JP6183605B2 - 車両の燃料装置 - Google Patents
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Description
密閉システムでは、燃料タンク内の蒸発ガスは、エンジン運転の機会を利用して処理(燃焼)されるが、給油時はエンジンの運転が停止するため、蒸発ガスの処理が行えない。このため密閉システムの燃料装置は、給油時の対策としてキャニスタを用いる。具体的には、燃料タンク内に設けたレベリングバルブとキャスタとの間をベーパ通路で連通し、同ベーパ通路に密閉弁を設けて、燃料タンク内を密閉状態にしたり、密閉弁の開放により燃料タンク内の蒸発ガスがキャニスタで吸着されるようにしている(特許文献1)。
ところが、一つの圧力センサだけだと、圧力センサが異常をきたすと、燃料タンク内の圧力の検出が全く行えなくなる。
そこで、本出願人は、二つの圧力センサを燃料タンクの異なる位置に設け、二つの圧力センサの検出圧力から、燃料タンク内の圧力を検出したり、燃料タンク内の圧力が所定に変動するときの二つの圧力センサで検出した圧力を相互で監視し、監視した結果から圧力センサの異常を検出する技術を出願した。同技術は、二つの圧力センサが、センサ異常に対し十分な備えとなるだけでなく、圧力センサの異常検出が安価に行える。
そこで、本発明の目的は、誤判定なく二つの圧力センサによる相互監視が継続可能な車両の燃料装置を提供する。
それ故、二つの圧力センサによる相互監視を誤動作なく継続することができ、常に良好に密閉システムの制御が行える。
請求項2の発明によれば、第1,2圧力センサを第1ベーパ通路部分と燃料タンク内とに設けた構造は、レベリングバルブの液没が検出しやすく、第1,2圧力センサの相互監視の回避には有効である。
図1は、本発明を適用した車両、例えば走行用モータとエンジンとを組み合わせたハイブリッド自動車に用いられる燃料装置の概略の構成を示し、図2,6は同燃料装置における制御を示している。
図1に示される燃料装置を説明すると、1はレシプロエンジン、10は燃料(ガソリンなど液体燃料)を貯留する燃料タンク、30は同燃料タンク10内の蒸発ガスを処理する蒸発ガス処理部、50は同蒸発ガス処理部30に装備される専用(給油時)のキャニスタを示している。
燃料タンク10は、例えば扁平形タンクで形成される。燃料タンク10内の上部には、燃料カットオフバルブ11(例えばフロートバルブで構成)や、当該燃料カットオフバルブ11と、二ウェイバルブ12aを有するベーパ通路12(本願の第2ベーパ通路に相当)を介して、直列に接続されたレベリングバルブ13(例えばフロートバルブで構成)が配設されている。レベリングバルブ13の下部に有る開口(燃料液面で塞がる開口部分)は、燃料タンク10内に収容される燃料の満タン位置に位置決められている。つまり、給油口20から給油が開始されると、燃料タンク10内の蒸散ガスをレベリングバルブ13からキャニスタ50へ追い出しつつ燃料タンク10内の液面が上昇する。燃料タンク10内の液面が上昇するとレベリングバルブ13に備えられたフロートバルブが上昇し開口がフロートバルブによって閉塞される。これにより、燃料タンク10内の空気の追い出し口がふさがれることで、給油量が規制される。燃料カットオフバルブ11の下部に有る開口(燃料液面で塞がる開口部分)は、レベリングバルブ13よりも高い位置に位置決められていて、レベリングバルブ13で燃料タンク10の満タン位置を規制された後であっても、燃料タンク10の内の蒸散ガスがカットオフバルブ11を介して少量抜けることで燃料タンク10内の蒸散ガスが高圧になり燃料タンク10内の圧力が過度に上昇することを防止しつつ、車両走行中や、車両が横転したときなどに燃料タンク10内の液面が満タン位置の規制を越えて、ベーパ通路12内に進入することを燃料カットオフバルブ11で防止している。
燃料タンク10の上壁には、燃料タンク10の内圧を検出するための圧力センサ24(本願の例えば第2圧力センサに相当)が設けられている。ちなみに圧力センサ24には、狭域、高精度の特性のセンサが用いられる。
液没判定には、十分な結果が得られるよう、レベリングバルブ13と密閉弁35間のベーパ通路部分の圧力と、燃料タンク10の燃料液面の上部空間の圧力とを用いた手法が用いられる。
制御部38は、圧力センサ24,33からの検出圧力に基づき、レベリングバルブ13が液没しているかを判定する機能が設定されている。例えば制御部38には、密閉弁35の開放後、所定時間の間で、圧力センサ33の検出圧力が、初期値の大部分、例えば80%以上の変動(絶対値)で、かつ圧力センサ24の圧力が次第に減衰する挙動、例えば圧力センサ24の初期値の20%以内の絶対値変動が有るか否かを判定する機能が設定される。これらを満たすと、レベリングバルブ13の液没が判定される(本願の没入検出部に相当)。二つの圧力センサ24,33による判定により、液没判定を確かなものとしている。
この機能の制御には、例えば図6に示されるようにレベリングバルブ13が露出して状態で、密閉弁35を開放しているとき(通常状態)、所定に圧力に低下するまでの各圧力センサ24,33の傾きを算出(圧力センサ24の検出領域内)するステップS20と、各傾きを対比するステップS21(本願の比較部に相当)と、所定の誤差範囲内であれば、正常と判定し、範囲外であれば異常と判定するステップS22(本願の判定部に相当)とを用いたルーチンが用いられる。
ΔPw=(Pn2−Pn1)/Tn・・・・(1)
第1タンク内圧P1が第1所定圧力Pn1となったとき、圧力センサ33で検出される第2タンク内圧P2である第1所定圧力Pn1時の第2タンク内圧Pw1と、第1タンク内圧P1が第2所定圧力Pn2となったとき第2タンク内圧P2である第2所定圧力Pn2時の第2タンク内圧Pw2と、第1タンク内圧P1が第1所定圧力Pn1から第2所定圧力Pn2となるまで期間Tnと下記式(2)とに基づいて、圧力センサ33で検出される第2タンク内圧P2の期間Tnにおける変化率ΔPnを算出。
これら圧力センサ24,33の検出結果を比較して、下記式(3)に基づき、第1タンク内圧P1の変化率ΔPwと第2タンク内圧P2の変化率ΔPnとの誤差率Erを算出し(比較部)と、得られる誤差率Erが所定値以上か、否かを判別することによって、圧力センサ24又は圧力センサ33の異常を検出する(判定部)。
但し、図5中、r1は圧力センサ24の計測可能領域、r2は圧力センサ33の計測可能領域を示す。
相互監視による圧力センサ24,33の異常検出は、レベリングバルブ13が液没したときのように、圧力センサ33の検出圧力が他方の圧力センサ24に対し大きく変動するような場合、正常にも関わらず異常と判定するという、誤判定を招きやすい。
図2には、こうした燃料装置の各制御を概略的にまとめたフローチャートが示されている。同フローチャートを説明すると、今、例えば給油するため、ステップS1に示されるようにフュエルドアスイッチ39をオンしたとする。
ステップS3において圧力センサ24、33に異常がないと判定されると、ステップS4に進む。ステップS4においては、圧力センサ24、33から検出される圧力が、圧力センサ24の計測領域外の領域(+αkPa以上,−αkPa以下)あることを確認してから、ステップS5のように密閉弁35の開放後に生ずるベーパ通路部分(第1ベーパ通路)や燃料タンク10の燃料液面の上部空間の圧力変動の具合を検出する。
ステップS5では、この急激な圧力変動を捉えるよう、例えば密閉弁35の開放後、所定時間β(例えば0.5s)で、圧力センサ33の検出圧力に急激な変動が有るか否かという判別、例えば初期値の80%以上の絶対変動が有るか否かの判定、さらには密閉弁35が開放されたときの圧力変動で有るか否かを明らかにするため、圧力センサ24の圧力が次第に減衰する機能、例えば初期値の20%以内の絶対値変動が有るか否かといった判別の処理が行われる。
すると、続くステップS7で、図6のフローチャートで示されるような圧力センサ24と圧力センサ33との相互の監視が実施される。これは、減衰するときの各圧力センサ24,33の傾きを算出して、各傾きを対比し、対比した結果、所定の誤差の範囲内であれば、圧力センサ24,33は正常と判定され、範囲外であれば圧力センサ24又は圧力センサ33は異常と判定するルーチンで行われる(ステップS8)。
ステップS5において、急激で大きな圧力変動が有ると判別されると、ステップS10へ進み、レベリングバルブ13が燃料液面に没入している、すなわち液没していると判定される。
特に圧力センサ24,33をベーパ通路31部分と燃料タンク10内に設けると、レベリングバルブ13の液没は検出しやすく、圧力センサ24,33の相互監視の回避には有効である。
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。一実施形態では、キャニスタ弁を用いた密閉システムを挙げたが、これに限らず、キャニスタ弁を用いない密閉システムでも構わない。
11 燃料カットオフバルブ
12 ベーパ通路(第2ベーパ通路)
13 レベリングバルブ
24 圧力センサ(第2圧力センサ)
31 ベーパ通路(第1ベーパ通路)
33 圧力センサ(第1圧力センサ)
35 密閉弁
38 制御部(相互監視部、没入検出部、監視禁止部)
50 キャニスタ
Claims (3)
- 燃料を貯留する燃料タンクと、
前記燃料タンク内の異なる位置から当該燃料タンク内の圧力を検出する第1圧力センサおよび第2圧力センサと、
前記第1圧力センサと前記第2圧力センサとから出力される検出圧力を相互で監視する相互監視部と、
前記燃料タンク内に発生する燃料の蒸発ガスを吸着するキャニスタと、
前記燃料タンク内に設けられ、前記燃料タンクに前記燃料が給油されることを規制するレベリングバルブと、
前記レベリングバルブと前記キャニスタとを連通し、前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記キャニスタへ導く第1ベーパ通路と、
前記第1ベーパ通路を常態では封鎖して前記燃料タンク内を密閉状態にする密閉弁と、
前記密閉弁の開放時における前記レベリングバルブの燃料液面への没入を検出する没入検出部と、
前記レベリングバルブの没入が検出されると、前記相互監視部の相互監視を禁止する監視禁止部と
を有したことを特徴とする車両の燃料装置。 - 前記燃料タンクは、前記レベリングバルブよりも高い液面位置で前記燃料タンクの液面を規制する燃料カットオフバルブと、前記燃料カットオフバルブと前記レベリングバルブとを連通し、前記燃料タンク内の蒸発ガスを前記レベリングバルブを中継して前記キャニスタへ導く第2ベーパ通路を有し、
前記第1圧力センサおよび前記第2圧力センサの一方は、前記レベリングバルブと前記密閉弁との間の第1ベーパ通路部分に設けられ、他方は前記燃料タンク内に設けられ、
前記没入検出部は、前記第1圧力センサおよび前記第2圧力センサの検出圧力の変動に基づき、前記レベリングバルブの燃料液面への没入が判定されるよう構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の燃料装置。 - 前記相互監視部は、前記第1圧力センサの検出結果と前記第2圧力センサの検出結果とを比較する比較部と、比較結果に基づき前記第1圧力センサ又は第2圧力センサが異常であると判定する判定部とを有して構成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の燃料装置。
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