JP6090055B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エアバッグ本体の展開及び膨張に際し、乗物の側壁部に加わる力を充分に低減させることのできるサイドエアバッグ装置を提供することにある。
また、乗物に側方から衝撃が加わってインフレータから膨張用ガスが噴出された場合、その膨張用ガスは最初に後膨張室に供給され、同後膨張室が展開及び膨張を開始する。後膨張室内の膨張用ガスの一部は、縦区画部の連通部を経て前膨張室に供給される。この膨張用ガスにより、前膨張室が後膨張室に遅れて、展開及び膨張を開始する。
このように、インフレータからの膨張用ガスの供給期間の初期には、後膨張室の内圧が前膨張室の内圧よりも高くなる。従って、内圧が高くなる箇所である、後膨張室の一部が副被折り返し部として折り返されることで、後膨張室の展開及び膨張の速度が効果的に低下させられる。
上記の構成によれば、主被折り返し部の後部は、同主被折り返し部のうちでもエアバッグ本体の後部に配置されたインフレータに近い箇所に位置している。このことから、主被折り返し部の後部では内圧が高くなる。このように内圧が高くなる箇所である、主被折り返し部の後部によって副被折り返し部が構成されて折り返されることで、同後部の展開及び膨張の速度が効果的に低下させられる。
なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方と記載し、それを基準に前、後、上、下、左、右を規定している。また、各図において、「前」は車両前側を、「後」は車両後側を、「内」は車両内側を、「外」は車両外側をそれぞれ示している。車両内側は、車幅方向について、その中央位置に近づく側であり、車両外側は上記中央位置から遠ざかる側である。
図1〜図3に示すように、車両10において側壁部11の車内側の近傍には、乗物用シートとして車両用シート12が配置されている。ここで、側壁部11とは、車両10の側部に配置された車両構成部材を指し、主としてドア、ピラー等がこれに該当する。例えば、前席に対応する側壁部11は、フロントドア、センターピラー(Bピラー)等である。また、後席に対応する側壁部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。側壁部11には、車両用シート12側へ突出するアームレスト11aが設けられている。
シートバック14の内部には、その骨格をなすシートフレームが配置されている。シートフレームの一部は、図4に示すように、シートバック14内の車外側部分に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部17」という)は、金属板を曲げ加工することによって形成されている。サイドフレーム部17を含むシートフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるシートパッド18が配置されている。また、シートフレームの後側には、合成樹脂等によって形成された硬質のバックボード19が配置されている。なお、シートパッド18は表皮によって被覆されているが、図4ではその表皮の図示が省略されている。後述する図13についても同様である。
<インフレータアセンブリ30>
図4及び図5に示すように、インフレータアセンブリ30は、ガス発生器としてのインフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えている。本実施形態では、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略上下方向に延びる略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その上端部にガス噴出部(図示略)を有している。また、インフレータ31の下端部には、そのインフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネス(図示略)が接続されている。
なお、インフレータアセンブリ30は、インフレータ31とリテーナ32とが一体になったものであってもよい。
<エアバッグ本体41>
図5は、エアバッグ本体41が膨張用ガスを充填させることなく平面状に展開させられた状態(以下「非膨張展開状態」という)のエアバッグモジュールAMを示している。また、図7(a)は、車外側の本体布部44の一部を破断することで、図5のエアバッグモジュールAMの内部構造を乗員Pとともに示している。
<縦区画部51>
図6は、図5の6−6線に沿った断面構造を示している。この図6では、各部材が厚みを省略して描かれるとともに、各内結合部63がジグザグ状に描かれている。図6及び図7(a)に示すように、エアバッグ本体41が非膨張展開状態となっているときには、縦区画部51は、両本体布部43,44間において、略上下方向に延びる折り線52に沿って前方へ二つ折りされている。二つ折り状態の縦区画部51の上端部及び下端部は、上述した周縁結合部45によって両本体布部43,44に対し、共縫いにより結合されている。
そして、インフレータアセンブリ30は略上下方向へ延びる姿勢にされている。インフレータアセンブリ30の上部は、上記特定端部41s側から挿入口47を通じてエアバッグ本体41内に挿入されている。リテーナ32のボルト34が、本体布部43に挿通されることにより、インフレータアセンブリ30がエアバッグ本体41に対し位置決めされた状態で係止されている。
また、主被折り返し部75の一部には、副被折り返し部81と、主被折り返し部75の残部82との境界部83を通る折り線84が設定される。副被折り返し部81は、次の条件を満たしている。
条件4:後膨張部48に位置すること。
続いて、図9(a)に示すように、上記中間形態のエアバッグ本体41の複数箇所に、折り線42に対しそれぞれ平行に折り線85が設定される。そして、エアバッグ本体41が、図9(c)に示すように、各折り線85に沿って同一方向に繰り返し折り畳むロール折りにより、前側から後側へ向けて折り畳まれる。この折り畳みにより、エアバッグ本体41は、図10(a),(b)に示すように前後方向の寸法の小さな形態になる。
図15(a)〜(c)は、調圧弁70及び縦区画部51の形態が、膨張用ガスの供給開始後、時間とともに変化する様子を模式的に示したものであり、細部については省略・簡略化されている。
側壁部11がさらに車内側へ進入することで、乗員Pの胸部PTの後半部が後膨張室48によって車内側へ押圧され始める。両弁体部71,72がそれらの面全体で密着した(閉じられた)状態で、後膨張室48内に膨張用ガスが供給され続ける一方、側壁部11から加わる外力により、調圧弁70が開弁し始める。
(1)エアバッグ本体41の下部によって主被折り返し部75を構成し、その主被折り返し部75の一部によって副被折り返し部81を構成する。主被折り返し部75をエアバッグ本体41の残部76側へ折り返す。副被折り返し部81を主被折り返し部75の残部82側へ折り返す。このような主被折り返し部75の折り返しと、副被折り返し部81の折り返しとを少なくとも行なうことにより、非膨張展開状態のエアバッグ本体41を収納用形態にしている(図8(a),(b)、図9(a),(b))。
このように、インフレータ31に近い箇所であって、主被折り返し部75のうちでも内圧が高くなる箇所である後部によって副被折り返し部81を構成することで、同後部の展開及び膨張の速度を効果的に低下させることができる。その結果、エアバッグ本体41の下部の展開及び膨張に伴い、アームレスト11aに大きな力が加わるのを効果的に抑制することができる。
そのため、後膨張室48による乗員Pの拘束前に前膨張室49の内圧よりも高くなる同後膨張室48の一部を副被折り返し部81として折り返すことで、内圧の高い後膨張室48の後下部の展開及び膨張の速度を効果的に低下させることができ、アームレスト11aに大きな力が加わるのを効果的に抑制することができる。
<インフレータアセンブリ30について>
・インフレータアセンブリ30の全部が後膨張室48の内部に配置されもよい。
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張部46からなるものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
例えば、後膨張室48が胸部PTの前半部分の側方で展開及び膨張され、前膨張室49が胸部PTよりも前側の空間の側方で展開及び膨張されてもよい。この場合、前膨張室49には、後膨張室48から流出される膨張用ガスを受け入れて、同後膨張室48の内圧を調整する機能を発揮させてもよい。
・主被折り返し部75は、エアバッグ本体41の上部によって構成され、エアバッグ本体41の残部側へ折り返されてもよい。
また、エアバッグ本体41の後部の上端部及び下端部のうち、主被折り返し部75の設けられた側の端部である上端部が特定端部とされる。エアバッグ本体41の後部であって、特定端部(上端部)と、エアバッグ本体41の上下方向についての中央部との間に挿入口が形成される。
ただし、上記後端77rが挿入口47から特定端部41s側へ離れるほど、主被折り返し部75の容量が少なくなる。
ただし、このように変更された場合には、主被折り返し部75の容量が、上記境界部77が前側ほどエアバッグ本体41の上下方向についての中央部に近づくように傾斜している場合よりも少なくなる。
・主被折り返し部75及び副被折り返し部81は、この順で折り返されてもよいし、逆の順で折り返されてもよい。
<縦区画部51、連通部69及び調圧弁70について>
・縦区画部51の両周縁部は、本体布部43,44に対し、後膨張室48内で結合されてもよいし、前膨張室49内で結合されてもよい。
・重ね合わせ部61において、両弁体部71,72として機能するのは、連通部69に対応する部分(連通部69の近傍部分、より正確には、連通部69と端縁58e,59eとの間の部分)である。そのため、後膨張室48の展開及び膨張時に、両弁体部71,72の少なくとも先端部71t,72tが接触して閉じられるのであれば、重ね合わせ部61において、連通部69に対応しない部分(非近傍部分)の形態が変更されてもよい。例えば、重ね合わせ部61において連通部69に対応しない部分(非近傍部分)については、部分的又は全体的に結合されてもよい。この結合の手段としては、縫合であってもよいし、接着であってもよい。このように変更されることで、重ね合わせ部61において連通部69に対応する部分だけ両弁体部71,72として作動させ、対応しない部分が不要に動く現象、例えば、ばたつく現象を抑制することができる。
・縦区画部51と両弁体部71,72とは、互いに異なる部材によって構成されてもよい。
・二つ折り状態の縦区画部51は、折り線52を周縁部(外結合部53)よりも下流側(前膨張室49側)に位置させた状態で非膨張展開状態の膨張部46に配設されてもよい。この場合、両弁体部71,72を含む重ね合わせ部61が、膨張部46の展開及び膨張前に前膨張室49に配置されてもよい。
<エアバッグモジュールAMの収納部21について>
・車両用シート12のシートバック14に代えて、側壁部11において乗員Pの外側近傍となる箇所に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールAMが組み込まれてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
Claims (6)
- 乗物の側方からの衝撃に応じて膨張用ガスを噴出するインフレータと、
前記インフレータを自身の後部に内包し、折り畳まれることにより収納用形態にされて、乗物用シートに着座した乗員の外側方近傍に収納されるエアバッグ本体と
を備え、前記インフレータからの膨張用ガスにより前記エアバッグ本体が、前記乗物の側壁部及び前記乗物用シートの間で前方へ向けて展開及び膨張させられるサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグ本体の下部及び上部の一方により主被折り返し部が構成され、前記主被折り返し部の一部により副被折り返し部が構成され、
非膨張展開状態の前記エアバッグ本体は、前記主被折り返し部を前記エアバッグ本体の残部側へ折り返すとともに、前記副被折り返し部を前記主被折り返し部の残部側へ折り返すことが少なくとも行なわれることにより前記収納用形態にされており、
前記エアバッグ本体の内部は、連通部の設けられた縦区画部により、同縦区画部よりも後側に位置し、かつ前記インフレータからの膨張用ガスが供給される後膨張室と、前記縦区画部よりも前側に位置し、かつ前記後膨張室から前記連通部を経て膨張用ガスが供給される前膨張室とに区画されており、
前記副被折り返し部は、前記後膨張室の一部のみにより構成されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置。 - 前記副被折り返し部は、前記主被折り返し部の後部により構成されている請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグ本体の後部の上端部及び下端部のうち、前記主被折り返し部の設けられた側の端部を特定端部とした場合、前記主被折り返し部と前記エアバッグ本体の前記残部との境界部の後端は、前記特定端部よりも、前記エアバッグ本体の上下方向についての中央部に近づく箇所に設定されている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記エアバッグ本体の後部の上端部及び下端部のうち、前記主被折り返し部の設けられた側の端部を特定端部とした場合、前記エアバッグ本体の後部であって、前記特定端部と前記エアバッグ本体の上下方向についての中央部との間には前記インフレータの挿入口が形成されており、
前記インフレータは長尺状をなし、同インフレータの一部が、前記特定端部側から前記挿入口を通じて前記エアバッグ本体内に挿入されており、
前記主被折り返し部と前記エアバッグ本体の前記残部との境界部の後端は、前記特定端部と前記挿入口との間に設定されている請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記主被折り返し部と前記エアバッグ本体の前記残部との境界部は、前側ほど前記エアバッグ本体の上下方向についての中央部に近づくように傾斜している請求項1〜4のいずれか1つに記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記縦区画部には、前記後膨張室が膨張して乗員を拘束する前には閉弁して、同後膨張室の膨張用ガスが前記連通部を通じて前記前膨張室へ流出するのを規制し、前記後膨張室が乗員を拘束するときには、その拘束に伴い加わる外力による前記縦区画部の緊張状態の変化に応じて開弁して前記規制を解除する調圧弁が設けられている請求項1〜5のいずれか1つに記載のサイドエアバッグ装置。
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