JP6084041B2 - 編物基材の形成方法、編物基材、および繊維強化プラスチック - Google Patents
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Description
[工程α]…横編機で編成すべき編地の形状の基礎となる基本型紙に対応して、強化繊維からなるインレイ糸を編幅方向に挿入しながら編糸でベース編地部を編成し第1の編地を成型する。
[工程β]…前記基本型紙において、工程αの編成時とは異なる向きとした基本型紙に対応して、強化繊維からなるインレイ糸を編幅方向に挿入しながら編糸でベース編地部を編成し第2の編地を成型する。
[工程γ]…前記第1の編地と第2の編地とを互いの形状が一致するように重ね合わせる。
以下、本発明の編物基材とその形成方法について説明する。編物基材は、後述するように横編機を用いて形成されるが、先に編物基材の構成について説明し、その後、編物基材の形成方法について説明する。図1に示す本実施形態の編物基材1は、2枚の編地10a,10bから構成されている。各編地10a,10bは、ベース編地部を構成する編糸60と、ベース編地部に挿入され、強化繊維からなるインレイ糸70とを備える。本発明の特徴の一つは、編地10a,10bが、インレイ糸70の配向方向が互いに異なるように重ね合わされていることにある。
編物基材1は、図1(A)に示すように、等脚台形の平面形状であり、強化繊維からなる緯糸71と経糸72とを備える。緯糸71と経糸72は直交している。編物基材1は、図1(B)に示すように、別々に形成された2枚の編地10a,10bが、互いの形状を一致させるように重ね合わされている。
編地10a,10bは、インレイ糸70が編糸60によるベース編地部に挿入されている。各編地10a,10bは、形状が同じであって、インレイ糸70の配向方向が90°異なっている。ここでは、編地10aのインレイ糸70を編物基材1の緯糸71とし、編地10bのインレイ糸70を編物基材1の経糸72としている。
本発明の編物基材1は、FRPの基材に好適に利用できる。この場合、本発明の編物基材1に樹脂を含浸させて加熱圧縮する。なお、編物基材1の編糸60に樹脂が含まれている場合は、追加で編物基材1に樹脂を含浸や塗布させてもよいが、この追加は必須ではない。他に、本発明の編物基材1は、防弾・防刃チョッキの素材に好適に利用できる。
上述した本発明の編物基材1は横編機を用いて、以下の形成方法によって得られる。本発明の編物基材1の形成方法では、横編機で編成すべき編地の形状の基礎となる共通の基本型紙100を用いて複数枚の編地10a,10bを編成する。編地の編成には、左右方向に延び、かつ前後方向に互いに対向する一対の針床を備え、前後の針床間で編目の目移しが可能であると共に、少なくとも一方の針床がラッキング可能な2枚(4枚でも可)ベッド横編機を用いる。基本的には2枚の針床のうちどちらか一方を主として用いれば、各編地10a,10bは編成できる。
本実施形態で用いる基本型紙100は、図1(B)-(a)に示すように、上辺111と下辺112と側辺113とで形成される等脚台形の平面形状である。本実施形態1の編物基材1は、二次元形状であるため、基本型紙100の形状がそのまま編物基材1の形状となる。つまり、基本型紙100の上辺111、下辺112、側辺113が、編物基材1の上辺11、下辺12、側辺13に対応する。図1(B)-(a)に示す基本型紙100の向きを0°とする。
図1(B)-(a)に示す形状の基本型紙100に対応して、インレイ糸70を挿入しながら編糸60でベース編地部を編成し編地10aを編成する。図中の複数の横線がインレイ糸70の挿入方向である。
図1(B)-(b)に示すように、基本型紙100を90°回転する。この90°回転した基本型紙100に対応して、上述した編地10aの編成方法と同様に、インレイ糸70を挿入しながら編糸60でベース編地部を編成し編地10bを編成する。図中の複数の横線がインレイ糸70の挿入方向である。ここでは、基本型紙100を90°回転したが、この基本型紙100の回転角度は任意に設定することができる。この編地10bは、下側の側辺113の右角部が編み始めで、上側の側辺113の右角部が編み終わりとなる。
編地10aと編地10bとを、互いの形状が一致するように重ね合わせる。図1(B)-(c)に示すように、編地10aの編成に用いた基本型紙100と編地10bの編成に用いた基本型紙100は90°異なるため、両基本型紙100を重ね合わせると、インレイ糸70の挿入方向は直交する。基本型紙100に対応して編成した編地10a,10bを重ね合わせているため、編成された編物基材1は、インレイ糸70が緯糸71と経糸72で直交した状態が編物基材1全体にわたって配される(図1(A))。
実施形態1では、2次元形状の編物基材1の編成方法を説明した。実施形態2では、図2を参照して、3次元形状の編物基材2の編成方法を説明する。実施形態2の編物基材2は、図2(A)に示すように、矩形状の外縁部21の中央部に湾曲した膨らみ部22を備える。各編地20a,20bに用いている編糸やインレイ糸については実施形態1と同様のため、以下では基本型紙200を用いた編物基材2の編成方法について説明する。
基本型紙200は、図2(B)-(a)に示すように、大台形と小台形とが一体となった形状の半体を小台形の短辺を境界として上下に対称配置させた膨らみ部222と、この膨らみ部222を挟んで配置させた矩形状の外縁部221とを備える。この基本型紙200は、3次元形状の編物基材2を2次元に展開した型紙である。よって、この基本型紙200に対応して各編地20a,20bを編成する際は、図2(B)において矢印で示されている領域は接続しながら編成される。この接続は、コース方向又はウエール方向において、立体部を形成するための編地部分を設け、各編地部分を接続する。基本型紙200の外縁部221、膨らみ部222が、編物基材2の外縁部21、膨らみ部22に対応する。図2(B)-(a)に示す基本型紙200の向きを0°とする。
実施形態3では、図3を参照して、3次元形状の他の形態の編物基材3の形成方法を説明する。実施形態3の編物基材3は、図3(A)に示すように、矩形状の基材の一部(外縁部31)に略円形の絞り部32と、この絞り部32の内縁から連続して、外縁部31に直交する方向を軸方向とする筒状部33とを備える。筒状部33は、絞り部32から離れるほど小径になり、上下端が開口している。各編地30a,30bに用いている編糸やインレイ糸については実施形態1と同様のため、以下では基本型紙300を用いた編物基材3の形成方法について説明する。
基本型紙300は、図3(B)-(a)に示すように、3つの小台形をそれぞれ長辺が直線上に揃うように並列配置させた2つの筒状部333と、この筒状部333を挟んで配置させた略矩形状の外縁部331と、この外縁部331において筒状部333と対向する側縁に、筒状部333の長辺に対応して形成した絞り部332とを備える。この基本型紙300は、3次元形状の編物基材3を2次元に展開した型紙である。よって、この基本型紙300に対応して各編地30a,30bを編成する際は、図3(B)において矢印で示されている領域は接続しながら編成される。この接続は、実施形態2と同様に、コース方向又はウエール方向において、立体部を形成するための編地部分を設け、各編地部分を接続する。基本型紙300の外縁部331、絞り部332、筒状部333が、編物基材3の外縁部31、絞り部32、筒状部33に対応する。図3(B)-(a)に示す基本型紙300の向きを0°とする。
実施形態4では、図4を参照して、実施形態3と同様の形状(外縁部41、絞り部42、筒状部43を備える)編物基材4を、実施形態3とは別の基本型紙400を用いて形成する方法を説明する。各編地40a,40bに用いている編糸やインレイ糸については実施形態1と同様のため、以下では基本型紙300を用いた編物基材4の形成方法について説明する。
基本型紙400は、図4(B)-(a)に示すように、3つの小台形をそれぞれ長辺及び短辺がそれぞれ直線上に揃うように並列配置させた絞り部442と、この絞り部442の長辺側に連続して配置させた外縁部441と、絞り部442の短辺側に連続して配置させた筒状部443とを備える。この基本型紙400は、3次元形状の編物基材4を2次元に展開した型紙である。図4(B)では、基本型紙400は2次元で図示しているため、実際の基本型紙400の前半分のみ図示している。つまり、前半分と同形状の後半分が紙面奥側に存在する。この基本型紙400に対応して各編地40a,40bを編成する際は、図4(B)において矢印で示されている領域は接続しながら編成される。この接続は、実施形態2と同様に、コース方向又はウエール方向において、立体部を形成するための編地部分を設け、各編地部分を接続する。基本型紙400の外縁部441、絞り部442、筒状部443が、編物基材4の外縁部41、絞り部42、筒状部43に対応する。図4(B)-(a)に示す基本型紙400の向きを0°とする。
10a,10b,20a,20b,30a,30b,40a,40b 編地
11 上辺 12 下辺 13 側辺
21 外縁部 22 膨らみ部
31 外縁部 32 絞り部 33 筒状部
41 外縁部 42 絞り部 43 筒状部
60 編糸
70 インレイ糸 71 緯糸 72 経糸
70s 直線部 70r 折り返し部
100,200,300,400 基本型紙
111 上辺 112 下辺 113 側辺
221 外縁部 222 膨らみ部
331 外縁部 332 絞り部 333 筒状部
441 外縁部 442 絞り部 443 筒状部
Claims (4)
- 横編機を用いて編物基材を形成する方法において、
横編機で編成すべき編地の形状の基礎となる基本型紙に対応して、強化繊維からなるインレイ糸を編幅方向に挿入しながら編糸でベース編地部を編成し第1の編地を成型する工程αと、
前記基本型紙において、工程αの編成時とは異なる向きとした基本型紙に対応して、強化繊維からなるインレイ糸を編幅方向に挿入しながら編糸でベース編地部を編成し第2の編地を成型する工程βと、
前記第1の編地と前記第2の編地とを互いの形状が一致するように重ね合わせる工程γとを備え、
前記工程α及び前記工程βにおいて、編幅方向の編目数がウエール方向で異なるようにベース編地部の少なくとも一部を編成する編物基材の形成方法。 - 複数の編地から構成された編物基材において、
前記各編地は、ベース編地部を編成する編糸と、前記ベース編地部に編幅方向に挿入され、強化繊維からなるインレイ糸とを備え、
前記インレイ糸は、直線部と、前記編地の編幅方向端部において、この直線部から折り返されて次の直線部に繋がる折り返し部とを備え、
前記編物基材を構成する少なくとも2枚の編地は、インレイ糸の配向方向が互いに異なるように重ね合わされている編物基材。 - 複数の編地から構成された編物基材において、
前記各編地は、ベース編地部を編成する編糸と、前記ベース編地部に編幅方向に挿入され、強化繊維からなるインレイ糸とを備え、
該編地の少なくとも一部に編幅方向の編目数がウエール方向で異なる領域を備え、
前記編物基材を構成する少なくとも2枚の編地は、インレイ糸の配向方向が互いに異なるように重ね合わされている編物基材。 - 樹脂からなる母材と、前記母材を補強する繊維基材とを備える繊維強化プラスチックにおいて、
前記繊維基材が請求項2又は請求項3に記載の編物基材である繊維強化プラスチック。
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