JP6280594B2 - 核酸の標準化された配列決定のための方法およびその使用 - Google Patents

核酸の標準化された配列決定のための方法およびその使用 Download PDF

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Description

関連出願への相互参照
[0001] この出願は2012年11月26日に出願された米国仮出願一連番号61/729,853、2012年11月27日に出願された米国仮出願一連番号61/730,463、および2013年3月14日に出願された米国仮出願一連番号61/784,394の利益を主張し、その全開示は参照により明確に本明細書に援用される。
連邦政府により資金提供を受けた研究に関する記載
[0002] 本発明は国立衛生研究所により与えられた助成金番号CA138397およびHL108016の下での米国政府支援によりなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
[0003] 本発明は、核酸の標準化された配列決定のための方法およびその使用に関する。
[0004] 遺伝情報の同定は多くの疾患の診断および処置のための情報の重要な部分になりつつある。そのような診断ツールをすぐに利用できるようにするため、この同定は可能な限り効率的かつ安価であることが望ましい。診断的、医学的、規制的および倫理的観点のため、この同定は誤った測定結果を除外するために可能な限り正確であるべきである。
[0005] ヒトの遺伝物質情報を獲得するという望みに加えて、例えばミトコンドリア、病原体および疾患を引き起こす生物に関する遺伝情報の獲得において大きな関心が存在する。
[0006] 情報を獲得するための1つの方法は、ゲノム分析のサンガー配列決定法である。サンガー配列決定法と比較した場合に向上した性能を提供する他の方法が利用可能になりつつある。これらの方法には、短距離高密度並列配列決定技術、次世代配列決定(すなわちNextGenまたは“NGS”)が含まれ、それは生物学的試料中のRNAのサン
ガー配列決定法よりも包括的かつ正確な視界(view)を提供することを試みている。
[0007] 次世代配列決定(NGS)は、その核酸鋳型の自動化され高度に並列化された分析により、多数の臨床適用において有用である。しかし、NGSが取り組むことができる臨床的疑問の限界は、概ね以下のことにより決定される:i)核酸鋳型の上流の源(例えばヒト組織、微生物試料等)、およびii)その核酸鋳型中の臨床的に関連のある生物学的変動が(しばしば試料調製、配列決定および/またはデータ分析に関する作業の流れのような変型(variants)により導入される)技術的変動より大きいかどうか。
[0008] NGSライブラリー調製に関する作業の流れは広く異なるが、大まかに2つのアプローチの1つに分類することができる:1)核酸試料を消化もしくは断片化し、続いてユニバーサルアダプター配列にライゲーションする、または2)それらの5‘末端にユニバーサルアダプター配列を組み込む標的特異的プライマーによるPCR。両方のアプローチにおいて、核酸鋳型がRNAである場合、逆転写工程を用いて配列決定のための必要なDNA鋳型を作製する。
[0009] NGSに関する1つの懸念は、これらの定量的配列決定法は高い実験室内および実験室間での変動を有することである。従って、この問題はあらゆる結果の価値を低減
し、これらの配列決定法の分子診断における使用を妨げてきた。
[0010] 例えば、非系統的(再現性のない)偏り(すなわち誤差)がしばしば配列決定ライブラリーの調製の間に意図せず(inadvertently)導入される。これらの非系統的偏りは、臨床設定におけるNGSの核酸存在量の信頼できる効率的なルーチン的測定(定量化)としての実施に対する主な障害である。
[0011] (そうして定量的NGSデータの実験室間での比較を、従ってルーチン的な臨床使用を妨げる)非系統的偏りの最も可能性の高い源は、核酸断片化、アダプターのライゲーションおよびPCRから生じる問題に起因する。
[0012] また、明示的には要求されていないが、FDAは、PCRに基づくインビトロ診断(IVD)装置は干渉物質に関して対照して試料に関する陰性の結果が阻害物質により引き起こされたものではないことを証明するための内部増幅対照(IAC)を含有するべきであるという指針および産業的推奨を発してきた。
[0013] 加えて、確率的標本誤差を避け、信頼できる測定を確実にするため、測定される分析物の十分なコピー数を配列決定する(すなわち読む)ことが必要である。1つの問題は、ライブラリー調製後の転写産物表現(representation)の範囲はしばしば非常に高いままであり(典型的には100万倍以上)、それが高い経費を課すことである。これは、それぞれの遺伝子からの転写産物を少なくとも10回配列決定しなければならない(10回の“読み”を確実にしなければならない)ためである。最も少なく表現される遺伝子に関する10回の読みを確実にするためには、100万倍高いレベルで表現されている遺伝子を少なくとも1000万回読む必要がある。
[0014] 従って、試料中の核酸コピー数の測定における実験間および実験室間での変動を低減するNGS法は、研究および臨床適用の両方に非常に有用であろう。
[0015] 試料中の核酸コピー数の測定において再現性を提供するための方法であって、試料中の少なくとも1種類の核酸の少なくとも1回の天然標的配列決定事象のその核酸に関するそれぞれの競合内部増幅対照(IAC)に対する比例関係を測定することを含む方法が本明細書で記載される。
[0016] その少なくとも1回の事象が以下:その天然標的とそのそれぞれのIACとの間の観察、計数および/または読みを含む方法も本明細書において記載される。
[0017] PCRに基づくNGSライブラリーの調製における非系統的誤差に関して対照するための方法であって、対象の天然核酸鋳型と同一のプライミング部位を、そのPCR反応におけるその天然標的の速度論を模倣し、そうしてPCR効率における標的特異的変動に関して対照するために共有することを含む方法も本明細書において記載される。
[0018] 試料中の標的分析物表現の収束を提供し、一方で低および高存在量標的の両方の元の表現の定量的情報を保持し、低い配列決定の読みの数を有する元の表現の定量的測定を可能にするための競合的IAC法の使用も本明細書において記載される。
[0019] 特定の態様において、以下の工程を含む、第1核酸の量を決定するための方法が本明細書において記載される:
前記の第1核酸に関する競合鋳型および前記の第1核酸を含む多くの試料中に存在する第2核酸に関する競合鋳型を含む一連の系列希釈した標準化された混合物を提供し、
ここで前記の競合鋳型は互いと比較して既知の濃度であり;前記の第1核酸を含む前記
の試料の1つを前記の系列希釈した標準化された混合物の1番目と組み合わせ;
前記の第1核酸および前記の第1核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその増幅産物を生成し;第1の関係を得て、
前記の第1の関係は前記の第1核酸の前記の増幅産物を前記の第1核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;前記の第1の関係が約1:10〜約10:1の範囲内であるかどうかを決定し;
そうではない場合、前記の組み合わせ、同時増幅、取得および決定工程を前記の系列希釈した標準化された混合物の2番目を用いて繰り返し;
前記の第2核酸および前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその増幅産物を生成し;
第2の関係を得て、前記の第2の関係は前記の第2核酸の前記の増幅産物を前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;そして
前記の第1および前記の第2の関係を比較する。
[0020] 1態様において、その方法には以下の工程が含まれる:前記の第1核酸の前記の増幅産物を前記の第1核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;
前記の第1の関係が約1:100〜約100:1、または約1:1000〜約1000:1、または約1:10,000〜約10,000:1の範囲内であるかどうかを決定し、
そうではない場合、前記の組み合わせ、同時増幅、取得および決定工程を前記の系列希釈した標準化された混合物の2番目を用いて繰り返し;
前記の第2核酸および前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその増幅産物を生成し;第2の関係を得て;
前記の第2の関係は前記の第2核酸の前記の増幅産物を前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;そして
前記の第1および前記の第2の関係を比較する。
[0021] さらに、特定の態様において、請求項2における一連の同時増幅反応からの産物を組み合わせ、第2ラウンドにおいて、第1ラウンドの増幅からのそれぞれのNTおよびCT産物を認識し、配列決定を容易にするために5‘末端において遺伝子特異的バーコードプライマーおよびユニバーサルプライマーも有するプライマー対を用いて増幅する。
[0022] 他の本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な記述を吟味すれば当業者には明らかであり、または明らかになるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点はこの記載の範囲内に含まれ、本発明の範囲内であり、そして添付の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
[0023] 本特許または出願書類は、1個以上のカラーで作成された図面および/または1個以上の写真を含んでいてよい。カラーの図面(単数または複数)および/または写真(単数または複数)を有するこの特許または特許出願刊行物のコピーは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁により提供されるであろう。
[0024] 図1:ICA混合物に関して用量設定したA549 gDNA。それぞれの多重PCR中への100,000コピーの一定量のゲノムDNA(gDNA)入力と比較しておおよそ等モルの競合内部増幅対照(IAC)の混合物の用量設定を示すグラフ。X軸上にプロットされているのは等モル混合物中のそれぞれのIACの最初に推定された量である。Y軸はそれぞれの天然鋳型に関する観察された配列決定事象(読み)の頻度をその天然鋳型およびそのそれぞれの競合IACに関する読み取り頻度の合計で割ったものを表わす。 [0025] 図2A〜2F:以下のものに関するおおよそ等モルの競合内部増幅対照(IAC)の混合物の用量設定を示すグラフ:図2A)多重PCR中への100,000コピーの一定入力量のゲノムDNA(gDNA)、またはそれぞれの多重PCR中へのSEQC試料からの11ngの逆転写されたRNAのcDNA物質:図2B)A−RT1、図2C)A−RT2、図2D)B、図2E)Cおよび図2F)Dの入力。X軸上にプロットされているのは等モル混合物中のそれぞれのIACの最初に推定された量である。Y軸は観察された配列決定事象(読み取り)の頻度をその天然鋳型およびそのそれぞれの競合IACに関する読み取り頻度の合計で割ったものを表わす。 同上 同上 同上 同上 同上 [0026] 図3:アッセイの正確性の分析を示すグラフ。SEQC試料C−RT1に関して測定された値を、測定されたSEQC試料AおよびBの値に基づいて予想された値に対して比較した(%差異)。予測されたシグナルC’および実際のアッセイシグナルCの間のパーセント差異を相対的アッセイ正確性(RA)の指標として用いた。標的遺伝子に関するRAスコアΔCをそれぞれ(C−C’/C’)として定義した。平均RA値(線)、中央値四分位数(箱)、標準偏差(ひげ)、および異常値が示されている。平均RA値は推定値に非常に近かった。特定のアッセイのみが平均からの差異が25%より大きいRAを有する。 [0027] 図4A:遺伝子間の差次的発現(DE);すなわち、それらのDEの変化が1.5〜3.0、2〜3、3〜5、5〜10倍であったか、または10倍より大きかったかに関して評価した試料SEQC A−RT1、B、Cの間で測定された遺伝子標的(n=88)を示すグラフ。偽陽性または陰性変化に関する対照は、SEQC A−RT1をSEQC A−RT2に対して比較することにより評価された。 [0028] 図4B:表1は試料AおよびBに基づく予想値に対して比較した試料Cにおける差次的発現に関する要約統計を示す。 [0029] 図5:逆転写間のアッセイ再現性を示すグラフ。SEQC試料Aの2回の逆転写(RT1対RT2)を、図1における性能基準をうまく通過した119種類の遺伝子標的の発現に関して測定した。 [0030] 図6:図3および図4におけるデータと同じデータを示すグラフ。試料Cにおける予想された測定値(x軸)対観察された測定値(y軸)。SEQC試料Cの逆転写を、図1における性能基準をうまく通過した119種類の遺伝子標的の発現に関して測定した。その119種類の遺伝子標的の内で、88種類はそれぞれの標的の等量点および濃度を決定するためのヒル方程式の曲線当てはめに関してR>0.95を有していた(y軸)(図2)。 [0031] 図7:図5からの97種類の遺伝子標的の収束および増大した均一性を示すグラフ。X軸上にプロットされているのは最高存在量の鋳型と比例する図5からのデータである。Y軸上にあるのは遺伝子標的が最高の配列鋳型と比例している配列決定の読みの実際の比率である。 [0032] 図8:Bullard et al. BMC Bioinformatics 2010, 11:94からのIlluminaプラットフォームを用いたRNA配列決定に関して3倍より大きい変化を検出するためのROC曲線を示すグラフ。 [0033] 図9:内部増幅対照(IAC)の混合物を含むPCRマスターミックスの略図を提供する。 [0034] 図10〜11:gDNAおよびSEQC cDNAに対する内部増幅対照の混合物の用量設定を示すグラフ。 [0034] 図10〜11:gDNAおよびSEQC cDNAに対する内部増幅対照の混合物の用量設定を示すグラフ。 [0035] 図12:同じライブラリー調製の複製の配列決定(サイト内)を示すグラフであり、ここでX軸=180万の配列決定の読みであり、Y軸=300万の配列決定の読みである。 [0036] 図13:配列決定された別個のライブラリー調製(サイト内)を示すグラフであり、ここでX軸=260万の配列決定の読みであり、Y軸=480万の配列決定の読みである。 [0037] 図14A〜14B:試料AおよびBの測定値(サイト内)に基づく試料CおよびDの測定値の予測を示すグラフ;ここでX軸=1520万の配列決定の読みであり、Y軸=490万の配列決定の読みである。 同上 [0038] 図15:測定値の実験室間比較(サイト間)、すなわち異なるサイトで配列決定された別個のライブラリー調製(サイト間)を示すグラフ;ここでX軸=260万の配列決定の読みであり、Y軸=40万の配列決定の読みである。 [0039] 図16A〜16B:図14−結果4に基づく差次的発現を判定する(Call)ための受信者曲線を示す、図13(結果4)に基づく変化の倍率を正確に検出するための受信者曲線を示すグラフ。 [0040] 図17:PCRに駆動されるライブラリー調製は天然標的濃度を収束させ、必要とされる読みの深度を低減することを示すグラフ。 同上 [0041] 図18A〜18B:標準化されたRNA配列決定(STARSEQ)の作業の流れおよびデータ分析。 同上 [0042] 図19A〜19C:STARSEQはシグナル圧縮なしで過剰標本抽出を低減する。 [0043] 図20A〜20B:STARSEQは必要とされる配列決定の読みを10,000倍に至るまで低減する。 [0044] 図21A〜21E:ERCC参照物質によるSTARSEQの性能。 同上 同上 同上 同上 [0045] 図22A〜22F:内在性cDNA標的によるSTARSEQの性能。 同上 同上 同上 同上 同上 [0046] 図23A〜23B:STARSEQのTaqMan qPCRおよびIllumina RNA配列決定とのクロスプラットフォーム比較。 同上 [0047] 図24:TaqManおよびSTARSEQ測定の間の差のプロット。 [0048] 図25:Illumina RNA配列決定およびSTARSEQ測定の間の差のプロット。 [0049] 図26:アッセイの性能。 [0050] 図27:STARSEQ“真陰性”対TaqManおよびRNA配列決定。 [0051] 図28:ERCCの測定値の標準偏差。
[0052] この開示全体を通して、様々な刊行物、特許および公開された特許明細書は同定する引用により参照される。これらの刊行物、特許および公開された特許明細書の開示は、この発明が属する技術分野の現状技術をより完全に記載するために、本開示中に参照により本明細書に援用される。
[0053] 核酸を評価するための方法、ならびにそのような組成物および方法を用いる適用および業務の方法が本明細書において記載される。本開示の一部の観点は、参照により明確に本明細書に援用されるWilley and Willey et al.米国特許第5,043,390号;第5,639,606号;第5,876,978号および第7,527,930号における向上に関する。
[0054] 核酸を評価するための方法
[0055] 試料中の核酸の量を評価するための方法が本明細書において記載される。一部の態様において、その方法は、例えば核酸が標本中で低い量で発現されている場合に、少量の核酸が完全なままである場合に、および/または少量の標本が提供される場合に、少量の核酸の測定を可能にする。
[0056] “標本”は、本明細書で用いられる際、分析のために収集された物質、例えば研究、診断または他の目的のためにあらゆる生物学的実体から採取された培養物のスワブ、組織のピンチ(pinch)、生検摘出物、体液、例えば唾液、血液および/または尿のバイアル等を指し得る。
[0057] 標本は生検、例えば内視鏡生検(ブラシおよび/または鉗子を用いる)、針吸引生検(微細針吸引生検が含まれる)において典型的に収集される量、ならびに選別された細胞集団(例えば流動選別された細胞集団)、および/または顕微解剖した物質(例えばレーザーキャプチャー顕微解剖した組織)において提供される量も指し得る。例えば、肺、***、前立腺、甲状腺、および膵臓における疑わしい癌性病変の生検は一般に微細針吸引(FNA)生検により行なわれ、骨髄も生検により得られ、脳、発生中の胚、および動物モデルの組織はレーザーキャプチャー顕微解剖した試料により得ることができる。
[0058] “生物学的実体”は、本明細書で用いられる際、あらゆる種、例えばウイルス、細胞、組織、インビトロ培養物、植物、動物、臨床試験に参加している対象、および/または疾患もしくは病気に関して診断もしくは処置されている対象が含まれる、核酸を内部に有することができるあらゆる実体を指し得る。
[0059] “試料”は、本明細書で用いられる際、所与のアッセイ、反応、運転、試験および/または実験に関して用いられる標本物質を指し得る。例えば、試料は収集された標本物質の分割量(aliquot)を、その標本の全てに至るまで(その標本の全てを含む)含むことができる。本明細書で用いられる際、アッセイ、反応、運転、試験および/または実験という用語は互換的に用いられ得る。
[0060] 一部の態様において、収集された標本は約100,000個未満の細胞、約10,000個未満の細胞、約5,000個未満の細胞、約1,000個未満の細胞、約500個未満の細胞、約100個未満の細胞、約50個未満の細胞、または約10個未満の細胞を含むことができる。
[0061] 一部の態様において、核酸を評価すること(assessing)、評価すること(evaluating)および/または測定することは、例えば遺伝子の発現のレ
ベルを決定するために標本および/または試料中の核酸の量の尺度を提供することを指し得る。一部の態様において、量の尺度を提供することは、対象の核酸の存在または非存在を検出することを指す。一部の態様において、量の尺度を提供することは、核酸の量を定量化すること、例えば存在する核酸の濃度または量の程度の尺度を提供することを指し得る。一部の態様において、核酸の量の尺度を提供することは、核酸の量を数えること、例えば試料中に存在する核酸の分子の数を示すことを指す。“対象の核酸”は、“標的”核酸、および/または“対象の遺伝子”と呼ぶことができ、例えば評価されている遺伝子を標的遺伝子と呼ぶことができる。核酸の分子の数は、試料および/または標本中にある核酸のコピー数と呼ぶこともできる。
[0062] 本明細書で用いられる際、“核酸”はあらゆる長さのヌクレオチドおよび/またはヌクレオチド様分子のポリマー形態を指し得る。特定の態様において、その核酸は、例えばヌクレオチド単位の塩基相補的組み込みによる相補的核酸の合成のための鋳型の役目を果たすことができる。例えば、核酸は天然存在DNA、例えばゲノムDNA;RNA、例えばmRNAを含むことができ、および/またはcDNAおよびあらゆる方法で生成された組換え分子が含まれるがそれらに限定されない合成分子を含むことができる。例えば、その核酸は化学合成、逆転写、DNA複製またはこれらの生成法の組み合わせから生成することができる。サブユニット間の連結は、ホスフェート類、ホスホネート類、ホスホルアミデート類、ホスホロチオエート類等により、または非ホスフェート基、例えば(それに限定されないが)ペプチド核酸(PNA)において利用されているペプチド型結合により提供され得る。その連結基はキラルまたはアキラルであることができる。そのポリヌクレオチド類は、一本鎖、二本差、および三重らせん分子を包含するあらゆる三次元構造を有することができ、それは例えばDNA、RNA、またはハイブリッドDNA/RNA分子であることができる。
[0063] ヌクレオチド様分子は、実質的にヌクレオチドのように作用することができる、例えばDNAもしくはRNA中に存在する塩基の1個以上との塩基相補性を示す、および/または塩基相補的組み込みが可能である構造部分を指し得る。用語“ポリヌクレオチド”、“ポリヌクレオチド分子”、“核酸分子”、“ポリヌクレオチド配列”および核酸配列は本明細書において“核酸”と互換的に用いられ得る。一部の特定の態様において、測定されるべき核酸は特定の遺伝子に対応する配列を含み得る。
[0064] 一部の態様において、収集された標本は測定されるべきRNA、例えば組織培養物中で発現されたmRNAを含む。一部の態様において、収集された標本は測定されるべきDNA、例えば転写産物から逆転写されたcDNAを含む。一部の態様において、測定されるべき核酸は、他の核酸分子の不均質な混合物中で提供される。
[0065] 用語“天然の鋳型”は、本明細書で用いられる際、増幅のための鋳型の役目を果たすことができる標本から直接または間接的に得られた核酸を指し得る。例えば、それはその発現が測定されるべき遺伝子に対応するcDNA分子を指すことができ、ここでそのcDNAは増幅および定量化される。
[0066] 用語“プライマー”は一般に、条件がプライマー伸長産物の合成に適している際に相補鎖に沿った合成の開始点の役目を果たすことができる核酸を指す。
[0067] 方法の一般的記載
[0068] 配列決定ライブラリーの調製は、以下の工程のいくつかの組み合わせまたは全部を含む:1)核酸の断片化;2)隣接する核酸アダプター配列を結合させる役目を果たすインビボクローニング;3)インビトロアダプターライゲーション;4)PCRに基づくアダプター付加;ならびに5)ポリメラーゼによる埋め(fill−in)および環状化によりその配列を捕捉するためのプローブのライゲーションを含み、または含まず、プ
ローブ配列内に含有されたアダプターを用いる、単分子反転プローブ型技術。
[0069] “核酸アダプター”の定義は、その“核酸アダプター”が以下のいずれかまたは全部の役目を果たすことができることである:a)配列決定プライマーの認識部位、b)分析の間に配列決定のために調製された試料をデコンボリューションする(deconvolute)ためのヌクレオチドのバーコード配列、およびc)多数の鋳型の増幅、またはさらには増幅による融合テール配列(tail sequences)の付加を可能にするユニバーサル核酸部位。
[0070] 上記の工程1〜5の1つ以上から調製された配列決定ライブラリーを、次いで配列決定機器上で分析し、そのライブラリーの代表的な標本抽出(sampling)を配列決定する。次いでそれぞれの固有の核酸標的が観察される回数を計数し、それぞれの固有の核酸標的の計数間の相対的な比率を評価する。しかし、この相対的な比率は、元の試料中のそれぞれの固有の核酸標的間の存在量の真の比例性を表していない。
[0071] 元の表現の喪失は工程1〜5の技術的アーティファクト(例えば誤差、偏り)である。さらに、この誤差は少なくとも以下の誤差の間で非系統的であり、すなわち同じ量の偏りではない:i)ライブラリー調製の工程(上記の1〜5);ii)配列決定ライブラリーの複製の調製;iii)異なる複製の時点;iv)異なる技術者がそのライブラリーを調製している;および/またはv)異なる実験室においてそのライブラリーを調製している。
[0072] 核酸の比率におけるこの非系統的誤差は事実上誤差(i〜v)を標的としているため、同じ試料に関するライブラリー調製間の結果のあらゆる比較は誤差を生じやすく、従って核酸のコピー数を費用効果的に、ならびに信頼できるように測定するための道具としての配列決定の適用を制限する。
[0073] 本明細書で記載される1態様は、独特の核酸標的(“天然標的”またはNTとしても定義される)に対応する既知の数(すなわち存在量、濃度および/または量)の内部標準核酸分子の混合物を利用する方法であり、それは配列決定のためのライブラリーの調製の前に、または(ライブラリー調製が必要ではない場合)配列決定の前に核酸試料中で混合されるべきである。
[0074] それぞれの核酸標的は、その核酸配列に対する1個以上の変化を除いて、そのそれぞれの内部標準に類似している。天然標的および内部標準の間のこれらの差異は配列決定により同定可能であり、それには欠失、付加、または用いられるヌクレオチドの順序もしくは組成に対する置換が含まれ得る。
[0075] ライブラリー調製の前に核酸標的の試料中に内部標準を導入することにより、工程1〜5により導入された非系統的誤差(ならびにシーケンサー機器特異的偏り)は天然標的および内部標準標的の両方により同様に経験される。
[0076] 配列決定の終了時に、ライブラリー調製および配列決定前の元の試料中のそれぞれの天然標的の元の量を定量できるように決定するために、天然標的とそのそれぞれの内部標準との間の配列決定事象(すなわち観察、計数、読み)の比率を、ライブラリー調製前にその試料中に入力された内部標準核酸分子の元の数と共に評価する。
[0077] 従って、内部標準の包含は工程1〜5およびそれに続く配列決定の間の天然標的間の比率における誤差および相対変化に関して対照するため、本明細書で記載される方法は低存在量天然標的がライブラリー調製の間に高存在量天然標的と比較して優先的に増
幅される(すなわち濃縮される(enriched))ことも可能にする。この優先的な増幅または濃縮は、配列決定ライブラリー調製の終了時にそれぞれの固有の天然標的間の相対的比率がそのライブラリーにおいて等モルの(すなわち均一な)存在量に向かって収束するであろうように利用することができる。これは結果として天然標的間で配列決定深度のより等しい適用範囲(coverage)をもたらす。そして、その内部標準も優先的な増幅または濃縮を経験するため、この方法はその元の試料中のそれぞれの天然標的の元の量をライブラリー調製前に定量的に決定することを可能にする。
[0078] 1つの限定的な例において、天然標的間の比率の深度における10倍ごとの低減につき、10倍少ない配列決定の読みしか要求されないため、直接の配列決定費用におけるおおよそ10倍の低減が達成される。
[0079] 従って、配列決定ライブラリー調製前(またはライブラリー調製が必要ではない場合は配列決定の前)の核酸標準の混合物の添加は、終点における配列決定による天然標的の正確な定量化を提供する。
[0080] 核酸内部標準の標準化された混合物の使用は、核酸分子診断に関する実験室間の結果および他の定量的配列決定の結果の直接比較を可能にする。
[0081] また、特定の態様において、内部標準のさらなる添加は天然標的存在量の収束を可能にし、そうして倍の比率(fold−proportion)の天然標的存在量が互いに向かって正規化されることにより直接配列決定の費用が低減される。
[0082] ライブラリー調製の間に既知の量(すなわち存在量、濃度および/または数)の内部標準核酸の混合物を含ませることは一定の利点を提供する。工程1〜5または配列決定のどれが誤差を導入し得るのかが知られていない可能性があるため、本方法はこの偏りを低減し、そうしてライブラリー間および実験室間での結果の比較を可能にし、同時に核酸標的の濃度の収束により直接配列決定の費用を低減する能力を提供する。
[0083] 特定の態様において、本明細書で記載される方法には、配列決定前または配列決定のためのライブラリーの調製前の核酸試料において測定すべきそれぞれの遺伝子に関する既知の数の内部標準分子が含まれる。
[0084] また、特定の態様において、内部標準の標準化された混合物の調製は多数の実験室により用いられることができ、それによりそれぞれの標的とされる遺伝子の測定の信頼性を高め、実験間および実験室間での測定の再現性を高める。従って、内部標準の標準化された混合物内の既知のコピー数のそのそれぞれの内部標準分子と比較したそれぞれの核酸に関するコピー数の測定、ならびに複数の実験および実験室にわたる同じSMISの使用は、配列決定ライブラリーの調製により導入される変動に関して対照することにより信頼性および品質管理を高める。
[0085] 特定の態様において、本明細書で記載される方法は、配列決定による定量化のためのライブラリー調製のために遺伝子特異的逆転写および/またはPCRを用いる。特定の態様において、PCRの最適化は、配列決定による定量化に関して100、300、500、1000、またはより多くの遺伝子の多重化がそれぞれの標的遺伝子の十分なPCR産物を生じることを可能にする。PCRの最適化は最初の遺伝子間の転写産物表現の10倍、100倍、1000倍、10,000倍、またはより大きい倍率での収束をもたらし、一方でそれぞれの遺伝子のそのそれぞれの内部標準と比較した測定により最初の相対的転写産物表現を定量化する能力を維持することができる。従って、ライブラリー調製前(またはライブラリー調製が必要ではない場合は配列決定の前)の試料中に既知のコピー数の内部標準を含ませることは、転写産物表現におけるその後の変化に関して対照する
。ここで、最初の表現に関する情報を失うことなく遺伝子間の収束を最適化することが可能である。例えば、特定の態様において1000倍より大きい収束があり、結果として10,000,000回から10,000回までの“読み”の必要数の低減がもたらされ得る。
[0086] 典型的な次世代シーケンサーのためのそれぞれのチップが1000万の読みを可能にする特定の態様において、この結果は分析される試料/チップの数を1から1,000へと増大させることを可能にする。現在、典型的なシーケンサーのためのチップには$1,000かかるため、そのチップの経費/試料がそれにより約$1,000から約$1.00へと低減される。
[0087] 加えて、稀な転写産物を統計的有意性により測定することができる。例えば、遺伝子転写産物に対応する核酸のコピー数、例えばコピー数/細胞を決定することができ、ここでその遺伝子は低いコピー数で発現している。約1,000分子未満を数えることは、小さい生物学的標本中の少なくとも100種類の異なる遺伝子転写産物の約10コピー数未満/細胞の測定を可能にすることができる。その方法は、小さい生物学的標本中の少なくとも100種類の異なる遺伝子転写産物の約10コピー数未満/細胞を測定する、および/または数えることができる。
[0088] さらに一部の態様において、例えば1つの遺伝子に対応する少ないコピー数の核酸を測定するために典型的に用いられる大きさの所与の標本および/または試料からより多くの測定結果を得ることができる。例えば、一部の態様の実施は、例えば異なる遺伝子転写産物に対応する試料中の少なくとも約20、少なくとも約50、少なくとも約80、少なくとも約100、少なくとも約120、少なくとも約150、または少なくとも約200種類の異なる核酸の約100コピー未満、約50コピー未満、約20コピー未満、約10コピー未満、約8コピー未満、または約5コピー未満/細胞を測定する、および/または数えることができる。
[0089] 発現した物質はその生物学的実態に対して内在性、例えば所与の細胞型において天然に発現している遺伝子の転写産物であることができ、またはその測定すべき発現した物質は外因性の性質のものであってよい。例えば、その方法を用いて、例えばトランスフェクションの効率を決定するために、遺伝子療法後のトランスフェクションした遺伝子および/または一過性トランスフェクションアッセイにおけるレポーター遺伝子を定量化することができる。
[0090]
[0091] 本明細書で記載される方法および態様は以下の実施例においてさらに定義され、別途記載しない限り、ここで全ての部および百分率は重量によるものであり、度はセ氏である。本発明の特定の態様は本明細書における実施例において定義される。これらの実施例は本発明の好ましい態様を示すものであるが、説明としてのみ与えられていることは理解されるべきである。本明細書における論考およびこれらの実施例から、当業者はこの発明の本質的な特徴を確かめることができ、その精神および範囲から逸脱することなく本発明の様々な変更および修正を行ってそれを様々な使用および条件に適応させることができる。
[0092] そのPCRに基づくNGSライブラリー調製法は、競合内部増幅対照(IAC)を組み込む。この方法はNGSライブラリー調製の間に導入される非系統的誤差の大部分に関して対照し、定量的NGSデータの実験室間比較を可能にする。
[0093] 従って、競合IACは、PCR反応における天然鋳型の速度論を模倣し、そうしてPCR効率における標的特異的バリエーションに関して対照するために対象の天然核酸鋳型と同一のプライミング部位を共有することにより、PCRに基づくNGSライブラリー調製における非系統的誤差に関して対照する。
[0094] 本明細書で記載される方法において、競合IACは天然核酸鋳型と同じ速度論を経験するため、天然標的の配列決定の読みのそのそれぞれの競合IACに対する比例関係はNGSライブラリー調製の間に変化しない。
[0095] さらに、試料調製中に配置された競合IACの濃度が既知である場合、ここでNGSライブラリー調製の開始時に存在していた天然核酸分子の元の存在量を正確に計算することが可能である。
[0096] 一例として、多数の実験室が多数の異なる研究において同じ競合IACの混合物を用いた際、その多数の実験室のそれぞれがその結果が一致していることを示している。
[0097] 従って、PCRに基づくNGSライブラリー調製における競合IACの使用は、高い程度の正確性および再現性を有する多数の試料にわたる多数の核酸標的の対費用効果の高い高度に多重化された分析を可能にする。
[0098] 競合IACの組み込みの追加の利益は、結果としてそれぞれの天然標的の等モルの(すなわち均一な)濃度に向かう正規化(すなわち収束)をもたらすプロトコル、例えば多重PCRをそのような方法を用いて実施することができることである。
[0099] 鋳型濃度の正規化により、ここで天然核酸鋳型間の存在量が100万倍より大きく異なり得ることが可能であることは理解されるべきである。過去には、最も高く表現された天然核酸鋳型は不必要に過剰に標本抽出され、最も少なく表現されている核酸鋳型を配列決定する(例えば、2倍の変化を正確に検出するために少なくとも10回(検出力=80%;第一種過誤率=0.05))ために1000万回配列決定されていたであろう。しかし、本明細書で記載される競合IAC法の使用は、標的分析物の表現における正規化を提供し、なおまだ低い配列決定の読みの数を有する低および高存在量標的の両方の元の表現の定量的情報を保持している。従って、過剰表現された核酸標的の過剰標本抽出における低減は、結果として低減した費用および深い配列決定と関係する確率的な標本抽出のエラーをもたらす。
[00100] 実施例1
[00101] NGSライブラリー調製およびその後の核酸存在量の測定に関する競合IA
Cを用いた多重PCR
[00102] FDAに出資された配列決定品質管理(SEQC)計画において用いられた
(既に様々な条件下で多重qPCR、マイクロアレイおよびNGSプラットフォームにより測定された核酸存在量を有する)参照物質RNA用量設定プールを得た。
[00103] NGSライブラリーをプライマーおよび150種類の遺伝子標的に関する競
合IACの存在下で多重PCRを用いて逆転写された参照物質から調製した。
[00104] そのNGSライブラリー調製を、個々の試験サイト内での、実験室間での、
および異なる核酸測定プラットフォームにわたる核酸存在量測定の再現性に関して競合IACを用いた多重PCRを用いて評価した。
[00105] NGSライブラリー調製に関する競合IACを用いた多重PCRの経費およ
び利点を、一般的に用いられるIlluminaに基づくNGSライブラリー調製プロトコルおよびTaqman qPCRと、臨床設定において核酸存在量を正確に測定することに関して比較した。
[00106] 方法および結果
[00107] ヒトゲノム中の150種類の独特に転写される遺伝子のそれぞれに関する1
01塩基対領域(すなわちアンプリコン)に対応する順方向および逆方向プライマーを設計した。それぞれのプライマーは一様な68℃の融解温度を有するように設計された。それぞれのプライマーは、マルチテンプレートPCRに関して用いることができる、例えば最初の多重PCR後にバーコードおよび配列決定アダプター配列の付加において用いることができるユニバーサルテール配列も含有していた。これらのプライマーはIntegrated DNA Technologies(IDT)により合成され、それを等モル比で組み合わせ、希釈して50ナノモル濃度のそれぞれのプライマーの最終作動濃度にした。それぞれ101塩基長の150種類の競合内部増幅対照(IAC)の対応する混合物がIntegrated DNA Technologies(IDT)により合成された。その競合IACのそれぞれはそれらのそれぞれの天然核酸鋳型標的に対する同一の標的特異的プライミング部位を含有していた。配列決定後のデータ分析の間に競合IACをその対応する天然標的と区別することができるように、これらの同一の順方向および逆方向プライミング部位の内側にその配列の内部部位において6ヌクレオチドの置換があった。
[00108] それぞれの競合IACはIDTにより互いと比較しておおよそ等モル濃度で
組み合わせられて混合物にされた。競合IACの混合は厳密な1:1の比率ではなかった可能性があるため、その競合IACのそれぞれのコピー数の絶対存在量およびその150種類の競合IACのそれぞれに関する互いに関するそれらの比率は、既知の量のゲノムDNA(gDNA)参照物質と比較した用量設定により決定された。独特のゲノム配列のそれぞれはそのゲノム全体を通して互いに対して1対1の比率で存在するため、ゲノムDNA参照物質は正規化試薬の役目を果たすことができる。従って、gDNAに対して用量設定した場合の競合IAC濃度における認識された差は、実際にその混合物中の競合IAC間に存在する比率における系統的な差を示している。この系統的な差は一定量のgDNAに対する用量設定により決定され、IACのその特定のロットまたは混合物を用いて得られる将来の計算および測定に常に適用される(図1)。
[00109] 図1は、それぞれの多重PCR中への100,000コピーの一定量のgD
NA入力と比較した内部増幅対照(IAC)の混合物の用量設定を示す。Y軸上にプロットされているのは、観察された天然の読みを天然の読みおよびそのそれぞれの競合IACの読みの両方の合計で割った頻度または比率である。X軸上にプロットされているのは、競合IACのおおよそ等モルの混合物中のそれぞれの標的の最初に推定された量である。10,000,000コピーのそれぞれのIAC(Log10濃度=0)から1,000(Log10濃度=−2)コピーまでの範囲の10通りの希釈を10個の反応のそれぞれの中に入力して示した曲線を生成した。150種類の設計されたプライマーセット、競合IAC、およびそれぞれの天然標的の内で、119種類を当てはまりの良さを用いて用量設定した(R>0.95)。その競合IACの95%より多くは、100,000コピーまで希釈した場合(10,000,000の出発IACコピーを100,000またはLog10濃度−2に、すなわち10,000,000から100倍希釈した)、予想された等量点:(天然)/(天然+IAC)=0.5の10倍以内であった。その新しい濃度はその競合IACの混合物における119アッセイのそれぞれに関する実際の濃度の役目を果たし、絶対正確性(すなわち真の正確性)μgの基準の役目を果たした。
[00110] 従って、IACの一定量のgDNAとの用量設定された混合物に対する15
0のアッセイを試験した後、150のアッセイの内の119は十分な性能特徴(ヒルプロットR>0.95)を有すると決定された。これらの補正はその後このIACの混合物を用いてなされた全ての将来の測定に適用された。
[00111] 配列決定品質管理(SEQC)計画としても知られているMAQC計画の第
III相は、2つのRNA試料のタイプから4つのプールを生成した:Stratageneからのユニバーサルヒト参照RNA(UHRR)およびAmbionからのヒト脳参照RNA(HBRR)。その4つのプールには、2つの参照RNA試料ならびに元の試料の2つの混合物が含まれていた:試料A、100% UHRR;試料B、100% HBRR;試料C、75% UHRR:25% HBRR;およびD、25% UHRR:75% HBRR。この生物学的に異なるRNA源の組み合わせおよび既知の用量設定の差異が、検出される差次的に発現している遺伝子に基づくプラットフォームの正確性を評価するための方法を提供した。これらのRNAプールの10(10)μgの分割量を試料A、B、CおよびDに関して用いた。
[00112] そのRNA用量設定プール参照物質(試料A、B、CおよびD)のそれぞれ
を、InvitrogenからのSuperscript III逆転写酵素をMMLV逆転写酵素の代わりに用いたことおよびそれぞれの逆転写反応において1μgのRNAを入れたことを除いてCanales et al., 2006において記載されているように逆転写した。加えて、逆転写により配列決定ライブラリー調製に導入される分散を決定するため、試料Aを2つの別個の逆転写マスターミックスの調製から2回逆転写した。
[00113] これらの5つのcDNAの逆転写されたRNA用量設定プール(試料A−R
A1、A−RT2、B、CおよびD)のそれぞれからの1(1)μLを、150種類の標的を表す競合内部増幅対照(IAC)混合物の系列希釈した混合物を含有する12個の多重PCR反応の1つの中にスパイクした(spiked)。これらの競合IACの混合物の12個の系列希釈は、装填される107コピーから103に至るまでの範囲である。それぞれの試料の合計12μLが多重PCRの間に消費され、これはそれぞれの試料に関して合計で約133ngのRNAに対応していた。
[00114] それぞれの遺伝子標的に関する天然物質が競合IACと等しい濃度である濃
度(すなわち等量点)をそれぞれの逆転写された参照物質(試料SEQC A−RT1、A−RT2、B、CおよびD)において決定し、それはヒル方程式を用いて決定された(図2)。
[00115] 図2におけるグラフは、それぞれの多重PCR中に入力された一定量の10
0,000コピーのgDNAと比較した内部増幅対照(IAC)の混合物、または11ngの逆転写されたRNAのcDNA物質(試料SEQC A−RT1、A−RT2、B、CおよびD)の用量設定を示す。Y軸上にプロットされているのは、観察された天然の読みを天然の読みおよびそのそれぞれの競合IACの読みの両方の合計で割った頻度または比率である。X軸上にプロットされているのは、競合IACのおおよそ等モルの混合物中のそれぞれの標的の最初に推定された量である。10,000,000コピーのそれぞれのIAC(Log10濃度=0)から1,000(Log10濃度=−2)コピーまでの範囲の希釈を10個の反応のそれぞれの中に入力して上記の曲線を生成した。
[00116] 試料CおよびDは試料AおよびCの間の既知の交差用量設定に相当するため
、差次的に発現した遺伝子に関するそのプラットフォームの正確性を評価した(図3)。SEQC試料C−RT1に関して測定された値を、測定されたSEQC試料AおよびBの値に基づいて予想された値と比較した(%差)。予測されたシグナルC’および実際のア
ッセイシグナルCの間のパーセント差を、相対的アッセイ正確性(RA)の指標として用いた。標的遺伝子に関するRAスコアΔCをそれぞれ(C−C’/C’)として定義した。それぞれの遺伝子に関する予想されたRAスコアからのパーセント差の分布を、標準化されたqNGS(n=88)および標準化されたRT−PCR(n=201)に関して箱ひげ図で示す。箱ひげ図の構成要素は以下の通りである:水平線、中央値;箱、四分位間範囲;ひげ、1.5×四分位間範囲;黒い正方形、異常値。
[00117] 試料SEQC A−RT1、A−RT2、B、C間で測定された遺伝子標的
(n=88)を、遺伝子間の差次的発現(DE)に関して評価した(図4A);DEの変化は1.5〜3.0、2〜3、3〜5、5〜10倍、または10倍より大きかった。偽陽性または陰性変化に関する対照は、SEQC A−RT1をSEQC A−RT2に対して比較することにより評価された。試料AおよびBに基づく予想値に対して比較した試料Cにおける差次的発現を示す要約統計を図4B−表1において示す。
[00118] 逆転写間のアッセイの再現性を図5において示す。SEQC試料Aの2つの
逆転写(RT1対RT2)を、図1における性能基準にうまく合格した119種類の遺伝子標的の発現に関して測定した。その119種類の遺伝子標的の内で、97種類はそれぞれの標的の等量点および濃度を決定するためのヒル方程式の曲線当てはめに関してR>0.95を有していた(図2)。
[00119] 図3および図4におけるデータと同じデータが図6において示されている。
試料Cにおける予想された測定値(x軸)対観察された測定値(y軸)。SEQC試料Cの逆転写を、図1における性能基準にうまく合格した119種類の遺伝子標的の発現に関して測定した。その119種類の遺伝子標的の内で、88種類はそれぞれの標的の等量点および濃度を決定するためのヒル方程式の曲線当てはめに関してR>0.95を有していた(y軸)(図2)。
[00120] 図5からの97種類の遺伝子標的の収束および増大した均一性を図7におい
て示す。X軸上にプロットされているのは最高存在量の鋳型と比例する図5からのデータである。Y軸上にあるのは遺伝子標的が最高の配列鋳型と比例している配列の読みの実際の比率である。測定および正確性は圧縮されていないが(図4〜6)、遺伝子標的の75%は互いに対して10倍以内の配列決定の読みの存在量であることを特筆する。すなわち、配列決定深度がおおよそ1000倍から下は10倍まで低下した。これは、直接的な配列決定の費用における100倍の減少に相当する。
[00121] Bullard et al. BMC Bioinformatics 2010, 11:94からのIlluminaプラットフォームを用いたRNA配列決定に関して3倍より大きい変化を検出するためのROC曲線を図8において示す。図4Bと比較して、このROC曲線は3倍より大きい変化を検出するためのRNA配列決定の約75%の正確性を表す。一方で本明細書で記載される標準化されたqNGSは97%より大きい正確性を有する(図4B)。その標準化されたqNGS法は天然標的間の1000倍の比率の差にわたる3倍の変化を正確に検出するために10倍の配列決定深度を利用したことを特筆すべきである。対照的に、伝統的なRNA配列決定は同様の正確性に到達するために100倍多くの読みを必要とするであろう。一例において、標準化されたqNGS法を用いて97個の遺伝子を正確に定量化するために500万の配列決定の読みが利用された。これと比較して、伝統的なRNA配列決定は正確な定量化のために優に5億を超える読みを必要としたであろう。
[00122] 実施例2
[00123] 内部標準混合物を用いたPCRに駆動されるライブラリー調製後の定量的配
列決定は分析性能を向上させており、費用を低減する。
[00124] 次世代配列決定(NGS)ライブラリーの調製の間に技術的変動の主な源と
して導入される非系統的偏りは、NGSの臨床設定における核酸存在量の測定への適用を妨げてきた。
[00125] 現在のqPCR臨床診断の費用はそれらが用いる化学(通常は蛍光性)の費
用に固定されており、それらが調べている核酸標的の数と線形の関係がある。さらに、それぞれのアッセイ標的は別個の反応容器および多数の対照を必要とし、それは手が出ないほどに高価になり得る。これらの累積費用が多数の核酸標的の測定に基づくより複雑な臨床診断の出現を妨げている。多重化された核酸標的存在量測定に関するより対費用効果の高い代替策は、既存の遺伝子パネルを乱すことなく高い対費用効果で新規のアッセイ標的をオンラインにすることにおいて柔軟ではなく、または定量的なデータの標準化およびサイト間再現性を受け入れられない。NGSは多数の患者試料および核酸標的の対費用効果の高い高度に多重化された定量分析を受け入れられるが、サイト間での定量的NGSの結果の比較を可能にし、正確に核酸存在量を測定するための深い配列決定に関する必要性を回避するための効率的な方法に関する必要性が存在する。
[00126] この実施例において;競合内部増幅対照(IAC)混合物(すなわち内部標
準)を組み込んだPCRに基づくNGSライブラリー調製のプロトコルは、NGSライブラリー調製の間に導入される偏りの大部分に関して対照し、臨床実験室が定量的NGSデータから対費用効果の高い適度に複雑な診断パネルを提供することを可能にした。
[00127] FDAに出資された配列決定品質管理(SEQC)計画において用いられた
参照物質RNA用量設定プールを得た(試料A、B、CおよびD)。SEQC計画のRNA試料CおよびDはSEQC計画のRNA試料AおよびBの間の既知の交差用量設定に相当するため、SEQC発現の値を発現に関する測定値および予想値と比較してその方法の正確性を決定することが可能である。150種類の遺伝子標的に関するプライマーおよび競合IACを用いた多重PCRを用いて、以下のものからNGSライブラリーを調製した:1)一般的な分析性能を試験するためのgDNA、および2)正確性を決定するための逆転写されたSEQC参照物質からのcDNA。
[00128] 結果:
[00129] 入力としての系列用量設定された競合IAC混合物と混合されたgDNAを
用いて、10の桁にわたる線形ダイナミックレンジを平均R=0.995(0.993−0.997;95%CI)で観察した。試料Cに関する予想値対観察値の相関係数はR=0.96であり、試料Dに関する予想値対観察値の相関係数はR=0.94であり、ROC曲線により決定された3倍の変化を検出する正確性は97%(95〜99%;95%CI)であった。わずか400,000の配列決定の読みに基づく測定のサイト間の相関係数は、天然標的間の存在量の約10の桁の線形ダイナミックレンジにわたってR=0.92であった。
[00130] 本明細書で記載される方法は、NGSライブラリー調製の間に導入される非
系統的偏りの重要な源を克服する。これは、再現性のある実験室間およびプラットフォーム間の定量的NGSの結果、ならびに臨床診断適用に関する規制上の承認への明確な道を可能にする。
[00131] 本明細書で記載される方法(内部増幅対照(IAC)を用いるNGS)は、
定量的次世代配列決定(NGS)データのサイト内およびサイト間再現性を提供する。本明細書で記載される方法は、稀な核酸標的および高存在量の核酸標的の両方を十分に配列決定するために必要な読みの数を収束させることにより、深い配列決定に関する必要性、
従って直接的な配列決定の費用も低減する。
[00132] 図9は、内部増幅対照(IAC)の混合物を含むPCRマスターミックスの
略図を提供する。そのIACはライブラリー間、サイト間の基準の役目を果たす。そのIACは長期間(例えば数年間)安定である。そのIACの混合物はPCRの偏りに関して対照し、既知の濃度で存在する。標的特異的プライマーの混合物には、反応あたり数百種類の標的が含まれる。その標的特異的プライマーはユニバーサルテールを含有する。
[00133] 図10A〜10Bは、gDNAおよびSEQC cDNAに対する内部増幅
対照の混合物の用量設定を示すグラフである。そのプロットは酵素系の阻害に関する用量反応曲線の形式である。Taqポリメラーゼがその酵素である。阻害剤は競合内部増幅対照(IAC)の濃度である。その用量反応を、天然ゲノムDNA(gDNA)または天然相補DNA(cDNA)標的に関して観察された配列決定の読み対天然およびIACの配列決定の読みの合計の比率として測定する。gDNAプロットは、150種類の設計された遺伝子標的の119種類(約80%のアッセイ設計成功率)を表す。3パラメーター固定傾きヒル方程式のその119アッセイのそれぞれへの当てはめに関する平均相関係数は、R=0.995(0.993−0.997;95%CI)であった。
[00134] 平均IC50(50%阻害濃度)は104.98であり、入力されたgDA
Nコピー数は10であった。従って、内部増幅対照の混合物の用量設定は、核酸の複雑な混合物のコピー数の測定の相対的ではない真の正確性を提供する。
[00135] 図10〜11(結果1)において、そのcDNAプロットは119の作動(
working)遺伝子標的アッセイの内の110を表す。9(9)のアッセイは天然標的ならびに内部増幅対照の両方に関して少なくとも1つの配列決定の読みの不十分な読みの深度を有していた。平均IC50(50%阻害濃度)をSEQC試料A、B、CおよびDにおいてそれぞれの核酸標的に関して様々な条件下で決定し、その後の実施例において用いた;以下に関して結果の比較を実施した:
[00136] 図12(結果2)は同じライブラリー調製の複製の配列決定(サイト内)を
示し、ここでX軸=180万の配列決定の読みであり、Y軸=300万の配列決定の読みである。
[00137] 図13(結果3)は配列決定された別個のライブラリー調製(サイト内)を
示し、ここでX軸=260万の配列決定の読みであり、Y軸=480万の配列決定の読みである。
[00138] 図14A〜14B(結果4)は試料AおよびBの測定値(サイト内)に基づ
く試料CおよびDの測定値の予測を示し、ここでX軸=1520万の配列決定の読みであり、Y軸=490万の配列決定の読みである。
[00139] 図15(結果5)は、異なるサイトで配列決定された別個のライブラリー調
製(サイト間)である測定値の実験室間比較(サイト間)を示し、ここでX軸=260万の配列決定の読みであり、Y軸=40万の配列決定の読みである。
[00140] 図16A〜16B(結果6)は図13(結果4)に基づく変化の倍率を正確
に検出するための受信者曲線を示し、これは図14−結果4に基づく差次的発現を呼ぶための受信者曲線を示す。
[00141] 図17(結果7)は、PCRに駆動されるライブラリー調製は必要な読みの
深度を低減する天然標的濃度に収束することを示す。PCRに駆動されるライブラリー調
製の間の天然鋳型アンプリコン濃度の収束は、全ての標的を十分に配列決定ための配列決定の読みの数を低減する。内部増幅対照は、鋳型濃度の収束にもかかわらずそれぞれの核酸標的を正確に測定するためのPCRに駆動される配列決定ライブラリーの調製の開始時に必要な基準点を提供する(図12〜16−結果2〜6参照)。この実施例において、直接的な配列決定深度が1000倍低減され、全ての標的は互いの100倍以内である。
本明細書で記載される方法には内部増幅対照を用いたPCRに駆動されるNGSライブラリー調製に基づく中程度の複雑性の臨床パネルの使用が含まれることは本開示の意図される範囲内であることも理解されるべきである。限定的でない例には、以下に関するパネルが含まれる:肺癌危険性試験(15遺伝子);肺癌診断試験(4遺伝子);肺癌化学抵抗性試験(20遺伝子)、およびBCR−ABL融合転写産物試験(2遺伝子)。
[00142] 実施例3
[00143] 標準化されたRNA配列決定(STARSEQ)
[00144] 標準化されたRNA配列決定(STARSEQ)を、2つの別個の参照物質
を用いて評価した:1)トレド大学医療センター(UTMC)の施設内治験審査委員会により承認されたプロトコルに従うUTMCにおける表現型が正常な人の血液に由来するゲノムDNA(gDNA)(匿名化された723の試料)、および2)FDAに出資された配列決定品質管理(SEQC)計画(以前のMAQCコンソーシアム)により提供された4種類の参照RNA試料(A、B、CおよびD)。試料AはStratageneから得られたユニバーサルヒト参照RNAからなる。試料BはAmbionから得られたヒト脳参照RNAからなる。SEQC計画に関して、次いで試料AおよびBをそれぞれAmbion外部RNA対照コンソーシアム(ERCC)スパイクイン(Spike−In)対照RNA混合物1および2と、総RNA濃度に基づいて試料AおよびB中で2%の終濃度を達成するように組み合わせた。
[00145] それぞれのERCC RNA対照のスパイクイン混合物は、10より大き
いダイナミックレンジにわたる同じ対照を含有しているが、異なる配合においてである。それぞれの配合混合物内には4つの部分群があり、それは混合物1および2の間で存在量において既知の倍率の差異を示す:0.5倍、0.67倍、1.0倍および4.0倍の差異。次いで試料AおよびBを3:1および1:3の比率の混合物において組み合わせてそれぞれ試料CおよびDを作成した。gDNA“参照”物質は、内在性標的の大部分が互いに対して1:1に非常に近い比率である試料を表す。一方で、試料A〜Dは、方法の分析性能特徴を10倍より大きい存在量のダイナミックレンジにわたって評価するためのグラウンドトルースベンチマークとして用いることができる、合成(ERCC対照)および内在性RNA標的の既知の比率での複雑な混合物を表す。
[00146] RNA参照物質の逆転写
[00147] それぞれ10マイクログラムの1μg/μLの濃度の試料A〜D参照RNA
物質をFDAに出資されたSEQC計画から得た(fda.gov/科学研究/生物情報学ツール/マイクロアレイ品質管理計画)。それぞれの試料に関して2μg分割量のRNAを逆転写した。それぞれの逆転写反応はSuperscript III逆転写(Life Technologies)およびオリゴ(dT)プライミングに関する製造業者のプロトコルを用いて90μL体積で行われた。逆転写後、それぞれの試料に関する2つの90μLのcDNA生成物を組み合わせて単一の180μL体積にした(逆転写1;RT1)。試料Aに関して、2つの2μg分割量のRNAの追加のセットを別個のマスターミックスを用いて逆転写した(逆転写2;RT2)。
[00148] STARSEQアッセイ標的の選択
[00149] マイクロアレイ品質管理(MAQC)コンソーシアムは以前に多重qPCR
およびマイクロアレイプラットフォームの性能を評価するために1,297遺伝子のリストを選択した。このリストから、STARSEQアッセイを開発するために150種類の内在性標的を選択した。これらの150のアッセイは、部分的にはそれらが表す遺伝子標的が10より大きいダイナミックレンジにわたって発現しているために選択された。これらの試薬を用いて、gDNAおよび逆転写された参照RNA試料A〜D中のそれぞれの遺伝子標的の絶対的ならびに相対的な比率を測定した。加えて、92種類の外部RNA対照コンソーシアム(ERCC)標的の内の28種類もSTARSEQアッセイを開発するために選択した。
[00150] STARSEQプライマーの設計および合成
[00151] 順方向および逆方向PCRプライマーを、ヒトゲノム中の150種類の独特
に転写される遺伝子および28種類のERCC標的のそれぞれに関する対応する101bpのアンプリコン領域に対して設計した。それぞれの順方向および逆方向プライマーのセットは、Primer3ソフトウェア(Untergasser et al, NAR, 2012)を用いて一様な68℃の融解温度を有するように設計された。標的以外へのプライミングを最小限にするため、プライマー対の特異性をGenomeTester 1.3を用いて検証し、大きさが1000bp未満のあらゆる追加のアンプリコンを同定した。それぞれのプライマーはヒトゲノム中に存在しないユニバーサルテール配列も含有し、それはマルチテンプレートPCRでのバーコードおよびプラットフォーム特異的配列決定アダプターの追加のために用いることができる。順方向ユニバーサルテールは整列されたプライマー伸長(arrayed primer extension)のために用いられるアダプター(APEX−2)と配列が同じであり、一方で逆方向テール配列は最後の4つの3’塩基を除いて順方向テール配列と同じであり、それは配列決定の間に方向性を可能にする。150種類の内在性標的および28種類のERCC標的に関するユニバーサルテールを有する標的特異的プライマーは、それぞれIntegrated DNA Technologies(IDT)およびLife technologiesにより合成された。内在性またはERCC標的に関するプライマープールを、合成されたプライマーを当モル比で組み合わせ、希釈トリス−EDTA緩衝液中でそれぞれのプライマーに関して50nMの最終作動濃度に希釈することにより作製した。
[00152] STARSEQ競合内部標準混合物の設計および合成
[00153] それぞれの101bpの競合内部標準(IS)を、それらのそれぞれの天然
核酸標的と同一の標的特異的プライミング部位を保持するように設計した(図18A〜18B)。配列決定後のデータ分析の間に競合ISをその対応する天然標的と区別することができるように、これらの同一のプライミング部位の内側に6ヌクレオチドの置換がある。内在性標的に対応する150種類の競合ISはIntegrated DNA Technologies(IDT)により合成され、ERCC標的に対応する28種類の競合ISはLife technologiesにより合成された。
[00154] 内在性標的に対応する150種類の競合IS鋳型に関して、濃度がIDTに
おいて光学密度により測定され、続いてそれをこれらの測定に基づいて1:1の化学量論モル比で組み合わせた。それぞれのISの濃度を、100,000コピーの一定のgDNA入力と比較したその混合物の交差用量設定により実験的に決定した(ID723)。表現型上健康な人からのgDNAにおいて、ここで座位の大部分は互いに対して1:1の比率であり、これはそれぞれの競合IS鋳型に関する実際の濃度を決定するための妥当かつ対費用効果の高い参照物質を提供するであろうと信じられている。
[00155] ERCC標的に対応する28種類の競合IS鋳型に関して、そのような標準
化のための参照物質は存在しない。従って、それぞれの標準を(ユニバーサル配列を有しない)順方向および逆方向プライマーで別々に増幅し、カラム精製し(QIAquick
PCR精製キット)、可視化し、101塩基におけるただ1つのピークに関してAgilent 2100 Bioanalyzer上でDNAチップをDNA 1000キットの試薬と共に製造業者のプロトコルに従って用いて定量化した(Agilent Technologies Deutschland GmbH、ヴァルトブロン、ドイツ)。次いで定量化した標準を1:1の化学量論モル比で組み合わせて内部標準(IS)のストック濃縮混合物を作製した。次いで競合ISの内在性およびERCC標的混合物の両方を作動濃度に系列希釈し、全てのその後の実験において試料A〜D中のそれぞれの転写産物の絶対コピー数を定量化するための参照混合物として用いた(図18A〜18B)。
[00156] ユニバーサルテールを有する標的特異的プライマーを用いた多重競合PCR
[00157] それぞれの多重競合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に関して、以下のもの
を含有する10μLの反応体積を調製した:1μLの天然鋳型、1μLの様々な入力濃度における競合IS混合物、1μLの対応するプライマー混合物、1μLの2mM dNTP、1μLの10×Idaho Technology反応緩衝液(30mM MgClを含む)、0.1μLのPromega GoTaqホットスタートTaqポリメラーゼ(5u/μL)および4.9μLのRNAアーゼを含まない水(図18A)。ゲノムDNAを150種類の内在性標的に相当する競合IS混合物の系列希釈した混合物を含有する10個の別個の多重PCR反応中にスパイクした。これらの10個の希釈は、2×10〜10コピーの存在量の装填の範囲のIS混合物の一連の3倍希釈に相当する。RT1に関する試料A〜DのcDNAを、28種類のERCC標的に相当する競合IS混合物の系列希釈した混合物を含有する5つの別個の多重PCR反応中にスパイクした。これらの5つの希釈は、IS混合物の一連の希釈に相当する:10、10、10、10および300コピーの装填。試料A(RT1およびRT2)、B、CおよびDに関する逆転写されたRNAを、150種類の内在性標的に相当する競合IS混合物の系列希釈した混合物を含有する12個の別個の多重PCR反応中にスパイクした。これらの12個の希釈は、6×10〜3.4×10コピーの存在量の装填の範囲のIS混合物の一連の3倍希釈に相当する。合計17μLのそれぞれのcDNA試料が多重競合PCRの間に消費され、これはそれぞれの試料に関して約377ngのRNAに対応する。
[00158] 標準化されたRNA配列決定(STARSEQ)の作業の流れおよびデータ
分析
[00159] 図18A NT=天然標的(例えばcDNA、gDNA等);IS=内部標
準、a)プライマー配列において特定の天然標的に相同であり、従ってその天然標的と増幅に関して競合するが、b)そのプライマー部位に対して内側に1個以上の塩基置換を含有し、従ってその天然標的と識別することができる、ssDNAまたはdsDNA分子。それぞれの遺伝子に関するIS鋳型は、内部標準混合物中の他の遺伝子に関するISに対して固定された関係にある。
[00160] 図18Bは、a)それぞれのNTおよびそのそれぞれのISの間の競合がそ
れぞれのNTに関する元の濃度を保ち、そしてb)そのISは互いに対して固定された関係にあるため、元の試料中の天然標的間の比例関係が増幅および配列決定の間に保たれていることを示す。その元の試料中の天然標的の存在量の決定は、NTおよびISに関する配列決定計数の比率(NT:IS)にそのアンプリコンライブラリー調製中に装填された内部標準(IS)の濃度を掛けることにより得られる(すなわち等量点の決定)。少なくとも3つの希釈点にわたって値を測定できなかった天然標的は示していない。図18B−上のパネル:123種類の標的に関する一定量のゲノムDNA(gDNA)による競合内部標準混合物の交差用量設定の線形性を示す。点線はNT:IS比の値に関する95%予測区間を表す。図18B−中央のパネル:試料A、B、CおよびDからの一定量の26種類のERCC天然標的による競合内部標準混合物の交差用量設定の線形性を示す。それぞれのERCC標的は、存在量における10より大きいダイナミックレンジにわたる異な
る濃度である。図18B−下のパネルは、試料A、B、CおよびDからの一定量の内在性cDNA天然標的(gDNAにおいて評価されたものと同じ標的;上のパネル)による競合内部標準混合物の交差用量設定の線形性を示す。
[00161] 多重競合PCRによるタッチダウンPCR
[00162] 多重PCRのレベルを増大させることは、用いるプライマーの濃度における
釣り合った減少を必要とする。プライマー濃度を減少させることは、多重PCRにおいて2つの主な作用を有する:1)プライマーダイマー産物の形成を低減し、そして2)プラトーなアンプリコン産物形成が早期にdNTPが限られた試薬になるのを防ぐ(プライマーがより少ない方法)。この後者の作用は、それが全ての標的鋳型がプラトー相に達することを可能にし、競合ISの存在下でシグナル圧縮なしで高存在量標的の過剰標本抽出/配列決定を大幅に低減するため、重要である(図19A〜19C、図20A〜20B)。
[00163] STARSEQはシグナル圧縮なしで過剰標本抽出を低減する
[00164] 図19Aは、仮定のcDNA試料内の2種類の天然標的(NT)を示す。1
つの天然標的は高存在量、10コピーであり(“豊富な”NT)、一方で別の天然標的は低存在量、10コピーであり(“稀な”NT)、これは標的間の存在量における100万倍の差を表す。この仮定のcDNA試料を、10コピーにおける固定された濃度の関係を有する内部標準(IS)の混合物と組み合わせる。
[00165] 図19Bは、図19Aに関する多重競合PCRライブラリー調製を示す。“
豊富な”および“稀な”NTの両方に関するPCR増幅プロットは明確さの目的のために分けられているが、同じ反応において起こっている。多重競合PCRの間、それぞれの天然標的はdNTP、ポリメラーゼおよび限られた濃度のプライマーに関してそのそれぞれの競合内部標準と等しく競合する。それぞれの標的のプライマー対の出発濃度は同じであるため、それぞれの競合反応はおよそ同じ終点濃度(約10コピー)でプラトーになるであろう。
[00166] 図19Cにおいて、それぞれのNTおよびそれぞれのISの間の等しい競合
は元の試料中の天然標的間の比例関係を保ち、これはシグナル圧縮なしでの天然標的存在量の測定を可能にする。なお、鋳型の10倍の範囲が多重競合PCRライブラリー調製後に10まで低減し、結果として高存在量標的の過剰標本抽出における1,000倍の低減がもたらされる。
[00167] 天然標的の試料を多数の比率でIS混合物と混合すること(図18A)は、
結果としてただ1つの内部標準のスパイクインにより得ることができるよりも大きな程度の鋳型濃度における均一性をもたらす(図19A)。
[00168] STARSEQは必要とされる配列決定の読みを10,000倍まで低減す

[00169] 図20Aは、ERCC(n=104)および内在性(n=400)cDNA
標的に関する実際の比例した配列決定データを示す。X軸は最低存在量の標的(10に設定された)に対して標準化されたライブラリー調製におけるそれぞれの標的の比例した存在量を表す。Y軸は最低存在量の標的を少なくとも1回配列決定するために必要とされる比例した配列決定の読み(カバー度(coverage))の単位における。
[00170] 図20Bは図20Aの表にした要約であり、ここで配列決定の読みの数は全
ての標的を少なくとも1回観察するための全ての配列決定の読みの合計を表す。伝統的なRNA配列決定の読みの必要とされる数は、そのライブラリー中に存在する標的のコピー数および必要とされる配列決定のカバー度の間の仮定された1:1関係に基づいて計算さ
れる。STARSEQによる必要とされる配列決定の読みにおける低減の倍率は、伝統的なRNA配列決定およびSTARSEQ配列決定の読みの商である。
[00171] しかし、プライマーを希釈してなお対象の標的をうまく増幅することができ
る限界が存在する。この限界は、いくつかのアプローチを通して押し下げることができる:1)プライマーの融解温度を高める、および2)その間にアニーリングが起きて最終的なプライマー結合を可能にする時間を増大させる。これらの解決策の両方が標的以外へのプライミングを悪化させ得る。ここで本明細書においてこの明らかな障害を修正されたタッチダウンPCRプロトコルの使用により改善することができることを示す。このプロトコルでは、プライマー結合のストリンジェンシーを増大させて標的以外へのプライミングを低減するために、高いアニーリング温度がPCRの最初のサイクルの間に組み込まれる。その後のサイクルにおいてアニーリング温度を徐々に低くして、より早期の高ストリンジェンシーサイクルの間に一度十分な特異的な産物が形成されると、結果として増大した収量がもたらされる。この枠組みを用いて、以下のプロトコルを開発した:それぞれの多重競合反応混合物に対してair thermocycler(RapidCycler(Idaho Technology,Inc.アイダホ州アイダホフォールズ))中で修正タッチダウンPCR条件下で低いプライマー濃度を用いて以下のサイクルを行った:95℃/3分間(Taq活性化);94℃/30秒間(変性)、72℃/4分間(アニーリング)、および72℃/15秒間(伸長)を5サイクル;アニーリング温度を1℃下げて71℃にして5サイクル繰り返す;1℃下げて5サイクル行う操作をアニーリング温度が64℃になるまで繰り返す(合計45サイクル)。
[00172] 特定の態様において、そうしなければプライマーダイマー産物のみが観察さ
れるであろう反応調製の間には標的以外へのプライミングおよび酵素活性が十分に高いため、ホットスタートTaqポリメラーゼが用いられる。
[00173] ERCC参照物質を用いたSTARSEQの性能
[00174] 図21Aは試料A、B、CおよびDにおけるERCC標的の存在量の測定さ
れたシグナルを示す。点はNTおよびISの両方に関して少なくとも15の配列決定の読みを有するそれらのライブラリー調製からのERCC測定値の中央値を表す。X軸の単位は、ERCCスパイクイン対照の既知の濃度に関するAmbion製品文献、SEQCプロジェクトの物質調製プロトコル、およびそれぞれの標的に関する仮定された100%の逆転写収率に由来する。
[00175] 図21Bは、ERCC IDにより数値的に並べた図21Aにおけるデータ
の差のプロットを示す。示されているそれぞれのERCC標的は4種類の試料A〜Dの全てにおいて少なくとも1回測定された。明確さの目的のため、ERCC−170を図21Aおよび図21Bにおいて橙色で強調している。
[00176] 図21Cにおいて、試料CおよびDは試料AおよびBからの総RNAのそれ
ぞれ3:1および1:3混合物に相当する。これらの比率を用いてAおよびBの測定値から試料CおよびDに関する予想される測定値を計算し(x軸)、試料CおよびDの実際の測定値(y軸)に対してプロットした(n=52)。
[00177] 図21Dにおいて、点はNTおよびISの両方に関して少なくとも15の配
列決定の読みを有する少なくとも2個のIS希釈点を有するそれらのアッセイに関するSEQC A、B、CおよびDにおけるERCC標的の測定値における標準偏差を表す。赤い線は、ポアソン標本抽出分布+ベースライン0.08技術的複製標準偏差に基づく予想される標準偏差を示す。
[00178] 図21Eは、95%信頼区間を有する対応する曲線下面積(AUC)により
変化の倍率を検出するためのROC曲線を示す。ROC曲線は試料中のERCC標的の差次的比率下位プール(subpools)の比較に由来する:A対B、A対C、A対D、B対C、B対DおよびC対D。1.1倍変化に関する結果は、次の差次的比率下位プールの範囲を現す:[1.05〜1.174](対照n=100、試験n=96);1.25[1.175〜1.374](対照n=163、試験n=163);1.5[1.375〜1.74](対照n=229、試験n=227);2.0[1.75〜2.49](対照n=229、試験n=223);≧4.0[2.5〜10.0](対照n=286、試験n=290)。
[00179] 内在性cDNA標的を用いたSTARSEQの性能。
[00180] ライブラリー調製あたりのコピー数の単位での試料A中のcDNA標的の絶
対シグナル存在量を、別々の日、異なるサイト(OU=オハイオ大学;UTMC=トレド大学医療センター)において、そして異なる逆転写調製(RT1およびRT2)の間で測定した。点はNTおよびISの両方に関して少なくとも15の配列決定の読みを有するそれらのライブラリー調製からのERCC測定値の中央値を表す。図22Aは日の間の作用を示す(n=88)。図22Bは日の間およびサイト間の作用を示す(n=81)。図22Cは日の間およびライブラリー間の作用を示す(n=92)。図22Dは、日の間、サイト間およびライブラリー間の作用を示す(n=80)。図22E〜22Fは、試料CおよびDが試料AおよびBからの総RNAのそれぞれ3:1および1:3混合物に相当することを示している。これらの比率を用いてAおよびBの測定値から試料CおよびDに関する予想される測定値を計算し(x軸)、試料C(n=86)およびD(n=90)の実際の測定値(y軸)に対してプロットした。
[00181] STARSEQのTaqMan qPCRおよびIllumina RNA
配列決定との交差プラットフォーム比較。
[00182] STARSEQおよびTaqMan qPCR(図24はTaqManおよ
びSTARSEQ測定の間の差のプロットを示す)またはIllumina RNA配列決定(図25はIllumina RNA配列決定およびSTARSEQ測定の間の差のプロットを示す)の間の試料AおよびBの測定値に関する差の平均をそれぞれの内在性標的に関して決定した。この差をTaqMan qPCRまたはIllumina RNA配列決定の試料CおよびDに関する測定値から減算し、CおよびDのSTARSEQ測定値(y軸)に対してプロットした(x軸)。
[00183] STARSEQ測定値はNTおよびISの両方に関して少なくとも15の配
列決定の読みを有するライブラリー調製からの測定値の中央値を表す。図26Aは、TaqMan qPCRのSTARSEQとの比較を示す(n=292)。図26Bは、Illumina RNA配列決定のSTARSEQとの比較を示す(n=340)。
[00184] アッセイ性能
[00185] 図26において示されるように、アッセイ測定性能をERCCならびに内在
性cDNA標的に関するSEQC試料A、B、CおよびDにおいて評価した。内在性標的はgDNA対照に対しても評価した(図18B参照)。
[00186] 真陰性の測定結果は、全ての内部標準のスパイクイン濃度にわたって十分な
数の競合内部標準が配列決定された(少なくとも15回配列決定された)が不十分な天然鋳型が観察された場合に生じる。これらのアッセイに関する発現の上限は、なお存在する最も低いIS濃度を用いて[1/(ISの配列決定の計数)]×そのライブラリー調製中に装填されたISの濃度として計算することができる。これらの測定結果は真陰性の測定結果を表し、正確な定量化の下限をこれらのデータから決定することができる。
[00187] 失敗したアッセイは、NTおよびISの両方に関して“配列決定深度が低す
ぎる”測定結果である。これらは真のアッセイの失敗(天然も内部標準も少なくとも15回配列決定されなかった)を表す。この方法では、競合IS混合物は偽陰性の報告に関して対照することができる。
[00188] バーコードおよび配列決定アダプターの添加
[00189] 融合プライマーのセットを、それらの3’末端が多重競合PCRの間に付加
されたユニバーサルAPEX−2配列テールに相補的であるように設計した。これらの融合プライマーは、4ヌクレオチドのインデックス/バーコード配列およびそれに対して5’側に順方向または逆方向ion torrentアンプリコン配列決定アダプターのテールを有する(図26)。順方向および逆方向配列決定プライマーの両方が、それぞれの試料に二重に指標を付け、配列の読みに誤った指標を付ける可能性を低減するために意図的にバーコード付加されている;両方のバーコードは一致していなければならない。それぞれのバーコード付加反応に関して、以下のものを含有する10μLの反応体積を調製した:1μLの多重競合PCR産物、1μLの1μM順方向および逆方向バーコード付加プライマー、1μLの2mM dNTP、1μLの10×Idaho Technology反応緩衝液(30mM MgClを含む)、0.1μLのPromega GoTaqホットスタートTaqポリメラーゼ(5u/μL)ならびに4.9μLのRNAアーゼを含まない水。それぞれのバーコード化反応に対してair thermocycler(RapidCycler(Idaho Technology,Inc.アイダホ州アイダホフォールズ))中で以下の条件下でサイクルを行った:95℃/3分間(Taq活性化);94℃/5秒間(変性)、58℃/10秒間(アニーリング)、および72℃/15秒間(伸長)を15サイクル。反応容器をすぐに取り出し、すべてのその後の工程の間4℃で保つ。この工程の間の目標は、バーコード付加された産物のヘテロ2量体化を防ぐことである。ヘテロ2量体化のタイプに応じて、配列決定後の整列のエラーが偽の配列決定の塩基の判定(calls)から生じる可能性があり、結果として測定の精度および正確性が低下する。次いで新しくバーコード付加された多重競合PCR配列決定ライブラリーをAgilent 2100 Bioanalyzer上でDNAチップをDNA 1000キットの試薬と共に製造業者のプロトコルに従って用いて定量化する(Agilent Technologies Deutschland GmbH、ヴァルトブロン、ドイツ)。次いで独特にバーコード付加された配列決定ライブラリーを、それぞれのライブラリーが最終的に受け入れるであろう配列決定の読みの百分率を最適化するように既知の化学量論比で混合し;ほとんどの場合1:1が用いられる。
[00190] STARSEQ“真陰性”対TaqmanおよびRNA配列決定
[00191] 26のSTARSEQ測定結果は、測定未満(less than mea
surement)の報告を戻す(report back)ために十分なデータを有していた。その26の測定の内で、TaqManは14に関して未検出(ND)を報告し、RNA配列決定は1に関してNDを報告した(図27参照)。STARSEQはISを検出することができたが、存在するNTを正確に定量化することはできなかったため、これらはTaqManおよびRNA検出に関する偽陰性の検出を表す。測定未満は[1/(ISの配列決定の計数)]×そのライブラリー調製中に装填されたISの濃度として計算された。
[00192] ERCC測定値の標準偏差。
[00193] 図28は、差のSDが図21中に存在するデータから計算されることを示す
。アッセイ内試料内SDは、それぞれの試料A〜D内のアッセイ内SDの中央値から計算される。アッセイ内試料間SDは、試料A〜Dにわたるアッセイ内SDの中央値から計算される。アッセイ間試料間SDは、試料A〜Dにわたる残差(residuals)のア
ッセイ間SDの中央値から計算される。そのSDはLog10値で報告されるため、それは変動係数(CV)の報告とおおよそ同等である。
[00194] 産物の精製および配列決定
[00195] 特定の態様において、バーコード付加された配列決定ライブラリーの精製の
間にシステムが強い変性剤またはカオトロピック塩類、例えば塩酸グアニジンまたはチオシアン酸グアニジンを用いないことが必要である。これらの薬剤は結果として下流の鋳型のヘテロ2量体化、偽の配列決定の塩基の判定および配列決定後のアラインメントのエラーをもたらす。この理由のため、それぞれのバーコード付加された配列決定ライブラリーの混合物をLife Technologies E−Gel SizeSelect 2%アガロースゲルを用いて精製し、それは変性剤またはカオトロピック塩類の使用を報告しておらず、電気泳動による分離の間の熱変性を防ぐために冷蔵室中で運転することができる。次いで精製された配列決定ライブラリーをIon Torrent配列決定プラットフォームのためのKAPAライブラリー定量化キット(Kapa Biosystems)を用いて定量化した。この定量化に基づいて、ライブラリーを適切に希釈し、トレド大学医療センター(UTMC)、オハイオ州トレドおよびオハイオ大学(OU)、オハイオ州アセンズにおいて製造業者の推奨に従ってIon Torrent PGM配列決定サービスのために調製した。
[00196] FASTQファイル処理
[00197] NGSサービスからの生の配列決定データはFASTQ形式で提供されて戻
された。配列決定の読みを抽出し、それぞれの配列決定の読みを3つの別個のFASTQファイルに解析する(parsed):1)順方向(query-barcode.fastq)および2)
逆方向バーコード(query-revbarcode.fastq)領域、ならびに3)標的特異的プライミング部位に対して内側の領域に対応するアンプリコンの中央部分(query-subject.fastq)
、ここで6ヌクレオチド置換がNTおよび対応する競合ISの間に存在するはずである。
[00198] 対象データベースに対する配列のBFAST
[00199] その3つのFASTQファイルのそれぞれを、それがバーコード(barcode.fa)であるか、またはアンプリコン領域(subject.fa)であるかに対応する既知の参照F
ASTAデータベースと、BLAT様の速い正確な検索ツール(BFAST、バージョン0.7.0a)を用いてアラインメントし、配列アラインメント/マップ(SAM)形式でファイルを出力した。インデックスデータベースに対するBFASTのマッチおよびSAMファイルの出力を、1)順方向バーコード、2)逆方向バーコードおよび3)捕捉したアンプリコン対象配列を含有するトリミングしたFASTQファイルに関して実施した。
[00200] 配列係数のビニング(Binning)
[00201] 次いで配列の読みのIDをマッチングのための鍵として用いて1)順方向お
よび2)逆方向バーコード、ならびに3)アンプリコン領域からの3つのSAMファイルのそれぞれを合わせて実用的な抽出および報告言語(PERL)ハッシュテーブルにした(http://www.perl.org/)。バーコードおよびアンプリコンのアラインメントに基づいて、それぞれの配列決定の読みをビンして(binned)、所与の試料調製に関するIS入力濃度およびそれがBFASTアラインメントによりNTと判定されるかまたはISと判定されるかに対応するアレイにした。順方向および逆方向バーコードアラインメントの判定が一致しなかった場合、その配列の読みはビンされなかった。結果として得られたビンされた配列決定の読みのハッシュテーブルはカンマで区切られた形式で出力され、統計的方法の節で概説するように処理された。
[00202] 相対的存在量の測定
[00203] 少なくとも14の配列決定の読みがNTおよびISのそれぞれに関して必要
とされた。正確な希釈倍率は、多数のアッセイ標的にわたる、そして多数の系列希釈された内部標準のスパイクインにわたるNT:IS比の変化に基づいて決定された。次いで内部標準の希釈度にNT:IS比を掛けた。それぞれのアッセイは、内部標準の多数の希釈度のため、アッセイあたり多数の測定値を有していた。これらの測定値のSTDEVが分散において10倍未満である場合、これらの測定値の中央値を受け入れた。正確な測定値は内部標準濃度の予め決められたアッセイの系統的偏りに基づいていた。これらの測定値の母集団を母集団の中央値に対して標準化した。
[00204] STARSEQ測定値の包含/排除の基準
[00205] それぞれの天然標的(gDNAまたはcDNA)を、ISMの交差用量設定
した濃度内のそのそれぞれの内部標準と比較して測定した(図18)。それぞれ天然標的(NT)およびそれぞれの競合内部標準(IS)に関する少なくとも15の配列決定の読みの実験による閾値は、NT:IS比を有効であると考えるための最適な包含/排除基準であった(検出力>80%;第1種過誤率<0.05;2倍のNT:IS比の変化を検出すること)(図18)。上記の基準を満たす1つより多い測定値を有するそれらのアッセイに関して、測定値間の1000%より大きい変動係数(CV)は、その特定の試料におけるそのアッセイ測定値に関する排除のきっかけとなった。
[00206] 統計的方法:天然標的濃度の推定値
[00207] それぞれの遺伝子標的および下付きのiで示したそれぞれのIS混合物の入
力濃度を有する技術的複製に関して、天然標的の濃度の推定値(NC)を天然標的(NT)および内部標準(IS)の両方の観察された/ビンされた配列計数、ならびに内部標準の(ライブラリー調製あたりの鋳型コピー数の単位での)既知の出発濃度(SC)に基づいて計算した。
[00208] 要約量(summarization quantity)を推定するため
の実験により決定された最適な方法およびQCパラメーターは、1)それが有するNC技術的複製尺度の中央値(NC中央値)、2)NTならびにISの両方に関する少なくとも15の配列決定計数、および3)底が10の対数尺度での1.00未満のNCにわたる変動係数(CV)であった。これは、標的間の存在量における2倍の変化の0.05未満の第1種過誤率および0.20未満の第2種過誤率での検出を可能にするための所与の標的の十分な標本抽出を有するように選択された。
[00209] 実施例4
[00210] 適用の限定的でない例
[00211] 一部の態様において、生物学的状態を示す数値的指標を得るための方法は、
第1の生物学的状態および第2の生物学的状態のそれぞれに対応する2つの試料を提供すること;その2つの試料のそれぞれにおける2種類の核酸のそれぞれの量を測定する、および/または数えること;その量をいくつかの試料間で直接比較することができる数値として提供すること;その第1および第2の生物学的状態のそれぞれに対応する数値を数学的に計算すること;ならびにその2つの生物学的状態を識別する数学的計算を決定することを含む。本明細書で用いられるような第1および第2の生物学的状態は、比較すべき2つの生物学的状態、たとえば識別すべき2つの表現型の状態に対応する。限定的でない例には、たとえば非疾患(正常)組織対疾患組織;療法薬応答を示す培養物対より少ないそ
の療法薬応答を示す培養物;有害な薬物応答を示す対象対より少ない有害な応答を示す対象;処置された対象の群対処置されていない対象の群等が含まれる。
[00212] “生物学的状態”は、本明細書で用いられる際、例えば臨床的に関連のある
表現型または他の対象の代謝状態に関する表現型の状態を指し得る。生物学的状態には、例えば疾患表現型、疾患状態または非疾患状態への素因;療法薬応答またはそのような応答への素因、有害な薬物応答(例えば薬物毒性)またはそのような応答への素因、薬物に対する耐性、またはそのような耐性を示す素因等が含まれ得る。好ましい態様において、得られた数値的指標は、例えば対象の表現型と相関することによりバイオマーカーの役目を果たすことができる。一部の態様において、その薬物は抗腫瘍薬であることができる。特定の態様において、本明細書で記載される方法の使用は個別化医療を提供することができる。
[00213] 特定の態様において、その生物学的状態は遺伝子の正常な発現レベルに対応
する。その生物学的状態が正常なレベルに対応しない、例えば所望の範囲の外側にある場合、非正常、例えば疾患状態が示されている可能性がある。
[00214] 特定の生物学的状態、例えば疾患または代謝状態を識別する数値的指標は、
それに関連する所与の状態(単数および/または複数)に関するバイオマーカーとして用いることができる。例えば、一部の態様において、示される生物学的状態は、以下の状態の少なくとも1つであることができる:血管新生と関連する状態、抗酸化剤と関連する状態、アポトーシスと関連する状態、心血管と関連する状態、細胞周期と関連する状態、細胞構造と関連する状態、サイトカインと関連する状態、防御応答と関連する状態、発生と関連する状態、糖尿病と関連する状態、分化と関連する状態、DNA複製および/または修復と関連する状態、内皮細胞と関連する状態、ホルモン受容体と関連する状態、葉酸受容体と関連する状態、炎症と関連する状態、中間代謝と関連する状態、膜輸送と関連する状態、神経伝達と関連する状態、癌と関連する状態、酸化的代謝と関連する状態、タンパク質成熟と関連する状態、シグナル伝達と関連する状態、ストレス応答と関連する状態、組織構造と関連する状態、転写因子と関連する状態、輸送と関連する状態、および異物代謝と関連する状態。他の特定の態様において、抗酸化および異物代謝酵素遺伝子;微小血管内皮細胞遺伝子発現;膜輸送遺伝子発現;免疫耐性;ホルモン受容体発現の転写制御;ならびに癌腫および腫瘍における薬物耐性に関する遺伝子発現パターンをヒト細胞において評価することができる。
[00215] 一部の態様において、測定すべき核酸の1種類以上は、その生物学的状態の
1つと他のもの(単数または複数)より大きい程度まで関係している。例えば、一部の態様において、評価すべき核酸の1種類以上は第1の生物学的状態と関係しており、第2の生物学的状態とは関係していない。
[00216] 核酸は、その核酸が生物学的状態と正または負のどちらかで関係している場
合、特定の生物学的状態“と関係している”と言うことができる。例えば、核酸は、その核酸が第1の生物学的状態において第2の生物学的状態と比較してより高い量で存在する場合に第1の生物学的状態と“正に関係している”と言うことができる。実例として、癌細胞において非癌細胞と比較して高度に発現している遺伝子は、癌と正に関係していると言うことができる。他方で、第1の生物学的状態において第2の生物学的状態と比較してより低い量で存在する核酸は、第1の生物学的状態と負に関係していると言うことができる。
[00217] 測定すべき、および/または数えるべき核酸は、特定の表現型と関係する遺
伝子に対応することができる。その核酸の配列は、その遺伝子の転写される領域、発現す
る領域、および/または制御領域に対応することができる(例えば、転写因子、例えば同時制御に関する転写因子の制御領域)
[00218] 一部の態様において、2個より多くの遺伝子の発現量が測定され、生物学的
状態を示す数値的指標の提供において用いられる。例えば、一部の場合において、多数の遺伝子の発現パターンを所与の表現型の状態、例えば臨床的に関連する表現型を特性付けるために用いる。一部の態様において、少なくとも約5個の遺伝子、少なくとも約10個の遺伝子、少なくとも約20個の遺伝子、少なくとも約50個の遺伝子、または少なくとも約70個の遺伝子を測定して生物学的状態を示す数値的指標を提供するために用いることができる。本発明の一部の態様において、約90個未満の遺伝子、約100個未満の遺伝子、約120個未満の遺伝子、約150個未満の遺伝子、または約200個未満の遺伝子を測定して生物学的状態を示す数値的指標を提供するために用いることができる。
[00219] 生物学的状態を示す数値的指標を提供するためにどの数学的計算を用いるか
を決定することは、当該技術で、例えば数学、統計、および/または計算の技術分野で既知のあらゆる方法により達成することができる。一部の態様において、数学的計算を決定することはソフトウェアの使用を含む。例えば、一部の態様において、機械学習ソフトウェアを用いることができる。
[00220] 数値を数学的に計算することは、数値を相互作用させるためのあらゆる方程
式、演算、式および/または公式、例えば和、差、積、商、対数、累乗および/または他の数学的計算を用いることを指すことができる。一部の態様において、数値的指標は分子を分母で割ることにより計算され、ここでその分子は1種類の核酸の量に対応し、その分母は別の核酸の量に対応する。特定の態様において、その分子は所与の生物学的状態と正に関係する遺伝子に対応し、その分母はその生物学的状態と負に関係する遺伝子に対応する。一部の態様において、評価されている生物学的状態と正に関係する1個より多くの遺伝子および評価されている生物学的状態と負に関係する1個より多くの遺伝子を用いることができる。例えば、一部の態様において、分子において正に関係する遺伝子に関する数値および分母において等しい数の負に関係する遺伝子に関する数値を含む数値的指標を得ることができる。そのような釣り合った数値的指標において、参照核酸の数値は相殺する。一部の態様において、釣り合った数値は参照核酸(単数または複数)を提供する遺伝子(単数または複数)の発現における変動の作用を中和することができる。一部の態様において、数値的指標は一連の1つ以上の数学関数により計算される。
[00221] 一部の態様において、2種類より多くの生物学的状態を比較、例えば識別す
ることができる。例えば、一部の態様において、試料はある範囲の生物学的状態、例えば疾患進行の異なる病期、例えば癌の異なる病期に対応する生物学的状態から提供され得る。癌の異なる病期における細胞には、例えば疾患過程にわたる様々な時点における所与の患者からの非癌性細胞対非転移性癌性細胞対転移性細胞が含まれる。例えば膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、結腸癌、内分泌系癌、胃腸癌、婦人科癌、頭頚部癌、白血病、肺癌、リンパ腫、転移、骨髄腫、新生物性組織、小児癌、陰茎癌、前立腺癌、肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、および尿管癌が含まれる様々なタイプの癌の癌細胞を用いることができる。好ましい態様において、どの化学療法剤が所与のタイプの癌に関して、例えば特定の患者において最高に作用することができるのかを予測するためのバイオマーカーを開発することができる。
[00222] 非癌性細胞には、血腫および/または瘢痕組織、ならびに非癌患者、例えば
癌患者と血縁の、または血縁ではない非癌患者からの形態学的に正常な実質の細胞が含まれ得る。非癌性細胞には、癌患者からの、例えば同じ組織および/または同じ器官中のその癌の部位に近い部位からの;その癌の部位からもっと離れた、例えば同じ器官系中の異なる組織および/または器官中の部位からの、またはさらにもっと離れた、例えば異なる
器官および/または異なる器官系中の部位からの形態学的に正常な実質も含まれ得る。
[00223] 得られた数値的指標はデータベースとして提供することができる。その数値
的指標および/またはデータベースは診断における、例えば臨床検査の開発および適用における使用を見出すことができる。
[00224] 診断的適用
[00225] 一部の態様において、生物学的状態を同定する方法が提供される。一部の態
様において、その方法は以下の工程を含む:試料中の2種類の核酸のそれぞれの量を測定し、および/または数え、その量を数値として提供し;そしてその数値を用いて数値的指標を提供し、それによりその数値的指標がその生物学的状態を示す。
[00226] 生物学的状態を示す数値的指標は、様々な態様に従って上記で記載したよう
に決定することができる。その試料は標本、例えば処置すべき対象から採取した標本から得ることができる。その対象は、病院、医療提供者の診療室、診療所、および/または他の健康管理および/または研究施設が含まれる臨床設定にあることができる。次いでその試料中の対象の核酸(単数または複数)の量を測定する、および/または数えることができる。
[00227] 所与の数の遺伝子を評価すべき特定の態様において、その所与の数の遺伝子
に関する発現データを同時に得ることができる。特定の遺伝子の発現パターンをデータベース中のそれらと比較することにより、その遺伝子の発現パターンを有する腫瘍が応答する可能性が最も高いであろう化学療法剤を決定することができる。
[00228] 一部の態様において、その方法を用いて、変異した内在性遺伝子の存在下で
外来性の正常な遺伝子を定量化することができる。その欠失した領域にわたるプライマーを用いて、トランスフェクションした正常な遺伝子および/または構成的な異常な遺伝子からの発現を選択的に増幅し、定量化することができる。
[00229] 一部の態様において、本明細書で記載される方法を用いて正常な発現レベル
を決定する、例えば正常な遺伝子転写産物の発現レベルに対応する数値を提供することができる。そのような態様は、少なくともその評価された遺伝子の発現に関する正常な生物学的状態を示すために用いることができる。
[00230] 正常な発現レベルは、通常は疾患、外傷、および/または他の細胞の傷害と
関係していない状態の下での転写産物の発現レベルを指すことができる。一部の態様において、正常な発現レベルは、数として、または好ましくは例えば+/−実験誤差に関する百分率の範囲内の特定の遺伝子の正常な発現の範囲に対応する数値の範囲として提供され得る。試料中の所与の核酸、例えば特定の遺伝子に対応する核酸に関して得られた数値の比較は、確立された正常な数値に対して、例えば本明細書で提供されるデータベース中のデータに対する比較により比較することができる。数値はその試料中のその核酸の分子の数を示すことができるため、この比較はその遺伝子が正常なレベルの範囲内で発現しているか否かを示すことができる。
[00231] 一部の態様において、その方法は生物学的状態を同定するために用いること
ができ、それは第1試料中の核酸の量を評価し、前記の量を数値として提供することを含み、ここで前記の数値はいくつかの他の試料の間で直接比較可能である。一部の態様において、その数値は無制限の数の他の試料と直接比較できる可能性がある。試料は異なる時点において、例えば異なる日に;同じ実験室における同じもしくは異なる時点において;および/または異なる実験室における異なる実験において評価することができる。
[00232] 療法
[00233] 一部の態様は、薬物開発を向上させる方法を提供する。例えば、内部標準の
標準化された混合物、数値のデータベース、および/または数値的指標のデータベースを用いて薬物開発を向上させることができる。
[00234] 一部の態様において、遺伝子発現の調節をこれらの段階の1つ以上において
測定して、および/または数えて候補薬物の作用を決定する。例えば、(例えば所与の段階において同定された)候補薬物を生物学的実体に投与することができる。その生物学的実体は上記で記載したような核酸を有することができるあらゆる実体であることができ、薬物開発の段階に基づいて適切に選択することができる。例えば、リード同定段階において、その生物学的実体はインビトロ培養物であることができる。臨床試験の段階において、その生物学的実体はヒトの患者であることができる。
[00235] 次いで候補薬物の遺伝子発現への作用を、例えば本発明の様々な態様を用い
て評価することができる。例えば、核酸試料をその生物学的実体から採取し、対象の核酸の量を測定する、および/または数えることができる。例えば、量は数値および/または数値的指標として提供することができる。次いである量を薬物開発の別の段階におけるその核酸の別の量と;および/またはデータベース中の数値および/または指標と比較することができる。この比較は、その薬物開発プロセスを1以上の方法で変更するための情報を提供することができる。
[00236] 薬物開発の工程を変更することは、好ましくは薬物開発に関する時間および
/または費用を低減するために、薬物を開発するプロセスにおいて1つ以上の変更を行うことを指すことができる。例えば、変更は臨床試験を層別化することを含み得る。臨床試験の層別化は、例えば患者集団を臨床試験内で区分すること、および/または特定の個人がその臨床試験に登録する、および/またはその臨床試験のその後の相に継続することができるか否かを決定することを指すことができる。例えば、患者を本発明の様々な態様を用いて決定された彼らの遺伝子構造の1つ以上の特徴に基づいて区分することができる。例えば、前臨床段階において、例えば候補薬物への応答の欠如に対応することが分かっているインビトロ培養物から得られた数値を考慮する。臨床試験の段階において、同じまたは類似の数値を示す対象はその試験における参加を免除され得る。従って薬物開発プロセスが変更され、時間および経費が節約されてきた。
[00237] キット
[00238] 本明細書で記載された内部増幅対照(IAC)/競合内部標準(IS)は、
組み合わせてキットの形態で提供することができる。一部の態様において、そのキットはIACならびに多重PCRおよび次世代配列決定(NGS)が含まれるPCRを実施するために必要な試薬を提供する。そのIACはその濃度が既知である単一の濃縮された形態で提供されてよく、または溶液中でいくつかの既知の作動濃度の少なくとも1つに系列希釈されてよい。
[00239] そのキットには、本明細書で記載されたような150種類の同定された内在
性標的のIS、または本明細書で記載されたような28種類のERCC標的のIS、または両方が含まれていてよい。これらのISは、そのISが数年間に至るまでの間安定なままであることを可能にする溶液中で提供することができる。
[00240] このキットは、その150種類の内在性標的のIS、その28種類のERC
C標的のIS、およびそれらの対応する天然標的を増幅するために特異的に設計されたプライマーも提供することができる。そのキットは、dNTP、反応緩衝液、Taqポリメ
ラーゼ、およびRNアーゼを含まない水が含まれるがそれらに限定されない1種類以上の必要なPCR試薬で満たされた1個以上の容器も提供してよい。場合によりそのような容器(単数または複数)と関係するのは、IACおよび関係する試薬の製造、使用または販売を規制する政府機関により規定された形態での告示であり、その告示は研究使用のための製造、使用または販売の機関による認可を反映する。
[00241] そのキットには、そのキット中に含まれるISを用いる多重PCRおよびN
GSが含まれるPCRを調製、実施、および分析するための適切な説明書も含まれていてよい。その説明書は、印刷物、ビデオテープ、コンピューターで読み取り可能なディスク、または光学ディスクが含まれるがそれらに限定されないあらゆる適切な形態であることができる。
[00242] この明細書において参照された特許および非特許文献が含まれる全ての刊行
物は明確に参照により本明細書に援用される。本明細書で列挙された文書のいずれの引用も、前記のいずれかが関連する先行技術であるという自認として意図されているわけではない。その日付に関する全ての記載またはこれらの文書の内容に関する表現は出願者に入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関する自認を構成することは一切ない。
[00243] 本発明は様々な好ましい態様に関連して記述されてきたが、当業者は、本発
明の本質的な範囲から逸脱することなく様々な変更を行ってよく、その要素の代わりに均等物を用いてよいことを理解するべきである。加えて、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、その本質的な範囲から逸脱することなく多くの修正を行うことができる。
[00244] 従って、本発明はこの発明を実施するために熟慮された本明細書で開示された特定の態様に限定されるのではなく、本発明には特許請求の範囲内に入る全ての態様が含まれるであろうことが意図されている。
ある態様において、本発明は以下であってもよい。
[態様1]以下の工程:
NGSライブラリー調製において対象の天然核酸標的鋳型と同一のプライミング部位を共有する内部増幅対照(IAC)を含ませ;
増幅反応において天然核酸標的の速度論を模倣し、そして
増幅効率における試料、プラットフォーム、実験、操作者および/または標的特異的変動に関して対照する;
を含む、増幅に基づく次世代配列決定(NGS)ライブラリー調製において非系統的誤差に関して対照するための方法。
[態様2]増幅に基づくNGSがPCRに基づく次世代配列決定(NGS)を含む、態様1の方法。
[態様3]以下の工程:
1種類以上の対象の天然核酸鋳型と同一のプライミング部位を共有する1種類以上の内部増幅対照(IAC)を含ませ;
標的分析物の間で存在量の収束を引き起こす一方でそれぞれの天然核酸標的鋳型のそのそれぞれのIACに対する元の比率を保持し;そして、
それぞれの標的分析物の元の存在量の表現に関する定量的情報を保持し、低い数の配列決定の読みによる定量化を可能にする;
を含む、標的分析物の存在量を制御する一方で該標的分析物の元の存在量に関する定量的情報を保持するための方法。
[態様4]以下の工程:
i)それぞれの天然核酸標的に対応する既知の数の内部増幅対照(IAC)核酸分子を含む混合物を調製し;そして
ii)工程i)のIAC混合物を天然核酸標的を含有する試料と配列決定のためのライブラリーの調製の前に、またはライブラリー調製が必要でない場合は配列決定の前に混合し;
ここでそれぞれの天然核酸標的は配列決定により同定可能である核酸配列に対する1個以上の変化を除いてそのそれぞれのIACに類似しており、かつここでそのような変化には用いられるヌクレオチドの順序または組成に対する欠失、付加、または置換の1つ以上が含まれ得る;
iii)ライブラリー調製前に該試料中に入力されたIAC核酸分子の既知の数と共に、該天然核酸標的とそのそれぞれのIACとの間の配列決定事象の比率を評価し、そして
iv)ライブラリー調製および配列決定の前の元の試料中のそれぞれの天然核酸標的の元の量を定量可能であるように決定する;
を含む、過剰に表現される天然核酸標的の過剰標本抽出および深い配列決定と関係する確率的標本抽出誤差を低減するための方法。
[態様5]工程i)における既知の数が存在量、濃度および量の1以上を含む、態様4の方法。
[態様6]工程iii)における配列決定事象が観察、計数および読みの1以上を含む、態様4の方法。
[態様7]以下の工程:
非系統的誤差および/またはシーケンサー機器特異的偏りが天然核酸標的および内部増幅対照(IAC)の両方により同様に経験されるように、ライブラリー調製前に核酸標的の試料中に内部増幅対照(IAC)を導入する;
を含む、試料中の天然核酸標的の天然核酸標的コピー数を定量可能であるように決定するための方法。
[態様8]配列決定ライブラリー調製の終了時に、それぞれの固有の天然標的の間の相対的比率が該ライブラリーにおいて等モルの存在量に向かって収束するであろう、態様7の方法。
[態様9]等モルの存在量がライブラリーにおける均一な存在量を含む、態様8の方法。
[態様10]天然核酸標的間の存在量の範囲における10倍ごとの低減に関して10倍少ない配列決定の読みが必要とされる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様11]さらに以下の工程:
内部増幅対照(IAC)を用いる配列決定を用いる核酸定量化により生成される臨床分子診断結果の実験室間比較を実施する;
を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様12]以下の工程:
i)少なくとも1種類の天然核酸標的とそのそれぞれの内部増幅対照(IAC)標準との間の配列決定事象の比率を評価し;
ii)ライブラリー調製前に試料中に入力されたIAC分子の元の数を評価し;そして
iii)元のIAC入力数に天然核酸標的/IACの比率倍を掛けることにより、ライブラリー調製および配列決定の前の該試料中のそれぞれの天然核酸標的に関する元の分子数を決定する;
を含む方法。
[態様13]方法に競合IAC分子の同じ混合物を多数の異なる試験において用いることが含まれる、態様12の方法。
[態様14]さらに以下の工程:
多数の試料、実験および/またはプラットフォームにわたって多数の天然核酸標的の高度に多重化された分析を実施する;
を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様15]天然核酸標的鋳型間の存在量が100万倍より大きく異なる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様16]天然核酸標的鋳型間の存在量が10万倍より大きく異なる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様17]天然核酸標的鋳型間の存在量が1万倍より大きく異なる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様18]天然核酸標的鋳型間の存在量が1000倍より大きく異なる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様19]さらに第1試料中の第1天然核酸標的の量を決定することを含み、以下の工程:
i)前記の第1核酸に関する競合鋳型および前記の第1試料中の第2核酸に関する競合鋳型を含む標準化された混合物を提供し、ここで前記の競合鋳型は互いと比較して既知の濃度であり;
ii)前記の第1試料を前記の標準化された混合物と組み合わせ;
iii)前記の第1核酸および前記の第1核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその第1増幅産物を生成し;
iv)前記の第1増幅産物を希釈し;
v)さらに前記の第1核酸の、および前記の第1核酸に関する前記の競合鋳型の前記の希釈した第1増幅産物を同時増幅してその第2増幅産物を生成し;そして
vi)前記の第2核酸および前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその第1増幅産物を生成する;
を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様20]第1天然核酸標的の量を決定するための方法であって、以下の工程:
i)前記の第1天然核酸鋳型に関する競合内部増幅対照(IAC)と、前記の第1天然核酸標的を含む多くの試料中に存在する第2天然核酸標的に関する競合IACとを含む一連の系列希釈された標準化された混合物を提供し、ここで前記の競合IACは互いと比較して既知の濃度であり;
ii)前記の第1天然核酸標的を含む前記の試料の1つを前記の系列希釈した標準化された混合物の1番目と組み合わせ;
iii)前記の第1天然核酸標的および前記の第1天然核酸標的に関する前記の競合IACを同時増幅してその増幅産物を生成し;
iv)第1の関係を得て、前記の第1の関係は前記の第1天然核酸標的の前記の増幅産物を前記の第1天然核酸標的に関する前記の競合IACの前記の増幅産物に対して比較し;
v)前記の第1の関係が約1:10〜約10:1の範囲内であるかどうかを決定し;そうではない場合、前記の組み合わせ、同時増幅、取得および決定工程を前記の系列希釈された標準化された混合物の2番目を用いて繰り返し;
vi)前記の第2天然核酸標的および前記の第2天然核酸標的に関する前記の競合IACを同時増幅してその増幅産物を生成し;
vii)第2の関係を得て、前記の第2の関係は前記の第2天然核酸標的の前記の増幅産物を前記の第2天然核酸標的に関する前記の競合IACの前記の増幅産物に対して比較し;そして
viii)前記の第1および前記の第2の関係を比較する;
を含む、前記方法。
[態様21]前記の第1天然核酸標的の前記の増幅産物の前記の第1天然核酸配列に関する前記の競合IACの前記の増幅産物に対する比較において、前記の第1の関係が約1:100〜約100:1、または約1:1000〜約1000:1、または約1:10,000〜約10,000:1の範囲内であるかどうかが決定され;
そうではない場合、前記の組み合わせ、同時増幅、取得および決定工程を前記の系列希釈された標準化された混合物の2番目を用いて繰り返し;
前記の第2核酸および前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型を同時増幅してその増幅産物を生成し;
第2の関係を得て、前記の第2の関係は前記の第2核酸の前記の増幅産物を前記の第2核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;そして
前記の第1および前記の第2の関係を比較する、態様21の方法。
[態様22]同時増幅反応からの産物を組み合わせ、第1ラウンドの増幅からのそれぞれの天然核酸標的および競合IAC産物を認識し、配列決定を容易にするために5’末端において遺伝子特異的バーコードプライマーおよびユニバーサルプライマーも有するプライマー対を用いて増幅の第2ラウンドにおいて増幅する、態様21の方法。
[態様23]さらに、前記の第1天然核酸標的および前記の第1天然核酸標的に関する前記の競合IACの前記の増幅産物を希釈し;そしてさらに前記の希釈された増幅産物を同時増幅してそのさらなる増幅産物を生成することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様24]さらに、前記の第2天然核酸標的および前記の第2天然核酸標的に関する前記の競合IACの前記の増幅産物を希釈し;そしてさらに前記の希釈された増幅産物を同時増幅してそのさらなる増幅産物を生成することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様25]さらに前記の第2天然核酸標的を含む混合物の一連の系列希釈を実施することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様26]前記の系列希釈の1つが前記の系列希釈された標準化された混合物の前記の1番目中の前記の第2天然核酸標的に関する前記の競合IACに対しておおよそ較正された前記の第2天然核酸標的を提供するように選択される、先行する態様のいずれかの方法。
[態様27]前記の第2天然核酸標的が第1参照核酸の役目を果たす、先行する態様のいずれかの方法。
[態様28]前記の第1参照核酸が装填に関する対照である、先行する態様のいずれかの方法。
[態様29]前記の第1参照核酸がGADP、ACTBおよびβ−アクチンから選択される少なくとも1種類の遺伝子に対応する、先行する態様のいずれかの方法。
[態様30]前記の第1参照核酸が前記の系列希釈された標準化された混合物の2つの中に2種類の異なる濃度で存在する、先行する態様のいずれかの方法。
[態様31]前記の一連の系列希釈された標準化された混合物がさらに、少なくとも10個または約10個の試料中の前記の第1天然核酸標的を評価するための十分な量の前記の競合IACを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様32]前記の一連の系列希釈された標準化された混合物がさらに他の天然核酸標的(単数または複数)に関するいくつかの他の競合IAC分子を含み、前記の競合IAC分子が互いと比較して既知の濃度であり、それにより前記の他の天然核酸標的(単数または複数)の評価を可能にする、先行する態様のいずれかの方法。
[態様33]前記の他の天然核酸標的の少なくとも1種類が第2参照核酸の役目を果たす、先行する態様のいずれかの方法。
[態様34]前記の第2参照核酸がCADP、ACTBおよびβ−アクチンから選択される少なくとも1種類の遺伝子に対応する、先行する態様のいずれかの方法。
[態様35]前記の評価がさらに以下の工程:
i)前記の第2参照核酸および前記の第2参照核酸に関する前記の競合IACを同時増幅してその増幅産物を生成し;
ii)第3の関係を得て、前記の第3の関係は前記の第2参照核酸の前記の増幅産物を前記の第2参照核酸に関する前記の競合鋳型の前記の増幅産物に対して比較し;そして、
iii)前記の第1および前記の第3の関係を比較する;
を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様36]前記の一連の系列希釈された標準化された混合物がさらに10個より多い、または約10個の試料中の前記の他の天然核酸標的(単数または複数)を評価するための十分な量の前記の数の他の競合IAC(単数または複数)を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様37]前記の第1天然核酸標的および前記の他の天然核酸標的(単数または複数)の量が2桁より大きい、または約2桁の範囲にわたって異なっている、先行する態様のいずれかの方法。
[態様38]前記の第1天然核酸標的に関する前記の競合IACが前記の第2天然核酸標的に関する前記の競合IACと比較した一連の濃度で存在する、先行する態様のいずれかの方法。
[態様39]前記の第1または前記の第2の関係を得ることが、微少流体装置、キャピラリー電気泳動、オリゴヌクレオチドアレイ、質量分析、またはクロマトグラフィーの使用を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様40]前記の標準化された混合物がcDNA装填、核酸内増幅効率、核酸間増幅効率、標本間増幅効率、試料間増幅効率、および試料内増幅効率から選択される少なくとも2つの変動の源に関して対照する、先行する態様のいずれかの方法。
[態様41]前記の系列の前記の標準化された混合物の少なくとも1つが前記の試料の1つにおける1,000分子未満または約1,000分子の前記の第1天然核酸標的を数えることができる、先行する態様のいずれかの方法。
[態様42]前記の方法がコンピューターで実施される、先行する態様のいずれかの方法。
[態様43]前記のコンピューターでの実施がロボット取扱者に前記の系列希釈された標準化された混合物の前記の1番目を組み合わせに関して選択するように指示することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様44]前記のコンピューターでの実施が前記の第1の関係を得ることを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様45]前記の前記の第1の関係を得ることが曲線下面積を決定することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様46]前記のコンピューターでの実施が前記のロボット取扱者に前記の第1の関係に基づいて前記の系列希釈された標準化された混合物の前記の2番目を選択するように指示することを含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様47]前記の第1核酸がRNA分子を含む、先行する態様のいずれかの方法。
[態様48]前記の第1天然核酸標的がDNA分子を含む、先行する態様のいずれかの方法。

Claims (6)

  1. 標的分析物の存在量を制御する一方で該標的分析物の元の存在量に関する定量的情報を保持するための方法であって、以下の工程:
    種類以上の対象の天然核酸鋳型のそれぞれについて同一のプライミング部位および増幅速度論を共有するが、配列決定により同定可能な1個以上の差異を伴う種類以上の内部増幅対照(IAC)を含ませ;
    より低い存在量の標的分析物に対してより高い存在量の標的分析物の増幅を制限するプライマー濃度で多重PCRを行うことにより、標的分析物の間で存在量の収束を引き起こす一方でそれぞれの天然核酸標的鋳型のそのそれぞれのIACに対する元の比率を保持し、ここにおいて当該プライマー濃度に対するPCR産物濃度は、高い初期存在量の標的のPCR効率を、低い初期存在量の標的の場合よりも少ないPCRサイクル後に制限し始める;そして、
    それぞれの標的分析物の元の存在量の表現に関する定量的情報を保持し、低い数の配列決定の読みによる低存在量標的および高存在量標的の両方の定量化を可能にする;
    を含む、前記方法。
  2. 天然核酸標的間の存在量の範囲における10倍ごとの低減に関して10倍少ない配列決定の読みが必要とされる、請求項1に記載の方法。
  3. さらに以下の工程:
    内部増幅対照(IAC)を用いる配列決定を用いる核酸定量化により生成される臨床分子診断結果の実験室間比較を実施する;
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 標的分析物の存在量を制御する一方で該標的分析物の元の存在量に関する定量的情報を保持するための方法であって、以下の工程:
    種類以上の対象の天然核酸鋳型のそれぞれについて同一のプライミング部位および増幅速度論を共有するが、配列決定により同定可能な1個以上の差異を伴う種類以上の内部増幅対照(IAC)を含ませ;
    他の反応成分が消費される前にPCRの各標的産物濃度がプラトー相を生じるために、
    反応混合物において十分に低い濃度のプライマー濃度入力で多重PCRを行うことにより、標的分析物の間で存在量の収束を引き起こす一方でそれぞれの天然核酸標的鋳型のそのそれぞれのIACに対する元の比率を保持し、それにより多重PCRの終点において増幅された標的の濃度の収束を生じる;そして、
    反応混合物中に存在する内部増幅対照(IAC)の正規化を介して、それぞれの標的分析物の元の存在量の表現に関する定量的情報を保持し、低い数の配列決定の読みによる低存在量標的および高存在量標的の両方の定量化を可能にする;
    を含む、前記方法。
  5. 反応成分がdNTPを含む、請求項4に記載の方法。
  6. プライマー濃度が、50nMから1μMの範囲である、請求項1または4に記載の方法。
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