JP6181590B2 - 非水電解質二次電池用負極及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Description
この二次電池は、小型の電子機器に限らず、自動車などに代表される大型の電子機器、家屋などに代表される電力貯蔵システムへの適用も検討されている。
電池容量向上のために、負極活物質材としてケイ素を用いることが検討されている。なぜならば、ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも10倍以上大きいため、電池容量の大幅な向上を期待できるからである。
負極活物質材としてのケイ素材の開発はケイ素単体だけではなく、合金、酸化物に代表される化合物などについても検討されている。
また、活物質形状は、炭素材では標準的な塗布型から、集電体に直接堆積する一体型まで検討されている。
負極活物質表層が割れると、それによって新表面が生じ、活物質の反応面積が増加する。この時、新表面において電解液の分解反応が生じるとともに、新表面に電解液の分解物である被膜が形成されるため電解液が消費される。このためサイクル特性が低下しやすくなる。
また、高い電池容量や安全性を得るために、ケイ素酸化物粒子の表層に炭素材(電子伝導材)を設けている(例えば特許文献2参照)。
さらに、サイクル特性を改善するとともに高入出力特性を得るために、ケイ素及び酸素を含有する活物質を作製し、かつ、集電体近傍での酸素比率が高い活物質層を形成している(例えば特許文献3参照)。
また、サイクル特性を向上させるために、ケイ素活物質中に酸素を含有させ、平均酸素含有量が40at%以下であり、かつ集電体に近い場所で酸素含有量が多くなるように形成している(例えば特許文献4参照)。
また、サイクル特性改善のため、SiOx(0.8≦x≦1.5、粒径範囲=1μm〜50μm)と炭素材を混合して高温焼成している(例えば特許文献6参照)。
また、サイクル特性改善のために、負極活物質中におけるケイ素に対する酸素のモル比を0.1〜1.2とし、活物質、集電体界面近傍におけるモル比の最大値、最小値との差が0.4以下となる範囲で活物質の制御を行っている(例えば特許文献7参照)。
また、電池負荷特性を向上させるため、リチウムを含有した金属酸化物を用いている(例えば特許文献8参照)。
また、サイクル特性を改善させるために、ケイ素材表層にシラン化合物などの疎水層を形成している(例えば特許文献9参照)。
また、サイクル特性改善のため、酸化ケイ素を用い、その表層に黒鉛被膜を形成することで導電性を付与している(例えば特許文献10参照)。特許文献10において、黒鉛被膜に関するRAMANスペクトルから得られるシフト値に関して、1330cm−1及び1580cm−1にブロードなピークが現れるとともに、それらの強度比I1330/I1580が1.5<I1330/I1580<3となっている。
また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、二酸化ケイ素中に分散されたケイ素微結晶相を有する粒子を用いている(例えば、特許文献11参照)。
また、過充電、過放電特性を向上させるために、ケイ素と酸素の原子数比を1:y(0<y<2)に制御したケイ素酸化物を用いている(例えば特許文献12参照)。
また、高い電池容量、サイクル特性の改善のため、ケイ素と炭素の混合電極を作成しケイ素比率を5wt%以上13wt%以下で設計している(例えば、特許文献13参照)。
この問題を解決する1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極からなるリチウムイオン二次電池の開発が望まれている。
また、ケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれている。
しかしながら、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等のサイクル安定性を示す負極電極を提案するには至っていなかった。
このようなものであれば、電池容量を顕著に増加させることができるものとなる。
このようなものであれば、ケイ素系活物質は、リチウムの挿入、脱離時に不安定化するSiO2成分部が予め別のLi化合物に改質させたものであるので、充電時に発生する不可逆容量を低減することができる。その結果、高い充放電効率を得られると共に、バルク安定性が向上させることができる。またこのようなものは、例えば電気化学手法でケイ素系活物質を改質することで得ることができる。
このようにケイ素系活物質の内部に含まれるLi2SiO3の結晶性が低ければ、電池特性の悪化を低減できる。
このようにケイ素系活物質の内部に含まれるLi4SiO4の結晶性が低ければ、電池特性の悪化を低減できる。
これらのリチウム化合物が非晶質であれば、電池特性の悪化をより確実に低減できる。
できる。
5≧C/P≧0.25…(1)
このような、密度の堆積量であれば、ポリアクリル酸やその金属塩といった固い材質のバインダーを含む負極活物質の厚塗りを行う場合であっても負極活物質層が剥離し難いものとなる。
カーボンナノチューブ(CNT)は膨張率及び収縮率が高いケイ素系活物質と炭素系活物質の電気コンタクトを得ることに適しており、負極に良好な導電性を付与することができる。
天然黒鉛は、ケイ素系活物質の膨張及び収縮に伴う応力緩和に適しており、これにより負極活物質の破壊を抑制でき、良好なサイクル特性を得ることができる。
これらのようなもののうち少なくとも2種が含まれていれば、良好な電池特性を得ることができる。
膨張収縮するケイ素系活物質が炭素系活物質に対して同等以下の大きさである場合、合材層の破壊を防止することができる。更に、炭素系活物質がケイ素系活物質に対して大きくなると、充電時の負極体積密度、初期効率が向上し、電池エネルギー密度が向上する。
ケイ素系活物質として、上記のピーク値強度値比を有するものを用いることで、さらに良好な初期充放電特性が得られる。
このようなものであれば、Si結晶核が減少するため、良好な電池サイクル特性が得られる。
このような非水電解質二次電池であれば、高容量であるとともに良好なサイクル特性及び初期充放電特性が得られる。
また、ケイ素系活物質を炭素系活物質に混合することで電池容量を増加させることができる。更にリチウム挿入脱離時に材料表層部に炭酸リチウムを生成する事で、電池組み込み時に発生する不可逆成分を低減する事ができる。
上記材料を安定的に使用するには、バインダーとしては、カルボキシメチルセルロース又はその金属塩と共にポリアクリル酸又はポリアクリル酸の金属塩を、主結着剤であるスチレンブタジエンゴム又はフッ化ビニリデンに添加使用して、計3種の物質を用いると良い。
前述のように、リチウムイオン二次電池の電池容量を増加させる1つの手法として、ケイ素材を主材として用いた負極をリチウムイオン二次電池の負極として用いることが検討されている。
このケイ素材を用いたリチウムイオン二次電池は、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等に近いサイクル特性が望まれているが、炭素材を用いたリチウムイオン二次電池と同等のサイクル安定性を示す負極電極を提案するには至っていなかった。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、負極活物質として表層が炭酸リチウムによって少なくとも一部が被覆されたSiOx(0.5≦x≦1.6を満たす)からなるケイ素系活物質と炭素系活物質とを含み、上記負極活物質を支持するための第1のバインダーとして、カルボキシメチルセルロース又はその金属塩、第2のバインダーとしてポリアクリル酸又はその金属塩、第3のバインダーとしてスチレンブタジエンゴム又はポリフッ化ビニリデンとを含むことを特徴とするものである。
図1に示すように、負極10は、負極集電体11の上に負極活物質層12を有する構成になっている。この負極活物質層12は負極集電体11の両面、又は、片面だけに設けられていても良い。さらに、本発明の非水電解質二次電池用負極においては、負極集電体11はなくてもよい。
負極集電体11は、優れた導電性材料であり、かつ、機械的な強度に長けた物で構成される。負極集電体11に用いることができる導電性材料として、例えば銅(Cu)やニッケル(Ni)があげられる。この導電性材料は、リチウム(Li)と金属間化合物を形成しない材料であることが好ましい。
負極活物質層12は、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な複数の粒子状の負極活物質(以下、負極活物質粒子とも称する)とバインダー(負極結着剤)を含んでおり、電池設計上、さらに導電助剤等の他の材料を含んでいても良い。
またケイ素系活物質に導電性を有する炭素被膜層を設け、更にその表層に炭酸リチウムから成る被膜層を有する構造として良い。
このようなものであれば、より安定した電池特性を得ることをできる。
このとき、上記のように、ケイ素系活物質の表層は炭素及び炭酸リチウムにて被覆されていれば、より一層安定した電池特性を得ることをできる。
Li化合物はNMR(核磁気共鳴)とXPS(X線光電子分光)で定量可能である。XPSとNMRの測定は、例えば、以下の条件により行うことができる。
XPS
・装置: X線光電子分光装置、
・X線源: 単色化Al Kα線、
・X線スポット径: 100μm、
・Arイオン銃スパッタ条件: 0.5kV 2mm×2mm。
29Si MAS NMR(マジック角回転核磁気共鳴)
・装置: Bruker社製700NMR分光器、
・プローブ: 4mmHR−MASローター 50μL、
・試料回転速度: 10kHz、
・測定環境温度: 25℃。
天然黒鉛はケイ素材の膨張及び収縮に伴う応力緩和に適しており、上記のような比率であればサイクル特性に優れた負極となる。
更に、より優れたサイクル特性を得るには人造黒鉛を含むことが望ましい。ただし、天然黒鉛に対して硬い人造黒鉛はケイ素材の膨張及び収縮に伴う応力緩和には不向きであるため、天然黒鉛に対して10%以上120%以下の添加量とすることが望ましい。
これらの炭素系活物質の中の2種類以上を含むことで応力緩和力を有するとともに電池容量に優れた負極活物質となる。
上記比率以上であれば、電池の体積エネルギー密度を上昇させることが可能である。
このように、特に結晶性が低くSi結晶の存在量が少ないことにより、電池特性を向上させるだけでなく、安定的なLi化合物の生成をすることができる。
このように、負極活物質層中の炭素系活物質は、ケイ素系活物質に対し同等以上の大きさであることが望ましい。膨張収縮するケイ素系活物質が炭素系活物質に対して同等以下の大きさである場合、合材層の破壊を防止することができる。更に、炭素系活物質がケイ素系活物質に対して大きくなると、充電時の負極体積密度、初期効率が向上し、電池エネルギー密度が向上する。
このようなものであれば、安定した電池特性を得ることができる。
このような厚さであれば電気伝導性を向上させることが可能である。炭素被覆部の平均厚さが5000nmを超えても電池特性を悪化させる事はないが、電池容量が低下するため、5000nm以下とすることが好ましい。
これらの炭素材被覆手法は特に限定されないが、糖炭化法、炭化水素ガスの熱分解法が好ましい。これらの方法であれば、炭素材の被覆率を向上させることができるからである。
5≧C/P≧0.25…(1)
特にカーボンナノチューブは膨張収縮率が高いケイ素材と炭素材の電気コンタクトを得ることに向いている。
このような、密度の堆積量であれば、ポリアクリル酸やその金属塩といった固い材質のバインダーを含む負極活物質の厚塗りを行う場合であっても負極活物質層が剥離し難い。
最初に本発明の非水電解質二次電池用負極材に含まれる負極活物質粒子の製造方法を説明する。まず、SiOx(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素系活物質を作製する。次に、ケイ素系活物質にLiを挿入することにより、該ケイ素系活物質の表面にLi化合物を生成させて該ケイ素系活物質を改質する。このとき、同時にケイ素系活物質の内部にLi化合物を生成させることができる。
このような負極であれば、上記のようにケイ素系活物質の表面保護層としての炭酸リチウムが原因となる負極合剤のスラリーのアルカリ化による負極の極剥離強度の低下を大幅に抑制でき、良好な電池特性を得ることができるものとなる。
次に、上記した本発明の負極を用いた非水電解質二次電池の具体例として、リチウムイオン二次電池について説明する。
図3に示すラミネートフィルム型二次電池30は、主にシート状の外装部材35の内部に巻回電極体31が収納されたものである。この巻回電極体31は正極、負極間にセパレータを有し、巻回されたものである。また正極、負極間にセパレータを有し積層体を収納した場合も存在する。どちらの電極体においても、正極に正極リード32が取り付けられ、負極に負極リード33が取り付けられている。電極体の最外周部は保護テープにより保護されている。
正極は、例えば、図1の負極10と同様に、正極集電体の両面又は片面に正極活物質層を有している。
リチウムと遷移金属元素とを有するリン酸化合物としては、例えば、リチウム鉄リン酸化合物(LiFePO4)あるいはリチウム鉄マンガンリン酸化合物(LiFe1−uMnuPO4(0<u<1))などが挙げられる。これらの正極材を用いれば、高い電池容量を得ることができるとともに、優れたサイクル特性も得ることができる。
負極は、上記した図1のリチウムイオン二次電池用負極10と同様の構成を有し、例えば、集電体の両面に負極活物質層を有している。この負極は、正極活物質剤から得られる電気容量(電池としての充電容量)に対して、負極充電容量が大きくなることが好ましい。これにより、負極上でのリチウム金属の析出を抑制することができる。
セパレータは正極、負極を隔離し、両極接触に伴う電流短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータは、例えば合成樹脂、あるいはセラミックからなる多孔質膜により形成されており、2種以上の多孔質膜が積層された積層構造を有しても良い。合成樹脂として例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
活物質層の少なくとも一部、又は、セパレータには、液状の電解質(電解液)が含浸されている。この電解液は、溶媒中に電解質塩が溶解されており、添加剤など他の材料を含んでいても良い。
以上のようにして、ラミネートフィルム型二次電池30を製造することができる。
負極利用率を93%以上の範囲とすれば、初回充電効率が低下せず、電池容量の向上を大きくできる。また、負極利用率を99%以下の範囲とすれば、Liが析出してしまうことがなく安全性を確保できる。
以下の手順により、図3に示したラミネートフィルム型の二次電池30を作製した。
まず、金属ケイ素と二酸化ケイ素を混合した原料を反応炉へ設置し、10Paの真空度の雰囲気中で気化させたものを吸着板上に堆積させ、十分に冷却した後、堆積物を取出しボールミルで粉砕した。粒径を調整した後、必要に応じて熱分解CVDを行うことで炭素層を被覆した。作製した粉末はエチレンカーボネート及びジメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒(電解質塩を1.3mol/kgの濃度で含んでいる。)中で電気化学法を用いバルク改質を行った。
続いて、作製したケイ素系活物質と、炭素系活物質として天然黒鉛(必要に応じて人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンを一部配合)を10:90の重量比で配合し、負極活物質を作製した。
本実験で用いるポリアクリル酸は特に限定する事は無いが、25万〜125万の分子量範囲が望ましく、より望ましいのは100万である(例えば、和光純薬工業株式会社製品を使用できる)。
負極材を製造する際のケイ素系活物質のバルク内酸素量を調整したことを除き、実施例1−1と同様に、二次電池を作製した。この場合、気化出発材の比率や温度を変化させ堆積される酸素量を調整した。実施例1−1〜1−3、比較例1−1、1−2における、SiOxで表されるケイ素系活物質のxの値を表1に示した。
このとき、ケイ素系活物質の29Si−MAS−NMR スペクトルから得られる、ケミカルシフト値として−60〜−100ppmで与えられるSi領域のピーク値強度値Aと−100〜−150ppmで与えられるSiO2領域のピーク値強度値Bの比A/B=2であった。
また、負極の片面における単位面積あたりの負極活物質層の堆積量(面積密度)は、5mg/cm2であった。
尚、サイクル特性については、以下のようにして調べた。
最初に、電池安定化のため25℃の雰囲気下、2サイクル充放電を行い、2サイクル目の放電容量を測定した。
続いて、総サイクル数が100サイクルとなるまで充放電を行い、その都度放電容量を測定した。
最後に、100サイクル目の放電容量を2サイクル目の放電容量で割り、容量維持率(以下、単に維持率ともいう)を算出した。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、バインダー(負極結着剤)として、実施例2−1では、ポリフッ化ビニリデン(Pvdf)、CMC、PAAを、実施例2−2ではSBR、CMCのナトリウム塩(CMC−Na)、PAAを、実施例2−3ではSBR、CMC、PAAのナトリウム塩(PAA−Na)を、実施例2−4ではSBR、CMC、PAAのリチウム塩(PAA−Li)を使用した。また、バインダーとして比較例2−1ではSBR、CMCを、比較例2−2ではPvdf、CMCを使用した。尚、ポリフッ化ビニリデン(Pvdf)をバインダーとして用いる場合には、負極活物質作製後に、真空雰囲気中で195℃×12時間の乾燥を行った。
比較例3−1、実施例3−1、実施例3−2は、基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、比較例3−1ではケイ素系活物質の表層に炭酸リチウムを担持させなかった。また、実施例3−1では導電助剤としてカーボンナノチューブ(CNT)を加えなかった。また、実施例3−2ではケイ素系活物質内部にLi2SiO3、Li4SiO4のいずれも含有させなかった。尚、比較例3−1において、ケイ素系活物質の表層の炭酸リチウムは、純水で洗い流すことで除去した。また、実施例3−2においては、ケイ素系活物質のバルク内改質後に炭素雰囲気下で熱焼成を行うことでLi2SiO3をなくし、分解したLi4SiO4は水に可溶であるため純水で洗い流すことで除去した。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、カルボキシメチルセルロースの質量Cと、ポリアクリル酸の質量Pとの質量比C/Pを表4のように変化させた。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、水電解質二次電池用負極の片面における単位面積あたりの負極活物質層の堆積量(面積密度)を表5のように変化させた。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、負極活物質中の炭素系活物質を表6のように変更した。
また放電カーブなどセル設計を考慮して設計した場合、どの炭素材と合わせても問題無く良好な電池特性を維持ことがわかった。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、炭素系活物質のメジアン径Xとケイ素系活物質のメジアン径Yの比X/Yを表7のように変更した。
基本的に実施例1−2と同様に二次電池の製造を行ったが、バルク内に生成するSi/SiO2成分を変化させることで、SiO単体の初期効率を増減させ、29Si−MAS−NMR スペクトルから得られる、ケミカルシフト値として−60〜−100ppmで与えられるSi領域のピーク値強度値Aと−100〜−150ppmで与えられるSiO2領域のピーク値強度値Bの比A/Bを表8に示すように変化させた。これは、SiO2領域を電気化学的なLiドープ法を用いて、電位規制を行うことで制御できる。
ケイ素系活物質のバルク内に生成されるLiシリケート化合物(Li2SiO3及びLi4SiO4)の結晶性を変化させた他は、実施例1−2と同様に二次電池の製造を行った。結晶化度の調整はLiの挿入・脱離後に、非大気雰囲気下で熱処理を加えることで可能である。
ケイ素系活物質の結晶性を変化させた他は、実施例1−2と同様に二次電池の製造を行った。結晶性の変化はLiの挿入、脱離後の非大気雰囲気下の熱処理で制御可能である。実施例10−1〜実施例10−9のケイ素系活物質のX線回折により得られる(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅2θ(°)を表10中に示した。実施例10−9では半値幅を20°以上と算出しているが、解析ソフトを用いフィッティングした結果であり、実質的にピークは得られていない。よって実施例10−9のケイ素系活物質は、実質的に非晶質であると言える。
基本的に実施例1−2と同様にして二次電池を作製したが、実施例11では負極活物質材の総量に対するケイ素系活物質の比を0質量%〜20質量%の範囲で変化させて、そのときの電池容量の増加率を調べた。また、比較例11では、バルク内改質を実施しておらず、表層に炭酸リチウム層を有していないケイ素系活物質を炭素系活物質と混合して負極活物質として使用して、実施例11と同様に負極活物質材の総量に対するケイ素系活物質の比を0質量%〜20質量%の範囲で変化させて、そのときの電池容量の増加率を調べた。
20…バルク内改質装置、 21…陽電極(リチウム源、改質源)、
22…酸化ケイ素の粉末、 23…有機溶媒、 24…セパレータ、
25…粉末格納容器、 26…電源、 27…浴槽、
30…リチウム二次電池(ラミネートフィルム型)、 31…巻回電極体、
32…正極リード、 33…負極リード、 34…密着フィルム、
35…外装部材。
Claims (15)
- 複数の負極活物質及びバインダーから成る負極活物質層を含む非水電解質二次電池用負極であって、
前記負極活物質として表層が炭酸リチウムによって少なくとも一部が被覆されたSiOx(0.5≦x≦1.6を満たす)からなるケイ素系活物質と炭素系活物質とを含み、
前記バインダーとして、カルボキシメチルセルロース又はその金属塩と、
ポリアクリル酸又はその金属塩と、
スチレンブタジエンゴム又はポリフッ化ビニリデンと
を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極。 - 前記ケイ素系活物質が、前記負極活物質の総量に対する前記ケイ素系活物質の比が6質量%以上のものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素活物質は、その内部にLi2SiO3及びLi4SiO4のうち少なくとも1種以上を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素系活物質の内部に含まれるLi2SiO3は、X線回折により38.2680°付近でみられる回折ピークの半値幅(2θ)が0.75°以上であることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素系活物質の内部に含まれるLi4SiO4は、X線回折により23.9661°付近でみられる回折ピークの半値幅(2θ)が0.2°以上であることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素系活物質の内部に含まれるLi2SiO3及びLi4SiO4は非晶質であることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記カルボキシメチルセルロース又はその金属塩の質量Cと、前記ポリアクリル酸又はその金属塩の質量Pとの質量比C/Pは下記式(1)を満たすものであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
5≧C/P≧0.25…(1) - 前記非水電解質二次電池用負極は、片面における単位面積あたりの前記負極活物質層の堆積量が8.5mg/cm2以下のものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記非水電解質二次電池用負極が、カーボンナノチューブを含むものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記炭素系活物質は天然黒鉛を含み、前記炭素系活物質の総重量に占める前記天然黒鉛の比率が30質量%以上80質量%以下のものであることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記炭素系活物質として、天然黒鉛、人造黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンのうち少なくとも2種以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記炭素系活物質のメジアン径Xと前記ケイ素系活物質のメジアン径YがX/Y≧1の関係を満たすものであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素系活物質の29Si−MAS−NMR スペクトルから得られる、ケミカルシフト値として−60〜−100ppmで与えられるSi領域のピーク値強度値Aと−100〜−150ppmで与えられるSiO2領域のピーク値強度値BがA/B≧0.8の関係を満たすことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素系活物質は、X線回折により得られるSi(111)結晶面に起因する回折ピークの半値幅(2θ)は1.2°以上であるとともに、その結晶面に起因する結晶子サイズは7.5nm以下であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の負極を用いたものであることを特徴とする非水電解質二次電池。
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