以下、本発明の実施形態に係る電源管理回路1を図1〜図11を用いて説明する。以下では、電源管理回路1を含む画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(複合機100の概要)
まず、図1に基づき、本発明の実施形態に係る複合機100を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の複合機100は、上部に画像読取部2aと原稿搬送部2bが設けられる。又、破線で示すように、複合機100の正面上部に操作パネル2cが備えられる。又、機体内には、印刷部3を含む。印刷部3は、給紙部3a、オプション給紙装置3b、搬送部3c、画像形成部3d、定着部3eを含む。
まず、原稿搬送部2bは、使用者によりセットされた原稿を、原稿の読み取り位置まで搬送する。画像読取部2aは、原稿搬送部2bが搬送する原稿や、画像読取部2a上面に載置された原稿を読み取り、画像データを生成する。操作パネル2cは、表示部を含み、使用者に対するメッセージを表示する。また、操作パネル2cには、表示部に対するタッチパネル部やハードキーが設けられ、使用者の設定入力やジョブ実行指示を受け付ける。
給紙部3aは、印刷に用いる用紙を供給する。搬送部3cに供給される。尚、給紙部3aの下段の給紙カセットは、オプション給紙装置3bである。オプション給紙装置3bも、給紙部3aと同様に印刷に用いる用紙を供給する。搬送部3cは、用紙を排出トレイ31に向けて搬送する。画像形成部3dは、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。定着部3eは用紙に転写されたトナー像を定着させる。
(複合機100のハードウェア構成)
次に、図2に基づき、実施形態に係る複合機100のハードウェアを説明する。図2は、実施形態に係る複合機100のハードウェアの一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る複合機100は、主制御部4(主制御基板)を有する。主制御部4は、装置全体の動作を統括し、複合機100の各部の制御を司る。そして、主制御部4には、例えば、中央演算処理装置としてCPU40などが設けられる。主制御部4と各部分との通信のため、通信バス41や信号線が設けられる。尚、図2では、通信バス41の形態で、主制御部4と各部を接続する形態を示しているが、個別に信号線で主制御部4と各部を接続してもよい。主制御部4は、記憶部42と通信可能に接続される。記憶部42はROM42a、RAM42b、HDD42cのような記憶装置を含む。主制御部4は記憶部42に記憶されたデータやプログラムに基づき制御を行う。
又、主制御部4は、原稿搬送部2b、画像読取部2a、操作パネル2cと通信可能に接続される。主制御部4は、原稿搬送部2bや画像読取部2aに指示を与える。この指示を受けて、原稿搬送部2bは、原稿の搬送を、画像読取部2aは、原稿読取を実際に制御する。又、主制御部4は、操作パネル2cの表示部の表示内容の指示を与え、表示部はこれに応じた表示を行う。また、操作パネル2cでなされた設定を示すデータが主制御部4に送られ、主制御部4は、使用者の設定どおりに動作するように複合機100を制御する。
又、主制御部4は、オプション給紙装置3bを含む印刷部3と接続される。尚、印刷部3の動作を実際に制御するエンジン制御部を別途設け、主制御部4は、エンジン制御部に指示を与えることにより、印刷部3の動作を制御するようにしてもよい。又、複合機100は、外部との通信インターフェイスとしての通信部43を含む。通信部43は、例えば、外部のコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューター)と、ネットワークやケーブルにより、通信可能に接続される。そして、複合機100は、コンピューター200から画像データを含む印刷用データを受け印刷を行う(プリンタ機能)。又、原稿読取で得られた画像データを複合機100からコンピューター200に送信できる(スキャナ機能)
又、主制御部4は、複合機100に内蔵される1次電源部44と通信可能に接続され、1次電源部44の動作を制御することができる。電源ケーブルをコンセントに接続することにより、1次電源部44は、商用電源から電力の供給を受ける状態となる。そして、商用電源から電力の供給を受ける状態で、1次電源部44は、整流や平滑化を行い、複合機100内に搬送用のローラー対や、各種回転体を回転させるモーター駆動用の電圧など、1又は複数種の直流電圧を生成する(例えば、DC24V)。
(電源管理回路1)
次に、図3を用いて、実施形態に係る電源管理回路1の一例を説明する。図3は、実施形態に係る電源管理回路1の一例を示す図である。
複合機100(画像形成装置)は、電源管理回路1を含む。電源管理回路1は、例えば、ASICのような集積回路である。電源管理回路1は、内部に、管理制御部10、モード信号受信部11、タイミング調整用メモリー12、計時部13(カウンター)、状態監視部14、信号出力部15などを含む。
モード信号受信部11は、外部からのモードを指示する信号を受信する回路である。まず、本実施形態の複合機100では、主電源スイッチ100sが設けられる。主電源スイッチ100sは、複合機100の側面や正面や操作パネル2cに設けられる。そして、主電源スイッチ100sは、主電源のON(投入)とOFF(遮断)を行うために使用者によって操作されるスイッチである。主電源スイッチ100sによって複合機100の主電源が投入されたとき、主電源スイッチ100sとモード信号受信部11との間の信号線の状態が変化する。これにより、モード信号受信部11は、主電源ONを通知する主電源ON信号S1を受信する。モード信号受信部11から管理制御部10に、主電源ON信号S1を受信した旨が伝えられる。そして、管理制御部10は、複合機100を主電源ONモード(通常モード、主電源ONによる起動処理を行うモード)にすべきと認識する。
また、主電源スイッチ100sによって複合機100の主電源が落とされたとき、主電源スイッチ100sとモード信号受信部11との間の信号線の状態が変化する。これにより、モード信号受信部11は、主電源OFFを通知する主電源OFF信号S2を受信する。モード信号受信部11から管理制御部10に、主電源OFF信号S2を受信した旨が伝えられる。そして、管理制御部10は、複合機100を主電源OFFモードにすべきと認識する。
また、モード信号受信部11は、外部から、画像形成装置内の給電対象(回路、CPU40、基板、素子、センサーなどのような各種給電対象)のうち、所定の給電対象(供給停止部分)への電力供給を停止させる省電力モードへの移行を指示する移行信号S3を受信する。モード信号受信部11から管理制御部10に、移行信号S3を受信した旨が伝えられる。そして、管理制御部10は、複合機100を省電力モードにすべきと認識する。
ここで、省電力モードへの移行について説明する。省電力モードは、複合機100のうち予め定められた供給停止部分への電力供給を停止し、待機状態の複合機100の消費電力を小さくするモードである。そして、例えば、操作パネル2cに節電キー21が設けられる。節電キー21は、複合機100の主電源が投入されている状態で、複合機100を省電力モードに移行させるためのキーである。節電キー21が操作されると、節電キー21とモード信号受信部11との間の信号線の状態が変化する。これにより、モード信号受信部11は、移行信号S3を受信する。
また、主制御部4は、所定の省電力モード移行条件が満たされたとき、移行信号S3をモード信号受信部11に送る。例えば、主制御部4は、印刷ジョブが終了してから、又は、主電源投入や省電力モードからの復帰に伴う起動完了時点から、操作パネル2cなどに対する使用者の操作がないまま予め定められた省電力モード移行時間(例えば、数十秒〜数分、操作パネル2cで設定可能)が経過したとき、省電力モード移行条件が満たされたと判断する。そして、主制御部4は、移行信号S3をモード信号受信部11に送信する。
また、モード信号受信部11は、外部から、供給停止部分に対応する電源デバイス5の電力供給の再開(省電力モードの解除、通常モードへの移行)を指示する解除信号S4を受信する。モード信号受信部11は、管理制御部10に、解除信号S4を受信した旨を伝える。そして、管理制御部10は、複合機100の省電力モードを解除し、複合機100のモードを通常モードにすべきと認識する。通常モードは、供給停止部分への電力供給を再開し、複合機100の機能(コピー、プリント、スキャン等)を全て使える状態にするモードである。
例えば、操作パネル2cの節電キー21や主電源スイッチ100sが操作されると、各キーとモード信号受信部11との間の信号線の状態が変化する。これにより、モード信号受信部11は、解除信号S4を受信する。また、主制御部4は、所定の省電力モード解除条件が満たされたとき、解除信号S4をモード信号受信部11に送る。例えば、主制御部4は、操作パネル2cに対する操作や、センサー(不図示)によって原稿搬送部2bの開閉や原稿のセットを認識すると、省電力モード解除条件が満たされたと判断する。そして、主制御部4は、解除信号S4をモード信号受信部11に送信する。
モード信号受信部11が受信する信号に基づき、管理制御部10は、複合機100のモード(状態)を記憶する。管理制御部10は、例えば、モードを記憶するためのモードレジスタ10aを含む。管理制御部10は、複合機100のモードが変更されるたびに、モードレジスタ10aの値を更新して、複合機100の最新の状態を示す値を記憶させる。
タイミング調整用メモリー12は、通電タイミングデータD1と遮断タイミングデータD2を記憶する。タイミング調整用メモリー12は、例えば、不揮発性の半導体メモリーである。なお、レジスタでもよい(この場合、主電源投入時などに記憶部42から通電タイミングデータD1と遮断タイミングデータD2を取得する)。尚、通電タイミングデータD1と遮断タイミングデータD2の詳細は後述する。
計時部13は、カウンターであり、時間を測るための回路である。計時部13には、電源管理回路1の内部、又は、外部に設けられるクロック生成回路13aにより生成されるクロック信号が入力される。計時部13は、クロック信号をカウントすることで時間を測る。例えば、計時部13は、主電源ON信号S1、主電源OFF信号S2、移行信号S3、解除信号S4の何れかが入力されると、ゼロからカウントを始める。管理制御部10や状態監視部14は、計時部13と通信を行い、カウント値に基づき、各種信号(主電源ON信号S1、主電源OFF信号S2、移行信号S3、解除信号S4)が入力されてから現時点までの時間を認識する。そして、管理制御部10は、各種信号が入力されてから、各電源デバイス5について定められた時間が経過すると、対応する電源デバイス5に通電信号S5又は遮断信号S6を入力する。
(電源管理回路1の電源デバイス5の制御の概要)
次に、図4を用いて、電源管理回路1の電源デバイス5の制御について説明する。図4は、実施形態に係る複合機100での電力供給系統の一例を示す図である。
複合機100内には、複数種の回路、素子、基板といった電力供給(電圧印加)を行うべき給電対象が設けられる。給電対象ごとに印加するのに適切な電圧の大きさは決まっている。実際には更に多いが、便宜上、図4では、給電対象として、主制御部4のCPU40、記憶部42、通信バス41、オプション給紙装置3bなどを例に挙げている。また、原稿搬送部2b、画像読取部2a、操作パネル2c、印刷部3の各部、通信部43、オプション給紙装置3b以外のオプション装置や、これらの部分に含まれる基板や回路が給電対象となり得るが、説明の都合上、図示を省略している。
例えば、図4に示すように、給電対象としてのCPU40に対しては、複数種の電圧を入力することが求められる場合がある。図4の例では、CPU40のコア40a用に2種類、CPU40のI/O回路40b用に1種類、計3種類の電圧をCPU40に印加、入力する例を示している。尚、CPU40の種類によっては、4種類以上の電圧値の入力が求められる場合もある。また、例えば、図4に示すように、記憶部42の半導体メモリー(例えば、RAM42bのメモリーチップ42d、メモリーチップ42dのコントローラー、メモリーチップ42dの動作の設定用レジスタ42eなどを含む)には、2種類以上の電圧値を入力することが必要な場合もある。図4の例では、半導体メモリーの電源電圧と参照用の電圧の2種類を記憶部42に入力する例を示している。尚、記憶部42のHDD42cなどを考慮すると、3種類以上の電圧値を、記憶部42に入力する必要がある場合もある。このように、生成すべき電圧値の種類数や大きさは、用いる給電対象によって異なる。
これらの給電対象への電力供給のON/OFF(電力の供給と電力供給の停止)を行うために電源デバイス5が設けられる。電源デバイス5は、DCDCコンバーター6やFET7(トランジスタ)である。
仕様上求められる大きさの電圧を各給電対象に入力するために、DCDCコンバーター6が電源デバイス5として設けられる。各DCDCコンバーター6は、1次電源部44が生成する電圧を降圧するなどして、所定の電圧を出力する。図4に示す例では、CPU40に入力する電圧を生成し、CPU40に電力供給を行う電源デバイス5として、第1DCDCコンバーター61、第2DCDCコンバーター62、第3DCDCコンバーター63を設ける例を示している。各DCDCコンバーター6が生成する電圧の大きさは異なる。また、図4では、記憶部42に入力する電圧を生成し、記憶部42に電力供給を行う電源デバイス5として、第4DCDCコンバーター64、第5DCDCコンバーター65を設ける例を示している。また、更に、図示しない給電対象に適切な大きさの電圧値を入力するため、6つ以上のDCDCコンバーター6を設けてもよい(図4では、第nDCDCコンバーターとして図示)。
また、各DCDCコンバーター6が生成する電圧を分岐し、他の給電対象に入力する場合には、分岐された電源ライン上にFET7(トランジスタの一種)が設けられる。このFET7も電源デバイス5として設けられる。言い換えると、DCDCコンバーター6に複数の給電対象を並列に接続するとき、給電対象の上流側にFET7が設けられる。このFET7のON/OFFにより、FET7に接続される給電対象への電力の供給とその停止を制御することができる。
図4では、第1DCDCコンバーター61の出力を分岐し、通信バス41に入力する電源ライン上に第1FET71を設ける例を示している。また、図4では、第2DCDCコンバーター62の出力を分岐し、オプション給紙装置3bに電力供給を行う電源ライン上に第2FET72を設け、第1DCDCコンバーター61の出力を分岐し、オプション給紙装置3bに電力供給を行う電源ライン上に第3FET73を設ける例を示している。また、設けるFET7の数は、3つとは限られず、実際には、更に多くのFET7がとして設けられる(図4では、第nFETとして図示)。
電源管理回路1の信号出力部15は、各DCDCコンバーター6や各FET7に対して通電信号S5と遮断信号S6を出力する。給電対象に電力供給を行うモードでは、信号出力部15は、各DCDCコンバーター6に対しては、駆動して電圧生成を行うべき旨の信号を、FET7に対しては、FET7を導通(ON)すべき旨の信号を通電信号S5として出力する。一部の給電対象への電力供給を停止するモードでは、信号出力部15は、各DCDCコンバーター6に対しては、駆動を停止して電圧生成を行わない旨の信号を、FET7に対しては、FET7を遮断(OFF)すべき旨の信号を遮断信号S6として出力する。
(主電源ON時の電源管理回路1による各電源デバイス5のON制御)
次に、図4、図5を用いて、主電源のON時の電源管理回路1による各電源デバイス5のON制御を説明する。図5は、実施形態に係る通電タイミングデータD1の一例を示す図である。
例えば、CPU40のコア40aに電圧を印加していない状態で、CPU40のI/Oに電圧を印加するとコア40aに向けて電流が流れ、好ましくない場合がある。また、RAM42bのようなメモリーでは、参照用の電圧を入力すべきあるタイミングが定められいる場合もある。また、電源デバイス5のONを不適切な順序で行うと、電力供給がなされていない状態では電流が流れ込むと故障する部分に、既に電力供給がなされている部分から電流が流れ込む場合もある。
また、電源デバイス5のONの順序に配慮しても、主電源がONされたとき、各DCDCコンバーター6のON間隔が短いと、後の順序のDCDCコンバーター6の出力が先に前の順序のDCDCコンバーター6より大きくなり、結果として、守るべき順序どおりに、給電対象に電圧が印加されない場合がある。
そこで、本実施形態の複合機100では、回路、素子、基板といった給電対象で故障やエラーといった問題が生じないように、給電対象に電力を供給する順序とタイミングが定められる。言い換えると、主電源がONされたとき、電源デバイス5をONする順序とタイミングが予め定められる。
具体的に、図5に示すような通電タイミングデータD1が定められ、タイミング調整用メモリー12に記憶される。通電タイミングデータD1は、主電源ON信号S1を受信したとき、電源デバイス5に電力供給を行わせる順序(電源デバイス5のONの順序)と主電源ON信号S1を受信したときから電源デバイス5をONする旨の通電信号S5を出すまでの第1所要時間を、それぞれの電源デバイス5に対して定めたデータである。
計時部13は、主電源ON信号S1を受信したときから計時(カウント)を開始する。そして、通電タイミングデータD1では、各電源デバイス5について主電源ON信号S1を受信して計時を開始した時点から、電源デバイス5のONを指示する通電信号S5を信号出力部15から出力するまでの時間(カウント値)が定められている。そして、管理制御部10は、主電源ON信号S1をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、通電タイミングデータD1に定められた順序と時間で、それぞれの電源デバイス5に向け通電信号S5を出力させる。
図5は、主制御部4のCPU40から、次いで、記憶部42に電力供給を行う形式の通電タイミングデータD1を例示している。図5の通電タイミングデータD1では、上側の行の電源デバイス5から通電信号S5を出力していくことが定められている(C11<C12<C13<C14・・・<C1nの関係)。そして、各DCDCコンバーター6や各FET7の出力の立ち上がりに要する時間などを考慮して、各電源デバイス5の第1所要時間が定められる。第1所要時間は、計時部13のカウント値で定められ、主電源ON信号S1の受信から通電信号S5を出力する時間に相当するカウント値が定義される。例えば、各電源デバイス5のONの間隔は、数十ミリ秒から数百ミリ秒の範囲で設定される。
(主電源のOFF時の電源管理回路1による各電源デバイス5のOFF制御)
次に、図4、図6を用いて、主電源のOFF時の電源管理回路1による各電源デバイス5のOFF制御を説明する。図6は、実施形態に係る遮断タイミングデータD2の一例を示す図である。
例えば、主電源のOFFがなされたとき、主制御部4は、記憶部42の不揮発性メモリーに、予め定められたデータ(例えば、履歴やメンテナンスに用いるデータ)を記憶させる。主電源のOFFがなされたとき、最初に記憶部42への電力供給を停止すると、データの記憶を完遂できない場合がある。また、電力供給を停止する場合でも、各電源デバイス5のOFFを不適切な順序で行うと、電圧が印加されていない状態で電流が流れ込むと故障する部分にまだ電力が供給されている部分から電流が流れ込む場合もある。
また、各電源デバイス5のOFFの順序に配慮しても、各DCDCコンバーター6の駆動停止間隔が短すぎると、DCDCコンバーター6内のコンデンサーやコイルによって、蓄えるエネルギーの差によって、先に駆動を停止させたDCDCコンバーター6の出力が十分に小さくなる前に、後に駆動が停止されたDCDCコンバーター6の出力電圧がグランドに到る場合もある。
そこで、本実施形態の複合機100では、回路、素子、基板といった給電対象で故障やエラーといった問題が生じないように、給電対象への電力供給を停止する順序と、タイミングが定められる。言い換えると、主電源がOFFされたとき、各電源デバイス5をOFFする順序とタイミングが予め定められる。
具体的に、図6に示すような遮断タイミングデータD2が定められ、タイミング調整用メモリー12に記憶される。遮断タイミングデータD2は、主電源OFF信号S2を受信したとき、電源デバイス5を停止させる順序と主電源OFF信号S2を受信したときから電源デバイス5をOFFする旨の遮断信号S6を出すまでの第2所要時間を、それぞれの電源デバイス5に対して定めたデータである。
計時部13は、主電源OFF信号S2を受信したときから計時(カウント)を開始する。そして、遮断タイミングデータD2では、各電源デバイス5について主電源OFF信号S2を受信して計時を開始した時点から電源デバイス5をOFFさせるために遮断信号S6を信号出力部15から出力するまでの時間(カウント値)が定められている。そして、管理制御部10は、主電源OFF信号S2をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、遮断タイミングデータD2に定められた順序と時間で、それぞれの電源デバイス5に向け遮断信号S6を出力させる。
図6は、主電源ON時とは逆順で電力供給を停止させていく形式の遮断タイミングデータD2を例示している。図6の遮断タイミングデータD2では、上側の行に定義された電源デバイス5から遮断信号S6を出力していくことが定められる。そして、各DCDCコンバーター6の出力の立ち下がりに要する時間などを考慮して、各電源デバイス5の第2所要時間が定められる。第2所要時間も、計時部13のカウント値として定められ、主電源OFF信号S2の受信から遮断信号S6を出力する時間に相当するカウント値が定義される。例えば、各電源デバイス5のOFFの間隔は、数十ミリ秒から数百ミリ秒の範囲で設定される。
(省電力モード解除時の電源管理回路1による各電源デバイス5のON制御)
次に、図4、図5を用いて、省電力モード解除時の電源管理回路1による各電源デバイス5のON制御を説明する。図5は、実施形態に係る通電タイミングデータD1の一例を示す図である。
省電力モードでは、複合機100の給電対象のうち、予め定められた供給停止部分への電力供給が停止される。そして、省電力モードが解除されると、供給停止部分への電力供給が再開される。そして、複合機100は通常モードとなる。この省電力モードから通常モードへの復帰のとき、電力供給の再開を不適切な順序で行うと、電力供給がまだ再開されていない部分に、不要な電流が流れこむ場合がある。また、通常モードへの復帰の時でも、供給停止部分に対応する電源デバイス5をONする間隔は問題が生じないように確保されなくてはならない。
そこで、本実施形態の複合機100では、省電力モードが解除されたときも、何れかの給電対象で故障やエラーといった問題が生じないように、各供給停止部分に電力供給を再開する順序とタイミングが定められる。言い換えると、省電力モードから通常モードに遷移するとき、供給停止部分に電力供給を再開する電源デバイス5のONの順序とタイミングが予め定められる。
具体的に、図5に示すように、通電タイミングデータD1では、解除信号S4を受信したとき、所定の電源デバイス5(供給停止部分に対応する電源デバイス5)に電力供給を再開させる順序と、解除信号S4を受信したときから供給停止部分に対応する電源デバイス5に通電信号S5を出すまでの第3所要時間が、電力供給を停止していた電源デバイス5のそれぞれについて定められる。
計時部13は、解除信号S4を受信したときから計時(カウント)を開始する。そして、通電タイミングデータD1では、各電源デバイス5について、解除信号S4を受信して計時を開始した時点から、供給停止部分に対応し、電力供給を再開させる電源デバイス5をONさせるために通電信号S5を信号出力部15から出力するまでの時間(カウント値)が定められている。そして、管理制御部10は、解除信号S4をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、通電タイミングデータD1に定められた順序と時間にあわせ、それぞれの電力供給を停止していた電源デバイス5に向け通電信号S5を信号出力部15に出力させる。
ここで、本実施形態の複合機100では、省電力モードに移行しても、CPU40やメモリーは低電力状態で駆動を続け、電力供給は停止されない。そのため、電源管理回路1は、第1DCDCコンバーター61〜第5DCDCコンバーター65は、駆動を続けさせる。一方、省電力モードでは、オプション給紙装置3bなどへの電力供給は停止される。そのため、図5は、省電力モードを解除するとき、CPU40や記憶部42は供給停止部分ではないので、主に、各FET7をONしていく内容の通電タイミングデータD1を例示している。
(省電力モード移行時の電源管理回路1による各電源デバイス5のOFF制御)
次に、図4、図6を用いて、省電力モード移行時の電源管理回路1による各電源デバイス5のOFF制御を説明する。図6は、実施形態に係る遮断タイミングデータD2の一例を示す図である。
省電力モードでは、複合機100のうち、予め定められた供給停止部分への電力供給が停止される。この通常モードから省電力モードへの移行のとき、供給停止部分への電力供給の停止を不適切な順序で行うと、電力供給が停止された給電対象に不要な電流が流れこんでしまう場合がある。
そこで、本実施形態の複合機100では、各給電対象で故障やエラーといった問題が生じないように、省電力モードに移行するときについても、各供給停止部分への電力供給を停止する順序とタイミングが定められる。言い換えると、通常モードから通省電力モードに遷移するとき、供給停止部分に対応する電源デバイス5のOFFの順序とタイミングが予め定められる。
具体的に、図6に示すように、遮断タイミングデータD2では、移行信号S3を受信したとき、所定の電源デバイス5(供給停止部分に対応する電源デバイス5)に電力供給を停止させる順序(OFFする順序)と、移行信号S3を受信したときから遮断信号S6を出すまでの第4所要時間が、供給停止部分に対応する電源デバイス5のそれぞれについて定められる。
計時部13は、移行信号S3を受信したときから計時(カウント)を開始する。そして、遮断タイミングデータD2では、移行信号S3を受信して計時を開始した時点から、電源デバイス5をOFFさせるために遮断信号S6を信号出力部15から出力するまでの時間が、カウント値として定められる。そして、管理制御部10は、移行信号S3をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時と遮断タイミングデータD2に定められた順序と時間にあわせ、電力供給を停止させるそれぞれの電源デバイス5に向けての遮断信号S6を信号出力部15に出力させる。
ここで、本実施形態の複合機100では、省電力モードに移行しても、CPU40やメモリーは低電力状態で駆動を続け、電力供給は停止されない。そのため、電源管理回路1は、第1DCDCコンバーター61〜第5DCDCコンバーター65は、駆動を続けさせる。一方、省電力モードでは、オプション給紙装置3bなどへの電力供給は停止される。そのため、図6に示す遮断タイミングデータD2では、省電力モードで電力供給が続けられる部分に対応する電源デバイス5に対しては、第4所要時間は定められない。
(電源デバイス5の出力の監視)
次に、図7〜図9を用いて、実施形態に係る電源管理回路1での各電源デバイス5の出力の監視を説明する。図7は、実施形態に係る電源管理回路1での状態監視部14の一例を示す図である。図8は、実施形態に係る期待値の一例を示す図である。図9は、DCDCコンバーター6の出力の立ち上がりの一例を示す図である。
図7に示すように、電源管理回路1には、各電源デバイス5の出力電圧の大きさを認識する状態監視部14が設けられる。状態監視部14には、それぞれの電源デバイス5の出力が入力される。そして、状態監視部14は、例えば、A/D変換部14aを含み、それぞれの電源デバイス5の状態(出力電圧値の大きさ)を認識する。
そして、図8に示すように、状態監視部14は、ONされたときの各電源デバイス5の出力電圧値の期待値を定めた期待値データD3を記憶し、保持している。状態監視部14は、内部に設けられる不揮発メモリーに期待値データD3を記憶してもよい。あるいは、期待値データD3をタイミング調整用メモリー12に不揮発的に記憶させておき、状態監視部14は、期待値データD3をタイミング調整用メモリー12から取得し、内部のレジスタやメモリーに保持するようにしてもよい。
期待値は、各電源デバイス5の適切な出力電圧値の範囲(電源デバイス5に接続される各給電対象の仕様上の入力電圧範囲)として定められる。あるいは、期待値は、電源デバイス5の出力電圧値として、許容できる最低値として定めても良い。状態監視部14は、期待値データD3の値と、各電源デバイス5の出力電圧値とを比較する。そして、状態監視部14は、ON状態の電源デバイス5の出力電圧値が期待値になっているか否かを認識する。
ここで、DCDCコンバーター6は接続される負荷(出力先)により、出力電圧の立ち上がり速度に差がでる。例えば、オプション装置が増設されると、オプション装置に電力を供給するDCDCコンバーター6の出力電圧値の立ち上がりは、負荷容量の増加によって、増設前に比べて遅くなる。例えば、オプション給紙装置3bは、複数段重ねて増設可能であるところ、オプション給紙装置3bが一気に複数段増設されたとき、オプション給紙装置3bに電力供給を行うDCDCコンバーター6(図4の例では、第2DCDCコンバーター62、第3DCDCコンバーター63)の出力電圧値が期待値に到るまでの時間は、増設前よりも長くなる。
図9のグラフの縦軸は、DCDCコンバーター6の出力電圧値、横軸は時間を示す。そして、V0は、期待値の一例を示す。また、T0は、DCDCコンバーター6に通電信号S5が入力された時点を示す。T1は、ある負荷のときのDCDCコンバーター6の出力電圧値が期待値に到達する時点の一例を示す。T2は、T1のときよりもDCDCコンバーター6に接続される給電対象の負荷容量が大きいときのDCDCコンバーター6の出力電圧値が期待値に到達する時点の一例を示す。T2の時点は、T1の時点よりも遅い。
ここで、DCDCコンバーター6の出力電圧値が期待値に到達するまでの時間が長くなる方向に変動すると、通電タイミングデータD1に沿って通電信号S5を出力した場合、期待値に到る前の時点で、次の順序の電源デバイス5のON(通電信号S5の出力)がなされる場合がある(図9では、この時点の一例をT3で示している)。そのため、給電対象への電圧印加が順序通りになされない場合は生じ得る。順序通りに電圧を印加するには、図9のグラフでのT2とT3の時間差Tdだけ、次の順序の電源デバイス5に通電信号S5を出力する時点を遅らせる必要がある。
そこで、状態監視部14は、図8に示すような電源デバイス5の出力の期待値をそれぞれの電源デバイス5について定めた期待値データD3を保持する。そして、主電源ON信号S1を受信したことによる複合機100の起動時や、解除信号S4を受信したことによる通常モードへの復帰時、状態監視部14は、次の順序の電源デバイス5への通電信号S5を出力すべき時点である予定時点までに、現在の順序の電源デバイス5(通電信号S5の入力を開始した電源デバイス5のうち、通電信号S5を入力してからの時間が最も短い電源デバイス5)が期待値になっているか否かを監視する。状態監視部14は、通電タイミングデータD1から次の電源デバイス5に通電信号S5を出力するまでの時間を認識し、予定時点を把握できる。そのため、状態監視部14は、タイミング調整用メモリー12の記憶内容を確認してもよいし、タイミング調整用メモリー12から通電タイミングデータD1を取得し、内部のレジスタやメモリーに保持するようにしてもよい。
そして、予定時点までに現在の順序の電源デバイス5が期待値になっているとき、状態監視部14は、その旨を管理制御部10に伝える。この場合、管理制御部10は、信号出力部15に、通電タイミングデータD1に基づいて(通電タイミングデータD1どおりに)次の順序の電源デバイス5に向けて、通電信号S5を出力させる。
一方、予定時点までに現在の順序の電源デバイス5が期待値になっていないとき、状態監視部14は、その旨を管理制御部10に伝える。この場合、管理制御部10は、期待値になるまで次の順序以降の電源デバイス5に通電信号S5を出力する時間を信号出力部15に延長させる。そして、管理制御部10は、現在の順序の電源デバイス5が期待値になった旨の通知を状態監視部14から受けてから、次の順序の電源デバイス5への通電信号S5を信号出力部15に出力させる。また、管理制御部10は、次の次の順序以降の電源デバイス5に対しては、通電タイミングデータD1に定められた時間よりも、少なくとも延長した時間分遅らせて、通電信号S5を信号出力部15に出力させる。
(通電タイミングデータD1の調整)
次に、図10を用いて、通電タイミングデータD1の調整を説明する。図10は調整後の通電タイミングデータD1の一例を示す図である。
上述のように、電源デバイス5の出力電圧は、給電対象の増設、変更などによる負荷の容量変化(増加)、環境温度などの影響を受ける。そのため、出力電圧値が期待値まで上昇するのに要する時間が変化することがある。そこで、管理制御部10は、遅延があったとき、通電タイミングデータD1の調整を行い、調整後の通電タイミングデータD1をメモリーに書き換えさせる。
具体的に、主電源ON信号S1の受信に基づいて通電信号S5を出力していく間に延長したとき、管理制御部10は、通電信号S5の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第1所要時間に、延長した時間分を加算して通電タイミングデータD1をメモリーに書き換えさせる。言い換えると、主電源ONに伴う起動時に延長があったとき、管理制御部10は、通電タイミングデータD1のうち、通電信号S5の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第1所要時間について定めた部分を書き換えさせる。
図10では、第2DCDCコンバーター62以降の順序の電源デバイス5への通電信号S5の入力を、時間αだけ遅らせた場合に管理制御部10による調整がなされた後の通電タイミングデータD1の一例を示している。時間αは、第2DCDCコンバーター62の通電信号S5入力の予定時点と、第1DCDCコンバーター61の出力電圧値が期待値になった時点の時間差(予め定められたマージンを加えてもよい)とすることができる。
また、解除信号S4の受信に基づいて通電信号S5を出力していく間に延長したとき、管理制御部10は、供給停止部分に対応する電源デバイス5の第3所要時間であって、通電信号S5の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第3所要時間に、延長した時間分を加算して通電タイミングデータD1のうち、第3所要時間を定めた部分をメモリーに書き換えさせる。
図10では、通常モードへの復帰のとき、例えば、第2FET72での出力電圧値の立ち上がりの遅延のため、第2FET72の次の順序以降の電源デバイス5への通電信号S5の入力を時間βだけ遅らせた場合に、管理制御部10による調整がなされた後の通電タイミングデータD1の一例を示している。時間βは、第2FET72の次の順序の電源デバイス5への通電信号S5入力の予定時点と、第2FET72の出力電圧値が期待値になった時点の時間差(予め定められたマージンを加えてもよい)とすることができる。
(異常時の全電源デバイス5の停止)
次に、図11を用いて、異常検出時の全電源デバイス5の停止について説明する。図11は許容時間データD4の一例を示す図である。
状態監視部14は、各電源デバイス5の出力電圧値を認識するところ、電源デバイス5に通電信号S5を送信しても、電源デバイス5の出力電圧値がいつまでたっても期待値に到達しない場合がある。その原因としては、電源デバイス5に接続される信号線(配線)の異常や、電源デバイス5自体の故障などが考えられる。このような場合、電源管理回路1が通電信号S5の出力を遅延させ続けても無駄となる。
そこで、状態監視部14は、通電信号S5の入力(信号出力部15からの通電信号S5の出力から)から電源デバイス5の出力が期待値となるまでの許容時間を、それぞれの電源デバイス5について定めた許容時間データD4を保持する。図11は、許容時間データD4の一例を示す。状態監視部14は、内部に設けられる不揮発メモリーに許容時間データD4を記憶してもよい。あるいは、許容時間データD4をタイミング調整用メモリー12に不揮発的に記憶させておき、状態監視部14は、許容時間データD4をタイミング調整用メモリー12から取得し、内部のレジスタやメモリーに保持するようにしてもよい。
状態監視部14は、通電信号S5の入力から許容時間までに出力が期待値とならない電源デバイス5を認識し、認識結果を管理制御部10に通知する。管理制御部10は、通知(許容時間までに出力が期待値とならない異常の通知)に基づき、全ての電源デバイス5に対し、遮断信号S6を信号出力部15に出力させる。この場合、管理制御部10は、ONされている電源デバイス5のうち、遮断タイミングデータD2で最も先の電源デバイス5から遮断信号S6を出力させる。そして、管理制御部10は、遮断タイミングデータD2に定められた順序で、ON状態の電源デバイス5に対し、遮断信号S6を出力してゆく。
このようにして、本実施形態に係る電源管理回路1は、外部からの主電源ONを通知する主電源ON信号S1と、主電源OFFを通知する主電源OFF信号S2を受信するモード信号受信部11と、モード信号受信部11が主電源ON信号S1を受信したときから、及び、主電源OFF信号S2を受信したときから計時を開始する計時部13と、画像形成装置(複合機100)内に設けられる給電対象(CPU40、記憶部42、通信バス41、オプション給紙装置3bなど)への電力供給と停止を切り替え可能な複数の電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)と接続され、各電源デバイス5に信号を出力する信号出力部15と、主電源ON信号S1を受信したとき、電源デバイス5に電力供給を行わせる順序と主電源ON信号S1を受信したときから電源デバイス5をONする旨の通電信号S5を出すまでの第1所要時間を、それぞれの電源デバイス5に対して定めた通電タイミングデータD1と、主電源OFF信号S2を受信したとき、電源デバイス5に電力供給を停止させる順序と、主電源OFF信号S2を受信したときから電源デバイス5をOFFする旨の遮断信号S6を出すまでの第2所要時間を、それぞれの電源デバイス5に対して定めた遮断タイミングデータD2と、を記憶するメモリー(タイミング調整用メモリー12)と、主電源ON信号S1をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、通電タイミングデータD1に定められた順序と時間で、それぞれの電源デバイス5に向け通電信号S5を出力させ、主電源OFF信号S2をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、遮断タイミングデータD2に定められた順序と時間でそれぞれの電源デバイス5に向け遮断信号S6を出力させる管理制御部10と、を含む。
これにより、1つの計時部13の計時に基づき、電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)のON/OFFを行うことができる。言い換えると、全ての電源デバイス5に対し、共通の計時部13で時間をカウントし、共通の時間を基準として各電源デバイス5に向けて通電信号S5と遮断信号S6を出力することができる。そのため、予め定められた問題のない順序とタイミングに沿って、正確に、各電源デバイス5のON/OFF(電力の供給と停止)を指示することができる。しかも、電力供給系統ごとに遅延回路を設ける必要がなくなり、装置の回路構成を簡易なものとでき、製造コストを抑えることができる場合がある。
又、モード信号受信部11は、外部から、画像形成装置(複合機100)のうち予め定められた供給停止部分への電力供給を停止させる省電力モードへの移行を指示する移行信号S3と、省電力モードを解除し供給停止部分への電力供給の再開を指示する解除信号S4を受信し、計時部13は、モード信号受信部11が移行信号S3を受信したときから、及び、解除信号S4を受信したときから計時を開始し、メモリー(タイミング調整用メモリー12)は、解除信号S4を受信したとき、供給停止部分に対応する電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)に電力供給を行わせる順序と、解除信号S4を受信したときから停止状態の電源デバイス5に通電信号S5を出すまでの第3所要時間を、供給停止部分に対応する電源デバイス5のそれぞれについて定めた通電タイミングデータD1と、移行信号S3を受信したとき、供給停止部分に対応する電源デバイス5の電力供給を停止させる順序と、供給停止部分に対応する電源デバイス5のそれぞれについて、移行信号S3を受信したときから遮断信号S6を出すまでの第4所要時間を定めた遮断タイミングデータD2と、を記憶し、管理制御部10は、解除信号S4をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、通電タイミングデータD1に定められた順序と時間で、供給停止部分に対応する電源デバイス5に向け通電信号S5を出力させ、移行信号S3をモード信号受信部11が受信したとき、計時部13の計時に基づき、信号出力部15に、遮断タイミングデータD2に定められた順序と時間で供給停止部分に対応する電源デバイス5に向け遮断信号S6を出力させる。
これにより、主電源のON/OFFだけでなく、主電源のONとOFFの間になされる省電力モードへの移行と省電力モードの解除(通常モードへの復帰)でも、省電力モードで電力供給が停止される供給停止部分に対応する電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)に対し、共通の計時部13で時間をカウントし、共通の時間を基準として、通電信号S5と遮断信号S6を出力することができる。従って、省電力モードに移行するとき、予め定められた問題のない順序とタイミングに沿って、正確に、供給停止部分に対応する電源デバイス5のOFF(供給停止)を指示することができる。また、省電力モードの解除のとき、予め定められた問題のない順序とタイミングに沿って、正確に、供給停止部分に対応する電源デバイス5のON(供給再開)を指示することができる。
又、状態監視部14は、それぞれの電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)の出力が入力され、それぞれの電源デバイス5の状態を認識する。状態監視部14は、電源デバイス5の出力の期待値をそれぞれの電源デバイス5について定めた期待値データD3を保持するとともに、次の順序の電源デバイス5への通電信号S5を出力すべき時点である予定時点までに、現在の順序の電源デバイス5が期待値になっているか否かを監視し、管理制御部10は、予定時点までに現在の順序の電源デバイス5が期待値になっていると状態監視部14が認識したとき、通電タイミングデータD1に基づき次の順序の電源デバイス5に通電信号S5を出力させ、予定時点までに現在の順序の電源デバイス5が期待値になっていないと状態監視部14が認識したとき、期待値になるまで次以降の順序の電源デバイス5に通電信号S5を出力する時間を延長させる。
電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)の負荷(CPU40、記憶部42、通信バス41、オプション給紙装置3bなどのような給電対象)が交換された場合や、電源デバイス5に接続される負荷の増設があった場合、負荷容量の増大などにより、電源デバイス5の出力電圧の立ち上がりが今までよりも遅れる場合がある。このような場合、立ち上がりが遅くなった電源デバイス5の出力電圧値が十分に大きくなる前に、次の順序の電源デバイス5をONしてしまうと、給電対象への電力供給順(電圧印加順)がずれる場合がある。しかし、電源デバイス5の出力値の立ち上がり状態にあわせ、通電信号S5を出力する時間を延長させるので、電源デバイス5の出力の立ち上がりの遅れに対応しつつ、順序どおりに、各電源デバイス5をONさせてゆくことができる。従って、給電対象への電圧印加順に起因する異常やエラーは、生じなくなる。
又、管理制御部10は、主電源ON信号S1の受信に基づいて通電信号S5を出力していく間に延長したとき、通電信号S5の入力が遅らされた全ての電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)の第1所要時間に延長した時間分を加算して、通電タイミングデータD1のうち、通電信号の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第1所要時間をメモリー(タイミング調整用メモリー12)に書き換えさせ、又は、解除信号S4の受信に基づいて通電信号S5を出力していく間に延長したとき、供給停止部分に対応する電源デバイス5の第3所要時間であって、通電信号S5の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第3所要時間に延長した時間分を加算して、通電タイミングデータD1のうち通電信号の入力が遅らされた全ての電源デバイス5の第3所要時間をメモリーに書き換えさせる。
これにより、各電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)に接続される現在の負荷にあわせ、予め定められた順序で問題無く給電対象(CPU40、記憶部42、通信バス41、オプション給紙装置3bなど)に電力が供給されるように、通電タイミングデータD1を補正、調整することができる。
又、状態監視部14は、通電信号S5の入力から電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)の出力が期待値となるまでの許容時間を、それぞれの電源デバイス5について定めた許容時間データD4を保持し、許容時間までに出力が期待値とならない電源デバイス5を認識したとき、全ての電源デバイス5に対し、遮断信号S6を信号出力部15に出力させる。
これにより、何れかの電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)に異常があると認められるときには、各電源デバイス5をOFFとし、各電源デバイス5や各電源デバイス5に接続された給電対象(CPU40、記憶部42、通信バス41、オプション給紙装置3bなど)を保護することができる。また、適切に動作できない状態で無駄な電力が消費されることを防ぐことができる。
又、画像形成装置(複合機100)は、実施形態に係る電源管理回路1を含む。これにより、1つの計時部13の計時に基づき、予め定められた順序で正確に、電源デバイス5(DCDCコンバーター6、FET7)のON/OFFが行われる。そのため、問題が生ずることなく、滑らかに起動、電源OFF、モード間の遷移がなされる画像形成装置(複合機100)を提供することができる。また、画像形成装置(複合機100)の回路構成(電源系統)を簡易化し、製造コストを抑えることができる場合がある。
又、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。