JP5962586B2 - ステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アシストトルクによって操舵時のフィールを調整するステアリング制御装置に関する。
従来、車両の操舵部材(ハンドル)に加わる操舵力を補助するステアリング制御装置の一つとして、操舵部材における操舵角と操舵トルクとの関係を規定する規範操舵モデルを利用して目標操舵トルクを生成し、アシストトルク(補助操舵トルク)を発生させる操舵補助用モータを、目標操舵トルクと操舵トルクの検出値との偏差に基づいて駆動するものが知られている。また、この装置では、規範操舵モデルを特徴づける機械インピーダンスを、車速や操舵角に応じて変化させることも行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開第4232471号公報
ところで、機械インピーダンスは、ハンドルを操作するドライバの力覚に影響を与えるものであり、例えば、ハンドルを軽くする場合、機械インピーダンス(特に剛性係数)を低下させる方向に調整することになる。しかし、この場合、ハンドルが軽くなるだけでなく、ハンドルを切ったときの手応えがなくなる(舵抜け)等、操舵時のフィールを劣化させてしまい、ドライバに違和感を与えてしまうという問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するために、機械インピーダンスの調整具合によらず、操舵状態に応じたフィールを実現することを目的とする。
本発明のステアリング制御装置は、基本トルク生成手段と、調整トルク生成手段と、補正トルク生成手段と、指令値生成手段とを備える。基本トルク生成手段は、アシストトルクに応じて発生させる操舵トルクの目標値である基本トルクを生成する。調整トルク生成手段は、操舵軸で検出される操舵トルクと操舵角の関係を規定する機械インピーダンスを調整するための操舵トルクの目標値である調整トルクを生成する。補正トルク生成手段は、操舵輪から操舵部材への振動伝達特性を調整するための操舵トルクの目標値である補正トルクを生成する。指令値生成手段は、基本トルクおよび調整トルク、補正トルクから、モータを制御するための指令値を生成する。但し、補正トルク生成手段は、調整トルク生成手段での機械インピーダンスの調整内容に応じて振動伝達特性を変化させる。
このような構成によれば、機械インピーダンスの調整に伴って生じる操舵時のフィール(特に手応え)の劣化やドライバに与える違和感を、機械インピーダンスに連動した補正トルク(ひいては振動伝達特性)の調整によって抑制することができる。なお、このような本発明の効果は、本発明者らが行った実験により発見された特性、すなわち、操舵部材に加わる振動がドライバの感覚(例えば剛性感)に影響を与えるという実験結果(図6参照)を利用することで初めて得られたものである。
特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、本発明は、前述したステアリング制御装置の他、ステアリング制御装置を構成する各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム、ステアリング制御方法など、種々の形態で実現することができる。
電動パワーステアリングシステムの概略構成を表す構成図である。 ECUの制御機構の概略構成を表す構成図である。 ベースアシスト部および補正部の構成を表す構成図である。 ゲイン調整マップの特性を例示するグラフである。 ゲイン調整マップに従って伝達制御ゲインを変化させることによって操舵トルクから操舵角までの伝達特性が変化する様子を示したボード線図である。 操舵部材に加わる振動が剛性の知覚に与える影響の実験結果を示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
<全体構成>
本実施形態の電動パワーステアリングシステム1は、図1に示すように、ドライバによるハンドル(操舵部材)2の操作をモータ6によってアシストするものである。ハンドル2は、ステアリングシャフト3の一端に固定され、ステアリングシャフト3の他端にはトルクセンサ4が接続されており、このトルクセンサ4の他端には、インターミディエイトシャフト5が接続されている。なお、以下の説明では、ステアリングシャフト3からトルクセンサ4を経てインターミディエイトシャフト5に至る軸体全体を、まとめて操舵軸ともいう。また、以下では、操舵軸の回転角を舵角、操舵軸の回転角速度を操舵速度、操舵軸の回転角加速度を操舵加速度ともいう。
トルクセンサ4は、操舵トルクTsを検出するためのセンサである。具体的には、ステアリングシャフト3とインターミディエイトシャフト5とを連結するトーションバーを有し、このトーションバーのねじれ角に基づいてそのトーションバーに加えられているトルクを検出する。
モータ6は、ハンドル2の操舵力をアシスト(補助)するものであり、減速機構6aを介してその回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。すなわち、減速機構6aは、モータ6の回転軸の先端に設けられたウォームギアと、このウォームギアと噛み合った状態でインターミディエイトシャフト5に同軸状に設けられたウォームホイールとにより構成されており、これにより、モータ6の回転がインターミディエイトシャフト5に伝達される。逆に、ハンドル2の操作や路面からの反力(路面反力)によってインターミディエイトシャフト5が回転すると、その回転が減速機構6aを介してモータ6に伝達され、モータ6も回転することになる。
また、モータ6は、本実施形態ではブラシレスモータであり、内部にレゾルバ等の回転センサを備え、モータ6の回転状態を出力可能に構成されている。本実施形態のモータ6は、回転センサからの回転状態として、少なくともモータ速度ω(回転角速度を示す情報)を出力可能に構成されている。なお、モータ速度ωの代わりに、モータ速度ωに減速機構6aのギア比を乗じることで求められる操舵速度を用いてもよい。
インターミディエイトシャフト5における、トルクセンサ4が接続された一端とは反対側の他端は、ステアリングギアボックス7に接続されている。ステアリングギアボックス7は、ラックとピニオンギアからなるギア機構にて構成されており、インターミディエイトシャフト5の他端に設けられたピニオンギアに、ラックの歯が噛み合っている。そのため、ドライバがハンドル2を回すと、インターミディエイトシャフト5が回転(すなわちピニオンギアが回転)し、これによりラックが左右に移動する。ラックの両端にはそれぞれタイロッド8が取り付けられており、ラックとともにタイロッド8が左右の往復運動を行う。これにより、タイロッド8がその先のナックルアーム9を引っ張ったり押したりすることで、操舵輪である各タイヤ10の向きが変わる。
また、車両における所定の部位には、車速Vを検出するための車速センサ11が設けられている。
このような構成により、ドライバがハンドル2を回転(操舵)させると、その回転がステアリングシャフト3、トルクセンサ4、およびインターミディエイトシャフト5を介してステアリングギアボックス7に伝達される。そして、ステアリングギアボックス7内で、インターミディエイトシャフト5の回転がタイロッド8の左右移動に変換され、タイロッド8が動くことによって、左右の両タイヤ10が操舵される。
ECU15は、図示しない車載バッテリからの電力によって動作し、トルクセンサ4にて検出された操舵トルクTs、モータ6のモータ速度ω、および車速センサ11にて検出された車速Vに基づいて、アシストトルク指令Taを演算する。そして、その演算結果に応じた駆動電圧Vdをモータ6へ印加することにより、ドライバがハンドル2を回す力(ひいては両タイヤ10を操舵する力)のアシスト量を制御するものである。
本実施形態ではモータ6がブラシレスモータであるため、ECU15からモータ6へ出力(印加)される駆動電圧Vdは、詳しくは、3相(U,V,W)の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwである。ECU15からモータ6へこれら各相の駆動電圧Vdu,Vdv,Vdwを印加(各相の駆動電流を通電)することで、モータ6の回転トルクが制御される。ブラシレスモータを3相の駆動電圧で駆動(例えばPWM駆動)する方法やその3相の駆動電圧を生成する駆動回路(例えば3相インバータ)についてはよく知られているため、ここではその詳細説明は省略する。
ECU15は、直接的にはモータ6へ印加する駆動電圧Vdを制御することによりモータ6を制御することによって操舵特性を制御するものであるが、モータ6を制御することで結果としてそのモータ6により駆動される操舵系メカ100を制御するものであると言え、よってECU15の制御対象はこの操舵系メカ100であると言える。なお、操舵系メカ100は、図1に示したシステム構成図のうちECU15を除く機構全体、すなわちハンドル2から各タイヤ10に至る、ハンドル2の操舵力が伝達される機構全体を示す。
<ECU>
次に、ECU15の概略構成(制御機構)を図2のブロック図に示す。なお、図2に示したECU15の制御機構のうち、電流フィードバック(FB)部42を除く各部、および電流FB部42の機能の一部は、実際には、ECU15が備える図示しないCPUが所定の制御プログラムを実行することによって実現されるものである。つまり、CPUによって実現される各種機能を機能ブロック毎に分けて図示したものが図2である。但し、これら各図に示した制御機構がソフトウェアにて実現されることはあくまでも一例であり、図2等に示した制御機構全体または一部を例えばロジック回路等のハードウェアにて実現するようにしてもよいことはいうまでもない。
ECU15は、図2に示すように、ベースアシスト指令Tbを生成するベースアシスト部20と、補正トルク指令Trを生成する補正部30と、ベースアシスト指令Tbと補正トルク指令Trを加算することによりアシストトルク指令Taを生成する加算器41と、アシストトルク指令Taに基づいてモータ6へ駆動電圧Vdを印加することによりモータ6を通電駆動する電流フィードバック(FB)部42と、を備えている。
ベースアシスト部20は、路面反力(路面負荷)に応じた操舵反力(操舵トルク)の特性の実現、すなわち路面負荷に対応した反応(反力)が準定常的にドライバへ伝達されるようにすることで車両の状態や路面の状態をドライバが把握しやすくなるようにすると共に、操舵状態に応じてドライバに与える手感(ハンドルからタイヤまでの感覚的硬さ,ねばり,重さ)を調整することで操舵時のフィールを向上させることを実現するためのブロックである。ベースアシスト部20は、操舵トルクTsとモータ速度ωと車速Vに基づき、上述した路面負荷に応じた伝達感や操舵状態に応じたフィールが実現されるようにハンドル2の操作をアシストするための、ベースアシスト指令Tbを生成する。
補正部30は、路面の状態(ロードインフォメーション)が的確にハンドルに伝達されるようにすると共に、ベースアシスト部20だけでは調整しきれない操舵時のフィールを補償するためのブロックである。補正部30は、操舵トルクTsとベースアシスト部20から供給される機械インピーダンス調整値(ここでは剛性相当係数K)に基づき上述した補正トルク指令Trを生成する。
加算器41は、ベースアシスト部20で生成されたベースアシスト指令Tbと補正部30で生成された補正トルク指令Trとを加算することにより、アシストトルク指令Taを生成する。
電流FB部42は、アシストトルク指令Taに基づき、そのアシストトルク指令Taに対応したアシストトルク(アシスト操舵力)が操舵軸(特にトルクセンサ4よりもタイヤ10側)に付与されるようにモータ6へ駆動電圧Vdを印加する。具体的には、アシストトルク指令Taに基づいて、モータ6の各相へ通電すべき目標電流(相毎の目標電流)を設定する。そして、各相の通電電流Imを検出・フィードバックして、その検出値(各相の通電電流Im)がそれぞれ目標電流と一致するように駆動電圧Vdを制御(通電電流を制御)することで、操舵軸に対して所望のアシストトルクを発生させる。
なお、このような電流FB部42は公知の技術(例えば、特開2013−52793号公報参照)であるため、ここでは説明を省略し、以下では、本発明の主要部に関わるベースアシスト部20および補正部30について詳述する。
<ベースアシスト部>
ベースアシスト部20は、図3に示すように、負荷推定器21と、基本負荷量演算部22と、ドライバ仕事率演算部23と、剛性調整量演算部24と、粘性調整量演算部25と、慣性調整量演算部26と、微分器261と、目標演算器27と、偏差演算器28と、コントローラ部29とを備えている。
負荷推定器21は、ベースアシスト指令Tb(アシストトルクに相当)と操舵トルクTsとに基づいて路面負荷を推定する。基本負荷量演算部22は、負荷推定器21にて推定された路面負荷(推定負荷Tx)と自車両の走行速度(車速V)とに基づいて、操舵トルクの目標値の基本成分である基本トルクTfを生成する。
ドライバ仕事率演算部23は、モータ速度ωに減速機構6aのギア比を乗じることで求めた操舵速度に、操舵トルクTsを乗じることでドライバ仕事率Wを算出する。但し、操舵トルクTsおよびモータ速度ω(ひいては操舵速度)は、いずれもハンドル2を右回転させた場合と、左回転させた場合とで逆極性の値となる。また、操舵トルクTsは、Ts=0となるハンドル2の位置を中立位置として、中立位置から右回転させた場合と左回転させた場合とで逆極性の値となる。中立位置は、タイヤがグリップしている通常走行時には、車両を直進させる位置が中立位置となり、オーバステアによるスピン発生時にはタイヤが横滑りしている方向が中立位置となる。ここでは、左回転時に正、右回転時に負となるものとする。
従って、操舵トルクTsとモータ速度ωの極性が同じでありドライバ仕事率Wが正極性となる場合は、ハンドルを切り込む操作によって生じた値であること、操舵トルクTsとモータ速度ωの極性が異なっておりドライバ仕事率Wが負極性となる場合は、ハンドルを切り戻す操作によって生じた値であること、ドライバ仕事率Wがゼロであれば保舵の状態であることを表す。
つまり、ハンドルを中立位置から左右どちらかに切り込んだ場合、操舵トルクTs、モータ速度ωの極性は同じであるため、ドライバ仕事率Wは正極性の値となる。ハンドルを切った状態で保持すると(保舵の状態)、モータ速度ωは0であるため、ドライバ仕事率は0となる。この保舵の状態から、ハンドルを切り戻した場合、切り込んだときとはモータ速度ωの極性が反転し、操舵トルクTsとモータ速度ωの極性が互いに異なったものとなるため、ドライバ仕事率Wは負極性の値となる。なお、操舵トルクTsは、タイヤの向きが車両の進行方向から外れるほど大きな値となり、また、モータ速度ωが急な操舵を行うほど大きな値となり、これらの操作の度合い(操作量)に応じて、ドライバ仕事率Wの絶対値は大きな値をとる。
なお、操舵速度はモータ速度ωに比例した値であるため、モータ速度ωを操舵速度と見なして、モータ速度ωに操舵トルクTsを乗じたものをドライバ仕事率Wとして用いてもよい。
微分器261は、操舵速度に相当するモータ速度ωを微分することで操舵加速度に相当するモータ加速度αを生成する。
剛性調整量演算部24は、ドライバ仕事率Wと推定負荷Txと車速Vに基づいて、目標操舵トルクTsに含まれる調整成分(調整トルク)の一つであり、操舵時にドライバに与える操舵系メカ100の剛性感を調整するための剛性調整トルクTkを生成する。具体的には、剛性調整量演算部24は、剛性係数演算部24aと乗算器24bを備える。剛性係数演算部24aは、ドライバ仕事率Wおよび車速Vに応じて、ハンドル操作時にドライバに与える剛性感(ばね感)を調整するためのゲインである剛性相当係数K(機械インピーダンスの剛性係数に相当する値)を、予め用意された剛性調整マップを用いて生成する。乗算器24bは、剛性相当係数Kに推定負荷Txを乗じることで剛性調整トルクTkを生成する。つまり、剛性相当係数Kは、路面負荷(推定負荷Tx)に対する調整ゲインといえる。また、剛性相当係数Kは、機械インピーダンス調整量として、補正部30に供給される。
粘性調整量演算部25は、ドライバ仕事率Wとモータ速度ωと車速Vに基づいて、目標操舵トルクTsに含まれる調整成分の一つであり、操舵時にドライバに与える操舵系メカ100の粘性感を調整するための粘性調整トルクTcを生成する。具体的には、粘性調整量演算部25は、粘性係数演算部25aと乗算器25bを備える。粘性係数演算部25aは、ドライバ仕事率Wおよび車速Vに応じて、ハンドル操作時にドライバに与える粘性感を調整するために使用する粘性係数Cを、予め用意された粘性調整マップを用いて生成する。乗算器25bは、粘性係数Cにモータ速度ω(操舵速度に相当する)を乗じることで粘性調整トルクTcを生成する。つまり、粘性係数Cは、モータ速度ω(ひいては操舵速度)に対する調整ゲインといえる。
慣性調整量演算部26は、ドライバ仕事率Wとモータ加速度αに基づいて、目標操舵トルクTsに含まれる調整成分の一つであり、操舵時にドライバに与える操舵系メカ100の慣性感を調整するための慣性調整トルクTiを生成する。具体的には、慣性調整量演算部26は、慣性係数演算部26aと乗算器26bを備える。慣性係数演算部26aは、ドライバ仕事率Wに応じて、ハンドル操作時にドライバに与える慣性感を調整するための慣性係数Iを、予め用意された慣性調整マップを用いて生成する。乗算器26bは、微分器261によって生成されたモータ加速度αに慣性係数Iを乗じることで慣性調整トルクTiを演算する。つまり、慣性係数は、モータ加速度α(ひいては操舵加速度)に対する調整ゲインといえる。ここでは、慣性係数Iを変化させるパラメータとしてドライバ仕事率Wを用いているが、剛性相当係数K,粘性係数Cと同様に、ドライバ仕事率Wに加えて車速Vを用いてもよい。
目標演算器27は、基本トルクTf、剛性調整トルクTk、粘性調整トルクTc、慣性調整トルクTiを加算して目標操舵トルクTsを演算する。偏差演算器28は、操舵トルクTsと目標操舵トルクTsとの差であるトルク偏差を演算する。コントローラ部29は、微分器や積分器等を備えており、ハンドル操作時にドライバに与える路面負荷に応じた伝達感や操舵状態量に応じたフィールを調整するための出力を生成する。
コントローラ部29は、トルク偏差(操舵トルクTsと目標操舵トルクTsとの差)に基づき、トルク偏差が0になるよう、すなわち操舵トルクTsが目標操舵トルクTsに追従するように制御することで、路面負荷に応じた伝達感や操舵状態量に応じたフィールを実現するアシストトルク(アシスト量とも言う)を発生させるためのベースアシスト指令Tbを生成する。
ところで、機械インピーダンス(剛性係数,粘性係数,慣性係数)は、物体に加わる力Fと、物体の変位量xとの関係を規定するものであり、(1)式の関係式によって表される。特に回転運動の場合では、Fは物体に加わるトルク、xは物体の回転量と見なす。
ここでは、xは操舵角(モータの回転角)、その1回微分値は操舵速度(モータ速度ω)、その2回微分は操舵加速度(モータ加速度α)を表す。つまり、剛性調整量演算部24,粘性調整量演算部25,慣性調整量演算部26は、(1)式に従ってハンドル操作時にドライバに与えるフィールの調整に必要なトルクを求めるものである。但し、本実施形態では、剛性調整トルクTkの算出に、操舵角xではなく推定負荷Txを使用しているため、剛性係数の代わりに剛性係数に相当する剛性相当係数Kが用いられている。なお、操舵角xと剛性相当係数Kの関係は、操舵系メカ100の特性を表す関係式から簡単に求めることができる。
<補正部>
補正部30は、バンドパスフィルタ(BPF)31と、フィルタゲイン演算部32と、補正トルク演算器33とを備えている。
BPF31は、操舵トルクTsから路面の状態(ロードインフォメーション)を表す振動が発生する領域である特定帯域(本実施形態では10〜40Hz)の信号成分を抽出する。フィルタゲイン演算部32は、剛性相当係数Kに応じて、BPF31の出力に乗じる伝達制御ゲインGを、予め用意されたゲイン調整マップを用いて生成する。補正トルク演算器33は、BPF31の出力(特定帯域の信号成分)に、フィルタゲイン演算部32の出力(伝達制御ゲインG)を乗じることで補正トルク指令Trを生成する。つまり、伝達制御ゲインGによって、タイヤからハンドルへのトルク(ひいては振動)の伝達特性を調整するように構成されている。
ところで、操舵時におけるドライバの剛性知覚は、図6に示すように、ハンドルに印加される振動の有無や振動の周波数によって変化する。特に、実際の剛性値(実剛性値)が小さいときに振動が印加されると、ドライバが感じる剛性値(知覚剛性値)は実剛性値より大きく感じる傾向にある。しかも、このような作用を生じさせる振動の周波数帯は、ロードインフォメーションを表す振動が発生する領域と重なっている。つまり、この領域の伝達特性を調整することで、例えば、ハンドルを切り込んでいったときの手応え等、操舵時の剛性感を変化させることが可能であることがわかる。
なお、図6は、モータ駆動軸にハンドルを直結させた実験装置(反力装置)を用いて、操舵時の剛性値および印加する振動周波数をモータ制御によって各々変化させたときに、操作者が主観的に感じる剛性値(剛性の大きさ)を調査した結果である。但し、剛性値は4種類(2,3,4,5[Nm/rad])、振動周波数は6種類(0(振動なし)、10,20,30,40,50[Hz])を用い、振動振幅は操舵角に比例した大きさに変化させた。
上記の剛性、振動周波数の任意の組合せ(例えば、剛性値:3[Nm/rad]、振動周波数30Hzなど)について、被験者に±20degの範囲で所定回数往復操舵させた後に、主観的に感じた剛性の大きさを、VAS(Visual Analog Scale)を用いて回答させた。ここでは、被験者7名に、上記剛性値と振動周波数のすべての組合せを、ランダムな順序で所定回数ずつ操舵させ、その回答結果を、平均することによって、図6に示す知覚剛性値を求めた。
ゲイン調整マップは、図4に示すように、剛性相当係数Kが大きいほど、伝達制御ゲインGが小さくなる、ほぼ反比例の関係を有するように設定されている。但し、伝達制御ゲインGの上限値は1に設定されており、ここでは、剛性相当係数K≦1では、G=1となるように設定されている。
つまり、剛性相当係数Kが小さいとき、すなわち、ベースアシスト部20にて機械インピーダンスの剛性係数が小さくなるような調整が行われたときには、伝達制御ゲインGが大きな値に設定される。これにより、ハンドルが軽くなっても、ハンドルを切ったときの手応えが補償される。逆に、剛性相当係数Kが大きいとき、すなわち、ベースアシスト部20にて機械インピーダンスの剛性係数が大きくなるような調整が行われたときには、伝達制御ゲインGが小さな値に設定される。これにより、タイヤからハンドルへの特定帯域の信号成分の伝達が抑制される。
なお、図4に示した、ゲイン調整マップは、一例に過ぎず、所望の特性を実現できるように適宜設定すればよい。
<効果>
以上説明したように、電動パワーステアリングシステム1では、機械インピーダンスの調整内容に連動して、特定帯域の信号成分の伝達特性を調整するように構成されており、剛性係数が減少したときには伝達制御ゲインGを増大させ、剛性係数が増大したときには伝達制御ゲインGを減少させている。
従って、電動パワーステアリングシステム1によれば、アシスト量が増大する等して機械インピーダンスの剛性係数が低下したときでも、ハンドルを切ったときの手応えを補償することができ、操舵時のフィールの劣化やドライバに違和感(舵抜け等)を与えてしまうことを抑制することができる。また、機械インピーダンスの剛性係数が増大したときには、過剰な振動(トルク変動)がハンドルに加わることがないため、ドライバに不快感を与えてしまうことを抑制することができる。
つまり、機械インピーダンスを制御する信号成分(10Hz以下)は主に力覚に作用し、操舵感の中でも基本的な重さや手応えを作り出すものである。これに対し、路面の状態(ロードインフォメーション)を伝達する信号成分(10〜40Hz)は主に皮膚の感覚受容器に作用するものである。但し、皮膚への刺激は、手応えなど力覚にも作用する(錯覚を生じさせる)ことが本発明者らの実験により明らかにされている。このことを利用して、力覚に作用する成分が低下したときに、触覚に作用する成分を使って力覚を補償することにより、所望のフィールを実現しているとも言える。
図5は、路面負荷(推定負荷Tx)から操舵角までのトルク伝達特性をシミュレーションによって求めたボード線図である。具体的には、伝達制御ゲインGを、図4中のG0,G1,G2に設定しそれぞれについて求めた。図5からは、伝達制御のゲインGが大きいほど、ロードインフォメーション領域の一部である10〜20Hz帯のゲインが増加していること、つまり、路面からハンドルへ伝わってくるトルク変動(振動)がより顕著に感じられるようになることがわかる。
また、機械インピーダンスが低下すると、路面反力を打ち消す方向にアシストが働き、路面の状態が伝達されにくい状態となるが、剛性係数の補償に使用する特定周波数はロードインフォメーション領域と重なっているため、ロードインフォメーションを表す信号成分もハンドルに伝達されることになり、路面の状態をドライバに知覚させることができる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。例えば、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。
上記実施形態では、機械インピーダンスを変化させるパラメータとして、操舵トルクTsと操舵速度(モータ速度ω)の積からなるドライバ仕事率Wと車速Vを用いているが、これに限るものではなく、例えば、ドライバ仕事率Wの代わりに操舵角等を用いてもよい。
上記実施形態では、伝達制御ゲインGを、剛性相当係数Kに従って変化させているが、粘性係数Cや慣性係数Iに従って変化させたり、K,C,Iのうちいずれか二つまたは三つ全部に従って変化させたりしてもよい。
上記実施形態では、負荷推定器21において、ベースアシスト指令Tbと操舵トルクTsから推定負荷Txを生成しているが、ベースアシスト指令Tbの代わりに電流FB部42で検出される通電電流Imを用いてもよい。
上記実施形態では、基本トルクTfを、推定負荷Txから生成しているが、操舵角から生成するように構成してもよい。
上記実施形態では、基本トルクTfと、機械インピーダンス調整用のトルクTk,Tc,Tiを別々に求めた後、これらを加算して目標操舵トルクTsを生成しているが、特許文献1に記載されているように、機械インピーダンスを反映した規範操舵モデルを用いて操舵角から目標操舵トルクTsを求めるように構成されたシステムに本発明を適用してもよい。この場合、規範操舵モデル中で使用される機械インピーダンスに従って、伝達制御ゲインGを変化させるように構成すればよい。
1…電動パワーステアリングシステム 20…ベースアシスト部 21…負荷推定器 22…基本負荷量演算部 23…ドライバ仕事率演算部 24…剛性調整量演算部 24a…剛性係数演算部 24b,25b,26b…乗算器 25…粘性調整量演算部 25a…粘性係数演算部 26…慣性調整量演算部 26a…慣性係数演算部 27…目標演算器 28…偏差演算器 29…コントローラ部 30…補正部 31…バンドパスフィルタ 32…フィルタゲイン演算部 33…補正トルク演算器 41…加算器 42…電流フィードバック(FB)部、100…操舵系メカ 261…微分器

Claims (7)

  1. 操舵部材(2)に連結された操舵軸(3.5)に加わる操舵トルクに応じたアシストトルクをモータ(6)によって出力することで操舵特性を制御するステアリング制御装置(15)であって、
    前記アシストトルクに応じて発生させる前記操舵トルクの目標値である基本トルクを生成する基本トルク生成手段(21,22)と、
    前記操舵軸で検出される操舵トルクと操舵角の関係を規定する機械インピーダンスを調整するための前記操舵トルクの目標値である調整トルクを生成する調整トルク生成手段(23,24)と、
    操舵輪から前記操舵部材への振動伝達特性を調整するための前記操舵トルクの目標値である補正トルクを生成する補正トルク生成手段(30)と、
    前記基本トルクおよび前記調整トルク、前記補正トルクから、前記モータを制御するための指令値を生成する指令値生成手段(27,28,29,41,42)と、
    を備え、
    前記補正トルク生成手段は、前記調整トルク生成手段での前記機械インピーダンスの調整内容に応じて前記振動伝達特性を変化させることを特徴とするステアリング制御装置。
  2. 前記調整トルク生成手段は、前記操舵部材に加わる操作を表す操舵状態量に従って、前記調整トルクを生成することを特徴とする請求項1に記載のステアリング制御装置。
  3. 前記指令値生成手段は、前記基本トルクおよび前記調整トルク、前記補正トルクから目標操舵トルクを生成し、前記指令値は、前記目標操舵トルクに前記操舵トルクを追従させるためのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステアリング制御装置。
  4. 前記補正トルク生成手段は、
    前記操舵トルクから予め設定された特定帯域の信号成分を抽出するフィルタ(31)と、
    前記フィルタの出力に前記機械インピーダンスの大きさに応じて設定される調整ゲインを乗じたものを前記補正トルクとして出力するゲイン調整手段(32,33)と、
    を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のステアリング制御装置。
  5. 前記特定帯域は10〜40Hzであることを特徴とする請求項4に記載のステアリング制御装置。
  6. 前記ゲイン調整手段は、前記機械インピーダンスが減少したときに前記調整ゲインを増加させることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のステアリング制御装置。
  7. 前記機械インピーダンスとして、剛性係数、粘性係数、慣性係数のうち少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のステアリング制御装置。
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