とは異なる手段、例えば接着剤を用いた接着によって形成されてもよい。この点は、後述する縦結合部52,71、横結合部63及び結合部84についても同様である。
図8(a)に示すように、両本体布部43,44間であって、周縁結合部45及び折り線42によって囲まれた空間は、膨張用ガスによって展開及び膨張する膨張部46となっている。
図6及び図7に示すように、車内側の本体布部43の後端部であって上下方向の中間部分には、ガス発生器30の挿入口47が形成されている。また、本体布部43において挿入口47の下方となる複数箇所(2箇所)には、ガス発生器30のボルト33を挿通させるためのボルト孔48があけられている。
膨張部46は、区画部50により2つに区画されている。区画部50は、一般的にテザーと呼ばれるものと同様の構成を有している。
<区画部50>
図7及び図12に示すように、区画部50は、展開させられた状態では、上下方向の寸法が車幅方向の寸法よりも長くなる縦長の形状を有している。
図5、図6及び図8(a)に示すように、区画部50は、エアバッグ本体41が非膨張展開状態にされているときには、車幅方向の中央部において上下方向に沿って延びる折り線51に沿って前方へ二つ折りされている。この状態の区画部50の上端部は、上記周縁結合部45によって両本体布部43,44の上端部に対し、共縫いにより結合されている。また、上記状態の区画部50の下端部は、周縁結合部45によって両本体布部43,44の下端部に対し、共縫いにより結合されている。
区画部50は、車幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部52によって、対応する本体布部43,44に結合されている。区画部50は、上記結合により両本体布部43,44間であって、膨張部46の前後方向における略中央部分に架設されている。
膨張部46の区画部50よりも後側の部分は、同膨張部46のうちガス発生器30から最初に膨張用ガスが供給される上流側膨張部53を構成している。膨張部46の区画部50よりも前側の部分は、上流側膨張部53及び後述するガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部54を構成している。
区画部50は、上記両本体布部43,44と同様の素材からなり、かつ上下方向に並べられた2つの布片55,56によって構成されている。
図8(a),(b)及び図10に示すように、布片55の下側の端部57と、布片56の上側の端部58とは重ね合わされている。両布片55,56は、それぞれ帯状をなす一対の重ね合わせ部61と、それ以外の箇所(以下「非重ね合わせ部62」という)との境界部分において、車幅方向に沿って延びる横結合部63によって結合されている。
なお、布片55,56の少なくとも一方は、折り線51に沿って2枚に分割されたものによって構成されてもよい。
区画部50には、ガス流れ規制部として連通部64及び調圧弁65が設けられている。
<連通部64及び調圧弁65>
連通部64及び調圧弁65は、上流側膨張部53による乗員拘束に伴い外力が加わることを条件とし、その条件が満たされるまでは閉じた状態又はそれに近い状態となり、同条件が満たされることにより開くものである。連通部64及び調圧弁65は、上流側膨張部53の膨張に伴い緊張させられた区画部50において、車幅方向の略中央部分に設けられている。詳しくは、区画部50における横結合部63は、車幅方向の略中央部分において結合を解除されている。このように、横結合部63による結合を解除された箇所は、車幅方向に延びて、上流側膨張部53と下流側膨張部54とを連通させるスリット状の連通部64を構成している。
調圧弁65は、連通部64での膨張用ガスの流通を制御することで、上流側膨張部53及び下流側膨張部54の各内圧を調整する弁である。そして、布片55の端部57のうち、車幅方向において連通部64に対応する箇所によって調圧弁65の弁体部66が構成され、布片56の端部58のうち車幅方向において連通部64に対応する箇所によって調圧弁65の弁体部67が構成されている。
両弁体部66,67が、それらの少なくとも一部、例えば先端部66t,67tにおいて互いに接触することで、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通が規制される(図11(a),(b)参照)。このときの調圧弁65の動作態様を「閉弁」という。また、連通部64が開かれ、かつ弁体部66の略全体が弁体部67の略全体から離間することで、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通が可能となる(図11(c)参照)。このときの調圧弁65の動作態様を「開弁」という。
そして、両重ね合わせ部61は非重ね合わせ部62との境界部分において、下方へ折り曲げられて、下側の非重ね合わせ部62に重ねられている。なお、上記とは逆に、両重ね合わせ部61が上方へ折り曲げられて上側の非重ね合わせ部62に重ね合わされてもよい。さらに、折り曲げられた帯状の両重ね合わせ部61は、車幅方向の両端部において、前述した両縦結合部52により、エアバッグ本体41の対応する本体布部43,44及び非重ね合わせ部62に対し、共縫いにより結合されている。
非膨張展開状態のエアバッグ本体41内の後部には整流布70が配置されている。
<整流布70>
図7及び図8に示すように、整流布70は、インフレータ31下部のガス噴出部から噴出された膨張用ガスを、上方よりも下方へ多く供給されるように分配するためのものである。
整流布70は、上記両本体布部43,44と同様の素材によって矩形状に形成された1枚の布片を、エアバッグ本体41に結合することにより形成されている。整流布70のエアバッグ本体41に対する結合は、展開させられた状態の整流布70の車幅方向の両側部において上下方向に沿って延びる一対の縦結合部71によってなされている。両縦結合部71の一方は、整流布70を車内側の本体布部43に結合し、他方は、同整流布70を車外側の本体布部44に結合している。なお、整流布70は、複数の布片によって構成されてもよい。また、整流布70は、2つに折り重ねられた状態で本体布部43,44に結合されてもよい。
そして、上下方向に沿って延びる姿勢にされたガス発生器30の多くの部分は、上流側膨張部53内の後端部に収容されている。ガス発生器30の上部は挿入口47を通り、エアバッグ本体41の外部に露出している。ガス発生器30の下部は、整流布70において両縦結合部71によって挟まれた箇所と、エアバッグ本体41の後部との間に挿入されている。
リテーナ32のボルト33が本体布部43のボルト孔48に挿通されることにより、ガス発生器30が、エアバッグ本体41(本体布部43)に対し位置決めされた状態で係止されている(図6参照)。
さらに、エアバッグ本体41(本体布部43)の前部には、展開及び膨張した下流側膨張部54内の膨張用ガスを前方へ排出するための排気孔(ベントホールとも呼ばれる)75が設けられている。
ここで、図12及び図13(a)〜(c)に示すように、展開及び膨張した上流側膨張部53の車幅方向の寸法を膨張厚みとする。上流側膨張部53において、肩部PSを保護する部位での膨張厚みをTSとし、胸部PTを保護する部位での膨張厚みをTTとし、腹部PBを保護する部位での膨張厚みをTBとする。本実施形態では、膨張厚みが、膨張厚みTT、膨張厚みTB、膨張厚みTSの順に小さくなるように設定されている。
膨張厚みに関する上記設定のために、上流側膨張部53の平断面における周長のうち、区画部50によるものを区画部長とし、エアバッグ本体41によるものを本体長とする。
また、肩部PSを保護する部位での区画部長をC1Sとし、胸部PTを保護する部位での区画部長をC1Tとし、腹部PBを保護する部位での区画部長をC1Bとする。
また、肩部PSを保護する部位での本体長をC2Sとし、胸部PTを保護する部位での本体長をC2Tとし、腹部PBを保護する部位での本体長をC2Bとする。
そして、区画部長C1S,C1T,C1B及び本体長C2S,C2T,C2Bの組合わせが、上流側膨張部53の上記3つの部位間で異なるように設定されることにより、膨張厚みについての上記大小関係(TT>TB>TS)が設定されている。
これは、次のような知見に基づくものである。上流側膨張部53は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとする。この膨張により、上流側膨張部53に膨張厚みTS,TT,TBが生ずる。これらの膨張厚み膨張厚みTS,TT,TBは、本体長C2S,C2T,C2Bが長くなるに従い増大する傾向にある。
一方、両縦結合部52によりエアバッグ本体41に結合された区画部50は、上流側膨張部53が展開及び膨張する際に、両本体布部43,44によって車幅方向の両側へ引っ張られる。区画部50は緊張状態となって、膨張厚みTS,TT,TBを規制する。規制の度合いは、区画部長C1S,C1T,C1Bが大きくなるに従い小さくなる。従って、膨張厚みTS,TT,TBは、区画部長C1S,C1T,C1Bが大きくなるに従い大きくなる傾向にある。
このように、膨張厚みTS,TT,TBは、主として区画部長C1S,C1T,C1B及び本体長C2S,C2T,C2Bによって決定される。そのため、区画部長C1S,C1T,C1B及び本体長C2S,C2T,C2Bの組合わせが適切に設定されることにより、膨張厚みが、上記のように、膨張厚みTT、膨張厚みTB及び膨張厚みTSの順に小さくされている。
より具体的には、腹部PBを保護する部位での区画部長C1Bと、肩部PSを保護する部位での区画部長C1Sとは近似する値に設定されている。胸部PTを保護する部位での区画部長C1Tは、上記両区画部長C1B,C1Sよりも長く設定されている。すなわち、区画部長C1Tは、3つの区画部長C1S,C1T,C1Bの中で最長となる。
区画部長C1S,C1T,C1Bが上記の条件を満たすように設定されることで、区画部50が緊張状態となって膨張厚みTS,TT,TBを規制する度合いは、腹部PBを保護する部位、及び肩部PSを保護する部位で同程度に大きく、胸部PTを保護する部位で最小となる。
区画部長C1S,C1T,C1Bに関する上記の設定は、各縦結合部52の上下方向における中間部52iが上下方向に沿って延びる直線状に形成され、各縦結合部52の上部52u及び下部52lがそれぞれ前方に膨らむ湾曲状に形成されることによりなされている(図8(a))。
区画部50の上部及び下部での各区画部長C1S,C1Bは、各縦結合部52の上部52u及び下部52lが上記の形状に形成されることで、中間部52iと同様に上下方向に沿って延びる直線状に形成される場合よりも短くなる。その結果、区画部長C1Bと区画部長C1Sとが近似し、区画部長C1Tが最長となる。
また、本体長は、本体長C2B、本体長C2T、本体長C2Sの順に短くなるように設定されている。
本体長C2S,C2T,C2Bが上記の条件を満たすように設定されることで、区画部50がないと仮定した場合には、膨張厚みは、膨張厚みTB、膨張厚みTT及び膨張厚みTSの順に小さくなる。
本体長C2S,C2T,C2Bに関する上記の設定は、非膨張展開状態のとき自身の後縁部が上下方向に沿って直線状に延びるエアバッグ本体41にあって、区画部50が、下側ほど上記後縁部(折り線42)から前方へ大きく遠ざかるように、折り線42に対し傾斜した状態で配置されることによりなされている(図8(a)参照)。区画部50の上記配置により、本体長は下側ほど長くなる。本体長は、本体長C2B、本体長C2T、本体長C2Sの順に短くなる。
そして、上記区画部50による厚み規制が、本体長によって決まる膨張厚みTS,TT,TBに影響を及ぼすことで、上流側膨張部53の膨張厚みが、膨張厚みTT、膨張厚みTB、膨張厚みTSの順に小さくされている。
ところで、エアバッグモジュールABMは、非膨張展開状態のエアバッグ本体41(図8(a)参照)が折り畳まれることにより、図4に示すようにコンパクトな形態(以下「収納用形態」という)にされている。これは、エアバッグモジュールABMを、シートバック14における限られた大きさの収納部18に対し、収納に適したものとするためである。
上記エアバッグモジュールABMでは、ガス発生器30から延びて本体布部43のボルト孔48に挿通されたボルト33がサイドフレーム部15に挿通され、その挿通状態のボルト33にナット34が締付けられている。この締付けにより、ガス発生器30がエアバッグ本体41と一緒にサイドフレーム部15に取付けられている。
なお、ガス発生器30は、上述したボルト33及びナット34とは異なる部材によってサイドフレーム部15に取付けられてもよい。
サイドエアバッグ装置は、上述したエアバッグモジュールABMのほかに、図1に示す衝撃センサ77及び制御装置78を備えている。衝撃センサ77は加速度センサ等からなり、車両10のボディサイド部11に設けられており、同ボディサイド部11に側方から加えられる衝撃を検出する。制御装置78は、衝撃センサ77の検出信号に基づきインフレータ31の作動を制御する。
さらに、車室内には、車両用シート12に着座している乗員Pをその車両用シート12に拘束するためのシートベルト装置が装備されているが、図1〜図3等ではこのシートベルト装置の図示が省略されている。
上記のようにして、本実施形態のサイドエアバッグ装置が構成されている。次に、このサイドエアバッグ装置の作用として、代表的な動作の態様(モード)について説明する。
図11(a)〜(c)は、調圧弁65及び区画部50の形態が、膨張用ガスの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略及び簡略化されている。
このサイドエアバッグ装置では、ボディサイド部11に対し側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ77によって検出されないときには、制御装置78からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、膨張用ガスが噴出されない。エアバッグ本体41は、収納用形態で収納部18に収納され続ける(図4参照)。
これに対し、車両10の走行中等に、側突等によりボディサイド部11に対し側方から所定値以上の衝撃が加わり、そのことが衝撃センサ77によって検出されると、その検出信号に基づき制御装置78からインフレータ31に対し、これを作動させるための作動信号が出力される。この作動信号に応じて、インフレータ31のガス噴出部から膨張用ガスが噴出される。
噴出された膨張用ガスは、整流布70(図8(a)等参照)により、上方へ向かうものと下方へ向かうものとに分配される。分配されて下方へ向かう膨張用ガスは、上方へ向かう膨張用ガスよりも多い。この膨張用ガスにより、上流側膨張部53の内圧が上昇する。ただし、上流側膨張部53の下部には上部よりも多くの膨張用ガスが供給されることから、同下部の内圧が上部の内圧よりも速く高くなる。上流側膨張部53は、膨張用ガスが供給されることで展開し、曲面状に膨張しようとする。この膨張により、上流側膨張部53に膨張厚みが生ずる。
一方、縦結合部52によりエアバッグ本体41(本体布部43,44)に結合された区画部50は、上流側膨張部53が展開及び膨張する際に車幅方向の両側に引っ張られる。区画部50は緊張状態となって、本体長によって決定される上流側膨張部53の膨張厚みを規制しようとする。
図11(a)に示すように、調圧弁65の両弁体部66,67に対しては、その重なり方向(厚み方向)から内圧PIが加わる。この内圧PIは、上流側膨張部53による乗員Pの拘束時の内圧ほど高くない。両弁体部66,67は、この内圧PIにより面全体で互いに密着し、両弁体部66,67間での膨張用ガスの流通を規制する自己シール状態となる。さらに、折り曲げられて下側の非重ね合わせ部62に重ねられた重ね合わせ部61が、内圧によりその非重ね合わせ部62に押付けられ(図10参照)、両弁体部66,67が一層閉じられやすくなる。
ここで、区画部50が、車幅方向よりも上下方向に長く形成されている(図12参照)ことから、区画部50では、車幅方向に対し、上下方向に対するよりも強いテンションがかかりやすい。連通部64は、この強いテンションのかかりやすい車幅方向に延びているため、閉じられやすい。
さらに、上流側膨張部53が展開及び膨張したときには、区画部50の非重ね合わせ部62に対するだけでなく、重ね合わせ部61に対しても車幅方向に強いテンションがかかる。これは、重ね合わせ部61の車幅方向の両端部が本体布部43,44に結合されているからである。
両弁体部66,67が、それらの少なくとも一部において互いに接触すると、調圧弁65が実質的に閉弁した状態となる。上流側膨張部53内の膨張用ガスは、両弁体部66,67間及び連通部64を通って下流側膨張部54へ流出することを規制される。この規制により、上流側膨張部53に膨張用ガスが溜まり、専ら上流側膨張部53の内圧が上昇する。
上記内圧の上昇により、上流側膨張部53が折り状態を解消(展開)しながら膨張していく。シートバック14のシートパッド16が主として上流側膨張部53によって押圧され、破断予定部21(図4参照)において破断される。上流側膨張部53は、一部を収納部18に残した状態で、下流側膨張部54を伴って、破断された箇所を通じてシートバック14から前方へ飛び出す(図9参照)。
その後も膨張用ガスの供給される上流側膨張部53は、乗員Pの上半身の後半部であって、肩部PSから腰部PPの上部にかけての領域とボディサイド部11との間で展開及び膨張する。このときには、下流側膨張部54は未だ膨張してないか、膨張していたとしても僅かであり、その内圧は低い。
ここで、図3に示すように、乗員Pの胸部PTとボディサイド部11との間隔GTは、肩部PSとボディサイド部11との間隔GSや、腹部PBとボディサイド部11との間隔GBよりも広い。これは、1つには、肩部PSが、胸部PTや腹部PBよりもボディサイド部11側(車外側)へ多く飛び出しているからである。また、ボディサイド部11の内壁において乗員Pの腹部PBと同程度の高さとなる箇所からは、アームレストARが車室内に向けて突出しているからである。
一方で、図13(a)〜(c)に示すように、上流側膨張部53のうち、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTTは、肩部PSや腹部PBを保護する部位での膨張厚みTS,TBよりも大きい。そのため、胸部PTを保護する部位は、同胸部PTとボディサイド部11との間で展開及び膨張し、両者の間隔GTに適した荷重で胸部PTを車内側へ押圧し、拘束する。
また、上流側膨張部53のうち、腹部PBを保護する部位は、上記胸部PTとボディサイド部11との間隙よりも狭い、腹部PBとボディサイド部11(アームレストAR)との間で展開及び膨張し、両者の間隔GBに適した荷重で腹部PBを車内側へ押圧し、拘束する。
さらに、一般に、上流側膨張部53のうち、肩部PSを保護する部位は、腹部PBを保護する部位よりもインフレータ31下部のガス噴出部から遠い。上流側膨張部53のうち、肩部PSを保護する部位へは、腹部PBを保護する部位よりも遅く膨張用ガスが供給される。一方で、衝撃によりボディサイド部11が車内側へ入り込むため、同ボディサイド部11と乗員Pの上半身との間隔は、時間の経過とともに狭くなる。衝撃が加わる前のボディサイド部11との間隔GS,GBが、肩部PSと腹部PBとで同程度であっても、肩部PSを保護する部位が展開及び膨張を開始するときの同肩部PSとボディサイド部11との間隔GSは、腹部PBを保護する部位が展開及び膨張を開始するときの同腹部PBとボディサイド部11(アームレストAR)との間隔GBよりも狭い。従って、肩部PSを保護する部位が、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTBと同程度の膨張厚みTSで膨張すると、肩部PSを必要以上の荷重で押圧することとなる。
しかし、上流側膨張部53のうち、肩部PSを保護する部位は、腹部PBを保護する部位よりも小さな膨張厚みTSで膨張する。そのため、肩部PSを保護する部位は、腹部PBとボディサイド部11との間隔GBよりも狭い、肩部PSとボディサイド部11との間で展開及び膨張し、両者の間隔GSに適した荷重で肩部PSを車内側へ押圧し、拘束する。
ボディサイド部11がさらに車内側へ進入することで、上流側膨張部53により、乗員Pの上半身の後半部がさらに車内側へ押圧され、上半身が車内側へ移動させられて拘束され、衝撃から保護される。また、車内側への上記移動により、乗員Pの上半身とボディサイド部11との間隔が拡げられ、下流側膨張部54の展開及び膨張のための空間が確保される。
ここで、両弁体部66,67がそれらの面全体で密着した(実質的に閉じられた)状態で、上流側膨張部53内に膨張用ガスが供給され続ける一方、ボディサイド部11から加わる外力により、調圧弁65が開弁し始める。
すなわち、上流側膨張部53への膨張用ガスの供給期間の途中からは、乗員Pの拘束に伴う外力が加わって同上流側膨張部53が変形する。これに伴い、区画部50に対し車幅方向に強くかかっていたテンションが減少する。
また、上流側膨張部53の上記変形に伴い同上流側膨張部53の内圧PIがさらに上昇して、区画部50が下流側膨張部54側へ押圧されて(図11(b)参照)、同区画部50にかかるテンションが変化する。そして、上記テンションの変化により、車幅方向及び上下方向のテンションの差が小さくなる。区画部50における連通部64の変形が許容され、同区画部50における弁体部66,67の作動が許容されるようになる。
一方、重ね合わせ部61が下側の非重ね合わせ部62に重ねられ、車幅方向の両端部において、両縦結合部52によって本体布部43,44に結合されていることから、重ね合わせ部61において縦結合部52に近い部分では、重ね合わされた状態を維持しようとする力が強い。しかし、この力は、縦結合部52から遠ざかるに従い小さくなり、車幅方向の中央部分において最小となる。そのため、上下方向へ引っ張られた重ね合わせ部61は、連通部64、弁体部66,67及びそれらの近傍部分においてのみ同方向へ変形する。
連通部64が上下方向へある程度開くと、重ね合わせ部61では、図11(b)に示すように、上流側膨張部53の高い内圧PIを受けた両弁体部66,67においてのみ、連通部64を通って下流側膨張部54へ押し出される(反転される)。この連通部64の上下方向の幅Wが狭いときには、弁体部66,67の先端部66t,67t同士が接触し合い、調圧弁65が閉じ続ける。
そして、連通部64の幅Wの増大により、図11(c)に示すように、先端部66t,67tが離れ、調圧弁65が開弁した状態になると、上記流通規制が解除される。上流側膨張部53内の膨張用ガスは、連通部64と両弁体部66,67間とを順に通って下流側膨張部54へ流出することを許容される。ただし、膨張用ガスは、連通部64及び調圧弁65を通過する際に流路面積を絞られ、下流側膨張部54へ流入することを少なからず規制される。
上記膨張用ガスの流出により、上流側膨張部53の内圧が上昇から低下に転ずる。ただし、ボディサイド部11は車内側へ依然として進入し続けていて、膨張部46が上流側膨張部53において乗員Pに押付けられる。
また、膨張用ガスの流入により下流側膨張部54が膨張を開始するとともに、同下流側膨張部54の内圧が上昇し始める。下流側膨張部54が折り状態を解消(展開)し、上流側膨張部53と一緒になって曲面状に膨張しようとする。
このときには、下流側膨張部54は、上流側膨張部53よりも低い内圧で、上半身の前半部の側方で展開及び膨張する。この際、上述したように、ボディサイド部11と乗員Pの上半身との間隔が、上流側膨張部53によって拡げられていて、下流側膨張部54の展開及び膨張のための空間が確保されていることから、下流側膨張部54は、こうした間隔の拡大が行なわれない場合よりも、前方へ向けて展開及び膨張しやすい。
そして、下流側膨張部54の内圧の上昇開始から少し遅れて、車内側へ進入するボディサイド部11により、上流側膨張部53に加え、下流側膨張部54が乗員Pの上半身の前半部に接触し押し付けられ始める。同上半身が上流側膨張部53に加え、下流側膨張部54によって拘束され始める。
このように、上流側膨張部53及び下流側膨張部54がそれぞれ展開及び膨張したエアバッグ本体41が、乗員Pの上半身と、車内側へ進入してくるボディサイド部11との間に介在する。このエアバッグ本体41によって上半身が車内側へ押圧されて拘束される。そして、ボディサイド部11を通じて上半身に伝わる側方からの衝撃が、エアバッグ本体41によって緩和されて、同上半身が保護される。
なお、下流側膨張部54が展開及び膨張したときには、排気孔75が前方を指向する。そのため、下流側膨張部54内の余剰の膨張用ガスは、排気孔75を通じて前方へ向けて排出される。この排出により下流側膨張部54の内圧が低下し、乗員Pの上半身の前半部が下流側膨張部54によって適切な荷重で押圧されて拘束される。
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)上流側膨張部53の膨張厚みを、乗員Pの胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTB、及び肩部PSを保護する部位での膨張厚みTSの順に小さくなるように設定している(図13(a)〜(c))。
そのため、胸部PTとボディサイド部11との間隔GTは、肩部PSとボディサイド部11との間隔GSよりも、また腹部PBとボディサイド部11との間隔GBよりも広い(図3)。しかし、上流側膨張部53のうち、胸部PTを保護する部位を、同胸部PTとボディサイド部11との間において、肩部PSや腹部PBを保護する部位よりも大きな膨張厚みTTで展開及び膨張させることができる。胸部PTを、その胸部PTとボディサイド部11との間隔GTに適した荷重で拘束することができる。
また、腹部PBとボディサイド部11との間隔GBは、胸部PTとボディサイド部11との間隔GTよりも狭い(図3)。しかし、上流側膨張部53のうち、腹部PBを保護する部位を、同腹部PBとボディサイド部11との間において、胸部PTを保護する部位よりも小さな膨張厚みTBで展開及び膨張させることができる。腹部PBを、その腹部PBとボディサイド部11との間隔GBに適した荷重で拘束することができる。
また、肩部PSを保護する部位が、同肩部PSとボディサイド部11との間で展開及び膨張を開始するときの両者の間隔GSは、腹部PBを保護する部位が、同腹部PBとボディサイド部11との間で展開及び膨張を開始するときの両者の間隔GBよりも小さくなる。しかし、上流側膨張部53のうち、肩部PSを保護する部位を、同肩部PSとボディサイド部11との間において、腹部PBを保護する部位よりも小さな膨張厚みTSで膨張させることができる。肩部PSを、その肩部PSとボディサイド部11との間隔GSに適した荷重で拘束することができる。
このように、上流側膨張部53が展開及び膨張したときに乗員Pの上半身の各部(肩部PS、胸部PT、腹部PB)を適切な荷重で拘束することができる。
(2)区画部50を一対の縦結合部52によってエアバッグ本体41(本体布部43,44)に結合してなるエアバッグ40にあって、区画部長C1S,C1T,C1B及び本体長C2S,C2T,C2Bの組合わせを、上流側膨張部53の3つの部位の間で異なるように適切に設定している(図13(a)〜(c))。
そのため、膨張厚みを、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTB、及び肩部PSを保護する部位での膨張厚みTSの順に小さくする(TT>TB>TS)ことができる。
(3)腹部PBを保護する部位での区画部長C1Bと、肩部PSを保護する部位での区画部長C1Sとを近似する値に設定する。また、胸部PTを保護する部位での区画部長C1Tを上記両区画部長C1B,C1Sよりも長く設定する。
また、本体長を、腹部PBを保護する部位での本体長C2B、胸部PTを保護する部位での本体長C2T、及び肩部PSを保護する部位での本体長C2Sの順に短くなる(C2B>C2T>C2S)ように設定している(図13(a),(b),(c))。
本体長C2S,C2T,C2Bの上記設定により、区画部50が設けられていないとした場合の膨張厚みを、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTB、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、及び肩部PSを保護する部位での膨張厚みTSの順に小さくすることができる。
また、区画部長C1S,C1T,C1Bの上記設定により、区画部50が上流側膨張部53の膨張厚みを規制する度合いを、腹部PBを保護する部位、及び肩部PSを保護する部位で同程度に大きくし、胸部PTを保護する部位で最小にすることができる。
そして、区画部50の上記厚み規制によって、本体長によって決まる膨張厚みTS,TT,TBに影響を及ぼすことで、上流側膨張部53の膨張厚みを、胸部PTを保護する部位での膨張厚みTT、腹部PBを保護する部位での膨張厚みTB、及び肩部PSを保護する部位での膨張厚みTSの順に小さくすることができる。
(4)各縦結合部52の中間部52iを上下方向に沿って延びる直線状に形成し、各縦結合部52の上部52u及び下部52lをそれぞれ前方に膨らむ湾曲状に形成している(図12)。
そのため、区画部長C1S,C1T,C1Bに関する上記(3)の条件を満たすことができる。
(5)エアバッグ本体41が非膨張展開状態にされたとき、そのエアバッグ本体41の後縁部が上下方向に沿って直線状に延びるエアバッグ40にあって、区画部50を、下側ほど上記後縁部から前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置している(図8(a))。
そのため、本体長C2S,C2T,C2Bに関する上記(3)の条件を満たすことができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<膨張部46について>
・エアバッグ本体41は、その略全体が上記実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・エアバッグ本体41は、乗員Pの上半身の少なくとも肩部PSから腹部PBにかけての領域とボディサイド部11との間で展開及び膨張するものであることを条件に、その形状及び大きさが変更されてもよい。例えば、エアバッグ本体41の下端部の上下位置が腰部PPの上部の側方から腹部PBの側方に変更されてもよい。
<区画部50について>
・上記実施形態において、区画部50の車幅方向における一対の側縁部は、本体布部43,44に対し、ともに上流側膨張部53内で結合されてもよいし、下流側膨張部54内で結合されてもよい。
また、一方の側縁部が本体布部43,44に対し上流側膨張部53内で結合され、他方の側縁部が下流側膨張部54内で結合されてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部66,67として機能するのは、車幅方向について連通部64に対応する部分である。そのため、上流側膨張部53の展開及び膨張時に、両弁体部66,67の少なくとも一部(例えば、先端部66t,67t)が接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、連通部64に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において連通部64に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において連通部64に対応する部分だけ両弁体部66,67として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えば、ばたつく現象を抑制することができる。そのほかにも、重ね合わせ部61において連通部64に対応しない箇所の少なくとも一部に切欠きが入れられてもよい。
・両弁体部66,67が、連通部64を有する区画部50とは異なる部材によって構成されてもよい。
・連通部64は、横結合部63において、折り線51から同折り線51に直交する方向へ外れた箇所に設けられてもよい。また、連通部64は、横結合部63の複数箇所に設けられてもよい。これらの場合にも、上記各実施形態と同様に、各連通部64の周りに弁体部66,67が設けられる。
・両弁体部66,67を含む一対の重ね合わせ部61は、膨張部46が展開及び膨張する前に上流側膨張部53に代えて、下流側膨張部54に配置されてもよい。
・二つ折り状態の区画部50は、折り線51を両縦結合部52よりも下流側膨張部54側に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部46に配設されてもよい。この場合、両弁体部66,67を含む重ね合わせ部61は、膨張部46が展開及び膨張する前に下流側膨張部54に配置されてもよい。
<整流布70について>
・整流布70の形状は、インフレータ31のガス噴出部から噴出される膨張用ガスを上方よりも下方へ多く供給されるように整流するものであることを条件に、変更可能である。例えば、整流布70は、インフレータ31の全体を取り囲むものであってもよい。
<ガス流れ規制部について>
・図14に示すように、ガス流れ規制部として、上記連通部64及び調圧弁65に代えて、区画部50に開口部81が設けられてもよい。この場合、区画部50は、単一の布片によって構成されてもよいし、上記実施形態と同様に複数の布片によって構成されてもよい。開口部81は、上流側膨張部53及び下流側膨張部54を連通させる孔によって構成され、上流側膨張部53から下流側膨張部54への膨張用ガスの流通を許容するものであってもよい。この場合であっても、膨張用ガスは開口部81を通る際に抵抗を受け、下流側膨張部54へ流入することを規制される。
開口部81は、区画部50において、胸部PTの側方となる部位と、腹部PBの側方となる部位とに設けられることが好ましい。この場合、上流側膨張部53によって胸部PT及び腹部PBを拘束することで、上流側膨張部53内の膨張用ガスを、各開口部81を通じて下流側膨張部54のうち、胸部PTの側方となる部位と、腹部PBの側方となる部位とに流入させることができる。
・連通部64及び調圧弁65として、上記実施形態で説明したものに代え、上流側膨張部53の内圧が所定値を越えることを条件とし、その条件が満たされるまでは閉じた状態又はそれに近い状態となり、同条件が満たされることにより開くものが用いられてもよい。図15(a),(b)はその一例を示している。この場合にも、上記図14と同様に、区画部50は、単一の布片によって構成されてもよいし、上記実施形態と同様に複数の布片によって構成されてもよい。
この変形例では、上記実施形態の区画部50において連通部64の設けられた箇所に、その連通部64に代えて、上流側膨張部53及び下流側膨張部54を連通させる孔82があけられ、この孔82によって連通部が構成される。
また、上流側膨張部53又は下流側膨張部54(図15(a),(b)では上流側膨張部53)であって、上記孔82を塞ぐ位置に、蓋シート83が調圧弁として配置される。蓋シート83は、孔82を取り囲むように設けられた環状の結合部84によって区画部50に結合される。結合部84は、縫糸を用いた縫合、接着剤を用いた接着等によって形成される。ただし、この結合部84としては、上流側膨張部53の内圧が所定値を越えることをもって、少なくとも一部が破断されるものが用いられる。
このようにすると、上流側膨張部53の内圧が所定値以下である場合には、その内圧が蓋シート83を通じて結合部84に加わるが、その結合部84は破断されず、蓋シート83を孔82の周りで区画部50に結合し続ける。
接着剤を孔82の周りで区画部50に対し連続して環状に塗布することによって結合部84を形成した場合には、孔82が蓋シート83によって塞がれた状態、すなわち、孔82及び蓋シート83がともに閉じられた状態になる。
これに対し、縫合によって結合部84を形成した場合には、蓋シート83が区画部50に対し縫糸によって断続的に結合されることから、縫い目からは若干の膨張用ガスが漏れ得る。そのため、孔82及び蓋シート83は、ともに実質的に閉じられた状態になる。
また、上記内圧が所定値を越えて、蓋シート83を通じて結合部84に大きな力が加わると、その結合部84の少なくとも一部が破断される。この破断により、孔82が蓋シート83によって塞がれない状態、すなわち、孔82及び蓋シート83がともに開かれた状態になる。膨張用ガスは、この破断された箇所を通じて孔82及び蓋シート83を通過することが可能となる。
<エアバッグモジュールABMの収納部18について>
・車両用シート12のシートバック14に代えてボディサイド部11に収納部18が設けられ、ここにエアバッグモジュールABMが組み込まれてもよい。
<その他>
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
・上記サイドエアバッグ装置は、車両以外の乗物、例えば航空機、船舶等に装備されて、乗物用シートに着座している乗員を衝撃から保護するサイドエアバッグ装置にも適用可能である。
10…車両(乗物)、11…ボディサイド部、12…車両用シート(乗物用シート)、41…エアバッグ本体、50…区画部、52,71…縦結合部、52i…中間部、52l…下部、52u…上部、53…上流側膨張部、54…下流側膨張部、64…連通部(ガス流れ規制部)、65…調圧弁(ガス流れ規制部)、81…開口部(ガス流れ規制部)、82…孔(ガス流れ規制部)、83…蓋シート(ガス流れ規制部)、AR…アームレスト、C1B,C1S,C1T…区画部長、C2B,C2S,C2T…本体長、P…乗員、PB…腹部、PS…肩部、PT…胸部、TB,TS,TT…膨張厚み。

Claims (2)

  1. 側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、
    前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも肩部から腹部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、
    前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、
    展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、
    前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、
    前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、
    前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されており、
    前記区画部長は、前記腹部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位で近似し、かつ前記胸部を保護する部位で最長となるように設定され、
    前記本体長は、前記腹部を保護する部位、前記胸部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位の順に短くなるように設定されており、
    前記区画部長についての長短関係の設定は、各縦結合部の中間部が上下方向に沿って延びる直線状に形成され、各縦結合部の上部及び下部がそれぞれ前方に膨らむ湾曲状に形成されることによりなされているサイドエアバッグ装置。
  2. 側部がボディサイド部により構成され、かつ前記ボディサイド部には、室内に向けて突出するアームレストが設けられた乗物に適用されるものであり、
    前記ボディサイド部に対し側方から加わる衝撃に応じて供給される膨張用ガスにより、乗物用シートに着座している乗員の上半身の少なくとも肩部から腹部にかけての領域と前記ボディサイド部との間で展開及び膨張するエアバッグ本体を備え、
    前記エアバッグ本体内は、同エアバッグ本体の上端部から下端部まで延び、かつガス流れ規制部を有する区画部により、同区画部よりも後側に位置して膨張用ガスが供給される上流側膨張部と、前記区画部よりも前側に位置して、前記上流側膨張部及び前記ガス流れ規制部を経た膨張用ガスが供給される下流側膨張部とに区画され、
    展開及び膨張した前記上流側膨張部の前記乗物用シートの幅方向の寸法を膨張厚みとした場合、前記膨張厚みが、前記上流側膨張部のうち、乗員の胸部を保護する部位、腹部を保護する部位、及び肩部を保護する部位の順に小さくなるように設定されており、
    前記区画部は、前記乗物用シートの幅方向における一対の側縁部に沿って延びる縦結合部により前記エアバッグ本体に結合されており、
    前記上流側膨張部の平断面における周長のうち、前記区画部によるものを区画部長とし、前記エアバッグ本体によるものを本体長とした場合、
    前記区画部長及び前記本体長の組合わせが、前記上流側膨張部の3つの前記部位の間で異なるように設定されることにより、前記膨張厚みについての大小関係が設定されており、
    前記区画部長は、前記腹部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位で近似し、かつ前記胸部を保護する部位で最長となるように設定され、
    前記本体長は、前記腹部を保護する部位、前記胸部を保護する部位、及び前記肩部を保護する部位の順に短くなるように設定されており、
    前記エアバッグ本体が膨張用ガスを充填されることなく平面状に展開させられた状態では、同エアバッグ本体の後縁部が上下方向に沿って直線状に延びており、
    前記本体長についての長短関係の設定は、前記区画部が、下側ほど前記エアバッグ本体の後縁部から前方へ大きく遠ざかるように傾斜した状態で配置されることによりなされているサイドエアバッグ装置。
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