JP2014010977A - 非水電解液二次電池用電極およびそれを用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】非水電解液二次電池用電極は、対向する一対の主面を有する集電体と、少なくとも活物質、バインダーおよび導電材を有し、該集電体の少なくとも一方の主面上に形成された活物質層を有する非水電解液二次電池用電極であって、活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和が集電体の単位面積当たり、9.70×10−3〜24.6×10−3cm3/cm2であり、活物質層の空隙容積が集電体の単位面積当たり、6.00×10−3〜20.0×10−3cm3/cm2である。
【効果】塗膜の厚さを厚くしても優れたレート特性を与える非水電解液二次電池用電極およびそれを用いた非水電解液二次電池を提供できる。
【選択図】なし
【効果】塗膜の厚さを厚くしても優れたレート特性を与える非水電解液二次電池用電極およびそれを用いた非水電解液二次電池を提供できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水電解液二次電池用正極および非水電解液二次電池に関する。
非水電解質二次電池として、リチウム二次電池が実用化されており、広く普及している。更に近年、リチウム二次電池は、ポータブル電子機器用の小型のものだけでなく、車載用、あるいは太陽光発電システム用や夜間電力貯蔵用等の電力貯蔵用の大容量のデバイスとしても注目されている。
二次電池の電極(正極および負極)は、活物質とバインダーを含むペーストを長尺状の金属箔等の集電体上に片面もしくは両面に塗布することにより塗膜を形成し、該塗膜を乾燥し、次いで乾燥した該塗膜をプレスして巻き取った後、必要に応じて所定幅あるいは所定長さに切断することにより製造されている。製造された電極はセパレータを介して積層され、短冊状または巻回状の積層体とされた後、電池容器の中に挿入されている。また、ペーストには、必要に応じて導電材が添加されている。
この従来の製造方法を電力貯蔵用の大容量の二次電池に適用しようとすると大容量を確保するためには、積層数あるいは巻回数を増加させる必要があり、その結果、集電体やセパレータを大量に使用することになり、製造コストが増加するという問題がある。
これに対し、粒子径の小さい活物質を用いることにより、大容量を確保する方法が検討されている。この方法では、活物質の小粒子化に伴い導電材量も増加し、不可避的にバインダー量も増加するため、電極の抵抗が増大するという問題がある。これに対しては、電極の空隙率と細孔径を制御して電極の抵抗の増大を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
一方、塗膜の厚さを厚くして活物質量を増やせば、より少ない積層数あるいは巻回数で積層体を製造することができ、集電体やセパレータの数量を削減できるので、製造コストの低減を図ることができる。また、粒子径の小さい活物質を用いる必要はないので、粒子径の小さい活物質を製造するために要する余分のコストが不要となる。しかしながら、この方法では、塗膜の厚さを厚くするにつれてレート特性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、塗膜の厚さを厚くしても優れたレート特性を与える非水電解液二次電池用電極およびそれを用いた非水電解液二次電池を提供することを目的とした。
電極の抵抗は、構成材料自身の抵抗、材料間の接触抵抗、特に活物質と導電材との間の接触抵抗、リチウムイオンの拡散抵抗等に依存するが、構成材料自身の抵抗は一定であるため、通常、電池の内部抵抗低減のためには、活物質と導電材間の接触抵抗とリチウムイオンの拡散抵抗の低減、特に接触抵抗に比し大きな抵抗値を有する拡散抵抗の低減が検討されている。電極内の空隙を増やして電解液の保持量を増加させれば、リチウムイオンの拡散抵抗を低減することが可能なため、一般的には、特許文献1に記載されているように、空隙率を所定の範囲に設定することにより、拡散抵抗の低減を図っている。しかしながら、従来の方法では、活物質と導電材間の導電パスの確保が困難であるという問題がある。特に、活物質層の塗膜の厚さを厚くして活物質量を増やそうとしても、活物質量に応じて導電材の量も増加するため、空隙率を確保しながら、活物質と導電材間の導電パスを確保するのは容易ではない。
本発明者らは、活物質の容積と導電材の容積に着目し、活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和を所定範囲に維持し、かつ活物質層の空隙容積も所定範囲に維持することにより、活物質層の塗膜の厚さを厚くしていっても、電極の内部抵抗を低減でき、優れたレート特性が得られることを見出して本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の非水電解液二次電池用電極は、対向する一対の主面を有する集電体と、少なくとも活物質、バインダーおよび導電材を有し、該集電体の少なくとも一方の主面上に形成された活物質層を有する非水電解液二次電池用電極であって、活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和が集電体の単位面積当たり、9.70×10−3〜24.6×10−3cm3/cm2であり、活物質層の空隙容積が集電体の単位面積当たり、6.00×10−3〜20.0×10−3cm3/cm2であることを特徴とする。
また、本発明の非水電解液二次電池は、上記の本発明の非水電解液二次電池用電極を含むことを特徴とする。
本発明によれば、塗膜の厚さを厚くしても優れたレート特性を与える非水電解液二次電池用電極およびそれを用いた非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
本発明の効果については、活物質の容積と導電材の容積の和を所定範囲に維持することにより、活物質と導電材間の接触抵抗の低減が可能となり、十分な導電パスが確保され、かつ活物質層の空隙容積を所定範囲に維持することにより、リチウムイオンの拡散抵抗の低減が可能となったためと考えている。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の非水電解液二次電池用電極は、対向する一対の主面を有する集電体と、少なくとも活物質、バインダーおよび導電材を有し、該集電体の少なくとも一方の主面上に形成された活物質層を有する非水電解液二次電池用電極であって、活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和が集電体の単位面積当たり、9.70×10−3〜24.6×10−3cm3/cm2であり、活物質層の空隙容積が集電体の単位面積当たり、6.00×10−3〜20.0×10−3cm3/cm2であることを特徴とするものである。
本発明においては、活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和が集電体の単位面積当たり、9.70×10−3〜24.6×10−3cm3/cm2、好ましくは10.3×10−3〜15.6×10−3cm3/cm2である。活物質容積と導電材容積の和が、9.70×10−3cm3/cm2より小さい電極では、電池に使用する電極枚数が増大し、セパレータや集電体の枚数が増え、電池の製造コストが上昇するため好ましくない。また、24.6×10−3cm3/cm2より大きくても、レート特性は低下するからである。ここで、平均粒径D50は、粒子体積の累積度が50%となる粒径を意味し、粒度分布測定装置、例えばレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
活物質の平均粒径D50から算出される、集電体の単位面積当たりの活物質容積とは、平均粒径D50の活物質1粒子の体積(cm3)と集電体の単位面積当たりの活物質の粒子数(個/cm2)の積で定義され、以下の式(I)を用いて算出することができる。
集電体の単位面積当たりの活物質容積(cm3/cm2)
={(4/3π)×(活物質1粒子の半径(cm))3}×{(集電体の単位面積当たりの活物質量(g/cm2))/(活物質1粒子の重量(g))} (I)
集電体の単位面積当たりの活物質容積(cm3/cm2)
={(4/3π)×(活物質1粒子の半径(cm))3}×{(集電体の単位面積当たりの活物質量(g/cm2))/(活物質1粒子の重量(g))} (I)
また、導電材の平均粒径D50から算出される、集電体の単位面積当たりの導電材容積とは、平均粒径D50の導電材1粒子の体積(cm3)と集電体の単位面積当たりの導電材の粒子数(個/cm2)の積で定義され、以下の式(II)を用いて算出することができる。
集電体の単位面積当たりの導電材容積(cm3/cm2)
={(4/3π)×(導電材1粒子の半径(cm))3}×{(集電体の単位面積当たりの導電材量(g/cm2))/(導電材1粒子の重量(g))} (II)
集電体の単位面積当たりの導電材容積(cm3/cm2)
={(4/3π)×(導電材1粒子の半径(cm))3}×{(集電体の単位面積当たりの導電材量(g/cm2))/(導電材1粒子の重量(g))} (II)
なお、活物質または導電材1粒子の重量(g)は、所定量の溶媒に測定する粉体を所定量均一に分散させ、粒度分布測定装置または粒子カウンタ装置を用いて溶媒中の粒子数を測定することにより求めることができる。
また、活物質層の空隙容積が集電体の単位面積当たり、6.00×10−3〜20.0×10−3cm3/cm2、好ましくは6.2×10−3〜17.2×10−3cm3/cm2である。活物質層の空隙容積が6.00×10−3cm3/cm2より小さくても、また20.0×10−3cm3/cm2より大きくてもレート特性が低下するからである。
ここで、活物質層の空隙容積は、活物質層の容積から活物質層を構成する固形分である活物質、バインダー・増粘剤及び導電材の容積を差し引いて得られる容積で定義される。活物質容積と導電材容積は、それぞれ上記の式(I)と(II)を用いて算出することができる。また、バインダー・増粘剤容積は、以下の式(III)を用いて算出することができる。
集電体の単位面積当たりのバインダー・増粘剤容積(cm3/cm2)
={(集電体の単位面積当たりのバインダー重量(g/cm2))÷(バインダーの真密度(cm3/cm2))}+{(集電体の単位面積当たりの増粘剤重量(g/cm2))÷(増粘剤の真密度(cm3/cm2))} (III)
集電体の単位面積当たりのバインダー・増粘剤容積(cm3/cm2)
={(集電体の単位面積当たりのバインダー重量(g/cm2))÷(バインダーの真密度(cm3/cm2))}+{(集電体の単位面積当たりの増粘剤重量(g/cm2))÷(増粘剤の真密度(cm3/cm2))} (III)
本発明の非水電解液二次電池用電極は、正極および負極のいずれにも用いることができる。
(正極)
正極活物質にはリチウム複合金属酸化物を用いる。具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4、LiFePO4(リン酸鉄リチウム)を挙げることができる。好ましくは、LiFePO4である。安全性が高く、低コストであるからである。なお、リン酸鉄リチウムには、鉄サイトとリンサイトを異種元素で置換した化合物も含まれる。鉄サイトの置換元素としては、Zr、Sn、YおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を挙げることができ、またリンサイトの置換元素としてはSiを挙げることができる。
正極活物質にはリチウム複合金属酸化物を用いる。具体例としては、LiCoO2、LiNiO2、LiFeO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO3、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4、LiFePO4(リン酸鉄リチウム)を挙げることができる。好ましくは、LiFePO4である。安全性が高く、低コストであるからである。なお、リン酸鉄リチウムには、鉄サイトとリンサイトを異種元素で置換した化合物も含まれる。鉄サイトの置換元素としては、Zr、Sn、YおよびAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を挙げることができ、またリンサイトの置換元素としてはSiを挙げることができる。
正極活物質は、出発原料として、各元素の炭酸塩、水酸化物、塩化物、硫酸塩、酢酸塩、酸化物、シュウ酸塩、硝酸塩等任意の組合せを用いることにより製造することができる。これらの中でも、焼成中に合成に影響を与えうる気体を発生しにくいという観点では、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩、酸化物、シュウ酸塩が好ましく、その中でも低温で分解する(つまり低温合成可能な)炭酸塩、水酸化物塩、酢酸塩、シュウ酸塩がさらに好ましい。
また液相法の際に大気雰囲気下で均一な溶液を作製しやすい、安価であるという観点から弱酸塩(炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩)または強酸塩(硝酸塩、塩化物)が好ましく、その中でも酢酸塩または硝酸塩がより好ましい。
上記の正極活物質の製造方法としては、固相法、ゾルゲル法、溶融急冷法、メカノケミカル法、共沈法、水熱法、噴霧熱分解法等の方法を用いることができる。単相合成のためには焼成前の混合状態が均一であること、および粒子径が小さいことが重要であることから、液相法であるゾルゲル法、共沈法、水熱法、噴霧熱分解法が好ましい。収量の観点からはゾルゲル法、共沈法、水熱法がより好ましい。さらに好ましくはゾルゲル法である。
(正極の製造方法)
正極は、少なくとも、正極活物質と導電材とバインダーと増粘材とを溶媒を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体の片面あるいは両面に塗布し、乾燥することによって作製する。溶媒には、有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。バインダーに水溶性のものを使用する場合は溶媒として水を用いることもできる。溶媒に水を用いる場合、ペーストのpHは5以上、好ましくはpHが8以上である。pHが5より小さい場合、得られた正極を用いた電池はサイクル特性が向上しないからである。
正極は、少なくとも、正極活物質と導電材とバインダーと増粘材とを溶媒を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体の片面あるいは両面に塗布し、乾燥することによって作製する。溶媒には、有機溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、シクロヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。バインダーに水溶性のものを使用する場合は溶媒として水を用いることもできる。溶媒に水を用いる場合、ペーストのpHは5以上、好ましくはpHが8以上である。pHが5より小さい場合、得られた正極を用いた電池はサイクル特性が向上しないからである。
導電材としては、アセチレンブラック、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等を1種または2種以上混合して用いることができる。
また、塗膜中に含まれる正極活物質と導電材の割合は、正極活物質100重量部に対して、導電材が2〜20重量部、好ましくは4〜10重量部である。導電材が2重量部よりも少ないと、正極活物質と集電体の間の接触抵抗が大きくなり好ましくない。また、導電材を20重量部よりも多くしても添加量に見合う接触抵抗低減の効果が得られず、またコストが増加するので好ましくない。
また、バインダーには、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース、スチレンーブタジエンゴム等、あるいは水系バインダーエマルジョンとして、フッ素変性スチレンーブタジエンゴム、オレフィン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体などを挙げることができる。水系バインダーエマルジョンを用いる場合、必要に応じてカルボキシメチルセルロース(以下CMCと略す。)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の増粘材を使用することもできる。
正極に用いる集電体は、対向する一対の主面を有する集電体であり、薄板状、箔状の金属集電体を用いることができ、その材質としては、アルミニウム、ニッケル、クロムおよびそれらの合金を用いることができるが、アルミニウムが好ましい。
本発明の非水電解液二次電池用正極の塗膜の厚さは、正極活物質の塗布量を用いて表すと、集電体の片面の単位面積当たりの塗布量が15mg/cm2以上、より好ましくは15〜38mg/cm2である。片面塗布量が15mg/cm2より小さい電極では、電池に使用する電極枚数が増大し、セパレータや集電体の枚数が増え、電池の製造コストが上昇するため好ましくない。なお、両面塗布の場合、塗布量は片面塗布の場合の2倍であり、集電体の両面の単位面積当たりでは、30mg/cm2以上、より好ましくは30〜76mg/cm2である。
(負極)
負極活物質としては公知の材料を用いることができる。高エネルギー密度電池を構成するためには、リチウムの挿入/脱離する電位が金属リチウムの析出/溶解電位に近いものが好ましい。その典型例は、粒子状(鱗片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状、粉砕粒子状等)の天然もしくは人造黒鉛のような炭素材料である。
負極活物質としては公知の材料を用いることができる。高エネルギー密度電池を構成するためには、リチウムの挿入/脱離する電位が金属リチウムの析出/溶解電位に近いものが好ましい。その典型例は、粒子状(鱗片状、塊状、繊維状、ウィスカー状、球状、粉砕粒子状等)の天然もしくは人造黒鉛のような炭素材料である。
人造黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ、メソフェーズピッチ粉末、等方性ピッチ粉末等を黒鉛化して得られる黒鉛を挙げることができる。また、非晶質炭素を表面に付着させた黒鉛粒子も使用できる。これらの中で、天然黒鉛は、安価でかつリチウムの酸化還元電位に近く、高エネルギー密度電池が構成できるため好ましい。
また、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物、遷移金属酸化物、酸化シリコン等も負極活物質として使用可能である。これらの中では、Li4Ti5O12は電位の平坦性が高く、かつ充放電による体積変化が小さいため好ましい。
(負極の製造方法)
負極は公知の方法により作製できる。例えば、負極活物質とバインダーと導電材とを混合し、得られた混合粉末をシート状に成形し、得られた成形体を集電体、例えばステンレスまたは銅製のメッシュ状集電体に圧着して作製できる。また、正極の場合と同様に溶媒に水を用いて作製することができ、その場合、少なくとも、負極活物質と導電材とバインダーとを水を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。必要に応じて、導電材を添加してもよい。
負極は公知の方法により作製できる。例えば、負極活物質とバインダーと導電材とを混合し、得られた混合粉末をシート状に成形し、得られた成形体を集電体、例えばステンレスまたは銅製のメッシュ状集電体に圧着して作製できる。また、正極の場合と同様に溶媒に水を用いて作製することができ、その場合、少なくとも、負極活物質と導電材とバインダーとを水を用いて混練分散してペーストを得、該ペーストを集電体に塗布することによって作製できる。必要に応じて、導電材を添加してもよい。
また、本発明の非水電解液二次電池用負極の塗膜の厚さは、負極活物質の塗布量を用いて表すと、集電体の片面の単位面積当たりの塗布量が7mg/cm2以上、より好ましくは7〜20mg/cm2である。片面塗布量が7mg/cm2より小さい電極では、電池に使用する電極枚数が増大し、セパレータや集電体の枚数が増え、電池の製造コストが上昇するため好ましくない。なお、両面塗布の場合、塗布量は片面塗布の場合の2倍であり、集電体の両面の単位面積当たりでは、14mg/cm2以上、より好ましくは14〜40mg/cm2である。
負極に用いる集電体は、対向する一対の主面を有する集電体であり、薄板状、箔状の金属集電体を用いることができ、その材質としては、アルミニウム、ニッケルまたは銅を用いることができるが、銅が好ましい。
(非水電解質)
非水電解質としては、例えば、有機電解液、ゲル状電解質、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることができる。
非水電解質としては、例えば、有機電解液、ゲル状電解質、高分子固体電解質、無機固体電解質、溶融塩等を用いることができる。
有機電解液を構成する有機溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン等のラクトン類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のフラン類、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、ギ酸メチル、酢酸メチル等を挙げることができ、これらの1種以上を混合して用いることができる。
また、PC、EC及びブチレンカーボネート等の環状カーボネート類は高沸点溶媒であるため、GBLと混合する溶媒として好適である。
有機電解液を構成する電解質塩としては、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、トリフルオロ酢酸リチウム(LiCF3COO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3SO2)2)等のリチウム塩を挙げることができ、これらの1種以上を混合して用いることができる。電解液の塩濃度は、0.5〜3mol/Lが好適である。
(セパレータ)
セパレータとしては、多孔質材料や不織布等の公知の材料を用いることができる。セパレータの材質としては、電解液中の有機溶媒に対して溶解したり膨潤したりしないものが好ましい。具体的には、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エーテル系ポリマー、ガラス繊維等を挙げることができる。
セパレータとしては、多孔質材料や不織布等の公知の材料を用いることができる。セパレータの材質としては、電解液中の有機溶媒に対して溶解したり膨潤したりしないものが好ましい。具体的には、ポリエステル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エーテル系ポリマー、ガラス繊維等を挙げることができる。
(他の部材)
電池容器のような他の部材についても公知の各種材料を使用でき、特に制限はない。
電池容器のような他の部材についても公知の各種材料を使用でき、特に制限はない。
(二次電池の製造方法)
二次電池は、例えば、正極と負極と、それらの間に挟まれたセパレータとからなる積層体を備えている。積層体は、例えば短冊状の平面形状を有していてもよい。また、円筒型や扁平型の電池を作製する場合は、積層体を巻き取って巻回体としてもよい。
二次電池は、例えば、正極と負極と、それらの間に挟まれたセパレータとからなる積層体を備えている。積層体は、例えば短冊状の平面形状を有していてもよい。また、円筒型や扁平型の電池を作製する場合は、積層体を巻き取って巻回体としてもよい。
積層体は、その1つ又は複数が電池容器の内部に挿入される。通常、正極及び負極は電池の外部導電端子に接続される。その後に、正極、負極及びセパレータを外気より遮断するために電池容器を密閉する。
密封の方法は、円筒電池の場合、電池容器の開口部に樹脂製のパッキンを有する蓋をはめ込み、電池容器と蓋とをかしめる方法や、電池容器の開口部と蓋とをレーザー溶接等で溶接する方法が一般的である。また、角型電池の場合、金属性の封口板と呼ばれる蓋を開口部に取りつけ、溶接を行う方法を使用できる。これらの方法以外に、結着剤で密封する方法、ガスケットを介してボルトで固定する方法も使用できる。更に、金属箔に熱可塑性樹脂を貼り付けたラミネート膜で密封する方法も使用できる。なお、密封時に電解質注入用の開口部を設けてもよい。有機電解液を用いる場合、その開口部から有機電解液を注入し、その後でその開口部を封止する。封止の前に通電し発生したガスを取り除いてもよい。また、1個の電池当たりの容量が20Ah以上500Ah以下のような大型電池を作製する場合、電解液注入用の開口部を複数設けても良く、例えば、1つの開口部は電解液注入用とし、他方はガスを取り除くために用いることが良い。容量が20Ah未満であると、蓄電池システムとしての低コスト化が困難となり好ましくなく、容量が500Ahを超えると、正極活物質としてリン酸鉄リチウムを用いても安全性が低くなるため好ましくない。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1〜4および比較例1〜3
(正極の作製)
正極活物質粉末A(g)と、導電材粉末B(g)と、バインダーC(g)と、増粘材水溶液D(g)と、イオン交換水E(g)とをフィルミクス80−40型(プライミクス製)を用いて室温下で攪拌混合して水性ペーストを得た。
(正極の作製)
正極活物質粉末A(g)と、導電材粉末B(g)と、バインダーC(g)と、増粘材水溶液D(g)と、イオン交換水E(g)とをフィルミクス80−40型(プライミクス製)を用いて室温下で攪拌混合して水性ペーストを得た。
この水性ペーストを、圧延アルミニウム箔(厚さ:20μm)上にダイコーターを用いて両面に塗布し、空気中100℃で30分間乾燥し、プレス加工して正極板(塗工面サイズ:30cm(縦)×15cm(横))を得た。
単位面積当たりの活物質重量、平均粒径D50から算出される容積および導電材の平均粒径D50から算出される容積、電極の空隙容積の値を表1−1および1−2に示す。なお、平均粒径D50は、株式会社セイシン企業製のレーザー回折・散乱式粒度分布測定装置型式(LMS−2000e)を用いて測定した。
(負極の作製)
負極活物質粉末a(g)と、導電材粉末b(g)と、バインダーc(g)と、増粘材水溶液d(g)と、イオン交換水e(g)とを2軸遊星プラネタリミキサー(プライミクス製)を用いて室温下で攪拌混練して水性ペーストを得た。
負極活物質粉末a(g)と、導電材粉末b(g)と、バインダーc(g)と、増粘材水溶液d(g)と、イオン交換水e(g)とを2軸遊星プラネタリミキサー(プライミクス製)を用いて室温下で攪拌混練して水性ペーストを得た。
この水性ペーストを、圧延銅箔(厚さ:10μm)上にダイコーターを用いて両面に塗布し、空気中100℃で30分間乾燥し、プレス加工して負極板(塗工面サイズ:30.4cm(縦)×15.4cm(横))を得た。
単位面積当たりの活物質重量の平均粒径D50から算出される容積および導電材の平均粒径D50から算出される容積、電極の空隙容積の値を表1−1および1−2に示す。
(電池の作製)
作製した正極及び負極を130℃で24時間減圧乾燥し、Ar雰囲気下のグローブボックス中に入れた。以下の電池組み立ては全てそのグローブボックス内、室温下で行った。
負極の上に、ポリエチレン(PE)微多孔膜(30.4cm(縦)×15・4cm(横)×25μm(厚)、空隙率:55%)を載置し、その上に正極を重ね、またPE微多孔膜を重ねる作業を繰り返して、負極6枚と正極5枚とそれぞれの極間にPE微多孔膜を10枚挟んだ積層体を作製した。負極6枚にNiリードを超音波溶接し、正極5枚からAlリードを超音波溶接し、Alラミネート袋へ挿入し、3辺を熱融着した。エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を、体積比1:2で混合した溶媒に1mol/lになるようにLiPF6を溶解させた電解液をセルへ注液し、それぞれのリードを取り出しつつ、Alラミネート袋の最後の1辺を熱融着して電池を得た。電解液注液量及び電池容量を表1へ示す。電解液の注液量は、各電池で使用する電極の厚さに準じて適宜決定しており、実際に作製した電池の正負極およびセパレータに電解液が十分浸透する量とした。
作製した正極及び負極を130℃で24時間減圧乾燥し、Ar雰囲気下のグローブボックス中に入れた。以下の電池組み立ては全てそのグローブボックス内、室温下で行った。
負極の上に、ポリエチレン(PE)微多孔膜(30.4cm(縦)×15・4cm(横)×25μm(厚)、空隙率:55%)を載置し、その上に正極を重ね、またPE微多孔膜を重ねる作業を繰り返して、負極6枚と正極5枚とそれぞれの極間にPE微多孔膜を10枚挟んだ積層体を作製した。負極6枚にNiリードを超音波溶接し、正極5枚からAlリードを超音波溶接し、Alラミネート袋へ挿入し、3辺を熱融着した。エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を、体積比1:2で混合した溶媒に1mol/lになるようにLiPF6を溶解させた電解液をセルへ注液し、それぞれのリードを取り出しつつ、Alラミネート袋の最後の1辺を熱融着して電池を得た。電解液注液量及び電池容量を表1へ示す。電解液の注液量は、各電池で使用する電極の厚さに準じて適宜決定しており、実際に作製した電池の正負極およびセパレータに電解液が十分浸透する量とした。
(電池の容量測定)
電池の容量は、0.1C定電流で3.6Vまで充電を行い、0.1C定電流で2Vまで放電を行って求めた(以下、0.1C容量という)。また、レート特性は、(1.0C容量/0.1C容量)で定義した。1.0C容量は、0.1C定電流で3.6Vまで充電を行い、1.0C定電流で2Vまで放電を行って求めた。0.1C容量は上記の方法で求めた。結果を表1−1および1−2に示す。
電池の容量は、0.1C定電流で3.6Vまで充電を行い、0.1C定電流で2Vまで放電を行って求めた(以下、0.1C容量という)。また、レート特性は、(1.0C容量/0.1C容量)で定義した。1.0C容量は、0.1C定電流で3.6Vまで充電を行い、1.0C定電流で2Vまで放電を行って求めた。0.1C容量は上記の方法で求めた。結果を表1−1および1−2に示す。
(結果)
表1−1および1−2に示すように、実施例1から4は、いずれも90%を越えるレート特性が得られた。これに対し、空隙容積が6.00×10−3cm3/cm2より小さい比較例1、空隙容積が20.0×10−3cm3/cm2より大きい比較例2ではレート特性が80%程度であった。また、活物質容積と導電材容積の和が、24.6×10−3cm3/cm2より大きい比較例3では、レート特性が65.5%と非常に低い値であった。以上の結果より、本発明の電極を用いることにより、優れたレート特性を有する非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
表1−1および1−2に示すように、実施例1から4は、いずれも90%を越えるレート特性が得られた。これに対し、空隙容積が6.00×10−3cm3/cm2より小さい比較例1、空隙容積が20.0×10−3cm3/cm2より大きい比較例2ではレート特性が80%程度であった。また、活物質容積と導電材容積の和が、24.6×10−3cm3/cm2より大きい比較例3では、レート特性が65.5%と非常に低い値であった。以上の結果より、本発明の電極を用いることにより、優れたレート特性を有する非水電解液二次電池を提供することが可能となる。
Claims (4)
- 対向する一対の主面を有する集電体と、少なくとも活物質、バインダーおよび導電材を有し、該集電体の少なくとも一方の主面上に形成された活物質層を有する非水電解液二次電池用電極であって、
活物質の平均粒径D50から算出される活物質容積と導電材の平均粒径D50から算出される導電材容積の和が集電体の単位面積当たり、9.70×10−3〜24.6×10−3cm3/cm2であり、活物質層の空隙容積が集電体の単位面積当たり、6.00×10−3〜20.0×10−3cm3/cm2である非水電解液二次電池用電極。 - 上記集電体の両方の主面に活物質層を有し、該活物質層の集電体単位面積当たりの重量が30〜76mg/cm2である請求項1記載の非水電解液二次電池用電極。
- 電極が正極であり、活物質がリン酸鉄リチウムである請求項1記載の非水電解液二次電池用電極。
- 請求項1記載の非水電解液二次電池用電極を含む非水電解液二次電池。
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